添付一覧
○国民健康保険における高額介護合算療養費の支給等の事務の取扱いについて
(平成21年4月3日)
(保国発第0403002号)
(都道府県民生主管部(局)国民健康保険主管課(部)長あて厚生労働省保険局国民健康保険課長通知)
標記については、健康保険法施行令等の一部を改正する政令(平成20年政令第116号)、健康保険法施行規則等の一部を改正する省令(平成20年厚生労働省令第77号)及び健康保険法施行令第四十三条の二第一項及び介護保険法施行令第二十二条の三第二項の規定に基づき厚生労働大臣が定める支給基準額(平成20年厚生労働省告示第225号)において必要な諸規定の整備が図られたところであるが、その取扱いについては、「健康保険法施行令等の一部を改正する政令及び健康保険法施行規則等の一部を改正する省令等の施行について」(平成20年6月30日付け老発第0630002号・保発第0630001号)によるほか、下記の事項に留意するよう貴管内保険者等に周知徹底を図り、その適正な取扱いを期されたい。
記
第一 高額介護合算療養費制度の概要
1 高額介護合算療養費制度創設の趣旨
医療保険(後期高齢者医療を含む。以下同じ。)制度においては高額療養費の支給により、介護保険制度においては高額介護サービス費又は高額介護予防サービス費(以下「高額介護(予防)サービス費」という。)の支給により、それぞれの給付に係る自己負担額について月単位で上限を設け、負担の軽減を図っているところであるが、医療保険と介護保険のそれぞれの負担が長期間にわたって重複して生じている世帯にあっては、高額療養費及び高額介護(予防)サービス費(以下「高額療養費等」という。)の支給を受けてもなお重い負担が残ることがあることから、高額療養費等の支給を受けてもなお残る医療保険と介護保険の1年間の自己負担額の合算額についての限度額を設け、さらに負担の軽減を図ることを目的とするものであること。
2 高額介護合算療養費の支給要件
高額介護合算療養費は、計算期間(前年8月1日から当年7月31日までの期間をいう。以下同じ。)の末日(以下「基準日」という。)に属する医療保険上の世帯を単位として、計算期間に負担した自己負担額の合算額が、介護合算算定基準額に支給基準額を加えた額を超える場合に支給すること。ただし、医療保険又は介護保険に係る自己負担額のいずれかが零である場合は支給しないこと。
(1) 医療保険上の世帯の範囲
各医療保険における世帯の範囲は、それぞれ次のとおりであること。
ア 国民健康保険:世帯主又は組合員(以下「世帯主等」という。)及び当該者と同一の世帯に属する当該者以外の国民健康保険の被保険者(以下「世帯員」という。)
イ 健康保険又は船員保険:被保険者及びその被扶養者
ウ 共済(※):組合員(私学共済にあっては加入者。以下同じ。)及びその被扶養者
※ 国家公務員共済制度、地方公務員等共済制度及び私立学校教職員共済制度の短期給付をいう。
エ 後期高齢者医療:同一の世帯に属する後期高齢者医療広域連合(以下「広域連合」という。)が行う後期高齢者医療の被保険者
(2) 各制度における費用負担者
各制度における費用負担者の考え方は、それぞれ次のとおりであること。
ア 国民健康保険にあっては、世帯主等及びその世帯員が受けた療養(当該国民健康保険の被保険者として受けた療養に限る。)に係る費用は、すべて当該世帯主等が負担したものとする。
イ 被用者保険(※)にあっては、被保険者(共済にあっては組合員。)及びその被扶養者が受けた療養に係る費用は、すべて当該被保険者が負担したものする。
※ 健康保険、船員保険及び共済
ウ 後期高齢者医療にあっては、自らが受けた療養に係る費用をそれぞれの被保険者が負担したものとする。
エ 介護保険にあっては、自らが受けた居宅サービス等又は介護予防サービス等(以下「介護サービス」という。)に係る費用をそれぞれの被保険者が負担したものとする。
(3) 自己負担額
高額介護合算療養費の支給額の算定対象となる自己負担額は、それぞれ次のとおりであること。
ア 医療保険に係る自己負担額
保険給付の対象となる療養について、当該療養に要する費用に係る定率の負担割合に応じた一部負担金等の額(※1)の合算額。ただし、高額療養費又は付加給付の支給を受けることができる場合には当該支給を受けることができる額を控除した額とすること。
イ 介護保険に係る自己負担額
介護サービスに係る利用者負担額(※2)の合算額。ただし、高額介護(予防)サービス費の支給を受けることができる場合には当該支給額を控除した額とすること。
