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○健康増進法第17条第1項及び第19条の2に基づく健康増進事業について

(平成20年3月31日)

(健発第0331026号)

(各都道府県知事・各保健所設置市長・各特別区長あて厚生労働省健康局長通知)

平成18年の医療制度改革において、老人保健法(昭和57年法律第80号)が高齢者の医療の確保に関する法律に全面改正され、医療保険者に40歳以上74歳以下の被保険者及び被扶養者に対する生活習慣病予防に着目した特定健康診査及び特定保健指導(以下「特定健診・保健指導」という。)の実施が義務付けられた。

これに伴い、従来の基本健康診査を中心とする老人保健事業のうち、特定健診・保健指導を含む高齢者の医療の確保に関する法律に定められたもの以外については、健康増進法(平成14年法律第103号)第17条第1項及び第19条の2に基づく健康増進事業として、引き続き市町村が実施することとされた。

また、平成10年度に一般財源化された際、老人保健法に基づかない事業と整理されたがん検診についても、健康増進法第19条の2に基づく健康増進事業と位置付け、引き続き市町村において実施することとしている。

上記に伴い、健康増進法第17条第1項及び第19条の2に基づき実施することとなる健康増進事業について、別添のとおり定め、平成20年4月1日から適用することとしたので、趣旨を十分御理解の上、貴都道府県内の市町村(特別区を含む。)及び関係団体等への周知徹底及び適切な指導を行い、健康増進事業の一層の推進に特段のご努力をお願いする。

別添

健康増進事業実施要領

第1 共通的事項

1 基本的事項

市町村(特別区を含む。以下同じ。)は、健康増進事業(健康増進法(平成14年法律第103号)第17条第1項及び第19条の2に基づき市町村が行う事業であって、本通知に基づき実施するものをいう。以下同じ。)の実施に当たっては、本通知を基に、市町村の人口規模、年齢構成、地理的状況、住民の健康及び疾病の状況、健康増進事業の実施に必要な要員、施設の状況、財政事情等に配慮し、地域住民の多様な需要にきめ細かく対応するよう留意するものとする。

また、これらの事業は住民の健康増進に資するものであることから、市町村健康増進計画等に位置付け、計画的に推進していくことが望ましい。

2 関係機関との連携

市町村は、健康増進事業の企画及び運営に関し、保健所、福祉事務所その他の関係行政機関、医師会、歯科医師会、薬剤師会その他の保健医療関係団体、社会福祉協議会その他の福祉関係団体、ボランティアを含む住民の代表等からなる協議会において、これらの者の意見を聴き、その協力を得て、健康増進事業相互間、健康増進事業と医療及び福祉サービス並びに地域と職域の保健サービスの有機的な連携及び調整を積極的に図るものとする。

3 健康増進事業の広報

市町村は、広報誌、パンフレット、ポスター、有線放送、インターネット等を活用し、健康増進事業の意義、対象となる者の範囲、各事業の内容、実施期日、実施方法その他必要な事項について、地域の住民に周知徹底させるよう努め、また、地域住民やボランティア活動等地域社会の協力も得て、住民が積極的に健康増進事業に参加しうる体制づくりに努めるとともに、特に都市及びその周辺部においては、対象者の移動状況、住民の健康意識、医療機関の利用実態等に係る都市部特有の事情に留意するものとする。

4 健康増進事業の評価

市町村は、健康増進事業の実施に当たっては、自ら適宜、適切な評価を行い、その評価に基づき、事業のより一層の充実・強化を図るものとする。

5 都道府県の役割

都道府県は、都道府県健康増進計画において、管内市町村が実施する健康増進事業に対する支援を行うことを明記する。

都道府県保健所は、市町村が地域特性等を踏まえて健康増進事業を円滑かつ効果的に実施できるよう、必要な助言、技術的支援、連絡調整及び健康指標その他の保健医療情報の収集及び提供を行い、必要に応じ健康増進事業についての評価を行うことが望ましい。

都道府県は、保健・医療・福祉の連携を図るとともに、市町村による健康増進事業と医療保険者による保健事業との効果的な連携を図るために、地域・職域連携推進協議会を活性化していくことが望ましい。

6 保健所設置市及び特別区の役割

地域保健法施行令(昭和23年政令第77号)第1条に定める市及び特別区は、1から4までに掲げる市町村の役割と5に掲げる都道府県の役割を併せ持つことから、その設置する保健所において、保健医療情報の収集及び提供を行い、必要に応じて健康増進事業についての評価を行うなど、地域の実情に応じて、その役割分担を工夫することが望ましい。

7 健康増進事業の実施上の留意点

健康増進事業の実施に当たっては、健康増進事業実施者に対する健康診査の実施等に関する指針(平成16年厚生労働省告示第242号)に留意するものとする。

8 特定健康診査及び特定保健指導等との連携

健康増進事業の実施に当たっては、高齢者の医療の確保に関する法律(昭和57年法律第80号)に基づく特定健診・保健指導(高齢者の医療の確保に関する法律第18条に定める特定健康診査及び特定保健指導をいう。以下同じ。)及び後期高齢者医療広域連合が行う保健事業等との連携を十分に図り、受診者の利便性に配慮するものとする。

