添付一覧
(注) 海外における貸出債権回収のために担保権を実行する必要がある場合で、現地市場の状況から担保資産の売却が極めて困難であり、かつ、現地法制上、他に適切な処理方法が存在しないときに、管理子会社を設立して担保流れ資産の保有・管理を行うことは、この限りではない。
また、保険業を行う外国の会社が行う業務については、現地監督当局が容認するものは、保険業法の趣旨を逸脱しない限り原則として容認する。
(2) 出資先外国法人として報告がなされたもの(当該出資先外国法人がその業務を行わせるために設立した会社及びこれらと同様の業務を営む会社を含む。)で、子会社対象会社の営むことができる業務以外の業務を現に営む子法人等又は関連法人等については、Ⅲ―2―1―1(3)①に準じて取り扱う。
(注) 出資先外国法人とは、組合が海外の外国法人に経営支配又は経営参画の形態をもって出資するものをいう。
経営支配とは、組合が外国法人における議決権の過半数を実質的に所有(議決権のある株式又は出資の所有の名義が役員等組合以外の者となっていても、組合が自己の計算で所有している場合を含む。)している場合(組合及び当該外国法人が他の外国法人における議決権の過半数を実質的に所有する場合又は当該外国法人が他の外国法人における議決権の過半数を実質的に所有している場合を含む。)をいう。
経営参画とは、組合が外国法人における議決権の100分の50以下を実質的に所有し、かつ、人事、資金、取引等の関係を通じて外国法人の財務及び営業の方針に対し重要な影響を与えることができる場合をいう。なお、「重要な影響を与えることができる場合」とは、当該外国における議決権の過半数を実質的に所有している出資者が他にいる場合は原則として該当しない。
Ⅲ―2―2 弊害防止措置
規則第171条に掲げる書面には、適正な共済募集を確保する観点から、以下の内容についての記載が含まれる必要がある。
(1) 当該組合とその特定関係者に該当する保険会社とは別法人であること。
(2) 当該組合が引き受ける共済契約は、当該保険会社が引き受ける保険契約ではなく、また保険契約者保護制度の対象となるものではないこと。
(3) 当該組合は、その特定関係者に該当する保険会社の役職員に対して、組合が提供する共済商品の仕組み若しくは役務に関する評価、意見等を表明し、又はその共済商品の仕組み若しくは利点を強調すること等によって当該組合と共済契約者との間の契約の締結を補助させることはできないこと。
(4) 共済代理店において、組合との間で共済契約を締結することを条件として当該組合の特定関係者が当該共済契約に係る共済契約者又は被共済者に対して信用を供与し又は信用の供与を約していることを知りながら、当該共済契約者に対して当該共済契約の申込みをさせる行為は、規則第18条第3号により禁止されていること。
(5) 当該組合は、当該保険会社の顧客に関する非公開情報が当該組合が行う共済募集に利用されないことを確保するための措置を講じなければならない(当該非公開情報が共済契約の募集に利用されることにつき事前に当該顧客の書面による同意がある場合を除く。)とされていること。
Ⅲ―2―3 契約条件の変更
Ⅲ―2―3―1 契約条件の変更の申出
(1) 契約条件の変更の申出の承認
生協法第53条の4第3項に基づく契約条件の変更の申出の承認に当たっては、以下の点に留意することとする。
① 現時点では共済事業の継続が困難である状況にはないこと
② 将来の業務及び財産の状況を予測した場合に、契約条件の変更を行わなければ、当該組合の財産をもって債務を完済することができない等、共済事業の継続が困難となりうることが合理的に予測できること
なお、このうち、上記②の予測に当たっては、
ア.
(ア) 金利、株価、為替レート等、金融経済動向に関わる事項
(イ) 新契約進展率、共済契約継続率、共済事故発生率等、共済契約に関わる事項
(ウ) 資産配分等、運用に関わる事項
等について客観的かつ妥当な前提を置くこと
イ.合併、事業譲渡、事業費削減、業務の再編成等、共済事業の継続のために取りうる経営改善方策の効果を織り込むこととする。
(2) 申出書の記載内容
生協法第53条の4第1項の規定による申出を行おうとするときに添付する規則第214条に規定する書類のうち、同条第3号に規定する「その他参考となるべき事項を記載した書類」には、上記(1)②に示された方法により作成された将来の業務及び財産の状況の予測、並びに当該予測に織り込まれた経営改善方策の内容に係る事項を含むものとする。
Ⅲ―2―3―2 共済調査人の選任
生協法第53条の4第3項の承認をした場合には、契約条件の変更の内容その他の事項を調査させるため、原則として、速やかに共済調査人を選任することとする。
共済調査人は、原則として、①アクチュアリー(法人を含む。)、②公認会計士、③弁護士のそれぞれから選任することとする。
Ⅲ―2―3―3 組合の対応
組合が、契約条件の変更の手続を進める場合には、以下の点に留意して、適切な対応が取られているか。
(1) 経営改善の取組み
契約条件の変更に当たっては、契約条件の変更に至った経緯に加え、契約条件の変更後に共済契約の確実な履行が行えるよう、合併、事業譲渡、事業費削減、業務の再編成等を含め経営改善方策を幅広く検討し、その結果講じることとした方策及びそれを織り込んだ将来の業務及び財産の状況の予測について、総会(又は総代会)及び共済契約者に明確かつ平易に説明を行っているか。
(2) 出資金の取扱い
契約条件の変更の対象となる共済契約者のみに負担を強いることのないよう、出資金の削減、金利減免、あるいは増額その他の方策を検討し、その結果講じることとした方策について、総会(又は総代会)及び共済契約者に明確かつ平易に説明を行っているか。
(3) 経営責任に関する事項
契約条件の変更後における経営体制について、その理由を含め、総会(又は総代会)及び共済契約者に明確かつ平易に説明を行っているか。
(4) 契約者割戻し等に関する方針
契約条件の変更に係る共済契約に関する契約者割戻しその他の金銭の支払いに関する方針がある場合には、その内容について、総会(又は総代会)及び共済契約者に明確かつ平易に説明を行っているか。
Ⅲ―2―3―4 契約条件の変更に係る承認
(1) 契約条件の変更の承認
生協法第53条の13第1項に基づく契約条件の変更の承認に当たっては、以下の点に留意することとする。
① 総会(又は総代会)に係る手続が適正に実施されたか。
② Ⅲ―2―3―3で示したそれぞれの事項について、共済契約者に対して明確かつ平易に説明が行われることとなっているか。
③ 当該組合において、十分な経営改善方策が講じられ、当該方策及び総会(又は総代会)において議決された契約条件の変更により、共済事業の継続が困難となる蓋然性が解消される見込みとなっているか。
④ 契約条件の変更が、特定の共済契約者にとって著しく公平性を欠くことその他共済契約者等の保護の見地から問題がないか。
(2) 申出書の記載内容
生協法第53条の13第1項による承認を受けようとするときに添付する規則第218条に規定する書類のうち、同条第5号に規定する「その他参考となるべき事項を記載した書類」には、契約条件の変更と併せて講じられる経営改善方策の内容に係る事項を含むものとする。
Ⅲ―2―4 議決権の取得制限
(1) 組合の子会社である金融商品取引業者が投資一任契約に基づき利用者のために議決権を行使し又は議決権の行使について指図を行う株式等に係る議決権は、生協法第53条の19において組合の子会社が取得し又は保有する議決権に含まれないことに留意する。
(2) 生協法第53条の19において読み替えて準用する生協法第53条の17第2項ただし書の承認を行う場合で、その議決権の取得理由が規則第229条第3号に定める場合(いわゆるデット・エクィティ・スワップによる場合)には、生協法第53条の19において読み替えて準用する生協法第53条の17第3項に定める承認の条件である当該議決権のうち基準議決権数を超える部分の議決権を「速やかに処分すること」とは、「遅くとも当該会社の経営改善のための計画終了後速やかに処分すること」との趣旨であることに留意する。
(注) 「計画終了」とは、当該計画期間を満了した場合、当該計画を計画期間よりも早期に達成した場合、当該会社が破綻又は実質的に破綻した場合及び当該計画を見直した場合をいう。
(3) 生協法第53条の19において読み替えて準用する生協法第53条の17第2項の承認に当たっては、基準議決権数を超過し、かつ、1年を超えて保有しようとする場合には、その都度承認申請が必要であるが、その超過理由が規則第229条第9号の「元本補てんのない信託に係る信託財産以外の財産における議決権数が基準議決権数以内となる場合における株式又は持分の取得」の場合は、インデックス運用等の実態及び私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和22年法律第54号)上の運営との平仄も踏まえ、原則として以下の手続により、その届出受理、承認を行うこととする。なお、以下の取扱いについては、元本補てんのない信託に係る信託以外の財産において保有する議決権数が10%以内の保有となっている場合にのみ適用することに留意する。