※1 一部負担金等の額として算定の対象となるものは国民健康保険法施行令(昭和33年政令第362号。以下「令」という。)第29条の2第1項による世帯合算の高額療養費と共通であり、食事療養標準負担額及び生活療養標準負担額並びに保険給付の対象とならないもの(いわゆる差額ベッド代等)は算定対象とならないこと。70歳未満の者が受けた療養(70歳に達する日の属する月以前に受けた療養)にあっては、レセプト単位での一部負担金等の額(現物給付の高額療養費等の支給がある場合にあっては、それらの給付を受ける前の額)が2万1千円未満(令第29条の3第6項に規定する七十五歳到達時特例対象療養に係るものにあっては1万500円未満)のものは除くこと。また、公費負担の対象となる特定給付対象療養の場合にあっては、高額療養費(特定給付対象療養に係るレセプト単位で支給するものに限る。)の支給及び公費負担後のなお残る負担額を算定対象とすること。
※2 利用者負担額として算定の対象となるものは高額介護(予防)サービス費と共通であること。また、公費負担の対象となる特定給付対象居宅サービス等又は特定給付対象介護予防サービス等の場合にあっては、当該介護サービスに係る利用者負担額単独で支給される高額介護(予防)サービス費の支給及び公費負担後のなお残る負担額を算定対象とすること。
(4) 高額介護合算療養費の支給額の算定の基礎となる自己負担額の合算の範囲
ア 基準日に国民健康保険の世帯主等である者(以下「基準日世帯主等」という。)にあっては、次に掲げる額の合算額
① 基準日世帯主等が計算期間における基準日に属する保険者(以下「基準日保険者」という。)の世帯主等であった期間(基準日世帯主等が当該国民健康保険の被保険者でない場合(擬制世帯主の場合)には、基準日まで継続して当該国民健康保険の世帯主等であった期間に限る。)の次に掲げる療養に係る自己負担額の合算額
(ア) 当該基準日世帯主等が世帯主等として受けた療養(被保険者として受けた療養に限る。)
(イ) 当該基準日世帯主等の世帯員であった者がその世帯員であった間に受けた療養
② 基準日世帯主等(基準日において被保険者である者に限る。)が計算期間における他の国民健康保険の世帯主等であった期間の次に掲げる療養に係る自己負担額の合算額
(ア) 当該国民健康保険の世帯主等が被保険者として受けた療養
(イ) 当該国民健康保険の世帯主等の世帯員であった者がその世帯員であった間に受けた療養
③ 基準日において基準日世帯主等と同一の世帯に属する世帯員(以下「基準日世帯員」という。)が計算期間における当該国民健康保険又は他の国民健康保険の世帯主等であった期間の次に掲げる療養に係る自己負担額の合算額
(ア) 当該国民健康保険の世帯主等が被保険者として受けた療養
(イ) 当該国民健康保険の世帯主等の世帯員であった者がその世帯員であった間に受けた療養
④ 基準日世帯主等(基準日において被保険者である者に限る。)又は基準日世帯員が計算期間における被用者保険被保険者等(健康保険、船員保険、共済又は後期高齢者医療の被保険者又は組合員をいう。)であった期間の次に掲げる療養に係る自己負担額の合算額
(ア) 当該被用者保険被保険者等が受けた療養
(イ) 当該被用者保険被保険者等の被扶養者であった者がその被扶養者であった間に受けた療養
※ 後期高齢者医療の被保険者であった期間にあっては(ア)のみ
⑤ 計算期間において基準日世帯主等(基準日において被保険者である者に限る。)又は基準日世帯員が受けた介護サービスに係る自己負担額の合算額
イ 計算期間において世帯主等であった者であって、基準日において当該国民健康保険の世帯員である者にあっては、当該世帯員の属する世帯の世帯主等を基準日世帯主等とし、当該世帯員を基準日世帯員としてアを適用した場合のア①から⑤までに掲げる額の合算額。
ウ 計算期間において世帯主等であった者であって、基準日において他の国民健康保険の世帯主等である者にあっては、当該世帯主等を基準日世帯主等とし、その世帯員である者を基準日世帯員としてアを適用した場合のア①から⑤までに掲げる額の合算額
エ 計算期間において世帯主等であった者であって、基準日において他の国民健康保険の世帯員である者にあっては、当該世帯員の属する世帯の世帯主等を基準日世帯主等とし、当該世帯員を基準日世帯員としてアを適用した場合のア①から⑤までに掲げる額の合算額
オ 計算期間において世帯主等であった者であって、基準日において被用者保険被保険者(健康保険、船員保険又は共済の被保険者又は組合員をいう。)である者にあっては、当該被用者保険被保険者を基準日世帯主等とし、その被扶養者を基準日世帯員としてアを適用した場合のア①から⑤までに掲げる額の合算額
カ 計算期間において世帯主等であった者であって、基準日において被用者保険被保険者の被扶養者である者にあっては、当該被扶養者を扶養する被用者保険被保険者を基準日世帯主等とし、当該被扶養者を基準日世帯員としてアを適用した場合のア①から⑤までに掲げる額の合算額
キ 計算期間において世帯主等であった者であって、基準日において後期高齢者医療の被保険者である者にあっては、次に掲げる額の合算額
