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○治験薬の製造管理、品質管理等に関する基準(治験薬GMP)について

(平成20年7月9日)

(薬食発第0709002号)

(各都道府県知事あて厚生労働省医薬食品局長通知)

治験薬を製造する際に遵守すべき適切な製造管理及び品質管理の方法並びに必要な構造設備に関する事項については、医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令(平成9年厚生省令第28号)第17条第1項及び第26条の3の規定を踏まえ、平成9年3月31日付け薬発第480号厚生省薬務局長通知「治験薬の製造管理及び品質管理基準及び治験薬の製造施設の構造設備基準(治験薬GMP)について」(以下「旧治験薬GMP通知」という。)及び平成9年5月20日付け薬監第70号厚生省薬務局監視指導課長通知「「治験薬の製造管理及び品質管理基準」及び「治験薬の製造施設の構造設備基準」(治験薬GMP)の運用について」(以下「運用通知」という。)を定め、その適切な運用を図ってきたところである。

今般、早期探索的段階を含め、治験の特性を考慮し、治験の各段階に応じた治験薬の品質保証が可能となるよう、別添のとおり治験薬の製造管理、品質管理等に関する基準(治験薬GMP)に改め、下記により取り扱うこととしたので、貴管下関係業者に対し周知方御配慮願いたい。

1.本治験薬GMPは、平成20年8月1日以降に届出のあった治験の計画に使用する治験薬であって、同日以降に製造されるものについて適用するものとすること。なお、本通知の発出日以降、本治験薬GMPに定めた事項のうち可能なものから順次実施することは差し支えないこと。ただし、平成21年7月1日までは、従前の例によることができること。

2.本通知の適用に伴い、旧治験薬GMP通知及び運用通知を廃止すること。

(別添)

治験薬の製造管理、品質管理等に関する基準(治験薬GMP)

第1 総則

1.目的

本基準は、「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令」(平成9年厚生省令第28号。以下「GCP省令」という。)第17条第1項及び第26条の3に規定される治験薬を製造する際に遵守すべき適切な製造管理及び品質管理の方法並びに必要な構造設備に係る事項を定めるものであり、その目的は次に掲げるものである。

1.1 治験薬の品質を保証することで、不良な治験薬から被験者を保護すること。

1.2 治験薬のロット内及びロット間の均質性を保証することで、臨床試験の信頼性を確保すること。

1.3 治験薬が開発候補として絞り込まれた段階においては、当該治験薬と市販後製品の一貫性を、治験薬の製造方法及び試験方法が確立した段階においては、当該治験薬と市販後製品の同等性を保証することで、市販後製品の有効性及び安全性並びに臨床試験の適切性を確保すること。

2.適用範囲

2.1 本基準は、GCP省令第17条第1項の規定に基づき治験依頼者が実施すべき事項及び第26条の3の規定に基づき自ら治験を実施する者が実施すべき事項を定めたものであり、GCP省令に基づき実施される治験に用いる治験薬に適用されること。

2.2 本基準は、治験薬を製造する施設(以下「治験薬製造施設」という。)が海外にある場合においても適用されるものであること。

2.3 本基準は、GCP省令第17条第1項又は第26条の3が適用となる治験に用いる治験薬の製造について適用されるものであり、当該治験薬が承認された後に「医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令」(平成16年厚生省令第179号。以下「GMP省令」という。)が適用されるかどうかによるものではないこと。

2.4 GCP省令に規定する自ら治験を実施する場合については、本基準の「治験依頼者」を「自ら治験を実施する者」に、「第24条第3項」を「第26条の10第3項」に読み替えて適用する。

3.基本的考え方

3.1 治験薬の製造管理及び品質管理に求められる要件は、開発の進展に連動すべきものであり、また、同一の臨床段階においても、多岐に渡る臨床試験の目的や方法により求められる事項の程度に差異がありうる場合が想定されることから、一律的に規定することは困難である。本基準は、臨床試験の各段階における要件を区別して規定するものではないが、臨床試験を有効かつ適正に実施するためにも、開発に伴う段階的な状況やリスクを考慮して、適切だと判断される要件については柔軟に運用すること。また、本基準が医薬品開発の重要な期間に対して適用されることから、製品ライフサイクルを見据えた品質マネジメントの一環として活用することが望ましい。