① 届出
規則第254条第1項第17号に基づく届出(以下「17号届出」という。)は、毎事業年度の属する月の2月前の月の末日までに、当該事業年度の末日が属する月の3月前の月の末日時点の保有株数をもとに、翌事業年度に基準議決権数を超えて取得し、又は保有しようとする議決権について別紙様式32により行うものとする。また、規則第254条第1項第19号に基づく届出は、毎事業年度の開始日が属する月の末日までに、前事業年度の末日時点の保有株数をもとに、前事業年度に基準議決権数を超えて保有しなくなった議決権のうち当該事業年度に基準議決権数を超えて保有しようとしない議決権について同様式により行うものとする。
② 承認(生協法第53条の19において読み替えて準用する生協法第53条の17第2項ただし書)
承認申請は、17号届出を行った議決権のうち、その取得し、又は保有することとなった日から1年を超えて保有しようとするもの及び承認期限が到来するものについて、当該届出を行った事業年度の末日が属する月の前月の第10営業日までに申請を受理し、その翌月の第7営業日までに承認を行うものとする。承認に当たっては、原則として当該届出を行った事業年度の翌々事業年度の末日を期限とするものとする。
申請書の添付書類は、規則第230条によるものとする。
(注) 17号届出の後承認申請までの間に、当該届出を行わなかった国内の会社の議決権を翌年度に基準議決権数を超えて取得し、又は保有しようとすることとなった場合には、当該届出書に追記して再度17号届出を行えば当該申請の際に併せて申請を行うことができることとし、その他の議決権についてはその都度17号届出及び承認申請を行うよう求めることとする。
Ⅲ―2―5 責任準備金対応債券
責任準備金対応債券は、日本公認会計士協会業種別監査委員会報告第21号『保険業における「責任準備金対応債券」に関する当面の会計上及び監査上の取扱い』(平成12年11月16日)に準じたものであるか。
Ⅲ―2―6 説明書類の作成・縦覧等
Ⅲ―2―6―1 記載項目についての留意事項
規則第209条第1項第2号及び同第211条に規定する記載項目についての留意事項は、次のとおりとする。
(1) 一般的な留意事項
① 各記載項目については、本指針に定めるもののほか、企業内容等の開示に関する内閣府令(昭和48年大蔵省令第5号)、連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則(昭和51年大蔵省令第28号。以下「連結財務諸表規則」という。)等も参考として、適切かつ分かりやすい表示がなされているか。
② 各記載項目について該当がない場合、注釈が必要な場合等には、その旨適切な表示がなされているか。
③ 規則に定められた義務的な開示項目以外の情報を自主的・積極的に開示することは、何ら差し支えないことに留意する。
(2) 個別の記載項目についての留意事項
① 「業務の運営の組織」については、組織図等を用いて系統的に分かりやすい説明がなされているか。
② 「組合の主要な業務の内容」には、共済事業、保険募集業務、生協法第10条第1項各号に規定する区分ごとにその内容が記載されているか。
③ 「直近の事業年度における事業の概況」には、業況、事業実績、資産運用、損益の状況等についての概括的な説明、組合が対処すべき課題等について説明されているか。
④ 「保有契約高又は正味収入共済掛金の額」については、共済の種類ごとに記載されているか。
⑤ 「リスク管理の体制」には、リスク内容、リスク管理に対する基本方針及び審査体制・内部監査体制・資産負債の総合的な管理体制等のリスク管理体制等について記載されているか。
⑥ 「法令遵守の体制」には、法令遵守(コンプライアンス)に対する基本方針及び運営体制について記載されているか。
⑦ 「貸倒引当金」については、一般貸倒引当金及び個別貸倒引当金に区別して記載されているか。
⑧ 「組合及びその子会社等の主要な事業の内容及び組織の構成」については、主要な事業の内容、当該事業を構成しているグループ会社の当該事業における位置付け等について系統的に分かりやすい説明がなされるとともに、その状況が事業系統図等によって示されているか。
⑨ 「当該組合及びその子法人等が二以上の異なる種類の事業を営んでいる場合の事業の種類ごとの区分に従い、当該区分に属する経常収益の額、経常剰余金又は経常損失金の額及び資産の額(以下この号において「経常収益等」という。)として算出したもの(各経常収益等の総額に占める割合が少ない場合を除く。)」については、連結財務諸表規則第15条の2第1項に規定する事業の種類別セグメント情報に準じた記載がなされているか。この場合の「各経常収益等の額の総額に占める割合が少ない場合」については、10%未満とする。
Ⅲ―2―6―2 リスク管理債権の開示及び債務者区分に基づいて区分された債権の額の開示
(1) 開示区分
① 破綻先債権
規則第209条第1項第6号ロ(1)の「元本又は利息の支払の遅延が相当期間継続していることその他の事由により元本又は利息の取立て又は弁済の見込みがないものとして未収利息を計上しなかった貸付金」については、「金融機関の未収利息の取扱いについて」(昭和41年9月5日付け国税庁長官通達)に基づき未収利息を益金に算入しなかった場合等をいう。
② 延滞債権
ア 規則第209条第1項第6号ロ(2)の「債務者の経営再建又は支援を図ることを目的として利息の支払を猶予したもの」については、「金利棚上げにより未収利息を不計上とした貸付金」を指すものとする。
イ 「延滞債権」に「金利減免」が含まれるかどうかについては、金利減免後の利息回収状況により判断するものとし、金利減免後の未収利息について収益不計上が認められる場合には、「延滞債権」として開示対象債権に含まれることに留意する。
③ 貸付条件緩和債権
ア 規則第209条第1項第6号ロ(4)の「債務者に有利となる取決め」とは、債権者と債務者の合意によるものか法律や判決によるものであるかは問わないことに留意する。
また、その具体的な事例としては、例えば、次のような債権又はその組み合わせが考えられるが、これらに関わらず規則の定義に合致する貸付金は開示の対象となることに留意する。
(ア) 金利減免債権
約定条件改定時において、当該債務者と同等な信用リスクを有している債務者に対して、通常適用される新規貸出金利(以下「基準金利」という。)を下回る水準まで当初約定期間中の金利を引き下げた貸付金
(イ) 金利支払猶予債権
利息の支払を猶予した債権
(ウ) 経営支援先に対する債権
債権放棄などの支援を実施し、今後も再建計画の実施に際し必要となる支援の決定を行う方針を固めている債務者に対する貸付金
(エ) 元本返済猶予債権
約定条件改定時において、基準金利を下回る金利で元本の支払を猶予した貸付金
(オ) 一部債権放棄を実施した債権
私的整理における関係者の合意や会社更生、民事再生手続における認可決定等に伴い、元本の一部又は利息債権の放棄を行った貸付金の残額
(カ) 代物弁済を受けた債権
債務の一部弁済として、不動産や売掛金などの資産を債務者が債権者に引き渡した貸付金(担保権の行使による引渡しを含む。)の残債権
(キ) 債務者の株式を受け入れた債権
債務の一部弁済として、債務者の発行した株式を受領した貸付金の残債権。ただし、当初の約定に基づき貸付金を債務者の発行した株式に転換した場合を除く。
(注) 上記の事例に係る判定に当たっては、例えば、以下の点に留意する。
(i) 基準金利は経済合理性に従って設定されるべきであること。
(ii) 個別債務者に関し、金利以外の手数料、配当等の収入、担保・保証等による信用リスクの減少、競争上の観点等の当該債務者に対する取引の総合的な採算を勘案して、当該貸付金に対して基準金利が適用される場合と実質的に同等の利回りが確保されているか否かを判定すること。
イ 過去において債務者の経営再建又は支援を図ることを目的として金利減免、利息支払猶予、債権放棄、元本返済猶予、代物弁済や株式の受領等を行った債務者に対する貸付金であっても、金融経済情勢等の変化等により新規貸付実行金利が低下した結果、又は当該債務者の経営状況が改善し信用リスクが減少した結果、当該貸付金に対して基準金利が適用される場合と実質的に同等の利回りが確保されていると見込まれる場合、又は当該債務者の債務区分が正常先となった場合には、当該貸付金は貸付条件緩和債権には該当しないことに留意する。
特に実現可能性の高い(注1)抜本的な(注2)経営再建計画(注3)に沿った金融支援の実施により経営再建が開始されている場合(注4)には、当該経営再建計画に基づく貸付金は貸付条件緩和債権には該当しないものと判断して差し支えない。
