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(2) 苦情等の記録、保存、報告

① 利用者からの苦情等(不祥事件につながるおそれのある問い合わせ等も含む。)の内容は、処理結果を含めて、記録簿等により記録・保存するとともに、適時にコンプライアンス統括部門、内部監査部門等に報告しているか。

② 経営に重大な影響を与える、又は利用者の利益が著しく阻害される一切の事項については、速やかにコンプライアンス統括部門、内部監査部門等の適切な部署へ報告するとともに、理事会等に報告しているか。

(3) 苦情の原因分析(改善策)

① 苦情内容について分析し、苦情発生原因を把握しているか。

② 苦情担当部門は、苦情内容の分析に基づき、例えば、関連部署に対し報告・改善を求めるなど、改善に向けた取組を不断に行う態勢となっているか。また、理事会等に対し改善のための提言を行っているか。

Ⅳ.利用者情報管理態勢

1.利用者情報管理態勢の整備・確立状況

(1) 利用者情報管理に係る基本方針等の策定・確立

① 理事は、利用者に関する情報(以下「利用者情報」という。)の漏えい等を防止するため、個人情報保護法をはじめとする利用者情報管理に関する法令等の遵守の重要性を理解し、この理解に基づき利用者情報管理態勢の現状を的確に認識し、適切な利用者情報管理態勢の構築及び確保に向けた取組方針並びに具体的な方策を立案・策定しているか。

② 理事会等において、上記取組方針及び具体的な方策についての分析・検討がなされ、明確な意思決定がなされているか。また、上記取組方針は、役職員等に周知されているか。

(2) 利用者情報管理のための組織の整備等

① 理事会等は、適切な利用者情報管理態勢を整備・確立するために、利用者情報の管理全般を統括する責任者(以下「利用者情報統括管理責任者」という。)を設置しているか。また、その責任及び権限を明確化しているか。(なお、利用者情報を統括管理する部門を設置することを妨げない。)

② 理事会等は、各部署に利用者情報を管理する利用者情報管理者を設置しているか。また、その責任及び権限を明確化しているか。

③ 理事会等は利用者情報統括管理責任者及び利用者情報管理者に、それぞれの事務に関し十分な知識及び経験を有する人員を充てているか。

④ 理事会等は、個人である利用者に関する情報については、法令に基づき、その安全管理、従業者の監督及び当該情報の取扱いを委託する場合にはその委託先の監督について、当該情報の漏えい、滅失又はき損の防止を図るために必要かつ適切な措置を講じているか。

⑤ 理事会等は、思想等に係る個人情報については、取得又は保有に当たって、適正な取扱いの確保に特段の配慮を加える措置を講じているか。

(3) 理事会等への報告・承認

① 理事会等は、利用者情報統括管理責任者が、利用者情報管理に関する情報のうち、経営に重大な影響を与える、又は利用者の利益が著しく阻害される一切の事項について、理事会等に対し速やかに報告する態勢を構築しているか。

② 理事会等は、利用者情報統括管理責任者が、利用者情報管理に係る状況について定期的に理事会等に報告する態勢を構築しているか。

③ 理事会等への報告・付議基準において、報告事項と承認事項が適切に設定されているか。

2.利用者情報統括管理責任者及び利用者情報管理者の役割等

(1) 利用者情報統括管理責任者は、利用者情報管理者を通じて事務全般に関し、関係部門、事業拠点等に対し、利用者情報の適切な取扱いが確保されるようけん制機能を発揮する態勢となっているか。

(2) 利用者情報統括管理責任者は、利用者情報管理事務を適時・適切に実施できるよう、関係部門、事業拠点等に対して、指導・監督を行う等適切に管理しているか。

(3) 利用者情報統括管理責任者は、利用者情報管理の方法等に関し、利用者情報の範囲及びその管理の方法、確認すべき項目、手続及び判断基準等を明確に定めた規程を整備しているか。また、規程は、リーガルチェック等を受け、理事会等の承認を受けているか。

(4) 上記の規程について、定期的に研修を実施するなど職員等に対し周知徹底を図っているか。

(5) 利用者情報統括管理責任者は、利用者情報管理者を通じて管理の対象となる帳票や電子媒体等について、収納する場所、廃棄方法など、内部において適切に管理するための方法を明確に定めているか。また、管理の対象となる帳票や電子媒体等について定めているか。

(6) 利用者情報統括管理責任者は、利用者情報を外部に持ち出す場合について、必要なものに限ることや常時携行することなど利用者情報の漏えいを防止するための取扱方法を明確に定めているか。

(7) 利用者情報統括管理責任者は、漏えい事故が発生した場合について、利用者情報統括管理責任者や利用者情報管理者及び行政庁への報告、必要に応じた情報のアクセス制限や利用者への説明など情報漏えいによる二次被害を防止するための方策などの対応方法を明確に定めているか。

(8) 利用者情報総括管理責任者は、利用者情報を第三者との間で授受する場合について、法令に基づいた適切な取扱方法を明確に定めているか。

3.システム対応

利用者情報統括管理責任者は、以下のような対応をシステム担当者を通じて、行っているか。

① 利用者情報のプリントアウトやダウンロードについて、適切な方法により、利用目的に応じたデータの内容・量の制限を行っているか。

② 利用者情報へのアクセスについて、職制や資格に応じて必要な範囲内に制限しているか。

③ パソコンやホストコンピュータ等に保存された利用者情報データベースへのアクセスについて、パスワードの設定や認証システムの構築などのセキュリティーが施されているか。

④ パソコンやホストコンピュータ等に保存された利用者情報のデータが暗号化されるなどして保護されているか。

4.事後対応の管理状況

(1) 利用者情報の漏えいが発生した場合、利用者情報管理者は、利用者情報統括管理責任者に対して直ちに報告する態勢となっているか。

(2) 利用者情報の漏えいが発生した場合、利用者情報統括管理責任者は、速やかにコンプライアンス統括部門及び理事会等に報告しているか。

(3) 利用者情報の漏えいが発生した場合、利用者情報統括管理責任者は、行政庁への報告、必要に応じた情報のアクセス制限や利用者への説明など情報漏えいによる二次被害を防止するための方策などを行っているか。また、利用者情報の漏えいが発生した原因を分析し、再発防止に向けた対策を講じているか。

5.代理店・外部委託先

(1) 理事会等は、利用者情報について、委託契約等に基づき当該委託先が取扱う利用者情報の性質及び量等に応じた取扱ルール及び責任を明確に定めているか。

(2) 理事会等は、代理店及び外部委託先の管理について責任部署を明確にし、当該責任部署に利用者情報管理者を置いているか。

(3) 理事会等は、外部委託先の利用者情報管理が定期的に点検される態勢を構築しているか。

(4) 理事会等は、利用者情報保護のための施策が委託先に適切に伝達され、また、委託先の事故等が責任部署に対して迅速かつ正確に報告される態勢を構築しているか。

(5) 理事会等は、利用者情報保護に関する事務取扱等について、研修や通知文書の発出などにより周知徹底される態勢を構築しているか。

(6) 理事会等は、代理店・外部委託先を契約解除する場合の利用者情報の取扱ルールを整備しているか。

(7) 利用者情報統括管理責任者又は利用者情報管理者は、代理店及び外部委託先が利用者情報を適切に管理し、事故発生時においても適切に所定の対応を行っているかについて把握しているか。

