添付一覧
○港湾運送事業
(昭和30年1月17日)
(労収第14号)
(福岡県知事あて労働省労政局長通知)
(1)について
港湾運送事業が公益事業に該当するには、それが公益次号である通運事業と合して一つの事業とみるべきであつて相互に分離することができないような関係にあることが必要であり、港湾運送業であつても一旦貨物を上屋等に仮保管することが常態であるような場合には公益事業には該当しない。従つて照会の(1)については、照会の書面によれば、(イ)の西鉄博多築港駅における港湾運送業務のみが公益事業に該当し、(ロ)の博多港駅及び(ハ)の福岡港駅の港湾運送業は、一旦貨物を上屋等に仮保管することが常態であるから、公益事業には該当しない。
(2)について
港湾運送業が年間を通じて一旦貨物を上屋等に仮保管することが常態である場合は、当該港湾運送業は全体として公益事業に該当しないが、そうでなく通常公益事業たる通運事業と直結している場合は、当該港湾運送事業は公益事業に該当し、照会の如く季節的に本来の業務に附随して荷主の指定等により一応特定の貨物を上屋等に仮保管することがある程度では公益事業でなくなるものではない。
(参考)
(1) 管内に所在するH株式会社は第一種の登録をしたる港湾運送業者で併せて通運事業の一般免許を受けており、取扱貨物は石炭約七五%(うち九〇%がM鉱業のものである)、雑貨約二五%(セメント、肥料、わら工品、鉄山機、外米、外麦)で主な作業場は次の三ヶ所である。
(イ) 西鉄博多築港駅 貨物は石炭が殆んどで、貨車底切りによりコンベアで船へ直送する場合が多い。夏季にありては一応貯炭場におく事がある。労務者は当駅専属のもの二十名で同一人が通運、港湾運送の両事業に従事している。
(ロ) 博多港駅 雑貨が主であるが、貨物の運送については、一応上屋等に仮保管するのが常態である。
(ハ) 福岡港駅 (ロ)駅と概ね同様で、労務者は専属がなく(ロ)駅とかけもちで二十六名あり、(イ)駅と同じく通運、港湾運送の両事業に同一労務者が従事している。
右のような事情において当該会社の港湾運送業は公益事業に該当するかどうか。
(2) (1)の場合(イ)駅については一応公益事業に該当するように思われるが、季節的には直送しない場合があるので、この期間は公益事業の範囲から除外することが至当と考えるがどうか。(「注」石炭の場合シーズンオフには荷主の指定により貯炭場に一応仮保管するものである。)
同一事業場において港湾運送業が(イ)及び(ロ)と不離一体をなす場合となさない場合の両方の性質を有している際、公益事業に該当するか否かの判断について比率、時間等の関係を具体的に解明されたい。
(昭和30年1月7日 福岡県知事発)