○医療用医薬品の承認事項一部変更承認申請に係る標準的事務処理期間の取扱いについて
(平成21年5月22日)
(薬食審査発第0522001号)
(各都道府県衛生主管部(局)長あて厚生労働省医薬食品局審査管理課長通知)
医薬品等の承認審査にあたっては、昭和60年10月1日薬発第960号厚生省薬務局長通知「標準的事務処理期間の設定等について」において標準的事務処理期間を定めており、医療用医薬品の新規承認申請及び承認事項一部変更承認申請(以下「一変申請」という。)については1年とされているところである。
また、薬事法及び採血及び供血あつせん業取締法の一部を改正する法律(平成14年法律第96号。以下「改正薬事法」という。)の施行に伴い、医薬品製造販売承認申請書における製造方法欄等の記載が変更され、平成17年2月10日薬食審査発第0210001号厚生労働省医薬食品局審査管理課長通知「改正薬事法に基づく医薬品等の製造販売承認申請書記載事項に関する指針について」(以下「課長通知」という。)等においてその取扱いを示しているところである。改正薬事法では、既承認医薬品は改正薬事法に適合した内容となるよう承認書の記載整備を行うこととされており、一変申請の際に変更事項に加え、記載整備された内容の審査も行うこととしている。
このような状況を踏まえ、医療用医薬品(体外診断用医薬品を除く。以下同じ。)に係る一変申請に関しては、審査業務の迅速化と質の向上を図ることとし、当分の間の対応として下記のとおり取り扱うこととしたので、御了知の上、貴管下関係業者に対して周知徹底方御配慮願いたい。
記
1.本通知の対象範囲
医療用医薬品の製造方法、規格及び試験方法、貯蔵方法及び有効期間又はその他承認事項に係る一変申請のうち、平成17年3月31日薬食発第0331015号厚生労働省医薬食品局長通知「医薬品の承認申請について」の別表2―(1)の(10)その他の医薬品(再審査期間中のもの)及び(10の3)その他の医薬品(再審査期間中でないもの)に該当するもの。ただし、以下に掲げるものを除く。
(1) 生物学的製剤
(2) 遺伝子組換え技術を応用して製造される医薬品
(3) 薬事法施行令(昭和36年政令第11号)第80条第2項第7号ヘの規定に基づき厚生労働大臣の指定する製造管理及び品質管理に特別の注意を要する医薬品
① 人又は動物の細胞を培養する技術を応用して製造される医薬品
② 細胞培養医薬品
③ 特定生物由来製品
2.一変申請の取扱い
(1) 一変申請の審査
一変申請については、①製造方法欄の変更を伴う一変申請、②製造方法欄の変更を伴わない一変申請(規格及び試験方法欄又は貯蔵方法及び有効期間欄等に係る一変申請)に分け、それぞれ別々に審査業務を進めていくこととするものであること。
(2) 一変申請に係る標準的事務処理期間
① (1)①のうち、課長通知の第4に基づく記載整備が完了後(改正薬事法施行前に登録申請後、登録された原薬等登録原簿(以下「MF」という。)を利用している品目にあっては、平成17年3月10日薬食審査発第0310002号厚生労働省医薬食品局審査管理課長通知の4(3)に基づき改正薬事法に適合させるためのMF変更登録申請もすべて完了したものに限る。)、製造方法欄(MFを利用している品目にあっては、当該MFの製造方法欄を含む。)の全部の審査を既に終えた品目に係る一変申請及び(1)②の申請については、平成21年12月末を目途に、承認申請から承認までの総審査期間の中央値を6ヶ月(うち、行政側の事務処理期間を5ヶ月)となるよう努めるものであること。また、その状況を踏まえ、さらなる改善策を検討するものであること。
② 上記①以外の品目については、平成22年3月末までに、承認申請から承認までの総審査期間の中央値を12ヶ月(うち、行政側の事務処理期間を10ヶ月)となるよう努めるものであること。
なお、平成18年11月16日厚生労働省医薬食品局審査管理課事務連絡「医薬品等の承認申請等に関する質疑応答集(Q&A)について」のQ7から10を適用し、製造方法欄の一部のみ審査を終えた品目については、これに含まれるものであること。
③ 平成4年2月14日薬審第37号厚生省薬務局審査課長及び新医薬品課長通知「商標権抵触等により医薬品の販売名のみを変更するものの取扱いについて」に基づき販売名のみを変更して承認された品目に係る一変申請については、旧販売名の製造方法欄における改正法に基づく記載の審査状況に応じて、①又は②のいずれかに該当するか判断するものであること。
④ 平成18年12月25日薬食審査発第1225002号・薬食監麻発第1225007号厚生労働省医薬食品局審査管理課長及び監視指導・麻薬対策課長通知「医療用医薬品の製造所の変更又は追加に係る手続の迅速化について」(以下、「製造所変更迅速審査通知」という。)等において、別に迅速に処理するとされている範囲の一変申請については、これまでどおりの対応であること。