(注1) 「実現可能性の高い」とは、以下の要件を全て満たす計画であることをいう。
(ア) 計画の実現に必要な関係者との同意が得られていること。
(イ) 計画における債権放棄などの支援の額が確定しており、当該計画を超える追加的支援が必要と見込まれる状況でないこと。
(ウ) 計画における売上高、費用及び利益の予測等の想定が十分に厳しいものとなっていること。
(注2) 「抜本的な」とは、おおむね3年(債務者企業の規模又は事業の特質を考慮した合理的な期間の延長を排除しない。)後の当該債務者の債務区分が正常先となることをいう。
(注3) 中小企業再生支援協議会が策定支援した再生計画については、当該計画が(注1)及び(注2)の要件を満たしていると認められる場合に限り、「実現可能性の高い抜本的な経営再建計画」であると判断して差し支えない。
(注4) 既存の計画に基づく経営再建が(注1)及び(注2)の要件をすべて満たすこととなった場合も、「実現可能性の高い抜本的な経営再建計画に沿った金融支援の実施により経営再建が開始されている場合」と同様とする。
なお、(注3)の場合を含め、(注1)及び(注2)の要件を当初すべて満たす計画であっても、その後、これらの要件を欠くこととなり、当該計画に基づく貸付金に対して基準金利が適用される場合と実質的に同等の利回りが確保されていないと見込まれるようになった場合には、当該計画に基づく貸付金は貸付条件緩和債権に該当することとなることに留意する。
(2) 債務者区分に基づいて区分された債権の額として開示対象となる債権
規則第209条第1項第6号ハ本文において、債権として掲げられている未収利息及び仮払金とは、具体的に以下のものを指すこととする。
① 未収利息とは、貸付有価証券又は貸付金に係る未収利息
② 仮払金とは、貸付金に準ずる仮払金
Ⅲ―2―6―3 説明書類の縦覧場所等について
組合が生協法第53条の2に規定する説明書類を公衆の縦覧に供する「事務所」については、次のような場所等に備え置くよう十分配慮されているか。
(1) 組合の役職員が共済契約者等に応接できるスペースを有し、かつ、組合の業務上の組織とされている店舗等をいうものとする。
(注) コンピューターセンター、福利厚生施設等は含まない。
(2) 公衆の縦覧に供する時間については、当該縦覧場所における業務時間として差し支えない。
(3) 縦覧場所の組織上の性質から、例えば職員等が当該場所に不在になる場合においては、縦覧が可能な時間帯を表示する等の措置が講じられているか。
(4) 居住の用に供している場所と異なる場所において共済契約者等に応接できるスペースを有する主要な共済代理店においても、組合の説明書類を備え置き、公衆の縦覧に供するなど、事務所と同程度の開示がなされるよう指導が行われているか。
(注) 「主要な共済代理店」について、その範囲及び取扱いに関する内部規程を設けるなどの措置が講じられているか。
Ⅲ―2―6―4 説明書類に関して簡易な補助資料を作成する場合の留意事項
組合が、説明書類に関して簡易な補助資料(パンフレット等)を作成する場合には、当該補助資料の内容について、一部の指標を取り出すこと等によって全体が優良であるかのように表示することのないよう配慮されたものとなっているか。
Ⅲ―2―7 支払余力比率の計算
支払余力比率の正確性等については、規則第166条の2及び第166条の3の規定に基づき、告示第4条の3から第4条の5までの規定の趣旨を十分に踏まえ、以下の点に留意して確認するものとし、問題がある場合にはその内容を通知し、注意を喚起するものとする。
Ⅲ―2―7―1 届出書の記載内容のチェック
規則第254条第1項第22号に規定する劣後特約付金銭消費貸借(以下、「劣後ローン」という。)による借入れの届出があった場合において、これが共済金等の支払能力の充実に資するものとして適格であるかについて確認するためには、以下の点に留意するものとする。
(1) 少なくとも破産といった劣後状態が生じた場合には、劣後債権者の支払いの請求権の効力が一旦停止し、上位債権者が全額の支払いを受けることを条件に劣後債権者の支払い請求権の効力を発生する、という条件付債権として法律構成することにより、結果的に上位債権者を優先させる契約内容である旨の記載があるか。
(2) 上位債権者に不利となる変更、劣後特約に反する支払いを無効とする契約内容である旨の記載があるか。
(3) 債務者の任意(オプション)による償還については、行政庁への届出が必要であるとする契約内容である旨の記載があるか
Ⅲ―2―7―2 出資の安定性・適格性等の確認
(1) 告示第4条の3第10項に定める「ステップ・アップ金利が過大なものである」かどうかは以下の条件に照らして判断するものとする。
① 契約時から5年を経過する日までの期間において、ステップ・アップ金利を上乗せしていないこと。
② 『「150ベーシス・ポイント」から「当初の金利のベースとなるインデックスとステップ・アップ後の金利のベースとなるインデックスとの間のスワップ・スプレッド」を控除した値』ないしは『「当初の信用スプレッドの50%」から「当初の金利のベースとなるインデックスとステップ・アップ後の金利のベースとなるインデックスとの間のスワップ・スプレッド」を控除した値』以下となっているか。ただし、告示第4条の3第6項に規定する特定負債性資本調達手段においては、上記「150ベーシス・ポイント」を「100ベーシス・ポイント」と読み替えるものとする。
③ スワップ・スプレッドは、届出日ではなく価格決定時における当初参照証券・金利とステップ・アップ後の参照証券・金利との値付けの差により計算されるものであるが、これが確実に上記②の範囲内となるよう計画されたものとなっているか。
(2) 出資等の調達を行った組合が、当該出資等の出資者等に対して迂回融資等により、その原資となる貸付けを行っていないか。
Ⅲ―2―7―3 支払余力比率の計算に際しての確認
(1) 資産の流動化が行われた場合には、法形式上の譲渡に該当する場合であっても、リスクの移転が譲受者に完全に行われている等、実質的な譲渡が行われているか。
(2) 告示第4条の3第4項第3号における「これらに準ずるものの額」とは、資本の部に計上される任意積立金のうちリスク対応財源以外のものの額を指すこととするが、これに該当しているか。
(3) 告示第4条の5第6項第1号及び第2号における「意図的に取引を行っていると認められる場合には、当該意図的に行っていると認められる取引」について、適正な控除が行われているか。
(注) 例えば、年度末時点での取引残高が当該年度の各月末時点での取引残高の平均値を大きく上回っている場合や、年度末時点での現物資産の保有残高に対するデリバティブ取引の取引残高の割合(以下、「カバー率」という。)が当該年度の各月末時点でのカバー率の平均値を大きく上回っている場合において、その理由等を聴取することとする。
Ⅲ―2―7―4 期限前弁済の届出受理に際してのチェック
規則第254条第1項第23号に規定する劣後ローンの期限前弁済に係る届出を受理しようとする時は、告示の趣旨を十分に踏まえるとともに、当該届出組合における期限前弁済後の支払余力比率がなお十分な水準を維持しているかどうか、特に留意するものとする。
Ⅲ―3 行政指導等を行う際の留意点等
Ⅲ―3―1 行政指導等を行う際の留意点
組合に対して、行政指導等(行政指導等とは行政手続法第2条第6号にいう行政指導に加え、行政指導との区別が必ずしも明確ではない情報提供、相談、助言等の行政行為を含む。)を行うに当たっては、行政手続法等の法令等に沿って適正に行うものとする。特に行政指導を行う際には、以下の点に留意する。
(1) 一般原則(行政手続法第32条)
① 行政指導の内容があくまでも相手方の任意の協力によってのみ実現されているか。例えば、以下の点に留意する。
ア 行政指導の内容及び運用の実態、担当者の対応等について、相手方の理解を得ているか。
イ 相手方が行政指導に協力できないとの意思を明確に表明しているにもかかわらず、行政指導を継続していないか。
② 相手方が行政指導に従わなかったことを理由として不利益な取扱いをしてはいないか。
ア 行政指導に従わない事実を法律の根拠なく公表することも、公表することにより経済的な損失を与えるなど相手方に対する社会的制裁として機能するような状況の下では、「不利益な取扱い」に当たる場合があることに留意する。
イ 行政指導を行う段階においては処分権限を行使するか否かは明確でなくても、行政指導を行った後の状況によっては処分権限行使の要件に該当し、当該権限を行使することがあり得る場合に、そのことを示して行政指導をすること自体を否定するものではない。
(2) 申請に関連する行政指導(行政手続法第33条)
申請者が当該行政指導に従う意思がない旨を表明したにもかかわらず当該行政指導を継続すること等により当該申請者の権利の行使を妨げるようなことをしていないか。
