添付一覧
注:
1.タンクの不等沈下の測定は,4点以上,かつ,10m以下の等間隔で測定を行うこと。
2.タンクの不等沈下の点検結果には,最大不等沈下量及び最大不等沈下率を記載すること。
[別添2]
資料11 毒物劇物危害防止規定のモデル
毒物劇物危害防止規定のモデル
目次
第1章 総則
1.1 目的
1.2 適用法令
1.3 定義
1.4 適用範囲
第2章 安全管理体制等
2.1 毒物劇物の管理方針
2.2 毒物劇物の管理目標の設定
2.3 危害要因の特定とリスクの低減
2.4 毒物劇物の危害防止管理計画の作成
2.5 毒物劇物安全管理組織
2.6 事業者および管理者等の職務
2.7 毒物劇物危害防止管理計画の実施
第3章 安全管理
3.1 安全管理
3.2 設備の管理
3.3 立ち入り制限
3.4 盗難、流出および火災等の防止
3.5 飛散、流出防止
3.6 除外設備
3.7 火気使用の制限
第4章 運転管理
4.1 運転管理
4.2 毒物劇物製造所等の点検、検査
4.3 製造設備等の管理
4.4 廃棄基準
第5章 物流
5.1 運搬
第6章 事故発生時の措置
6.1 関係機関への届出
6.2 事故発生時の連絡等
第7章 教育訓練
7.1 教育訓練
第8章 文書化と記録および保管
8.1 文書化
8.2 記録および保管
第9章 監査
9.1 監査計画の立案と実施
9.2 監査結果の報告
付則
毒物劇物危害防止規定のモデル
第1章 総則
1.1 目的
この規定は、毒物及び劇物取締法(以下「毒物劇物法」という)に基づき、毒物および劇物((以下「毒物劇物」という)製造所等における毒物劇物の管理とその責任体制を明確にし、もって毒物劇物による保健衛生上の危害を未然に防止することをねらいとして、毒物劇物の製造所、業務上取扱事業所における安全管理に関する基準を作成し、周知させる。毒物劇物の製造、取り扱いに関わる安全の確保を図る目的を達成するため、事業者は経営方針に基づいて、毒物劇物の製造所、業務上取扱所としての安全管理方針を明確にし、管理計画等を定め、これを実行する。実施状況を評価し、不適合事項の改善を図ることにより、自主的危害防止活動を促進して、危害を未然に防止し、安全および保健衛生の管理レベルの向上を図る。
1.2 適用法令
該当法規類は、毒物劇物法(法律)、毒物劇物法施行令(政令)、毒物劇物指定令(政令)および毒物劇物法施行規則(省令)等の法令ならびに規定について(通知)および取扱責任者の業務について(通知)等である。
1.3 定義
この規定において使用する用語の定義を設け、毒物劇物法において使用する用語の例によるほか、次の各号に定めるとおりとする。
(1) 「会社」とは、○○会社をいう。
(2) 「事業所」とは、「毒物劇物製造所等を有する○○会社○○事業所」をいう。
(3) 「事業者」とは当該事業所の責任者(社長あるいは事業所長を想定する)をいう。
(4) 「法」とは、毒物劇物法をいう。
(5) 「法令」とは、毒物劇物法および、それら法律の政令、省令、通知をいう。
(6) 「毒物劇物製造所等」とは、法令に示す毒物劇物の製造所、貯蔵所、出荷施設、消費施設、試験室および研究室等をいう。
(7) 「毒物劇物取扱責任者」とは、法第7条で規定された毒物劇物取扱責任者で、製造所にあっては、都道府県知事を経て厚生労働大臣に、販売業の登録を受けている者にあっては、その店舗の所在する都道府県知事に届けた者。変更した場合も同様とする。
(8) 「特定毒物研究者」とは、法第6条で規定され毒物を研究のため取り扱う者で、都道府県知事の許可を受けた者。変更した場合も同様とする。