① 当該世帯主等であった者が基準日に属する広域連合(②及び③において「基準日広域連合」という。)の被保険者であった期間に受けた療養に係る自己負担額の合算額
② 基準日において当該世帯主等であった者と同一の世帯に属する後期高齢者医療の被保険者(③において「基準日世帯被保険者」という。)が計算期間における基準日広域連合の被保険者であった期間に受けた療養に係る自己負担額の合算額
③ 当該世帯主等であった者又はその基準日世帯被保険者が計算期間における基準日広域連合以外の保険者(後期高齢者医療以外の医療保険制度の保険者を含む。)の費用負担者であった期間の次に掲げる療養に係る自己負担額の合算額
(ア) 当該世帯主等であった者又はその基準日世帯被保険者が費用負担者として受けた療養
(イ) 当該世帯主等であった者又はその基準日世帯被保険者の世帯員又は被扶養者であった者がその世帯員又は被扶養者として受けた療養
※ 後期高齢者医療の被保険者であった期間にあっては(ア)のみ。
④ 計算期間において当該被保険者であった者又はその基準日世帯被保険者が受けた介護サービスに係る自己負担額の合算額
(5) 介護合算算定基準額
高額療養費の算定基準額と同様に、療養等を受けた者の年齢及び世帯の所得区分により、きめ細かく設定されている。
後期高齢者医療の被保険者の一般区分の56万円を基本とし、高額療養費の自己負担限度額の12ヶ月分(多数回該当を勘案)の額の比率に応じて各区分の介護合算算定基準額が設定されており、具体的な額及び判定基準は次のとおりとされたこと。
① 介護合算算定基準額
所得区分 |
介護合算算定基準額 |
判定基準 |
一般区分 |
67万円 |
上位所得者又は低所得者に該当しない者 |
上位所得者 |
126万円 |
(国民健康保険の場合) 世帯主等と同一の世帯に属するすべての被保険者(※1)について、基準日の属する年の前々年(※2)の基準所得額(※3)を合算した額が600万円を超える場合 (被用者保険の場合) 被保険者について、基準日の属する月の標準報酬月額(共済においてはこれに準ずるもの)が53万円以上の場合 |
低所得者 |
34万円 |
(国民健康保険の場合) 世帯主等及びその世帯員(※4)のすべてが市町村民税非課税者(※5)である場合(以下「市町村民税世帯非課税」という。) (被用者保険の場合) 被保険者が市町村民税非課税者(※5)である場合 |
※1 基準日の属する月の初日(当該日において国民健康保険の被保険者がいない場合にあっては、当該日後に国民健康保険の被保険者となった者の資格取得日)において当該世帯に属する国民健康保険の被保険者。
※2 計算期間の中途で医療保険の加入者でなくなったことにより、前年8月1日から12月31日までのいずれかの日を基準日とみなした場合にあっては、当該基準日とみなした日の属する年の前年。
※3 地方税法(昭和25年法律第226号)第314条の2第1項に規定する総所得金額及び山林所得金額の合計額から同条第2項の規定による控除をした後の総所得金額及び山林所得金額の合計額。
※4 世帯員については、基準日の属する月の初日(当該月の中途で資格取得した世帯主等の属する世帯にあっては、当該資格取得日)において世帯員である者に限る。
※5 基準日の属する年度の前年度(計算期間の中途で医療保険の加入者でなくなったことにより、前年8月1日から3月31日までのいずれかの日を基準日とみなした場合にあっては、当該基準日とみなした日の属する年度)分の地方税法の規定による市町村民税(同法の規定による特別区民税を含むものとし、同法第328条の規定によって課する退職所得者等に係る所得割を除く。)が課されない者(市町村の条例で定めるところにより当該市町村民税を免除された者を含むものとし、当該市町村民税の賦課期日において同法の施行地に住所を有しない者を除く。)。
② 70歳以上介護合算算定基準額
所得区分 |
介護合算算定基準額 |
判定基準 |
一般区分 |
62万円 |
他の所得区分のいずれにも該当しない場合 |
現役並み所得者 |
67万円 |
基準日において療養の給付を受けることとした場合に3割負担となる場合 |
低所得者Ⅱ |
31万円 |
(国民健康保険の場合) 市町村民税世帯非課税の場合 (被用者保険の場合) 被保険者が市町村民税非課税者(※1)である場合 |
低所得者Ⅰ |
19万円 |
基準日において医療保険上の世帯に属する者(※2)のすべてが基準日の属する年度の前年度(※3)分の地方税法の規定による市町村民税に係る所得が一定の基準に満たない場合(※4) |
※1 ①の※5と同じ。
※2 世帯員又は被扶養者については、基準日の属する月の初日(当該月の中途で資格取得した費用負担者の属する世帯にあっては、当該資格取得日)において世帯員又は被扶養者である者に限る。
