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○特別用途食品の表示許可等について

(平成21年2月12日)

(食安発第0212001号)

(各都道府県知事・各保健所設置市長・各特別区長あて厚生労働省医薬食品局食品安全部長通知)

健康増進法(平成14年法律第103号)の規定に基づく特別用途食品(健康増進法施行規則(平成15年厚生労働省令第86号)第11条第3号に規定する特定保健用食品を除く。以下同じ。)は、販売に供する食品につき、乳児用、幼児用、妊産婦用、病者用等の特別の用途に適する旨の表示をしようとする者は、厚生労働大臣の許可を受けなければならない又は外国においてその旨の表示をしようとする者は、厚生労働大臣の承認を受けることができるという制度であるが、旧栄養改善法(昭和27年法律第248号)によって定められた枠組みは基本的に維持されたままとなってきた。

しかしながら、近年、高齢化の進展や生活習慣病の患者の増加に伴う医療費の増大とともに、医学や栄養学の著しい進歩や栄養機能表示に関する制度の定着など、特別用途食品制度を取り巻く状況は大きく変化している。

こうした状況を踏まえ、今後の特別用途食品制度のあり方について、平成19年11月に設置された「特別用途食品制度のあり方に関する検討会」において検討が進められ、平成20年7月に同検討会報告書が取りまとめられたところである。

同検討会の報告書において、新しいニーズに対応した特別用途食品の役割として、

① 特別用途食品は、通常の食品では対応が困難な特別の用途を表示する機能を果たしており、対象となる者に十分認知されれば、適切な食品選択を支援する有力な手段として期待できるものであること。

② 今後、我が国で高齢化がますます進行することから、在宅療養における適切な栄養管理を持続できる体制づくりが求められているところであり、特別用途食品は、そのような社会状況の変化に対応して新たなニーズに的確に対応できるものでなければならないこと。

③ その許可の対象となる食品の範囲を重点化することで認知度を高め、当該食品の供給の円滑化に繋げることが期待されること。

④ 必要な情報提供の促進や最新の医学的、栄養学的知見に基づいて適正な審査を経た食品供給がなされるといった基盤整備を図ることも不可欠な取組であること。

が指摘された。

このような観点に立って、具体的な制度の見直しを行い、健康増進法施行規則第11条第2号の改正を行い、特別の用途として、「高齢者」用を「えん下困難者」用に改めるとともに、下記のとおり特別用途食品の表示許可基準並びに特別用途食品の取扱い及び指導要領を定め、平成21年4月1日から施行することとしたので、貴管下関係者に対する周知徹底をはじめ、その運用に遺憾のないよう願いたい。

なお、検討会報告書においては、特別用途食品の審査体制のあり方について、強化を図るべき旨提言がなされているが、特別用途食品の審査及び許可(承認)については、これを新設が予定されている消費者庁に移管するための関係法案が国会に提出されている状況にあることを踏まえ、当面従来どおりの審査体制を維持することとしたので御了知願いたい。

第1 「特別用途食品の表示許可について」及び「特別用途食品の取扱い及び指導要領について」の制定

健康増進法施行規則の一部を改正する省令(平成21年厚生労働省令第14号)の公布に伴い、別添1のとおり「特別用途食品の表示許可基準」を定めるとともに、別添2のとおり「特別用途食品の取扱い及び指導要領」を定めること。

第2 施行期日及び経過措置等

1 第1の規則の改正及び通知の制定による新たな特別用途食品制度(以下「新制度」という。)は、平成21年4月1日から施行されるものであること。このため、新たな許可基準に基づく特別用途食品制度の表示許可申請は、同日以降行うことができるものであること。

2 平成21年3月31日までに健康増進法に基づく表示の許可又は承認(以下「許可等」という。)を受けた特別用途食品に対する表示の許可の効力の取扱いについては、3に定める経過措置が認められるほか、許可等に係る表示の内容に応じ、以下のとおりとすること。