3.2 被験者の保護及び臨床試験の信頼性の確保のために、治験薬の製造管理及び品質管理に係る全ての記録について、後日の確認が取れるように保存すること。

3.3 治験薬が開発候補として絞り込まれた段階においては、被験者の保護及び臨床試験の信頼性の確保に加えて、治験薬と市販後製品との一貫性・同等性を示す根拠として、また、治験薬の設計品質及び製品品質の確立の根拠として、開発段階における全ての変更を管理し、文書化し、記録として保存すること。

3.4 治験薬の製造施設の構造設備については、治験薬の製造スケール等、開発と共に大きく変更されることが必然である一方、開発に伴って製造方法や試験方法等のデータが蓄積されていくことから、開発段階に応じたより適切な管理が求められる。その観点から、治験薬の製造施設の構造設備として、開発段階を考慮しない一律的な要件は不適切であると考えられることから、開発の最終段階に相当する医薬品の製造販売承認の要件及び医薬品の製造業許可の要件として求められる製造所の構造設備を認識した上で、必要な対応を図ること。

4.定義

4.1 この基準で「被験薬」とは、GCP省令第2条第5項に定める被験薬をいう。

4.2 この基準で「治験薬」とは、GCP省令第2条第7項に定める治験薬をいう。

4.3 この基準で「治験薬の品目」とは、一つの承認申請のために行われる治験に使用される治験薬の品目をいう。

4.4 この基準で「資材」とは、治験薬の容器、被包並びに容器及び被包に貼付するラベルをいう。

4.5 この基準で「ロット」とは、一の製造期間内に一連の製造工程により均質性を有するように製造された治験薬(製造の中間工程で造られたものであって、以後の製造工程を経ることによって治験薬となるものを含む。)及び原料の一群をいう。

4.6 この基準で「管理単位」とは、同一性が確認された資材の一群をいう。

4.7 この基準で「バリデーション」とは、治験薬製造施設の製造設備並びに手順、工程その他の治験薬の製造管理及び品質管理の方法(以下「製造手順等」という。)が期待される結果を与えることを検証し、これを文書とすることをいう。通常、製造方法や試験方法が確立し、再現性も考慮した繰り返しが必要な場合に行う。

4.8 この基準で「ベリフィケーション」とは、当該治験薬に期待される品質が得られたことを手順書、計画書、記録、報告書等から確認し、これを文書とすることをいう。通常、限定された状況、限定されたロットに対して、その妥当性や適切性の評価確認のために行う。

4.9 この基準で「クオリフィケーション」とは、構造設備(例えば、設備・装置・機器・ユーティリティ等)について、計画・仕様・設計どおり適格であることを評価確認し、これを文書とすることをいう。

第2 治験薬の製造管理及び品質管理

5.治験薬製造部門及び治験薬品質部門

5.1 治験依頼者は、治験薬製造施設ごとに、治験薬の製造管理に係る部門(以下単に「治験薬製造部門」という。)及び治験薬の品質管理に係る部門(以下単に「治験薬品質部門」という。)をおかなければならない。

なお、治験依頼者は、治験薬の製造工程の全部を委託する場合でも、必要な機能を備えた部門をおかなければならない。

5.2 治験薬品質部門は、治験薬製造部門から独立していなければならない。

6.治験薬の出荷の管理

6.1 治験依頼者は、治験薬の品目ごとに、治験薬品質部門のあらかじめ指定した者に、製造管理及び品質管理の結果を適正に評価させ、治験薬の製造施設からの出荷の可否を決定させなければならない。

6.2 治験薬の出荷の可否を決定する治験薬品質部門のあらかじめ指定した者は、当該治験及び治験薬の製造管理及び品質管理について十分な教育訓練を受け、知識経験を有する者でなければならない。

7.治験薬に関する文書

7.1 治験依頼者は、治験薬の品目ごとに、成分、分量、規格及び試験方法、製造手順、治験の概要その他必要な事項について記載した治験薬に関する文書を作成し、治験薬品質部門の承認を受けるとともに、これを保管しなければならない。

7.2 7.1に規定する治験薬に関する文書は、当該治験薬の開発の進捗や新たに得られた知見等を踏まえ、適時適切に改訂されなければならない。

8.手順書等

8.1 治験依頼者は、治験薬製造施設ごとに、構造設備の衛生管理、職員の衛生管理その他必要な事項について記載した治験薬の衛生管理の手順に関する文書を作成し、これを保管しなければならない。

