添付一覧
(2) 衣服等の乾燥設備
湧水のある坑内等において衣服が濡れる作業を行う場合には、衣服を乾燥するための設備の設置等の措置を講ずること。
10 保護具の支給及び使用
(1) 防振保護具
軟質の厚い防振手袋等を支給し、作業者に使用させること。
(2) 防音保護具
90dB(A)以上の騒音を伴う作業の場合には、作業者に耳栓又は耳覆いを支給し、使用させること。
11 体操の実施
作業開始時及び作業終了後に手、腕、肩、腰等の運動を主体とした体操を行うこと。なお、体操は、作業中も随時行うことが望ましいこと。
12 健康診断の実施及びその結果に基づく措置
昭和49年1月28日付け基発第45号「振動工具(チエンソー等を除く。)の取扱い等の業務に係る特殊健康診断について」、昭和50年10月20日付け基発第609号「振動工具の取扱い業務に係る特殊健康診断の実施手技について」及び昭和50年10月20日付け基発第610号「チエンソー取扱い業務に係る健康管理の推進について」の別添「チエンソー取扱い業務に係る健康管理指針」に基づき健康診断の実施及び適切な健康管理を行うこと。
13 安全衛生教育の実施
作業者を新たに振動業務に就かせ、又は作業者の取り扱う振動工具の種類を変更したときは、当該作業者に対し、振動が人体に与える影響、日振動ばく露量A(8)に基づく振動ばく露限界時間等の工具の適正な取扱い及び管理方法についての教育を行うこと。
(別紙1)
チェーンソー以外の振動工具の取扱い業務に係る振動障害予防対策指針対象工具
(1) ピストンによる打撃機構を有する工具(①さく岩機、②チッピングハンマー、③リベッティングハンマー、④コーキングハンマー、⑤ハンドハンマー、⑥ベビーハンマー、⑦コンクリートブレーカー、⑧スケーリングハンマー、⑨サンドランマー、⑩ピックハンマー、⑪多針タガネ、⑫オートケレン、⑬電動ハンマー)
(2) 内燃機関を内蔵する工具(可搬式のもの)(①エンジンカッター、②ブッシュクリーナー)
(3) 携帯用皮はぎ機等の回転工具((5)を除く。)(①携帯用皮はぎ機、②サンダー、③バイブレーションドリル)
(4) 携帯用タイタンパー等の振動体内蔵工具(①携帯用タイタンパー、②コンクリートバイブレーター)
(5) 携帯用研削盤、スイング研削盤その他手で保持し、又は支えて操作する型式の研削盤(使用する研削といしの直径が150mmを超えるものに限る。)
(6) 卓上用研削盤又は床上用研削盤(使用するといしの直径が150mmを超えるものに限る。)
(7) 締付工具(①インパクトレンチ)
(8) 往復動工具(①バイブレーションシャー、②ジグソー)
(別紙2)
(別添3)
○振動工具の「周波数補正振動加速度実効値の3軸合成値」の測定、表示等について
(平成21年7月10日)
(基発0710第3号)
(都道府県労働局長あて厚生労働省労働基準局長通知)
(公印省略)
振動障害の予防については、昭和50年10月20日付け基発第608号「チエンソー以外の振動工具の取扱い業務に係る振動障害の予防について」の別添「チエンソー以外の振動工具の取扱い業務に係る振動障害予防対策指針」及び昭和50年10月20日付け基発第610号「チエンソー取扱い業務に係る健康管理の推進について」の別添2「チエンソー取扱い作業指針」等により推進してきたが、振動の周波数、振動の強さ、振動ばく露時間により、手腕への影響を評価し、振動障害予防対策を講ずることが有効であること等を踏まえて、今般、国際標準化機構(ISO)等が取り入れている「周波数補正振動加速度実効値の3軸合成値」及び「振動ばく露時間」で規定される1日8時間の等価振動加速度実効値(日振動ばく露量A(8))の考え方等に基づく対策を推進することとし、平成21年7月10日付け基発0710第1号及び同日付け基発0710第2号により上記作業指針の改正等を行ったところである。
これらの対策を労働者に振動工具を使用させる事業者が実施するためには、振動工具の製造事業者等が、「周波数補正振動加速度実効値の3軸合成値」の測定、表示等を行うことが必要であることから、上記作業指針で示したチェーンソー及びチェーンソー以外の振動工具で、労働者が取り扱うものについては、別添により関係業界団体に対して要請を行ったところであるが、貴局においても、上記指針に示したチェーンソー及びチェーンソー以外の振動工具を製造し、又は輸入する事業者等に対して、下記について取り組むよう、指導等に遺憾なきを期されたい。