(9) 「総括管理者」とは、事業所における毒物劇物の取り扱いについて総括的な管理監督を行うものをいう。
(10) 「毒物劇物取扱安全管理者等」とは、毒物劇物の危害防止のため事業者が自主的に選任した管理者で、法で定められた毒物劇物取扱責任者を業務上管理する管理者をいう。
(11) 「緊急事態」とは、引火、火災、爆発および、毒物劇物等化学物質の漏洩流出および自然災害(地震、雷、津波、高潮、台風、洪水、大量の降雨・降雪等)等の発生により事故の発生するおそれがある状態をいう。
(12) 「危害」とは、事故や災害の発生などにより生命や身体などを損なうような危険のことをいう。
(13) 「事故」とは、毒物劇物が飛散し、漏れ、流れ出、しみ出、または地下にしみ込んだ場合において、不特定または多数のものについて保健衛生上の危害が生ずる恐れがある状態、および引火、火災、爆発が発生した状態をいう。
(14) 「PDCAサイクル」とは、Plan、Do、Check、Actを言い、JIS Q 2001に定められたリスクマネジメントの方法を指す。
1.4 適用範囲
この規定の適用範囲は、法令に示す毒物劇物を取り扱う○○事業所および取り扱う者に適用する。
1.5 遵守義務
(1) 事業所で毒物劇物を取り扱う者は、本規定に定める事項を遵守しなければならない。
(2) この規定に定める事項は、事業者が、毒物劇物を取り扱う者に対して教育訓練を繰り返し実施し、周知徹底を図らなければならない。
第2章 安全管理体制等
2.1 毒物劇物の管理方針
(1) 事業者は、経営方針に基づいて安全衛生方針を表明し、毒物劇物を取り扱う者に周知させるとともに、危害防止に関する管理計画(以下「毒物劇物危害防止管理計画」という)を策定し、実行し、評価して次年の計画に反映させなければならない。
(2) 毒物劇物使用においては、当該物質の特性を理解し毒物劇物に係わる事故を未然に防止に努めるとともに、環境を悪化させることが無いようにしなければならない。
(3) 関係法令の遵守は勿論、危害防止のため、危害防止の目的を設定し、設備や取り扱い方法などの改善や、管理体制を充実強化し管理レベルの向上を図るとともに、毒物劇物取扱を取り扱う者に対する教育訓練を徹底して、危害防止の啓発に努めなければならない。
2.2 毒物劇物の管理目標の設定
事業者は、安全衛生方針に基づき、次に掲げる事項を踏まえ、毒物劇物の管理目標を設定し、当該目標において一定期間に達成すべき到達点を明らかにするとともに、当該目標は、毒物劇物を取り扱う者に周知するものとする。
2.3 危害要因の特定とリスクの低減
(1) 事業者は、事業所における毒物劇物の毒性、有害性(以下「危害要因」という)を特定する手順(GHS(Globally Harmonized System)等を参照)を定めるとともに、この手順に基づき、危害要因を特定するものとする。
(2) 事業者は、危害を防止するため、有害要因および事業所における毒物劇物設備や作業の危険性等を勘案し、リスク評価(化学製品製造業のチェックリスト(本研究)等を参照)を行い必要なリスクの低減策を定める。
(3) 事業者は、法令、および事業所の基準等に基づき、実施すべき事項を決定する手順を定める。
2.4 毒物劇物の危害防止管理計画の作成
事業者は、安全衛生目標を達成するため、前項の結果等を踏まえて、年間の毒物劇物危害防止管理計画を作成するものとする。
2.5 毒物劇物安全管理組織
事業所の毒物劇物危害防止管理計画の確実な実行と円滑な運用を図るため、管理体制を整備し、管理組織の役割と責任を明確にする。
(1) 事業者は、組織が円滑に運用が図れるように事業所の実態に即して管理組織を定める。その組織の例を「○○事業所毒物劇物安全管理組織図」(図1)に示した。