8.2 治験依頼者は、治験薬製造施設ごとに、治験薬等の保管、製造工程の管理その他必要な事項について記載した治験薬の製造管理の手順に関する文書を作成し、これを保管しなければならない。

8.3 治験依頼者は、治験薬製造施設ごとに、検体の採取方法、試験検査結果の判定方法その他必要な事項を記載した治験薬の品質管理の手順に関する文書を作成し、これを保管しなければならない。

8.4 治験依頼者は、8.1から8.3に定めるもののほか、治験薬の製造管理及び品質管理を適正かつ円滑に実施するため、次に掲げる手順に関する文書(以下「手順書」という。)を治験薬製造施設ごとに作成し、これを保管しなければならない。

8.4.1 治験薬製造施設からの出荷の管理に関する手順

8.4.2 バリデーション及びベリフィケーションに関する手順

8.4.3 変更の管理に関する手順

8.4.4 逸脱の管理に関する手順

8.4.5 品質等に関する情報及び品質不良等の処理に関する手順

8.4.6 回収処理に関する手順

8.4.7 自己点検に関する手順

8.4.8 教育訓練に関する手順

8.4.9 文書及び記録の管理に関する手順

8.4.10 その他製造管理及び品質管理を適正かつ円滑に実施するために必要な手順

8.5 治験依頼者は、治験薬に関する文書、治験薬の衛生管理の手順に関する文書、治験薬の製造管理の手順に関する文書、治験薬の品質管理の手順に関する文書及び手順書(以下「手順書等」と総称する。)を治験薬製造施設に備え付けなければならない。

9.治験薬の製造管理

9.1 治験依頼者は、治験薬製造部門に、手順書等に基づき次に掲げる治験薬の製造管理に係る業務を適切に行わせなければならない。

9.1.1 製造工程における指示事項、注意事項その他必要な事項を記載した治験薬の製造指図を示した文書を作成し、これを保管すること。

9.1.2 治験薬の製造指図を示した文書に基づき治験薬を製造すること。

9.1.3 治験薬の製造に関する記録をロットごと(ロットを構成しない治験薬については製造番号ごと。以下同じ。)に作成し、これを保管すること。

9.1.4 治験薬の表示及び包装についてロットごとにそれが適正である旨を確認し、その記録を作成し、これを保管すること。

9.1.5 原料及び治験薬についてはロットごとに、資材については管理単位ごとに適正に保管し、及び出納を行うとともに、その記録を作成し、これを保管すること。

9.1.6 構造設備の清浄を確認し、その記録を作成し、これを保管すること。

9.1.7 職員の衛生管理を行うとともに、その記録を作成し、これを保管すること。

9.1.8 構造設備のバリデーション又はクオリフィケーションを、必要に応じて計画し、適切に行うとともに、その記録を作成し、これを保管すること。

9.1.9 構造設備を定期的に点検整備するとともに、その記録を作成し、これを保管すること。また、計器の校正を適切に行うとともに、その記録を作成し、これを保管すること。

9.1.10 治験薬製造施設の構造設備のうち、一定の環境維持が必要な場合には、適切なモニタリングを行い、その記録を作成し、これを保管すること。

9.1.11 製造、保管及び出納並びに衛生管理に関する記録により治験薬の製造管理が適切に行われていることを確認し、その結果を治験薬品質部門に対して文書により報告すること。

9.1.12 その他必要な業務

9.2 開発の段階によって治験薬の毒性等の知見が十分に得られていない場合があるため、治験依頼者は、治験薬製造部門に、交叉汚染の防止等、治験薬に特有の必要事項に係る措置を適切に講じさせること。

10.治験薬の品質管理

10.1 治験依頼者は、治験薬品質部門に、手順書等に基づき、次に掲げる治験薬の品質管理に係る業務を計画的かつ適切に行わせなければならない。

10.1.1 原料及び治験薬についてはロットごとに、資材については管理単位ごとに試験検査を行うのに必要な検体を採取し、その記録を作成し、これを保管すること。

10.1.2 採取した検体について、ロットごと又は管理単位ごとに試験検査を行い、その記録を作成し、これを保管すること。

10.1.3 試験検査結果の判定を行い、その結果を治験薬製造部門に対して文書により報告すること。

10.1.4 9.1.11の規定により治験薬製造部門から報告された製造管理に係る確認の結果をロットごとに確認すること。

10.1.5 治験薬の製造工程の全部又は一部を他の者(以下「治験薬受託製造者」という。)に委託する場合は、当該治験薬受託製造者の治験薬製造施設の製造管理及び品質管理が適切に行われていることを確認すること。

