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○振動工具の「周波数補正振動加速度実効値の3軸合成値」の測定、表示等について

(平成21年7月10日)

(基発0710第3号)

(都道府県労働局長あて厚生労働省労働基準局長通知)

(公印省略)

振動障害の予防については、昭和50年10月20日付け基発第608号「チエンソー以外の振動工具の取扱い業務に係る振動障害の予防について」の別添「チエンソー以外の振動工具の取扱い業務に係る振動障害予防対策指針」及び昭和50年10月20日付け基発第610号「チエンソー取扱い業務に係る健康管理の推進について」の別添2「チエンソー取扱い作業指針」等により推進してきたが、振動の周波数、振動の強さ、振動ばく露時間により、手腕への影響を評価し、振動障害予防対策を講ずることが有効であること等を踏まえて、今般、国際標準化機構(ISO)等が取り入れている「周波数補正振動加速度実効値の3軸合成値」及び「振動ばく露時間」で規定される1日8時間の等価振動加速度実効値(日振動ばく露量A(8))の考え方等に基づく対策を推進することとし、平成21年7月10日付け基発0710第1号及び同日付け基発0710第2号により上記作業指針の改正等を行ったところである。

これらの対策を労働者に振動工具を使用させる事業者が実施するためには、振動工具の製造事業者等が、「周波数補正振動加速度実効値の3軸合成値」の測定、表示等を行うことが必要であることから、上記作業指針で示したチェーンソー及びチェーンソー以外の振動工具で、労働者が取り扱うものについては、別添により関係業界団体に対して要請を行ったところであるが、貴局においても、上記指針に示したチェーンソー及びチェーンソー以外の振動工具を製造し、又は輸入する事業者等に対して、下記について取り組むよう、指導等に遺憾なきを期されたい。

なお、昭和63年1月8日付け基発第11号「手持動力工具(チェーンソーを除く。)の工具振動レベル測定方法について」は廃止する。

1 「周波数補正振動加速度実効値の3軸合成値」の測定・算出

振動工具について、「周波数補正振動加速度実効値の3軸合成値」を以下に示すところにより測定・算出すること。

(1) 測定方法等

振動加速度の測定(以下「振動測定」という。)は、「JISB7762」(ISO8662)、「ISO22867」、「EN60745」又は「EN50144」の順によるべき測定規格を検討し、下記に留意の上、測定すること。

これらの測定規格によりがたい場合は、「JISB7761―2」に準拠した振動測定とすること。

なお、これらを踏まえた振動工具ごとのよるべき測定規格は別紙1のとおりであること。

ア 「JISB7762」による振動測定

「JISB7762」には、単軸(直交3軸のうちZ軸又は優先軸(3軸のうち最大の振動値を示す軸をいう。))での測定を規定している箇所があるが、3軸同時測定を行い、振動合成値を求めること。ただし、3軸同時測定が困難な場合、同一測定条件で3軸を順次測定して得た値から振動合成値を求めることも可能であること。

また、ISO8662等に基づいて単軸測定した測定データが既にある振動工具については、当該単軸値に1.7を乗ずる換算により周波数補正振動加速度実効値の3軸合成値の相当値を求めることも可能であること。

なお、当該値を取扱説明書、ホームページ等で公開する場合は、単軸値に1.7を乗じた値であることなどを明記すること。

イ 「ISO22867」による振動測定

エンジンチェーンソー及びブッシュクリーナーについては、ISO22867:2004により振動測定を行うこと。

排気量40立方センチメートル以上のエンジンチェーンソーについては、チェーンソーの規格(昭和52年労働省告示第85号)により振動測定の方法が示されているが、排気量40立方センチメートル未満のチェーンソーを含めて当該方法による振動加速度の最大値を求めるために行った周波数分析の測定データ等から換算し周波数補正振動加速度実効値の3軸合成値の相当値を求めることも可能であること。(別紙2参照)

なお、当該値を取扱説明書、ホームページ等で公開する場合は、チェーンソーの規格による測定データの換算値であることなどを明記すること。

ウ 「JISB7761―2」による振動測定

「JISB7761―2」による測定方法の場合、「JISB7761―2:2004」(手腕振動系―第2部:作業場における実務的測定方法)に従い振動測定を行うこと。

なお、当該値を取扱説明書、ホームページ等で公開する場合は、「JISB7761―2:2004」の「9.報告すべき情報」に規定する項目等を明記すること。

エ 測定器

振動測定に用いる測定器は、「JISB7761―1:2004」、「JISB7761―3:2007」(ISO8041:2005、ISO5349―1:2001)の要求事項を満たすことが必要であること。

なお、1/3オクターブ分析が行える測定器で3軸同時に、又は順次測定し、JISB7761―3:2007に規定する周波数補正を行って、周波数補正振動加速度実効値を得ることも可能であること。

(2) 周波数補正

振動が手腕に与える影響は、周波数によって、その度合いが異なることから、周波数に応じて、その影響を補正する手腕振動補正を、「ISO5349―1:2001」及び「JISB7761―3:2007」により行うこと。ただし、測定に、「JISB7761―1:2004」(ISO8041:2005)、「JISB7761―3:2007」(ISO5349―1:2001)の規定を満たす手腕振動計を使用する場合、得られる振動値は、周波数補正を含んだものであり、改めて補正する必要はないこと。

(3) 周波数補正振動加速度実効値の3軸合成値

周波数補正振動加速度実効値の3軸(X軸、Y軸、Z軸)の合成値を式①により求めること。ただし、振動測定に、「JISB7761―1:2004」(ISO8041:2005)、「JISB7761―3:2007」(ISO5349―1:2001)の規定を満たす手腕振動計を使用し、3軸同時測定を行う場合は、表示値が3軸合成値であること。

ahwx、ahwy、ahwzは、それぞれX軸、Y軸、Z軸の周波数補正振動加速度実効値

2 表示等

(1) 振動工具本体への表示

「周波数補正振動加速度実効値の3軸合成値」を振動工具に表示すること。ただし、「周波数補正振動加速度実効値の3軸合成値」が2.5m/s2未満である場合は、その旨を記すことでも足りるものであること。