※3 計算期間の中途で医療保険の加入者でなくなったことにより、前年8月1日から3月31日までのいずれかの日を基準日とみなした場合にあっては、当該基準日とみなした日の属する年度。
※4 地方税法の規定による市町村民税(特別区民税を含む。)に係る同法第313条第1項に規定する総所得金額及び山林所得金額に係る所得税法(昭和40年法律第33号)第2条第1項第22号に規定する各種所得の金額(同法第35条第2項に規定する公的年金等の支給を受ける者については、同条第4項に規定する公的年金等控除額を80万円として同項の規定を適用して算定した総所得金額とする。)並びに他の所得と区分して計算される所得の金額がいずれもない場合。
(参考) 基準日に後期高齢者医療の被保険者である者の場合
所得区分 |
介護合算算定基準額 |
判定基準 |
一般区分 |
56万円 |
他の所得区分のいずれにも該当しない場合 |
現役並み所得者 |
67万円 |
基準日において療養の給付を受けることとした場合に3割負担となる場合 |
低所得者Ⅱ |
31万円 |
世帯に属するすべての者(※1)が市町村民税非課税者(※2)である場合 |
低所得者Ⅰ |
19万円 |
世帯に属するすべての者(※1)が基準日の属する年度の前年度(※3)分の地方税法の規定による市町村民税に係る所得が一定の基準に満たない場合(※4) |
※1 基準日の属する月の初日(当該日において当該世帯に後期高齢者医療の被保険者がいない場合にあっては、当該日後に後期高齢者医療の被保険者となった者の資格取得日)において当該世帯に属する者に限る。
※2 ①の※5と同じ。
※3 ②の※3と同じ。
※4 ②の※4と同じ。
(6) 支給基準額
高額介護合算療養費の支給の事務の執行に要する費用を勘案して厚生労働大臣が定めることとされており、健康保険法施行令第四十三条の二第一項及び介護保険法施行令第二十二条の三第二項の規定に基づき厚生労働大臣が定める支給基準額により、500円と定められていること。
3 高額介護合算療養費の支給額
70歳以上の者が受けた療養(70歳に達する日の属する月の翌月以後に受けた療養をいう。)等に係る自己負担額(以下「70歳以上負担額」という。)の合算額(医療保険と介護保険の両方の自己負担額がある場合に限る。)がある場合には、次のア及びイの額の合算額を支給することとし、それ以外の場合には次のイの額を支給すること。
ア 70歳以上負担額の合算額(以下「70歳以上介護合算一部負担金等世帯合算額」という。)から、70歳以上介護合算算定基準額(2(5)②の額)を控除した額(当該額が支給基準額(500円)を超えない場合は0円とする。以下「70歳以上介護合算支給総額という。))に70歳以上介護合算按分率(70歳以上負担額のうち、世帯主等(世帯主等であった者を含む。)が当該国民健康保険の世帯主等であった間に係る負担額の合算額を、70歳以上介護合算一部負担金等世帯合算額で除して得た率をいう。)を乗じて得た額
イ 70歳未満の者が受けた療養(70歳に達する日の属する月以前に受けた療養をいう。)等に係る自己負担額(以下「70歳未満負担額」という。)及び70歳以上負担額の合算額(以下「世帯負担総額」という。)から70歳以上介護合算支給総額を控除した額(以下「介護合算一部負担金等世帯合算額」という。)から、更に介護合算算定基準額(2(5)①の額)を控除した額(当該額が支給基準額(500円)を超えない場合は0円とする。以下「介護合算支給総額」という。)に介護合算按分率(世帯負担総額のうち、世帯主等(世帯主等であった者を含む。)が当該国民健康保険の世帯主等であった間に係る負担額の合算額からアの額を控除した額を、介護合算一部負担金等世帯合算額で除して得た率をいう。)を乗じて得た額
4 計算期間の中途で医療保険の加入者でなくなった者に係る取扱い
(1) 基準日の取扱い
計算期間の中途で死亡等(※)により医療保険の加入者(各医療保険の被保険者又は組合員及びその被扶養者をいう。以下同じ。)でなくなった者(同一の計算期間において再び医療保険の加入者となった者を除く。以下「精算対象者」という。)について、当該計算期間において負担した医療保険又は介護保険の自己負担額がある場合にあっては、当該死亡等により医療保険の加入者でなくなった日の前日を基準日とみなして当該精算対象者に係る高額介護合算療養費の支給額の計算を行うこと。
なお、死亡以外の事由により医療保険の加入者でなくなった場合にあっては、同一の計算期間において再び医療保険の加入者となることがあることから、当該計算期間の末日まで基準日又は基準日とみなされる日を確定させないこと。
※ 医療保険の加入者でなくなる事由としては、次のようなものが考えられる。
① 死亡