(8) 利用者情報統括管理責任者は、必要に応じ、システム担当者を通じて、システム上必要な保護措置を講じているか。

【財務の健全性・共済計理に関する管理態勢の確認検査用チェックリスト】

(1) 責任準備金、支払備金及び契約者割戻準備金(以下「責任準備金等」という。)は、共済事業実施組合が共済契約者等へ支払う共済金等の原資となるものであり、共済事業実施組合が共済契約上の責務を確実に履行するためには適切な積立てが重要である。また、責任準備金等の積立てが適切に行われることは、正確な財務諸表を作成する前提となる。

共済事業実施組合においては、責任準備金等の積立額の適切性については、その事業規模等に応じ、会計監査人又は共済計理人若しくは監事が検証することとされている。

したがって、検査官は責任準備金等の積立ての適切性等に関する検査において、共済事業実施組合における検証状況を勘案し、本チェックリストにより、責任準備金等の積立ての適切性の状況及び当該適切性を確保するための管理態勢等の検証、いわゆるプロセス・チェックを十分に行い、さらに実際の積立額について、抽出調査の手法及び積立額の推移等からの検討によりその適切性の検証を行うこととする。

(2) 共済事業実施組合は、共済契約者等の信認を確保するため、資本の充実や内部留保の確保を図り、リスクに応じた十分な財務基盤を保有することが極めて重要である。財務内容の改善が必要とされる共済事業実施組合にあっては、自己責任原則に基づき主体的に改善を図ることが求められている。

行政庁としても、それを補完する役割を果たすものとして、共済事業実施組合の経営の健全性を確保するため、共済金等の支払能力の充実の状況を示す比率(以下「支払余力比率」という。)という客観的な基準を用い、必要な是正措置命令を迅速かつ適切に発動していくことで、共済事業実施組合の経営の早期改善を促していく必要がある。そのため、支払余力比率について、生協法施行規則及び生協法告示に定めるところにより支払余力及び各リスクに係る部分の算定が正確に行われているかを検証するとともに、資本の充実や内部留保の確保により、リスクに応じた十分な財務基盤となっているか検証する必要がある。

(3) 共済事業実施組合は、将来の不利益が財務の健全性に与える影響を把握し、必要に応じて、追加的に経営上又は財務上の対応をとっていく必要がある。そのため、将来収支分析等のほか、財務内容や保有するリスクに応じたストレス・テスト(想定される将来の不利益が生じた場合の影響に関する分析)を自主的に実施することが求められる。

これらの経営分析の活用及び経営への反映は、共済契約者等保護の基本である共済金等の確実な支払のために欠かせないものとなっている。

(4) 以上のことを踏まえ、検査官は、「内部管理態勢の確認検査用チェックリスト」、「法令等遵守態勢の確認検査用チェックリスト」及び本チェックリストにより、財務の健全性・共済計理に関する管理態勢の検査を行うものとする。なお、本チェックリストにより具体的事例を検証する際には、生協法等の関係法令及び生協共済監督指針等の規定とその趣旨を踏まえる必要があることに留意する。

Ⅰ.責任準備金等の積立ての適切性等

1.責任準備金等の積立管理態勢の整備・確立状況

(1) 責任準備金等の積立方針の明確化

理事は、責任準備金等の適切な積立てが共済事業実施組合の財務の健全性確保ひいては共済契約者等保護の観点から重要であることを十分認識し、理事会において、法令等(本チェックリストでは、共済事業規約を含む。)に則り、積立方法及び積立水準等に関する基本的な方針を明確に定めているか。当該方針には各共済仕組みの積立方法、積立水準の変更に係る理事会等への報告を含んでいるか。また、積立方針を変更する場合、変更内容が法令等に則っていることを確認しているか。

(2) 積立内容の確認

① 理事会は、責任準備金等の実際の積立てが法令等及び積立方針に則っていることを確認しているか。

② 理事会は、責任準備金の評価方法が経営実態との関係で適切か否かを確認するため、将来収支分析(生協法施行規則第194条第1号に基づく共済事業実施組合の共済計理人の確認業務。以下「1号収支分析」という。)について、そのシナリオ等が適切であることを検証しているか。

(3) 共済計理人意見の検討

① 理事会は、共済計理人から提出を受けた生協法施行規則第196条に定める意見書、附属報告書及びその他の参考資料(以下「意見書等」という。)について、意見等の根拠が妥当であるか等の内容を検討しているか。

② 理事会は、意見書等に責任準備金の積立てが適正に行われていない旨の記載がある場合、当該意見に従い是正しているか。

③ 理事会は、共済計理人が経営政策の変更により責任準備金不足相当額の一部又は全部を積立てなくてもよいことを意見書において示し、理事会が当該意見を根拠に追加積み立てを行わないこととした場合、当該経営政策の変更が実現できるよう、実際に措置を講じているか。

(4) 担当部門の態勢整備

① 理事会は、積立方針に従った適切な積立てを行うため、各担当部門及びその責任を明確にする等態勢を整備しているか。

② 責任準備金等の積立額の算出について、取りまとめ担当部門は責任準備金等の積立てに関連する部門を管理する権限を有しているか。

(5) 担当部門等への人材の配置

理事会等は、計算担当部門はもとより、取りまとめ担当部門及び内部監査部門に共済の数理に精通した人材を配置しているか。

(6) 監事の役割

① 積立額の監査

監事は、責任準備金等の積立てについて、決算関係書類や附属明細書、会計監査人の監査報告書等、共済計理人の意見書等を踏まえ、適切に監査を行っているか。

② 積立方針の変更

責任準備金等の積立方針が変更された場合、監事は理事会の判断根拠について監査しているか。

(7) 内部監査・外部監査及び問題点の是正

① 内部監査部門は、責任準備金等の取りまとめ担当部門、計算担当部門、システム部門及び損害調査部門等の関連部門を適切に監査しているか。特に、責任準備金等の積立額算出に係るシステムの変更時、あるいは積立方針の変更時におけるプロセス・チェックや各部門間の相互けん制機能の発揮状況のチェックを十分に行っているか。

② 外部監査を実施している共済事業実施組合においては、責任準備金等の積立てについても、適切に会計監査人の監査を受けているか。1号収支分析について、共済計理人は意見書の写し及び附属報告書の写しを会計監査人に提出しているか。また、共済計理人は監事及び会計監査人と協力し、双方の職務の遂行のために必要な情報の交換に努めているか。

2.共済計理人の役割

(1) 共済計理人は、責任準備金が健全な共済の数理に基づいて積み立てられているかについて、法令等に則り適切に確認しているか。

(2) 共済計理人は、支払備金の算出について法令等に則り適切に関与しているか。

(3) 共済計理人は、責任準備金が健全な共済の数理に基づいて積み立てられていることを確認するため、法令等に則り1号収支分析を行っているか。特に、新契約伸展率や事業費、資産運用状況等について過去の実績や妥当な将来見込みに基づいているか。

