アクセシビリティ閲覧支援ツール

(1) 本品の水溶液(1→1000)3mLにフルフラール・酢酸試液4滴を加えるとき,液は,帯赤黄色を呈し,混濁する.

(2) 本品及び薄層クロマトグラフィー用塩酸メタフェニレンジアミンのそれぞれ0.01gに2―プロパノール/水/アンモニア水(28)混液(9:3:1)1mLずつを加えて溶かした後,更にそれぞれに亜硫酸水素ナトリウム0.1gを加えて振り混ぜ,試料溶液及び標準溶液とする.試料溶液及び標準溶液1μLずつを薄層板にスポットし,イソプロピルエーテル/アセトン/2―プロパノール混液(10:1:1)を展開溶媒として薄層クロマトグラフィーにより試験を行う.薄層板にp―ジメチルアミノベンズアルデヒドの希塩酸溶液(1→200)を噴霧するとき,薄層クロマトグラフィー用塩酸メタフェニレンジアミンに対するRs値1.4付近に黄色~帯黄赤色のスポットを認める.

(3) 本品0.015gに水100mLを加えて溶かし,その10mLをとり,水を加えて100mLとする.この液につき,吸光度測定法により吸収スペクトルを測定するとき,波長293~297nmに吸収の極大を示す.

融点 88~93℃(第1法)

純度試験

(1) 溶状 本品0.10gに希塩酸10mLを加えて溶かすとき,液は,無色~淡紫褐色を呈し,澄明である.

(2) 鉄 本品1.0gをとり,試験を行うとき,その限度は,20ppm以下である.ただし,比較液には,鉄標準液2.0mLをとる.

(3) 重金属 本品1.0gをとり,硫酸5mL及び硝酸20mLを加えて静かに加熱する.更に時々,硝酸2~3mLずつを追加して,液が無色~微黄色になるまで加熱を続ける.冷後,水10mL及びフェノールフタレイン試液1滴を加え,液がわずかに紅色を呈するまでアンモニア試液を加える.次いで希酢酸2mLを加え,必要ならばろ過し,残留物を水10mLで洗い,洗液をろ液に合わせ,水を加えて50mLとし,これを試料溶液として第4法により試験を行うとき,その限度は,20ppm以下である.ただし,比較液には,鉛標準液2.0mLをとる.

(4) ヒ素 本品1.0gをとり,硫酸2mL及び硝酸5mLを加えて静かに加熱する.更に時々,硝酸2~3mLずつを追加して,液が無色~微黄色になるまで加熱を続ける.冷後,シュウ酸アンモニウム飽和溶液15mLを加え,白煙が発生するまで加熱する.冷後,水を加えて10mLとし,これを試料溶液として試験を行うとき,その限度は,2ppm以下である.

(5) 有機性不純物 確認試験(2)で得た薄層板には,薄層クロマトグラフィー用塩酸メタフェニレンジアミンに対するRs値1.4付近に単一の黄色~帯黄赤色のスポット以外のスポットを認めない.

乾燥減量 0.2%以下(1g,シリカゲル,4時間)

強熱残分 0.2%以下(第1法,2g)

定量法 本品を乾燥し,その約0.11gを精密に量り,窒素定量法(第2法)により試験を行う.

0.05mol/L硫酸1mL=6.109mg C7H10N2

α―ナフトール

α-Naphthol

C10H8O:144.17

本品を乾燥したものは,定量するとき,α―ナフトール(C10H8O)95.0%以上を含む.

性状 本品は,白色,淡褐色,淡灰赤紫色又は淡灰紫色の結晶性の粉末又は固体で,特異なにおいがある.

確認試験

(1) 本品の水溶液(1→10000)10mLに塩化鉄(Ⅲ)試液1mLを加えるとき,液は,白色~淡褐色の混濁を生じ,しばらく放置するとき,紫褐色~褐色の沈殿を生じる.

(2) 本品の水溶液(1→10000)10mLに硫酸四アンモニウムセリウム(Ⅳ)二水和物溶液(1→100)1mLを加えるとき,液は,白濁し,次いで淡紫色~紫色に変わる.

(3) 本品及び薄層クロマトグラフィー用1―ナフトールのそれぞれ0.01gに2―プロパノール/水/アンモニア水(28)混液(9:3:1)1mLずつを加えて溶かした後,更にそれぞれに亜硫酸水素ナトリウム0.1gを加えて振り混ぜ,試料溶液及び標準溶液とする.試料溶液及び標準溶液1μLずつを薄層板にスポットし,ヘキサン/アセトン/クロロホルム混液(2:1:1)を展開溶媒として薄層クロマトグラフィーにより試験を行う.薄層板にリンモリブデン酸試液を噴霧するとき,薄層クロマトグラフィー用1―ナフトールと等しいRf値に青色~紫色のスポットを認める.

(4) 本品0.025gに水100mLを加えて溶かし,その10mLをとり,水を加えて100mLとする.この液につき,吸光度測定法により吸収スペクトルを測定するとき,波長291~295nmに吸収の極大を示す.

融点 92~97℃(第1法)

純度試験

(1) 溶状 本品0.50gにエタノール(95)10mLを加えて溶かすとき,液は,無色,淡褐色又は淡紫色を呈し,ほとんど澄明である.

(2) 鉄 本品0.50gをとり,試験を行うとき,その限度は,40ppm以下である.ただし,比較液には,鉄標準液2.0mLをとる.

(3) 重金属 本品1.0gをとり,硫酸5mL及び硝酸20mLを加えて静かに加熱する.更に時々,硝酸2~3mLずつを追加して,液が無色~微黄色になるまで加熱を続ける.冷後,水10mL及びフェノールフタレイン試液1滴を加え,液がわずかに紅色を呈するまでアンモニア試液を加える.次いで希酢酸2mLを加え,必要ならばろ過し,残留物を水10mLで洗い,洗液をろ液に合わせ,水を加えて50mLとし,これを試料溶液として第4法により試験を行うとき,その限度は,20ppm以下である.ただし,比較液には,鉛標準液2.0mLをとる.

(4) ヒ素 本品1.0gをとり,硫酸2mL及び硝酸5mLを加えて静かに加熱する.更に時々,硝酸2~3mLずつを追加して,液が無色~微黄色になるまで加熱を続ける.冷後,シュウ酸アンモニウム飽和溶液15mLを加え,白煙が発生するまで加熱する.冷後,水を加えて10mLとし,これを試料溶液として試験を行うとき,その限度は,2ppm以下である.

(5) 有機性不純物 確認試験(3)で得た薄層板には,薄層クロマトグラフィー用1―ナフトールと等しいRf値に単一の青色~紫色のスポット以外のスポットを認めない.

乾燥減量 1.0%以下(1g,シリカゲル,4時間)

強熱残分 0.3%以下(第1法,3g)

定量法 本品を乾燥し,その約0.2gを精密に量り,水100mLを加え,加温して溶かした後,水を加えて正確に200mLとする.この液20mLを正確にヨウ素瓶にとり,0.05mol/L臭素液25mLを正確に加えた後,塩酸5mLを加え,密栓して遮光し,30分間時々振り混ぜて放置する.次に,ヨウ化カリウム溶液(1→10)20mLを加えて振り混ぜた後,クロロホルム1mLを加えてよく振り混ぜ,遊離したヨウ素を0.1mol/Lチオ硫酸ナトリウム液で滴定する(指示薬:デンプン試液1mL).同様の方法で空試験を行う.

0.05mol/L臭素液1mL=2.403mg C10H8O

ニトロパラフェニレンジアミン

Nitro-p-phenylenediamine

C6H7N3O2:153.14

本品を乾燥したものは,定量するとき,ニトロパラフェニレンジアミン(C6H7N3O2)92.0%以上を含む.

性状 本品は,赤褐色~黒褐色,又は帯緑黒褐色の粉末,結晶又は粒である.

確認試験

(1) 本品0.5gに水100mLを加えて溶かし,ろ過する.ろ液5mLに硝酸銀試液5滴を加え,加温するとき,液は,赤褐色~黒褐色を呈し,混濁する.

(2) 本品1gに水100mLを加えてよくかき混ぜた後,ろ過する.ろ液3mLにフルフラール・酢酸試液4滴を加えるとき,液は,帯赤黄色を呈し,混濁する.

(3) 本品及び薄層クロマトグラフィー用パラニトロアニリンのそれぞれ0.01gに2―プロパノール/水/アンモニア水(28)混液(9:3:1)1mLずつを加えて溶かした後,更にそれぞれに亜硫酸水素ナトリウム0.1gを加えて振り混ぜ,試料溶液及び標準溶液とする.試料溶液及び標準溶液1μLずつを薄層板にスポットし,イソプロピルエーテル/アセトン/2―プロパノール混液(10:1:1)を展開溶媒として薄層クロマトグラフィーにより試験を行う.薄層板にp―ジメチルアミノベンズアルデヒドの希塩酸溶液(1→200)を噴霧するとき,薄層クロマトグラフィー用パラニトロアニリンに対するRs値0.7付近に帯赤黄色~黄褐色のスポットを認める.

(4) 本品0.1gに水100mLを加えて溶かし,必要ならばろ過し,その1mLをとり,水を加えて100mLとする.この液につき,吸光度測定法により吸収スペクトルを測定するとき,波長238~242nmに吸収の極大を示す.

融点 130~140℃(第1法)

純度試験

(1) 溶状 本品0.10gにエタノール(95)20mLを加えて溶かすとき,液は,赤色~暗赤褐色を呈し,ほとんど澄明である.

(2) 鉄 本品0.40gをとり,試験を行うとき,その限度は,50ppm以下である.ただし,比較液には,鉄標準液2.0mLをとる.

(3) 重金属 本品1.0gをとり,硫酸5mL及び硝酸20mLを加えて静かに加熱する.更に時々,硝酸2~3mLずつを追加して,液が無色~微黄色になるまで加熱を続ける.冷後,水10mL及びフェノールフタレイン試液1滴を加え,液がわずかに紅色を呈するまでアンモニア試液を加える.次いで希酢酸2mLを加え,必要ならばろ過し,残留物を水10mLで洗い,洗液をろ液に合わせ,水を加えて50mLとし,これを試料溶液として第4法により試験を行うとき,その限度は,20ppm以下である.ただし,比較液には,鉛標準液2.0mLをとる.

(4) ヒ素 本品1.0gをとり,硫酸2mL及び硝酸5mLを加えて静かに加熱する,更に時々,硝酸2~3mLずつを追加して,液が無色~微黄色になるまで加熱を続ける.冷後,シュウ酸アンモニウム飽和溶液15mLを加え,白煙が発生するまで加熱する.冷後,水を加えて10mLとし,これを試料溶液として試験を行うとき,その限度は,2ppm以下である.

(5) 有機性不純物 確認試験(3)で得た薄層板には,薄層クロマトグラフィー用パラニトロアニリンに対するRs値0.7付近に単一の帯赤黄色~黄褐色のスポット以外のスポットを認めない.

乾燥減量 1.0%以下(1.5g,105℃,2時間)

強熱残分 1.0%以下(第1法,2g)

定量法 本品を乾燥し,その約0.09gを精密に量り,粒状の亜鉛2g,水15mL及び塩酸15mLを加え,注意しながら蒸発乾固する.冷後,窒素定量法(第2法)により試験を行う.

0.05mol/L硫酸1mL=5.105mg C6H7N3O2

パラアミノフェノール

p-Aminophenol

C6H7NO:109.13

本品を乾燥したものは,定量するとき,パラアミノフェノール(C6H7NO)95.0%以上を含む.