なお、昭和63年1月8日付け基発第11号「手持動力工具(チェーンソーを除く。)の工具振動レベル測定方法について」は廃止する。
記
1 「周波数補正振動加速度実効値の3軸合成値」の測定・算出振動工具について、「周波数補正振動加速度実効値の3軸合成値」を以下に示すところにより測定・算出すること。
(1) 測定方法等
振動加速度の測定(以下「振動測定」という。)は、「JISB7762」(ISO8662)、「ISO22867」、「EN60745」又は「EN50144」の順によるべき測定規格を検討し、下記に留意の上、測定すること。
これらの測定規格によりがたい場合は、「JISB7761―2」に準拠した振動測定とすること。
なお、これらを踏まえた振動工具ごとのよるべき測定規格は別紙1のとおりであること。
ア 「JISB7762」による振動測定
「JISB7762」には、単軸(直交3軸のうちZ軸又は優先軸(3軸のうち最大の振動値を示す軸をいう。))での測定を規定している箇所があるが、3軸同時測定を行い、振動合成値を求めること。ただし、3軸同時測定が困難な場合、同一測定条件で3軸を順次測定して得た値から振動合成値を求めることも可能であること。
また、ISO8662等に基づいて単軸測定した測定データが既にある振動工具については、当該単軸値に1.7を乗ずる換算により周波数補正振動加速度実効値の3軸合成値の相当値を求めることも可能であること。
なお、当該値を取扱説明書、ホームページ等で公開する場合は、単軸値に1.7を乗じた値であることなどを明記すること。
イ 「ISO22867」による振動測定
エンジンチェーンソー及びブッシュクリーナーについては、ISO22867:2004により振動測定を行うこと。
排気量40立方センチメートル以上のエンジンチェーンソーについては、チェーンソーの規格(昭和52年労働省告示第85号)により振動測定の方法が示されているが、排気量40立方センチメートル未満のチェーンソーを含めて当該方法による振動加速度の最大値を求めるために行った周波数分析の測定データ等から換算し周波数補正振動加速度実効値の3軸合成値の相当値を求めることも可能であること。(別紙2参照)
なお、当該値を取扱説明書、ホームページ等で公開する場合は、チェーンソーの規格による測定データの換算値であることなどを明記すること。
ウ 「JISB7761―2」による振動測定
「JISB7761―2」による測定方法の場合、「JISB7761―2:2004」(手腕振動系―第2部:作業場における実務的測定方法)に従い振動測定を行うこと。
なお、当該値を取扱説明書、ホームページ等で公開する場合は、「JISB7761―2:2004」の「9.報告すべき情報」に規定する項目等を明記すること。
エ 測定器
振動測定に用いる測定器は、「JISB7761―1:2004」、「JISB7761―3:2007」(ISO8041:2005、ISO5349―1:2001)の要求事項を満たすことが必要であること。
なお、1/3オクターブ分析が行える測定器で3軸同時に、又は順次測定し、JISB7761―3:2007に規定する周波数補正を行って、周波数補正振動加速度実効値を得ることも可能であること。
(2) 周波数補正
振動が手腕に与える影響は、周波数によって、その度合いが異なることから、周波数に応じて、その影響を補正する手腕振動補正を、「ISO5349―1:2001」及び「JISB7761―3:2007」により行うこと。ただし、測定に、「JISB7761―1:2004」(ISO8041:2005)、「JISB7761―3:2007」(ISO5349―1:2001)の規定を満たす手腕振動計を使用する場合、得られる振動値は、周波数補正を含んだものであり、改めて補正する必要はないこと。
(3) 周波数補正振動加速度実効値の3軸合成値