(2) 法で定められた毒物劇物取扱責任者は、都道府県知事を経て厚生労働大臣に届け出なければならない。また、法で定められた特定毒物研究者については、都道府県知事の許可を受けなければならない。なお、毒物劇物取扱責任者および特定毒物研究者を変更した場合も同様とする。
(3) 事業者が自主的に選任した毒物劇物安全管理者についても管理組織に明確に位置付けることが望ましい。
(4) 事業者は、毒物劇物安全管理組織の会合を定期的に開催して、毒物劇物危害防止管理計画の実施状況を把握し、円滑な運用と計画達成のための諸問題事項の解決を図る。また、緊急事態が発生した場合や計画外の事象が発生した場合の対応を図る。
図1 ○○事業所毒物劇物安全管理組織の例
(破線枠内は法で定められた者)
2.6 事業者及び管理者等の職務
(1) 事業者の職務
事業者の職務は次のとおりとする。
ア.毒物劇物安全管理組織を定める。
イ.事業所を統括管理するため、統括管理者およびその代理者を選任する。
ウ.法で定められた毒物劇物取扱責任者及び特定毒物研究者を選任し、○○県知事に届け出て、所定の手続きを行う。
エ.業務遂行を円滑に行うため、必要に応じ毒物劇物取扱責任者を管理する毒物劇物取扱責任者を選任する。
オ.毒物劇物による保健衛生上の危害を未然に防止するため、安全管理方針を明確にし、危害防止のPDCAサイクルを構築させる。又その実施状況を把握し、必要な措置を講じる。
(2) 管理者等の職務
管理者等の職務は次のとおりとする。
ア.総括管理者およびその代理者
事業所における毒物劇物の取扱についての総括的な管理監督を行う。また代理者は総括管理者不在時に、その職務を代行する。
イ.製造業に係る毒物劇物取扱管理者
製造業に係る毒物劇物取扱管理者は、毒物劇物を直接に取り扱う製造所毎に、専任された毒物劇物取扱責任者の業務を管理し、法令で定められた業務や社内規定で定められた業務遂行状況等を管理する。
ウ.一般販売業に係る毒物劇物取扱管理者
一般販売業に係る毒物劇物取扱管理者は、毒物劇物の販売に関わる出荷や物流業務に携わる専任された毒物劇物取扱責任者の業務を管理し、法令で定められた業務や社内規定で定められた業務遂行状況等を管理する。
(3) 毒物劇物取扱責任者
毒物劇物取扱責任者は、所管する職場の、毒物または劇物による保健衛生上の危害防止にあたり、次の項目に掲げる業務を行う。
ア.製造施設等について、設備に関する法令の基準の遵守状況の点検および管理
イ.法令の基準の遵守状況の点検および管理
ウ.取扱いに関する法令の基準の遵守状況の点検および管理
エ.運搬に関する法令の基準の遵守状況の点検および管理
オ.廃棄に関する法令の基準の遵守状況の点検および管理
カ.毒物または劇物が盗難または紛失防止に必要な措置を講じる。
キ.事故発生時の措置等
・事故の拡大防止のための応急措置
・関係機関および周辺事業所等への連絡
・応急措置に必要な資機材等の配置、点検、管理
・事故の原因調査および再発防止のための措置
ク.取扱いおよび事故発生時の応急措置に関する従業員の教育訓練の実施
ケ.販売若しくは譲渡に係る業務日誌の作成
コ.その他保健衛生上の危害防止に関する事項
(4) 特定毒物研究者
所管する職場の、毒物または劇物による保健衛生上の危害の防止にあたり、次の項目に掲げる業務を行う。また、特定毒物研究者は、特定毒物を学術研究以外の用途に供してはならない。
ア.取り扱い施設等について、法令の基準の遵守状況の点検および管理
イ.表示に関する法令の基準の遵守状況の点検および管理
ウ.取扱いに関する法令の基準の遵守状況の点検および管理