性状 本品は,白色~淡灰色あるいは紫褐色~淡紫色の結晶性の粉末,又は淡褐色あるいは淡紫色の粉末で,においはないか,又はわずかに特異なにおいがある.

確認試験

(1) 本品の水溶液(1→2000)10mLに塩化鉄(Ⅲ)試液5滴を加えるとき,液は,褐色~赤紫色を呈する.

(2) 本品の水溶液(1→2000)5mLにペンタシアノニトロシル鉄(Ⅲ)酸ナトリウム試液2mLを加えるとき,液は,暗緑色を呈する.

(3) 本品0.1gにリンタングステン酸溶液(1→100)2mL及び炭酸ナトリウム試液1mLを加えるとき,液は,赤紫色~青紫色を呈する.

(4) 本品及び薄層クロマトグラフィー用パラアミノフェノールのそれぞれ0.01gに2―プロパノール/水/アンモニア水(28)混液(9:3:1)1mLずつを加えて溶かした後,更にそれぞれに亜硫酸水素ナトリウム0.1gを加えて振り混ぜ,試料溶液及び標準溶液とする.試料溶液及び標準溶液1μLずつを薄層板にスポットし,イソプロピルエーテル/アセトン/2―プロパノール混液(10:1:1)を展開溶媒として薄層クロマトグラフィーにより試験を行う.薄層板にp―ジメチルアミノベンズアルデヒドの希塩酸溶液(1→200)を噴霧するとき,薄層クロマトグラフィー用パラアミノフェノールと等しいRf値に黄色のスポットを認める.

(5) 本品0.025gに水100mLを加えて溶かし,その10mLをとり,水を加えて100mLとする.この液につき,吸光度測定法により吸収スペクトルを測定するとき,波長295~299nmに吸収の極大を示す.

融点 180~188℃(第1法)

純度試験

(1) 溶状 本品0.50gに希塩酸20mLを加えて溶かすとき,液は,無色~淡褐色を呈し,ほとんど澄明である.

(2) 鉄 本品0.40gをとり,試験を行うとき,その限度は,50ppm以下である.ただし,比較液には,鉄標準液2.0mLをとる.

(3) 重金属 本品1.0gをとり,硫酸5mL及び硝酸20mLを加えて静かに加熱する.更に時々,硝酸2~3mLずつを追加して,液が無色~微黄色になるまで加熱を続ける.冷後,水10mL及びフェノールフタレイン試液1滴を加え,液がわずかに紅色を呈するまでアンモニア試液を加える.次いで希酢酸2mLを加え,必要ならばろ過し,残留物を水10mLで洗い,洗液をろ液に合わせ,水を加えて50mLとし,これを試料溶液として第4法により試験を行うとき,その限度は,20ppm以下である.ただし,比較液には,鉛標準液2.0mLをとる.

(4) ヒ素 本品1.0gをとり,硫酸2mL及び硝酸5mLを加えて静かに加熱する.更に時々,硝酸2~3mLずつを追加して,液が無色~微黄色になるまで加熱を続ける.冷後,シュウ酸アンモニウム飽和溶液15mLを加え,白煙が発生するまで加熱する.冷後,水を加えて10mLとし,これを試料溶液として試験を行うとき,その限度は,2ppm以下である.

(5) 有機性不純物 確認試験(4)で得た薄層板には,薄層クロマトグラフィー用パラアミノフェノールと等しいRf値に単一の黄色のスポット以外のスポットを認めない.

乾燥減量 5.0%以下(1g,シリカゲル,4時間)

強熱残分 2.5%以下(第1法,2g)

定量法 本品を乾燥し,その約0.19gを精密に量り,窒素定量法(第2法)により試験を行う.

0.05mol/L硫酸1mL=10.91mg C6H7NO

パラニトロオルトフェニレンジアミン

p-Nitro-o-phenylenediamine

C6H7N3O2:153.14

本品を乾燥したものは,定量するとき,パラニトロオルトフェニレンジアミン(C6H7N3O2)95.0%以上を含む.

性状 本品は,赤褐色の粉末又は結晶である.

確認試験

(1) 本品0.5gに水100mLを加えてよくかき混ぜた後,ろ過する.ろ液3mLにフルフラール・酢酸試液4滴を加えるとき,液は,黄赤色を呈する.

(2) 本品及び薄層クロマトグラフィー用パラニトロアニリンのそれぞれ0.01gに2―プロパノール/水/アンモニア水(28)混液(9:3:1)1mLずつを加えて溶かした後,更にそれぞれに亜硫酸水素ナトリウム0.1gを加えて振り混ぜ,試料溶液及び標準溶液とする.試料溶液及び標準溶液1μLずつを薄層板にスポットし,イソプロピルエーテル/アセトン/2―プロパノール混液(10:1:1)を展開溶媒として薄層クロマトグラフィーにより試験を行う.薄層板にp―ジメチルアミノベンズアルデヒドの希塩酸溶液(1→200)を噴霧するとき,薄層クロマトグラフィー用パラニトロアニリンに対するRs値0.7付近に帯赤黄色~黄色のスポットを認める.

(3) 本品0.1gに水100mLを加えて溶かし,必要ならばろ過し,その1mLをとり,水を加えて100mLとする.この液につき,吸光度測定法により吸収スペクトルを測定するとき,波長266~270nmに吸収の極大を示す.

融点 198~206℃(第1法)

純度試験

(1) 溶状 本品0.10gに希エタノール20mLを加え,加温して溶かすとき,液は,だいだい色~赤色を呈し,ほとんど澄明である.

(2) 鉄 本品0.40gをとり,試験を行うとき,その限度は,50ppm以下である.ただし,比較液には,鉄標準液2.0mLをとる.

(3) 重金属 本品1.0gをとり,硫酸5mL及び硝酸20mLを加えて静かに加熱する.更に時々,硝酸2~3mLずつを追加して,液が無色~微黄色になるまで加熱を続ける.冷後,水10mL及びフェノールフタレイン試液1滴を加え,液がわずかに紅色を呈するまでアンモニア試液を加える.次いで希酢酸2mLを加え,必要ならばろ過し,残留物を水10mLで洗い,洗液をろ液に合わせ,水を加えて50mLとし,これを試料溶液として第4法により試験を行うとき,その限度は,20ppm以下である.ただし,比較液には,鉛標準液2.0mLをとる.

(4) ヒ素 本品1.0gをとり,硫酸2mL及び硝酸5mLを加えて静かに加熱する.更に時々,硝酸2~3mLずつを追加して,液が無色~微黄色になるまで加熱を続ける.冷後,シュウ酸アンモニウム飽和溶液15mLを加え,白煙が発生するまで加熱する.冷後,水を加えて10mLとし,これを試料溶液として試験を行うとき,その限度は,2ppm以下である.

(5) 有機性不純物 確認試験(2)で得た薄層板には,薄層クロマトグラフィー用パラニトロアニリンに対するRs値0.7付近に単一の帯赤黄色~黄色のスポット以外のスポットを認めない.

乾燥減量 2.0%以下(1.5g,105℃,2時間)

強熱残分 1.0%以下(第1法,2g)

定量法 本品を乾燥し,その約0.09gを精密に量り,粒状の亜鉛2g,水15mL及び塩酸15mLを加え,注意しながら蒸発乾固する.冷後,窒素定量法(第2法)により試験を行う.

0.05mol/L硫酸1mL=5.105mg C6H7N3O2

パラフェニレンジアミン

p-Phenylenediamine

C6H8N2:108.14

本品を乾燥したものは,定量するとき,パラフェニレンジアミン(C6H8N2)98.0%以上を含む.

性状 本品は,無色~淡紫色又は帯紫褐色の結晶性の粉末,小片又は固体である.

確認試験

(1) 本品の水溶液(1→1000)5mLに硝酸銀試液5滴を加えるとき,液は,黒紫褐色を呈し,混濁する.これを加熱するとき,液は,銀が析出する.

(2) 本品の水溶液(1→1000)5mLにペンタシアノニトロシル鉄(Ⅲ)酸ナトリウム試液1mLを加えるとき,液は,青色を呈する.

(3) 本品0.1gに希酢酸10mLを加えて溶かす.この液1mLに薄めたアニリン(1→250)1mLを加え,更にペルオキソ二硫酸アンモニウム0.2gを加えるとき,液は,青色を呈する.

(4) 本品及び薄層クロマトグラフィー用パラフェニレンジアミンのそれぞれ0.01gに2―プロパノール/水/アンモニア水(28)混液(9:3:1)1mLずつを加えて溶かした後,更にそれぞれに亜硫酸水素ナトリウム0.1gを加えて振り混ぜ,試料溶液及び標準溶液とする.試料溶液及び標準溶液1μLずつを薄層板にスポットし,酢酸エチル/メタノール/水混液(25:5:4)を展開溶媒として薄層クロマトグラフィーにより試験を行う.薄層板にp―ジメチルアミノベンズアルデヒドの希塩酸溶液(1→200)を噴霧するとき,薄層クロマトグラフィー用パラフェニレンジアミンと等しいRf値に帯黄赤色のスポットを認める.

(5) 本品0.025gに水100mLを加えて溶かし,その1mLをとり,水を加えて100mLとする.この液につき,吸光度測定法により吸収スペクトルを測定するとき,波長235~239nmに吸収の極大を示す.

融点 136~144℃(第1法)

純度試験

(1) 溶状 本品0.50gに希塩酸60mLを加えて溶かすとき,液は,無色~微赤色を呈し,澄明である.

(2) 鉄 本品1.0gをとり,試験を行うとき,その限度は,20ppm以下である.ただし,比較液には,鉄標準液2.0mLをとる.

(3) 重金属 本品1.0gをとり,硫酸5mL及び硝酸20mLを加えて静かに加熱する.更に時々,硝酸2~3mLずつを追加して,液が無色~微黄色になるまで加熱を続ける.冷後,水10mL及びフェノールフタレイン試液1滴を加え,液がわずかに紅色を呈するまでアンモニア試液を加える.次いで希酢酸2mLを加え,必要ならばろ過し,残留物を水10mLで洗い,洗液をろ液に合わせ,水を加えて50mLとし,これを試料溶液として第4法により試験を行うとき,その限度は,20ppm以下である.ただし,比較液には,鉛標準液2.0mLをとる.

(4) ヒ素 本品1.0gをとり,硫酸2mL及び硝酸5mLを加えて静かに加熱する.更に時々,硝酸2~3mLずつを追加して,液が無色~微黄色になるまで加熱を続ける.冷後,シュウ酸アンモニウム飽和溶液15mLを加え,白煙が発生するまで加熱する.冷後,水を加えて10mLとし,これを試料溶液として試験を行うとき,その限度は,2ppm以下である.

(5) 有機性不純物 確認試験(4)で得た薄層板には,薄層クロマトグラフィー用パラフェニレンジアミンと等しいRf値に単一の帯黄赤色のスポット以外のスポットを認めない.

乾燥減量 0.2%以下(1.5g,シリカゲル,4時間)

強熱残分 0.5%以下(第1法,2g)

定量法 本品を乾燥し,その約0.10gを精密に量り,窒素定量法(第2法)により試験を行う.

0.05mol/L硫酸1mL=5.407mg C6H8N2

パラメチルアミノフェノール

p-Methylaminophenol

C7H9NO:123.15

本品を乾燥したものは,定量するとき,パラメチルアミノフェノール(C7H9NO)95.0%以上を含む.

性状 本品は,白色~淡褐色の粉末で,わずかに特異なにおいがある.

確認試験

(1) 本品の水溶液(1→2000)10mLに希塩化鉄(Ⅲ)試液5滴を加えるとき,液は,赤紫色を呈する.