② 海外への移住(移住時点の加入制度が国民健康保険又は後期高齢者医療の場合)
③ 生活保護受給(受給開始時点の加入制度が国民健康保険又は後期高齢者医療の場合)
(2) 支給額の算定の取扱い
精算対象者に係る高額介護合算療養費の支給額の算定にあっては、当該精算対象者に係る基準日とみなされる日において当該精算対象者が属する医療保険上の世帯に属する者(当該精算対象者を含む。)が計算期間における当該基準日とみなされる日までの期間において負担した自己負担額から介護合算一部負担金等世帯合算額等を算定し、介護合算算定基準額に係る所得区分についても当該基準日とみなされる日において判定したものを適用すること。
なお、この取扱いにより高額介護合算療養費の支給額の算定を行うのは精算対象者のみであり、当該精算対象者に係る基準日とみなされる日において当該精算対象者と同一の医療保険上の世帯に属する者については、別途当該者について適用される基準日において高額介護合算療養費の支給額を算定すること。(この場合においては、精算対象者は精算対象者以外の者に適用される基準日においては医療保険上の世帯に属していないため、精算対象者が負担した自己負担額は介護合算一部負担金等世帯合算額等の算定に含めないこと。)
5 端数調整
医療保険又は介護保険の保険者(広域連合を含む。以下「保険者等」という。)から支給する額について1円未満の端数が生じる場合については、按分後の額が一番低い額となる保険者以外の支給額については当該端数を切り捨て、按分後の額が一番低い額となる保険者の支給額に、当該切り捨てられた額の合算額を加えること。
なお、70歳以上負担額と70歳未満負担額の両方がある場合については、それぞれについて算定した支給額ごとに端数調整を行い、当該調整後の額の合算額を各保険者の支給額とすること。
また、関係する保険者が2保険者の場合(基準日に加入する医療保険者のほか関係する保険者が介護保険の1保険者のみの場合)であって、それぞれの支給額が同額であり、それぞれ0.5円の端数が生じる場合については、医療保険者の支給額の端数を切り捨て、介護保険者の支給額の端数を切り上げるものとすること。
第二 国民健康保険における高額介護合算療養費の支給の取扱い
1 基準日保険者における取扱い
(1) 支給申請書の受付
基準日保険者は、高額介護合算療養費の支給を受けようとする基準日世帯主等(以下1において「申請者」という。)に対し、基準日の翌日以後に次に掲げる書類を添付して、高額介護合算療養費支給申請書兼自己負担額証明書交付申請書(以下「申請書」という。様式は様式例1を参考とされたいこと。)を提出させなければならないこと。
(ア) 世帯負担総額の対象となる自己負担額の証明書(ただし、申請者が計算期間における基準日保険者の世帯主等であった期間の当該基準日保険者に係る自己負担額の証明書は不要。以下「自己負担額証明書」という。)
(イ) 上位所得者区分に該当しない場合であって、保険者が公簿等によって当該事実を確認することができないときは、その事実を証する書類
(ウ) 低所得者区分に該当する場合であって、保険者が公簿等によって当該事実を確認することができないときは、非課税証明書等その事実を証する書類
支給申請書の受付の際には、計算期間における医療保険及び介護保険の加入期間に漏れがないか確認するとともに、必要な自己負担額証明書の添付がされているか確認すること。ただし、記載すべき額が零である自己負担額証明書については、申請書にその旨を記載することにより添付を省略することができること。
なお、基準日保険者が市町村の場合であって、当該基準日保険者が当該申請者及び基準日世帯員が基準日において加入する介護保険者(以下「基準日介護保険者」という。)と同一の市町村であるときは、当該申請者及び基準日世帯員に係る高額医療合算介護(予防)サービス費の支給の申請(自己負担額証明書の交付申請を含む。以下同じ。)を併せて受け付け、当該申請を受け付けた旨を基準日介護保険者に対し、速やかに連絡すること。
(2) 介護合算一部負担金等世帯合算額等の算出及び所得区分の判定
(1)の申請を受けた基準日保険者は、計算期間における基準日保険者及び基準日介護保険者に係る自己負担額(※)の合算額(第一の2(4)ア①又は⑤に掲げる合算額)並びに支給申請書に添付された自己負担額証明書に記載された自己負担額の合算額から、介護合算一部負担金等世帯合算額及び70歳以上介護合算一部負担金等世帯合算額を算出すること。
※ 基準日保険者において、基準日介護保険者に係る高額医療合算介護(予防)サービス費の支給の申請を併せて受け付けた場合、基準日介護保険者に係る自己負担額については、当該基準日介護保険者から情報提供を受けること等により確認すること。
また、所得区分については、(1)の支給申請書に添付された非課税証明書等の書類又は公簿等により判定を行うこと。
