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○薬局方テキストをICH地域において相互利用するための評価及び勧告に関するガイドライン(ICHQ4Bガイドライン)について

(平成21年5月26日)

(薬食審査発第0526001号)

(各都道府県衛生主管部(局)長あて厚生労働省医薬食品局審査管理課長通知)

近年、優れた新医薬品の地球規模での研究開発の促進と、患者への迅速な提供を図るため、承認審査資料の国際的ハーモナイゼーション推進の必要性が指摘されています。このような要請に応えるため、日米EU医薬品規制調和国際会議(ICH)が組織され、品質、安全性及び有効性を含む各分野で、ハーモナイゼーションの促進を図るための活動が行われているところです。

今般、ICHの合意に基づき、別添のとおり「ICHQ4Bガイドライン」(以下「本ガイドライン」という。)がとりまとめられましたので、下記について御了知の上、貴管下関係業者等に対して周知方御配慮願います。

1.本ガイドラインの目的

本ガイドラインは、Q4B専門家作業部会(EWG)による薬局方テキストの評価及び勧告のプロセスを示し、ICH地域における薬局方テキストの相互利用を促進するためのものである。

2.本ガイドラインの留意事項

本ガイドラインで示されているプロセスによりICH地域において薬局方テキストが相互利用可能であると判断された場合、事項別付属文書が示される。当該文書の第2章に示される薬局方テキストは、当該文書に示される条件に従い、利用することができること。

なお、当該文書の第4章に示されている施行の要件については、別途当該文書を施行する際の通知により定めることとする。

〔別添〕

[ICHQ4Bガイドライン]

薬局方テキストをICH地域において相互利用するための評価及び勧告

Evaluation and Recommendation of Pharmacopoeial Texts for Use in the ICH Regions

ステップ4文書

ICHQ4Bガイドライン

(薬局方テキストをICH地域において相互利用するための評価及び勧告)

目次

第1章 序文

1.1 ガイドラインの目的

1.2 背景

1.2.1 三極薬局方検討会議(PDG)

1.2.2 Q4B専門家作業部会(EWG)

1.3 ガイドラインの範囲

1.4 一般原則

第2章 ガイドライン

2.1 Q4B評価プロセス

2.1.1 ステップ1

2.1.2 ステップ2

2.1.3 ステップ3

2.1.4 ステップ4

2.1.5 ステップ5

2.2 事項別付属文書の内容

2.3 薬局方テキストの利用

2.3.1 施行に当たっての留意事項

第3章 用語集

添付資料Ⅰ

添付資料Ⅱ

第1章 序文

1.1 ガイドラインの目的

本ガイドラインは、Q4B専門家作業部会(EWG)による薬局方テキストの評価及び勧告のプロセスを示し、ICH地域において薬局方テキストを相互利用するため、規制当局が評価及び勧告を受け入れることを促す。ICHは、適切に評価を行った後、評価した薬局方テキストや施行に関する情報(Q4B評価結果)を記載した事項別付属文書を発出する。事項別付属文書の施行は、企業において試験の重複を避けることにつながる。

1.2 背景

Q6Aガイドライン(新医薬品の規格及び試験方法の設定について)及びQ6Bガイドライン[生物薬品(バイオテクノロジー応用医薬品/生物起源由来医薬品)の規格及び試験方法の設定について]が発出された際、ICHはこれらのガイドラインが十分に利用され価値あるものとなるかどうかは、薬局方の一般試験法の調和がうまくいくかどうかにかかっていることを認識し、三極薬局方検討会議(PDG)に調和作業を積極的に推進することを要望した。

1.2.1 三極薬局方検討会議(PDG)

PDGは1990年に設立され、欧州評議会のEuropean Directorate for the Quality of Medicines(EDQM:欧州医薬品品質部門)、日本の厚生労働省(MHLW)及びUnited States Pharmacopeial Convention,Inc(USP:米国薬局方)の代表者によって構成される。PDGは、独自の意見・情報の募集のプロセスを経て調和薬局方テキストを作成している。また、ICH会議において調和の進捗状況を適宜報告している。