(2) 本品及び薄層クロマトグラフィー用硫酸パラメチルアミノフェノールのそれぞれ0.01gに2―プロパノール/水/アンモニア水(28)混液(9:3:1)1mLずつを加えて溶かした後,更にそれぞれに亜硫酸水素ナトリウム0.1gを加えて振り混ぜ,試料溶液及び標準溶液とする.試料溶液及び標準溶液1μLずつを薄層板にスポットし,イソプロピルエーテル/アセトン/2―プロパノール混液(10:1:1)を展開溶媒として薄層クロマトグラフィーにより試験を行う.薄層板にp―ジメチルアミノベンズアルデヒドの希塩酸溶液(1→200)を噴霧するとき,薄層クロマトグラフィー用硫酸パラメチルアミノフェノールと等しいRf値に黄色のスポットを認める.

(3) 本品5mgにエタノール(95)100mLを加えて溶かし,その1mLをとり,エタノール(95)を加えて100mLとする.この液につき,吸光度測定法により吸収スペクトルを測定するとき,波長238~242nm及び307~311nmに吸収の極大を示す.

融点 83~90℃(第1法)

純度試験

(1) 溶状 本品0.50gに希塩酸10mLを加えて溶かすとき,液は,無色澄明である.

(2) 鉄 本品0.40gをとり,試験を行うとき,その限度は,50ppm以下である.ただし,比較液には,鉄標準液2.0mLをとる.

(3) 重金属 本品1.0gをとり,硫酸5mL及び硝酸20mLを加えて静かに加熱する.更に時々,硝酸2~3mLずつを追加して,液が無色~微黄色になるまで加熱を続ける.冷後,水10mLを及びフェノールフタレイン試液1滴を加え,液がわずかに紅色を呈するまでアンモニア試液を加える.次いで希酢酸2mLを加え,必要ならばろ過し,残留物を水10mLで洗い,洗液をろ液に合わせ,水を加えて50mLとし,これを試料溶液として第4法により試験を行うとき,その限度は,30ppm以下である.ただし,比較液には,鉛標準液3.0mLをとる.

(4) ヒ素 本品1.0gをとり,硫酸2mL及び硝酸5mLを加えて静かに加熱する.更に時々,硝酸2~3mLずつを追加して,液が無色~微黄色になるまで加熱を続ける.冷後,シュウ酸アンモニウム飽和溶液15mLを加え,白煙が発生するまで加熱する.冷後,水を加えて10mLとして,これを試料溶液として試験を行うとき,その限度は,2ppm以下である.

乾燥減量 5.0%以下(1g,シリカゲル,4時間)

強熱残分 5.0%以下(第1法,2g)

定量法 本品を乾燥し,その約0.22gを精密に量り,窒素定量法(第2法)により試験を行う.

0.05mol/L硫酸1mL=12.32mg C7H9NO

ピクラミン酸

Picramic Acid

C6H5N3O5:199.12

本品を乾燥したものは,定量するとき,ピクラミン酸(C6H5N3O5)90.0%以上を含む.

性状 本品は,黄褐色~赤褐色の粉末,結晶又はペースト状の物質である.

確認試験

(1) 本品の水溶液(1→1000)10mLに希塩酸1mLを加えるとき,液は,黄色を呈する.また,本品の水溶液(1→1000)10mLに炭酸ナトリウム試液1mLを加えるとき,液は,赤褐色を呈する.

(2) 本品の水溶液(1→1000)10mLに硫酸銅・アンモニア試液2mLを加えるとき,液は,暗褐色を呈する.

(3) 本品及び薄層クロマトグラフィー用塩酸メタフェニレンジアミンのそれぞれ0.01gに2―プロパノール/水/アンモニア水(28)混液(9:3:1)1mLずつを加えて溶かした後,更にそれぞれに亜硫酸水素ナトリウム0.1gを加えて振り混ぜ,試料溶液及び標準溶液とする.試料溶液及び標準溶液1μLずつを薄層板にスポットし,酢酸エチル/メタノール/水混液(25:5:4)を展開溶媒として薄層クロマトグラフィーにより試験を行う.薄層板にp―ジメチルアミノベンズアルデヒドの希塩酸溶液(1→200)を噴霧するとき,薄層クロマトグラフィー用塩酸メタフェニレンジアミンに対するRs値0.75付近に赤褐色のスポットを認める.

(4) 本品0.025gに水100mLを加えて溶かし,必要ならばろ過し,その10mLをとり,水を加えて100mLとする.この液につき,吸光度測定法により吸収スペクトルを測定するとき,波長224~228nm及び298~302nmに吸収の極大を示す.

融点 169~172℃(第1法)

純度試験

(1) 溶状 本品0.50gにアセトン20mLを加えて溶かすとき,液は,黄褐色~暗赤褐色を呈し,ほとんど澄明である.

(2) 鉄 本品0.10gをとり,硫酸5滴を加えて潤し,徐々に加熱してなるべく低温でほとんど灰化又は揮散させた後,更に硫酸で潤し,完全に灰化する.冷後,残留物に塩酸0.5mLを加え,水浴上で蒸発乾固した後,希塩酸3滴を加えて加温し,水を加えて溶かし正確に50mLとし,試料溶液とする.試料溶液10mLを正確にとり,試験を行うとき,その限度は,0.1%以下である.ただし,比較液には,鉄標準液2.0mLをとる.

(3) 鉛 本品1.0gをとり,第1法により試料溶液を調製し,試験を行うとき,その限度は,5ppm以下である.ただし,残留物に少量の薄めた硝酸(1→150)を加えて溶かし,更に薄めた硝酸(1→150)を加えて5mLとし,これを試料溶液とする.

(4) ヒ素 本品1.0gをとり,硫酸2mL及び硝酸5mLを加えて静かに加熱する.更に時々,硝酸2~3mLずつを追加して,液が無色~微黄色になるまで加熱を続ける.冷後,シュウ酸アンモニウム飽和溶液15mLを加え,白煙が発生するまで加熱する.冷後,水を加えて10mLとし,これを試料溶液として試験を行うとき,その限度は,2ppm以下である.

(5) 有機性不純物 確認試験(3)で得た薄層板には,薄層クロマトグラフィー用塩酸メタフェニレンジアミンに対するRs値0.75付近に単一の赤褐色のスポット以外のスポットを認めない.

乾燥減量 35.0%以下(1g,105℃,2時間)

強熱残分 1.0%以下(第1法,1g)

定量法 本品を乾燥し,その約0.12gを精密に量り,粒状の亜鉛2g,水15mL及び塩酸15mLを加え,注意しながら蒸発乾固する.冷後,窒素定量法(第2法)により試験を行う.

0.05mol/L硫酸1mL=6.637mg C6H5N3O5

ピクラミン酸ナトリウム

Sodium Picramate

C6H4N3NaO5:221.10

本品を乾燥したものは,定量するとき,ピクラミン酸ナトリウム(C6H4N3NaO5)86.0%以上を含む.

性状 本品は,暗赤褐色~赤紫色の湿りけのある粉末で,わずかに特異なにおいがある.

確認試験

(1) 本品の水溶液(1→1000)10mLに塩化鉄(Ⅲ)試液5滴を加えるとき,液は,黒褐色を呈する.

(2) 本品の水溶液(1→100)3mLにヘキサヒドロキソアンチモン(Ⅴ)酸カリウム試液2mLを加えて,ガラス棒で試験管の内壁をこするとき,帯赤黄色~黄色の結晶性の沈殿を生じる.

(3) 本品及び薄層クロマトグラフィー用塩酸メタフェニレンジアミンのそれぞれ0.01gに2―プロパノール/水/アンモニア水(28)混液(9:3:1)1mLずつを加えて溶かした後,更にそれぞれに亜硫酸水素ナトリウム0.1gを加えて振り混ぜ,試料溶液及び標準溶液とする.試料溶液及び標準溶液1μLずつを薄層板にスポットし,酢酸エチル/メタノール/水混液(25:5:4)を展開溶媒として薄層クロマトグラフィーにより試験を行う.薄層板にp―ジメチルアミノベンズアルデヒドの希塩酸溶液(1→200)を噴霧するとき,薄層クロマトグラフィー用塩酸メタフェニレンジアミンに対するRs値0.75付近にだいだい色のスポットを認める.

(4) 本品0.02gに水100mLを加えて溶かし,その5mLをとり,水を加えて100mLとする.この液につき,吸光度測定法により吸収スペクトルを測定するとき,波長227~231nm及び310~314nmに吸収の極大を示す.

純度試験

(1) 溶状 本品0.10gに水200mLを加えて溶かすとき,液は,赤色を呈し,澄明である.

(2) エーテル可溶物 本品約1gを精密に量り,ジエチルエーテル50mLを加え,還流冷却器を付けて水浴上で時々振り混ぜながら1時間煮沸する.温時,これをガラスろ過器(G3)を用いて質量既知のフラスコにろ過する.残留物をジエチルエーテル20mLで洗い,洗液及びろ液を合わせて水浴上で留去した後,105℃で30分間乾燥し,質量を精密に量るとき,その限度は,5.0%以下である.

(3) 鉄 本品0.50gをとり,硫酸5滴を加えて潤し,徐々に加熱してなるべく低温でほとんど灰化又は揮散させた後,更に硫酸で潤し,完全に灰化する.冷後,残留物に塩酸0.5mLを加え,水浴上で蒸発乾固した後,希塩酸3滴を加えて加温し,水を加えて溶かし正確に50mLとし,試料溶液とする.試料溶液10mLを正確にとり,試験を行うとき,その限度は,0.02%以下である.ただし,比較液には,鉄標準液2.0mLをとる.

(4) 鉛 本品0.50gをとり,第1法により試料溶液を調製し,試験を行うとき,その限度は,10ppm以下である.ただし,残留物に少量の薄めた硝酸(1→150)を加えて溶かし,更に薄めた硝酸(1→150)を加えて5mLとし,これを試料溶液とする.

(5) ヒ素 本品1.0gをとり,硫酸2mL及び硝酸5mLを加えて静かに加熱する.更に時々,硝酸2~3mLずつを追加して,液が無色~微黄色になるまで加熱を続ける.冷後,シュウ酸アンモニウム飽和溶液15mLを加え,白煙が発生するまで加熱する.冷後,水を加えて10mLとし,これを試料溶液として試験を行うとき,その限度は,2ppm以下である.

(6) 有機性不純物 確認試験(3)で得た薄層板には,薄層クロマトグラフィー用塩酸メタフェニレンジアミンに対するRs値0.75付近に単一のだいだい色のスポット以外のスポットを認めない.

乾燥減量 40.0%以下(2g,60℃,恒量)

定量法 本品を乾燥し,その約0.13gを精密に量り,粒状の亜鉛2g,水15mL及び塩酸15mLを加え,注意しながら蒸発乾固する.冷後,窒素定量法(第2法)により試験を行う.

0.05mol/L硫酸1mL=7.370mg C6H4N3NaO5

(参考)

N,N'―ビス(4―アミノフェニル)―2,5―ジアミノ―1,4―キノンジイミン

N,N'-Bis(4-aminophenyl)-2,5-diamino-1,4-quinonediimine

C18H18N6:318.38

本品は,パラフェニレンジアミンの酸化縮合物である.本品を乾燥したものは,定量するとき,N,N'―ビス(4―アミノフェニル)―2,5―ジアミノ―1,4―キノンジイミン(C18H18N6)97.0%以上を含む.

性状 本品は,暗赤褐色~黒褐色の粉末である.