(3) 各保険者の支給額に係る計算及び計算結果の連絡
ア 各保険者の支給額に係る計算
基準日保険者は、(2)で算出した介護合算一部負担金等世帯合算額及び70歳以上介護合算一部負担金等世帯合算額と所得区分から、70歳以上介護合算支給総額及び介護合算支給総額を算出すること。この際、70歳以上負担額と70歳未満負担額の両方がある場合については、第一の3の計算において介護合算按分率又は70歳以上介護合算按分率を乗じる前の額をそれぞれ算出すること。
また、(2)で算出した介護合算一部負担金等世帯合算額及び70歳以上介護合算一部負担金等世帯合算額と申請者が計算期間における基準日保険者の世帯主等であった期間の自己負担額の合算額(第一の2(4)ア①に掲げる額)及び支給申請書に添付された自己負担額証明書に記載された自己負担額から、基準日保険者及び自己負担額証明書を発行した保険者又は広域連合(以下(3)において「関係保険者等」という。)のそれぞれにおける介護合算按分率及び70歳以上介護合算按分率を算出し、これに70歳以上介護合算支給総額又は介護合算支給総額をそれぞれ乗じることにより、基準日保険者及び関係保険者のそれぞれの支給額を算定すること。この際、1円未満の端数が生じた場合の取扱いについては、第一の5を参照のこと。
イ 計算結果の連絡
基準日保険者は、アの計算結果等について、様式1による高額介護合算療養費等支給額計算結果連絡票により、関係保険者等に対し、遅滞なく通知すること。
(4) 高額介護合算療養費の支給
基準日保険者は、(3)で計算した結果に基づき、申請者に対し、高額介護合算療養費支給(不支給)決定通知書(様式は様式例2を参考とされたいこと。)を交付するとともに、基準日保険者として支給すべき額について高額介護合算療養費を支給すること。なお、不支給となる場合には、不支給となる理由を記載すること。
2 基準日保険者以外の保険者における取扱い
(1) 支給及び証明書交付申請書の受付
計算期間において世帯主等であった者(計算期間において世帯主等であった者であって、基準日において同一の保険者の世帯員である者を含む。以下2において「申請者」という。)が高額介護合算療養費の支給を受けようとする場合には、計算期間において加入していた保険者(基準日保険者を除く。)は、申請者に対し、基準日の翌日以後に申請書を提出させなければならないこと。
(2) 自己負担額証明書の交付
(1)の申請を受けた保険者は、申請者に対し、様式2による自己負担額証明書を交付すること。
自己負担額証明書に記載すべき額が零である者にあっては申請書の提出を必ずしも要しないが、そのような者から申請書の提出があった場合であっても自己負担額証明書を交付すること。
なお、70歳以上負担額がある場合には、70歳未満負担額を含めた自己負担額の合算額を掲載するとともに、その内訳として70歳以上負担額について再掲すること。なお、70歳以上負担額の算出は次の方法により行うこと。
【自己負担額証明書に記載する70歳以上負担額(月単位)の算出方法】
(ア) 70歳以上の者が受けた療養に係る一部負担金等の合算額を算出する
(イ) 令第29条の2第3項から第5項までの規定により高額療養費が支給される場合にあっては、当該支給額を算出する
(ウ) 70歳未満の者が受けた療養に係る一部負担金等の額(令第29条の2第2項の規定による高額療養費が支給される場合にあっては当該額を控除した額)と(ア)で算出した額((イ)で算出した額がある場合には当該額を控除した額)の合算額を算出する
(エ) (ウ)で算出した額について令第29条の2第1項の規定による高額療養費が支給される場合にあっては、当該支給額に70歳以上高額療養費按分率((ア)で算出した額((イ)で算出した額がある場合には当該額を控除した額)を(ウ)で算出した額で除して得た率をいう。)を乗じた額を算出する
(オ) (ア)で算出した額から(イ)及び(エ)で算出した額を控除する
なお、自己負担額証明書の交付後に記載内容の変更があった場合には、速やかに申請者及び基準日保険者にその旨を連絡すること。
(3) 高額介護合算療養費の支給
(1)の申請を受けた保険者は、申請者に係る高額介護合算療養費の支給額についての1(3)イの計算結果の連絡を受けた場合には、申請者に対し、高額介護合算療養費支給(不支給)決定通知書を交付するとともに、当該保険者として支給すべき額を高額介護合算療養費として支給すること。なお、不支給となる場合には、不支給となる理由を記載すること。
また、(2)において自己負担額を零と記載した自己負担額証明書を交付した場合にあっては、1(3)イの計算結果の連絡を待たずに不支給決定を行っても差し支えないこと。
3 精算対象者に係る高額介護合算療養費の支給手続等の取扱い
