添付一覧
○薬事法の一部を改正する法律等の施行に伴う卸売販売業の取扱い等について
(平成21年6月1日)
(薬食発第0601001号)
(各都道府県知事・各保健所設置市長・各特別区長あて厚生労働省医薬食品局長通知)
「薬事法の一部を改正する法律」(平成18年法律第69号)等については、平成21年5月8日付薬食発第0508003号「薬事法の一部を改正する法律等の施行等について」において、その改正の趣旨、内容等を示したところである。
今般、更に、卸売販売業の取扱い等を下記のとおり定めたので、御了知の上、貴管内市町村、関係団体、関係機関等に周知徹底を図るとともに、適切な指導を行い、その実施に遺漏なきを期されたい。
なお、昭和56年6月16日付薬発第552号薬務局長通知「薬事法の一部を改正する法律の施行等に伴う卸売一般販売業等の取扱いについて」は、本通知をもって廃止する。ただし、薬事法の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備等及び経過措置に関する政令(平成21年政令第2号)第5条に規定する特例許可旧卸売一般販売業者における販売先等変更許可の取扱い(当該許可の有効期間の残存期間に限る。)については、引き続き同通知第一の四によることとされたい。
記
第1 卸売販売業に関する事項
1 薬局等構造設備規則第3条第1項第3号ただし書が適用される場合の取扱い
卸売販売業の営業所の面積については、薬局等構造設備規則(昭和36年厚生省令第2号。以下「構造設備規則」という。)第3条第1項第3号本文の規定により、おおむね100平方メートル以上が必要とされているが、同号ただし書の規定により、その業態から判断してこの基準が適用されない場合は、ア 取扱量が小規模の卸(以下「小規模卸」という。)イ 特定品目のみを取り扱う卸(以下「特定品目卸」という。)ウ 製造業者の出張所等でサンプルのみを取り扱う卸(以下「サンプル卸」という。)の三つの場合が考えられるところ、その取扱いについては、次によるものとすること。
(1) 小規模卸
小規模卸については、当該卸の医薬品の販売高、在庫額、販売品目数等を勘案して判断すべきものと考えられるが、卸売販売業の業態の多様性、都道府県における実情等を踏まえると、現在のところその統一的な基準を示すことは困難であることから、当面の間、それぞれの都道府県の実情に応じた適切な取扱いをされたいこと。
(2) 特定品目卸
特定品目卸とは、次に掲げる品目のみを取り扱う卸をいうものであること。
ア 製造専用医薬品
イ 化学製品等の製造原料である重曹、ブドウ糖、乳糖等の医薬品
ウ ワクチン、血液製剤等の生物学的製剤
エ 薬事法施行規則(昭和36年厚生省令第1号。以下「施行規則」という。)第154条第1号の規定に基づき厚生労働大臣が指定する医療の用に供するガス類その他これに類する医薬品
オ 施行規則第154条第2号の規定に基づき厚生労働大臣が指定する歯科医療の用に供する医薬品
カ その他業態からみて品目が特定される医薬品(検査用試薬等の診断用薬、防疫用薬剤等の公衆衛生用薬等)
2 許可申請手続等
小規模卸、特定品目卸及びサンプル卸を含め、新たに卸売販売業の許可を与え、又は許可の更新を行おうとする場合には、当該卸の販売高、在庫額、販売品目数等を把握し、保管設備を含む営業所の面積について、医薬品の取扱量に応じた適正な広さを有するよう指導されたいこと。
なお、小規模卸、特定品目卸又はサンプル卸の区別(体外診断用医薬品のみを取り扱う場合には、併せて体外診断用医薬品卸である旨の区別)については、卸売販売業許可申請書の備考欄に記載させるとともに、許可台帳にも記載されたいこと。
3 分置された倉庫等の取扱い
分置された倉庫とは、営業の実態において、ある営業所の医薬品の保管設備として機能している倉庫であって、当該営業所から分置されているものをいうが、その取扱いについては、次によるものとすること。
(1) 発送センター