周波数補正振動加速度実効値の3軸(X軸、Y軸、Z軸)の合成値を式①により求めること。ただし、振動測定に、「JISB7761―1:2004」(ISO8041:2005)、「JISB7761―3:2007」(ISO5349―1:2001)の規定を満たす手腕振動計を使用し、3軸同時測定を行う場合は、表示値が3軸合成値であること。
ahv=√(a2hwx+a2hwy+a2hwz)・・・・・・①
ahwx、ahwy、ahwzは、それぞれX軸、Y軸、Z軸の周波数補正振動加速度実効値
2 表示等
(1) 振動工具本体への表示
「周波数補正振動加速度実効値の3軸合成値」を振動工具に表示すること。ただし、「周波数補正振動加速度実効値の3軸合成値」が2.5m/s2未満である場合は、その旨を記すことでも足りるものであること。
チェーンソーについては、チェーンソーの規格第4条の規定に基づく表示に加えて3軸合成値を表示すること。
(2) 取扱説明書等への記載
ア 振動工具を使用する事業者に渡す振動工具の取扱説明書、カタログ、ホームページ等に次の事項を明記すること。ただし、(ア)に掲げる事項について、「周波数補正振動加速度実効値の3軸合成値」が2.5m/s2未満である場合は、その旨を記すことでも足りるものであること。
(ア) 周波数補正振動加速度実効値の3軸合成値
(イ) 振動測定の準拠規格
(ウ) (ア)の3軸合成値が3軸測定により得た振動合成値でない場合にあっては、その値を得た根拠
(エ) 振動測定が「JISB7761―2:2004」による場合にあっては、測定方法・条件等及び「JISB7761―2:2004」の「9.報告すべき情報」に規定する項目
(オ) 振動工具の重量
イ アの(ア)から(オ)までに掲げる事項のほか、振動工具の使用者が適切に日振動ばく露量A(8)に基づく対策を講ずることができるよう、1日当たりの振動ばく露限界時間の算出方法等の説明を記載し、又は算出方法等を記したパンフレットを添付すること。
3 点検・整備等の時期等の表示
振動工具について、製造時の振動加速度レベルを劣化させないための点検・整備について、その具体的な時期、その対象となる工具の状態、その方法等を、振動工具の取扱説明書、カタログ、ホームページ等により示すこと。
(別紙1)
対象工具 |
適用される測定規格 |
||||||
1 |
チェーンソー |
ISO 22867:2004 |
林業機械―内燃機関をもつ可搬形手持ち機械のための振動試験コード―ハンドルでの振動【内燃】 |
EN 60745―2―13 |
chain saws【電気】 |
||
2 |
ピストンによる打撃機構を有する工具 |
① |
さく岩機 |
JIS B7762―3:2006 |
手持ち可搬形動力工具―ハンドルにおける振動測定方法―第3部:ロックドリル及びロータリハンマ【電気・空気圧・油圧・内燃】 |
EN 60745―2―6 |
hammers【電気】 |
|
② |
チッピングハンマー |
JIS B7762―2:2006 |
手持ち可搬形動力工具―ハンドルにおける振動測定方法―第2部:チッピングハンマ及びリベッティングハンマ【電気・空気圧・油圧・内燃】 |
EN 60745―2―6 |
hammers【電気】 |
|
|
|
③ |
リベッティングハンマー |
JIS B7762―2:2006 |
手持ち可搬形動力工具―ハンドルにおける振動測定方法―第2部:チッピングハンマ及びリベッティングハンマ【電気・空気圧・油圧・内燃】 |
EN 60745―2―6 |
hammers【電気】 |
|
|
④ |
コーキングハンマー |
JIS B7762―2:2006 |
手持ち可搬形動力工具―ハンドルにおける振動測定方法―第2部:チッピングハンマ及びリベッティングハンマ【電気・空気圧・油圧・内燃】 |
EN 60745―2―6 |
hammers【電気】 |
|
|
⑤ |
ハンドハンマー |
JIS B7762―2:2006 |
手持ち可搬形動力工具―ハンドルにおける振動測定方法―第2部:チッピングハンマ及びリベッティングハンマ【電気・空気圧・油圧・内燃】 |
EN 60745―2―6 |
hammers【電気】 |
|
|
⑥ |
ベビーハンマー |
JIS B7762―2:2006 |