チェーンソーについては、チェーンソーの規格第4条の規定に基づく表示に加えて3軸合成値を表示すること。

(2) 取扱説明書等への記載

ア 振動工具を使用する事業者に渡す振動工具の取扱説明書、カタログ、ホームページ等に次の事項を明記すること。ただし、(ア)に掲げる事項について、「周波数補正振動加速度実効値の3軸合成値」が2.5m/s2未満である場合は、その旨を記すことでも足りるものであること。

(ア) 周波数補正振動加速度実効値の3軸合成値

(イ) 振動測定の準拠規格

(ウ) (ア)の3軸合成値が3軸測定により得た振動合成値でない場合にあっては、その値を得た根拠

(エ) 振動測定が「JISB7761―2:2004」による場合にあっては、測定方法・条件等及び「JISB7761―2:2004」の「9.報告すべき情報」に規定する項目

(オ) 振動工具の重量

イ アの(ア)から(オ)までに掲げる事項のほか、振動工具の使用者が適切に日振動ばく露量A(8)に基づく対策を講ずることができるよう、1日当たりの振動ばく露限界時間の算出方法等の説明を記載し、又は算出方法等を記したパンフレットを添付すること。

3 点検・整備等の時期等の表示

振動工具について、製造時の振動加速度レベルを劣化させないための点検・整備について、その具体的な時期、その対象となる工具の状態、その方法等を、振動工具の取扱説明書、カタログ、ホームページ等により示すこと。

(別紙1)

(別紙2)

「チェーンソーの規格」による振動加速度から振動合成値への換算について

チェーンソーの規格による測定値から振動合成値への換算については、6.3~500Hzの1/3オクターブ帯域すべての3軸の振動加速度測定値に、別紙3の「1/3オクターブバンド量を周波数補正量に変換するための、周波数制限を伴う手腕振動の周波数補正係数Whi」を使用して、X、Y、Z3軸の周波数補正加速度実効値ahwを次の式②から算出し、3軸の振動合成値ahvを式①により求めること。

ここに、

Whi:別紙3に示すi番目の1/3オクターブバンドのための補正係数

ahi:i番目の1/3オクターブバンド中で測定した加速度実効値(m/s2)

なお、チェーンソーの規格において測定することが求められていない10Hz以下の帯域及び500Hzを超える帯域の測定値を別途入手することが必要であること。

(別紙3)

1/3オクターブバンド量を周波数補正量に変換するための、周波数制限a)を伴う手腕振動の周波数補正係数Whi

ISO 5349―1(JIS B 7761―3) 抜粋

周波数バンド番号b)

公称中心周波数

補正係数

i

Hz

Whi

8

6.3

0.727

9

8

0.873

10

10

0.951

11

12.5

0.958

12

16

0.896

13

20

0.782

14

25

0.647

15

31.5

0.519

16

40

0.411

17

50

0.324

18

63

0.256

19

80

0.202

20

100

0.160

21

125

0.127

22

160

0.101

23

200

0.0799

24

250

0.0634

25

315

0.0503

26

400

0.0398

27

500

0.0314

28

630

0.0245

29

800

0.0186

30

1000

0.0135

31

1250

0.00894

a) フィルタ応答及び許容値用(JIS B 7761―1を参照する。)。

b) 添え字iは、JIS C 1514に従った周波数帯域番号。

(別添)

○振動工具の「周波数補正振動加速度実効値の3軸合成値」の測定、表示等について

(平成21年7月10日)

(基発0710第4号)

(別記振動工具の製造事業者・輸入事業者団体の長あて厚生労働省労働基準局長通知)

振動障害予防対策については、チエンソー取扱い作業指針(昭和50年10月20日付け基発第610号の別添2)、チエンソー以外の振動工具の取扱い業務に係る振動障害予防対策指針(昭和50年10月20日付け基発第608号の別添)等により推進し、振動障害の新規認定者が減少するなど、一定の成果が見られているところです。

しかしながら、振動の周波数、振動の強さ、振動ばく露時間により、手腕への影響を評価し、振動障害予防対策を講ずることが有効であること等を踏まえて、今般、国際標準化機構(ISO)等が取り入れている「周波数補正振動加速度実効値の3軸合成値」及び「振動ばく露時間」で規定される1日8時間の等価振動加速度実効値(日振動ばく露量A(8))の考え方等に基づく対策を推進することとし、別添1及び別添2のとおり上記作業指針等を定めたところです。

これらの対策を労働者に振動工具を使用させる事業者が実施するためには、振動工具の製造事業者等が、「周波数補正振動加速度実効値の3軸合成値」の測定、表示等を行うことが必要です。

つきましては、貴団体におかれましても、上記作業指針に示したチェーンソー及びチェーンソー以外の振動工具で労働者が取り扱うものを製造し、又は輸入する会員事業者等に対して、別添3の取組について周知等をお願いいたします。

なお、昭和63年1月8日付け基発第11号「手持動力工具(チェーンソーを除く。)の工具振動レベル測定方法について」は廃止することを申し添えます。

別記

(製造者団体)

社団法人林業機械化協会

社団法人自動車技術会

財団法人日本規格協会

日本工具工業会

社団法人日本工作機械工業会

社団法人日本ねじ工業会

社団法人日本ばね工業会

社団法人日本バルブ工業会

社団法人日本フルードパワー工業会

社団法人日本ベアリング工業会

日本チェンソー協会

社団法人日本電機工業会

(輸入者団体)

社団法人日本貿易会

社団法人全国中小貿易業連盟

(別添1)

○チェーンソー取扱い作業指針について

(平成21年7月10日)

(基発0710第1号)

(都道府県労働局長あて厚生労働省労働基準局長通知)

(公印省略)