いわゆる発送センターについては、昭和39年3月30日付け薬発第197号薬務局長通知「医薬品販売業の店舗(発送センター)について」に示されているとおり、医薬品の搬入、保管及び搬出が行われ、実体的に医薬品の販売又は授与がそこで行われるものであることから、独立の営業所として販売業の許可にかからしめることにより、必要な構造設備等を求めているものであること。
なお、同通知において、「単に事務的処理のみを行う場所については、医薬品販売業の許可を受ける必要のある店舗ではない」とされているが、いわゆる発送センターとの関係を十分把握の上、医薬品販売業の許可を受けることとされたいこと。
この場合において、発送センターと単に事務的処理のみを行う場所が営業所として機能的一体性を損なわず、かつ、管理薬剤師による医薬品の保管管理が適切に行われることが可能であるときは、単に事務的処理のみを行う場所を独立の営業所として医薬品販売業の許可にかからしめる必要はないものであること。
(2) 単なる倉庫
発送センター以外の分置された倉庫については、単なる倉庫としてとらえ、それ自体を独立の営業所として販売業の許可にかからしめることなく、主たる営業所の一部として取り扱われたいこと。したがって、分置された倉庫の面積は、当該営業所の医薬品の保管設備の面積に加えられるものであるが、この場合の主たる営業所の面積は、おおむね13.2平方メートル以上とされたいこと。
また、この場合の分置の認められる範囲については、営業所としての機能的一体性を損わず、かつ、管理薬剤師による医薬品の保管管理が適切に行われることが可能である場合に限られるものであること。かかる趣旨から、分置された倉庫の主たる営業所からの距離については、両者が同一敷地内又は近接地にあることを原則とするとともに、他の都道府県への倉庫の分置については、監視上問題があると考えられることから、認められないものであること。
(3) 貸倉庫等
貸倉庫等の利用については、医薬品の管理そのものを倉庫業者に委ねることとなる場合には、適切な保管管理が期し得ないので、認められないものであること。
(4) その他
分置された倉庫を有する営業所について、新たに卸売販売業の許可申請があった場合には、施行規則様式第86「卸売販売業許可申請書」中「営業所の構造設備の概要」欄に当該分置された倉庫を有する旨及びその所在地を記載させるとともに、その平面図を当該申請書に添付させること。
また、既に許可を受けている卸売販売業の営業所について分置された倉庫がある場合又は新たに分置された倉庫を設ける場合には、許可の更新又は変更の届出に際して当該倉庫の平面図を提出させる等その把握に努められたいこと。
第2 記帳義務に関する事項
施行規則第14条(施行規則第142条、第149条及び第159条において準用される場合を含む。)の規定に基づく薬局開設者等に対する医薬品の譲受及び譲渡に関する記録の作成、保存の義務付け(記帳義務)については、昭和56年1月22日付薬発第65号薬務局長通知「薬事法施行規則の一部を改正する省令等の施行について」によるほか、次の事項に配意されたいこと。
1 コンピユーターによる記帳及び保存
記帳義務の履行に当たっては、原則として、書面に所定事項を記載し、その書面を保存することが求められているものであるが、施行規則第14条(施行規則第142条、第149条及び第159条において準用される場合を含む。)第1項各号に掲げる事項がコンピユーターに記憶されており、これらの事項を随時データとして引き出せるシステムが採用されていれば、これをもって記帳義務の履行と取り扱って差し支えないこと。
2 他の医薬品伝票との区別保存
記帳義務の履行に当たって、当該書面に代えて伝票を保存しようとする場合において、記帳義務の課せられていない他の医薬品も併せ記入された伝票を保存すること又は当該伝票と記帳義務の課せられていない他の医薬品のみが記入された伝票とを区別しないで保存することについては、これを認めて差し支えないが、記帳義務の趣旨が損われないよう指導されたいこと。