確認試験

(1) 本品0.02gを試験管にとり,ギ酸ナトリウム・水酸化ナトリウム試液0.05gを加え,更に水4滴を加えてよくかき混ぜた後,水浴上で蒸発乾固する.次いでアニリン試液(2)1滴を付けたろ紙を試験管口にのせ,210~230℃の砂浴中で加熱するとき,ろ紙の色は,紫色を帯びた淡青色~濃青色を呈する.

(2) 本品5mgにエタノール(95)100mLを加えて溶かし,その10mLをとり,エタノール(95)を加えて100mLとする.この液につき,吸光度測定法により吸収スペクトルを測定するとき,波長246~250nm及び336~340nmに吸収の極大を示す.

純度試験

(1) 溶状 本品0.01gに希塩酸100mLを加えて加熱して溶かすとき,液は,赤紫色~黒紫色を呈し,澄明である.

(2) 液性 本品0.02gにアセトン20mLを加えて溶かし,更に水20mLを加えるとき,液は,微アルカリ性である.

(3) パラフェニレンジアミン 本品0.10gに希酢酸10mLを加えて溶かす.この液1mLに薄めたアニリン(1→250)1mLを加え,更にペルオキソ二硫酸アンモニウム0.2gを加えるとき,液は,青色を呈しない.

(4) 鉄 本品1.0gをとり,試験を行うとき,その限度は,20ppm以下である.ただし,比較液には,鉄標準液2.0mLをとる.

(5) 重金属 本品1.0gをとり,硫酸5mL及び硝酸20mLを加えて静かに加熱する.更に時々,硝酸2~3mLずつを追加して,液が無色~微黄色になるまで加熱を続ける.冷後,水10mL及びフェノールフタレイン試液1滴を加え,液がわずかに紅色を呈するまでアンモニア試液を加える.次いで,希酢酸2mLを加え,必要ならばろ過し,残留物を水10mLで洗い,洗液をろ液に合わせ,水を加えて50mLとし,これを試料溶液として第4法により試験を行うとき,その限度は,20ppm以下である.ただし,比較液には,鉛標準液2.0mLをとる.

(6) ヒ素 本品1.0gをとり,硫酸2mL及び硝酸5mLを加えて静かに加熱する.更に時々,硝酸2~3mLずつを追加して,液が無色~微黄色になるまで加熱を続ける.冷後,シュウ酸アンモニウム飽和溶液15mLを加え,白煙が発生するまで加熱する.冷後,水を加えて10mLとし,これを試料溶液として試験を行うとき,その限度は,2ppm以下である.

乾燥減量 4.0%以下(1g,105℃,2時間)

強熱残分 1.0%以下(第2法,1g)

定量法 本品を乾燥し,その約0.1gを精密に量り,窒素定量法(第2法)により試験を行う.

0.05mol/L硫酸1mL=5.306mg C18H18N6

5―(2―ヒドロキシエチルアミノ)―2―メチルフェノール

5-(2-Hydroxyethylamino)-2-methylphenol

C9H13NO2:167.21

本品を乾燥したものは,定量するとき,5―(2―ヒドロキシエチルアミノ)―2―メチルフェノール(C9H13NO2)93.0%以上を含む.

性状 本品は,褐色の粒又は粉末である.

確認試験

(1) 本品のエタノール(95)溶液(1→1000)に希塩化鉄(Ⅲ)試液3滴を加えるとき,液は,淡黄色を呈する.

(2) 本品30mgにエタノール(95)を加えて溶かし,100mLとする.この液1mLをとり,エタノール(95)を加えて100mLとする.この液につき,吸光度測定法により吸収スペクトルを測定するとき,波長205~209nm,240~244nm及び293~297nmに吸収の極大を示す.

融点 86~92℃(第1法)

純度試験

(1) 溶状 本品0.10gにエタノール(95)10mLを加えて溶かすとき,液は,淡褐色で澄明である.

(2) 鉄 本品0.10gをとり,試験を行うとき,その限度は,0.02%以下である.ただし,比較液には鉄標準液2.0mLをとる.

(3) 重金属 本品1.0gをとり,第2法により操作し,試験を行うとき,その限度は,20ppm以下である.ただし,比較液には,鉛標準液2.0mLをとる.

(4) ヒ素 本品1.0gに硫酸2mL及び硝酸5mLを加えて静かに加熱する.更に時々硝酸2~3mLずつを追加して液が無色~微黄色になるまで加熱を続ける.冷後,シュウ酸アンモニウム飽和溶液15mLを加え白煙が発生するまで加熱する.冷後,水を加えて10mLとし,これを試料溶液として試験を行うとき,その限度は,2ppm以下である.

乾燥減量 1%以下(1g,105℃,2時間)

強熱残分 2%以下(第1法,1g)

定量法 本品を105℃で2時間乾燥し,その約0.3gを精密に量り,窒素定量法(第2法)により試験を行う.

0.05mol/L硫酸1mL=16.72mg C9H13NO2

2―ヒドロキシ―5―ニトロ―2',4'―ジアミノアゾベンゼン―5'―スルホン酸ナトリウム

Sodium 2-Hydroxy-5-nitro-2',4'-diaminoazobenzene-5'-sulfonate

C12H10N5NaO6S:375.29

本品を乾燥したものは,定量するとき,2―ヒドロキシ―5―ニトロ―2',4'―ジアミノアゾベンゼン―5'―スルホン酸ナトリウム(C12H10N5NaO6S)40.0%以上を含む.

性状 本品は,黄褐色~褐色の粉末である.

確認試験

(1) 本品の水溶液(1→1000)2mLに塩化鉄(Ⅲ)試液1滴を加えるとき,液は,暗赤色を呈し,褐色の沈殿を生じる.

(2) 本品の水溶液(1→1000)5mLに塩酸1mLを加えるとき,赤色の沈殿を生じる.

(3) 本品の水溶液(1→1000)2mLに水酸化ナトリウム試液0.5mLを加えるとき,液は,だいだい色~赤色を呈する.

(4) 本品及び薄層クロマトグラフィー用塩酸メタフェニレンジアミンのそれぞれ0.01gに2―プロパノール/水/アンモニア水(28)混液(9:3:1)1mLずつを加えて溶かした後,更にそれぞれに亜硫酸水素ナトリウム0.1gを加えて振り混ぜ,試料溶液及び標準溶液とする.試料溶液及び標準溶液1μLずつを薄層板にスポットし,酢酸エチル/メタノール/水混液(25:5:4)を展開溶媒として薄層クロマトグラフィーにより試験を行う.薄層板にp―ジメチルアミノベンズアルデヒドの希塩酸溶液(1→200)を噴霧するとき,薄層クロマトグラフィー用塩酸メタフェニレンジアミンに対するRs値0.5付近にだいだい色のスポットを認める.

(5) 本品0.02gに水100mLを加えて溶かし,その10mLをとり,水を加えて100mLとする.この液につき,吸光度測定法により吸収スペクトルを測定するとき,波長218~222nm,252~256nm及び285~289nmに吸収の極大を示す.

純度試験

(1) 溶状 本品0.10gに水100mLを加えて溶かすとき,液は,帯黄赤色~赤褐色を呈し,ほとんど澄明である.

(2) エーテル可溶物 本品約1gを精密に量り,ジエチルエーテル50mLを加え,還流冷却器を付けて水浴上で時々振り混ぜながら1時間煮沸する.温時,これをガラスろ過器(G3)を用いて質量既知のフラスコにろ過する.残留物をジエチルエーテル20mLで洗い,洗液及びろ液を合わせて水浴上で留去した後,105℃で30分間乾燥し,質量を精密に量るとき,その限度は,2.0%以下である.

(3) 重金属 本品1.0gをとり,硫酸5mL及び硝酸20mLを加えて静かに加熱する.更に時々,硝酸2~3mLずつを追加して,液が無色~微黄色になるまで加熱を続ける.冷後,水10mL及びフェノールフタレイン試液1滴を加え,液がわずかに紅色を呈するまでアンモニア試液を加える.次いで希酢酸2mLを加え,必要ならばろ過し,残留物を水10mLで洗い,洗液をろ液に合わせ,水を加えて50mLとし,これを試料溶液として第4法により試験を行うとき,その限度は,30ppm以下である.ただし,比較液には,鉛標準液3.0mLをとる.

(4) ヒ素 本品1.0gをとり,硫酸2mL及び硝酸5mLを加えて静かに加熱する.更に時々,硝酸2~3mLずつを追加して,液が無色~微黄色になるまで加熱を続ける.冷後,シュウ酸アンモニウム飽和溶液15mLを加え,白煙が発生するまで加熱する.冷後,水を加えて10mLとし,これを試料溶液として試験を行うとき,その限度は,2ppm以下である.

(5) 塩化物 本品約0.5gを精密に量り,水約300mLを加えて溶かし,更に活性炭2.5gを加えて振り混ぜた後,3分間静かに煮沸し,放冷する.冷後,薄めた硝酸(1→2)1mLを加えて振り混ぜた後,乾燥したろ紙でろ過する.残留物を薄めた硝酸(1→1000)50mLで洗い,洗液をろ液に合わせ,水を加えて正確に500mLとし,これを試料溶液とする.試料溶液50mLを正確にとり,薄めた硝酸(1→2)2mLを加える.0.1mol/L硝酸銀液10mLを正確に加え,ジエチルエーテル5mLを加えて振り混ぜた後,硫酸アンモニウム鉄(Ⅲ)試液1mLを加え,0.1mol/Lチオシアン酸アンモニウム液で滴定する.ただし,滴定の終点は,液が淡赤褐色を呈した点とする.別に同様の方法で空試験を行い,次式により塩化物の量(%)を求めるとき,その量は,塩化ナトリウム(NaCl:58.44)として20.0%以下である.

塩化ナトリウムの量(%)=0.00584×(b-a)/W×1000

ただし,

a:本試験の0.1mol/Lチオシアン酸アンモニウム液の消費量(mL)

b:空試験の0.1mol/Lチオシアン酸アンモニウム液の消費量(mL)

W:本品採取量(g)

(6) 硫酸塩 (5)の試料溶液100mLを正確にとり,フェノールフタレイン試液1滴を加え,液の色が紅色を呈するまで希水酸化ナトリウム試液を滴加し,次いで液の色が消えるまで薄めた塩酸(1→1000)を滴加する.これにエタノール(99.5)100mLを加えて振り混ぜながら0.01mol/L塩化バリウム液で滴定する(指示薬:テトラヒドロキシキノン二ナトリウム・塩化カリウム混合試薬0.4g).ただし,滴定の終点は,液が紅色を呈した点とする.別に同様の方法で空試験を行い,次式により硫酸塩の量(%)を求めるとき,その量は,硫酸ナトリウム(Na2SO4:142.04)として35.0%以下である.

硫酸ナトリウムの量(%)=0.00142×(a-b)/W×1000

ただし,

a:本試験の0.01mol/L塩化バリウム液の消費量(mL)

b:空試験の0.01mol/L塩化バリウム液の消費量(mL)

W:本品採取量(g)

乾燥減量 10.0%以下(1.5g,105℃,4時間)

定量法 本品を乾燥し,その約0.16gを精密に量り,粒状の亜鉛2g,水15mL及び塩酸15mLを加え,注意しながら蒸発乾固する.冷後,窒素定量法(第2法)により試験を行う.

0.05mol/L硫酸1mL=7.506mg C12H10N5NaO6S

(参考)

ヒドロキノン

Hydroquinone

C6H6O2:110.11

本品を乾燥したものは,定量するとき,ヒドロキノン(C6H6O2)99.0%以上を含む.

性状 本品は,白色~灰色の結晶で,においはないか,又はわずかに特異なにおいがある.