(4) 共済計理人は、共済掛金及び責任準備金の算出方法その他の共済の数理に関する事項に関与しているか。

(5) 共済計理人は、理事会へ意見書を提出しているか。意見書には法令等に定められた事項を記載しているか。

3.責任準備金等の積立担当部門の役割

(1) 作業手順等及びスケジュールの管理

① 取りまとめ担当部門は、責任準備金等の積立額算出に係る作業手順等を明確に定め、関連部門に周知しているか。また、作業手順に基づき適切にスケジュールを管理しているか。

② 取りまとめ担当部門は、1号収支分析について、用いるべきシナリオ作りに必要となる適切な情報を提供しているか。

(2) 計算結果の検証

① 取りまとめ担当部門は、責任準備金等の積立額を積立方針及び法令等に則って算出していること及び計算結果が正当であることについて検証しているか。その際に、過去からの残高推移等及びサンプリングによる検証を行っているか。

② 取りまとめ担当部門が計算事務の一部を行う(計算部門を兼ねる。)場合、部門内において計算事務を行う担当者とそれ以外の担当者を明確に分けるなど相互けん制機能を確保しているか。

4.責任準備金等

(1) 責任準備金

① 責任準備金の積立て

決算期における有効中の共済契約を適正に認識した上で、生協法施行規則第179条に掲げる共済掛金積立金、未経過共済掛金及び異常危険準備金に区分し、共済事業規約、生協法施行規則、生協法告示に従って計算・積立てを行っているか。

② 共済掛金積立金・未経過共済掛金

イ.責任準備金の積立方式がチルメル方式の場合、チルメル歩合及びチルメル期間は妥当なものであり、その水準は解約返戻金相当額を上回っているか。

ロ.責任準備金の積立方式がチルメル方式の場合には、平準純共済掛金式の責任準備金の積立てに向けて計画的な積増しを行うこととしているか。

ハ.責任準備金の各計算項目について、適切に集計しているか。前年度に比べ大きく変動しているものについて、その理由を確認しているか。

③ 異常危険準備金

イ.異常危険準備金の積立てに際し、生協法施行規則第179条第4項に基づき、生協法施行規則第166条の3第1号に掲げる共済リスクに備える異常危険準備金(異常危険準備金Ⅰ)、第166条の3第1号の2に掲げる第三分野共済の共済契約に係る共済リスクに備える異常危険準備金(異常危険準備金Ⅲ)及び予定利率リスクに備える異常危険準備金(異常危険準備金Ⅱ)に区分して管理しているか。

ロ.異常危険準備金Ⅰ、異常危険準備金Ⅲ及び異常危険準備金Ⅱの積立てについて、生協法告示第6条に基づき各々算出される積立基準額以上となっているか。また、同告示に定める積立限度額を上回るものとなっていないか。

ハ.異常危険準備金の取崩しを行っている場合、生協法告示第8条の取崩基準に基づいたものとなっているか。

ニ.生協法告示第6条、第7条に規定された普通死亡リスク、災害死亡リスク、生存保障リスク、災害入院リスク、疾病入院リスク以外のリスク(例えば3大疾病等)について、同告示に基づき共済事業規約に定める方法により、異常危険準備金を適正に積み立てているか。

ホ.異常危険準備金の積立て及び取崩しに関して、厚生労働大臣の定める基準によらない場合、生協法施行規則第254条第1項第21号により届けているか。

④ 自賠責共済に係る責任準備金

自動車損害賠償保障法第28条の3第1項に規定する準備金の積み立て等に関する命令(平成9年大蔵省、厚生省、農林水産省、通商産業省、運輸省令第1号)で定める準備金(義務積立金、調整準備金、付加率積立金、運用益積立金をいう。)について、共済事業規約に記載された方法に従って計算した額をそれぞれ適正に積み立てているか。

(2) 支払備金

① 普通支払備金

イ.生協法施行規則第184条第1項第1号に基づき、支払事由発生の報告を受けて支払義務が発生しているものの支出として計上していない共済金等(以下「普通支払備金」という。)を適正に積み立てているか。積立てに当たっては、共済契約者等からの共済事故に関する情報を適切に管理し、支払見込額の推計を合理的に行っているか。

ロ.普通支払備金の積立額の算出基準については、共済金支払基準に照らし適切に定めているか。また、当該算出基準を変更している場合、その理由・要件は合理的なものとなっているか。

ハ.計算部門においては、支払額確定までの間、自組合で把握している支払事由発生状況を洗い替え作業に的確に反映させているか。

② 既発生未報告支払備金(支払事由発生の報告を受けていないが支払義務が既に発生したと認める共済金等。以下「IBNR備金」という。」)

イ.生協法施行規則第184条第1項第2号に基づき、共済種類の区分に応じた金額を生協法告示第9条に則って適正に積み立てているか。

ロ.生協法告示第9条によらず、生協法施行規則第184条第2項に則っている場合は、共済事業規約に規定する方法により計算した金額をIBNR備金として積み立てているか。

(3) 契約者割戻準備金

契約者割戻準備金を生協法施行規則第189条第2項に基づいて負債の部に積み立てているか。

5.再共済・再保険

(1) 再共済・再保険に付した共済契約

取りまとめ担当部門は、再共済・再保険に付したために責任準備金等を積み立てていない場合について、出再先が生協法施行規則第180条に定める要件に該当しているか確認しているか。なお、生協法施行規則第180条第4号の適用に当たっては、財務の状況等を的確に把握しているか。

(注) 再共済・再保険に付した契約であっても、当然に共済契約上の支払責任は共済事業実施組合にあることから、共済事業実施組合の責任準備金や支払備金の積立ては、将来の債務の履行に支障を来さないことが求められる。このため、再共済・再保険に付した部分を積み立てないことができるのは、出再先が生協法施行規則第180条に定める要件に該当する者である場合に限られている趣旨を理解して、上記の事項について確認を行う必要がある。

(2) 再共済により引き受けた共済契約

取りまとめ担当部門は、他の共済事業実施組合から再共済を引き受けた場合、再共済の引受リスクについては、契約内容やその実態が複雑であるなど通常の共済引受リスクと同様の取扱いが必ずしも妥当でない場合があることも踏まえて、当該再共済に係るリスクを把握することにより適切に責任準備金又は支払備金を積み立てることを確認しているか。

6.将来収支分析等

(1) 将来収支分析(1号収支分析)

① 取りまとめ担当部門又は計算担当部門は、共済事業実施組合の経営実態との関係において責任準備金の評価方法が適切かどうかを検証する共済計理人の確認業務に対し、適切な情報提供を行っているか。

② 取りまとめ担当部門は、共済計理人が行う1号収支分析について、消費生活協同組合における共済計理人の確認の基準(平成21年10月15日厚生労働省告示第445号。以下「共済計理人確認基準告示」という。)に定める所定のシナリオを用いていることや、合理的な商品区分ごとに行っていることを認識しているか。

(2) 責任準備金不足相当額への対応

1号収支分析における共済計理人の確認の結果、責任準備金不足相当額が発生すると見込まれる場合又は「将来の債務の履行に支障を来すおそれがあると認められる」(生協法施行規則第179条第3項)場合には、以下の方法等により適切に対応しているか。

① 1号収支分析により、責任準備金不足相当額が発生すると見込まれる場合であって、経営政策の変更により当該責任準備金不足相当額の一部又は全部を積み立てなくともよい旨記載されている場合、当該経営方針の変更が直ちに行われるものであるかどうかの根拠(計画等)を具体的に示しているか。