手持ち可搬形動力工具―ハンドルにおける振動測定方法―第2部:チッピングハンマ及びリベッティングハンマ【電気・空気圧・油圧・内燃】 |
EN 60745―2―6 |
hammers【電気】 |
|
|
⑦ |
コンクリートブレーカー |
JIS B7762―5:2006 |
手持ち可搬形動力工具―ハンドルにおける振動測定方法―第5部:舗装ブレーカ及び建設作業用ハンマ【電気・空気圧・油圧・内燃】 |
EN 60745―2―6 |
hammers【電気】 |
|
|
⑧ |
スケーリングハンマー |
JIS B7762―2:2006 |
手持ち可搬形動力工具―ハンドルにおける振動測定方法―第2部:チッピングハンマ及びリベッティングハンマ【電気・空気圧・油圧・内燃】 |
EN 60745―2―6 |
hammers【電気】 |
|
|
⑨ |
サンドランマー |
JIS B7762―9:2006 |
手持ち可搬形動力工具―ハンドルにおける振動測定方法―第9部:ランマ【動力源の規定なし】 |
EN 60745―2―6 |
hammers【電気】 |
|
|
⑩ |
ビックハンマー |
JIS B7762―5:2006 |
手持ち可搬形動力工具―ハンドルにおける振動測定方法―第5部:舗装ブレーカ及び建設作業用ハンマ【電気・空気圧・油圧・内燃】 |
EN 60745―2―6 |
hammers【電気】 |
|
|
⑪ |
多針タガネ |
JIS B7762―14:2006 |
手持ち可搬形動力工具―ハンドルにおける振動測定方法―第14部:石工工具及び多針たがね【空気圧又は油圧】 |
EN 60745―2―6 |
hammers【電気】 |
|
|
⑫ |
オートケレン |
JIS B7762―2:2006 |
手持ち可搬形動力工具―ハンドルにおける振動測定方法―第2部:チッピングハンマ及びリベッティングハンマ【電気・空気圧・油圧・内燃】 |
EN 60745―2―6 |
hammers【電気】 |
|
|
⑬ |
電動ハンマー |
JIS B7762―5:2006 |
手持ち可搬形動力工具―ハンドルにおける振動測定方法―第5部:舗装ブレーカ及び建設作業用ハンマ【電気・空気圧・油圧・内燃】 |
EN 60745―2―6 |
hammers【電気】 |
3 |
内燃機関を内蔵する工具(可搬式のもの) |
① |
エンジンカッター |
JIS B7762―12:2006 |
手持ち可搬形動力工具―ハンドルにおける振動測定方法―第12部:往復動作ののこぎり及びやすり並びに揺動又は回転動作ののこぎり【動力源の規定なし】 |
|
|
|
② |
ブッシュクリーナー |
ISO 22867:2004 |
林業機械―内燃機関をもつ可搬形手持ち機械のための振動試験コード―ハンドルでの振動【内燃】 |
|
|
|
4 |
回転工具 |
① |
携帯用皮はぎ機 |
JIS B7761―2:2004 |
作業場における実務的測定方法 |
|
|
|
|
② |
サンダー |
JIS B7762―8:2006 |
手持ち可搬形動力工具―ハンドルにおける振動測定方法―第8部:ポリッシャ及びロータリ並びにオービタル及びランダムオービタルサンダ【空気圧又は他の手段】 |
EN 60745―2―3 |
grinders,polishers and disk-type sanders【電気】 |
EN 60745―2―4 |
Sanders and polishers other than disk-type【電気】 |
||||||
|
|
③ |
バイブレーションドリル |
JIS B7762―6:2006 |
手持ち可搬形動力工具―ハンドルにおける振動測定方法―第6部:インパクトドリル【動力源の規定なし】 |
EN 60745―2―1 |
drills and impact drills【電気】 |
5 |
振動体内蔵工具 |
① |
携帯用タイタンバー |
JIS B7762―9:2006 |
手持ち可搬形動力工具―ハンドルにおける振動測定方法―第9部:ランマ【動力源の規定なし】 |
|
|
|
② |
コンクリートバイブレーター |
EN 60745―2―12 |
concrete vibrators【電気】 |
JIS B7761―2:2004 |