(1) 妊産婦、授乳婦用粉乳及び個別評価型病者用食品

既に許可を受けている食品に対する表示の許可の効力については、新制度施行後も変更はなく、特段の手続は不要であること。

(2) 無乳糖食品

既に許可を受けている食品に対する表示の許可の効力については、新制度施行後も変更はないが、乳たんぱく質を含む場合は、消費者に対して適切に情報提供を行うため、必要的表示事項が追加されたことから、引き続き当該食品の販売を行う場合、別添2の別紙様式6の変更届(変更事項欄に表示事項を記載したもの)及び表示見本が必要となること。

(3) 低たんぱく質食品

既に許可を受けている食品のうち、たんぱく質含有量が30%以下であるものに対する表示の許可の効力については、新制度施行後も変更はないこと。ただし、当該食品のうち、カルシウム及びリン等の成分の含有を表示していないものは、別添2の別紙様式6の変更届(変更事項欄に表示事項を記載したもの)及び表示見本が必要となること。

たんぱく質含量が30%より多く、50%以下である既存の許可食品については、今回の制度改正に伴い、許可の対象から外れるので、平成21年3月31日までに既存の許可は失効すること。失効の際、特段の手続は要しないこと。

(4) アレルゲン除去食品、乳児用調製粉乳、高齢者用食品(そしゃく・えん下困難者用食品)

当該食品に関する許可基準の変更が重大で必要的表示事項にも影響が及ぶことから、新制度施行後に別添2の別紙様式1又は別紙様式2による申請が必要であること。なお、高齢者用食品(そしゃく・えん下困難者用食品)については、えん下困難者用食品として申請すべきものである。

(5) 低ナトリウム食品、低カロリー食品、低(無)たんぱく質高カロリー食品、高たんぱく質食品、減塩食調製用組合わせ食品、糖尿病食調製用組合わせ食品、肝臓病食調製用組合わせ食品、成人肥満症食調製用組合わせ食品及び高齢者用食品(そしゃく困難者用食品)

今回の制度改正に伴い、許可の対象から外れるので、平成21年3月31日までに既存の許可は失効すること。失効の際、特段の手続は要しないこと。

3 施行期日及び経過措置

この通知は、平成21年4月1日から施行すること。

この通知の施行の際現に新制度施行前の健康増進法施行規則第11条第2号に掲げる特別の用途に適する旨の表示に係る許可等又は「特別用途食品の取扱いについて」(昭和48年12月26日衛発第781号厚生省公衆衛生局長通知。以下「旧通知」という。)に掲げる許可基準に基づき特別用途食品の許可等を得ている者は、平成22年3月31日までは、改正後のこの通知の許可基準にかかわらず、なお従前の例によることができることとすること。

なお、新制度施行前の健康増進法施行規則第11条第2号に掲げる特別の用途に適する旨の表示に係る許可等の申請又は旧通知に定める許可基準に基づく申請については、受理を拒否するものではないが、制度が改正されることを踏まえ、適切に対応いただくようお願いする。

第3 関連通知の廃止等

1 以下の通知を廃止する。

○ サイクラミン酸ナトリウム又はサイクラミン酸カルシウムを含有する特別用途食品の取扱いについて(昭和44年10月31日衛発第765号厚生省公衆衛生局長通知)

○ 「特別用途食品の表示許可について」(昭和46年4月8日衛発第222号厚生省公衆衛生局長通知)

○ 「特別用途食品の表示許可について」(昭和48年12月26日衛発第781号厚生省公衆衛生局長通知)

2 「保健機能食品制度の創設等に伴う特定保健用食品の取扱い等について」(平成13年3月27日食発第111号厚生労働省医薬局食品保健部長通知)の別添2「特別用途食品の取扱い及び指導要領」を削除する。

別添1

特別用途食品の表示許可基準

第1 許可すべき特別用途食品の範囲

1 特別用途食品(健康増進法施行規則(平成15年厚生労働省令第86号)第11条第3号に規定する特定保健用食品を除く。以下同じ。)の表示については、病者用食品、妊産婦、授乳婦用粉乳、乳児用調製粉乳及びえん下困難者用食品に係るものを健康増進法(平成14年法律第103号)第26条第1項の許可の対象とする。