エ.廃棄に関する法令の基準の遵守状況の点検および管理
オ.毒物または劇物が盗難または紛失防止に必要な措置を講じる
カ.事故発生時の措置等
・事故の拡大防止のための応急措置
・関係機関および周辺事業所等への連絡体制
・応急措置に必要な資機材等の配置、点検、管理
・事故の原因調査および再発防止のための措置
キ.取扱いおよび事故発生時の応急措置に関する従業員の教育訓練の実施
ク.使用実績または譲渡に係る業務日誌の作成
ケ.その他保健衛生上の危害防止に関する事項
2.7 毒物劇物危害防止管理計画の実施
(1) 事業者は、毒物劇物危害防止管理計画遂行のPDCAサイクルを定めることにより適切かつ継続的に実施する。
(2) 事業者は、毒物劇物危害防止管理計画を毒物劇物の取り扱い者に周知徹底させるとともにPDCAサイクルを確立する。
第3章 安全管理
3.1 安全管理
この規定に定める管理者等は、それぞれの職務に従い、危害防止に関する基準類の整備を行い、関係者に徹底させ、危害の防止に努めなければならない。事業所の毒物劇物危害防止のPDCAサイクルを確立し、安全管理レベルの向上を図る。取り扱う毒物劇物については化学物質安全性データシート(MSDS)を整備し、定期的に毒物劇物の取扱者に教育し、徹底しなければならない。
教育が不十分の為に事故が発生している事が多いので、教育の修得度を確認し、不十分ならば再教育を行い、教育の徹底を図る。
3.2 設備の管理
事業者は、毒物劇物の危害防止のため自主的に当該施設毎に設備の構造や、取り扱い、および保守点検などの必要事項を定めた設備基準を作成し、設備を取り扱う者に教育し、周知させなければならない。
(1) 設備基準
ア.使用する材料は、腐食、摩耗等により毒物劇物が漏洩しないような材質、強度を有するとともに、毒物劇物が施設外に飛散、漏れ、しみ出し、流れ出、または地下にしみ込む恐れのない構造とすること
イ.毒物劇物を含有する粉塵、ガス、排水の処理のための資機材を備えること
(2) 貯蔵設備等の基準
ア.毒物または劇物とその他の物とを区分して貯蔵できるものであること
イ.毒物または劇物を貯蔵するタンク、ドラム缶、その他の容器は、毒物または劇物が飛散し、漏れ、またはしみ出るおそれのないものであること
ウ.毒物または劇物を貯蔵する設備は、毒物または劇物が飛散し、地下にしみ込み、または流れ出るおそれがないものであること
エ.毒物または劇物を貯蔵する場所に鍵をかける設備があること、ただし、その場所が性質上鍵をかけることができないものであるときは、その周囲に、堅固な柵が設けてあること
(3) 毒物劇物の表示
毒物劇物を貯蔵または収納する容器等は、以下のように表示する。
ア.貯蔵または収納するための容器および被包
(a) 毒物劇物の名称
(b) 毒物にあっては「医薬用外毒物」(赤地に白文字)
(c) 劇物にあっては「医薬用外劇物」(白地に赤文字)
イ.販売または授与のための容器および被包
(a) 前号に定める文字
(b) 毒物劇物の成分およびその含有量
(c) 製造業者名およびその所在地
ウ.その他法令に定められた事項
3.3 立ち入り制限
事業者は、製造所等には「関係者以外立ち入り禁止」の標識を掲示し、関係者以外は立ち入らせないようにしなければならない。
3.4 盗難、流出および火災等の防止
事業者は、毒物劇物の危害防止のため自主的に毒物劇物の保管場所および保管庫等の維持管理に関する基準を作成し、遵守しなければならない。
ア.毒物劇物取扱管理者は保管場所および保管庫の管理者を定め、当該場所に氏名を掲示する。
イ.保管庫は堅固な構造とし、容易に持ち運びができないようにする。
ウ.保管庫のある部屋は常に出入り口を施錠する。