市町村においては、健康増進事業実施部門と国保部門との連携を十分に図ることが重要である。

また、都道府県においては、保険者協議会や地域・職域連携推進協議会等を通じて医療保険者との連携を強化し、健康増進事業と特定健診・保健指導等との連携が円滑に進むよう支援することが重要である。

9 他法による保健事業との関係

健康増進事業の実施に当たっては、医療保険各法その他の法令に基づき、当該健康増進事業に相当する保健事業のサービスを受けた場合又は受けることができる場合は、市町村における健康増進事業を行う必要はないものとする。

第2 健康増進法第17条第1項に基づく健康増進事業

1 種類

健康増進法第17条第1項に基づく健康増進事業は、次のとおりとする。

(1) 健康手帳の交付

(2) 健康教育

(3) 健康相談

(4) 機能訓練

(5) 訪問指導

2 健康手帳の交付

(1) 目的

健康手帳は特定健診・保健指導等の記録、その他健康の保持のために必要な事項を記載し、自らの健康管理と適切な医療に資することを目的とする。

(2) 対象者

当該市町村の区域内に居住地を有する40歳以上の者を対象とする。

特に、次に掲げる者のうち、健康手帳の交付を希望するもの又は市町村が必要と認めるものに対し交付すること。

① 健康教育、健康相談、機能訓練又は訪問指導を受けた者

② 高齢者の医療の確保に関する法律第18条に定める特定健康診査、同法第125条に定める健康診査又は健康増進法第19条の2に基づく健康増進事業等を受けた者

(3) 様式及び内容

① 健康手帳には、次の事項に係るページを設けることとする。

ア 特定健診・保健指導の記録

イ 健康教育、健康相談、機能訓練、訪問指導及び健康増進法第19条の2に基づく健康増進事業の記録

ウ 生活習慣病の予防及び健康の保持のための知識

エ 医療に関する記録等必要と認められる事項

② ①ア及びイについては、それぞれ別添1及び別添2を標準的な様式例とする。なお、高齢者の医療の確保に関する法律第125条に基づく健康診査等の記録については、特定健康診査(高齢者の医療の確保に関する法律第18条に規定する特定健康診査をいう。以下同じ。)の記録欄等を活用する。

(4) 交付の方法

健康手帳の交付は、健康増進事業等の実施方法その他地域の諸事情に応じ、次の事項を考慮した適切な方法によるものとする。

① 交付の対象となる者にとっての便宜が図られた方法であること。

② 交付の事務を的確に処理できる方法であること。

(5) 記載方法等

① 健康手帳のページの各欄は、原則として交付を受けた者又はその家族が記載し、必要に応じて健康増進事業の担当者等が記載する。

② 健康手帳の記載方法及び活用方法については、交付の際その他適切な機会をとらえ必要な指導を行う。

③ 医療に関する記録のページについては、保険医療機関等において記載する。

(6) その他

① 記載すべき余白がなくなった健康手帳については、交付を受けた者からの申出に基づき、健康手帳の再交付を行う。

② 健康手帳を破損し、汚し、又は、紛失したときは、交付を受けた者からの申出に基づき、健康手帳の再交付を行う。

③ 各種の情報が記載しやすく、また、分かりやすいものとなるよう各市町村において自らの創意工夫を生かして作成する。

④ 健康増進法に基づく健康手帳であることが明らかとなるよう留意する。

⑤ 地域の実情により、老人保健法に基づき作成された従前の健康手帳を有効に活用することとしても差し支えない。

3 健康教育

健康教育は、集団健康教育及び個別健康教育とする。

(1) 集団健康教育

① 目的

生活習慣病の予防その他健康に関する事項について、正しい知識の普及を図ることにより、「自らの健康は自らが守る」という認識と自覚を高め、健康の保持増進に資することを目的とする。

② 種類

集団健康教育の種類は次のとおりとする。

ア 一般健康教育

イ 歯周疾患健康教育

ウ 骨粗鬆症(転倒予防)健康教育

エ 病態別健康教育

オ 薬健康教育

なお、市町村において、地域の実情その他保健事業の実施状況等を勘案し、上記に掲げるもののうちから重点課題を選定して実施することができる。

③ 対象者

当該市町村の区域内に居住地を有する40歳から64歳までの者を対象とする。ただし、健康教育の内容や対象者の状況によっては、対象者に代わってその家族等を対象とすることができる。

④ 実施方法

健康教育の内容に関して、知識経験を有する医師、歯科医師、薬剤師、保健師、管理栄養士、歯科衛生士等を講師として、市町村保健センター、健康増進センター、老人福祉センター、公民館等において実施する。

実施に当たっては、他の保健事業との同時実施、特別の教材の使用等方法を工夫して、保健学級、健康教室、講演会、学習会等を開催するとともに、必要に応じ有線放送等を活用する。