② 1号収支分析により、責任準備金不足相当額が発生すると見込まれる場合であって、経営方針の変更によっても当該責任準備金不足額が解消できず、生協法施行規則第179条第3項の規定に基づき追加して責任準備金を積み立てる必要がある場合には、共済事業実施組合の経営実態を踏まえた合理的な責任準備金の積立計画を策定し、共済事業規約を変更することにより責任準備金を直ちに追加して積み立てるなど適切な措置を講じているか。

7.システムの管理

(1) 積立額算出のためのシステムを開発・変更する場合について、責任分担及び作業手順は明確かつ具体的となっているか。取りまとめ担当部門の承認を必要としているか。

(2) 取りまとめ担当部門又は計算担当部門は、開発・変更の内容をチェックし、システム・ロジックと共済事業規約に定める計算方式との突合・検証を行っているか。

(3) システム担当部門の責任者は、権限のない者がシステムの開発・変更をできないような体制を構築しているか。

Ⅱ.支払余力比率の適正性

1.支払余力比率算定の態勢の整備・確立状況

理事会は、財務の健全性を確保するため、適正な支払余力比率の算定が重要であることを認識し、適正に算定される態勢を整備しているか。

2.支払余力の算定の適正性

(1) 財務諸表項目

① 「繰延税金資産」は、「繰延税金資産の回収可能性の判断に関する監査上の取扱い」(日本公認会計士協会(監査委員会)報告第66号)に基づき適正な取扱いを行っているか。

また、生協法告示第4条の3第3項第3号に規定する税効果相当額は同告示等の趣旨を踏まえ適正に計上されているか。

② 退職給付引当金は、「退職給付に係る会計基準」(企業会計審議会)及び「退職給付会計に関する実務指針」(日本公認会計士協会)に基づき、適正な取扱いを行っているか。

③ 不動産を一旦売却し、時価が下落している状況で、売却価格と同額あるいは同額程度で買い戻した結果、多額の含み損を抱えているにもかかわらず、当該買戻価格を評価額としていないか。

(2) 負債性資本

① 劣後ローンによる借入れ等を行っている場合は、当該劣後ローンによる借入れ等が共済金等の支払能力の充実に資するものとして適格であるか。

② 劣後ローンによる借入れ等を行っている場合でステップ・アップ金利等を上乗せする特約を付している場合は、当該ステップ・アップ金利等が過大なものとなっていないか。

3.通常の予測を超える危険に相当する額の算定の適正性

(1) 信用リスク相当額

① 本来リスク管理債権として計上すべき債権について、意図的にリスク管理債権から除外し、支払余力比率算定上の信用リスクを削減していないか。

② 決算期を跨いで又は決算期末日に保有債権に保証等を付している場合は、保証等の残存期間が1年未満であるにもかかわらず支払余力比率算定上の信用リスクを削減していないか。ただし、当該保証等につき正当な理由があり、かつ、継続して信用リスクの削減が期待できる場合を除く。

(2) デリバティブ取引リスク相当額

リスク係数がマイナスのデリバティブ取引(例:外国通貨や株式に係るプットオプションの買い)について、以下のような取引が生協法告示第4条の5第6項第1号及び第2号に規定されている「意図的に取引を行っていると認められる場合」に該当するか検証し、該当する場合は適正に控除されているか。

① 年度末時点におけるデリバティブ取引残高が、当該年度の各月末時点での取引残高の平均値を大きく上回っている場合

② 年度末時点での現物資産の保有残高に対するデリバティブ取引残高の割合が当該年度の各月末時点での当該割合の平均値を大きく上回っている場合

(3) その他

① 資産の流動化が行われた場合には、法形式上の譲渡に該当する場合であっても、リスクの移転が譲受者に完全に行われている等、実質的な譲渡が行われているか。

② その他、健全性の基準の趣旨に反するマージンの嵩上げ、リスクの削減が行われていないか。

4.検査結果の反映

責任準備金等に関する検査の結果、責任準備金等の積立額の水準が不十分と認められる場合には、それらを適切な方法で追加的に処理した場合の支払余力比率を計算する。その場合には、各段階において、検査責任者と被検査組合との認識を一致させるものとする。

(1) 責任準備金等の積立額の水準の検討及び追加的に必要な責任準備金等及び支払備金の算定

責任準備金等の積立額の水準の検討に当たっては、本チェックリスト(Ⅰ.責任準備金等の積立ての適切性等)により検証を行った結果、責任準備金等の算定が不適切であることから責任準備金等の積立額が増加することが見込まれる場合は不十分であると判断するものとし、適切な責任準備金等の算定を行った場合の責任準備金等の積立額を算定の上、追加的に必要な責任準備金等を算定することとする。

5.支払余力比率の低下に対する対応策の把握

支払余力比率が低下している場合には、組合がどのような対応策を検討しているのかを的確に把握するものとする。具体的には、今後の収益見通し、資産の売却、資本増強計画及び各種リスク削減対応策等について、被検査組合の今後の対応策を的確に把握するものとする。

次に、当該対応策の妥当性を検証し、妥当な対応策に基づき支払余力比率の計算を行った結果として、翌決算期以降において支払余力比率がどの程度となるかを確認し、検査責任者と被検査組合との認識を一致させるものとする。

さらに、当該決算期及び翌決算期における支払余力比率の水準が施行規則第248条の2及び同第248条の3に定める早期是正措置の発動基準に該当する可能性があるかを検証する。

Ⅲ.経営分析・契約者割戻し

1.ストレス・テストの実施

(1) ストレス・テストの実施態勢

① 理事会等は、ストレス・テストの実施に関する基本方針を策定した上、共済事業実施組合全体でストレス・テストが的確に設計され、実施されていることを確認する態勢を整備しているか。また、ストレス・テストを実施する部門等は、その実施方法、頻度、報告等の規程について、理事会等の承認を受けた上で整備しているか。

② ストレス・テストは、保有するリスクに応じて、定期的に実施することが望ましい。

(2) 適切なストレス・テストの実施

① ストレス・テストを実施するに当たって、必要となる専門知識と技術を要する者が関与しているか。

② 実施されるストレス・テストは、その設定内容の根拠が明確かつ適切なものとなっているか。また、自組合のリスク管理体制上、一般的に用いられる最悪シナリオを反映したものとなっているか。

③ ストレス・テストに使用されるモデルの信頼性については、定期的に検証され、必要に応じて適切に見直しを行っているか。

(3) ストレス・テストの結果の反映等

① ストレス・テストの結果を共済事業実施組合のリスク管理態勢に十分反映する体制となっているか。

② ストレス・テストの概要とその結果について、理事会等に対して報告しているか。

2.将来収支分析(3号収支分析)

(1) 理事会等は、共済事業実施組合の経営においては将来の財務状況を的確に見通すことが重要であり、問題点があるときには早期の対応が必要であることを十分に認識しているか。特に、共済事業の継続が困難であるかどうかについて共済計理人に事業継続基準の確認業務(生協法第50条の12第1項第3号の規定に基づく確認業務をいう。以下、「3号収支分析」という。)を課している趣旨を理解して、この業務への協力及び対応を的確に行う態勢を整備しているか。また、3号収支分析の結果に対し、適切な対応を行っているか。