① 申請者が、明示的に行政指導に従わない旨の意思表示をしていない場合であっても、行政指導の経緯や周囲の客観情勢の変化等を勘案し、行政指導の相手方に拒否の意思表示がないかどうかを判断する。
② 申請者が行政指導に対応している場合でも、申請に対する判断・応答が留保されることについても任意に同意しているとは必ずしもいえないことに留意する。
例えば、以下の点に留意する。
ア 申請者が行政指導に従わざるを得ないようにさせ、申請者の権利の行使を妨げるようなことをしていないか。
イ 申請者が行政指導に従わない旨の意思表明を明確には行っていない場合、行政指導を行っていることを理由に申請に対する審査・応答を留保していないか。
ウ 申請者が行政指導に従わない意思を表明した場合には、行政指導を中止し、提出された申請に対し、速やかに適切な対応をしているか。
(3) 許認可等の権限に関連する行政指導(行政手続法第34条)
許認可等をする権限又は許認可等に基づく処分をする権限を行使することができない場合又は行使する意思がない場合にもかかわらず、当該権限を行使し得る旨を殊更に示すことにより相手方に当該行政指導に従う事を余儀なくさせていないか。
例えば、以下の点に留意する。
① 許認可等の拒否処分をすることができないにもかかわらず、できる旨を示して一定の作為又は不作為を求めていないか。
② 行政指導に従わなければすぐにでも権限を行使することを示唆したり、何らかの不利益な取扱いを行ったりすることを暗示するなど、相手方が行政指導に従わざるを得ないように仕向けてはいないか。
(4) 行政指導の方式(行政手続法第35条)
① 行政指導を行う際には、相手方に対し、行政指導の趣旨及び内容並びに責任者を明確に示しているか。
例えば、以下の点に留意する。
ア 相手方に対して求める作為又は不作為の内容を明確にしているか。
イ 当該行政指導をどの担当者の責任において行うものであるかを示しているか。
ウ 個別の法律に根拠を有する行政指導を行う際には、その根拠条項を示しているか。
エ 個別の法律に根拠を有さない行政指導を行う際には、当該行政指導の必要性について理解を得るため、その趣旨を伝えているか。
② 行政指導について、相手方から、行政指導の趣旨及び内容並びに責任者を記載した書面の交付を求められた時は、行政上特別の支障がない限り、原則としてこれを交付しているか(ただし、行政手続法第35条第3項各号に該当する場合を除く。)。
ア 書面の交付を求められた場合には、できるだけ速やかに交付することが必要である。
イ 書面交付を拒みうる「行政上の特別の支障」がある場合とは、書面が作成者の意図と無関係に利用、解釈されること等により行政目的が達成できなくなる場合など、その行政指導の趣旨及び内容並びに責任者を書面で示すことが行政運営上著しい支障を生じさせる場合をいう。
ウ 単に処理件数が大量であるだけの場合や単に迅速に行う必要がある場合であることをもって、「行政上特別の支障」がある場合に該当するとはいえないことに留意する。
Ⅲ―3―2 面談等を行う際の留意点
職員が組合の役職員等と面談等(面談、電話、電子メール、ファックス等によるやりとりをいう。以下同じ。)を行うに際しては、下記の事項に留意するものとする。
(1) 面談等に参加する職員は、常に綱紀及び品位を保持し、穏健冷静な態度で臨んでいるか。
(2) 面談等の目的、相手方の氏名・所属等を確認しているか。
(3) 面談等の方法、面談等を行う場所、時間帯、参加している職員及び相手方が、面談等の目的・内容からみてふさわしいものとなっているか。
(4) 面談等の内容・結果について双方の認識が一致するよう、必要に応じ確認しているか。特に、面談等の内容・結果が守秘義務の対象となる場合には、そのことが当事者双方にとって明確となっているか。
(5) 面談等の内容が上司の判断を仰ぐ必要のある場合において、状況に応じあらかじめ上司の判断を仰ぎ、又は事後にすみやかに報告しているか。また、同様の事案について複数の相手方と個別に面談等を行う場合には、行政庁の対応の統一性・透明性に配慮しているか。
Ⅲ―4 行政処分を行う際の留意点
行政庁が組合に行う主要な行政処分(行政手続法第2条第4号にいう不利益処分をいう。以下同じ。)としては、①生協法第94条の2に基づく業務改善命令又は生協法第95条に基づく必要措置を採るべき旨の命令、②生協法第94条の2に基づく業務停止命令、③生協法第95条に基づく業務停止命令、④生協法第95条に基づく解散命令等があるが、これらの発動に関する基本的な事務の流れを例示すれば、以下のとおりである。
(1) 生協法第93条の3に基づく報告徴求
① オンサイトの立入検査や、オフサイト・モニタリング(ヒアリング、不祥事件届出書など)を通じて、組合のリスク管理態勢、法令等遵守態勢、経営管理態勢等に問題があると認められる場合においては、生協法第93条の3に基づき、当該事項についての事実認識、発生原因分析、改善・対応策その他必要と認められる事項について、報告を求めることとする。
② 報告を検証した結果、さらに精査する必要があると認められる場合においては、生協法第93条の3に基づき、追加報告を求めることとする。
(2) 生協法第93条の3に基づき報告された改善・対応策のフォローアップ
① 上記報告を検証した結果、業務の健全性・適切性の観点から重大な問題が発生しておらず、かつ、組合の自主的な改善への取組を求めることが可能な場合においては、任意のヒアリング等を通じて上記(1)において報告された改善・対応策のフォローアップを行うこととする。
② 必要があれば、生協法第93条の3に基づき、定期的なフォローアップ報告を求める。
(3) 生協法第94条の2に基づく業務改善命令又は生協法第95条に基づく必要措置を採るべき命令等
上記(1)の報告(追加報告を含む。)を検証した結果、例えば、業務の健全性・適切性の観点から重大な問題が認められる場合、又は、組合の自主的な取組では業務改善が図られないと認められる場合などにおいては、生協法第94条の2又は生協法第95条に基づき、業務の改善計画の提出とその実行又は必要措置を採るべき旨を命じることを検討する。
(4) 生協法第94条の2に基づく業務停止命令
上記(3)の業務改善命令を発出する際、業務の改善に一定期間を要し、その間、当該業務改善に専念させる必要があると認められる場合においては、生協法第94条の2第2項に基づき、改善期間を勘案した一定の期限を付して全部又は一部の業務の停止を命じることを検討する。
(5) 生協法第95条に基づく業務停止命令
上記(1)の報告(追加報告を含む。)を検証した結果、重大な法令等の違反又は公益を害する行為などに対しては、生協法第95条に基づき、全部又は一部の業務の停止を命じることを検討する。併せて、生協法第94条の2又は生協法第95条に基づき、法令等遵守態勢に係る内部管理態勢の確立等を命じることを検討する。
(6) 生協法第95条に基づく解散命令
上記(1)の報告(追加報告を含む。)を検証した結果、重大な法令等の違反又は公益を害する行為が多数認められる等により、今後の業務の継続が不適当と認められる場合においては、生協法第95条に基づく解散命令を検討する。
なお、(3)から(6)の行政処分を検討する際には、以下の①から③までに掲げる要因を勘案するとともに、それ以外に考慮すべき要素がないかどうかを吟味することとする。
① 当該行為の重大性・悪質性
ア 公益侵害の程度
組合が、例えば、利用者の財務内容の適切な開示という観点から著しく不適切な仕組みを開発・提供し、金融市場に対する信頼性を損なうなど公益を著しく侵害していないか。
イ 利用者被害の程度
広範囲にわたって多数の利用者が被害を受けたかどうか。個々の利用者が受けた被害がどの程度深刻か。
ウ 行為自体の悪質性
例えば、利用者から多数の苦情を受けているのにもかかわらず、引き続き同様の仕組みを推進し続ける行為を行うなど、組合の行為が悪質であったか。
エ 当該行為が行われた期間や反復性
当該行為が長期間にわたって行われたのか、短期間のものだったのか。反復・継続して行われたものか、一回限りのものか。また、過去に同様の違反行為が行われたことがあるか。
オ 故意性の有無
当該行為が違法・不適切であることを認識しつつ故意に行われたのか、過失によるものか。
カ 組織性の有無
当該行為が現場の推進担当者個人の判断で行われたものか、あるいは管理者も関わっていたのか。更に経営陣の関与があったのか。
キ 隠蔽の有無
問題を認識した後に隠蔽行為はなかったか。隠蔽がある場合には、それが組織的なものであったか。
ク 反社会的勢力との関与の有無
反社会的勢力との関与はなかったか。関与がある場合には、どの程度か。
② 当該行為の背景となった経営管理態勢及び業務運営態勢の適切性
ア 代表理事や理事会の法令等遵守に関する認識や取組は十分か。
イ 内部監査部門の体制は十分か、また適切に機能しているか。