2 病者用食品のうち次に掲げる食品群に属する食品(以下「許可基準型病者用食品」という。)については第2に定める許可基準により特別用途食品たる表示の許可を行い、その他の病者用食品(以下「個別評価型病者用食品」という。)については第3に定めるところにより個別に評価を行い、特別用途食品たる表示の許可を行う。

(1) 低たんぱく質食品

(2) アレルゲン除去食品

(3) 無乳糖食品

(4) 総合栄養食品

3 病者用食品について、特別の用途に適する旨の表示とは、以下の各項のいずれかに該当するものであること。したがって、これらの表示がなされた食品が無許可で販売されることのないよう留意すること。

(1) 単に病者に適する旨を表示するもの。例えば「病者用」、「病人食」等。

(2) 特定の疾病に適する旨を表示するもの。例えば「糖尿病者用」、「腎臓病食」、「高血圧患者に適する」等。

(3) 許可対象食品群名に類似の表示をすることによって、病者用の食品であるとの印象を与えるもの。例えば「低たんぱく食品」、「アレルゲン食品」等。

ただし、「本品は、厚生労働省許可の特別用途食品(病者用食品)ではありません。」との文言を記載して、栄養成分表示を行っているものに限り、「低たんぱく質(通常の○○(食品名)の○%)」又は「低たんぱく質(通常の○○(食品名)に比べて○%少ない)」との表示を行ったものについては、病者等が特別用途食品と誤認するおそれがないことから、この限りではない。

第2 許可基準型病者用食品たる表示の許可基準

許可基準型病者用食品に係る病者用食品たる表示の許可については、以下の基準により判断するものとする。

1 基本的許可基準

(1) 食品の栄養組成を加減し、又は特殊な加工を施したものであって、医学的、栄養学的見地からみて特別の栄養的配慮を必要とする病者に適当な食品であることが認められるものであること。

(2) 特別の用途を示す表示が、病者用の食品としてふさわしいものであること。

(3) 適正な試験法によって成分又は特性が確認されるものであること。

2 概括的許可基準

(1) 指示された使用方法を遵守したときに効果的であり、しかもその使用方法が簡明であること。

(2) 品質が通常の食品に劣らないものであること。

(3) 利用対象者が相当程度に広範囲のものであるか、又は病者にとって特に必要とされるものであること。

3 食品群別許可基準

(1) 食品群別の許可基準(規格、許容される特別用途表示の範囲及び許可された場合の必要的表示事項)は、別紙1のとおりとすること。

なお、この場合の必要的表示事項とは、健康増進法施行規則第14条各号に定める表示事項のほか、特に記載すべき事項を列記したものである。

(2) 同種の食品が存在しない場合における食品群別許可基準の適用に当たっては、その規格欄のうち、通常の同種の食品の特定成分含量との比較規定は適用せず、許可申請食品の成分構成やその用途等からして、当該食品が病者用食品として許可するにふさわしいものであるかどうかを個別に判断して、許可の決定をするものとすること。

第3 個別評価型病者用食品たる表示の許可の個別評価

1 個別評価型病者用食品については、「保健機能食品制度の見直しに伴う特定保健用食品の審査等取扱い及び指導要領の改正について」(平成17年2月1日食安発0201002号本職通知)の別添1「特定保健用食品の審査等取扱い及び指導要領」に規定する特定保健用食品の評価方法と同様に、個別に科学的な評価を行うことにより病者用食品としての表示を認め、特定の疾病を持つ病者に対し適切な情報提供を行えるようにすることが適当であるとの観点から、個別評価による病者用食品としての表示許可を行うこととしたものである。

2 個別評価型病者用食品に係る病者用食品たる表示の許可については、以下の(1)~(10)に規定するすべての要件を満たすものを個別に評価するものとする。

なお、この場合の「食事療法」とは、疾病の治療及び再発や悪化の防止を目的として、医師の指示により医学的、栄養学的知見に基づき、栄養素等を管理した食事を摂取することをいい、「関与する成分」とは、食事療法を実施するに当たり、疾病の治療等に関与する食品成分をいう。