エ.保管庫は施錠する。
3.5 飛散、流出防止
事業者は、毒物劇物による危害を防止するため、法令に従い毒物劇物の飛散や流出防止の措置を定め、実施しなければならない。
3.6 除外設備
毒物劇物取扱管理者は、毒物劇物を含有する粉塵、ガスまたは廃水の処理に必要な資機材を備えるとともに、毒物劇物が流出した場合に使用する保護具を備える。
3.7 火気使用の制限
事業者は、毒物劇物による危害を防止するため、毒物劇物製造施設内に毒物劇物取扱管理者の許可なしに、火気を持ち込むことや、火気を使用させてはならない。また許可された場所以外で喫煙してはならない。
第4章 運転管理
4.1 運転管理
事業者は、毒物劇物の危害防止のため自主的に設備の運転(運転開始、正常運転、運転停止、非常時の操作等)に関する必要事項を定めた運転基準を作成し、運転に携わる者へ教育し、周知徹底させなければならない。
(1) 毒物劇物取扱責任者は毒物劇物製造所等について適正な運転管理基準を定め、運転に従事する者に徹底しなければならない。
(2) 基準は以下の内容を含んでいること
ア.毒物劇物製造所等の運転および操作基準
イ.点検基準
ウ.工事に関する安全措置基準
エ.緊急時の措置に関する基準
オ.その他、安全に関する必要な事項
(3) 毒物劇物の製造に関する作業手順は以下の事項を織り込み、作業毎に制定し、運転に携わる者に教育し、周知徹底しなければならない。
ア.人体に対する影響と着用保護具
イ.救急措置
ウ.緊急時の措置
(4) 毒物劇物取扱管理者は、運転に携わる者に対し作業の状況により適切な保護具を着用させなければならない。
4.2 毒物劇物製造所等の点検、検査
事業者は、毒物劇物製造所等の設備および機器類を適性に維持管理するために点検および検査をさせなければならない。
(1) 設備および機器類を適性に維持管理するための点検および検査は以下に掲げる。
ア.日常点検:稼働中に行う点検
イ.定期点検:定期的に周期を決めて行う点検、装置を停止して行う場合もある。
ウ.法令点検:法に基づいて行う点検および検査
(2) 点検の結果、異常が発見された場合は速やかに毒物劇物取扱責任者へ報告する。
(3) 毒物劇物取扱責任者は、速やかに補修その他の適切な改善措置を講じる。
(4) 毒物劇物製造所等の点検結果およびその措置状況を記録し、毒物劇物取扱管理者の確認を経て毒物劇物取扱責任者に報告の後、保管する。
4.3 製造設備等の管理
事業者は、毒物劇物の危害防止のため自主的に毒物劇物製造所等の設備および機器類を適性に維持管理させなければならない。
(1) 製造施設の機器類は正常に機能するよう維持管理する。
(2) 製造所等は5S(Seiri、Seiton、Seisou、Seiketu、Sitsuke)の確保に努め、不要なものは置かないこと
(3) 毒物劇物が飛散または漏洩しないようにすること
(4) 毒物劇物の盗難または紛失を防止するため、貯蔵数量の点検確認を行うこと
(5) 毒物劇物を収納する容器には、飲食物の容器として使用されるものは使用しないこと
(6) 貯蔵の周囲に防液堤がある場合、雨水の水抜き弁は常に閉止しておくとともに、当該防液堤に雨水が滞留している場合は、その水質に異常がないことを確認してから排水すること
4.4 廃棄基準
事業者は、毒物劇物を安全に処理するため、廃棄の基準を作成し、毒物劇物を取り扱う者に教育し、周知させなければならない。廃棄する場合には流出漏洩等により、環境を悪化させることが無いようにしなければならない。
毒物劇物およびそれを収納した容器または被包を廃棄する場合は以下のように行う。
