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○公益法人制度改革に伴う「墓地経営・管理の指針」の解釈等について(通知)
(平成20年8月14日)
(健衛発第0814001号)
(各都道府県・各政令指定都市・各中核市衛生主管部(局)長あて厚生労働省健康局生活衛生課長通知)
墓地等の経営及び管理に関する指導監督については、かねてより種々御配慮いただいているところであるが、今般、公益法人制度改革に伴う「墓地経営・管理の指針」の解釈等について整理したので、下記の事項に御留意の上、墓地等の経営の安定及び管理の適正が図られるよう、なお一層の御配慮をお願いする。
また、都道府県におかれては、併せて管下市区町村に対する周知につき御配慮願いたい。
なお、本通知は、地方自治法第245条の4第1項に基づく技術的助言である。
記
1.墓地経営・管理の指針の解釈について
(1) 公益法人制度改革後の墓地経営主体に関する考え方について
従来、墓地経営・管理の指針等について(平成12年12月6日付け厚生省生活衛生局長通知)の別添1「墓地経営・管理の指針」2(2)において、墓地経営主体は、地方公共団体が原則であり、これによりがたい事情があっても宗教法人又は公益法人等に限られるとの考え方を示しているところである。
これに関し、平成20年12月1日から、公益法人制度については、現在の民法(明治29年法律第89号)第34条に基づく公益法人(社団法人及び財団法人)制度に代わり、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成18年法律第48号)に基づき登記のみで設立できる一般社団法人及び一般財団法人(以下「一般法人」という。)に対し、公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律(平成18年法律第49号、以下「公益認定法」という。)に基づき内閣府に置かれる公益認定等委員会又は都道府県に置かれる合議制の機関の答申を経て行政庁が公益認定を行う制度となる(なお、従来の主務官庁制の廃止により、墓地経営・管理に係る監督と公益認定に係る監督はそれぞれの制度の趣旨に基づいて行われることに留意されたい。)。
これにより、「墓地経営・管理の指針」における公益法人には、公益認定法第2条第3号の規定による公益法人、すなわち、内閣府に置かれる公益認定等委員会又は都道府県に置かれる合議制の機関の答申を経て行政庁の公益認定を受けた公益社団法人又は公益財団法人(以下「公益認定法人」という。)が該当することになるので了知されたい。
他方、公益認定を得ていない通常の一般法人については、制度上、登記のみで設立できるなど原則として法人の安定性等を担保するための行政庁の監督の仕組みが存在しないことから、墓地の経営主体としては適当ではないと考えられるので留意されたい。
(2) 公益認定法人に対して墓地経営の許可を与える際の留意事項等
公益認定法人に対して墓地、埋葬等に関する法律(昭和23年法律第48号、以下「墓埋法」という。)第10条に基づく墓地経営の許可を与える際には、当然のことながら、単に墓地経営の許可段階において公益認定法人であるか否かといった外形的な側面のみを確認するだけでなく、将来に渡って公益認定を取り消されるおそれがないと見込まれることなど墓地経営を安定的・永続的に、かつ、非営利的に行うことができる法人であることを十分確認されたい。また、許可後においても、報告徴収等を通じて経営状況の確認を行うなど、墓地経営の安定性等を確保するための継続的な指導監督に意を用いられたい。
墓地経営を許可した公益認定法人が、その後の事情の変化により公益認定を取り消される事態となった場合には、当該法人が保有する公益目的取得財産残額に相当する額の財産を公益的な法人に贈与する必要が生じるため、当該法人による墓地経営の継続は現実的に困難になると考えられるところであり、墓地経営の許可を与える際にはこのような事態に至るおそれがないかについて十分確認するとともに、墓地経営を行っている公益認定法人が認定を取り消された場合の対応策についてもあらかじめ想定しておくなど、公益認定が取り消されることによって、公衆衛生その他公共の福祉に支障が生じることのないよう、くれぐれも留意願いたい。
2.既存の墓地経営を行う社団法人及び財団法人に対する指導等について
(1) 特例民法法人への移行
既存の社団法人及び財団法人は、平成20年12月1日から、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成18年法律第50号)に基づく一般法人たる特例民法法人となり、以後、5年間の移行期間内に、同法の規定により、公益認定法人への移行の認定の申請又は一般法人への移行の認可の申請を行うことができることとなっている(これらの申請を行わなかった場合には解散となる。)。
特例民法法人については、従来の主務官庁が引き続き監督を行うなど、適用される法人制度が現行の社団法人及び財団法人に係るものと大きく変わらないことから、「墓地経営・管理の指針」における公益法人に該当する取扱いとするので了知願いたい。また、既に墓埋法第10条に基づく許可を得て墓地を経営している社団法人又は財団法人が特例民法法人になるに当たって、再度の許可は要しない取扱いとして差し支えない。
(2) 通常の一般法人又は公益認定法人への移行
特例民法法人は、5年間の移行期間内に通常の一般法人又は公益認定法人に移行することができるところ、上記1の考え方のとおり、墓地経営は公益法人が行うことが適当であるので、これを踏まえ、管下の関係法人に対して所要の指導・助言等を行われたい。その際、移行段階で公益認定の要件を満たしていたとしても、その後公益認定の基準に適合しなくなり、公益認定が取り消される事態となった場合には、前述のとおり、当該法人が保有する公益目的取得財産残額に相当する額の財産を公益的な法人に贈与する必要が生じ、当該法人による墓地経営の継続は現実的に困難になると考えられることから、そのようなおそれがある法人については、特に移行の準備段階における指導・助言等に意を用いられたい。
また、特例民法法人が通常の一般法人又は公益認定法人に移行するに当たっては、適用される法人制度の内容に一定の変更が生ずることとなるが、一般法人としての法人格に変更はないこと、使用者の保護の観点から墓地経営には永続性が求められること、都道府県の条例において墓地経営の許可の前提として種々の手続が設けられており、墓地の新設の場合と同様の手続を課すことが合理的でない場合が多いと考えられることなどから、当該法人が引き続き既存の墓地の経営を行う限りにおいては、墓埋法第10条に基づく再度の許可は要しない取扱いとして差し支えないが、その際には、名称等の変更に併せて、当該法人からその旨の届出を行うよう指導されたい。
なお、移行期間内に公益認定法人への移行の認定が得られない等の理由によりやむを得ず特例民法法人から一般法人に移行する法人については、基本的に公益目的支出計画を作成し、それに従って事業を実施する必要があるが、一旦一般法人となった後でも公益認定の申請を行うことが可能であることから、公益認定の取得に向けた具体的な計画を書面により提出させるなど、公益認定を取得した上で安定的・永続的に墓地経営が行われるよう、適切に指導を行われたい。また、一般法人による墓地経営が漫然と行われることにより、公衆衛生その他公共の福祉に支障が生じることのないよう十分留意願いたい。