ウ コンプライアンス部門やリスク管理部門の体制は十分か、また適切に機能しているか。
エ 業務担当者の法令等遵守に関する認識は十分か、また、組織内教育が十分になされているか。
③ 軽減事由
以上の他に、行政による対応に先行して、組合自身が自主的に利用者保護のために所要の対応に取り組んでいる、といった軽減事由があるか。
(7) 生協法第94条の2等に基づく業務改善命令の履行状況の報告義務の解除
生協法第94条の2に基づき業務改善命令又は生協法第95条に基づき必要措置を採るべき旨の命令を発出する場合には、当該命令に基づく組合の業務改善に向けた取組をフォローアップし、その改善努力を促すため、原則として、当該組合の提出する業務改善計画の履行状況の報告を求めることとなっているが、以下の点に留意するものとする。
① 生協法第94条の2に基づき業務改善命令又は生協法第95条に基づき必要措置を採るべき旨の命令を発出している組合に対して、当該組合の提出した業務改善命令の履行状況について、期限を定めて報告を求めている場合には、期限の到来により、当該組合の報告義務は解除される。
② 生協法第94条の2に基づき業務改善命令又は生協法第95条に基づき必要措置を採るべき旨の命令を発出している組合に対して、当該組合の提出した業務改善命令の履行状況について、期限を定めることなく継続的に報告を求めている場合には、業務改善命令を発出する要因となった問題に関して、業務改善命令に沿って十分な改善措置が講じられたと認められるときには、当該計画の履行状況の報告義務を解除するものとする。その際、当該報告等により把握した改善への取組状況に基づき、解除の是非を判断するものとする。
Ⅲ―5 意見交換制度
Ⅲ―5―1 意義
不利益処分(行政手続法第2条第4号にいう不利益処分をいう。)を行おうとする場合、行政手続法に基づく聴聞又は弁明の機会の付与の手続の前に、組合からの求めに応じ、監督当局と組合との間で、複数のレベルにおける意見交換を行うことで、行おうとする処分の原因となる事実及びその重大性等についての認識の共有を図ることが有益である。
Ⅲ―5―2 監督手法・対応
生協法第93条の3に基づく報告徴求に係るヒアリング等の過程において、自組合に対して不利益処分が行われる可能性が高いと認識した組合から、当局の職員と当該組合の役職員との間の意見交換の機会の設定を求められた場合(注)であって、当局が当該組合に対して聴聞又は弁明の機会の付与を伴う不利益処分を行おうとするときは、緊急に処分をする必要がある場合を除き、聴聞の通知又は弁明の機会の付与の通知を行う前に、行おうとする不利益処分の原因となる事実及びその重大性等についての意見交換の機会を設けることとする。
(注) 組合からの意見交換の機会の設定の求めは、当局が、当該不利益処分の原因となる事実についての生協法第93条の3に基づく報告書等を受理したときから、聴聞の通知又は弁明の機会の付与の通知を行うまでの間になされるものに限る。
Ⅳ 共済事業規約の認可に係る審査上の留意点等
共済事業規約の設定又は変更若しくは廃止の審査に当たっては、効率化、明確化及び透明化の観点から、共済事業規約の認可に係る審査上の留意点等を公表し、順次改訂のうえ現在に至っている。
組合から生協法第26条の3第1項又は第40条第5項の規定に基づき、共済事業規約の設定又は変更若しくは廃止に係る認可申請が行われた場合の審査に当たっては、特に以下の点に留意することとする。
なお、平成22年4月より保険法が施行されており、その中で共済契約者等を保護するための規定の整備等が行われたところ。保険法の規定を踏まえた商品審査を引き続き行っていくとともに、審査上の留意点等については、より効率化、明確化及び透明化を図る観点から適時に改訂を行っていくこととする。
Ⅳ―1 審査要領
(1) 共済事業規約の設定又は変更の認可を行う場合には、次に掲げる要件(変更の認可にあっては、①及び②を除く。)に適合するか慎重に審査するものとする。
① 当該組合が共済事業を健全かつ効率的に遂行するに足りる財産的基礎を有し、かつ、収支の見込みが良好であること。
② 当該組合が、その人的構成等に照らして、共済事業を的確、公正かつ効率的に遂行することができる知識及び経験を有し、かつ、十分な社会的信用を有する者であること。
③ 規則第55条又は第56条に規定する記載事項が共済事業規約に記載されていること。
④ 共済事業規約に記載された事項のうち事業の実施方法、共済契約又は共済掛金に係るものが次に掲げる基準に適合するものであること。
ア 共済契約の内容が、共済契約者等の保護に欠けるおそれのないものであること。
イ 共済契約の内容に関し、特定の者に対して不当な差別的取扱いをするものでないこと。
ウ 共済契約の内容が、公の秩序又は善良の風俗を害する行為を助長し、又は誘発するおそれのないものであること。
エ 共済契約者等の権利義務その他共済契約の内容が、共済契約者等にとって明確かつ平易に定められたものであること。
オ 共済掛金及び責任準備金の額の算出方法が、合理的かつ妥当なものであり、また特定の者に対して不当な差別的取扱いをするものでないこと。
⑤ 決定手続は、生協法第40条、第41条及び第46条等に照らし適法に行われていること。
(2) 共済事業規約の設定又は変更の認可に際しては、当該事業の確実な実施を図るため、上記(1)の要件を確保するために必要最小限の条件を付すことができる。
Ⅳ―1―1 保障内容
(1) 保障内容が共済契約者等の需要及び利便に適合しているか。
(2) 適正な死亡率や発生率が組み込まれているか、保障の内容が偶然性及び損害のてん補性を有しているかなど、共済性の有無に係る検討が十分行われているか。
(3) 支払事由に比して極端に高額な共済金が支払われるものや免責事由が極端に少ないもの、あるいは実損額を上回る共済金が支払われるものなどについては、射倖性が高いものとなっていたり、モラルリスクが生じやすいものとなっていないか、検討が十分に行われているか。
(4) 支払事由が明確なものとなっているか。
(注) 共済事業の種類及び共済期間等が、以下のとおりとなっていることに留意する必要がある。
① 共済事業の種類が、以下に掲げるいずれかであること。
ア 死亡
イ 生存
ウ 傷害
エ 疾病
オ 火災
カ 風水害等
キ 地震等
ク 盗難
ケ 車両損害
コ 対物賠償
サ 対人賠償
② 共済期間が、以下に掲げる期間であること。
また、共済期間が1年を超える長期間の共済事業を実施する組合においては、共済期間中においても基礎率を見直すことを可能とする規定を設けたり、ALMを講じるなど、長期間の共済事業に対応する共済引受リスク及び資産運用リスクの管理態勢を整備すること。
ア ①のアからエまでの共済事業にあっては、次に掲げる共済事業を除き、10年以内(年をもって共済期間の単位とする。)
(ア) 共済契約者から共済掛金の払込みを受け、被共済者につき一定期間内の死亡又は重度障害及び一定期間を経過した日以後の生存を共済事故とし、年金(一時金を含む。)を支払うことを約する共済事業については、共済契約の成立の日から被共済者の死亡時(既に確定した共済金の受け取り期間を含む。)までとする。
(イ) 共済契約者から共済掛金の払込みを受け、終身、被共済者につき死亡若しくは重度障害又は傷害若しくは疾病による入院その他の治療を共済事故とし、共済金を支払うことを約する共済事業及び死亡若しくは重度障害又は傷害若しくは疾病による入院その他の治療を共済事故とし、これに次の(i)から(iv)までに掲げるものの全部又は一部を共済事故とする共済事業を付帯し、共済金を支払うことを約する共済事業(終身生命共済)にあっては、共済契約の成立の日から被共済者が死亡又は重度障害となった時までとする。
(i) 一定期日における生存
(ii) 一定期間内の死亡若しくは重度障害又は傷害若しくは疾病による後遺障害
(iii) 一定期間内の傷害又は疾病による入院その他の治療
(iv) 身体上又は精神上の障害により常時介護を必要とする状態
(ウ) 共済契約者から共済掛金の払込みを受け、被共済者につき一定期間内の死亡又は重度障害並びに一定期間を経過した日以後の生存、死亡又は重度障害及び傷害又は疾病による入院を共済事故とし、共済金を支払うことを約する共済事業については、共済契約の成立の日から被共済者が死亡又は重度障害となった時までとする。
イ ①のオ、カ及びクの共済事業にあっては10年以内(年をもって共済期間の単位とする。)、キの共済事業にあっては5年以内(年をもって共済期間の単位とする。)、ケからサまでの共済事業にあっては1年
③ 共済契約者等の範囲
・ 共済契約者及び共済証書等に記名された被共済者は、組合員(生協法第12条第2項の規定により組合員とみなされる者を含む。)に限ること。
ただし、①のオからサまでの共済事業にあっては、原則として、被共済者を共済契約者と同一の者とすること。
(注) 「共済証書等」とは、共済証書、加入申込書、加入引受一覧その他これらに類する書類をいう。