(1) 精算対象者が世帯主等である場合の取扱い
世帯主等が精算対象者となった場合の高額介護合算療養費の支給手続及び支給事務については、資格喪失日の前日を基準日とみなし、1に準じて取り扱うこと。ただし、この場合においては、当該精算対象者の属する世帯における支給対象者は当該精算対象者のみ(同時に世帯員が精算対象者となる場合は当該世帯員を含む。)であるため、精算対象者でない者に係る自己負担額証明書を交付した保険者に対する1(3)イの計算結果の連絡は不要であること。
なお、資格喪失事由が死亡以外の場合にあっては、計算期間の終了時に結果的に精算対象者に該当しないことがあり得るため、申請書の受付は計算期間の終了後とすること。資格喪失事由が死亡である場合にあっては、死亡日の翌日以後、申請書を受け付け、高額介護合算療養費の支給をして差し支えないこと。
(2) 精算対象者が世帯員である場合の取扱い
世帯員が計算期間の中途で精算対象者となった場合であって、当該計算期間において当該世帯員が負担した自己負担額があるとき(※)には、当該世帯員の資格喪失日の前日を基準日とみなして当該世帯員に係る高額介護合算療養費等の支給額の算定を行う必要があるが、この算定の事務は、基準日とみなされる日時点における世帯主等からの申請により当該世帯員が資格喪失時に加入していた保険者が行うこと。
この場合においては、1における高額介護合算療養費の支給申請を、精算対象者に係る高額介護合算療養費等の支給額の算定申請に置き換えて、1に準じて取り扱うこと。ただし、この申請に係る当該精算対象者である世帯員の属する世帯における支給対象者は当該精算対象者のみ(同時に複数の者が精算対象者となる場合は当該者を含む。)であるため、精算対象者でない者に係る自己負担額証明書を交付した保険者に対する1(3)イの計算結果の連絡は不要であること。また、精算対象者に係る自己負担額証明書を交付した保険者に対する1(3)イの計算結果の連絡を行ったときは、遅滞なく、当該連絡を行った旨を申請者に通知すること。
なお、精算対象者の資格喪失事由が死亡以外の場合にあっては、計算期間の終了時に結果的に精算対象者に該当しないことがあり得るため、申請書の受付は計算期間の終了後とすること。資格喪失事由が死亡である場合にあっては、死亡日の翌日以後、申請書を受け付け、計算結果の連絡を行って差し支えないこと。
※ 世帯員が負担した自己負担額がある場合とは、当該世帯員が計算期間において介護サービスを受けていた場合、世帯員となる前に世帯主等であった期間を有する場合などが考えられる。
(3) 精算対象者が世帯主等であった者である場合の取扱い
計算期間において世帯主等であった者が他の医療保険の加入者となった(同一保険者における世帯員となった場合を含む。)後に精算対象者となった場合には、当該精算対象者の当該計算期間における最後の医療保険の加入者でなくなった日の前日を基準日とみなして当該精算対象者に係る高額介護合算療養費等の支給額の算定を行う必要があり、この算定の事務は、当該精算対象者が最後に加入していた医療保険者が行うこととなるので、2に準じて取り扱うこと。
なお、精算対象者となる事由が死亡以外の場合にあっては、計算期間の終了時に結果的に精算対象者に該当しないことがあり得るため、申請書の受付は計算期間の終了後とすること。資格喪失事由が死亡である場合にあっては、死亡日の翌日以後、申請書を受け付け、高額介護合算療養費の支給をして差し支えないこと。
(4) 世帯主等であった者が属する世帯に精算対象者が生じた場合の取扱い
計算期間において世帯主等であった者が他の医療保険の加入者となった(同一保険者における世帯員となった場合を含む。)後に当該者が属する医療保険上の世帯に精算対象者が生じた場合には、当該精算対象者の当該計算期間における最後の医療保険の加入者でなくなった日の前日を基準日とみなして当該精算対象者に係る高額介護合算療養費等の支給額の算定を行う必要があり、この算定の事務は、当該他の医療保険の保険者が行うこととなること。
この場合においては、当該基準日とみなされる日における当該世帯の介護合算一部負担金等世帯合算額等の算出のため、当該基準日とみなされる日において当該世帯に属する者に係る自己負担額証明書が必要となることから、世帯主等であった者から、このための自己負担額証明書の交付の申請を受けた場合(※)には、2(1)及び(2)に準じて取扱うこと。(この場合においては、同(1)の申請は自己負担額証明書交付申請のみとして取り扱うこと。また、計算結果の連絡は行われないため、自己負担額証明書の交付をもって事務手続きは完結することとなる。)