(1) 特定の疾病のための食事療法の目的の達成に資するための効果が期待できるものであること。

(2) 食品又は関与する成分について、食事療法上の効果の根拠が医学的、栄養学的に明らかにされていること。

(3) 食品又は関与する成分について、病者の食事療法にとって適切な使用方法が医学的、栄養学的に設定できるものであること。

(4) 食品又は関与する成分は、食経験等からみて安全なものであること。(食品衛生上問題がない食品であることはもとより、これまでも人による食経験があるものであるとともに、その摂取量、摂取方法等からみて過剰摂取による健康障害、栄養のアンバランス等を生じないものであること。)

(5) 関与する成分は、次に掲げる事項が明らかにされていること。

ア 物理学的、化学的及び生物学的性状並びにその試験方法

イ 定性及び定量試験方法

(6) 同種の食品の喫食形態と著しく異なったものではないこと。(病者用食品は食事療法として日常の食事の中で継続的に食するものであり、食事様式を大きく変えることなく、今まで食べていたものと置き換えることにより食事療法を容易にするために必要な要件であること。)

(7) まれにしか食されないものでなく、日常的に食される食品であること。

(8) 原則として、錠剤型、カプセル型等をしていない通常の形態の食品であること。

(9) 食品又は関与する成分は、「無承認無許可医薬品の指導取締りについて」(昭和46年6月1日薬発第476号薬務局長通知)別紙「医薬品の範囲に関する基準」の別添2「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト」に含まれるものではないこと。

(10) 製造方法、製品管理方法が明示されているものであること。

3 個別評価型病者用食品の許可の適否は、専門の学識経験者の意見を聴き判断する。

4 個別評価型病者用食品の許可された場合の必要的表示事項は、次に掲げるとおりとする。

(1) 病者用食品である旨

(2) 医師に指示された場合に限り用いる旨

(3) ○○疾患に適する旨

(4) 医師、管理栄養士等の相談、指導を得て使用することが適当である旨

(5) 食事療法の素材として適するものであって、多く摂取することによって疾病が治癒するというものではない旨

(6) 表示許可の条件として示された事項がある場合は当該事項

(7) 過食による過剰摂取障害の発生が知られているもの又はそのおそれがあるものについては、申請書に添付した資料に基づきその旨

第4 妊産婦、授乳婦用粉乳たる表示の許可基準

1 妊産婦、授乳婦用粉乳たる表示の適用範囲

許可を受けるべき妊産婦、授乳婦用粉乳たる表示の範囲については、妊産婦、授乳婦の用に適する旨が医学的、栄養学的表現で記載されたものに適用されるものとする。

2 妊産婦、授乳婦用粉乳たる表示の許可基準

妊産婦、授乳婦用粉乳たる表示の許可基準は、表1に示す成分組成の含有量に適合したものであることとする。

表1

成分

製品1日摂取量中の含有量

熱量

314kcal以下

たんぱく質

10.44g以上

脂質

2.30g〃

糖質

23.66g〃

ナイアシン

0.29mg〃

ビタミンA

456μg〃

ビタミンB1

0.86mg〃

ビタミンB2

0.76mg〃

ビタミンD

7.5μg〃

カルシウム

650mg〃

3 必要的表示事項

妊産婦、授乳婦用粉乳として許可された場合の必要的表示事項は、次のとおりとする。

(1) 「妊産婦、授乳婦用粉乳」の文字

(2) 栄養成分の量

(3) 標準的な使用方法

第5 乳児用調製粉乳たる表示の許可基準

1 乳児用調製粉乳たる表示の適用範囲

許可を受けるべき乳児用調製粉乳たる表示の範囲については、母乳代替食品としての用に適する旨が医学的、栄養学的表現で記載されたものに適用されるものとする。

2 乳児用調製粉乳たる表示の許可基準

乳児用調製粉乳たる表示の許可基準は、表2に示す成分組成の基準に適合したものであることとする。

表2

 

標準濃度の熱量(100ml当たり)