チェーンソーの適切な取扱い等による健康障害の予防については、昭和50年10月20日付け基発第610号「チエンソー取扱い業務に係る健康管理の推進について」の別添2「チエンソー取扱い作業指針」等により推進してきたが、振動の周波数、振動の強さ、振動ばく露時間により、手腕への影響を評価し、振動障害予防対策を講ずることが有効であること等を踏まえて、今般、国際標準化機構(ISO)等が取り入れている「周波数補正振動加速度実効値の3軸合成値」及び「振動ばく露時間」で規定される1日8時間の等価振動加速度実効値(日振動ばく露量A(8))の考え方等に基づく対策を推進するため、下記のとおり、「チエンソー取扱い作業指針」を改正することとしたところである。

貴局においても、本指針に基づく取組について、関係事業者に対する指導等に遺憾なきを期されたい。

昭和50年10月20日付け基発第610号「チエンソー取扱い業務に係る健康管理の推進について」の別添2を別紙のとおり改める。

別紙

チェーンソー取扱い作業指針

第1 事業者の措置

事業者は、本指針を遵守するとともに、本指針が労働者に守られるよう、必要な措置を講ずること。

1 チェーンソーの選定基準

次によりチェーンソーを選定すること。

(1) 防振機構内蔵型で、かつ、振動及び騒音ができる限り少ないものを選ぶこと。

(2) できる限り軽量なものを選び、大型のチェーンソーは、大径木の伐倒等やむを得ない場合に限って用いること。

(3) ガイドバーの長さが、伐倒のために必要な限度を超えないものを選ぶこと。

2 チェーンソーの点検・整備

(1) チェーンソーを製造者又は輸入者が取扱説明書等で示した時期及び方法により定期的に点検・整備し、常に最良の状態に保つようにすること。

(2) ソーチェーンについては、目立てを定期的に行い、予備のソーチェーンを業務場所に持参して適宜交換する等常に最良の状態で使用すること。

また、チェーンソーを使用する事業場については、「振動工具管理責任者」を選任し、チェーンソーの点検・整備状況を定期的に確認するとともに、その状況を記録すること。

3 チェーンソー作業の作業時間の管理及び進め方

(1) 伐倒、集材、運材等を計画的に組み合わせることにより、チェーンソーを取り扱わない日を設けるなどの方法により1週間のチェーンソーによる振動ばく露時間を平準化すること。

(2) 使用するチェーンソーの「周波数補正振動加速度実効値の3軸合成値」を、表示、取扱説明書、製造者等のホームページ等により把握し、当該値及び1日当たりの振動ばく露時間から、次式、別紙の表等により1日8時間の等価振動加速度実効値(日振動ばく露量A(8))を求め、次の措置を講ずること。

日振動ばく露量 A(8)=a×√(T/8)[m/s2

(a[m/s2]は周波数補正振動加速度実効値の3軸合成値、T[時間]は1日の振動ばく露時間)

ア 日振動ばく露量A(8)が、日振動ばく露限界値(5.0m/s2)を超えることがないよう振動ばく露時間の抑制、低振動のチェーンソーの選定等を行うこと。

イ 日振動ばく露量A(8)が、日振動ばく露限界値(5.0m/s2)を超えない場合であっても日振動ばく露対策値(2.5m/s2)を超える場合には振動ばく露時間の抑制、低振動のチェーンソーの選定等の対策に努めること。

ウ 日振動ばく露限界値(5.0m/s2)に対応した1日の振動ばく露時間(以下「振動ばく露限界時間」TLという。)を次式、別紙の表等により算出し、これが2時間を超える場合には、当面、1日の振動ばく露時間を2時間以下とすること。

振動ばく露限界時間 TL=200/a2[時間]

(a[m/s2]は周波数補正振動加速度実効値の3軸合成値)

ただし、チェーンソーの点検・整備を、製造者又は輸入者が取扱説明書等で示した時期及び方法により実施するとともに、使用する個々のチェーンソーの「周波数補正振動加速度実効値の3軸合成値」aを、点検・整備の前後を含めて測定・算出している場合において、振動ばく露限界時間が当該測定・算出値の最大値に対応したものとなるときは、この限りでないこと。

なお、この場合であっても1日のばく露時間を4時間以下とすることが望ましいこと。

エ 使用するチェーンソーの「周波数補正振動加速度実効値の3軸合成値」が把握できないものは、類似のチェーンソーの「周波数補正振動加速度実効値の3軸合成値」aを参考に振動ばく露限界時間を算出し、これが2時間を超える場合には、1日の振動ばく露時間を2時間以下のできる限り短時間とすること。

(3) チェーンソーによる一連続の振動ばく露時間は、10分以内とすること。

(4) 事業者は、作業開始前に、(2)ウ及びエに基づき使用するチェーンソーの1日当たりの振動ばく露限界時間から、1日当たりの振動ばく露時間を定め、これに基づき、具体的なチェーンソーを用いた作業の計画を作成し、書面等により労働者に示すこと。

なお、事業者は、同一労働者が1日に複数のチェーンソー等の振動工具を使用する場合には、個々の工具ごとの「周波数補正振動加速度実効値の3軸合成値」等から、次式により当該労働者の日振動ばく露量A(8)を求めること。

日振動ばく露量 A(8)=ahv(rms)√(Tv/8)[m/s2

(ahv(rms)iはi番目の作業の3軸合成値、Tiはi番目の作業のばく露時間、nは作業の合計数、Tvはn個の作業の合計ばく露時間)

(5) 大型の重いチェーンソーを用いる場合は、1日の振動ばく露時間及び一連続の振動ばく露時間を更に短縮すること。

4 チェーンソーの使用上の注意

(1) 下草払い、小枝払い等は、手鋸、手おの等を用い、チェーンソーの使用をできる限り避けること。

(2) チェーンソーを無理に木に押しつけないよう努めること。また、チェーンソーを持つときは、ひじや膝を軽く曲げて持ち、かつ、チェーンソーを木にもたせかけるようにして、チェーンソーの重量をなるべく木で支えさせるようにし、作業者のチェーンソーを支える力を少なくすること。