作業場における実務的測定方法 |
|
6 |
携帯用研削盤(使用するといしの直径が150mmを超えるもの) |
JIS B7762―4:2006 |
手持ち可搬形動力工具―ハンドルにおける振動測定方法―第4部:グラインダ【空気圧又は他の手段】 |
EN 60745―2―3 |
grinders,polishers and disk-type sanders【電気】 |
||
|
スイング研削盤(使用するといしの直径が150mmを超えるもの) |
JIS B7761―2:2004 |
作業場における実務的測定方法 |
|
|
||
7 |
卓上用研削盤又は床上式研削盤(使用するといしの直径が150mmを超えるもの) |
JIS B7761―2:2004 |
作業場における実務的測定方法 |
|
|
||
8 |
締付工具 |
① |
インパクトレンチ |
JIS B7762―7:2006 |
手持ち可搬形動力工具―ハンドルにおける振動測定方法―第7部:インパクト、インパルス又はラチェット動作のレンチ、スクリュードライバ及びナットランナ【空気圧又は油圧】 |
EN 60745―2―2 |
screwdrivers and impact wrenches【電気】 |
9 |
往復動工具 |
① |
バイブレーションシャー |
JIS B7762―10:2006 |
手持ち可搬形動力工具―ハンドルにおける振動測定方法―第10部:ニブラ及びシャー【空気圧又は油圧】 |
EN 60745―2―8 |
shears and nibblers【電気】 |
|
|
② |
ジグソー |
JIS B7762―12:2006 |
手持ち可搬形動力工具―ハンドルにおける振動測定方法―第12部:往復動作ののこぎり及びやすり並びに揺動又は回転動作ののこぎり【動力源の規定なし】 |
EN 60745―2―11 |
reciprocating saws(jig and sabre saws)【電気】 |
(別紙2)
「チェーンソーの規格」による振動加速度から振動合成値への換算について
チェーンソーの規格による測定値から振動合成値への換算については、6.3~500Hzの1/3オクターブ帯域すべての3軸の振動加速度測定値に、別紙3の「1/3オクターブバンド量を周波数補正量に変換するための、周波数制限を伴う手腕振動の周波数補正係数Whi」を使用して、X、Y、Z3軸の周波数補正加速度実効値ahwを次の式②から算出し、3軸の振動合成値ahvを式①により求めること。
ここに、
Whi:別紙3に示すi番目の1/3オクターブバンドのための補正係数
ahi:i番目の1/3オクターブバンド中で測定した加速度実効値(m/s2)
なお、チェーンソーの規格において測定することが求められていない10Hz以下の帯域及び500Hzを超える帯域の測定値を別途入手することが必要であること。
(別紙3)
1/3オクターブバンド量を周波数補正量に変換するための、周波数制限a)を伴う手腕振動の周波数補正係数Whi
ISO 5349―1(JIS B 7761―3) 抜粋
周波数バンド番号b) |
公称中心周波数 |
補正係数 |
i |
Hz |
Whi |
8 |
6.3 |
0.727 |
9 |
8 |
0.873 |
10 |
10 |
0.951 |
11 |
12.5 |
0.958 |
12 |
16 |
0.896 |
13 |
20 |
0.782 |
14 |
25 |
0.647 |
15 |
31.5 |
0.519 |
16 |
40 |
0.411 |
17 |
50 |
0.324 |
18 |
63 |
0.256 |
19 |
80 |
0.202 |
20 |
100 |
0.160 |
21 |
125 |
0.127 |
22 |
160 |
0.101 |
23 |
200 |
0.0799 |
24 |
250 |
0.0634 |
25 |
315 |
0.0503 |
26 |
400 |
0.0398 |
27 |
500 |
0.0314 |
28 |
630 |
0.0245 |
29 |
800 |
0.0186 |
30 |
1000 |
0.0135 |
31 |