熱量

60~70kcal

成分

100kcal当たりの組成

たんぱく質(窒素換算係数6.25として)

1.8~3.0g

脂質

4.4~6.0g

炭水化物

9.0~14.0g

ナイアシン

300~1500μg

パントテン酸

400~2000μg

ビタミンA

60~180μg

ビタミンB1

60~300μg

ビタミンB2

80~500μg

ビタミンB6

35~175μg

ビタミンB12

0.1~1.5μg

ビタミンC

10~70mg

ビタミンD

1.0~2.5μg

ビタミンE

0.5~5.0mg

葉酸

10~50μg

イノシトール

4~40mg

亜鉛

0.5~1.5mg

塩素

50~160mg

カリウム

60~180mg

カルシウム

50~140mg

0.45mg以上

35~120μg

ナトリウム

20~60mg

マグネシウム

5~15mg

リン

25~100mg

α―リノレン酸

0.05g以上

リノール酸

0.3~1.4g

Ca/P

1~2

リノール酸/α―リノレン酸

5~15

3 必要的表示事項

乳児用調製粉乳として許可された場合の必要的表示事項は、次のとおりとする。

(1) 「乳児用調製粉乳」の文字

(2) 当該食品が母乳の代替食品として使用できるものである旨(ただし、乳児にとって母乳が最良である旨の記載を行うこと。)

(3) 医師、管理栄養士等の相談指導を得て使用することが適当である旨

(4) 標準的な調乳方法

(5) 乳児の個人差を考慮して使用する旨

第6 えん下困難者用食品たる表示の許可基準

1 えん下困難者用食品たる表示の適用範囲

許可を受けるべきえん下困難者用食品(えん下を容易ならしめ、かつ、誤えん及び窒息を防ぐことを目的とするもの)たる表示の適用範囲については、えん下困難者の用に適する旨を医学的、栄養学的表現で記載されたものに適用されるものとする。

2 えん下困難者用食品たる表示の許可基準

えん下困難者用食品たる表示の許可基準は、次の基準に適合したものであること。

(1) 基本的許可基準

ア 医学的、栄養学的見地から見てえん下困難者が摂取するのに適した食品であること。

イ えん下困難者により摂取されている実績があること。

ウ 特別の用途を示す表示が、えん下困難者用の食品としてふさわしいものであること。

エ 使用方法が簡明であること。

オ 品質が通常の食品に劣らないものであること。

カ 適正な試験法によって成分又は特性が確認されるものであること。

(2) 規格基準

表3に示す規格を満たすものとする。

なお、簡易な調理を要するものにあっては、その指示どおりに調理した後の状態で当該規格を満たせばよいものとする。

表3

規格※1

許可基準Ⅰ※2

許可基準Ⅱ※3

許可基準Ⅲ※4

硬さ(一定速度で圧縮したときの抵抗)(N/m2)

2.5×103~1×104

1×103~1.5×104

3×102~2×104

付着性(J/m3)