確認試験

(1) 本品の水溶液(1→500)10mLに塩化鉄(Ⅲ)試液3滴を加えるとき,液は,青色を呈し,液の青色は,直ちに消える.これに,アンモニア試液を滴加するとき,液は,褐色を呈し,褐色の沈殿を生じる.

(2) 本品の水溶液(1→500)5mLに硝酸銀アンモニア試液5滴を加えて加熱するとき,液は,銀鏡又は黒褐色の沈殿を生ずる.

(3) 本品及び薄層クロマトグラフィー用ヒドロキノンのそれぞれ0.01gに2―プロパノール/水/アンモニア水(28)混液(9:3:1)1mLずつを加えて溶かした後,更にそれぞれに亜硫酸水素ナトリウム0.1gを加えて振り混ぜ,試料溶液及び標準溶液とする.試料溶液及び標準溶液1μLずつを薄層板にスポットし,イソプロピルエーテル/アセトン/2―プロパノール混液(10:1:1)を展開溶媒として薄層クロマトグラフィーにより試験を行う.薄層板にリンモリブデン酸試液を噴霧するとき,薄層クロマトグラフィー用ヒドロキノンと等しいRf値に青色~青紫色のスポットを認める.

融点 171~174℃(第1法)

純度試験

(1) 溶状 本品1.0gに薄めた酢酸(31)(1→20)20mLを加えて溶かすとき,液は,無色でほとんど澄明である.

(2) 鉄 本品1.0gをとり,試験を行うとき,その限度は,30ppm以下である。ただし,比較液には,鉄標準液3.0mLをとる.

(3) 重金属 本品1.0gをとり,硫酸5mL及び硝酸20mLを加えて静かに加熱する.更に時々,硝酸2~3mLずつを追加して,液が無色~微黄色になるまで加熱を続ける.冷後,水10mL及びフェノールフタレイン試液1滴を加え,液がわずかに紅色を呈するまでアンモニア試液を加える.次いで希酢酸2mLを加え,必要ならばろ過し,残留物を水10mLで洗い,洗液をろ液に合わせ,水を加えて50mLとし,これを試料溶液として第4法により試験を行うとき,その限度は,30ppm以下である.ただし,比較液には,鉛標準液3.0mLをとる.

(4) ヒ素 本品0.40gをとり,硫酸2mL及び硝酸5mLを加えて静かに加熱する.更に時々,硝酸2~3mLずつを追加して,液が無色~微黄色になるまで加熱を続ける.冷後,シュウ酸アンモニウム飽和溶液15mLを加え,白煙が発生するまで加熱する.冷後,水を加えて10mLとし,これを試料溶液として試験を行うとき,その限度は,5ppm以下である.

(5) 有機性不純物 確認試験(3)で得た薄層板には,薄層クロマトグラフィー用ヒドロキノンと等しいRf値に単一の青色~青紫色のスポット以外のスポットを認めない.

乾燥減量 0.3%以下(2g,シリカゲル,4時間)

強熱残分 0.3%以下(第2法,2g)

定量法 本品を乾燥し,その約0.1gを精密に量り,0.05mol/L硫酸20mL及び水70mLを加えて溶かし,水を加えて正確に100mLとする.この液50mLをとり,水50mLを加えて,0.1mol/L硫酸四アンモニウムセリウム(Ⅳ)液で電位差滴定する.

0.1mol/L硫酸四アンモニウムセリウム(Ⅳ)液1mL=5.506mg C6H6O2

ピロガロール

Pyrogallol

本品は,主としてピロガロール(C6H6O3:126.11)からなる.

性状 本品は,白色の結晶で,わずかに特異なにおいがある.

確認試験

(1) 本品の水溶液(1→100)10mLに水酸化ナトリウム試液3滴を加えるとき,液は,帯赤黄色~黄褐色を呈し,しばらく放置するとき,液は,徐々に褐色~黒褐色に変わる.

(2) 本品の水溶液(1→200)10mLに塩化鉄(Ⅲ)試液3滴を加えるとき,液は,赤褐色~褐色を呈する.

(3) 本品及び薄層クロマトグラフィー用ピロガロールのそれぞれの水溶液(1→100)1μLずつを薄層板にスポットし,イソプロピルエーテル/アセトン/2―プロパノール混液(10:1:1)を展開溶媒として薄層クロマトグラフィーにより試験を行う.薄層板にリンモリブデン酸試液を噴霧するとき,薄層クロマトグラフィー用ピロガロールと等しいRf値に青紫色のスポットを認める.

融点 128~136℃(第1法)

純度試験

(1) 溶状 本品1.0gに水20mLを加えて溶かすとき,液は,無色でほとんど澄明である.

(2) 重金属 本品1.0gをとり,硫酸5mL及び硝酸20mLを加えて静かに加熱する.更に時々,硝酸2~3mLずつを追加して,液が無色~微黄色になるまで加熱を続ける.冷後,水10mL及びフェノールフタレイン試液1滴を加え,液がわずかに紅色を呈するまでアンモニア試液を加える.次いで希酢酸2mLを加え,必要ならばろ過し,残留物を水10mLで洗い,洗液をろ液に合わせ,水を加えて50mLとし,これを試料溶液として第4法により試験を行うとき,その限度は,20ppm以下である.ただし,比較液には鉛標準液2.0mLをとる.

(3) ヒ素 本品1.0gをとり,硫酸2mL及び硝酸5mLを加えて静かに加熱する.更に時々,硝酸2~3mLずつを追加して,液が無色~微黄色になるまで加熱を続ける.冷後,シュウ酸アンモニウム飽和溶液15mLを加え,白煙が発生するまで加熱する.冷後,水を加えて10mLとし,これを試料溶液として試験を行うとき,その限度は,2ppm以下である.

(4) 有機性不純物 確認試験(3)で得た薄層板には,薄層クロマトグラフィー用ピロガロールと等しいRf値に単一の青紫色のスポット以外のスポットを認めない.

乾燥減量 0.5%以下(1.5g,シリカゲル,4時間)

強熱残分 0.3%以下(第1法,2g)

(参考)

N―フェニルパラフェニレンジアミン

N-Phenyl-p-phenylenediamine

C12H12N2:184.24

本品を乾燥したものは,定量するとき,N―フェニルパラフェニレンジアミン(C12H12N2)95.0%以上を含む.

性状 本品は,黒褐色~褐紫色の粉末,小片又は固体で,わずかに特異なにおいがある.

確認試験

(1) 本品0.01gに希塩酸10mLを加えて溶かし,亜硝酸ナトリウム試液1滴を加えるとき,液は,赤褐色を呈し,次いで緑褐色に変わる.

(2) 本品の希エタノール溶液(1→1000)3mLにフルフラール・酢酸試液4滴を加えるとき,液は,帯黄赤色を呈する.

(3) 本品及び薄層クロマトグラフィー用パラニトロアニリンのそれぞれ0.01gに2―プロパノール/水/アンモニア水(28)混液(9:3:1)1mLずつを加えて溶かした後,更にそれぞれに亜硫酸水素ナトリウム0.1gを加えて振り混ぜ,試料溶液及び標準溶液とする.試料溶液及び標準溶液1μLずつを薄層板にスポットし,イソプロピルエーテル/アセトン/2―プロパノール混液(10:1:1)を展開溶媒として薄層クロマトグラフィーにより試験を行う.薄層板にp―ジメチルアミノベンズアルデヒドの希塩酸溶液(1→200)を噴霧するとき,薄層クロマトグラフィー用パラニトロアニリンに対するRs値0.8付近に暗赤色~赤褐色のスポットを認める.

(4) 本品0.03gにエタノール(95)200mLを加えて溶かし,その2mLをとり,エタノール(95)を加えて100mLとする.この液につき,吸光度測定法により吸収スペクトルを測定するとき,波長286~290nmに吸収の極大を示す.

融点 69~75℃(第1法)

純度試験

(1) 溶状 本品0.10gにエタノール(95)10mLを加えて溶かすとき,液は,暗赤褐色~暗赤紫色を呈し,澄明である.

(2) 鉄 本品1.0gをとり,試験を行うとき,その限度は,20ppm以下である.ただし,比較液には,鉄標準液2.0mLをとる.

(3) 重金属 本品1.0gをとり,硫酸5mL及び硝酸20mLを加えて静かに加熱する.更に時々,硝酸2~3mLずつを追加して,液が無色~微黄色になるまで加熱を続ける.冷後,水10mL及びフェノールフタレイン試液1滴を加え,液がわずかに紅色を呈するまでアンモニア試液を加える.次いで希酢酸2mLを加え,必要ならばろ過し,残留物を水10mLで洗い,洗液をろ液に合わせ,水を加えて50mLとし,これを試料溶液として第4法により試験を行うとき,その限度は,20ppm以下である.ただし,比較液には,鉛標準液2.0mLをとる.

(4) ヒ素 本品1.0gをとり,硫酸2mL及び硝酸5mLを加えて静かに加熱する.更に時々,硝酸2~3mLずつを追加して,液が無色~微黄色になるまで加熱を続ける.冷後,シュウ酸アンモニウム飽和溶液15mLを加え,白煙が発生するまで加熱する.冷後,水を加えて10mLとし,これを試料溶液として試験を行うとき,その限度は,2ppm以下である.

乾燥減量 0.5%以下(1.5g,シリカゲル,4時間)

強熱残分 0.3%以下(第1法,2g)

定量法 本品を乾燥し,その約0.16gを精密に量り,窒素定量法(第2法)により試験を行う.

0.05mol/L硫酸1mL=9.212mg C12H12N2

フッ化ナトリウム

Sodium Fluoride

NaF:41.99

本品を乾燥したものは定量するとき,フッ化ナトリウム(NaF)97.0%以上を含む.

性状 本品は白色の結晶性の粉末である.

確認試験

(1) 本品の水溶液(1→50)を必要ならばろ過し,この液2mLにピロアンチモン酸カリウム試液1mLを加えるとき,白色の結晶性の沈殿を生じる.

(2) 本品の水溶液(1→20000)2mLにランタン・アリザリンコンプレキソン試液2mLを加えるとき,液は青紫色を呈する.

純度試験

(1) 酸又はアルカリ 本品1.0gを白金皿にとり,水20mL及び硝酸カリウム3gを加えて溶かし,氷水中で冷却する.これにフェノールフタレイン試液3滴を加えて試料溶液とし,氷水中で冷却しながら次のいずれかの試験を行う.

(i) 酸 試料溶液が無色ならば,0.05mol/L水酸化ナトリウム液で滴定するとき,その量は,4.0mL以下である.

(ii) アルカリ 試料溶液が微赤色ならば,0.025mol/L硫酸で滴定するとき,その量は,0.5mL以下である.

(2) 重金属 本品1.0gを白金るつぼにとり,水1mL及び硫酸3mLを加える.白煙が生じなくなるまで弱く加熱した後,500~600℃で強熱する.冷後,水20mL及びフェノールフタレイン試液1滴を加え,アンモニア水(28)を液が微赤色となるまで滴加し,これに酢酸(100)1mLを加え,希酢酸又はアンモニア試液でpH3~4に調整し,必要ならばろ過し,水10mLで洗い,ろ液及び洗液をネスラー管に入れ,水を加えて50mLとする.これを試料溶液として第4法により試験を行うとき,その限度は,30ppm以下である.ただし,比較液には,水1mL及び硫酸3mLをとり,以下試料溶液の調製法と同様に操作し,鉛標準液3.0mL及び水を加えて50mLとしたものを用いる.

(3) ヒ素 本品0.20gを白金皿にとり,硝酸2mL及び臭素試液1mLを加え,水浴上で約10分間加熱する.次に薄めた硫酸(1→10)5mLを加え,水浴上で約0.5mLになるまで蒸発した後,少量の水で白金皿の内壁を洗い,更に水浴上で蒸発する.これを少量の水に溶かしたものを試料溶液として試験を行うとき,その限度は,10ppm以下である.