1250 |
0.00894 |
注a) フィルタ応答及び許容値用(JIS B 7761―1を参照する。)。 注b) 添え字iは、JIS C 1514に従った周波数帯域番号。 |
(別添4)
○振動障害総合対策の推進について
(平成21年7月10日)
(基発0710第5号)
(都道府県労働局長あて厚生労働省労働基準局長通知)
(公印省略)
振動障害総合対策の推進については、振動障害予防対策、補償対策、社会復帰対策等振動障害に関する対策を総合的に推進し、その結果、振動障害の新規認定者が減少するなど、一定の成果が見られている。
しかしながら、振動の周波数、振動の強さ、振動ばく露時間により、手腕への影響を評価し、振動障害予防対策を講ずることが有効であること等を踏まえて、今般、国際標準化機構(ISO)等が取り入れている「周波数補正振動加速度実効値の3軸合成値」及び「振動ばく露時間」で規定される1日8時間の等価振動加速度実効値(日振動ばく露量A(8))の考え方等に基づく対策の普及促進等が必要であること等から、別紙1のとおり、振動障害総合対策要綱を定め、引き続き、総合的な振動障害対策の推進を図ることとしたところである。
貴局においても、本要綱に基づき、その効果的な推進に遺憾なきを期されたい。
なお、本職より関係行政機関及び関係団体に対して、別添1、別添2及び別添3により協力等を要請したので了知されたい。
おって、本通達をもって、平成5年3月31日付け基発第203号「振動障害総合対策の推進について」を廃止する。
(別紙1)
振動障害総合対策要綱
第1 振動障害予防対策の推進について
1 基本的な考え方
振動障害予防対策については、これまで、振動の周波数、振動の強さに関わりなく、振動工具の操作時間を原則として1日2時間以下とすること等の措置を講じてきたが、国際標準化機構(ISO)等の動向を踏まえて、周波数補正振動加速度実効値の3軸合成値及び振動ばく露時間で規定される1日8時間の等価振動加速度実効値(日振動ばく露量A(8))の考え方等に基づく振動障害予防対策の普及等を図ることが必要である。
各労働局においては、以下に示す事項に留意しつつ、各労働局の実情等を考慮し、重点対策の絞り込みや行政手法に工夫を凝らすなど、効果的な振動障害予防対策を推進すること。
2 振動障害予防推進計画の策定
各労働局においては、振動工具の製造事業者、輸入事業者等に対して、平成21年7月10日付け基発0710第3号「振動工具の「周波数補正振動加速度実効値の3軸合成値」の測定、表示等について」に基づき、振動工具への周波数補正振動加速度実効値の3軸合成値の表示等を指導するとともに、振動工具の使用事業者等に対して、平成21年7月10日付け基発0710第1号により改正された昭和50年10月20日付け基発第610号「チエンソー取扱い業務に係る健康管理の推進について」の別添2「チェーンソー取扱い作業指針」及び平成21年7月10日付け基発0710第2号「チェーンソー以外の振動工具の取扱い業務に係る振動障害予防対策指針について」の別紙「チェーンソー以外の振動工具の取扱い業務に係る振動障害予防対策指針」に基づき、新たな対策の普及等を図ることを最重点事項として、管内の状況に応じた振動障害予防推進計画を策定し、計画的に、振動工具の製造事業者、輸入事業者及び使用事業者等に対して指導を行うこと。
3 指導に当たっての重点事項
事業場に対する指導に当たっては、次に掲げる事項を中心に、効果的な指導に努めること。
(1) 予防対策指針等の普及徹底
「チェーンソー取扱い作業指針」及び「チェーンソー以外の振動工具の取扱い業務に係る振動障害予防対策指針」に掲げる作業管理、健康管理等について周知、徹底を図ること。
指導に当たっては、周波数補正振動加速度実効値の3軸合成値及び振動ばく露時間で規定される日振動ばく露量A(8)の考え方に基づく対策を最重点に行うこと。
また、振動工具の点検・整備の状況によっては振動レベルが大きく変動することから、当該工具の点検・整備の実施に係る指導並びに健康診断及びその結果に基づく措置が重要な役割を担っていること等から、昭和50年10月20日付け基発第609号「振動工具の取扱い業務に係る特殊健康診断の実施手技について」に基づく特殊健康診断の実施等に係る指導も重点的に行うこと。