Ⅳ―1―2 事業を行う地域
共済契約の募集地域を合理的な理由なく制限するなど、差別的取扱いとなっていないか。
Ⅳ―1―3 共済商品の名称(共済約款等又は特約の名称)
共済商品の名称から想起される権利義務その他の内容が、共済契約者等に誤解させるおそれのあるものとなっていないか。
Ⅳ―1―4 危険選択
(1) 被共済者の健康状態等に係る身体的危険及び被共済者の職業等に係る環境的危険を適切に選択する方策を講じているか。
(2) モラルリスクを排除する方策を適切に講じているか。
Ⅳ―1―5 告知項目
共済契約者又は被共済者に求める告知項目は、組合が危険選択を行う上で必要なものに限定されているか。また、「趣味」など判断基準があいまいな用語は適当でないことに留意するものとする。
Ⅳ―1―6 免責事由
免責事由については、公序良俗に反するものや組合の経営に影響を及ぼすような巨大リスクの排除に係るものなど公平性、合理性の点から問題のない内容や明確な内容となっているか。
Ⅳ―1―7 告知義務違反に基づく契約解除期間
告知義務違反に基づく契約解除期間が、共済契約者等の保護の観点から、不当に長期間のものとなっていないか。
Ⅳ―1―8 共済金額・共済期間・契約年齢範囲
(1) 共済金額・共済期間・契約年齢範囲が、公序良俗の観点から問題のない設定となっているか。
(2) 共済金額又は損害をてん補する割合、免責金額の設定については、モラルリスク排除の観点から適切な検証を行った上で設定されているか。
Ⅳ―1―9 解約返戻金の開示方法
解約返戻金については、共済契約者等に明瞭に開示するため、共済証書等に表示するか、又は、解約返戻金例表等を共済約款等に掲載するなどの措置が講じられているか。
Ⅳ―1―10 共済事業規約の規定による貸付けに関する事項
共済契約貸付制度を備えた共済商品については、共済契約貸付限度額が、解約返戻金額に対して妥当な金額になるものとなっているか。また、共済期間満了前の一定期間は新規貸付を行わないなどの方策により、いわゆるオーバーローンを防止するための適切な措置が講じられているか。
Ⅳ―1―11 インターネットによる共済商品販売の取扱い
電気通信回線に接続している情報処理の用に供する機器を利用して、共済契約の申込みその他の共済契約の締結の手続を行うものについては、共済契約の申込みをした者の本人確認、被共済者の身体の状況の確認、契約内容の説明、情報管理その他の当該手続の遂行に必要な事項について、共済契約者等の保護及び業務の的確な運営が確保されるための適切な措置が講じられていること。また、以下の点に留意することとする。
(1) 確実な方法で申込者が組合員であることの確認の措置が講じられているか。なお、被共済者の身体の状況の確認については、被共済者の身体の状況に係る告知、診査又は同意が必要な場合に行うものとする。
(2) 契約申込み情報その他契約に関する情報の不備及び変質(以下、この(2)において「不備等」という。)を防止するための措置並びに不備等が発生した場合にあっても、これが共済契約者等の保護に欠けることとならないようにするための措置が講じられているか。
(3) 電気通信回線に接続している情報処理の用に供する機器を利用した、共済契約の申込みその他の共済契約の締結の手続の使用が契約又は共済契約者等に係る情報の漏出を招くことのないようにするための防護の措置が講じられているか。
(4) 申込者が確実な方法で契約の申込みその他の契約関係の手続の内容、契約内容及び重要事項を確認し、かつ、保存できるようにするための措置が講じられているか。
(5) 当該手続を使用することが契約に関し申込者の組合との間の爾後の行為に対する制約とならないようにするための措置が講じられているか。
Ⅳ―1―12 保険法対応
保険法においては、共済契約者等を保護するために共済契約者等に不利な共済事業規約の内容を無効とする片面的強行規定が設けられており、当該規定を潜脱するような事業規約内容となっていないかどうか以下の点に留意して審査を行うこととする。
なお、これらに加えて、無効、解除、免責、失効等、共済金を支払わないこととなる事由については、保険法において任意規定とされている規定もあるが、当該規定に係る共済事業規約の内容によっては、片面的強行規定に抵触する場合(例えば、危険増加後に発生した共済金給付事由の全てを免責とする場合など)もあり得ることに留意する。
(1) 告知義務違反による解除
① 告知制度が共済契約者等からの自発的申告義務から組合が告知を求めたものについての質問応答義務になったことを踏まえた共済事業規約の規定となっているか。
② 組合の役職員又は共済代理店による告知妨害又は不告知教唆があった場合は、組合は共済契約を解除できないことを共済事業規約に明確に規定しているか。
ただし、当該規定については、組合の役職員又は共済代理店による告知妨害又は不告知教唆がなかったとしても共済契約者又は被共済者が告知事項について事実の告知をせず、又は不実の告知をしたと認められるときは適用されないことに留意する。
(2) 共済金給付の履行期
① 共済金給付の履行期については、損害調査手続等の共済金給付手続等に必要となる合理的な期間を踏まえて、一定の期限内に支払うとする基本的な履行期を共済事業規約に定めているか。
② また、基本的な履行期の例外とする期限を定めるときは、共済商品の類型ごとに共済金給付のために行う公的機関や医療機関等への確認等、必要となる確認事項が明確に定められているとともに、その期限が客観的にみて合理的な日数をもって定められているか。
なお、基本的な履行期の例外とする期限を適用する場合には、共済金を請求した者に対し、共済金給付のために行う確認事項及び必要となる日数を通知することとしているか。
③ 共済金給付事由が発生し、共済契約者等から通知を受けた場合には、「Ⅱ―3―6―2 共済金等支払管理態勢」の(2)⑤を踏まえ、共済契約者等に対し、共済金等請求手続の明確な説明及び共済金等請求書類の迅速な交付が行われるような態勢が整備されているか。
(3) 重大事由による解除
重大事由による解除の規定においては、解除権が濫用されることのないよう、共済契約者等の故意による共済金給付事由の発生(保険法第30条第1号、第57条第1号及び第86条第1号)及び共済金受取人等の共済金給付請求の詐欺(同法第30条第2号、第57条第2号及び第86条第2号)以外の事項を定めようとする場合は、当該内容に比肩するような重大な事由であることが明確にされているか。
Ⅳ―2 第三分野
第三分野共済の共済契約を含む共済事業規約の認可に係る審査に当たっては、特に以下の点に留意して審査することとする。
Ⅳ―2―1 基礎率変更権の設定について
第三分野共済の共済契約の基礎率変更権の設定については、以下の点に留意して審査するものとする。
(1) その他これに準ずる給付を行う共済契約とは、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10年10月2日法律第114号)に規定する一類感染症、二類感染症、三類感染症に対する人の状態等に対する給付を行う共済契約とする。
(2) 基礎率変更権行使基準の設定に当たっては、以下の条件を全て満たしているか。
① 予定発生率に対する実績発生率の状況を示す指標については、予定発生率を変更して共済掛金又は共済金を変更するという趣旨に適合するものとして、次に掲げるいずれかの割合又は当該割合に準じたものとなっているか。
イ 予定発生率に対する実績発生率の割合
ロ 共済掛金収入(責任準備金繰入・戻入調整をした当該年度の危険共済掛金と付加掛金の合計)に対する共済金の支出額の割合
② ①に掲げる指標の設定に当たっては、実績発生率が悪化した場合の、当該共済契約の損益見込みに照らして、適切な水準となっているか。
③ ①に掲げる指標に達した後、共済掛金又は共済金の変更を行う手続きが、明確になっているか。
Ⅳ―2―2 基礎率変更権を行使する認可申請の取扱い
第三分野共済の共済契約の基礎率変更権の行使のための申請があった場合には、以下の点に留意して審査するものとする。
(1) 共済事業規約に定める基礎率変更権の規定(基礎率変更権行使基準等)に反しないものとなっているか。
(2) 内部規定において定められている基礎率変更権の行使の手続きが遵守されているか。
(3) 契約者に対して、契約締結時にあらかじめ十分な説明が行われ、その後も基礎率変更権行使基準に該当するかどうかの情報公開が定期的に行われたか。
(4) 変更後の予定発生率が、実績発生率に照らして共済の数理に基づく合理的かつ妥当なものとなっているか。
Ⅳ―2―3 共済金等の支払時における契約者等の保護のための措置
第三分野の商品については、共済金等の支払時における共済契約者等の保護のための措置として以下の点に留意することとする。