(3) 移動の際はチェーンソーの運転を止め、かつ、使用の際には高速の空運転を極力避けること。

5 作業上の注意

(1) 雨の中の作業等、作業者の身体を冷やすことは、努めて避けること。

(2) 防振及び防寒に役立つ厚手の手袋を用いること。

(3) 作業中は軽く、かつ、暖かい服を着用すること。

(4) 寒冷地における休憩は、できる限り暖かい場所でとるよう心掛けること。

(5) エンジンを掛けている時は、耳栓等を用いること。

6 体操等の実施

筋肉の局部的な疲れをとり、身体の健康を保持するため、作業開始前、作業間及び作業終了後に、首、肩の回転、ひじ、手、指の屈伸、腰の曲げ伸ばし、腰の回転を主体とした体操及びマッサージを毎日行うこと。

7 通勤の方法

通勤は、身体が冷えないような方法をとり、オートバイ等による通勤は、できる限り避けること。

8 その他

(1) 適切な作業計画を樹立し、これに見合う人員を配置すること。

(2) 目立ての機材を備え付けるようにすること。

(3) ソーチェーンの目立て、チェーンソーの点検・整備、日振動ばく露量A(8)に基づくチェーンソーの適正な取扱いについての教育を行うこと。

(4) 暖房を設けた休憩小屋等を設置すること。

(5) 防振手袋、耳栓等の保護具を支給すること。

第2 労働者の措置

労働者は、第1の1から8までに掲げる事項を遵守するとともに、振動障害の予防のため事業者が講ずる措置に協力するように努めること。

(別紙)

(別添2)

○チェーンソー以外の振動工具の取扱い業務に係る振動障害予防対策指針について

(平成21年7月10日)

(基発0710第2号)

(都道府県労働局長あて厚生労働省労働基準局長通知)

(公印省略)

チェーンソー以外の振動工具の適切な取扱い等による振動障害の予防については、昭和50年10月20日付け基発第608号「チエンソー以外の振動工具の取扱い業務に係る振動障害の予防について」の別添「チエンソー以外の振動工具の取扱い業務に係る振動障害予防対策指針」等により推進してきたが、振動の周波数、振動の強さ、振動ばく露時間により、手腕への影響を評価し、振動障害予防対策を講ずることが有効であること等を踏まえて、今般、国際標準化機構(ISO)等が取り入れている「周波数補正振動加速度実効値の3軸合成値」及び「振動ばく露時間」で規定される1日8時間の等価振動加速度実効値(日振動ばく露量A(8))の考え方等に基づく対策を推進するため、別紙のとおり、「チェーンソー以外の振動工具の取扱い業務に係る振動障害予防対策指針」を定めることとしたところである。

貴局においても、本指針に基づく取組について、関係事業者に対する指導等に遺憾なきを期されたい。

なお、本通達をもって、昭和50年10月20日付け基発第608号「チエンソー以外の振動工具の取扱い業務に係る振動障害の予防について」は廃止する。

別紙

チェーンソー以外の振動工具の取扱い業務に係る振動障害予防対策指針

1 対象業務の範囲

この指針は、次の業務を対象とするものであること。

(1) ピストンによる打撃機構を有する工具を取り扱う業務

(2) エンジンカッター等の内燃機関を内蔵する工具で、可搬式のもの(チェーンソーを除く。)を取り扱う業務

(3) 携帯用の皮はぎ機等の回転工具を取り扱う業務((5)の業務を除く。)

(4) 携帯用のタイタンパー等の振動体内蔵工具を取り扱う業務

(5) 携帯用研削盤、スイング研削盤その他手で保持し、又は支えて操作する型式の研削盤(使用する研削といしの直径(製造時におけるものをいう。以下同じ。)が150mmを超えるものに限る。)を取り扱う業務(金属、石材等を研削し、又は切断する業務に限る。)

(6) 卓上用研削盤又は床上用研削盤(使用するといしの直径が150mmを超えるものに限る。)を取り扱う業務(鋳物のばりとり又は溶接部のはつりをする業務に限る。)

(7) 締付工具を取り扱う業務

(8) 往復動工具を取り扱う業務

なお、(1)から(8)までに掲げる業務で使用されるチェーンソー以外の具体的な振動工具(以下「振動工具」という。)は別紙1のとおりであること。

2 振動工具の選定基準

(1) 1の(1)から(8)まで((6)を除く。)に掲げる業務に用いられる工具を使用する際は、次の要件に適合しているものを選定すること。

ア 振動

(ア) 振動ができるだけ小さいものであること。

(イ) 使用に伴って作用点から発生する振動が、発生部分以外の部分へ伝達しにくいものであること。

(ウ) 次の要件に適合するハンドル又はレバー(以下「ハンドル等」という。)が取り付けられているものであること。

a そのハンドル等のみを保持して作業を行うことができるものであること。

b 適正な角度に取り付けられており、通常の使用状態で手指及び手首に無理な力をかける必要がないものであること。

c 工具の重心に対し、適正な位置に取り付けられているものであること。

d 防振ゴム等の防振材料を介して工具に取り付けられているものであることが望ましいこと。

e にぎり部は、作業者の手の大きさ等に応じたものであること。

f にぎり部は、厚手で軟質のゴム等の防振材料で覆われているものであることが望ましいこと。

イ 重量等

(ア) エンジンカッター、携帯用研削盤その他手で保持し、かつ、その重量を身体で支えながら使用する振動工具については、軽量のものであること。

(イ) 作業に必要とする大部分の推力が機械力又はその自重で得られるものであること。

(ウ) エアーホース又はコードは、適正な位置及び角度に取り付けられているものであること。

なお、エアーホースの取付部は、自在型のものであることが望ましいこと。

ウ 騒音

圧縮空気を動力源とし、又は内燃機関を内蔵する振動工具については、吸排気に伴って発生する騒音を軽減するためのマフラーが装着されているものであること。

エ 排気の方向

圧縮空気を動力源とし、又は内燃機関を内蔵する振動工具は、作業者が直接マフラーからの排気にさらされないものであること。

(2) 1の(6)に規定する振動工具を使用しようとするときは、振動加速度ができるだけ小さいものとするとともに、加工の方法、被加工物の大きさ等に適合している支持台(ワークレスト)が取り付けられているものを選定すること。