(4) ケイフッ化物 (1)の(i)又は(ii)の試験後の液を沸騰するまで加熱し,液が持続する赤色を呈するまで熱時0.05mol/L水酸化ナトリウム液で滴定するとき,その量は1.5mL以下である.

乾燥減量 1.0%以下(2g,150℃,4時間)

定量法 本品を乾燥し,その約0.2gを精密に量り,水を加えて溶かし,正確に1000mLとする.この液5mLを正確に量り,水を加えて正確に100mLとする.この液5mLを正確に量り,pH5.3の酢酸塩緩衝液15mLを正確に加え,試料溶液とする.別にフッ素標準原液20mLを正確に量り,水を加えて正確に50mLとする.この液5mLを正確に量り,pH5.3の酢酸塩緩衝液15mLを正確に加え,10ppmフッ素標準溶液とする.用時製する.フッ素標準原液4mLを正確に量り,水を加えて正確に100mLとする.この液5mLを正確に量り,pH5.3の酢酸塩緩衝液15mLを正確に加え,1ppmフッ素標準溶液とする.用時製する.試料溶液並びに1ppm及び10ppmフッ素標準溶液につき,フッ素試験法第2法を用いて試料溶液のフッ素濃度(I)を求める.

フッ化ナトリウム(NaF)の量(%)=I/W×17.68

I:1mL当りのフッ素の量(μg)

W:本品採取量(g)

フロログルシン

Phloroglucin

C6H6O3・2H2O:162.14

本品は,フロログルシンの2水和物からなる.本品を乾燥したものは,定量するとき,フロログルシン(C6H6O3:126.11)として95.0%以上を含む.

性状 本品は,白色の結晶性の粉末である.

確認試験

(1) 本品の水溶液(1→1000)10mLに硫酸四アンモニウムセリウム(Ⅳ)二水和物溶液(1→100)1mLを加えるとき,液は,褐色を呈する.

(2) 本品の水溶液(1→1000)10mLにリンタングステン酸溶液(1→50)1mL及び炭酸ナトリウム試液1mLを加えるとき,液は,紫色を呈する.

(3) 本品及び薄層クロマトグラフィー用フロログルシンのそれぞれ0.01gに2―プロパノール/水/アンモニア水(28)混液(9:3:1)1mLずつを加えて溶かした後,更にそれぞれに亜硫酸水素ナトリウム0.1gを加えて振り混ぜ,試料溶液及び標準溶液とする.試料溶液及び標準溶液1μLずつを薄層板にスポットし,イソプロピルエーテル/アセトン/2―プロパノール混液(10:1:1)を展開溶媒として薄層クロマトグラフィーにより試験を行う.薄層板にリンモリブデン酸試液を噴霧し,しばらく放置するとき,薄層クロマトグラフィー用フロログルシンと等しいRf値に灰青色のスポットを認める.

(4) 本品0.025gに水100mLを加えて溶かす.この液につき,吸光度測定法により吸収スペクトルを測定するとき,波長265~269nmに吸収の極大を示す.

融点 209~219℃(第1法)ただし,105℃で2時間乾燥したものを用いる.

純度試験

(1) 溶状 本品0.50gにエタノール(95)10mLを加えて溶かすとき,液は,無色でほとんど澄明である.

(2) 鉄 本品0.50gをとり,試験を行うとき,その限度は,40ppm以下である.ただし,比較液には,鉄標準液2.0mLをとる.

(3) 重金属 本品1.0gをとり,硫酸5mL及び硝酸20mLを加えて静かに加熱する.更に時々,硝酸2~3mLずつを追加して,液が無色~微黄色になるまで加熱を続ける.冷後,水10mL及びフェノールフタレイン試液1滴を加え,液がわずかに紅色を呈するまでアンモニア試液を加える.次いで希酢酸2mLを加え,必要ならばろ過し,残留物を水10mLで洗い,洗液をろ液に合わせ,水を加えて50mLとし,これを試料溶液として第4法により試験を行うとき,その限度は,20ppm以下である.ただし,比較液には,鉛標準液2.0mLをとる.

(4) ヒ素 本品1.0gをとり,硫酸2mL及び硝酸5mLを加えて静かに加熱する.更に時々,硝酸2~3mLずつを追加して,液が無色~微黄色になるまで加熱を続ける.冷後,シュウ酸アンモニウム飽和溶液15mLを加え,白煙が発生するまで加熱する.冷後,水を加えて10mLとし,これを試料溶液として試験を行うとき,その限度は,2ppm以下である。

乾燥減量 20.0~24.0%(1g,105℃,2時間)

強熱残分 0.3%以下(第1法,2g)

定量法 本品を乾燥し,その約0.5gを精密に量り,首長の丸底フラスコに入れ,無水酢酸・ピリジン試液5mLを正確に加え,すり合わせの空気冷却器を付け,水浴中で1時間加熱する.冷後,空気冷却器の上方から水1mLを加えてよく振り混ぜ,更に水浴中で10分間加熱し,冷後,空気冷却器及びフラスコの首部の付着物を中和エタノール5mLで洗い込み,0.5mol/L水酸化カリウム・エタノール液で滴定する(指示薬:フェノールフタレイン試液1mL).同様の方法で空試験を行う.

0.5mol/L水酸化カリウム・エタノール液1mL=21.02mg C6H6O3

ヘマテイン

Hematein

本品は,インド産マメ科植物Haematoxylon campechianum Linn画像53 (1KB)別ウィンドウが開きます
(Leguminosae)から得られ,主としてヘマテイン(C16H12O6:300.26)からなる.

性状 本品は,赤褐色~黒褐色の粉末又は固体で,特異なにおいがある.

確認試験

(1) 本品の水溶液(1→1000)10mLに塩化鉄(Ⅲ)試液5滴を加えるとき,液は,青黒色~黒灰色を呈する.

(2) 本品0.1gにアンモニア試液10mLを加えて溶かすとき,液は,赤紫色~褐紫色を呈する.

純度試験

(1) 溶状 本品0.10gに水100mLを加えて溶かすとき,液は,赤色を呈し,ほとんど澄明である.

(2) 重金属 本品1.0gをとり,硫酸5mL及び硝酸20mLを加えて静かに加熱する.更に時々,硝酸2~3mLずつを追加して,液が無色~微黄色になるまで加熱を続ける.冷後,水10mL及びフェノールフタレイン試液1滴を加え,液がわずかに紅色を呈するまでアンモニア試液を加える.次いで希酢酸2mLを加え,必要ならばろ過し,残留物を水10mLで洗い,洗液をろ液に合わせ,水を加えて50mLとし,これを試料溶液として第4法により試験を行うとき,その限度は,20ppm以下である.ただし,比較液には,鉛標準液2.0mLをとる.

(3) ヒ素 本品1.0gをとり,硫酸2mL及び硝酸5mLを加えて静かに加熱する.更に時々,硝酸2~3mLずつを追加して,液が無色~微黄色になるまで加熱を続ける.冷後,シュウ酸アンモニウム飽和溶液15mLを加え,白煙が発生するまで加熱する.冷後,水を加えて10mLとし,これを試料溶液として試験を行うとき,その限度は,2ppm以下である.

乾燥減量 5.0%以下(1g,シリカゲル,4時間)

強熱残分 15.0%以下(第1法,1g)

没食子酸

Gallic Acid

本品は,主として没食子酸(C7H6O5・H2O:188.13)からなる.

性状 本品は,白色~微黄白色の粉末又は結晶である.

確認試験

(1) 本品の水溶液(1→1000)5mLに塩化鉄(Ⅲ)試液5滴を加えるとき,液は,青黒色を呈する.

(2) 本品0.5gに水10mLを加えて振り混ぜた後,ろ過する.ろ液5mLに硝酸銀アンモニア試液5滴を加えて加熱するとき,液は,銀鏡又は黒褐色の沈殿を生じる.

純度試験

(1) 溶状 本品1.0gに熱湯20mLを加えて溶かすとき,液は,無色~微黄色を呈し,ほとんど澄明である.

(2) 硫酸塩 本品1.0gに水20mLを加えて約1分間振り混ぜた後,ろ過する.ろ液5mLに希塩酸1mL及び水を加えて50mLとし,これを試料溶液として試験を行うとき,その限度は,0.02%以下である.ただし,比較液には,0.005mol/L硫酸0.20mLをとる.

(3) タンニン酸 (2)のろ液5mLにゼラチン試液3滴又はアルブミン試液3滴を加えるとき,液は,沈殿を生じない.

(4) 重金属 本品1.0gをとり,硫酸5mL及び硝酸20mLを加えて静かに加熱する.更に時々,硝酸2~3mLずつを追加して,液が無色~微黄色になるまで加熱を続ける.冷後,水10mL及びフェノールフタレイン試液1滴を加え,液がわずかに紅色を呈するまでアンモニア試液を加える.次いで希酢酸2mLを加え,必要ならばろ過し,残留物を水10mLで洗い,洗液をろ液に合わせ,水を加えて50mLとし,これを試料溶液として第4法により試験を行うとき,その限度は,20ppm以下である.ただし,比較液には,鉛標準液2.0mLをとる.

(5) ヒ素 本品1.0gをとり,硫酸2mL及び硝酸5mLを加えて静かに加熱する.更に時々,硝酸2~3mLずつを追加して,液が無色~微黄色になるまで加熱を続ける.冷後,シュウ酸アンモニウム飽和溶液15mLを加え,白煙が発生するまで加熱する.冷後,水を加えて10mLとし,これを試料溶液として試験を行うとき,その限度は,2ppm以下である.

乾燥減量 8.5~10.5%(1g,105℃,2時間)

強熱残分 0.2%以下(第2法,1g)

(参考)

ポリオキシエチレンラウリルエーテル(8~10E.O.)

Polyoxyethylene Lauryl Ether (8―10E.O.)

本品は,主として「ラウリルアルコール」に酸化エチレンを付加重合させて得られるポリオキシエチレンラウリルエーテルで,酸化エチレンの平均付加モル数は8~10である.

性状 本品は,白色のワセリンよう物質で,わずかに特異なにおいがある.

確認試験

(1) 本品0.5gに水10mL及びチオシアン酸アンモニウム・硝酸コバルト試液5mLを加えてよく振り混ぜ,次にクロロホルム5mLを加え,振り混ぜて放置するとき,クロロホルム層は,青色を呈する.

(2) 本品につき,赤外吸収スペクトル測定法の液膜法により測定するとき,波数1350cm-1,1250cm-1及び1115cm-1付近に吸収を認める.

水酸基価 90~110

純度試験

(1) 酸 本品10.0gをフラスコに入れ,中和エタノール50mLを加え,水浴上で1~2回振り混ぜながらほとんど沸騰するまで加熱する.冷後,0.1mol/L水酸化ナトリウム液5.3mL及びフェノールフタレイン試液5滴を加えるとき,液は,赤色を呈する.

(2) 重金属 本品1.0gをとり,第1法により操作し,試験を行うとき,その限度は,20ppm以下である.ただし,比較液には,鉛標準液2.0mLをとる.

(3) ヒ素 本品1.0gをとり,第3法により試料溶液を調製し,試験を行うとき,その限度は,2ppm以下である.

(4) 不飽和化合物 本品0.5gに水10mLを加えて振り混ぜ,臭素試液5滴を加えるとき,試液の色は消えない.

