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○食事療法用宅配食品等栄養指針について

(平成21年4月1日)

(食安発第0401001号)

(各都道府県知事・各保健所設置市長・各特別区長あて厚生労働省医薬食品局食品安全部長通知)

糖尿病者や腎臓病者の食事療法用として販売されている宅配食品の医学的・栄養学的に適正な提供に当たっては、既に「糖尿病者用宅配食品栄養指針」、「高脂血症者用宅配食品栄養指針」、「高血圧者用宅配食品栄養指針」及び「腎臓病者用宅配食品栄養指針」を作成したところであるが、近年の医学及び栄養学の進展等を踏まえ、在宅療養を支援し、栄養管理がなされた食事を宅配で利用できる「宅配食品」の適正利用を一層推進する観点から、今般、別添のとおり、「食事療法用宅配食品等栄養指針」を新たに定めることとしたので、貴管下関係者に対する周知指導方よろしくお願いする。

なお、本通知の発出に伴い、「糖尿病者用宅配食品栄養指針について」(平成6年3月30日衛新第25号厚生省生活衛生局長通知)及び「食事療法用宅配食品栄養指針について」(平成7年12月26日衛新第101号厚生省生活衛生局長通知)は、廃止する。

別添

食事療法用宅配食品等栄養指針

1 目的

本指針は、糖尿病や腎臓病等の食事療法に用いられる宅配食品等の適正な製造・販売方法等を定めて、事業者に対する指導指針とすることにより、当該食品が医学的・栄養学的に適正に提供されることを目的とする。

2 適用の範囲

(1) 本指針が対象とする食事療法に用いられる宅配食品等とは、次に掲げる食品を指すものとする。

ア 糖尿病や腎臓病等の食事療法用として日々の献立に基づき宅配される食品(以下「食事療法用宅配食品」という。)

イ 複数の食品を1日又は1回分を単位として在宅における糖尿病や腎臓病等の食事療法用として組み合わせた食品

(2) 本指針が対象とする事業者は、次のものとする。

ア 食事療法用宅配食品について利用者に献立表及び食材料を提供する事業者

イ 食事療法用宅配食品について利用者に献立表及び調理済食品を提供する事業者

ウ ア又はイの事業者に献立を提供する事業者

エ 複数の食品を1日又は1回分を単位として在宅向け食事療法用として組み合わせた食品を提供する事業者

3 栄養基準

(1) 事業者は、適正な献立作成のため、1日の栄養基準を定めておくこと。また、1日に2食又は1食のみの提供を行う場合は、1日の栄養基準を定め、それぞれの栄養量等がその栄養基準のほぼ3分の2又は3分の1となること。

(2) 栄養基準は、国内の関係学会等の食事療法を示すガイドライン等に基づいたものであること。

4 献立の作成

食事療法用宅配食品等の献立は、以下の条件を満たしていること。

(1) 3の栄養基準に基づいて作成されていること。

(2) 栄養基準とその献立の栄養量等の差異は、次のとおりであること。

ア 熱量 栄養基準の±5%以内

イ たんぱく質及び脂質 栄養基準の±10%以内

ウ ナトリウム 栄養基準以下

エ その他の栄養素 栄養基準以上

ただし、ア及びイについては、おおむね1週間の平均が栄養基準の値に等しくなるように配慮すること。

また、制限の必要な成分は栄養基準の値以下とすること。

(3) 食事療法が継続しやすいよう、変化に富んだ献立であること。

(4) 食品材料の種類は、次のとおりであること。

ア 1日30食品を目安にすること。

イ 特に制限のない場合は、野菜は1日当たり350g以上を、うち緑黄色野菜は1日当たり100g以上を目安とすること。

(5) 作成した献立は、事業者において献立表として次の事項を記載し、保管すること。

ア 献立名

イ 材料名、数量(可食部)及び調理等が必要なものについてはその方法

ウ 個々の利用者に応じた栄養量等及び形態(きざみ等)に合わせるための調整方法

エ 熱量、たんぱく質、脂質、炭水化物、ナトリウム、その他食事療法上重要となる成分の量

なお、前記の栄養素等については、食品成分表による栄養計算又は分析によって栄養量等を確認すること。

また、レトルトパウチ等の調理済食品を他社から購入して使用する場合は、当該食品の栄養成分表を取り寄せる等により栄養量等を確認すること。

5 食品材料等の計量

(1) 食材料を提供する事業者は、個々の食品について廃棄量を考慮して献立に基づく数量(可食部)を下回らない量を計量すること。

(2) 調理済食品を提供する事業者は、献立に基づき正確に計量すること。

6 栄養管理体制

(1) 栄養管理責任者の設置

ア 事業者は、従事者のうちから管理栄養士等を栄養管理責任者として設置し、この者を中心とする栄養管理体制を確立すること。

イ 栄養管理責任者は、栄養管理が適正に行われるように、利用者相談部門、献立作成部門及び加工部門等の指導・監督を行うこと。

(2) 指導助言者の確保

食事療法等について、必要に応じて適切な指導助言が受けられる医療機関又は医師を確保しておくこと。

(3) 各部門の責任者等の設置

ア 事業者は、その業務内容に応じて利用者相談部門、献立作成部門、加工部門等を設け、それぞれに責任者を配置すること。

イ 利用者相談部門においては、次の業務を行うこと。

① 利用者からの質問に対して適切に対応すること。

② 必要に応じアンケート調査を実施する等利用者のニーズを把握すること。

7 主治医との連携等

(1) 利用予定者に対し、食事療法用宅配食品等の利用について主治医の事前了解を得るよう依頼すること。

(2) 必要に応じて主治医と連携を図ること。

8 情報提供

(1) 利用者への情報提供

利用者に献立表等を通じて次の事項を情報提供すること。

ア 献立名

イ 材料名、数量(可食部)及び調理等が必要なものについてはその方法

ウ 個々の利用者に応じた栄養量等及び形態(きざみ等)に合わせるための調整方法

エ 毎食及び1日の栄養素等の含量(熱量、たんぱく質、脂質、炭水化物、ナトリウム、その他食事療法上重要となる成分の量)

オ 食品や食事療法に関する質問等のための連絡・相談先

カ 1日に2食又は1食のみの提供を行う場合は、残りの食事で摂取すべき栄養量等とそれに適した食品例

キ 取扱い上の注意事項

(2) 容器包装等の表示事項

ア 献立名を表示すること。

イ 病名や食事療法用食品である旨の表示を行わないこと。

(3) 広告を含むその他の表示

ア 健康増進法(平成14年法律第103号)第26条第1項及び第29条第1項に基づく病者用特別用途食品としての誤認を与えるような広告、その他の表示についてはしてはならないこと。

イ 健康増進法第32条の2で規制する虚偽又は誇大な広告はしてはならないこと。

9 帳簿の整理

事業者は、実施献立表、栄養出納表及び在庫管理表を整備しておくこと。

10 その他

(1) 食品衛生法(昭和22年法律第233号)、健康増進法その他の関係法令を遵守すること。

(2) 事業者は、当該食品が本指針に準じて提供されていることを定期的に外部機関により確認する等、品質管理体制を確立することが望ましいこと。

(3) 健康増進法第32条の2で規制する虚偽又は誇大な表示がされていないか、必要に応じ、同法第32条の3第3項で準用する同法第27条の規定に基づく収去を行って確認する予定であること。