なお、振動工具の使用事業場における実施状況の把握等においては、別紙2及び別紙3の自主点検表を活用すること。
(2) 振動工具管理責任者の選任及び振動工具の点検・整備の励行
振動工具の状況等について定期的に点検等を行い、振動工具を良好な状態で管理することを職務とする「振動工具管理責任者」を、次により、各事業場ごとに選任し、当該職務の徹底を図らせること。
ア 振動工具を使用する事業場については、「振動工具管理責任者」を選任すること。特に、振動工具を5台以上有する事業場に対しては重点的に指導すること。
イ 「振動工具管理責任者」は振動工具の取扱い、構造等に習熟した者の中から選任すること。
ウ 「振動工具管理責任者」は振動工具台帳を作成し、i)振動工具の購入年月日、ii)振動工具の周波数補正振動加速度実効値の3軸合成値、iii)毎日の点検結果等を記載すること。
エ 「振動工具管理責任者」の氏名及びその職務を事業場の見やすい箇所に掲示し周知すること。
(3) 安全衛生推進者等の選任及び職務の徹底
衛生管理者、安全衛生推進者等の選任及び職務の徹底を図らせること。
(4) 健康管理の充実
ア 事業者が、振動工具の取扱い業務に係る特殊健康診断を実施するよう指導すること。この場合、定期の特殊健康診断のみならず雇入れ時又は配置換えの際の特殊健康診断も実施されるよう留意すること。
イ 特殊健康診断の結果に基づく事後措置の徹底を図るよう指導すること。特に、健康診断の結果が、昭和50年10月20日付け基発第610号「チエンソー取扱い業務に係る健康管理の推進について」の別添「チエンソー取扱い業務に係る健康管理指針」等に基づく健康管理区分「管理B」である労働者については、振動へのばく露を少なくするよう低振動の振動工具の使用、振動ばく露時間の短縮等に配慮すること。
(5) 振動工具取扱作業者等に対する安全衛生教育の徹底
ア 日振動ばく露量A(8)の考え方に基づく対策も含めて、チェーンソー取扱い作業者に対する労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)に基づく特別の教育及び平成4年4月23日付け基発第260号「チェーンソーを用いて行う伐木等の業務(労働安全衛生規則第36条第8号の業務のうちチェーンソーを用いて行うもの及び同条第8号の2の業務)従業者安全衛生教育について」に基づく教育の実施を徹底させること。
イ チェーンソー以外の振動工具取扱作業者に対して、日振動ばく露量A(8)の考え方に基づく対策も含めて、昭和58年5月20日付け基発第258号「チェーンソー以外の振動工具取扱作業者に対する安全衛生教育の推進について」に基づく教育を行うよう指導すること。
ウ 建設業において、関係請負人が労働者に対し、いわゆる新規入場者教育を行う場合には、日振動ばく露量A(8)の考え方に基づく対策も含めた振動障害予防に係る教育も併せて行うよう指導すること。
4 対策の推進に当たっての留意事項
振動障害予防対策の円滑な推進を図るため、次の事項に留意すること。
(1) 対象事業場の把握及び好事例の収集等資料の整備
対象事業場及び作業実態等の把握に努め、好事例等の資料の整備を図ること。
(2) 事業場に対する指導
指導においては、振動障害予防に係るパンフレットを活用するなど、その効果的な実施を図ること。
(3) 労働災害防止団体等に対する指導・援助
労働災害防止団体及び事業者団体に対し、引き続き本要綱に基づく振動障害予防対策の推進について指導するとともに、適宜、振動障害予防に関する講習会、研究会の開催等について指導・援助を行うこと。
(4) 製造事業者団体等に対する指導
本省においては、振動工具の製造事業者団体等に対し、製造事業者等による振動工具への表示等について指導するものとすること。
また、これらの振動工具の製造事業者及び輸入事業者等に対しても、同様の指導を行うものとすること。
(5) 行政施策の活用等
ア 林業巡回特殊健康診断は、健康診断実施の定着化を図る上で有効な手段であることに留意し、この効果的な活用を図ること。