⑤ 実施内容

集団健康教育はおおむね次に掲げる内容について行う。

ア 一般健康教育

生活習慣病の予防のための日常生活上の心得、健康増進の方法、食生活の在り方その他健康に関して必要な事項について

イ 歯周疾患健康教育

歯科疾患の予防及び治療、日常生活における歯口清掃、義歯の機能及びその管理等の正しい理解について

ウ 骨粗鬆症(転倒予防)健康教育

骨粗鬆症及び転倒予防に関する正しい知識、生活上の留意点について

エ 病態別健康教育

肥満、高血圧、心臓病等と個人の生活習慣との関係及び健康的な生活習慣の形成について

オ 薬健康教育

薬の保管、適正な服用方法等に関する一般的な留意事項、薬の作用・副作用の発現に関する一般的な知識について

⑥ 評価

市町村は、健康教室、講演会等に参加した者に対してアンケート調査等を行い、実施方法や内容が適切なものであったかどうかを検討し、その後の改善に努める。

⑦ 教材の利用

ア 健康教室、講演会等を実施するに当たっては、スライド、ビデオ、映画等の視聴覚教材や食事バランスガイド、エクササイズガイド等を十分に活用し、その効果を上げるよう工夫する。

イ 都道府県、保健所は、教材の効率的利用の観点から、映画、スライド等の集中管理及び相互利用の調整等を行い、市町村への便宜を図る。

⑧ 実施に当たっての留意事項

ア 実施に当たっては、それぞれの市町村の実情に応じ、独自に実施方法の工夫を行い、実効をあげるよう努める。

イ 集団健康教育は単なる知識の伝達ではなく、自らの健康管理に対する主体的な実践を促すよう、特に配慮する。また、特定保健指導(高齢者の医療の確保に関する法律第18条に規定する特定保健指導をいう。以下同じ。)や個別健康教育等と適切に連携することにより、具体的な生活習慣の改善がもたらされるよう、総合的な取組に配意するとともに、同じ病態を共有する者に対する集団的な指導を通じて、共通の目的に向けて対象者が主体的に取組ができるよう工夫を行う。

ウ 病態別健康教育、骨粗鬆症(転倒予防)健康教育等を行う場合にあっては、地域の医師会等関係団体の協力を得て、講師の確保等に配慮する。

エ 歯周疾患健康教育を行う場合にあっては、地域の歯科医師会等関係団体の協力を得て、講師の確保等に配慮する。

オ 薬健康教育を行う場合にあっては、地域の医師会、薬剤師会等関係団体の協力を得て、講師の確保等に配慮する。

(2) 個別健康教育

① 目的

疾病の特性や個人の生活習慣等を具体的に把握しながら、継続的に健康教育を行うことにより、生活習慣行動の改善を支援し、生活習慣病の予防に資することを目的とする。

② 種類

個別健康教育の種類については、次に掲げるものとする。

ア 高血圧個別健康教育

イ 脂質異常症個別健康教育

ウ 糖尿病個別健康教育

エ 喫煙者個別健康教育

③ 対象者

市町村の区域内に居住地を有する40歳から64歳までの者(現に特定保健指導又は健康増進法施行規則(平成15年厚生労働省令第86号)第4条の2第5号の保健指導の対象となっている者を除く。)であって、次に掲げるものとする。

ア 高血圧個別健康教育

(ア) 特定健康診査又は健康増進法施行規則第4条の2第4号の健康診査(以下、「特定健診等」という。)の血圧測定において、

(i) 収縮期血圧が130mmHg以上140mmHg未満かつ拡張期血圧が90mmHg未満である者。

(ii) 収縮期血圧が140mmHg未満かつ拡張期血圧85mmHg以上90mmHg未満である者。

ただし、血圧を下げる薬の服用者を除く。

(イ) 特定健診等の血圧測定において、収縮期血圧が140mmHg以上又は拡張期血圧90mmHg以上の者、若しくは血圧を下げる薬を服用している者のうち、医師が必要と判断した者。

イ 脂質異常症個別健康教育

(ア) 特定健診等の血中脂質検査において、

(i) 中性脂肪150mg/dl以上300mg/dl未満かつHDLコレステロール35mg/dl以上かつLDLコレステロール140mg/dl未満である者。

(ii) HDLコレステロール35mg/dl以上40mg/dl未満かつ中性脂肪300mg/dl未満かつLDLコレステロール140mg/dl未満である者。

(iii) LDLコレステロール120mg/dl以上140mg/dl未満かつ中性脂肪300mg/dl未満かつHDLコレステロール35mg/dl以上である者。

ただし、コレステロールを下げる薬を服用している者を除く。

(イ) 特定健診等の血中脂質検査において、中性脂肪300mg/dl以上又はHDLコレステロールが35mg/dl未満又はLDLコレステロール140mg/dl以上、若しくは脂質異常症の治療に係る薬剤を服薬している者のうち、医師が必要と判断した者。

ウ 糖尿病個別健康教育

(ア) 特定健診等の血糖検査において、空腹時血糖100mg/dl以上126mg/dl未満又はヘモグロビンA1c5.2%以上6.1%未満の者(ただし、インスリン注射又は血糖を下げる薬を服用している者を除く)。

(イ) 特定健診等の血糖検査において、空腹時血糖126mg/dl以上又はヘモグロビンA1c6.1%以上であるか、インスリン注射又は血糖を下げる薬を服用している者のうち、医師が必要と判断した者。

エ 喫煙者個別健康教育

喫煙者(喫煙本数がこれまでに合計100本以上、または6か月以上吸っていて、かつ、この1か月間に、毎日もしくは時々吸っている者で、禁煙の実行を希望しているものを対象とする。)。