(2) 共済計理人は、共済計理人確認基準告示に則って、3号収支分析による事業継続基準の確認を、少なくとも将来10年間について行っているか。また、分析期間中の最初の5年間の事業年度末において、「将来の時点における資産の額として合理的な予測に基づき算出される額」が「将来の時点における負債の額として合理的な予測に基づき算定される額」を上回ることを確認しているか。

(3) 共済計理人確認基準告示第11条第2項に定めるシナリオ(以下「3号任意シナリオ」という。)を使用する場合、合理的で客観性のあるシナリオとなっているか。例えば、

① 3号任意シナリオ各要素の将来への推移は、現在の組合の経営実態を踏まえ、合理的なものとなっているか。

② 3号任意シナリオの各要素間(例えば、新契約高と事業費、債券価格と金利の変動、保有契約の成熟度と共済事故発生率等)は、整合性の取れたものとなっているか。

③ 附属報告書には、3号任意シナリオが正当であることを示しているか。

④ 以前に策定した3号任意シナリオについて、その後に実現した実際の結果との比較を行い、差異がある場合はその原因を確認しているか。

(4) 3号収支分析に用いたシナリオは、共済計理人確認基準告示に則ったものとなっているか。

(5) 3号収支分析により、将来の時点における資産が将来の時点における負債に満たない額(以下、「事業継続基準不足相当額」という。)が発生すると見込まれる場合であって、経営政策の変更により事業継続基準不足相当額を解消することができる旨意見書に記載されている場合、その経営政策の変更には根拠(計画等)が示されており、かつ、実現可能性が高いものとなっているか。

また、翌年度以降の意見書において、その経営政策の変更が実現されている旨示されているか。実現されなかった場合、その原因及び今後の対応策が示されているか。

(6) 3号収支分析の結果が、過去の分析の結果と著しく相違する場合は、その原因を附属報告書に記載しているか。

3.利源分析

(1) 共済事業実施組合が採用している利源分析の方式は、共済事業実施組合の業容(規模、成長性、推進チャネル等)や仕組み構成との関係から、妥当なものとなっているか。

(注) 共済掛金の計算においては、いくつかの前提(計算基礎率)が用いられており、共済事業実施組合の利益の大半は、この前提と実際の経営における実績が異なることにより生じる。したがって、経営の実態を把握して当期及び将来の利益を見通すには、計算基礎率その他に対応する部分に分けて分析し、把握することが重要である。

(2) 理事会等は、利源分析の結果について報告を受け、毎年の契約者割戻しをはじめ仕組開発、経費削減及び推進計画等の経営全般における意思決定の参考とし、活用しているか。

(3) 利源分析を用いて経営実態を把握するに当たっては、以下の点に留意する必要がある。

① 危険差損益は共済事業実施組合の利益の基本部分であり、通常は安定的な推移を示すことから、危険差損益に関して以下のような状況が見られる場合には、他の利源からの収支の付替え等を行い、見かけ上の危険差益を計上していないか。

イ.危険差損益が大きく変動している場合(大事故の発生等、変動の要因が明らかな場合を除く。)

ロ.予定事業費の計算値が、共済種類ごとの共済掛金収入の増減と比べて不自然な動きを示している場合(費差損益でも同様)

ハ.責任準備金の増減が、保有契約の内容と比べて不自然な動きを示している場合

② 利差損益は、金融市場等の外部環境から大きな影響を受ける資産運用の成果を表すものであり、利差損益に関して以下のような状況が見られる場合には、他の利源からの収支の付替え等を行い、見かけ上の利差益を計上していないか。

イ.利差損益が大きく変動している場合

ロ.予定利息の計算値が、予定利率別の責任準備金の増減と比べて不自然な動きを示している場合

(注) 利差損益に関しては、これまでの逆ざや問題の発生の経緯等を勘案すれば、運用収益成果の利回りによる一面的な追求が、必ずしも本当の資産運用効率の向上に資する訳ではないことに注意が必要である。

③ 費差損益は共済事業実施組合の経営の効率性を表す側面があることから、費差損益に関して以下のような状況が見られる場合には、他の利源からの収支の付替え等を行い、見かけ上の費差益を計上していないか。

イ.費差損益が大きく変動している場合

ロ.予定事業費の計算値が、共済種類ごとの共済掛金収入の増減と比べて不自然な動きを示している場合

ハ.事業推進費の負担が大きい時期であるにも関わらず、費差益の水準が高い場合

(4) 分析の結果、必要となる共済計理(例えば、異常危険準備金の繰入れや取崩し)は、適切に実行されているか。

4.契約者割戻し

(1) 理事会は、法令、共済事業規約、内部規程、共済計理人の意見書を踏まえて、共済契約者間の公正・衡平を考慮した契約者割戻しを決定しているか。

(2) 契約者割戻しの必要財源は正確に計算されており、その財源は法令の制限に関して問題がないか。契約者割戻しの必要財源を捻出するために経理操作を行っていないか。

(3) 共済計理人は契約者割戻しに関する確認業務を法令等に則り適切に行っているか。

【仕組開発管理態勢の確認検査用チェックリスト】

(1) 共済事業実施組合が共済商品の仕組開発を行うに当たっては、生協法等の法令等を踏まえ、自己責任原則に基づき、リスク面、財務面、募集面、法制面等あらゆる観点から検討する管理態勢の整備が求められているところである。

(2) 検査官は、「内部管理態勢の確認検査用チェックリスト」、「法令等遵守態勢の確認検査用チェックリスト」、「共済引受リスク管理態勢の確認検査用チェックリスト」及び本チェックリストにより、仕組開発管理態勢の検査を行うものとする。なお、本チェックリストにより具体的事例を検証する際には、生協法等の関係法令及び生協共済監督指針等の規定とその趣旨を踏まえる必要があることに留意する。

Ⅰ.仕組開発管理態勢

1.仕組開発管理態勢の整備・確立状況

(1) 仕組開発方針の明確化

理事は、仕組開発に係る管理態勢が共済契約者等の保護の観点から重要であること、かつ健全性維持や適切な業務運営の確保に重大な影響を与えることを十分認識し、理事会において、共済事業実施組合の経営計画・経営方針に沿った仕組開発方針を明確に定めているか。また、仕組開発方針には、新仕組みの開発・推進のほか、既存仕組みの改廃に関する事項を含んでいるか。

(2) 仕組開発に係る管理のための組織の整備等

① 理事会は、仕組開発に係る管理について統合的に管理できる体制を整備しているか。例えば、仕組開発に関連する部門の間で相互けん制等の機能が十分発揮されるものとなっているか。また、体制については、必要に応じ随時見直し、仕組開発方針や管理手法の変更にあわせて改善を図っているか。

② 理事会等は、仕組開発に係る経営に重大な影響を与える情報等について、仕組開発に関連する部門から報告を受ける体制となっているか。また、報告を受けた事象への対処を適切に指示しているか。

③ 理事会等は、経営に重大な影響を与える新仕組み開発及び既存仕組みの改廃に際し、承認することとしているか。

(3) 共済引受リスク管理方針の確認

理事会等は、新仕組みの開発・推進及び既存仕組みの改廃が、他業態との競合等事業推進の観点のみではなく、リスク管理の観点からも問題ないことを共済引受リスクに係る管理方針等に照らし確認しているか。