強熱残分 1.0%以下(第3法,1g)

無水チオ硫酸ナトリウム

Anhydrous Sodium Thiosulfate

チオ硫酸ナトリウム(無水)

Na2S2O3:158.11

本品を乾燥したものは定量するとき,チオ硫酸ナトリウム(Na2S2O3)95.0%以上を含む.

性状 本品は,無色の結晶又は白色の結晶性の粉末である.

確認試験

(1) 本品の水溶液(1→10)は,ナトリウム塩の定性反応(2)を呈する.

(2) 本品の水溶液(1→10)は,チオ硫酸塩の定性反応(1)を呈する.

純度試験

(1) 溶状 本品1.0gに水10mLを加えて溶かすとき,液は無色澄明である.

(2) 重金属 本品1.0gをとり,水10mLを加えて溶かし,希塩酸5mLを徐々に加え,水浴上で蒸発乾固する.残留物に水15mLを加え,2分間穏やかに煮沸した後,ろ過する.ろ液を沸騰するまで加熱し,熱時臭素試液を加え,液が澄明となり,臭素がわずかに過量となったとき,更に煮沸して臭素を除く.冷後,フェノールフタレイン試液1滴を加え,液がわずかに赤色を呈するまで水酸化ナトリウム試液を滴加する.これに希酢酸2mL及び水を加えて50mLとする.これを試料溶液として第4法より試験を行うとき,その限度は,20ppm以下である.ただし,比較液には,鉛標準液2.0mLをとる.

(3) カルシウム 本品1.0gをとり,水10mLを加えて溶かし,シュウ酸アンモニウム試液2mLを加え,4分間放置するとき,液は,混濁しない.

(4) ヒ素 本品0.20gをとり,硝酸3mL及び水5mLを加え,水浴上で蒸発乾固する.残留物に水5mL及び硫酸1mLを加え,更に亜硫酸水10mLを加え,水浴上で加熱して約2mLとなるまで濃縮し,水を加えて5mLとする.これを試料溶液として試験を行うとき,その限度は,10ppm以下である.

乾燥減量 3.0%以下(1g,105℃,3時間)

定量法 本品を乾燥し,その約0.4gを精密に量り,水30mLを加えて溶かし,0.05mol/Lヨウ素液で滴定する(指示薬:デンプン試液1mL).

0.05mol/Lヨウ素液1mL=15.81mg Na2S2O3

メタアミノフェノール

m-Aminophenol

C6H7NO:109.13

本品を乾燥したものは,定量するとき,メタアミノフェノール(C6H7NO)98.0%以上を含む.

性状 本品は,白色~淡黄色の粉末又は薄片,あるいは帯灰黒色の小片で,特異なにおいがある.

確認試験

(1) 本品の水溶液(1→100)10mLに塩化鉄(Ⅲ)試液5滴を加えるとき,液は,黄色~帯赤褐色を呈する.

(2) 本品の水溶液(1→1000)5mLに希塩酸2mL及び亜硝酸ナトリウム試液3mLを加え,更に2,4―ジニトロフェノール溶液(1→1000)0.5mLを加えるとき,液は,だいだい色を呈する.

(3) 本品及び薄層クロマトグラフィー用メタアミノフェノールのそれぞれ0.01gに2―プロパノール/水/アンモニア水(28)混液(9:3:1)1mLずつを加えて溶かした後,更にそれぞれに亜硫酸水素ナトリウム0.1gを加えて振り混ぜ,試料溶液及び標準溶液とする.試料溶液及び標準溶液1μLずつを薄層板にスポットし,イソプロピルエーテル/アセトン/2―プロパノール混液(10:1:1)を展開溶媒として薄層クロマトグラフィーにより試験を行う.薄層板にp―ジメチルアミノベンズアルデヒドの希塩酸溶液(1→200)を噴霧するとき,薄層クロマトグラフィー用メタアミノフェノールと等しいRf値に黄色のスポットを認める.

(4) 本品0.025gに水100mLを加えて溶かし,その10mLをとり,水を加えて,100mLとする.この液につき,吸光度測定法により吸収スペクトルを測定するとき,波長280~284nmに吸収の極大を示す.

融点 117~125℃(第1法)

純度試験

(1) 溶状 本品0.50gに希塩酸10mLを加えて溶かすとき,液は,無色~淡黄褐色を呈し,ほとんど澄明である.

(2) 鉄 本品1.0gをとり,試験を行うとき,その限度は,30ppm以下である.ただし,比較液には,鉄標準液3.0mLをとる.

(3) 重金属 本品1.0gをとり,硫酸5mL及び硝酸20mLを加えて静かに加熱する.更に時々,硝酸2~3mLずつを追加して,液が無色~微黄色になるまで加熱を続ける.冷後,水10mL及びフェノールフタレイン試液1滴を加え,液がわずかに紅色を呈するまでアンモニア試液を加える.次いで希酢酸2mLを加え,必要ならばろ過し,残留物を水10mLで洗い,洗液をろ液に合わせ,水を加えて50mLとし,これを試料溶液として第4法により試験を行うとき,その限度は,20ppm以下である。ただし,比較液には,鉛標準液2.0mLをとる.

(4) ヒ素 本品1.0gをとり,硫酸2mL及び硝酸5mLを加えて静かに加熱する.更に時々,硝酸2~3mLずつを追加して,液が無色~微黄色になるまで加熱を続ける.冷後,シュウ酸アンモニウム飽和溶液15mLを加え,白煙が発生するまで加熱する.冷後,水を加えて10mLとし,これを試料溶液として試験を行うとき,その限度は,2ppm以下である.

(5) 有機性不純物 確認試験(3)で得た薄層板には,薄層クロマトグラフィー用メタアミノフェノールと等しいRf値に単一の黄色のスポット以外のスポットを認めない.

乾燥減量 0.5%以下(1.5g,シリカゲル,4時間)

強熱残分 0.5%以下(第1法,2g)

定量法 本品を乾燥し,その約0.19gを精密に量り,窒素定量法(第2法)により試験を行う.

0.05mol/L硫酸1mL=10.91mg C6H7NO

メタフェニレンジアミン

m-Phenylenediamine

C6H8N2:108.14

本品を乾燥したものは,定量するとき,メタフェニレンジアミン(C6H8N2)95.0%以上を含む.

性状 本品は,褐色,又は帯青黒褐色~黒褐色の結晶又は固体で,わずかに特異なにおいがある.

確認試験

(1) 本品1gに水100mLを加えてよくかき混ぜた後,ろ過する.ろ液5mLに硝酸銀試液5滴を加えるとき,液は,淡黒紫色を呈し,これを加熱するとき,液の色は,灰緑色~灰緑褐色に変わり,沈殿を生じる.

(2) (1)のろ液3mLにフルフラール・酢酸試液4滴を加えるとき,液は,帯黄赤色~黄褐色を呈し,混濁する.

(3) 本品及び薄層クロマトグラフィー用塩酸メタフェニレンジアミンのそれぞれ0.01gに2―プロパノール/水/アンモニア水(28)混液(9:3:1)1mLずつを加えて溶かした後,更にそれぞれに亜硫酸水素ナトリウム0.1gを加えて振り混ぜ,試料溶液及び標準溶液とする.試料溶液及び標準溶液1μLずつを薄層板にスポットし,イソプロピルエーテル/アセトン/2―プロパノール混液(10:1:1)を展開溶媒として薄層クロマトグラフィーにより試験を行う.薄層板にp―ジメチルアミノベンズアルデヒドの希塩酸溶液(1→200)を噴霧するとき,薄層クロマトグラフィー用塩酸メタフェニレンジアミンと等しいRf値に帯赤黄色のスポットを認める.

(4) 本品0.025gに水100mLを加えて溶かし,必要ならばろ過し,その液1mLをとり,水を加えて100mLとする.この液につき,吸光度測定法により吸収スペクトルを測定するとき,波長285~289nmに吸収の極大を示す.

融点 57~65℃(第1法)

純度試験

(1) 溶状 本品0.50gに希塩酸10mLを加えて溶かすとき,液は,黒褐色を呈し,ほとんど澄明である.

(2) 鉄 本品1.0gをとり,試験を行うとき,その限度は,20ppm以下である.ただし,比較液には,鉄標準液2.0mLをとる.

(3) 重金属 本品1.0gをとり,硫酸5mL及び硝酸20mLを加えて静かに加熱する.更に時々,硝酸2~3mLずつを追加して,液が無色~微黄色になるまで加熱をつづける.冷後,水10mL及びフェノールフタレイン試液1滴を加え,液がわずかに紅色を呈するまでアンモニア試液を加える.次いで希酢酸2mLを加え,必要ならばろ過し,残留物を水10mLで洗い,洗液をろ液に合わせ,水を加えて50mLとし,これを試料溶液として第4法により試験を行うとき,その限度は,20ppm以下である.ただし,比較液には,鉛標準液2.0mLをとる.

(4) ヒ素 本品1.0gをとり,硫酸2mL及び硝酸5mLを加えて静かに加熱する.更に時々,硝酸2~3mLずつを追加して,液が無色~微黄色になるまで加熱を続ける.冷後,シュウ酸アンモニウム飽和溶液15mLを加え,白煙が発生するまで加熱する.冷後,水を加えて10mLとし,これを試料溶液として試験を行うとき,その限度は,2ppm以下である.

(5) 有機性不純物 確認試験(3)で得た薄層板には,薄層クロマトグラフィー用塩酸メタフェニレンジアミンと等しいRf値に単一の帯赤黄色のスポット以外のスポットを認めない.

乾燥減量 0.5%以下(1.5g,シリカゲル,4時間)

強熱残分 0.3%以下(第1法,2g)

定量法 本品を乾燥し,その約0.10gを精密に量り,窒素定量法(第2法)により試験を行う.

0.05mol/L硫酸1mL=5.407mg C6H8N2

モノエタノールアミン

Monoethanolamine

エタノールアミン

Ethanolamine

C2H7NO:61.08

本品は,定量するとき,モノエタノールアミン(C2H7NO)98.0%以上を含む.

性状 本品は,無色~微黄色の液で,わずかに特異なにおいがある.

確認試験

(1) 本品1mLを静かに加熱するとき,発生するガスは,潤したリトマス紙を青変する.

(2) 本品の水溶液(1→10)1mLにペンタシアノニトロシル鉄(Ⅲ)酸ナトリウム試液1滴及びアセトン1滴を加えて振り混ぜるとき,液は,直ちに赤紫色を呈する.

屈折率 画像57 (1KB)別ウィンドウが開きます
:1.451~1.457

比重 画像58 (1KB)別ウィンドウが開きます
:1.014~1.021(第1法)

純度試験

(1) 溶状 本品5.0gに水を加えて20mLとした液は,澄明である.

(2) 重金属 本品1.0gをとり,第2法により操作し,試験を行うとき,その限度は,20ppm以下である.ただし,比較液には,鉛標準液2.0mLをとる.

(3) ヒ素 本品0.40gをとり,第3法により試料溶液を調製し,試験を行うとき,その限度は,5ppm以下である.

水分 0.5%以下(1g)

強熱残分 0.01%以下(第2法,10g)

定量法 本品約1gを精密に量り,水30mLを加えて振り混ぜた後,0.5mol/L塩酸で滴定する(指示薬:ブロモクレゾールグリン試液3滴).

0.5mol/L塩酸1mL=30.54mg C2H7NO

モノフルオロリン酸ナトリウム

Sodium Monofluorophosphate

Na2FPO3:143.95

本品を乾燥したものは定量するとき,モノフルオロリン酸ナトリウム(Na2FPO3)90.0%以上を含む.

性状 本品は白色の結晶性の粉末である.

確認試験

(1) 本品の水溶液(1→50)2mLにピロアンチモン酸カリウム試液1mLを加えるとき,白色の結晶性の沈殿を生じる.