10.1.6 治験薬品質部門のあらかじめ指定された者は、製造管理及び品質管理の結果を適正に評価して治験薬の製造施設からの出荷の可否を決定すること。

10.1.7 治験薬について、ロットごとに、その使用が計画されている臨床試験で投与が終了するまでの期間において、その品質を保証すること。なお、安定性が極めて悪い治験薬については、投与されるまでの時間を考慮し、再現性等、十分な検討を行い、治験の信頼性の確保に努めること。

10.1.8 治験薬について、ロットごとに、変更の際の比較評価試験に使用する量を勘案した上で、所定の試験に必要な量の二倍以上の量を参考品として、被験薬に係る医薬品についての製造販売承認を受ける日(GCP省令第24条第3項の規定により通知したときは、通知した日後三年を経過した日)又は治験の中止若しくは終了の後三年を経過した日のうちいずれか遅い日までの期間保存すること。ただし、ロットを構成しない治験薬及び治験薬の性質上その保存が著しく困難であるものについては、この限りでない。

10.1.9 試験検査に関する設備及び器具のバリデーション又はクオリフィケーションを、必要に応じて計画し、適切に行うとともに、その記録を作成し、これを保管すること。

10.1.10 試験検査に関する設備及び器具を定期的に点検整備するとともに、その記録を作成し、これを保管すること。また、試験検査に関する計器の校正を適切に行うとともに、その記録を作成し、これを保管すること。

10.1.11 試験検査を他の試験検査設備又は試験検査機関(以下「外部試験検査機関等」という。)を利用して実施する場合には、次の記録を作成し、これを保管すること。

10.1.11.1 当該試験検査機関等の名称

10.1.11.2 当該試験検査機関等を利用する試験検査の範囲

10.1.11.3 当該試験検査機関等を利用する期間

10.1.12 その他必要な業務

11.外部試験検査機関等の利用

11.1 治験依頼者は、外部試験検査機関等を利用する場合には、治験薬品質部門のあらかじめ指定した者が、外部試験検査機関等で試験検査が適切に実施されることを確認できるよう、当該外部試験検査機関等との間で、次に掲げる事項を取り決めておかなければならない。

11.1.1 外部試験検査機関等を利用する試験検査の範囲

11.1.2 外部試験検査機関等を利用する試験検査に関する技術的条件

11.1.3 外部試験検査機関等で適正に試験検査が実施されていることの治験依頼者による適切な確認

11.1.4 検体の運搬及び受渡し時における信頼性確保の方法

11.1.5 その他、外部試験検査機関等での試験検査の信頼性を確保するために必要な事項

11.2 治験依頼者は、治験薬品質部門のあらかじめ指定した者に、11.1.3に規定する確認を行わせ、その結果の記録を作成させ、これを保管させなければならない。

12.バリデーション及びベリフィケーション

12.1 治験依頼者は、あらかじめ指定した者に、手順書等に基づき、次に掲げる業務を行わせなければならない。

12.1.1 製造管理及び品質管理を適切に行うため、開発に伴う段階的な状況、治験の目的、リスク等を考慮し、必要なバリデーション又はベリフィケーションを適切に実施すること。

12.1.2 バリデーション及びベリフィケーションの結果を治験薬品質部門に対して文書により報告すること。

12.2 治験依頼者は、あらかじめ指定した者に、12.1.1のバリデーション又はベリフィケーションの結果に基づき、製造管理又は品質管理に関し改善が必要な場合においては、所要の措置を講じるとともに、当該措置の記録を作成させ、これを保管させなければならない。

13.変更の管理

13.1 治験依頼者は、開発段階であることから変更が頻繁に発生することを意識した上で、治験薬の製造管理及び品質管理に係る変更を行う場合においては、あらかじめ指定した者に、手順書等に基づき、次に掲げる業務を行わせなければならない。