(1) 毒物劇物取扱管理者は毒物劇物の廃棄に際しては、予め廃棄計画を立案し、その作業責任者を定めること
(2) 作業責任者は当該廃棄に対して十分な知識と経験を有する者を選任すること
(3) 作業計画は周囲の環境に配慮し、法令および環境汚染がないよう環境関係法令を遵守すること
(4) 業者に処理を委託する場合は、廃棄物処理法で定められた資格を有する業者に委託しなければならない。
第5章 物流
5.1.運搬
事業者は、毒物劇物の運搬に関する危害を防止するため、車両による運搬に際しては、毒物劇物の運搬に携わる者に対して、次の事項を確認して従事させなければならない。
(1) 容器または披包の使用
ア.容器または披包に収納され、密閉されていること
イ.1回に運搬する毒物劇物の量が1トンを越える場合、容器または披包の外部に、その毒物劇物の名称、成分の表示がなされていること
(2) 積載の方法
ア.容器または披包は落下、転倒、破損しないよう積載すること
イ.容器または披包は積載車両の長さおよび幅を越えないこと
(3) 運搬の方法
ア.交替して運転する者または助手を確保していること
イ.車両に「毒」の標示板を掲げること
ウ.事故時の応急措置等を記載した「緊急時の措置要領(イエローカード)」を運転する者に交付すること
第6章 事故発生時等の措置
6.1 関係機関への届出
事業所は、次の事故が発生した場合、その状況を速やかに消防署、保健所および警察署に届出なければならない。
(1) 毒物劇物の飛散、流出または地下にしみ込み等保健衛生上の危害が生じた時
(2) 毒物劇物の盗難または紛失時
(3) 引火、火災、爆発、毒物劇物の可燃物の漏洩や流出等により環境に重大な影響を及ぼすおそれなどが生じた場合
6.2 事故発生時の連絡等
事業所は、事故や危害の発生などの異常な事象(以下「異常」という)が発生した場合の措置について基準を作成し、関係者に徹底させなければならない。
(1) 事業所内における異常の事態が生じた場合は、この基準に従い措置する。
(2) 構外(車両による運搬中等)における事故の場合は、直ちに消防署、保健所および警察署ならびに荷送人に連絡し、その指示を受けるとともに、次の措置を講じる。具体的な措置は毒物劇物の種類ごとに作成された「緊急時の措置要領(イエローカード)」による。
ア.漏えい時および及出火時の措置
毒物劇物による化学物質としての毒性または有害性を認識し、当該物質の燃焼性、反応性等を考慮し、「緊急時の措置要領(イエローカード)」に基づき適切な措置を講じる。
イ.保護具
自動空気呼吸器、ゴム手袋、長靴、保護衣等の保護具は、当該毒物劇物の特性に応じ、適切なものを使用する。
第7章 教育訓練
7.1 教育訓練
事業者は、毒物劇物の危害を防止するため、自主的に「年間教育研修計画」を策定し毒物劇物を取り扱う者に対して教育訓練を行う。
毒物劇物取扱管理者は、毒物劇物を取り扱う者の教育訓練の修得状況を把握するため、毒物劇物の取扱う者の修得レベルを定め、個人毎に定期的に評価する。修得レベルに達しないと判断される場合は、再度教育を実施し、一定レベル以上の修得状況を保つようにしなければならない。
(1) 関係法令および社内規定
(2) 毒物劇物の危険性およびその取扱方法
(3) 毒物劇物の廃棄の方法
(4) 事故発生時の想定訓練
(5) 事故発生の原因とその対策
(6) その他保健衛生上必要な事項
第8章 文書化と記録および保管
8.1 文書化
事業者は、法令で定めてある事項および毒物劇物の危害防止のため自主的に作成した危害防止に関する基準等を文書化し、毒物劇物を取扱う者に継承しなければならない。また、文書化する手順を定めるとともに、文書は最新版に基づき管理しなければならない。