(4) 共済計理人からの意見聴取等

① 理事会等は、新仕組みの開発・推進及び既存仕組みの改廃等の共済数理に関する事項について、必要に応じ共済計理人から意見を聴取しているか。また、当該意見に沿わない場合、合理的な理由によっているか。

② 共済計理人は、関連する部門と連絡を密にした上で、必要な場合には理事会等に対して問題点等を的確に報告しているか。

(5) 仕組開発関連管理者の役割

① 仕組開発に責任を有する理事等及び仕組開発に関連する部門の長(以下「仕組開発関連管理者」という。)は、健全性維持や適切な業務運営が確保されるよう、仕組開発のための規程を理事会等の承認を受けて、整備しているか。また、仕組開発に係る規程は必要に応じて見直し、充実・改善を図るための適切な方策を講じているか。

② 仕組開発関連管理者は、自ら及び各部門の担当者が、仕組開発に係る適切な管理を阻害することとならないよう、管理についての理解・認識の徹底を図っているか。

③ 仕組開発に際し、とりまとめ部門を設置している場合においては、適切な仕組開発態勢を構築するために必要な管理・指導を関連する部門に対して行っているか。また、とりまとめ部門を設置していない場合においては、仕組開発の全般について理事等が管理の状況を統合的に管理しているか。

2.仕組開発に関連する部門の役割

(1) 仕組開発手続の適切性

① 仕組開発に関連する部門は、仕組開発案件の洗い出しを、仕組開発方針に沿って適切なプロセスにより行っているか。例えば利用者ニーズ・事業推進面からの開発要請、共済引受リスク・収益改善等からの要請、コンプライアンス上の必要性、適切な共済金等支払態勢の確保等の観点から検討を行っているか。

② 仕組開発に関連する部門は、仕組内容の決定に当たり、収支予測、共済引受リスク、コンプライアンス、推進計画、システム開発、共済仕組特有のモラルリスク等の課題について検討を行っているか。

③ 仕組開発に関連する部門は、契約量拡大や収益追求を重視する事業推進部門から不当な影響を受けることなく、仕組みのリスク、推進上の留意点等の仕組みの課題に対する検討を行っているか。

④ 仕組開発に関連する部門は、仕組内容について、既存の各種規約等との整合性がとれているか、使用データに誤りはないか等の確認を行っているか。

⑤ 仕組開発に関連する部門は、組合内態勢の整備に当たっては、募集時のみならず、共済金支払に至るまで、利用者に対し適切な対応が図られるよう検討を行っているか。

⑥ 仕組開発に関連する部門は、約款等又はご契約のしおりの作成においては、専門用語を安易に使用することが約款等又はご契約のしおりの理解を困難にすることに留意して、共済契約者等の視点に立った分かり易い内容となるよう努めているか。

⑦ 仕組開発に関連する部門は、推進する仕組みに係る業務規程の整備、推進資料の作成・確認、契約データ管理、必要なシステム対応等の整備を適切に行っているか。

⑧ 新たな仕組みの開発に際しては、共済約款等の内容・表現が適切なものとなるよう、リーガルチェック等を受けているか。

(2) 理事会等への報告

① 仕組開発に関連する部門は、仕組みのリスクや推進上の留意点等の仕組みの課題に関する検討内容等について、理事会等又はとりまとめ部門等に対し、必要に応じ直接、報告を行っているか。

② 仕組開発に関連する部門は、仕組開発・改廃に係わる経営に重大な影響を与える情報について、理事会等又はとりまとめ部門等に対し、正確に報告しているか。

Ⅱ.仕組推進開始後のフォローアップ

1.フォローアップの実施

仕組開発に関連する部門は、共済仕組みの推進実績・事故発生率等が開発時に想定した水準とどの程度相違しているか確認・分析し、フォローアップ等を実施するに当たって、以下の点に留意しているか。

① リスク管理を適切に行うために、仕組開発プロセスの中にフォローアップを組み込んでいるか。

② 推進後のフォローアップについて、その視点、担当部署、時期、手法、結果の活用方法を明確に定めて、実施しているか。

③ 共済種類別などの適切な単位ごとに収支分析や共済掛金及び責任準備金の計算基礎率の妥当性の検証を行っているか。

④ 想定外の収支の変化やリスクの増減に備えて、定期的にモニタリングを行い、推進方針や仕組内容の変更等の対応を適時に検討するための基準を設定しているか。

⑤ 仕組内容が社会経済における保障ニーズに合致しているか、苦情やモラルリスク等を惹起していないかなどについて、定期的にモニタリングを行っているか。

2.フォローアップ結果の活用

仕組開発に関連する部門は、フォローアップ結果を活用するに当たって、以下の点に留意しているか。

① 仕組みの推進開始後のフォローアップ結果は理事会等に対して直接、必要に応じ随時報告されているか。報告の内容は正確なものとなっているか。

② 仕組みに対する組合員、受託共済事業実施組合等からの意見収集などによるフォローアップの結果を、今後の仕組開発に反映させるための体制を整備しているか。

③ フォローアップ結果等を踏まえ必要に応じて共済掛金及び仕組内容の見直しを行っているか。

【共済引受リスク管理態勢の確認検査用チェックリスト】

(1) 「共済引受リスク」とは、経済情勢や共済事故の発生率等が共済掛金設定時の予測に反して変動することにより、共済事業実施組合が損失を被るリスクをいう。

(2) 検査官は、「内部管理態勢の確認検査用チェックリスト」、「法令等遵守態勢の確認検査用チェックリスト」、「仕組開発管理態勢の確認検査用チェックリスト」及び本チェックリストにより、共済引受リスク管理態勢の検査を行うものとする。なお、本チェックリストにより具体的事例を検証する際には、生協法等の関係法令及び生協共済監督指針等の規定とその趣旨を踏まえる必要があることに留意する。

Ⅰ.共済引受リスク管理態勢

1.共済引受リスク管理態勢の整備・確立状況

(1) 共済引受リスク管理方針の明確化

理事は、共済の引受が長期にわたって共済事業実施組合の経営に重大な影響を与えることを十分認識し、理事会において、共済引受リスクに係る管理方針を明確化しているか。

(2) リスク管理方針の具体的内容

リスク管理方針には、下記の事項を含んでいるか。

イ.責任準備金等、自己資本又は剰余の状況等に基づく共済種類ごとの保有共済契約額限度設定(ポートフォリオの管理)、責任準備金等の追加積立て等によるリスク管理手法

ロ.各共済仕組みの改廃、引受基準の設定、共済仕組みの推進方針変更等によるリスク・コントロール手法及びこれらの措置の発動基準

ハ.理事会等への報告・承認申請等基準

ニ.リスクに応じ合理的かつ妥当であり、特定の者に対し不当に差別的とならないよう共済掛金を算定するための方針

(3) リスク管理のための組織の整備等

① 理事会は、決定した戦略目標、リスク管理方針に従った適切な共済引受リスクの管理を行うため、担当部門(以下「共済引受リスク管理部門」という。)を定め権限を明確化する等体制を整備しているか。また、当該部門を収益部門、収益管理部門及び仕組開発部門から独立させることなどにより相互けん制機能を確保しているか。