13.1.1 製造管理及び品質管理に関連する変更の提案を受け、起こり得る品質への影響を小スケールによる実験等、科学的・客観的な手法により評価し、その評価の結果をもとに変更を行うことについて治験薬品質部門の承認を受けるとともに、その記録を作成し、これを保管すること。

13.1.2 評価した変更を行うときは、必要な文書の改訂を行い、適切な職員の教育訓練、その他所要の措置を講じること。

13.1.3 変更に伴う一連の文書(資料・記録等)については、治験薬の一貫性・同等性等を裏付ける将来の市販製品との関連を確認する必要が生じた場合のためのトレーサビリティを確保すること。

14.逸脱の管理

14.1 治験依頼者は、製造手順等からの逸脱(以下単に「逸脱」という。)が生じた場合においては、あらかじめ指定した者に、手順書等に基づき、次に掲げる業務を行わせなければならない。

14.1.1 逸脱の内容を記録すること。

14.1.2 重大な逸脱が生じた場合においては、次に掲げる業務を行うこと。

14.1.2.1 逸脱による治験薬の品質への影響を評価し、所要の措置を講じること。

14.1.2.2 14.1.2.1に規定する評価の結果及び措置について記録を作成し、保管するとともに、治験薬品質部門に対して文書により報告すること。

14.1.2.3 14.1.2.2の規定により報告された評価の結果及び措置について、治験薬品質部門の確認を受けること。

14.2 治験依頼者は、治験薬品質部門に、手順書等に基づき、14.1.2.3により確認した記録を作成させ、保管させること。

15.品質等に関する情報及び品質不良等の処理

15.1 治験依頼者は、治験薬に係る品質等に関する情報(以下「品質情報」という。)を得たときは、その品質情報に係る事項が当該治験薬製造施設に起因するものでないことが明らかな場合を除き、あらかじめ指定した者に、手順書等に基づき、次に掲げる業務を行わせなければならない。

15.1.1 当該品質情報に係る事項の原因を究明し、製造管理又は品質管理に関し改善が必要な場合には、所要の措置を講じること。

15.1.2 当該品質情報の内容、原因究明の結果及び改善措置を記載した記録を作成し、保管するとともに、治験薬品質部門に対して文書により速やかに報告すること。

15.1.3 15.1.2の報告により、治験薬品質部門の確認を受けること。

15.2 治験依頼者は、15.1.3の確認により品質不良又はそのおそれが判明した場合には、治験薬品質部門のあらかじめ指定した者に、速やかに、危害発生防止等のための回収等の所要の措置を決定させ、関係する部門に指示させること。

16.回収処理

16.1 治験依頼者は、治験薬の品質等に関する理由により回収を行うときは、その回収に至った理由が当該治験薬製造施設に起因するものでないことが明らかな場合を除き、あらかじめ指定した者に、手順に関する文書に基づき、次に掲げる業務を行わせなければならない。

16.1.1 回収に至った原因を究明し、製造管理又は品質管理に関し改善が必要な場合には、所要の措置を講じること。

16.1.2 回収した治験薬を区分して一定期間保管した後、適切に処理すること。

16.1.3 回収の内容、原因究明の結果及び改善措置を記載した回収処理記録を作成し、保管するとともに、治験薬品質部門に対して文書により報告すること。

17.自己点検

17.1 治験依頼者は、あらかじめ指定した者に、手順書等に基づき、次に掲げる業務を行わせなければならない。

17.1.1 当該治験薬製造施設における治験薬の製造管理及び品質管理について適切な自己点検を行うこと。

17.1.2 自己点検の結果を治験薬品質部門に対して文書により報告すること。

17.1.3 自己点検の結果の記録を作成し、これを保管すること。

17.2 治験依頼者は、17.1.1の自己点検の結果に基づき、製造管理又は品質管理に関し改善が必要な場合においては、所要の措置を講じるとともに、当該措置の記録を作成し、これを保管すること。