なお、精算対象者となる事由が死亡以外の場合にあっては、計算期間の終了時に結果的に精算対象者に該当しないことがあり得るため、申請書の受付の際に、精算対象者となる事由を確認し、当該事由が死亡以外の場合にあっては、申請書の受付は計算期間の終了後とすること。資格喪失事由が死亡である場合にあっては、死亡日の翌日以後、申請書を受け付け、自己負担額証明書の交付をして差し支えないこと。
※ この場合、当該世帯主等であった者に対する高額介護合算療養費の支給額の算定は、基準日における当該者の属する医療保険上の世帯について別途行われることとなる。したがって、同一の計算期間について、同一の者に係る自己負担額証明書を複数回交付することがあり得るので、留意されたい。ただし、その場合の証明すべき期間は、始期については同一だが終期は異なることとなる。
4 計算結果の送付がされない場合の取扱い
第二の2(1)の申請を受け付けた申請者について、当該申請者の当該申請の対象となった計算期間に係る基準日保険者からの当該申請に係る高額介護合算療養費の支給額についての計算結果が送付されない場合にあっては、当該申請者に対して、基準日保険者に申請をする必要があること、また2年を経過することにより消滅時効が完成すること等を説明することなどにより、申請勧奨を行うこと。
なお、計算期間の基準日の翌日から2年を経過しても計算結果が送付されない場合、当該申請者又は基準日保険者に対し、基準日保険者への支給申請を行っているか確認し、基準日保険者への支給申請が行われていないときは、当該申請は提出されなかったものとみなすことができること。
5 時効の取扱い
高額介護合算療養費の請求権の消滅時効については、基準日(基準日とみなされる日を含む。)の翌日を起算日とすること。また、消滅時効の期間は国民健康保険法(昭和33年法律第192号)第110条第1項の規定により2年であること。
ただし、死亡以外の理由で精算対象者となった者に係る高額介護合算療養費については、計算期間の終了をもって精算対象者となることが確定するものであることから、請求権の消滅時効についても計算期間の末日の翌日から起算すること。
6 初年度等における経過的取扱い
平成20年度については、計算期間の中途である4月1日から高額介護合算療養費制度が施行されることから、施行当初の計算期間については、同日から平成21年7月31日までの16ヶ月間とし、それに応じて介護合算算定基準額についても、次のとおり通常の額の16/12倍の額とすること。
ア 介護合算算定基準額
① 上位所得者:126万円→168万円
② 一般所得者:67万円→89万円
③ 低所得者:34万円→45万円
イ 70歳以上介護合算算定基準額
① 現役並み所得者:67万円→89万円
② 一般所得者:62万円→75万円(※1)
③ 低所得者Ⅱ:31万円→41万円
④ 低所得者Ⅰ:19万円→25万円
ウ 基準日に長寿医療制度の被保険者である者に適用される介護合算算定基準額
① 現役並み所得者:67万円→89万円
② 一般所得者:56万円→75万円
③ 低所得者Ⅱ:31万円→41万円
④ 低所得者Ⅰ:19万円→25万円
(※1) 平成20年度については、70歳代前半の被保険者等に係る一部負担金等の軽減特例措置を踏まえた対応によって、高齢受給者に係る高額療養費の算定基準額が平成20年4月の改正前の額に据え置かれることから、一般所得者に係る70歳以上介護合算算定基準額についても、改正前の高額療養費の自己負担限度額に応じた水準の額(56万円の16/12)となるよう設定している。
ただし、平成20年8月1日以後に負担が集中している場合など、計算期間を16ヶ月間として算出した世帯単位の高額介護合算療養費の支給総額が、計算期間を同日から平成21年7月31日までの12ヶ月間として算出(介護合算算定基準額及び70歳以上介護合算算定基準額は通常の額(※2)による。)した支給総額を下回る場合には、計算期間は当該12ヶ月間として適用されたいこと。
(※2) ※1と同様の理由により、この場合の一般所得者に係る70歳以上介護合算算定基準額は56万円とする。
また、平成21年度も70歳代前半の被保険者等に係る一部負担金等の軽減特例措置がとられることを踏まえ、平成21年8月1日から平成22年7月31日までに療養を受けた場合の一般所得者に係る70歳以上介護合算算定基準額については56万円とすること。
第三 運営に当たっての留意点について
1 制度に関する周知及び広報
高額介護合算療養費の支給等については、制度の不知等による申請漏れを防止する観点から、被保険者に対し、その趣旨、申請手続等について周知及び広報に努められたいこと。
また、被保険者の申請の利便を図るため、自己負担額を記載した通知を被保険者に発送する等の配慮を行われたいこと。
2 申請手続の負担軽減
被保険者の事務手続等の負担が過重なものとならないよう、申請時には、領収書の添付等を求めないこと。
(様式1)
(様式2)
(様式2(初年度用))
(様式例1)
(様式例2)