② 理事会は、仕組開発・改廃等各関連部門での重要な情報が共済引受リスク管理部門へ報告される体制を整備しているか。また、重要な情報の定義は、規程により明確にされているか。

③ 理事会等は、共済引受リスク管理部門及び内部監査部門に共済数理に精通した人材を配置しているか。

(4) リスク管理のための規程整備

共済引受リスクの管理者は、共済引受リスクの管理手法、リスク・コントロール手法の具体的発動基準、報告方法、決裁方法等の管理規程を理事会等の承認を得た上で整備しているか。また、当該規程の改廃手続を明確に定めているか。

(5) 適切な共済引受リスク管理の実行

共済引受リスクの管理者は、共済引受リスクの管理方針及び管理規程に従って共済引受リスクを適切に管理しているか。例えば、報告を受けた不適切な事案に対して、再発防止策を含む適切な指示を行っているか。

2.共済引受リスク管理部門の役割

(1) 理事会等への報告等

共済引受リスク管理部門は、リスク管理上若しくは共済契約者等の保護の観点から問題があると判断した場合、逐次理事会等に報告する権限を有し、実際に報告を行っているか。また、共済数理に関する事項については、共済計理人に連絡しているか。

(2) 関連部門との連携

共済引受リスク管理部門は、仕組みの開発・改廃、共済事故の発生予測、金利・為替予測、リスク把握、出再共済・出再保険の締結、責任準備金等の積立て、共済仕組みの推進、共済契約の引受審査等を実施する関連部門での取引内容、分析結果、共済計理人の意見書等を検討データとして有効に活用しているか。

(注) 「意見書等」とは、生協法施行規則第196条に定める意見書、附属報告書及びその他の参考資料をいう。

3.共済引受基準・計画の策定

(1) 引受基準及び計画の適切な策定

共済引受基準(推進条件)及び計画は、関連する部門と検討を行った上で策定し、理事会等の承認を受けているか。

(2) 引受基準策定への関与

引受基準が仕組開発時に前提とした募集条件と同じ又はリスクが少ないことを確認する方策を講じているか。

4.共済引受に際しての審査態勢

(1) 適切な審査態勢の整備

① 共済引受リスク管理部門は、利用者に対して公正・衡平に保障サービスを提供するため、引受に関する適切な審査態勢を整備しているか。

② 共済引受リスク管理部門は、リスク細分型仕組み(共済契約者あるいは被共済者のリスクをより細分化して共済掛金に反映する仕組み)等の共済掛金率体系について、その妥当性を自主点検・管理する態勢を整備しているか。

(2) モラルリスク発生の防止策

① 共済引受リスク管理部門は、引受基準に比し共済金額(共済事業実施組合が知り得た他の保険契約に係る保険金額を含む。)が過大である場合には、より慎重な引受判断を行うなどモラルリスク排除のための態勢を整備しているか。

② 共済引受リスク管理部門は、被共済者の健康状態等に係る身体的危険及び被共済者の職業等に係る環境的危険を適切に選択し、かつモラルリスクを排除する方策を適切に講じるための態勢を整備しているか。

5.共済引受リスクの把握

(1) 共済引受リスクの適切な把握

① 共済引受リスク管理部門は、共済仕組みごとに、現在の収支状況の把握・分析及び将来の収支予測などの方法により、定期的に(少なくとも半年に一度)又は随時にリスクを把握しているか。また、将来の収支予測は、現在の金利動向や経済情勢、共済事故の発生状況等から見て妥当なシナリオによっているか。

② 共済引受リスク管理部門は、地震、台風等の自然災害による集積リスクや大規模事故による巨大リスクについて、適切な手法によるリスク計量化を行い予想最大損害額を把握しているか。

③ 共済引受リスク管理部門は、リスク細分型仕組みについてもリスクを的確に把握しているか。

④ 共済引受リスク管理部門は、第三分野共済仕組みについてもリスクを的確に把握しているか。

(2) 仕組開発・改廃への関与

新仕組みの開発及び既存仕組みの改廃に際し、当該仕組みの共済掛金が例えば金利水準等の資産運用環境、当該仕組内容に係る共済事故発生率、事業費支出の実態、共済契約の継続率の状況、当該共済契約に係る危険選択の方法、責任準備金の状況等から適切なものであるか検討しているか。

(3) リスク管理のためのシステムの整備

共済引受リスク全体についての多面的な分析手法を備えたシステムを整備していることが望ましい。

(4) 資産と負債の総合的管理

資産と負債の総合的な管理を行うため、資産運用リスク管理部門と密接に連携し、資産側の必要な情報について把握しているか。

6.共済引受リスクの管理

(1) 共済引受リスクの分析及び分析結果の活用

① 把握したリスクを分析し、リスクの顕在化がみられるとき又は将来のリスクに変化があるとき等においては、引受基準の変更、責任準備金の追加積立てを行う等関連部門が連携してリスク管理方針に則った適切なリスク・コントロールを行っているか。

② 把握・分析したリスク、並びにリスク・コントロール手法について、管理方針等に則り定期的に又は必要に応じ理事会等に報告等しているか。

(2) 募集状況の管理

共済募集に際し、引受基準等を遵守するよう事業拠点及び共済募集人を指導・管理しているか。また、実際に遵守していることを確認する方策を講じているか。なお、募集状況の管理に際しては、引受基準に反した共済契約を締結できないようなシステムを構築することが望ましい。

Ⅱ.再共済・再保険に関するリスク管理

(注) 保有するリスクに対する出再・受再の割合が軽微な場合を除く。

1.再共済・再保険に関するリスク管理のための態勢整備・確立状況

(1) 理事会等は、保有するリスクの規模・集中度を出再を通じて適切に管理するため、的確な保有・出再方針を策定しているか。保有・出再方針には、保有する引受リスクの特性に応じた一危険単位及び集積危険単位の保有限度額、出再先の健全性、一再共済(保険)者への集中の管理に関する基準が含まれているか。

(2) 理事会等は受再が組合の経営に重大な影響を与え得ることを十分認識した上で、受再を通じて増加するリスクを適切に管理するため、的確な受再方針を策定しているか。受再方針には、引受を行う種目、地域等に関する基準が含まれているか。

(3) 保有・出再方針及び受再方針は、例えば、共済事業実施組合の業容(規模・成長性・保有する共済引受リスクの集中度合い等)及び自己資本等の額と照らし合わせて、合理的なものとなっているか。

(4) 再共済・再保険に関するリスクの管理者は、再共済・再保険の市場参加者が限られたものであるなど、再共済・再保険の市場の特性を理解した上で、出再と受再の業務が連携よく共済事業実施組合全体として機能していることを確認しているか。

(5) 再共済・再保険(出再、受再)を行う各部門において、自律的に保有・出再方針及び受再方針の遵守状況を確認する体制をとるとともに、各部門とは独立に組合全体で保有・出再方針及び受再方針の遵守状況を確認する体制をとっているか。