イ 林業については、林業チェーンソー取扱労働者健診促進システムを活用し、特殊健康診断未受診者及びその事業者に対する受診勧奨の徹底を図ること。
ウ 特別教育に加えて、チェーンソーを用いて行う伐木等の業務に従事している者に対しては、「危険又は有害な業務に現に就いている者に対する安全衛生教育に関する指針の公示について」に基づき教育を行うこと。
エ 林業については、改正された「チェーンソー取扱い作業指針」の普及等に資するため、平成元年10月27日付け基発第582号「チェーンソー取扱作業指導員について」に基づくチェーンソー取扱作業指導員に対し、周波数補正振動加速度実効値の3軸合成値及び振動ばく露時間で規定される1日8時間の等価振動加速度実効値(日振動ばく露量A(8))の考え方等に基づく対策等を研修の上、当該指導員の効果的な活用を図ること。
(6) 関係行政機関との連携
ア 林業については、日振動ばく露量A(8)の考え方に基づく振動障害予防対策の推進のための協力要請を行うなど、農林水産省林野庁森林管理局・森林管理署と連携を図ること。
イ 建設業については、発注機関連絡会議等の効果的な活用により、日振動ばく露量A(8)の考え方に基づく振動障害予防対策の推進について理解と協力を求めること。
ウ 本省においては、農林水産省、国土交通省、経済産業省に対して日振動ばく露量A(8)の考え方に基づく振動障害予防対策の推進のための協力要請を行うなど、関係省庁との連携を図るものとすること。
第2 補償対策について
1 業務上外の認定
振動障害の業務上外の認定については、迅速かつ適正な認定に努めること。
このため、昭和52年5月28日付け基発第307号「振動障害の認定基準について」によるほか、特に次の点に留意すること。
(1) 保険給付の請求に係る労働者等の既往歴、作業従事歴等を十分把握すること。また、必要に応じ、主治医その他専門医の意見を十分聴くこと。
(2) 既往歴に振動障害の類似疾患が認められる場合、振動業務への従事期間が前記通達の基準に満たない場合及び振動業務を離脱した後相当期間を経過して発症した場合等については、必要に応じ鑑別診断を受けさせること。
2 療養
振動障害の療養については、「振動障害の治療指針」(昭和61年10月9日付け基発第585号)を活用し、振動障害療養者がより適切な治療を受けることができるよう努めること。
3 保険給付
振動障害に係る保険給付については、平成8年1月25日付け基発第35号「振動障害に係る保険給付の適正化について」等に基づき、個々の振動障害療養者の症状を的確に把握する等により、適正な給付に努めること。
なお、就労の機会の有無と休業補償給付の支給要件とは別個の事柄であって、労働者災害補償保険法(昭和22年法律第50号)上、就労の機会が確保されていないことを理由として、療養上休業の必要性がなくなった者について休業補償給付を継続して支給することはできないことについて、主治医等に対して十分周知し、給付の適正を期すること。
第3 社会復帰対策の推進について
振動障害者の社会復帰については、「被災労働者の社会復帰対策要綱」(平成5年3月22日付け基発第172号「被災労働者の社会復帰対策の推進について」)及び平成8年5月11日付け基発第311号「振動障害者に係る社会復帰援護制度の拡充等について」に基づき次の対策を推進すること。
1 社会復帰指導の実施
振動障害者のうち、療養を継続しながら就労することが可能と医師が認める者であって、社会復帰を希望するものに対し、的確な社会復帰指導を計画的に実施すること。
2 社会復帰援護制度の積極的な周知及び活用
振動障害者に対する社会復帰援護制度に係る各種援護金等の支給については、平成8年に制度拡充等が行われたことを踏まえ、引き続き個別の社会復帰指導時における説明、その他広報等により、振動障害者社会復帰援護金等の各種社会復帰援護制度について積極的な周知及び活用の促進に努めること。
3 関係行政機関等との連携
地方被災労働者社会復帰促進連絡会議の活用等により、振動障害者の社会復帰について職業安定機関及び職業能力開発機関の一層の理解と協力が得られるよう努めること。特に、林業における振動障害者の社会復帰に関しては、林業振動障害者職業復帰対策協議会及び同地区協議会の活用を図ること。
(別紙2)
(別紙3)