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○ふん尿汲取の事業
(昭和39年11月7日)
(山口県労働民生部長あて労働省労政局労働法規課長通知)
清掃法(昭和二十九年法律第七十二号)第十五条の許可を受けた者が行なうふん尿の収集、運搬及び処分の事業は、労働関係調整法第八条第一項の公益事業である。
(参考)
左記のような事業内容のふん尿汲取事業は、公益事業に該当するか。
記
一 事業内容
汚物(ふん尿、以下同じ)取扱業者は指定された地域内において一定の料金をとり、汚物の汲取(収集、運搬を含む)のみを行ない、汲取つた汚物の処理(汚物処理浄化そう、又は海洋投棄)は一部は市が直営で他は特定業者に委託して行なつている。
二 企業形態
二五業者のうち二業者は会社組織で、他は個人企業である。企業規模は非常に零細で、使用車両数は多くて五台、平均一~二台、従業員数は多くて十二人、平均二~三人程度である。
使用車両数と従業員との関係は、通常の場合汲み取りホースのついたバキューム車は運転手と助手一名、桶で汲み取るタンク車は運転手に助手二名で業務を行なつている。
業者の使用車両数と従業員数は次のとおりである。
使用車両数 |
従業員数 |
事業数 |
一台 |
二人~三人 |
十六業者 |
二台 |
三人~五人 |
五〃 |
三台 |
五人~七人 |
二〃 |
四台 |
五人 |
一〃 |
五台 |
十三人 |
一〃 |
計四一台 |
八二人 |
二五〃 |
三 汲取料
汲取料は本年九月二四日から地域割制が実施される時に改正され現在は次のとおりである。
バキューム車 十八l=十八円
タンク車 一荷(四〇l)=五〇円
(改正前はバキューム車、タンク車の別なくおおむね十八l当り十円であつた)
四 月間平均汲取収入
使用車両一台当り月間受持量は五〇〇〇人程度であり、一人分月間平均四〇円として推計二〇万円の水揚料があるものと見られている。
五 従業員の収入
全従業員は必ずしも一様でないが、バキューム車の場合日給一〇〇〇円+歩合給として一台(容量一八〇〇l)につき一〇〇~二〇〇円が支給される。
タンク車はすべて歩合制で業者と従業員の折半である。従つて、従業員は一荷で二五円の収入となる。
又、従業員は一か月二五日稼働であり、上位の者は一月当り三万~三万二千円になるがおしなべて二万~二万五千円程度の収入である。
六 汲取能力及び処理方法
二五業者の汲取能力は下関市全体の八五%を占め、残り十五%は市が直営で行なつている。
又、汲取つた汚物の処理方法は前記した市直営の汚物処理浄化そうによるものが二〇%で他は海洋投棄である。
海洋投棄は市が特定業者(一業者)に委託して行なわしめており、その経費は年間七〇〇万円を要している。
七 その他
経理内容については業者が多く、個々により経理内容が違い不明である。
又、九月二四日以降地域割制を実施したが、今後は同一地域の業者と住民との関係は一層密接となり、争議行為が行なわれた場合、その影響は大きいものと予測される。
(昭和39年9月21日 山口県労働民生部長発)