④ 実施内容

ア 高血圧、脂質異常症及び糖尿病個別健康教育

期間は6か月間を原則とし、以下の手順に沿って実施することを標準とする。

(ア) 食生活運動調査

質問票やフードモデル、食事バランスガイド等を用いて、対象者の食生活、運動習慣その他の生活習慣の状況について、個人面接により聴取する。

(イ) 検査

食生活運動調査の実施後、4回程度実施する。

検査項目は、高血圧個別健康教育においては血圧測定及び尿検査(尿中ナトリウム、カリウム及びクレアチニン)とし、脂質異常症個別健康教育においては血液化学検査(LDLコレステロール、HDLコレステロール及び中性脂肪)とし、糖尿病個別健康教育においては血糖検査及びヘモグロビンA1c検査とする。

(ウ) 面接による保健指導

(ア)及び(イ)の結果を踏まえて、前回面接時に設定した生活習慣改善目標の達成度の確認、健康教育教材等を用いた説明、対象者の特性や実施意欲を踏まえた生活習慣改善目標の設定等について、個人面接により実施する。

面接は、各回の検査の後速やかに行うとともに、必要に応じて回数を追加する。1回の面接時間はおおむね20分を標準とする。

イ 喫煙者個別健康教育

期間は3か月間を原則とし、以下の手順に沿って実施することを標準とする。

(ア) 初回指導

質問票を用いて、対象者の喫煙状況等を把握するとともに、検査(呼気中一酸化炭素濃度及び尿中ニコチン濃度の測定)を実施する。これらの結果を踏まえ、健康教育教材等を用いた説明や禁煙実施に関する指導について、個人面接により実施する。面接時間はおおむね20分を標準とする。

(イ) 禁煙の実行に関する指導

初回指導の後、禁煙の準備や実行等に関して必要な指導を実施する。

指導は、禁煙開始の前後及び禁煙開始後おおむね1か月ごとに実施するものとし、個人面接又は電話若しくはこれに準ずる方法により行う。

最終の指導を面接により実施する場合には、初回指導時と同様の検査を実施することが望ましい。

⑤ 実施方法

ア 実施場所

市町村保健センター、医療機関、健康増進センター等において実施する。

イ 実施担当者

食生活運動調査及び各種指導については、医師、保健師、管理栄養士等が実施する(個別健康教育の実施を担当するにふさわしい経験を有する者が実施することが望ましい。)。

ウ 事業の委託

(ア) 市町村は、実施体制等から判断して適当と認められる実施機関(以下「受託実施機関」という。)に個別健康教育の実施を委託することができる。

(イ) 受託実施機関は、個別健康教育の質の向上を図るよう努める。

⑥ 記録の整備及び評価

個別健康教育の実施担当者は、対象者ごとの記録票に、氏名、年齢、特定健診等の結果、個別健康教育の指導状況(日時、指導内容、設定目標の要点等)、検査結果の推移等を記録する。

市町村は、受託実施機関の協力も得て、実施人数、被指導者の年齢、指導内容、結果の推移等について分析し、質の向上に資するよう努める。

市町村のこうした取組について、都道府県は、保健所の機能等も活用し、必要に応じて技術的な助言・支援を行う。

⑦ 実施に当たっての留意事項

指導に当たっては、対象者の特性及び実施意欲に十分配慮し、画一的な指導とならないようにする。

実施に当たっては、医療機関の十分な協力体制を得るとともに、必要な場合には、速やかに医療機関への受診を指導する。

個別健康教育を実施した者に対しては、集団健康教育、訪問指導その他の保健事業の活用や、自主グループの育成・支援など、地域の実情に応じて効果的と思われる方法により、適切な指導が継続して行われるよう配慮する。

また、都道府県は、全ての市町村が個別健康教育を導入することができるよう、事業の普及のための担当者の配置や講習会の開催等の所要の措置を講じ、個別健康教育の計画的な普及を図ることが望ましい。

4 健康相談

(1) 目的

健康相談は、心身の健康に関する個別の相談に応じ必要な指導及び助言を行い、家庭における健康管理に資することを目的とする。

(2) 対象者

当該市町村の区域内に居住地を有する40歳から64歳までの者を対象とする。ただし、健康相談の内容や対象者の状況によっては、対象者に代わってその家族等を対象とすることができる。

(3) 種類

健康相談の種類については、次に掲げるものとする。

① 重点健康相談

② 総合健康相談

(4) 重点健康相談

① 重点課題

重点健康相談の課題は次のとおりとする。

ア 高血圧健康相談

イ 脂質異常症健康相談

ウ 糖尿病健康相談

エ 歯周疾患健康相談

オ 骨粗鬆症健康相談

カ 病態別健康相談

② 重点課題の選定

市町村は、地域の実情、重点健康相談の実施体制の状況等を勘案し、毎年、①に掲げるもののうちから重点課題を選定して実施する。

③ 実施方法

市町村は、選定した重点課題に関し、知識経験を有する医師、歯科医師、保健師、管理栄養士、歯科衛生士等を担当者として、健康に関する指導及び助言を行う。また、必要に応じ血圧測定、検尿等を実施する。