(2) 本品の水溶液(1→100)2mLに過塩素酸銀溶液(2→5)1滴を加えるとき,白色の沈殿を生じる.

(3) 本品の水溶液(1→1000)2mLに薄めた硫酸(1→2)0.5mLを加え,よく振り混ぜる.水浴中で10分間加熱し,冷後,フェノールフタレイン試液1滴を加え,水酸化ナトリウム溶液(1→5)で中和し,pH5.2の酢酸・酢酸ナトリウム緩衝液5mL及びランタン・アリザリンコンプレキソン試液2mLを加えるとき,液は青紫色を呈する.

pH 本品2.0gをとり,水を加えて溶かし,100mLとした液のpHは6.2~7.8である.

純度試験

(1) フッ化ナトリウム 本品を乾燥し,その約0.7gを精密に量り,水を加えて溶かし,正確に20mLとする.この液2mLを正確に量り,水を加えて正確に100mLとする.この液5mLを正確に量り,pH5.3の酢酸塩緩衝液15mLを正確に加え,試料溶液とする.別にフッ素標準原液20mLを正確に量り,水を加えて正確に50mLとする.この液5mLを正確に量り,pH5.3の酢酸塩緩衝液15mLを正確に加え,10ppmフッ素標準溶液とする.用時製する.フッ素標準原液4mLを正確に量り,水を加えて正確に100mLとする.この液5mLを正確に量り,pH5.3の酢酸塩緩衝液15mLを正確に加え,1ppmフッ素標準溶液とする.用時製する.試料溶液並びに1ppm及び10ppmフッ素標準溶液につき,フッ素試験法第2法を用いて試料溶液のフッ素濃度(I)を求めるとき,フッ化ナトリウムは3%以下である.

フッ化ナトリウム(NaF)の量(%)=I/W×0.8840

I:1mL当りのフッ素の量(μg)

W:本品採取量(g)

なお,試料溶液の測定値が,標準溶液の範囲に入らない時は,希釈率を変えて測定を行う.

(2) 重金属 本品1.0gに水20mLを加えて溶かし,更に希塩酸5mLを加え,よくかき混ぜ必要ならばろ過する.この液にアンモニア試液を加えて中和した後(指示薬:フェノールフタレイン試液),希酢酸2mL及び水を加えて50mLとする.これを試料溶液として第4法により試験を行うとき,その限度は,20ppm以下である.ただし,比較液には,鉛標準液2.0mLをとる.

(3) ヒ素 本品0.20gを白金皿にとり,硝酸2mL及び臭素試液1mLを加え,水浴上で約10分間加熱する.次に薄めた硫酸(1→10)5mLを加え,酸が出なくなるまで水浴上で蒸発した後,少量の水で白金皿の内壁を洗い,更に水浴上で蒸発する.これを少量の水に溶かしたものを試料溶液として試験を行うとき,その限度は,10ppm以下である.

乾燥減量 1.0%以下(2g,105℃,2時間)

定量法 本品を乾燥し,その約0.1gを精密に量り,水を加えて正確に100mLとする.この液5mLを正確に量り,2mol/L過塩素酸試液20mLを加え,水を加えて正確に100mLとする.この液5mLを共栓試験管に正確に量り,栓をして水浴上で20分間加熱する.冷後,この液にpH5.3の酢酸塩緩衝液15mLを正確に加えて試料溶液とする.別にフッ素標準原液25mLを正確に量り,水を加えて正確に50mLとする.この液4mLを正確に量り,2mol/L過塩素酸試液1mL及びpH5.3の酢酸塩緩衝液15mLを正確に加え,10ppmフッ素標準溶液とする.用時製する.フッ素標準原液5mLを正確に量り,水を加えて正確に100mLとする.この液4mLを正確に量り,2mol/L過塩素酸試液1mL及びpH5.3の酢酸塩緩衝液15mLを正確に加え,1ppmフッ素標準溶液とする.用時製する.試料溶液並びに1ppm及び10ppmフッ素標準溶液につき,フッ素試験法第2法を用いて試料溶液のフッ素濃度(I)を求める.ここで得たフッ素の量(I)及び純度試験(1)で得たフッ化ナトリウムの量から,モノフルオロリン酸ナトリウムの量を求める.

モノフルオロリン酸ナトリウム(Na2FPO3)の量(%)=7.576×(0.8000×I/W-0.4525×NaF)

I:1mL当りのフッ素の量(μg)

W:本品採取量(g)

NaF:フッ化ナトリウムの量(%)

硫酸5―アミノオルトクレゾール

5-Amino-o-cresol Sulfate

硫酸パラアミノオルトクレゾール

(C7H9NO)2・H2SO4:344.38

本品を乾燥したものは,定量するとき,硫酸5―アミノオルトクレゾール〔(C7H9NO)2・H2SO4〕95.0%以上を含む.

性状 本品は,白色~淡褐色の結晶性の粉末又は結晶である.

確認試験

(1) 本品の水溶液(1→200)5mLに塩化鉄(Ⅲ)試液5滴を加えるとき,液は,黄褐色を呈する.

(2) 本品の水溶液(1→200)5mLに塩化バリウム試液5滴を加えるとき,液は,白濁する.

(3) 本品及び薄層クロマトグラフィー用パラニトロアニリンのそれぞれ0.01gに2―プロパノール/水/アンモニア水(28)混液(9:3:1)1mLずつを加えて溶かした後,更にそれぞれに亜硫酸水素ナトリウム0.1gを加えて振り混ぜ,試料溶液及び標準溶液とする.試料溶液及び標準溶液1μLずつを薄層板にスポットし,イソプロピルエーテル/アセトン/2―プロパノール混液(10:1:1)を展開溶媒として薄層クロマトグラフィーにより試験を行う.薄層板にp―ジメチルアミノベンズアルデヒドの希塩酸溶液(1→200)を噴霧するとき,薄層クロマトグラフィー用パラニトロアニリンに対するRs値0.7付近に黄色のスポットを認める.

(4) 本品0.05gに水100mLを加えて溶かし,その10mLをとり,水を加えて100mLとする.この液につき,吸光度測定法により吸収スペクトルを測定するとき,波長271~275nmに吸収の極大を示す.

純度試験

(1) 溶状 本品0.50gに希塩酸20mLを加えて溶かすとき,液は,無色~淡黄褐色を呈し,ほとんど澄明である.

(2) エーテル可溶物 本品約1gを精密に量り,ジエチルエーテル50mLを加え,還流冷却器を付けて水浴上で時々振り混ぜながら1時間煮沸する.温時,これをガラスろ過器(G3)を用いて質量既知のフラスコにろ過する.残留物をジエチルエーテル20mLで洗い,洗液及びろ液を合わせて水浴上で留去した後,105℃で30分間乾燥し,質量を精密に量るとき,その限度は,1.0%以下である.

(3) 鉄 本品1.0gをとり,試験を行うとき,その限度は,20ppm以下である.ただし,比較液には,鉄標準液2.0mLをとる.

(4) 重金属 本品1.0gをとり,硫酸5mL及び硝酸20mLを加えて静かに加熱する.更に時々,硝酸2~3mLずつを追加して,液が無色~微黄色になるまで加熱を続ける.冷後,水10mL及びフェノールフタレイン試液1滴を加え,液がわずかに紅色を呈するまでアンモニア試液を加える.次いで希酢酸2mLを加え,必要ならばろ過し,残留物を水10mLで洗い,洗液をろ液に合わせ,水を加えて50mLとし,これを試料溶液として第4法により試験を行うとき,その限度は,20ppm以下である.ただし,比較液には,鉛標準液2.0mLをとる.

(5) ヒ素 本品1.0gをとり,硫酸2mL及び硝酸5mLを加えて静かに加熱する.更に時々,硝酸2~3mLずつを追加して,液が無色~微黄色になるまで加熱を続ける.冷後,シュウ酸アンモニウム飽和溶液15mLを加え,白煙が発生するまで加熱する.冷後,水を加えて10mLとし,これを試料溶液として試験を行うとき,その限度は,2ppm以下である.

(6) 有機性不純物 確認試験(3)で得た薄層板には,薄層クロマトグラフィー用パラニトロアニリンに対するRs値0.7付近に単一の黄色のスポット以外のスポットを認めない.

乾燥減量 1.0%以下(1g,105℃,2時間)

強熱残分 0.2%以下(第1法,1g)

定量法 本品を乾燥し,その約0.31gを精密に量り,窒素定量法(第2法)により試験を行う.

0.05mol/L硫酸1mL=17.22mg (C7H9NO)2・H2SO4

硫酸2―アミノ―5―ニトロフェノール

2-Amino-5-nitrophenol Sulfate

(C6H6N2O3)2・H2SO4:406.33

本品を乾燥したものは,定量するとき,硫酸2―アミノ―5―ニトロフェノール〔(C6H6N2O3)2・H2SO4〕95.0%以上を含む.

性状 本品は,帯緑黄褐色の粉末である.

確認試験

(1) 本品の水溶液(1→2500)10mLに塩化鉄(Ⅲ)試液5滴を加えるとき,液は,黄褐色を呈する.

(2) 本品0.5gに水100mLを加えて溶かし,ろ過する.ろ液5mLに塩化バリウム試液5滴を加えるとき,液は,白濁する.

(3) 本品及び薄層クロマトグラフィー用パラニトロアニリンのそれぞれ0.01gに2―プロパノール/水/アンモニア水(28)混液(9:3:1)1mLずつを加えて溶かした後,更にそれぞれに亜硫酸水素ナトリウム0.1gを加えて振り混ぜ,試料溶液及び標準溶液とする.試料溶液及び標準溶液1μLずつを薄層板にスポットし,イソプロピルエーテル/アセトン/2―プロパノール混液(10:1:1)を展開溶媒として薄層クロマトグラフィーにより試験を行う.薄層板にp―ジメチルアミノベンズアルデヒドの希塩酸溶液(1→200)を噴霧するとき,薄層クロマトグラフィー用パラニトロアニリンに対するRs値1.0付近にだいだい色のスポットを認める.

(4) 本品0.02gに水100mLを加えて溶かし,その10mLをとり,水を加えて100mLとする.この液につき,吸光度測定法により吸収スペクトルを測定するとき,波長255~259nmに吸収の極大を示す.

純度試験

(1) 溶状 本品0.10gに希塩酸20mLを加えて溶かすとき,液は,黄色を呈し,澄明である.

(2) 鉄 本品1.0gをとり,試験を行うとき,その限度は,20ppm以下である.ただし,比較液には,鉄標準液2.0mLをとる.

(3) 重金属 本品1.0gをとり,硫酸5mL及び硝酸20mLを加えて静かに加熱する.更に時々,硝酸2~3mLずつを追加して,液が無色~微黄色になるまで加熱を続ける.冷後,水10mL及びフェノールフタレイン試液1滴を加え,液がわずかに紅色を呈するまでアンモニア試液を加える.次いで希酢酸2mLを加え,必要ならばろ過し,残留物を水10mLで洗い,洗液をろ液に合わせ,水を加えて50mLとし,これを試料溶液として第4法により試験を行うとき,その限度は,30ppm以下である.ただし,比較液には,鉛標準液3.0mLをとる.

(4) ヒ素 本品1.0gをとり,硫酸2mL及び硝酸5mLを加えて静かに加熱する.更に時々,硝酸2~3mLずつを追加して,液が無色~微黄色になるまで加熱を続ける.冷後,シュウ酸アンモニウム飽和溶液15mLを加え,白煙が発生するまで加熱する.冷後,水を加えて10mLとし,これを試料溶液として試験を行うとき,その限度は,2ppm以下である.