3 振動作業の作業時間の管理

(1) 振動業務とこれ以外の業務を組み合わせて、振動業務に従事しない日を設けるように努めること。

(2) 使用する振動工具の「周波数補正振動加速度実効値の3軸合成値」を、振動工具への表示、取扱説明書、製造者等のホームページ等により把握し、当該値及び1日当たりの振動ばく露時間から、次式、別紙2の表等により日振動ばく露量A(8)を求め、次の措置を講ずること。

日振動ばく露量 A(8)=a×√(T/8)[m/s2

(a[m/s2]は周波数補正振動加速度実効値の3軸合成値、T[時間]は1日の振動ばく露時間)

ア 日振動ばく露量A(8)が、日振動ばく露限界値(5.0m/s2)を超えることがないよう振動ばく露時間の抑制、低振動の振動工具の選定等を行うこと。

イ 日振動ばく露量A(8)が、日振動ばく露限界値(5.0m/s2)を超えない場合であっても日振動ばく露対策値(2.5m/s2)を超える場合には振動ばく露時間の抑制、低振動の振動工具の選定等の対策に努めること。

ウ 日振動ばく露限界値(5.0m/s2)に対応した1日の振動ばく露時間(以下「振動ばく露限界時間」TLという。)を次式、別紙2の表等により算出し、これが2時間を超える場合には、当面、1日の振動ばく露時間を2時間以下とすること。

振動ばく露限界時間 TL=200/a2[時間]

(a[m/s2]は周波数補正振動加速度実効値の3軸合成値)

ただし、振動工具の点検・整備を、製造者又は輸入者が取扱説明書等で示した時期及び方法により実施するとともに、使用する個々の振動工具の「周波数補正振動加速度実効値の3軸合成値」aを、点検・整備の前後を含めて測定・算出している場合において、振動ばく露限界時間が当該測定・算出値の最大値に対応したものとなるときは、この限りでないこと。

なお、この場合であっても1日のばく露時間を4時間以下とすることが望ましいこと。

エ 使用する振動工具の「周波数補正振動加速度実効値の3軸合成値」が把握できないものは、類似の振動工具の「周波数補正振動加速度実効値の3軸合成値」aを参考に振動ばく露限界時間を算出し、これが2時間を超える場合には、1日の振動ばく露時間を2時間以下のできる限り短時間とすること。

(3) 作業の性格上、同一の作業者が同一現場で連続して作業を行うことが不可欠である場合でかつ日振動ばく露量が5.0m/s2を超える場合には、1週間の作業の計画を作成した上で、振動ばく露を1日8時間5日(週40時間)として算出し、日振動ばく露量A(8)を5.0m/s2以下とする1日のばく露許容時間としてもやむを得ないこと。

(4) 事業者は、作業開始前に、(2)ウ及びエに基づき使用する振動工具の1日当たりの振動ばく露限界時間から、1日当たりの振動ばく露時間を定め、これに基づき、具体的な振動工具を用いた作業の計画を作成し、書面等により労働者に示すこと。

なお、事業者は、同一労働者が1日に複数の振動工具(チェーンソーを含む。)を使用する場合には、個々の振動工具(チェーンソーを含む。)ごとの「周波数補正振動加速度実効値の3軸合成値」等から、次式により当該労働者の日振動ばく露量A(8)を求めること。

日振動ばく露量 A(8)=ahv(rms)√(Tv/8)[m/s2

(ahv(rms)iはi番目の作業の3軸合成値、Tiはi番目の作業のばく露時間、nは作業の合計数、Tvはn個の作業の合計ばく露時間)

(5) 1の(1)に掲げる業務のうち、金属又は岩石のはつり、かしめ、切断、鋲打及び削孔の業務については、一連続の振動ばく露時間の最大は、おおむね10分以内とし、一連続作業の後5分以上の休止時間を設けること。また、作業の性質上、ハンドル等を強く握る場合又は工具を強く押さえる場合には、一連続の振動ばく露時間を短縮し、かつ、休止時間の延長を図ること。

(6) 1の(2)から(8)までの業務について、一連続の振動ばく露時間の最大は、おおむね30分以内とし、一連続作業の後5分以上の休止時間を設けること。

4 工具の操作時の措置

(1) 工具の操作方法

ア ハンドル等以外の部分は、持たないこと。

イ ハンドル等は、過度に強く握らず、かつ、強く押さないこと。

ウ さく岩機等により削孔、掘さく、はつり等を行うとき(特に、削孔の開始時)は、たがねを手で保持しないこと。

なお、作業の性質上、たがねを固定する必要がある場合は、適切な補助具を用いること。

また、下向きの削孔、掘さく等を行うときは、軽くひじを曲げできるだけ力を抜いて工具を保持するようにすること。

(2) 作業方法

ア ハンドル等を過度に強く握る作業方法、手首に強く力を入れる作業方法、腕を強く曲げて工具の重量を支える作業方法等の筋の緊張を持続させるような作業方法は避けること。