8.2 記録および保管
事業者は、法令で決められた事項や、自主的に定めた毒物劇物の危害防止活動を円滑に推進し、実効あるものとするため、活動実施および運用に関し、必要な事項を定め、記録するとともに、当該記録を保管するものとする。特に毒物劇物に関する知識や取り扱い方法、異常時の措置に関しての対応に関する事項は、毒物劇物の取り扱う者に対して徹底することは重要である。
これらの規定類の整備、修得状況、および異常時の対応と改善に関しては、確実にフォロー出来るように整備し、その実施状況等を記録し保管しなければならない。
第9章 監査
9.1 監査計画の立案と実施
事業者は、毒物劇物の危害防止のため自主的に定めた定期的な監査計画を作成し、監査を実施する手順等を定めるとともに、この手順に基づき、事業者を含めた監査を実施し、監査の結果、不適合と認めるときは、その是正事項をPDCAサイクルの管理システムに反映させ、管理レベルの向上を図らなければならない。
9.2 監査結果の報告
事業者は、経営者に監査結果を報告するとともに、経営者は見直し等を指示しなければならない。
付則
1.承認者
この規定の制定・改定・廃止は○○社長(または事業者)の承認によって行う。
2.責任者
この規定の内容および制定・改定・廃止手続きについては○○(規定の改廃の担当部署の責任者)がその責任を負う。
3.実施日
この規定の実施日は、改定経歴表に記載された日とする。
○毒物劇物危害防止規定について
(昭和50年11月6日)
(薬安第80号・薬監第134号)
(各都道府県衛生主管部(局)長あて厚生省薬務局安全・監視指導課長連名通知)
毒物劇物営業者等の作成する毒物劇物危害防止規定(以下「危害防止規定」という。)については、昭和50年7月31日薬発第668号「毒物劇物取扱責任者の業務について」をもつて通知したところであるが、その作成にあたつては、左記の点に御留意のうえ、遺憾のないよう指導方お願いする。
記
1 危害防止規定の目的及び性格について
危害防止規定は、毒物劇物製造所等における毒物又は劇物の管理・責任体制を明確にし、もつて毒物又は劇物による保健衛生上の危害を未然に防止することをねらいとした、事業者の自主的な規範であること。
2 危害防止規定の記載事項について
(1) 危害防止規定は、当該製造所等において取扱われる毒物及び劇物の種類・量、取扱いの方法等の態様に応じ、具体的、かつ、詳細な内容になるように作成すること。
なお、毒物及び劇物の運搬車など製造所等以外の事項にわたる内容であつても差し支えないこと。
(2) 危害防止規定の記載事項には、毒物及び劇物の管理・責任体制を明確にし、毒物及び劇物による危害防止の目的を達成しうるよう、左記の基本的な事項が記載されていなければならないこと。
なお、危害防止規定に付随してそれぞれの基本的事項について、規定を具体的に実施するために必要な細則を定めること。
ア 毒物及び劇物の貯蔵又は取扱いの作業を行う者、これらの作業に係る設備等の点検・保守を行う者、事故時における関係機関への通報及び応急措置を行う者の職務及び組織に関する事項
イ 毒物及び劇物の貯蔵又は取扱いに係る作業の方法に関する事項
ウ 毒物及び劇物の貯蔵又は取扱いに係る設備等の点検の方法に関する事項
エ 毒物及び劇物の貯蔵又は取扱いに係る設備等の整備又は補修に関する事項
オ 事故時における関係機関への通報及び応急措置活動に関する事項
カ 毒物及び劇物の貯蔵又は取扱いの作業を行う者及びこれらの作業に係る設備等の保守を行う者並びに事故時の応急措置を行う者の教育及び訓練に関する事項
キ その他、保健衛生上の危害を防止するために遵守しなければならない事項