実施に当たっては、市町村保健センター、健康増進センター、老人福祉センター、公民館等に気軽にかつ幅広く相談できる健康相談室等の窓口を設置する。

なお、健康相談室等の運営に当たっては、医師及び歯科医師と密接な連携を図る。

④ 実施内容

重点健康相談は次に掲げる内容により行う。

ア 高血圧について、個人の食生活その他の生活習慣を勘案して行う相談指導等

イ 脂質異常症について、個人の食生活その他の生活習慣を勘案して行う相談指導等

ウ 糖尿病の進行防止及び糖尿病が引き起こす動脈硬化等の合併症の防止等個人に適した正しい健康管理方法に関する相談指導等

エ 口腔歯肉、歯牙の状態等について行う観察及びそれに基づく相談指導並びに歯垢及び歯石の除去、ブラッシング等について行う相談指導等

なお、個人の歯の健康状態に応じて、歯槽膿漏、歯肉炎等歯周疾患の予防及び管理を図る。

オ 骨粗鬆症について、個人の食生活、運動その他の生活習慣を勘案して行う相談指導等

カ 肥満、心臓病等の病態別に、個人の食生活その他の生活習慣を勘案して行う相談指導等(アからオに掲げるものを除く。)

(5) 総合健康相談

総合健康相談は、対象者の心身の健康に関する一般的事項について、総合的な指導・助言を行うことを主な内容とし、重点健康相談と同様の方法により実施する。

(6) 相談内容等の記録及び保存

事後の指導助言に役立てるために、相談の内容及び指導、助言の内容等を記録して保存する。

(7) 評価

健康相談を受けた者の人数、年齢、相談内容等を分析し、実施方法等の改善に努める。

(8) 実施に当たっての留意事項

健康相談を実施するに当たっては、健康教育、特定健康診査、健康増進法第19条の2に基づく健康増進事業等他の保健事業や、保健所等で実施されている精神保健福祉相談等の事業と連携を保ちながら実施する。

また、地域の医師会及び歯科医師会等の協力を得て、かかりつけ医の指導を受ける等の連携のもとに健全な生活習慣の定着を図る。さらに、専門スタッフの確保に努め、地域の栄養士会、食生活改善推進員協議会等栄養関係団体、社会福祉協議会、老人クラブ等老人福祉関係団体等各方面の関係者の協力を得て、相談内容の多様化等に対応できるよう配慮する。

5 機能訓練

(1) 目的

疾病、外傷、老化等により心身の機能が低下している者に対し、心身機能の維持回復に必要な訓練を行うことにより、閉じこもりを防止するとともに日常生活の自立を助け、介護を要する状態となることを予防することを目的とする。

(2) 対象者

当該市町村の区域内に居住地を有する40歳から64歳までの者であって、疾病、外傷その他の原因による身体又は精神機能の障害又は低下に対する訓練を行う必要があるものとする。ただし、医療におけるリハビリテーションを要する者等は対象としない。

(3) 実施手続

実施手続は次のような方法により行う。

① 訓練の申込

訓練希望者にあらかじめ所定の申込書を市町村あてに提出させる。

② 訓練対象者の決定

訓練対象者の決定に当たっては、あらかじめ医師の判定を得、訓練施設の整備の状況、訓練担当者の状況、その他の状況を勘案の上行う。

③ 訓練実施等の通知

訓練希望者に対し、訓練の適否及びその理由、訓練の開始日等その他必要な事項を通知する。

(4) 実施場所

市町村保健センター、保健所、健康増進センター、老人福祉センター、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、公民館等であって、適当と認められる場所で行う。

(5) 送迎

対象者の心身の機能の状態に応じ、リフトバス等による送迎を行う。

(6) 実施方法

① 訓練実施者

医師及び医師の指導のもとに理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、保健師、看護師等が実施する。

② 訓練内容

麻痺や拘縮等の機能障害及び食事や衣服の着脱等の能力障害並びにこれらにより生じる閉じこもりや孤立等の社会的障害の回復のための訓練を、おおむね次に掲げる活動を通して実施する。

ア 転倒予防、失禁予防、体力増進等を目的とした体操

イ 習字、絵画、陶芸、皮細工等の手工芸

ウ 軽度のスポーツやレクリエーション

エ 交流会、懇談会等

(7) 実施回数及び実施期間

訓練の実施回数はおおむね週2回とする。実施期間はおおむね6か月を1期間とし、訓練の効果等を勘案し継続実施の要否の判定を行う。

(8) 訓練記録の作成

対象者の名簿、訓練計画実施台帳、訓練日誌その他必要な記録票を整備し、訓練対象者の氏名、年齢、住所、生活歴、家庭環境及び訓練経過、機能回復の状況等を記録する。

(9) 関係機関との連携

① 訓練を必要とする者を把握するに当たっては、保健所、地域医師会、老人クラブ及び自治会等関係機関と緊密な連携を図る。

② 訓練の実施方法等について、地域医師会や医療機関と十分な連絡調整を図る。

③ 訓練終了に当たっては、対象者の状況に応じ、他の保健事業やそれぞれの地域における福祉サービス等と結びつけ、引き続き適切なサービスが提供されるよう配慮する。

④ 訓練の実施並びに実施後の指導に必要な対象者の日常生活及び家庭環境等の把握について、福祉事務所等の協力を求める。

(10) 周知徹底

① 訓練は特に家族の積極的な協力を得て行うことが必要であり、家族に対しても訓練の趣旨及び内容等を十分に理解させるよう努める。

② 広報紙等を通じ訓練の趣旨、内容及び送迎の実施等を周知する。

(11) その他の留意事項

① 地域の実情に即し、市町村の直接実施のほか、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設等への委託、複数市町村による共同実施等の方法を活用することにより、実施体制の整備を図る。