イ 肩、腹、腰等手以外の部分で工具を押す等工具の振動が直接身体に伝わる作業方法は、避けること。

ウ 振動工具を使用する労働者が、当該振動工具の排気を直接吸い込むおそれのある作業方法は、避けること。

(3) 振動工具の支持

振動工具の重量を手で支えて使用する工具は、できる限りアーム、支持台、スプリングバランサー、カウンターウエイト等により支持すること。

(4) 被加工物の支持について

1の(6)に掲げる業務を行うときは、できる限り被加工物をワークレストで支えて研削すること。

5 たがね等の選定及び管理

たがね、カッター等は、加工の目的、被加工物の性状等に適合したものを選定し、かつ、適切に整備されたものを使用すること。

なお、適切な整備のためには、集中的な管理が望ましいこと。

6 圧縮空気の空気系統に係る措置

(1) 送気圧を示す圧力計をホースの分岐部付近に取り付け、定められた空気圧の範囲内で振動工具を使用すること。

(2) 配管に、適切なドレン抜きを取り付け、必要に応じて圧縮空気のドレンを排出すること。

7 点検・整備

(1) 振動工具を製造者又は輸入者が取扱説明書等で示した時期及び方法により定期的に点検・整備し、常に最良の状態に保つようにすること。

(2) 振動工具を有する事業場については「振動工具管理責任者」を選任し、振動工具の点検・整備状況を定期的に確認するとともに、その状況を記録すること。

8 作業標準の設定

振動工具の取扱い及び整備の方法並びに作業の方法について、適正な作業標準を具体的に定めること。

9 施設の整備

(1) 休憩設備等

ア 屋内作業の場合には、適切な暖房設備を有する休憩室を設けること。

イ 屋外作業の場合には、有効に利用することができる休憩の設備を設け、かつ、暖房の措置を講ずること。

ウ 手洗等のため温水を供給する措置を講ずることが望ましいこと。

(2) 衣服等の乾燥設備

湧水のある坑内等において衣服が濡れる作業を行う場合には、衣服を乾燥するための設備の設置等の措置を講ずること。

10 保護具の支給及び使用

(1) 防振保護具

軟質の厚い防振手袋等を支給し、作業者に使用させること。

(2) 防音保護具

90dB(A)以上の騒音を伴う作業の場合には、作業者に耳栓又は耳覆いを支給し、使用させること。

11 体操の実施

作業開始時及び作業終了後に手、腕、肩、腰等の運動を主体とした体操を行うこと。なお、体操は、作業中も随時行うことが望ましいこと。

12 健康診断の実施及びその結果に基づく措置

昭和49年1月28日付け基発第45号「振動工具(チエンソー等を除く。)の取扱い等の業務に係る特殊健康診断について」、昭和50年10月20日付け基発第609号「振動工具の取扱い業務に係る特殊健康診断の実施手技について」及び昭和50年10月20日付け基発第610号「チエンソー取扱い業務に係る健康管理の推進について」の別添「チエンソー取扱い業務に係る健康管理指針」に基づき健康診断の実施及び適切な健康管理を行うこと。

13 安全衛生教育の実施

作業者を新たに振動業務に就かせ、又は作業者の取り扱う振動工具の種類を変更したときは、当該作業者に対し、振動が人体に与える影響、日振動ばく露量A(8)に基づく振動ばく露限界時間等の工具の適正な取扱い及び管理方法についての教育を行うこと。

(別紙1)

チェーンソー以外の振動工具の取扱い業務に係る振動障害予防対策指針対象工具

(1) ピストンによる打撃機構を有する工具(①さく岩機、②チッピングハンマー、③リベッティングハンマー、④コーキングハンマー、⑤ハンドハンマー、⑥ベビーハンマー、⑦コンクリートブレーカー、⑧スケーリングハンマー、⑨サンドランマー、⑩ピックハンマー、⑪多針タガネ、⑫オートケレン、⑬電動ハンマー)

(2) 内燃機関を内蔵する工具(可搬式のもの)(①エンジンカッター、②ブッシュクリーナー)

(3) 携帯用皮はぎ機等の回転工具((5)を除く。)(①携帯用皮はぎ機、②サンダー、③バイブレーションドリル)

(4) 携帯用タイタンパー等の振動体内蔵工具(①携帯用タイタンパー、②コンクリートバイブレーター)

(5) 携帯用研削盤、スイング研削盤その他手で保持し、又は支えて操作する型式の研削盤(使用する研削といしの直径が150mmを超えるものに限る。)

(6) 卓上用研削盤又は床上用研削盤(使用するといしの直径が150mmを超えるものに限る。)

(7) 締付工具(①インパクトレンチ)

(8) 往復動工具(①バイブレーションシャー、②ジグソー)

(別紙2)

(別添3)

○振動工具の「周波数補正振動加速度実効値の3軸合成値」の測定、表示等について

(平成21年7月10日)

(基発0710第3号)

(都道府県労働局長あて厚生労働省労働基準局長通知)

(公印省略)

振動障害の予防については、昭和50年10月20日付け基発第608号「チエンソー以外の振動工具の取扱い業務に係る振動障害の予防について」の別添「チエンソー以外の振動工具の取扱い業務に係る振動障害予防対策指針」及び昭和50年10月20日付け基発第610号「チエンソー取扱い業務に係る健康管理の推進について」の別添2「チエンソー取扱い作業指針」等により推進してきたが、振動の周波数、振動の強さ、振動ばく露時間により、手腕への影響を評価し、振動障害予防対策を講ずることが有効であること等を踏まえて、今般、国際標準化機構(ISO)等が取り入れている「周波数補正振動加速度実効値の3軸合成値」及び「振動ばく露時間」で規定される1日8時間の等価振動加速度実効値(日振動ばく露量A(8))の考え方等に基づく対策を推進することとし、平成21年7月10日付け基発0710第1号及び同日付け基発0710第2号により上記作業指針の改正等を行ったところである。

これらの対策を労働者に振動工具を使用させる事業者が実施するためには、振動工具の製造事業者等が、「周波数補正振動加速度実効値の3軸合成値」の測定、表示等を行うことが必要であることから、上記作業指針で示したチェーンソー及びチェーンソー以外の振動工具で、労働者が取り扱うものについては、別添により関係業界団体に対して要請を行ったところであるが、貴局においても、上記指針に示したチェーンソー及びチェーンソー以外の振動工具を製造し、又は輸入する事業者等に対して、下記について取り組むよう、指導等に遺憾なきを期されたい。

なお、昭和63年1月8日付け基発第11号「手持動力工具(チェーンソーを除く。)の工具振動レベル測定方法について」は廃止する。

1 「周波数補正振動加速度実効値の3軸合成値」の測定・算出

振動工具について、「周波数補正振動加速度実効値の3軸合成値」を以下に示すところにより測定・算出すること。

(1) 測定方法等

振動加速度の測定(以下「振動測定」という。)は、「JISB7762」(ISO8662)、「ISO22867」、「EN60745」又は「EN50144」の順によるべき測定規格を検討し、下記に留意の上、測定すること。