18.教育訓練

18.1 治験依頼者は、あらかじめ指定した者に、手順書等に基づき、次に掲げる業務を行わせなければならない。

18.1.1 治験薬の製造管理及び品質管理に係る業務に従事する職員に対して、製造管理及び品質管理に関する必要な教育訓練を計画的に実施すること。

18.1.2 教育訓練の実施状況を治験薬品質部門に対して文書により報告すること。

18.1.3 教育訓練の実施の記録を作成し、これを保管すること。

19.文書及び記録の管理

19.1 治験依頼者は、この基準に規定する文書及び記録について、あらかじめ指定した者に、手順書等に基づき、次に掲げる事項を行わせなければならない。

19.1.1 文書を作成し、又は改訂する場合においては、手順書等に基づき、治験薬品質部門の承認を受けるとともに、配付、保管等を行うこと。

19.1.2 手順書等を作成し、又は改訂するときは、当該手順書等にその日付を記載するとともに、それ以前の改訂に係る履歴を保管すること。

19.1.3 この基準に規定する文書及び記録を、被験薬に係る医薬品についての製造販売承認を受ける日(GCP省令第24条第3項の規定により通知したときは、通知した日後三年を経過した日)又は治験の中止若しくは終了の後三年を経過した日のうちいずれか遅い日までの期間保管すること。

20.委託製造

20.1 治験依頼者は、治験薬の製造工程の全部又は一部を治験薬受託製造者の治験薬製造施設で行わせる場合、当該治験薬受託製造者と、当該製造工程における製造管理及び品質管理の適切な実施を確保するため、次に掲げる事項を取り決めなければならない。

20.1.1 当該委託の範囲

20.1.2 当該委託製造に関する技術的条件

20.1.3 治験薬受託製造者の治験薬製造施設において当該委託製造が適切に行われていることの治験依頼者による適切な確認

20.1.4 治験依頼者が当該委託製造に関し行い得る治験薬受託製造者に対する指示

20.1.5 治験依頼者が当該委託製造の製造管理又は品質管理に関し改善の必要を認め、所要の措置を講じるよう20.1.4の指示を行った場合における当該措置の実施状況の確認

20.1.6 運搬及び受け渡し時における品質管理の方法

20.1.7 文書及び記録の保管

20.1.8 その他当該委託製造の製造管理及び品質管理の適切な実施を確保するために必要な事項

20.2 治験薬受託製造者には、この基準の2.から19.までを適用する。ただし、2.4を除き、「治験依頼者」を「治験薬受託製造者」と読み替えるものとする。なお、10.1.8及び19.1.3に規定された参考品の保存又は記録の保管に係る業務については除く。

20.3 治験依頼者及び治験薬受託製造者は、20.1に規定する取決め事項について、治験薬に関する文書、治験薬の衛生管理の手順に関する文書、治験薬の製造管理の手順に関する文書、治験薬の品質管理の手順に関する文書又は手順書に記載しなければならない。ただし、この場合において、これらの文書については、7.及び8.の規定にかかわらず、治験薬受託製造者が自ら行う製造工程に係る事項のみを記載することをもって足りるものとする。

20.4 治験依頼者が行う20.1.4に規定する指示は、文書により行わなければならない。

20.5 治験薬受託製造者は、治験薬受託製造者の治験薬品質部門が当該委託製造に係る製造管理及び品質管理の結果を適正に評価して出荷した旨を治験依頼者に対して文書により報告しなければならない。

20.6 治験依頼者は、あらかじめ指定した者に、次に掲げる業務を行わせなければならない。

20.6.1 20.1.3及び20.1.5に規定する確認を行うこと。

20.6.2 20.6.1の確認の結果の記録を作成し、治験依頼者の治験薬品質部門に対して文書により報告すること。

21.治験薬の製造施設の構造設備

21.1 治験依頼者及び治験薬受託製造者は、GMP省令及び「薬局等構造設備規則」(昭和36年厚生省令第2号)を参考に、当該治験薬の物性・特性に基づき、科学的観点から、適切に対応すること。

21.2 治験依頼者及び治験薬受託製造者は、治験薬の製造施設の構造設備について、他の法規制が係る場合(例えば、遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律(平成15年法律第97号)、放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律(昭和32年法律第167号)など)においては、それらの法規制を遵守した上で、本基準の適切な運用を図ること。

21.3 開発段階の特殊な状況下において使用されるもの(例えば、開発の早期の段階における、特殊な構造設備や機器の使用、使い捨ての機器や器具の使用)については、必ずしも21.1及び21.2に参考として掲げた医薬品の構造設備の要件を求めるものではなく、それらの機能が効果的に発揮され、当該治験薬の品質が適切に確保されていることをベリフィケーション等により保証すること。