② 特別養護老人ホーム等における訓練の実施に当たっては、当該施設入所者の処遇に支障のないよう配慮する。

③ 介護を要する状態の予防をより一層効果的に行う観点から、都道府県が行う地域リハビリテーション推進のための事業と十分な連携を図る。

④ 訓練に従事若しくは従事しようとする者を研修に参加させる等により、その資質の向上を図る。

⑤ 対象者は心身の機能が低下している者であることにかんがみ、通所及び訓練の実施に当たっては事故防止に万全を期す。

⑥ 訓練終了者については、回復した機能の低下を防止する観点から、自主的なグループ活動の育成を図ることが望ましい。

6 訪問指導

(1) 目的

療養上の保健指導が必要であると認められる者及びその家族等に対して、保健師等が訪問して、その健康に関する問題を総合的に把握し、必要な指導を行い、これらの者の心身機能の低下の防止と健康の保持増進を図ることを目的とする。

(2) 対象者

当該市町村の区域内に居住地を有する40歳から64歳までの者であって、その心身の状況、その置かれている環境等に照らして療養上の保健指導が必要であると認められるものを対象とする。

(3) 訪問担当者

訪問担当者は保健師、看護師、管理栄養士、歯科衛生士、理学療法士、作業療法士等とする。

(4) 実施方法

① 対象者の把握及び名簿の作成

市町村は、本人及び家族等からの相談、市町村が実施する特定健康診査及び健康増進事業その他の保健事業の実施に伴う情報、医療機関、福祉関係機関その他の関係団体からの依頼等に基づき、対象者を把握し、対象者名簿を作成する。

② 初回訪問指導の実施と訪問指導計画の策定

対象者名簿に基づき、訪問指導を実施する。初回訪問指導は原則として保健師が行い、対象者及び家族の状況(心身の状態、既往歴、生活習慣、栄養状態、口腔衛生状態、家族の介護等の状況、生活環境等)を把握する。その後、必要に応じて管理栄養士、歯科衛生士等と協議の上、訪問指導の目標、内容その他必要な事項からなる訪問指導計画を策定する。

③ 訪問指導の内容

訪問指導の内容はおおむね次の事項とする。

ア 家庭における療養方法に関する指導

栄養、運動、口腔衛生その他家庭における療養方法に関する指導

イ 介護を要する状態になることの予防に関する指導

閉じこもりの予防、転倒の予防その他の介護を要する状態になることの予防のために必要な指導

ウ 家庭における機能訓練方法、住宅改造及び福祉用具の使用に関する指導

エ 家族介護を担う者の健康管理に関する指導

オ 生活習慣病の予防等に関する指導

カ 関係諸制度の活用方法等に関する指導

医療、保健、福祉その他の諸制度及びサービスの活用方法等に関する情報提供、相談、指導及び調整

キ 認知症に関する正しい知識、緊急の場合の相談先等に関する指導

ク その他健康管理上必要と認められる指導

④ 受診している医療機関の医師との連携

疾病等を有する者に対する訪問指導に際しては、受診している医療機関の医師と連携を図り、その指導のもとに実施する。

⑤ その他の留意事項

ア 医療保険により訪問看護若しくは訪問リハビリテーションを受けている者等に対して訪問指導を実施する場合には、訪問看護及び訪問リハビリテーションと内容的に重複するサービスについては行わないことを原則とし、それらのサービス提供者等と連携を十分に図る。

イ 認知症高齢者に対する訪問指導の実施については、保健所で実施されている老人精神保健相談事業との連携を図るため、保健所への報告、保健所が開催する連絡会議への参加等を行い、必要に応じ保健所の指導・調整を受ける。

ウ 本事業の訪問指導は、健康管理上の観点から行うものであるが、後期高齢者医療費適正化対策事業等として行う重複・頻回受診者に対する訪問指導等とも対象者が重複し得ることから、十分な連携を図るとともに、必要に応じ保健事業に従事する保健師等も、老人医療担当課等において雇用した保健師等に対する指導、調整の任に当たるなど、重複した指導にならず効果的な指導が実施されるよう有機的な連携体制の確立を図る。

(5) 記録の整備及び評価

対象者の氏名、年齢、訪問指導計画、指導内容等を記録する。また、その内容を分析、評価することにより、事後の訪問指導に資することとする。

(6) 関係機関等との連携

対象者の把握、実施計画の策定その他訪問指導の円滑かつ効果的な実施を推進する観点から、緊急時の措置等についてあらかじめ地域医師会、関係医療機関と協議するほか、ホームヘルパー、民生委員その他の関係者との連携及び保健所、福祉関係機関、居宅サービス事業者、居宅介護支援事業者、民間団体、ボランティアその他の住民組織等との連携を図り、必要な協力を得るものとする。また、必要に応じて地域ケア会議(従来の高齢者サービス調整チーム)等の活用を図る。