これらの測定規格によりがたい場合は、「JISB7761―2」に準拠した振動測定とすること。

なお、これらを踏まえた振動工具ごとのよるべき測定規格は別紙1のとおりであること。

ア 「JISB7762」による振動測定

「JISB7762」には、単軸(直交3軸のうちZ軸又は優先軸(3軸のうち最大の振動値を示す軸をいう。))での測定を規定している箇所があるが、3軸同時測定を行い、振動合成値を求めること。ただし、3軸同時測定が困難な場合、同一測定条件で3軸を順次測定して得た値から振動合成値を求めることも可能であること。

また、ISO8662等に基づいて単軸測定した測定データが既にある振動工具については、当該単軸値に1.7を乗ずる換算により周波数補正振動加速度実効値の3軸合成値の相当値を求めることも可能であること。

なお、当該値を取扱説明書、ホームページ等で公開する場合は、単軸値に1.7を乗じた値であることなどを明記すること。

イ 「ISO22867」による振動測定

エンジンチェーンソー及びブッシュクリーナーについては、ISO22867:2004により振動測定を行うこと。

排気量40立方センチメートル以上のエンジンチェーンソーについては、チェーンソーの規格(昭和52年労働省告示第85号)により振動測定の方法が示されているが、排気量40立方センチメートル未満のチェーンソーを含めて当該方法による振動加速度の最大値を求めるために行った周波数分析の測定データ等から換算し周波数補正振動加速度実効値の3軸合成値の相当値を求めることも可能であること。(別紙2参照)

なお、当該値を取扱説明書、ホームページ等で公開する場合は、チェーンソーの規格による測定データの換算値であることなどを明記すること。

ウ 「JISB7761―2」による振動測定

「JISB7761―2」による測定方法の場合、「JISB7761―2:2004」(手腕振動系―第2部:作業場における実務的測定方法)に従い振動測定を行うこと。

なお、当該値を取扱説明書、ホームページ等で公開する場合は、「JISB7761―2:2004」の「9.報告すべき情報」に規定する項目等を明記すること。

エ 測定器

振動測定に用いる測定器は、「JISB7761―1:2004」、「JISB7761―3:2007」(ISO8041:2005、ISO5349―1:2001)の要求事項を満たすことが必要であること。

なお、1/3オクターブ分析が行える測定器で3軸同時に、又は順次測定し、JISB7761―3:2007に規定する周波数補正を行って、周波数補正振動加速度実効値を得ることも可能であること。

(2) 周波数補正

振動が手腕に与える影響は、周波数によって、その度合いが異なることから、周波数に応じて、その影響を補正する手腕振動補正を、「ISO5349―1:2001」及び「JISB7761―3:2007」により行うこと。ただし、測定に、「JISB7761―1:2004」(ISO8041:2005)、「JISB7761―3:2007」(ISO5349―1:2001)の規定を満たす手腕振動計を使用する場合、得られる振動値は、周波数補正を含んだものであり、改めて補正する必要はないこと。

(3) 周波数補正振動加速度実効値の3軸合成値

周波数補正振動加速度実効値の3軸(X軸、Y軸、Z軸)の合成値を式①により求めること。ただし、振動測定に、「JISB7761―1:2004」(ISO8041:2005)、「JISB7761―3:2007」(ISO5349―1:2001)の規定を満たす手腕振動計を使用し、3軸同時測定を行う場合は、表示値が3軸合成値であること。

ahv=√(a2hwx+a2hwy+a2hwz)・・・・・・①

ahwx、ahwy、ahwzは、それぞれX軸、Y軸、Z軸の周波数補正振動加速度実効値

2 表示等

(1) 振動工具本体への表示

「周波数補正振動加速度実効値の3軸合成値」を振動工具に表示すること。ただし、「周波数補正振動加速度実効値の3軸合成値」が2.5m/s2未満である場合は、その旨を記すことでも足りるものであること。

チェーンソーについては、チェーンソーの規格第4条の規定に基づく表示に加えて3軸合成値を表示すること。

(2) 取扱説明書等への記載

ア 振動工具を使用する事業者に渡す振動工具の取扱説明書、カタログ、ホームページ等に次の事項を明記すること。ただし、(ア)に掲げる事項について、「周波数補正振動加速度実効値の3軸合成値」が2.5m/s2未満である場合は、その旨を記すことでも足りるものであること。

(ア) 周波数補正振動加速度実効値の3軸合成値

(イ) 振動測定の準拠規格

(ウ) (ア)の3軸合成値が3軸測定により得た振動合成値でない場合にあっては、その値を得た根拠

(エ) 振動測定が「JISB7761―2:2004」による場合にあっては、測定方法・条件等及び「JISB7761―2:2004」の「9.報告すべき情報」に規定する項目

(オ) 振動工具の重量

イ アの(ア)から(オ)までに掲げる事項のほか、振動工具の使用者が適切に日振動ばく露量A(8)に基づく対策を講ずることができるよう、1日当たりの振動ばく露限界時間の算出方法等の説明を記載し、又は算出方法等を記したパンフレットを添付すること。

3 点検・整備等の時期等の表示

振動工具について、製造時の振動加速度レベルを劣化させないための点検・整備について、その具体的な時期、その対象となる工具の状態、その方法等を、振動工具の取扱説明書、カタログ、ホームページ等により示すこと。

(別紙1)

対象工具

適用される測定規格

1

チェーンソー

ISO 22867:2004

林業機械―内燃機関をもつ可搬形手持ち機械のための振動試験コード―ハンドルでの振動【内燃】

EN 60745―2―13

chain saws【電気】

2

ピストンによる打撃機構を有する工具

さく岩機

JIS B7762―3:2006

手持ち可搬形動力工具―ハンドルにおける振動測定方法―第3部:ロックドリル及びロータリハンマ【電気・空気圧・油圧・内燃】

EN 60745―2―6

hammers【電気】

 

チッピングハンマー

JIS B7762―2:2006

手持ち可搬形動力工具―ハンドルにおける振動測定方法―第2部:チッピングハンマ及びリベッティングハンマ【電気・空気圧・油圧・内燃】

EN 60745―2―6

hammers【電気】

 

 