また、製造所変更迅速審査通知において、新医薬品(薬事法(昭和35年法律第145号)第14条の4第1項第1号に規定するものであって、同項の規定による再審査を受けたものを除く。)における行政側の標準的な事務処理期間を6ヶ月としていたが、本通知後は、当該期間を5ヶ月(総合機構による一変申請の審査及びGMP適合性調査は、それぞれ4.5ヶ月、4ヶ月)として取り扱うこととすること。
3.一変申請における留意点
(1) 本通知の対象となる医療用医薬品の今後の一変申請においては、申請書の備考欄に、以下のとおり記載すること。
① 2.(1)①に係る申請については、「平成21年5月22日薬食審査発第0522001号通知の記2.(1)①(製造方法欄の変更)に該当するもの。」と記載すること。なお、改正薬事法に基づき記載された製造方法欄の審査を既に終えた品目については、「なお、平成○年○月○日の承認により、改正薬事法に基づき記載された製造方法欄の審査は終了している。」を追記すること。
② 2.(1)②に係る申請については、「平成21年5月22日薬食審査発第0522001号通知の記2.(1)②(製造方法欄以外の変更)に該当するもの。」と記載すること。
(2) 既に申請済みの一変申請については、審査当局の判断でその申請内容に応じ、2.に基づくそれぞれの申請品目として取り扱われるものであること。
なお、参考までに、既に申請済みの一変申請のうち、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(以下「総合機構」という。)の審査担当部署から照会を受けていないものについては、別紙様式1のとおり、本通知後30日以内を目途に総合機構審査業務部第一課あてに提出していただきたいこと。
(3) 一変申請に伴いGMP適合性調査申請が必要となる品目については、以下のとおりとすること。
① GMP適合性調査申請の見込みの連絡について
申請者は、GMP適合性調査申請が必要なすべての製造所(外部試験検査機関を含む。)について、別紙様式2に基づきFAXでGMP適合性調査の実施主体(以下「適合性調査権者」という。)に連絡すること。また、当該連絡以降、審査の過程等でGMP適合性調査申請が見込まれる製造所に変更・追加が生じた場合には、速やかに該当する適合性調査権者に連絡すること。
② GMP適合性調査申請等について
ア 総合機構が適合性調査権者となる製造所の場合
2.(2)①に該当する申請については、一変申請と同時にGMP適合性調査申請を行うこと。GMP適合性調査申請時には、GMP適合性調査申請書及び必要な添付資料をすべて提出すること。
2.(2)②に該当する申請については、従前のとおりの取扱いとすること。
なお、既に申請済みの一変申請については、速やかにGMP適合性調査申請を行うこと。
イ 都道府県が適合性調査権者となる製造所の場合
一変申請の審査状況を踏まえつつ、あらかじめ当該都道府県担当部署へ適切な申請時期を確認した上で、GMP適合性調査申請を行うこと。
ウ 一変申請書の差換えを含め、一変申請の審査が終了次第、その旨を、総合機構から申請者を通じて、適合性調査権者へ連絡を行うものとすること。申請者から適合性調査権者への連絡は、別紙様式3に基づきFAXで行うものとすること。
エ 一変申請の審査により差換えを行った申請書又はMF変更登録申請書の写しの提出を適合性調査権者が申請者に対して求めた場合には、申請者又はMF登録者は速やかに適合性調査権者へ提出すること。
なお、速やかな提出が困難な場合は、適合性調査権者と相談すること。
4.その他
(1) 本取扱いは、改正薬事法の施行に伴う当分の間の対応であり、改正薬事法に係る各種経過措置期間が終了する平成22年3月末以降は、施行状況に応じて適宜見直す予定であること。
(2) 改正薬事法に対応した承認書の記載整備に関しては、製造販売業者ごとに記載整備を行うべき期限が異なることから、まだ期限が終了していない製造販売業者においては、期限に間に合うよう製造業者等と十分連携を図り、余裕を持って準備を進めること。
また、改正薬事法施行前に登録されたMFについては、平成22年3月末までに、MF登録者が改正薬事法に適合させるためのMF変更登録申請を行う必要があるので、当該MFを利用している品目の製造販売業者にあっては、手続が適切に行われているか、自らMF登録者等に確認すること。
(3) 厚生労働省及び総合機構においては、製造方法の審査について、より一層合理的なものとなるよう努めているところであること。一方で、承認審査においては、審査当局からの照会事項に対する製造販売業者の対応も重要であり、速やかな対応により承認審査を円滑に行うことが可能となる。したがって、製造販売業者においては、製造業者(MF登録者も含む。)と十分連携を図り、照会事項に対する回答の準備を進めていただきたいこと。
5.通知の改正
製造所変更迅速審査通知の一部を次のように改めること。
(1) 記1.中「6ヶ月」を「5ヶ月」に改める。
(2) 記3.(1)③中「6ヶ月」を「5ヶ月」に、「5.5ヶ月、5ヶ月」を「4.5ヶ月、4ヶ月」に改める。
別紙様式1
別紙様式2
別紙様式3