(7) 都道府県、保健所の役割

都道府県、保健所は、保健師その他の訪問指導に従事する者の資質を向上するため研修を行うものとする。

7 地域支援事業との連携

以下の事業については、65歳以上の者については、介護予防の観点から地域支援事業において実施されることから、担当部局と十分な連携を図ること。

(1) 健康教育

(2) 健康相談

(3) 機能訓練

(4) 訪問指導

第3 健康増進法第19条の2に基づく健康増進事業

1 総論

(1) 種類

健康増進法第19条の2に基づく健康増進事業は、次のとおりとする。

① 歯周疾患検診

歯周疾患検診及び歯周疾患検診の結果に基づく指導を行う。

検診項目は、問診及び歯周組織検査とする。

② 骨粗鬆症検診

骨粗鬆症検診及び骨粗鬆症検診の結果に基づく指導を行う。

検診項目は、問診及び骨量測定とする。

③ 肝炎ウイルス検診

肝炎ウイルス検診及び肝炎ウイルス検診の結果に基づく指導を行う。

検診項目は、問診、C型肝炎ウイルス検査及びHBs抗原検査とする。

具体的な実施方法等については、別途定めるところによる。

④ 健康増進法施行規則第4条の2第4号に定める健康診査

ア 当該市町村の区域内に居住地を有する健康増進法施行規則第4条の2第4号に規定する者に対し、生活習慣病予防に着目した健康診査を行う。

具体的な実施方法等については、特定健康診査及び特定保健指導の実施に関する基準(平成19年厚生労働省令第157号)及び高齢者の医療の確保に関する法律第125条に基づき各後期高齢者医療広域連合が保健事業として行う健康診査に準ずるものとする。

健康診査の実施に当たっては、地域支援事業における生活機能評価との連携を十分に図り、受診者の利便性に配慮することが望ましい。

イ 訪問健康診査

在宅の寝たきり者及びこれに準ずる者に対し、必要に応じ医師及び看護師を派遣し、健康診査を行う。検査項目等具体的実施方法はアに準ずる。

ウ 介護家族訪問健康診査

家族等の介護を担う者のうち、訪問による健康診査の実施が必要なものに対して、医師及び看護師を派遣し、健康診査を行う。検査項目等具体的実施方法はアに準ずる。

⑤ 健康増進法施行規則第4条の2第5号に定める保健指導

当該市町村の区域内に居住地を有する健康増進法施行規則第4条の2第5号に規定する者に対し、生活習慣病予防に着目した保健指導を行う。

具体的な実施方法等については、特定健康診査及び特定保健指導の実施に関する基準に準ずるものとする。

⑥ がん検診

がん検診及びがん検診の結果に基づく指導等を行う。

がん検診の具体的な種類及び実施方法等については、別途定めるところによる。

(2) 健康増進法第19条の2に基づく健康増進事業(以下「健康診査等」という。)の結果に基づき、必要な指導を行う。特に、医療機関での受診が必要な者又は生活習慣の改善が必要な者に対しては、個別に指導する。なお、より適切な指導のため、日常診療、人間ドック、献血等の健康増進事業以外の機会に実施された検査等の結果についても活用することが望ましい。

(3) 実施についての基本的事項

① 目標受診率の設定

市町村は、現在の受診率等地域の特性を踏まえ、それぞれ独自の目標受診率を設定し、目標受診率の達成に向けて受診率を向上するよう努める。

② 実施計画の策定

ア 健康診査等の実施方法、実施時期、実施場所等の実施計画を作成するに当たっては、地域の医師会、歯科医師会等の理解と協力を得るとともに、保健所、医療機関、検診団体等関係機関と十分に調整を図る。

イ 健康診査等の実施方法、実施時期、実施場所については、地域の実情を十分考慮し、受診しやすい方法、時期、場所を選定する。また、年間を通じて受診できる体制の整備をする。

ウ 健康診査等は、実施体制、精度管理の状況等から判断して適当と認められる実施機関に委託することができる。

③ 実施方法の創意工夫

実施計画の作成に当たっては、一定年齢の者全員に対して通知を行い健康診査等を実施するいわゆる「計画健診」の実施及び利用券(受診券)を提示して医療機関において健康診査等を受診するいわゆる「利用券方式」による健康診査等の実施等の配慮を行う。

④ 周知徹底

健康診査等の実施に当たっては、広報や個別の通知等により、その意義や実施の日時、場所、方法等をあらかじめ十分に地域住民に対し周知徹底する。

⑤ 精度管理及び評価

健康診査等の実施に当たっては、検診データを時系列的に把握することなどに努める。また、検査方法、受診率、受診者の年齢分布、初回受診者の割合、判定結果及び指導区分ごとの割合、事後指導の実施状況等を検討し、健康診査等の精度の向上及び維持を図る。なお、必要に応じて健康診査等の実施を委託した機関(以下「受託実施機関」という。)に対して指導を行うとともに、健康診査等の結果及び効率について評価する。