リベッティングハンマー

JIS B7762―2:2006

手持ち可搬形動力工具―ハンドルにおける振動測定方法―第2部:チッピングハンマ及びリベッティングハンマ【電気・空気圧・油圧・内燃】

EN 60745―2―6

hammers【電気】

 

 

コーキングハンマー

JIS B7762―2:2006

手持ち可搬形動力工具―ハンドルにおける振動測定方法―第2部:チッピングハンマ及びリベッティングハンマ【電気・空気圧・油圧・内燃】

EN 60745―2―6

hammers【電気】

 

 

ハンドハンマー

JIS B7762―2:2006

手持ち可搬形動力工具―ハンドルにおける振動測定方法―第2部:チッピングハンマ及びリベッティングハンマ【電気・空気圧・油圧・内燃】

EN 60745―2―6

hammers【電気】

 

 

ベビーハンマー

JIS B7762―2:2006

手持ち可搬形動力工具―ハンドルにおける振動測定方法―第2部:チッピングハンマ及びリベッティングハンマ【電気・空気圧・油圧・内燃】

EN 60745―2―6

hammers【電気】

 

 

コンクリートブレーカー

JIS B7762―5:2006

手持ち可搬形動力工具―ハンドルにおける振動測定方法―第5部:舗装ブレーカ及び建設作業用ハンマ【電気・空気圧・油圧・内燃】

EN 60745―2―6

hammers【電気】

 

 

スケーリングハンマー

JIS B7762―2:2006

手持ち可搬形動力工具―ハンドルにおける振動測定方法―第2部:チッピングハンマ及びリベッティングハンマ【電気・空気圧・油圧・内燃】

EN 60745―2―6

hammers【電気】

 

 

サンドランマー

JIS B7762―9:2006

手持ち可搬形動力工具―ハンドルにおける振動測定方法―第9部:ランマ【動力源の規定なし】

EN 60745―2―6

hammers【電気】

 

 

ビックハンマー

JIS B7762―5:2006

手持ち可搬形動力工具―ハンドルにおける振動測定方法―第5部:舗装ブレーカ及び建設作業用ハンマ【電気・空気圧・油圧・内燃】

EN 60745―2―6

hammers【電気】

 

 

多針タガネ

JIS B7762―14:2006

手持ち可搬形動力工具―ハンドルにおける振動測定方法―第14部:石工工具及び多針たがね【空気圧又は油圧】

EN 60745―2―6

hammers【電気】

 

 

オートケレン

JIS B7762―2:2006

手持ち可搬形動力工具―ハンドルにおける振動測定方法―第2部:チッピングハンマ及びリベッティングハンマ【電気・空気圧・油圧・内燃】

EN 60745―2―6

hammers【電気】

 

 

電動ハンマー

JIS B7762―5:2006

手持ち可搬形動力工具―ハンドルにおける振動測定方法―第5部:舗装ブレーカ及び建設作業用ハンマ【電気・空気圧・油圧・内燃】

EN 60745―2―6

hammers【電気】

3

内燃機関を内蔵する工具(可搬式のもの)

エンジンカッター

JIS B7762―12:2006

手持ち可搬形動力工具―ハンドルにおける振動測定方法―第12部:往復動作ののこぎり及びやすり並びに揺動又は回転動作ののこぎり【動力源の規定なし】

 

 

 

ブッシュクリーナー

ISO 22867:2004

林業機械―内燃機関をもつ可搬形手持ち機械のための振動試験コード―ハンドルでの振動【内燃】

 

 

4

回転工具

携帯用皮はぎ機

JIS B7761―2:2004

作業場における実務的測定方法

 

 

 

 

サンダー

JIS B7762―8:2006

手持ち可搬形動力工具―ハンドルにおける振動測定方法―第8部:ポリッシャ及びロータリ並びにオービタル及びランダムオービクルサンダ【空気圧又は他の手段】

EN 60745―2―3

grinders,polishers and disk-type sanders【電気】

 

 

 

 

 

EN 60745―2―4

Sanders and polishers other than disk-type【電気】

 

 

バイブレーションドリル

JIS B7762―6:2006

手持ち可搬形動力工具―ハンドルにおける振動測定方法―第6部:インパクトドリル【動力源の規定なし】

EN 60745―2―1

drills and impact drills【電気】

5

振動体内蔵工具

携帯用タイタンバー

JIS B7762―9:2006

手持ち可搬形動力工具―ハンドルにおける振動測定方法―第9部:ランマ【動力源の規定なし】

 

 

 

 

コンクリートバイブレーター

EN 60745―2―12

concrete vibrators【電気】

JIS B7761―2:2004

作業場における実務的測定方法

6

携帯用研削盤(使用するといしの直径が150mmを超えるもの)

JIS B7762―4:2006

手持ち可搬形動力工具―ハンドルにおける振動測定方法―第4部:グラインダ【空気圧又は他の手段】

EN 60745―2―3

grinders,polishers and disk-type sanders【電気】

 

スイング研削盤(使用するといしの直径が150mmを超えるもの)

JIS B7761―2:2004

作業場における実務的測定方法

 

 

7

卓上用研削盤又は床上式研削盤(使用するといしの直径が150mmを超えるもの)

JIS B7761―2:2004

作業場における実務的測定方法

 

 

8

締付工具

インパクトレンチ

JIS B7762―7:2006

手持ち可搬形動力工具―ハンドルにおける振動測定方法―第7部:インパクト、インパルス又はラチェット動作のレンチ、スクリュードライバ及びナットランナ【空気圧又は油圧】

EN 60745―2―2

screwdrivers and impact wrenches【電気】

9

往復動工具

バイブレーションシャー

JIS B7762―10:2006

手持ち可搬形動力工具―ハンドルにおける振動測定方法―第10部:ニブラ及びシャー【空気圧又は油圧】

EN 60745―2―8

shears and nibblers【電気】

 

 

ジグソー

JIS B7762―12:2006

手持ち可搬形動力工具―ハンドルにおける振動測定方法―第12部:往復動作ののこぎり及びやすり並びに振動又は回転動作ののこぎり【動力源の規定なし】

EN 60745―2―11

reciprocating saws(jig and sabre saws)【電気】