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○運輸事業・郵便又は電気通信の事業・水道、電気又はガス供給の事業・医療又は公衆衛生の事業で公益事業と認められるものの範囲、公衆の日常生活に欠くことのできない部分とそうでない部分とを含んでいる場合又は附帯事業を営んでいる場合、指名される斡旋員の数、調整手続の併用

(昭和22年5月15日)

(労発第263号)

(各都道府県知事あて厚生省労政局長通知)

【運輸事業で公益事業と認められるものの範囲】

(1) 運輸事業で公益事業と認められるものの範囲は大体次の通りとする。

(イ) 一般公衆の需要に応じ鉄道軌道によつて、または一定の路線を定め定期的に自動車を運行し若しくは命令航路その他公共の為欠くことのできない航路によつて旅客又は貨物を輸送する事業、但し遊覧のみを目的とするものを除く。

(ロ) 通運事業法の規定により運輸大臣の免許を受けている運輸事業、但し、特定の荷主を指定して限定免許を受けているもの及び遊覧のみを目的とする鉄道(軌道及び日本国有鉄道の経営する航路を含む。)により運送される物品に関するものを除く。(備考 通運事業とは他人の需要に応じてする左に掲げる行為を行う事業(国の行う郵便の事業を除く。)をいう。

一 自己の名をもつてする鉄道(軌道及び日本国有鉄道の経営する航路を含む。以下同じ。)による物品運送の取次又は運送物品の鉄道からの受取

二 鉄道により運送される物品の他人の名をもつてする鉄道への託送又は鉄道からの受取

三 鉄道により運送される物品の集貨又は配達(海上におけるものを除く。)

四 鉄道により運送される物品の鉄道の車輛(日本国有鉄道の経営する航路の船舶を含む。)への積込又は取卸

五 鉄道を利用してする物品の運送)

(ハ) (イ)又は(ロ)の事業と一体をなす港湾運送業(海上運送に附随して貨物の船積または陸揚のため荷捌、積卸または艀、または曳船による運輸をなす事業及びこれらの作業の請負をなす事業)。

(ニ) 前各項の事業には、その事業を行うのに欠くことのできない信号、監視(以上燈台によるものを含む。)、通信及び修理保全などの業務を含むものとする。

(2) 従つて左の如きのものは公益事業と認めない。

(イ) 会社、工場、事業場、官公衙などが専ら自己の業務上の用に供するため行う運輸事業。

(ロ) 路線を定めず若くは定期的でない貨物自動車運送事業(小運送業として行われるものを除く。)及び旅客自動車運送事業。

(ハ) 馬、牛、荷車、リヤカー、人力などによる運送事業(小運送業として行われるものを除く。)。

【郵便又は電気通信の事業で公益事業と認められるものの範囲】

(1) 郵便(逓送を含む)、電信、電話の事業であつて公益事業と認められるものは、一般公衆の需要に応ずるもののみとし、その事業には、その事業を行うのに欠くことのできない修繕保守補充などの業務を含むものとする。

(2) 従つて会社、工場、事業場、官公衙が専ら自己の業務上の用に供するために行う電信、電話の事業は公益事業と認めない。

【水道、電気又はガス供給の事業で公益事業と認められるものの範囲】

(1) 水道、電気又はガス供給の事業であつて公益事業と認められるものの範囲は左の通りとする。

(イ) 直接一般公衆の需要に応じて、水、電気またはガスを供給する事業。

(ロ) 前号の事業に対して、その事業用として水、電気またはガスを供給する事業。

(ハ) (一)の運輸事業に電気又はガスを供給する事業。

(ニ) (二)の郵便、電信、電話の事業に電気を供給する事業。

(ホ) 前各号の事業には、その事業を行うのに欠くことのできない修理、保全などの業務を含むものとする。

(2) 従つて会社、工場、事業場、官公衙などが専ら自己の業務上の用に供するために行うものは水道、電気またはガス供給の事業と認めない。

【医療又は公衆衛生の事業で公益事業と認められるものの範囲】

医療または公衆衛生の事業であつて、公益事業と認められるものの範囲は疾病傷害の治療、助産、伝染病に関する予防、消毒及び汚物清掃並びに埋火葬などの業務とする。

【公衆の日常生活に欠くことのできない部分とそうでない部分とを含んでいる場合又は附帯事業を営んでいる場合】

(イ) 労調法第八条に列挙された公益事業を営むものであつてその業務中公衆の日常生活に欠くことのできない部分とそうでない部分とが区別することができない場合は、その両部分を合わせたものを公益事業として取扱つて差支えないが、設例のような乗合自動車事業で一般公衆バスと遊覧バスを兼営して従業員を両職場に交替勤務させているような場合には、両部分を分けることができるものと解する。

(ロ) 労調法第八条の公益事業には、その事業に附帯していてもいなくても、その業務を行うのに欠くことのできない修理保全の業務を含むものである。

(参考)

(イ) 労調法第八条に列挙された公益事業を営む事業であつてその事業が公衆の日常生活に欠くことのできない部分とそうでない部分とを含んでいる場合に、その両部分が事業上明らかに分かれているときは取扱上問題とならないが、右の両部分が分れていないとき、例えば乗合自動車事業で一般公衆バスと遊覧バスとを兼営しており従業員を両方の職場に交替勤務させているとき、あるいは電気供給事業で一般家庭用電力と工場用電力の供給を同時に行つていて、それに従事する者を区別することができないときは両部分をあわせたものを公益事業として取扱つて差支えないか。

(ロ) 労調法第八条に列挙された公益事業を営むものであつて、その事業を続けるのに必要な事業を附帯事業として経営しておりその附帯事業の停廃が直ちに指定事業の停廃に影響する場合、たとえば電気軌道事業が電車修繕工場をあわせて経営しておる場合、その附帯事業を含めて公益事業として取扱つて差支えないか。

【指名される斡旋員の数】

労調法第十二条に基く斡旋員の指名は、一事件につき二名以上でも差し支えない。

(参考)

労調法第十二条に基く斡旋員の指名は、一事件につき一名の指名を建前とする様に思われるが、事件の内容如何によつては一事件につき二名以上の斡旋員を指名しても差し支えないか。

【調整手続の併用】

労調法第十八条第一号、第二号及び第五号に基く調停の申請又は請求がなされた場合ならびに同法第三十条に基く仲裁の申請がなされた場合は、原則として申請した者の意向を尊重すべきものであるが、労働委員会が事件の内容その他の情勢を考えて特に必要だと思うときは、申請内容にかかわりなく別の方法によつて事件の解決に努めても差し支えない。

(参考)

労調法第十八条第一号、第二号及び第五号に基く調停の申請または請求ならびに同法第三十条に基く仲裁の申請がなされたとき、労働委員会はその申請請求のすべてを取り上げて調停あるいは仲裁を行わなければならないか。あるいは、労働委員会において事件の内容その他の情勢を考えて申請の内容にかかわりなく別の方法(例えば斡旋員による斡旋)によつて事件の解決に努めても差し支えないか。