4×102以下

1×103以下

1.5×103以下

凝集性

0.2~0.6

0.2~0.9

※1 常温及び喫食の目安となる温度のいずれの条件であっても規格基準の範囲内であること。

※2 均質なもの(例えば、ゼリー状の食品)。

※3 均質なもの(例えば、ゼリー状又はムース状等の食品)。ただし、許可基準Ⅰを満たすものを除く。

※4 不均質なものも含む(例えば、まとまりのよいおかゆ、やわらかいペースト状又はゼリー寄せ等の食品)。ただし、許可基準Ⅰ又は許可基準Ⅱを満たすものを除く。

3 必要的表示事項

えん下困難者用食品として許可された場合の必要的表示事項は、次のとおりとする。

(1) 「えん下困難者用食品」の文字

(2) 許可基準区分

(3) 喫食の目安となる温度

(4) 包装1個当たりの重量

(5) 1包装分が含む熱量、たんぱく質、脂質、炭水化物及びナトリウムの量の表示

(6) 医師、歯科医師、管理栄養士等の相談指導を得て使用することが適当である旨の表示

4 表示値及び測定値

製品は、定量するとき、表示量に対して栄養成分等の分析値が次の範囲内になければならない。

(1) 熱量、たんぱく質、脂質、炭水化物、ナトリウム 80~120%

(2) 脂溶性ビタミン、ミネラル 80~150%

(3) 水溶性ビタミン 80~180%

(4) その他 80~120%

第7 特別用途食品の許可申請時に注意すべき事項

1 申請書の様式及び記載事項等については、本通知の別添2「特別用途食品の取扱い及び指導要領について」によるものであること。

2 申請書には、次に掲げる書類を添付すること。

(1) 申請者が法人の場合には、定款又は寄付行為

(2) 試験成績書

ア 許可基準型病者用食品については、別紙1食品群別許可基準の規格欄の各項目に、妊産婦、授乳婦用粉乳及び乳児用調製粉乳については、表示許可基準の各項目に、えん下困難者用食品については、表示許可基準の規格欄の各項目に適合することを証明する試験成績書(3通)

イ 個別評価型病者用食品については、食品中における関与する成分の定性及び定量試験成績書(3通)

なお、ア及びイに係る試験は製造日が異なる製品又は別ロットの製品を3包装以上無作為に抽出して、国又は地方公共団体等が設置した試験研究機関、その他適当と認められる機関において、別紙2に掲げる試験方法により行われるべきものとし、それぞれの試験成績書には試験機関名及び試験者名の記載並びに責任者の捺印があること。

(3) 表示見本

販売に際しての容器包装又は添付文書の表示を図示したもの

(4) 当該食品が許可基準又は要件に適合することを客観的に証明する資料

ア 許可基準型病者用食品については、当該食品が第2に掲げる基本的許可基準及び概括的許可基準のそれぞれの項目に適合することを客観的に証明する資料

なお、基本的許可基準及び概括的許可基準の各項目に適合することを証明する資料とは、次に掲げる事項を記載した書類をいうものであること。

(ア) 製造者が設定した許可申請食品の製品規格及びそれを確認するための試験方法

(イ) 許可申請食品の製造開始時から現在に至るまでの経緯及びその販売実績

(ウ) 病院等における使用成績が報告されている場合は当該報告書類

イ 個別評価型病者用食品については、第3の2の(1)から(7)及び(10)に掲げる要件に適合することを客観的に証明する次に掲げる資料

(ア) 食品又は関与する成分について、特定の疾病のための食事療法上の根拠を医学的、栄養学的に示す資料

a 当該食品を使用することにより、疾病の治療、再発や進展の防止を目的とする病者の食事療法として寄与できることが明らかとなる臨床データ(臨床試験成績)が必要であること。

b 現に病院等の医療機関において食事療法の一環となる食品として使用され、食事療法上の有効性及び使用方法が医学的、栄養学的に明らかにされている食品にあっては、その有効性等を示す主要な臨床データを添付すること。

c 現に食されてはいるものの食事療法上使用されていない食品にあっては、bの資料に加え、当該食品の有効性に関する対象群を設けた比較試験データが必要であること。

d 上記のいずれの場合にあっても、社内資料のみでなく、査読のある学術雑誌に掲載し、あるいは掲載予定論文にした資料等の客観的な資料が必要であること。

(イ) 食品又は関与する成分について、病者の食事療法における適切な使用方法を医学的、栄養学的に設定するための資料

栄養指導等を行う際の応用例など、食事療法としての使用方法を説明する資料を添付すること。ただし、使用方法のうち、摂取量の設定に関する資料が必要なものにあっては、当該摂取量の設定の根拠については、(ア)の資料の中で説明されるべきものであること。

(ウ) 食事療法中の病者が、食品として日常的、継続的に摂取することが可能であることを示す資料

食事療法上その食品が日常的かつ継続的に摂取することが可能であることを示す病院等の医療機関における利用実績、患者、医師、管理栄養士等を対象としたアンケート調査結果等の資料を添付すること。