⑥ 市町村は、健康診査等が円滑に行われるよう精密検査機関の確保等の体制整備に努める。

(4) 都道府県の役割

① 都道府県は、市町村が健康診査等の実施計画を作成するに当たって、健康診査等の実施状況等に関して市町村間の均衡にも配慮しつつ、関連機関との連携を密にして必要な助言及び調整を行う。

② 都道府県は、市町村が健康診査等を実施するに当たって、必要に応じ職員の派遣等技術的な援助を行う。

③ 都道府県は、常に疾病等の動向を把握し、市町村の行う健康診査等が適切に行われているかを評価し、必要な指導を行う。

④ 都道府県は、受託実施機関に対し、健康診査等の質の向上及び維持を図るよう指導する。また、必要に応じ従事者の指導講習を実施する。

⑤ 都道府県は、市町村の健康診査等が円滑に行われるよう、保健所の整備及び精密検診機関の確保等の体制整備に努める。

(5) 受託実施機関の役割

① 受託実施機関は、健康診査等の精度を維持・向上するため、検査機器の保守点検及び整備を行うとともに、血液検査等の標準化に関する管理・点検機構の確立を図る。

② 受託実施機関は、従事者の資質の向上に努める。

③ 受託実施機関は、健康診査等の結果を速やかに実施主体に報告する。

④ 受託実施機関は、判定に用いた検体やフィルム等を保存する。

⑤ 受託実施機関は、市町村や都道府県の求めに応じ、健康診査等の質の確保を図る上で必要な資料の提出等の協力をしなければならない。

2 歯周疾患検診

(1) 目的

高齢期における健康を維持し、食べる楽しみを享受できるよう、歯の喪失を予防することを目的とする。

(2) 対象者

当該市町村の区域内に居住地を有する40歳、50歳、60歳及び70歳の者を対象とする。

(3) 歯周疾患検診の実施

① 検診項目

ア 問診

歯周疾患に関連する自覚症状の有無等を聴取する。

イ 歯周組織検査

歯及び歯周組織等口腔内の状況について検査する。

② 実施回数

原則として同一人について年1回行う。

(4) 検診結果の判定

「歯周疾患検診マニュアル」(厚生省)に基づき、「異常なし」、「要指導」及び「要精検」に区分する。

(5) 指導区分・受診指導等

それぞれの指導区分につき、次の内容の指導を行う。

① 「要指導」と区分された者

問診の結果から、歯みがきの方法等特に改善を必要とする日常生活について指導する。

② 「要精検」と区分された者

医療機関において精密検査を受診するよう指導する。

(6) 結果の通知

検診の結果については、指導区分を付し、受診者に速やかに通知する。

(7) 記録の整備

検診の記録は、氏名、年齢、住所、検診の結果、指導、歯周疾患検診の指導区分等を記録する。また、必要に応じ、治療の状況や事後の指導その他必要な事項についても記録する。

(8) その他の留意事項

歯周疾患検診は、疾病の発見のみならず、検診の実施により健康自立への意識を高揚させ、実践へ結びつけることにより快適な高齢期を迎えることを目的とするものであることから、健康教育、健康相談及び訪問指導等他の保健事業や介護予防事業等と有機的な連携を図ることにより、適切な指導等が継続して行われるよう配慮する。

3 骨粗鬆症検診

(1) 目的

骨粗鬆症は骨折等の基礎疾患となり、高齢社会の進展によりその増加が予想されることから、早期に骨量減少者を発見し、骨粗鬆症を予防することを目的とする。

(2) 対象者

当該市町村の区域内に居住地を有する40歳、45歳、50歳、55歳、60歳、65歳及び70歳の女性を対象とする。

(3) 検診の実施

① 検診項目

ア 問診

運動習慣、食生活の内容等を聴取する。

イ 骨量測定

CXD法、DIP法、SXA法、DXA法、pQCT法又は超音波法等により実施する。

② 実施回数

原則として同一人について年1回行う。

(4) 検診結果の判定

「骨粗鬆症予防マニュアル」(厚生省)に基づき、「異常なし」、「要指導」及び「要精検」に区分する。

(5) 指導区分・受診指導等

それぞれの指導区分につき、次の内容の指導を行う。

①「要指導」と区分された者

食生活指導や運動指導等日常生活上の注意を促すとともに、生活習慣行動の改善指導等の保健事業への参加を指導する。

②「要精検」と区分された者

医療機関において精密検査を受診するよう指導する。

(6) 結果の通知

検診の結果については、指導区分を付し、受診者に速やかに通知する。

(7) 記録の整備

検診の記録は、氏名、年齢、住所、検診の結果並びに指導、精密検査の必要性の有無等を記録する。また、必要に応じ、治療の状況や事後の指導その他必要な事項についても記録する。

(8) その他の留意事項

骨粗鬆症検診は、疾病の発見のみならず、検診の実施により健康自立への意識を高揚させ、実践へ結びつけることにより快適な高齢期を迎えることを目的とするものであることから、健康教育、健康相談及び訪問指導等他の保健事業や介護予防事業等と有機的な連携を図ることにより、適切な指導等が継続して行われるよう配慮する。

第4 その他

本通知に基づく事業(がん検診を除く。)に要する経費については、別に定める感染症予防事業費等国庫負担(補助)金交付要綱に基づいて予算の範囲内で国庫補助を行うものとする。