1.2.2 Q4B専門家作業部会(EWG)

2003年11月、ICHは、薬局方テキストを評価しICH地域内で相互利用することを勧告するため、Q4B専門家作業部会を立ち上げた。Q4B専門家作業部会は、PDGが薬局方の調和テキストを提示するという主要な役割を担うことを期待している。しかし、PDGの三機関のすべてが特定の薬局方テキストの調和活動に参加できないこともある。その場合、Q4B専門家作業部会は、PDGの三極薬局方のうち一極又は二極の薬局方からの提案も受け入れる。

1.3 ガイドラインの範囲

Q4B専門家作業部会は、まずQ6Aガイドラインの作成中に議論された一般試験法11項目に焦点を合わせて作業する(添付資料Ⅰ参照)。薬局方の調和テキストはこの他にも多数作成され続けており、それらもQ4Bの評価対象になり得る。

1.4 一般原則

Q4B専門家作業部会は、提出された薬局方テキストを評価し規制への影響を検討する。Q4B専門家作業部会は、Q4B評価プロセスを通してPDGと随時意見交換を行う。評価に続き、Q4B専門家作業部会は結論を導き、評価した薬局方テキストをICH地域内で相互利用できるという勧告をICH運営委員会に伝達する。評価された個々の薬局方テキストに関し、Q4B専門家作業部会はQ4Bガイドラインに対する事項別付属文書を以下のICHステップに従って作成する。その付属文書には、ICH地域において薬局方テキストを相互利用するための情報が記載される。個々の付属文書は、Q4Bガイドラインに関連する個別文書として発出される。

公明性を保つため、Q4B評価プロセスに提出された薬局方テキストの改定は、Q4B専門家作業部会に連絡されなければならない。Q4Bに提案又はQ4B評価プロセスを経て勧告された薬局方テキストに変更が生じた場合、Q4B専門家作業部会は、変更による利点及び当該薬局方テキストの取扱いについて速やかに検討を行うこととする。

第2章 ガイドライン

2.1 Q4B評価プロセス

評価プロセスは、Q4B専門家作業部会に提出文書が届いてから開始される。それらはPDGが提案する場合、PDGのステージ5B後にできるだけ速やかに提出される(添付資料Ⅱ参照)。提出文書には、解決を要する問題について記載し、評価に必要な資料をすべて添付するものとする。

Q4B評価プロセスによって、薬局方テキストがICH地域において相互利用が可能であると判断され、勧告された場合、下記に詳細を示すようにICHプロセスのステップに従って、Q4B事項別付属文書が発効される。

2.1.1 ステップ1

各Q4B参加機関は、提出文書が規制へ及ぼす影響についてそれぞれ独立して評価を行う。Q4B専門家作業部会内でさらに討議を重ね、提出グループ(例:PDG)との意見交換を行うことによって評価の際に見出された問題点をすべて解決しておく(以下の図を参照)。

Q4B評価プロセスで、薬局方テキストがICH地域において相互利用が可能であるという勧告に至った場合、Q4B専門家作業部会は事項別付属文書案を作成し、合意署名して、ステップ2の採択のためICH運営委員会に提出する。

2.1.2 ステップ2

Q4B専門家作業部会の報告に基づき、ICH運営委員会は、ステップ3の意見・情報の募集と議論へ進むに当たって、技術的問題に関する十分な科学的コンセンサスが得られている事項別付属文書案であることを承認する。

2.1.3 ステップ3

意見・情報の募集(通常3ヶ月)を行う。意見・情報の募集と議論は、事項別付属文書の中のQ4B評価結果に焦点をあてる。Q4B専門家作業部会は、提出されたコメントに基づいて事項別付属文書を改訂することができる。そして、最終案をICH運営委員会に提出する。

2.1.4 ステップ4

ICH運営委員会は事項別付属文書を採択し、本ガイドラインに関連する個別文書として発出する。

2.1.5 ステップ5

各極規制当局は事項別付属文書を施行する。

2.2 事項別付属文書の内容

事項別付属文書には以下の情報が含まれる。その他の情報も、適宜加えられる。

・ 事項名

・ 序文

・ Q4B評価結果

・ 適宜、受け入れられた薬局方テキストについて、関係者が利用する際に役立つ説明

・ 薬局方テキストの相互利用が可能となるスケジュール

・ 適宜、方法及び判定基準の参考文献

2.3 薬局方テキストの利用

規制当局が事項別付属文書を施行した地域では、その事項別付属文書に参照されている正式に発効された薬局方テキストを相互利用できるようになる。各規制地域での施行に関する一般的な及び/又は特有の勧告は、事項別付属文書の‘第4章 施行に当たっての留意事項’の章で示される。その基本的な内容は次のとおりである:

2.3.1 施行に当たっての留意事項

全般的な事項:事項別付属文書の施行後、製造販売業者等が、従前の方法をQ4B専門家作業部会が評価した事項別付属文書の第2章に参照されている薬局方テキストに変更する場合、いかなる変更(届出、申請)、及び/又は事前承認の手続きは、各規制地域の薬局方の改正に関する取扱いに従う。

これらの全般的な事項に加え、各規制地域に特有の情報を示すことにより施行が円滑に行われる。各規制当局は、それぞれの関係者に対して事項別付属文書の施行に関連した情報を提供する。

米国(FDA)の場合:上記の勧告に基づき、そして、事項別付属文書に示された条件に従い、第2章に参照されている薬局方テキストは相互利用できるとみなされる。しかしながら、どの薬局方を用いるかにかかわらず、企業が選択した試験方法が個別の品目に対して適用できるかどうか説明を求める場合がある。

EUの場合:欧州連合では、欧州薬局方の各条を適用する義務がある。規制当局は、上記の相互利用の宣言に基づき、事項別付属文書に示される条件に従い、欧州薬局方収載の各条[参照する章などを具体的に記載]の適合性の必要条件を満たしているとして、販売承認申請、更新、変更申請において事項別付属文書の第2章で参照されている他の薬局方テキストを利用することを受け入れることができる。

日本(厚生労働省)の場合:事項別付属文書の第2章に参照されている薬局方テキストは、事項別付属文書に示される条件に従い、相互利用が可能なものとして利用することができる。施行の要件については、事項別付属文書を施行する際に厚生労働省より通知される。

第3章 用語集

提出文書―PDG又は三極薬局方(米国薬局方、欧州薬局方、日本薬局方)の中の一極若しくは二極の薬局方から受理する作業文書で、Q4B専門家作業部会での評価のための薬局方テキスト案及び関連資料を含む。

相互利用―相互利用が可能とされた場合、ICH地域内では、医薬品の登録/承認の際に、正式に発行されている薬局方テキストをその他二極の薬局方テキストに置き換えることができる。相互利用が可能とされた試験法を用いれば、どの薬局方の試験法かにかかわらず、試験者は同じ適否判定に達するであろう。

PDG―三極薬局方検討会議。欧州評議会内のEuropean Directorate for the Quality of Medicines(EDQM:欧州医薬品品質部門)、日本の厚生労働省(MHLW)及びUnited States Pharmacopeial Convention,Inc.(USP:米国薬局方)の代表者によって構成される。

薬局方テキスト―三極薬局方に示されている、医薬品各条、一般試験法、分析方法。

Q4B評価結果―Q4B評価プロセスにより導き出された結果;評価された薬局方テキストの利用に関する情報が含まれる。Q4B評価結果は、各薬局方テキストに対して作成される事項別付属文書の一部である。

添付資料Ⅰ

ICH Q6A一般試験法

添付資料Ⅱ

ICH Q4B専門家作業部会の評価のためのPDG提出文書

PDGからの提出文書の例を示したものである。

担当薬局方はPDGを代表してPDGのステージ5Bの合意署名後速やか(通常6ヶ月以内)に、下記のテキストと情報(「提出文書」)をICH事務局経由でQ4B専門家作業部会に提出し、併せて写しをQ4B専門家作業部会ラポーターに提出する。

1) PDG調和テキストを含むPDG合意署名文書(PDGのステージ5B)。

2) 概要説明書、特に以下に関するもの。

a.薬局方間の相違点。非調和部分に関する説明を含む。

b.公刊に関して特に問題となる事項。

c.同等性評価を行った場合は、その結果の概要。

d.各薬局方での公刊及び施行の予定。

e.上記以外で評価に必要と考えられる情報。

3) 各薬局方原案。相違点に関する記述も添付すること。

4) 局方によっては、調和に関する情報を取り扱う章が設けられている場合がある。したがって、その章の改訂案がある場合には提出文書に添付すること。

Q4B専門家作業部会へ資料提出後に変更又は新たな違いが明らかになった場合、当該薬局方は直ちにQ4B専門家作業部会へ連絡すること。