(エ) 食品又は関与する成分について、安全性に関する資料

毒性等の安全性に関する資料を添付するほか、アレルギーの発生等について文献検索等を行い、該当するものがあれば、資料として添付すること。

(オ) 食品又は関与する成分について、安定性に関する資料

関与する成分の安定性及び消費期限又は賞味期限を設定するための資料を添付すること。

(カ) 関与する成分の物理学的、化学的及び生物学的性状並びにその試験方法に関する資料

(キ) 食品中における関与する成分の定性及び定量試験の試験検査成績書並びにその試験検査方法

(ク) 既に許可されている商品と関与する成分、許可を受けた表示の内容、使用方法及び食品の形態が同一のものである場合は、それぞれの文献を要約した資料があれば、全文を添付する必要はないこと。

ウ えん下困難者用食品については、当該食品が第6に掲げる基本的許可基準のそれぞれの項目に適合することを客観的に証明する資料。

なお、基本的許可基準の各項目に適合することを証明する資料とは、次に掲げる事項を記載した書類をいうものであること。

(ア) 製造者が設定した許可申請食品の製品規格及びそれを確認するための試験方法

(イ) 許可申請食品の製造開始時から現在に至るまでの経緯及びその販売実績

(ウ) 施設等における使用成績が報告されている場合は当該報告書類

(5) 当該食品の自家試験実施結果

自家試験実施結果とは、製造者が設定した許可申請食品の製品規格について、その製造者が自らの検査施設で試験をした成績書であること。なお、自らの検査施設を有しないものにあっては、2(2)イの公的な試験研究機関等他の適当な検査機関に依頼して試験を実施しても差支えないこと。

(6) 製造所の構造設備の概要及び品質管理の方法についての説明書

品質管理の方法については、製造者が設定した許可申請食品の規格、それを確認するための方法及びその試験結果を記載することとし、製造者による試験のみではなく、定期的に外部の試験検査機関による試験を実施すること等について盛り込むこと。

(7) その他当該食品に関する一般的説明資料

(8) 申請者が製造者と異なる場合は当該食品の製造委託契約書

(9) 個別評価型病者用食品については、様式1に定める添付書類のリスト

3 個別評価型病者用食品の許可申請書の提出を受けた都道府県知事(保健所を設置する市又は特別区にあっては、市長又は区長)は、様式2により書類上の不備の有無を点検の上、適切なものを厚生労働大臣に進達すること。

第8 その他

健康増進法第29条第1項に規定する承認については、同条第2項で同法第26条第2項から第5項まで等の規定を準用していることから、上記第1から第7までの規定が準用されること。

別紙1

食品群別許可基準

(1) 低たんぱく質食品

規格

許容される特別用途表示の範囲

必要的表示事項

1 たんぱく質含量は、通常の同種の食品の含量の30%以下であること。

2 熱量は、通常の同種の食品の含量と同程度又はそれ以上であること。

3 ナトリウム及びカリウム含量は、通常の同種の食品の含量より多くないこと。

4 食事療法として日常の食事の中で継続的に食するものであり、これまで食していたものの代替となるものであること。

たんぱく質摂取制限を必要とする疾患(腎臓疾患等)に適する旨

1 医師にたんぱく質摂取量の制限を指示された場合に限り用いる旨

2 製品の一定量(例えば1個又は1片)当たりのたんぱく質含量

3 100g及び1食分、1包装その他の1単位当たりの熱量及びたんぱく質、脂質、炭水化物、ナトリウム、カリウム、カルシウム、リンその他意図的に強化された成分の含量※

4 「低たんぱく質」を意味する文字

5 医師、管理栄養士等の相談又は指導を得て使用することが適当である旨

6 食事療法の素材として適するものであって、多く摂取することによって疾病が治癒するというものではない旨

※ 栄養成分等については、熱量、たんぱく質、脂質、炭水化物、ナトリウム、カリウム、カルシウム、リンその他意図的に強化された成分の含量の順に表示することとし、その他の表示方法については栄養表示基準に準じることとする。