(1) 被共済者を受取人とする共済契約において、共済金等の支払事由が発生し、被共済者が物理的に請求を行い得ない蓋然性が高い共済契約については、被共済者に代わる者が速やかに共済金等の請求を行えるように十分な措置を講じているか。
(2) 疾病、不慮の事故等の給付対象範囲を定めるにあたり、共済契約者等が参照することが困難な分類規定等を利用していないか。
(3) 契約更新前の給付金等の支払日数が契約更新後に引き継がれることについて、契約更新時等の機会に共済契約者等に適切に説明する措置を講じているか。
Ⅳ―3 共済数理
共済事業規約のうち共済掛金及び責任準備金の額の算出方法に関する事項の審査に当たっては、特に以下の点に留意することとする。
Ⅳ―3―1 共済掛金
(1) 共済掛金の算出方法については、十分性や公平性等を考慮して、合理的かつ妥当なものとなっているか。
(2) 共済掛金については、被共済者群団間及び共済の種類間等で、不当な差別的扱いをするものとなっていないか。
(3) 予定発生率又は予定解約率については、合理的かつ客観的な基礎データに基づいて算出が行われ、かつ、基礎データの信頼度に応じた補整が行われているか。
また、第三分野共済の共済契約において使用する死亡率については、被共済者集団の特性や生存保障性を考慮したものとなっているか。
(4) 予定利率については、共済の種類、共済期間、共済掛金の払込方法、運用実績や将来の利回り予想等を基に、合理的かつ長期的な観点から適切な設定が行われているか。
(5) 予定利率変動型商品の予定利率については、共済契約者等の保護の観点から、恣意性のない合理的な見直しルールが定められているか。
(6) 予定事業費率(事業費の割引を含む。)の設定については、共済の種類間の公平性が損なわれておらず、事業費の支出見込額に対して妥当なものとなっているか。
(注) 組合が、経営の収支状況については常時配意するとともに、事務費の使途について明確かつ適正を期しているかに留意する必要がある。
(7) 保障等の内容の改定に伴って、共済掛金率の改定を行っていない場合において、共済掛金率改定の必要性について十分な検証を行っているか。
(注) 比較的長期にわたり共済掛金率改定を行っていない共済商品については、適宜、共済掛金率水準の妥当性等について検証が必要となることに留意する。
Ⅳ―3―2 返戻金
返戻金については、支出した事業費及び投資上の損失、共済設計上の仕組み等に照らし、合理的かつ妥当に設定し、共済契約者にとって不当に不利益なものとなっていないか。
Ⅳ―3―3 各種割引制度
(1) 割引の新設(改定を含む。)については、当該割引が数理的にみて合理的であるとともに、他の割増引制度との整合性、割引導入後の収支均衡、共済契約者間の公平性確保等に照らして問題がないものとなっているか。
(2) 装置・サービスの普及促進のみを目的とする等、数理的にみて合理的でない割引となっていないか。
Ⅳ―4 1の被共済者当たりの共済金額が100万円を超える共済事業を実施する場合の審査要領等
1の被共済者当たりの共済金額が100万円を超える共済事業又は年金共済事業を実施する場合の共済事業規約の設定及び変更の認可に係る審査上の留意点等については、Ⅳ―1、Ⅳ―2及びⅣ―3に加えて、次に掲げる要件に適合するか慎重に審査するものとする。
(1) 生命共済事業、火災共済事業(盗難共済事業を含む。以下同じ。)、風水害等共済事業、自動車共済事業、車両共済事業及び傷害共済事業(交通災害共済事業を含む。以下同じ。)に係る要件
① 自己資本額
次の算式により算出した額が、申請された共済事業規約の設定及び変更の認可に係る共済金の最高額を超えるものであること。
〔{(C0+C1+C2-L)×(Sx/ΣS)}+R〕×{(5/100)×(1/(1-γ))}
ただし、C0は払込済出資金の額、C1は法定準備金の額、C2は任意積立金の額、Lは欠損金の額、ΣSは共済事業ごと(1の共済事業であっても2以上の共済事業規約がある場合は、共済事業規約ごと)の共済金の最高額の合計額、Sxは当該共済事業の共済金の最高額、Rは当該共済事業に係る異常危険準備金の額、γは当該共済事業に係る再共済率とし、それぞれの値は、申請日の属する事業年度(以下「申請事業年度」という。)の前年度末現在のものとする。
② 払込済出資金等の額
申請事業年度の前年度末現在の払込済出資金と法定準備金の合計額が、原則として次の算式により算出した金額以上であること。
1.96×√(P(1-P)/n)×n×当該共済事業の共済金の最高額
ただし、nは、当該組合の実績及び事業計画に照らして適正な被共済者数又は共済契約件数であること。
Pは、申請事業年度の前5事業年度の当該組合の実績平均危険率であること。
なお、共済事業を2種類以上実施する組合にあっては、払込済出資金額と法定準備金の合計額が、原則として共済事業ごと(1の共済事業であっても2以上の共済事業規約がある場合は、共済事業規約ごと)に上記の算式により算定した金額の合計額以上であること。
③ 正味の流動資産の額
正味の流動資産の額が、原則として当該共済事業の共済金の最高額の10倍以上であること。
ただし、正味の流動資産の額は、流動資産(その他の流動資産を除く。)の額から支払備金、再共済勘定、短期借入金及びその他の流動負債(前受共済掛金を除く)の合計額を控除した残額とすることとし、それぞれの額は、当該申請事業年度の前年度末現在のものとする。
なお、共済事業を2種類以上実施する組合にあっては、正味の流動資産の額が、原則として共済事業ごと(1の共済事業であっても2以上の共済事業規約がある場合は、共済事業規約ごと)の共済金の最高額の合計額の10倍以上であること。
④ 決算の状況
申請に係る共済事業について、原則として申請事業年度の前三事業年度、決算で剰余金を計上していること。
⑤ 査定体制
自動車共済事業及び車両共済事業にあっては、次の査定体制が整備されていること。
なお、自動車共済事業及び車両共済事業以外の共済事業にあっても事業の内容に応じてこれに準じた査定体制(エを除く。)が整備されていること。
ア 査定員の配置
適正規模に配置していること。
イ 査定員の教育訓練
定期的に実施していること。
ウ 契約者保護の状況
原則として請求手続等の援助を実施していること。
エ 被害者保護の状況
原則として内払い、仮払いを実施していること。
⑥ 共済掛金
ア 安全率は、原則として純危険率に対する見込み平均被共済者数又は見込み平均共済契約件数による標準偏差の3倍とすることとし、見込み平均被共済者数又は見込み平均共済契約件数は、当該組合の実績及び事業計画に照らして適正なものであること。
なお、これにより難いときは、その理由が合理的かつ明らかであること。
イ 風水害等共済事業において、全国一律の掛金の設定を行う場合は、特定の地域への契約の集中を緩和するしくみが設けられていること。
⑦ 再共済
全国組織でない組合が火災共済事業、風水害等共済事業、自動車共済事業、車両共済事業又は傷害共済事業を実施する場合は、原則として50%以上再共済に付していること。
⑧ 被共済者数又は共済契約件数
危険分散を図るため、原則として少なくとも生命共済事業10,000人、火災共済事業、風水害等共済事業15,000件、自動車共済事業、車両共済事業20,000件、傷害共済事業15,000人の被共済者数又は共済契約件数を有すること。
ただし、全国組織でない組合の場合は、当該被共済者数又は共済契約件数に1.5を乗じるものとする。
⑨ 共済金按分調整規定
火災共済事業、風水害等共済事業、自動車共済事業及び車両共済事業にあっては、同一の共済の目的に係る当該組合の共済金と、当該共済契約と同時に又は時を異にして締結された法律に基づく他の契約による共済金等の合計額が、当該共済の目的の損害額を超過する場合の共済金の支払いに係る調整規定を設けていること。
⑩ 不当な共済金請求に対する対策
共済金額等を勘案し、不当な共済金請求に対する対策を講じていること。
(2) 地震等共済事業に係る要件
① 火災共済事業を過去10年以上継続して健全に実施している全国組織である組合であって、各事業年度の決算で剰余金を計上していること。
② 支払計画の策定
阪神・淡路大震災規模の地震が再来した場合に推定される支払共済金額について、「支払計画表」(様式・参考資料編 その他報告等様式参照。)により、その支払計画が明らかであること。
③ 正味の流動資産の額
阪神・淡路大震災規模の地震が再来した場合に、当該組合が責任保有すると見込まれる共済金の額以上の正味の流動資産の額を保有していること。
④ 共済掛金
全国一律の掛金の設定を行う場合においては、特定地域への契約の集中を緩和するしくみを設けていること。
⑤ 大規模災害時の査定体制等
大規模災害時の査定体制及び共済金支払いに係る事務処理体制が確保されていること。
⑥ 大規模災害時の支払い方法
大規模災害時の共済金の支払方法の内容を組合員に周知する規定を設けていること。
⑦ 共済契約件数
15,000件以上となる確実な見込みがあること。