(2) アレルゲン除去食品

規格

許容される特別用途表示の範囲

必要的表示事項

1 特定の食品アレルギーの原因物質である特定のアレルゲンを不使用又は除去(検出限界以下に低減した場合を含む。)したものであること。

2 除去したアレルゲン以外の栄養成分の含量は、通常の同種の食品の含量とほぼ同程度であること。

3 アレルギー物質を含む食品の検査方法により、特定のアレルゲンが検出限界以下であること。

4 同種の食品の喫食形態と著しく異なったものでないこと。

特定の食品アレルギー(牛乳等)の場合に適する旨

1 医師に特定のアレルゲンの摂取制限を指示された場合に限り用いる旨

2 食品アレルギーの種類又は除去したアレルゲンの名称(目立つような表示)

3 除去したアレルゲンの代替物の名称

4 ビタミン及びミネラルの含量

5 標準的な使用法

6 医師、管理栄養士等の相談、指導を得て使用することが適当である旨

7 食事療法の素材として適するものであって、多く摂取することによって疾病が治癒するというものではない旨

(3) 無乳糖食品

規格

許容される特別用途表示の範囲

必要的表示事項

1 食品中の乳糖又はガラクトースを除去したものであること。

2 乳糖又はガラクトース以外の栄養成分の含量は、通常の同種の食品の含量とほぼ同程度であること。

乳糖不耐症又はガラクトース血症に適する旨

1 医師に乳糖又はガラクトースの摂取制限を指示された場合に限り用いる旨

2 乳糖又はガラクトースの代替物の名称

3 ビタミン及びミネラルの含量

4 標準的な使用法

5 「無乳糖」を意味する文字

6 乳たんぱく質を含む場合はその旨

7 医師、管理栄養士等の相談、指導を得て使用することが適当である旨

8 食事療法の素材として適するものであって多く摂取することによって疾病が治癒するというものではない旨

(4) 総合栄養食品

規格

許容される特別用途表示の範囲

必要的表示事項

1 疾患等により経口摂取が不十分な者の食事代替品として、液状又は半固形状で適度な流動性を有していること。

2 別表1の栄養成分等の基準に適合したものであること。※

(粉末状等の製品にあっては、その指示通りに調製した後の状態で上記1及び2の規格基準を満たすものであれば足りる。)

食事として摂取すべき栄養素をバランスよく配合した総合栄養食品で、疾患等により通常の食事で十分な栄養を摂ることが困難な者に適している旨

1 「総合栄養食品(病者用)」の文字

2 医師、管理栄養士等の相談、指導を得て使用することが適当である旨

3 栄養療法の素材として適するものであって、多く摂取することによって疾病が治癒するというものではない旨

4 摂取時の使用上の注意等に関する情報

5 基準量(別表1)及び標準範囲(別表2)を外れて調整した成分等がある場合はその旨(「○○調整」)

6 1包装当たりの熱量

7 1包装当たり及び100kcal当たりのたんぱく質、脂質、糖質、食物繊維、水分、ナトリウム、食塩相当量及び基準量(別表1)又は標準範囲(別表2)を外れて調整された成分の含量

8 欠乏又は過剰摂取に注意すべき成分がある場合はその旨

※ ただし、個別に調整した成分等については、この限りではない。

別表1(栄養成分等の基準)

 

100ml(又は100g)当たりの熱量

熱量

80~130kcal

成分

100kcal当たりの組成

たんぱく質*1

3.0~5.0g

脂質*2

1.6~3.4g

糖質

50~74%

食物繊維

(熱量比として)

ナトリウム

60~200mg

ナイアシン

0.45mgNE~15*3(5*4)mg

パントテン酸

0.25mg以上

ビタミンA

28μgRE~150μgレチノール*5

ビタミンB1

0.04mg以上

ビタミンB2

0.05mg以上

ビタミンB6

0.06~3.0mg

ビタミンB12

0.12μg以上

ビタミンC

5mg以上

ビタミンD

0.3~2.5μg

ビタミンE

0.4~30mg

ビタミンK

3~13μg

葉酸

12~50μg

塩素

50~300mg

カリウム

80~330mg

カルシウム

33~115mg

0.3~1.8mg

マグネシウム

14~62mg

リン

45~175mg