⑧ 共済金按分調整規定
同一の共済の目的に係る当該組合の共済金と、当該共済契約と同時に又は時を異にして締結された法律に基づく他の契約による共済金等の合計額が、当該共済の目的の損害額を超過する場合の共済金の支払いに係る調整規定を設けていること。
(3) 年金共済事業に係る要件
① 生命共済事業を過去5年以上継続して健全に実施している組合であって、各事業年度の決算で剰余金を計上し、かつ1の被共済者当たりの共済金の最高額が1,000万円以上であること。
② 被共済者の数
初年度10,000人以上、3年後30,000人以上となる確実な見込みがあること。
③ 共済事務職員の研修
共済事業の数理的特質にかんがみ、共済事務を担当する職員に対し計画的に実務研修が実施され、その資質の向上が図られる体制となっていること。
(4) 終身生命共済事業に係る要件
① 生命共済事業を過去5年以上継続して健全に実施している組合であって、各事業年度の決算で剰余金を計上し、かつ1の被共済者当たりの共済金の最高額が1,000万円以上であること。
② 自己資本額
次の算式により算出した額が、申請された共済事業規約の設定及び変更の認可に係る共済金の最高額を超えるものであること。
〔{(C0+C1+C2-L)×(Sx/ΣS)}+R〕×{(5/100)×(1/(1-γ))}
ただし、C0は払込済出資金の額、C1は法定準備金の額、C2は任意積立金の額、Lは欠損金の額、ΣSは共済事業ごと(1の共済事業であっても2以上の共済事業規約がある場合は、共済事業規約ごと)の共済金の最高額の合計額、Sxは当該共済事業の共済金の最高額、Rは当該共済事業に係る異常危険準備金の額、γは当該共済事業に係る再共済率とし、それぞれの値は、申請事業年度の前年度末現在のものとする。
③ 払込済出資金等の額
申請事業年度の前年度末現在の払込済出資金と法定準備金の合計額が、原則として次の算式により算出した金額以上であること。
1.96×√(P(1-P)/n)×n×当該共済事業の共済金の最高額
ただし、nは、当該組合の実績及び事業計画に照らして適正な被共済者数又は共済契約件数であること。
Pは、申請事業年度の前5事業年度の当該組合の実績平均危険率であること。
なお、共済事業を2種類以上実施する組合にあっては、払込済出資金額と法定準備金の合計額が、原則として共済事業ごと(1の共済事業であっても2以上の共済事業規約がある場合は、共済事業規約ごと)に上記の算式により算定した金額の合計額以上であること。
④ 正味の流動資産の額
正味の流動資産の額が、原則として当該共済事業の共済金の最高額の10倍以上であること。
ただし、正味の流動資産の額は、流動資産(その他の流動資産を除く。)の額から支払備金、再共済勘定、短期借入金及びその他の流動負債(前受共済掛金を除く)の合計額を控除した残額とすることとし、それぞれの額は、当該事業年度の前年度末現在のものとする。
なお、共済事業を2種類以上実施する組合にあっては、正味の流動資産の額が、原則として共済事業ごと(1の共済事業であっても2以上の共済事業規約がある場合は、共済事業規約ごと)の共済金の最高額の合計額の10倍以上であること。
⑤ 被共済者の数
初年度10,000人以上、3年後30,000人以上となる確実な見込みがあること。
⑥ 共済事務職員の研修
共済事業の数理的特質にかんがみ、共済事務を担当する職員に対し計画的に実務研修が実施され、その資質の向上が図られる体制となっていること。
⑦ 入院又は通院の共済金支払日数限度
傷害又は疾病による入院又は通院を共済事故とする共済事業にあっては、入院又は通院の共済金の1回又は通算の支払日数限度について、共済数理上の合理性及び不当な共済金請求防止の観点から適切な検証を行った上で設定すること。
⑧ 入院又は通院の共済金日額の通算限度
傷害又は疾病による入院又は通院を共済事故とする共済事業にあっては、同一の共済の目的について当該共済契約と同時に又は時を異にして締結された当該組合の他の契約との共済金日額の通算限度に係る規定を不当な共済金請求防止の観点から適切な検証を行ったうえで設けていること。
⑨ 不当な共済金請求に対する対策
傷害又は疾病による入院その他の治療を共済事故とする共済事業にあっては、特に、専門的な見地から不当な共済金請求に対する十分な対策を講じていること。
[共済事業向けの総合的な監督指針]
様式編
平成29年4月
厚生労働省社会・援護局
Ⅴ 様式編
Ⅴ―1 申請書等様式集
法令等に基づく申請、届出を受理する場合には、個々の申請、届出の根拠となる法令に定められた事項が申請書、届出書に記載されているかどうかをチェックすることになるが、申請、届出の書式例を定めたので申請者、届出者から書式についての照会があった場合等に活用されたい。なお、以下の書式は、申請者、届出者に対し強制するものではなく、異なる形式の書面であっても必要事項の記載がなされている場合にはそのまま受理して差し支えないので、念のため申し添える。
〈申請書等様式集目次〉
別紙様式1(○○共済事業規約設定認可申請書)
別紙様式2(○○共済事業規約変更認可申請書)
別紙様式3(○○共済事業規約廃止認可申請書)
別紙様式4(共済事業に係る経理の他の経理への資金運用承認申請書)
別紙様式5(共済事業に係る経理に属する資産の担保提供承認申請書)
別紙様式6(価格変動準備金の不積立ての認可申請書)
別紙様式7(価格変動準備金の取崩しの認可申請書)
別紙様式8(資産運用の方法に関する承認申請書)
別紙様式9(業務及び財産の状況に関する事項を記載した説明書類の縦覧開始の延期承認申請書)
別紙様式10(1年を超えて国内の会社の議決権をその基準議決権数を超えて保有することに係る承認申請書)
別紙様式11(決算関係書類等の提出延期承認申請書)
別紙様式12(共済代理店設置届出書)
別紙様式13(共済代理店廃止届出書)
別紙様式14(共済計理人の選任届出書)
別紙様式15(共済計理人の退任届出書)
別紙様式16(子会社等を新たに有することとなった届出書)
別紙様式17(子会社等が子会社等でなくなった届出書)
別紙様式18(業務又は財産の状況に関する説明書類の縦覧開始届出書)
別紙様式19(子会社が子会社対象会社に該当しない子会社になった届出書)
別紙様式20(消費生活協同組合法施行規則第228条(共済事業兼業組合にあっては、第223条)各号に掲げる事由により他の会社を子会社とした届出書)
別紙様式21(子会社の議決権の取得(又は保有)届出書)
別紙様式22(子会社○○の名称(住所)変更に係る届出書)
別紙様式23(子会社の業務内容の変更届出書)
別紙様式24(子会社○○の合併届出書)
別紙様式25(子会社○○の解散届出書)
別紙様式26(子会社○○の業務の全部の廃止届出書)
別紙様式27(子会社の名称等の変更届出書)
別紙様式28(子会社の本店の所在地変更届出書)
別紙様式29(子会社の合併届出書)
別紙様式30(子会社の解散(又は業務の全部の廃止)届出書)
別紙様式31(○○の議決権の取得(又は保有)届出書)
別紙様式32(国内の会社の基準議決権数を超える議決権の取得(又は基準議決権数を超える議決権を保有しなくなった)届出書)
別紙様式33(子会社対象会社○○の議決権の取得(又は保有)届出書
別紙様式34(○○の議決権の基準議決権数を超えて有する部分の議決権数有しなくなった届出書)
別紙様式35(基準議決権数を超えて議決権を保有する会社の業務内容を変更する場合の届出書)
別紙様式36(国内の会社の基準議決権数を超える議決権の取得(又は保有)届出書)
別紙様式37(子会社対象会社の基準議決権数を超える議決権の取得(又は保有)届出書)
別紙様式38(基準議決権数を超えて保有する国内の会社の議決権のうち、基準議決権数を超える部分の議決権を保有しなくなった届出書)
別紙様式39(異常危険準備金の不積立て等の届出書)
別紙様式40(不祥事件発生届出書)
別紙様式1(法第40条第5項関係)
別紙様式2(法第40条第5項関係)
別紙様式3(法第40条第5項関係)
別紙様式4(法第50条の4第1項関係)
別紙様式5(法第50条の4第1項関係)
別紙様式6(法第50条の9第1項、規則第187条第1項関係)
別紙様式7(法第50条の9第2項、規則第187条第1項関係)
別紙様式8(法第50条の14第1項関係)
別紙様式9(規則第213条第3項関係)
別紙様式10(法第53条の17第2項ただし書、第53条の19第2項、規則第225条、第230条関係)
別紙様式11(規則第248条第3項関係)
別紙様式12(法第96条の2第1号、規則第249条関係)
別紙様式13(法第96条の2第1号、規則第249条関係)
別紙様式14(法第96条の2第2号、規則第250条第1項関係)
別紙様式15(法第96条の2第2号、規則第250条第2項関係)
別紙様式16(法第96条の2第3号、規則第251条関係)
別紙様式17(法第96条の2第4号、規則第252条関係)