(6) 再共済・再保険(出再、受再)を行う各部門において、報告方法や決裁方法等の規程の遵守状況を確認しているか。

2.出再共済・出再保険のリスク管理

(1) 出再共済・出再保険のリスク管理部門は、出再先の選定に当たり先方の財務内容等について保有・出再方針等に則り検討を行っていることを確認しているか。また、各共済仕組みごとの出再共済・出再保険の額について保有・出再方針に則っていることを定期的に確認しているか。

(2) 出再共済・出再保険のリスク管理部門は、保有・出再方針上の引受リスクが、手配された再共済・再保険によって適切にカバーされていることを確認しているか。

(3) 出再共済・出再保険のリスク管理部門は、再共済金・再保険金の回収状況及び将来の回収可能性並びに出再共済・出再保険の成績を確認しているか。

(4) 出再共済・出再保険のリスク管理部門は、再共済・再保険の額が事後的に調整される再共済・再保険については、これによるリスク移転の実体を正確に認識して、リスク管理を行っているか。

(5) 出再共済・出再保険のリスク管理部門は、出再共済・出再保険の契約実態及び再共済・再保険の市場動向から判断して、出再共済・出再保険の額が妥当な水準であることを確認しているか。

3.受再共済のリスク管理

(1) 受再共済のリスク管理部門は、受再契約の締結に当たって、出再共済者に関する情報及び受再契約に関する情報を入手して、当該受再契約に関する収益性やリスクについて十分な検討を行っているか。

(2) 受再共済のリスク管理部門は、主要な集積危険に関し予想最大損害額を把握した上で保有限度額を超過しないよう適切な管理を行っているか。

(3) 受再共済のリスク管理部門は、受再契約の締結後も、例えば共済事故に起因する出再共済者の支払責任の発生状況について情報を入手し、適切な管理を行っているか。

(4) 受再共済のリスク管理部門は、受再共済の契約実態及び再共済・再保険の市場動向から判断して、受再共済料が妥当な水準であることを確認しているか。

【資産運用リスク管理態勢の確認検査用チェックリスト】

(1) 「資産運用リスク」とは、主として下記の要因により共済事業実施組合が損失を被るリスクである。

① 保有する資産(オフバランス資産を含む。)の価値が変動する。

② 負債特性に応じた資産管理ができず、結果として不利な条件で流動性を確保せざるを得なくなる、あるいは予定利率が確保できなくなる。

いわゆる支払余力比率に関しては、生協法施行規則第166条の3に資産運用リスクが規定されているが、本チェックリストにおいては、「資産運用リスク」という用語をより広い意味で使用していることに留意が必要である。

(2) 「市場リスク」とは、金利、有価証券等の価格、為替等の様々な市場のリスク・ファクターの変動により、保有する資産(オフバランス資産を含む。)の価値が変動し損失を被るリスクである。なお、市場リスクは以下の3つのリスクからなる。

① 金利リスク(金利変動に伴い損失を被るリスクで、資産と負債の金利又は期間のミスマッチが存在している中で金利が変動することにより、利益が低下ないし損失を被るリスク)

② 価格変動リスク(有価証券等の価格の変動に伴って資産価格が減少するリスク)

③ 為替リスク(外貨建資産・負債についてネット・ベースで資産超又は負債超ポジションが造成されていた場合に、為替の価格が当初予定されていた価格と相違することによって損失が発生するリスク)

また、市場リスクに付随する信用リスク(市場取引により資産運用を行う際に、預貯金等の預け入れ金融機関や保有する有価証券等を発行した企業等及び有価証券貸付契約・デリバティブ取引契約の締結先等の経営状況(外貨建て有価証券等については、発行体の属する国の外貨事情や政治・経済情勢等を含む。)の悪化等により共済事業実施組合が損失を被るリスクをいう。)等をあわせて「市場関連リスク」という。

市場関連リスク管理態勢の項目の適用に当たっては、当該共済事業実施組合の経営戦略や実際の取引態様に十分配慮して、機械的・画一的な運用とならないように留意する。

(3) 検査官は、「内部管理態勢の確認検査用チェックリスト」、「法令等遵守態勢の確認検査用チェックリスト」、「共済引受リスク管理態勢の確認検査用チェックリスト」、「オペレーショナル・リスク等管理態勢の確認検査用チェックリスト」及び本チェックリストにより、資産運用リスク管理態勢の検査を行うものとする。なお、本チェックリストにより具体的事例を検証する際には、共済事業実施組合の共済仕組みの内容や資産運用の状況等を勘案し、生協法等の関係法令及び生協共済監督指針等の規定とその趣旨を踏まえる必要があることに留意する。

Ⅰ.資産運用リスク管理態勢

1.資産運用リスク管理態勢の整備・確立状況

(1) 経営方針等に沿った資産運用に関する目標の明確化

理事は、資産運用に係るリスクの所在・種類、負債特性等を理解し、この理解に基づき、経営方針に沿った、明確かつ具体的な資産運用に関する目標を理事会において定めているか。またそれは適時見直しているか。

(2) 資産運用に関する目標の具体的内容

資産運用に関する目標は、負債特性及び当該共済事業実施組合として許容できるリスク量を考慮した資産配分等、各種リスク管理態勢等の資産運用を行う上で基本となる方針を含んでいるか。当該共済事業実施組合として許容できるリスク量を、自己資本、収益力、リスク管理能力、共済金等の支払能力等の経営体力を踏まえて決定しているか。

(注) 資産配分等には、リミットの設定を含む。

(3) リスク管理のための組織の整備

理事会は、決定した資産運用に関する目標に従い、資産運用全体のリスクを管理する体制を整備しているか。資産運用全体のリスクを管理する部門を、運用部門及び収益管理部門から独立させることなどにより相互けん制機能を確保しているか。また、理事会と資産運用リスク管理部門の権限及び責任について明確に規定しているか。

(4) 理事会等に対するリスク状況の報告と組織全体の意思決定への活用

理事会等は、定期的に資産運用リスクの状況について報告を受け、必要な意思決定を行うなど、把握されたリスク情報を業務の執行及び管理体制の整備等に活用しているか。

(5) 新たな資産運用手段の導入

理事会等は、新たな資産運用手段を導入するに当たって、負債特性及びリスク許容量、リスク管理手法に留意し、資産運用手段の導入の適切性を検討しているか。

(6) 資産運用リスク管理のための規程の整備

資産運用リスクの管理者は、理事会で定められた資産運用に関する目標に従って、下記の事項等につき、規程を整備し、理事会等の承認を得ているか。規程は、資産運用リスク管理部門と運用部門の権限及び責任の分担、報告体制を明確にしたものとなっているか。

① 負債特性を考慮した資産配分の決定手順

② 各資産に係るリミットの設定手順

(注) リミットとは、リスク・リミット(VaR等の予想損失額の限度枠)、資産運用枠(保有限度枠)、損失限度等の共済事業実施組合が設けているリスク管理上必要な制限及び枠のすべてをいう。

③ 各種リスク管理手法(測定、モニタリング、管理)

④ 中長期での資産保有に係る方針とそのリスク管理手法

⑤ デリバティブ取引等に係る方針(ヘッジ方針も含む。)

⑥ 流動性が低く処分が困難な資産や客観的に時価を算出できない資産に係るリスク管理手法

⑦ 資産配分等及びリスク管理に関する各規程の見直し方針、手順

⑧ 新たな資産運用手段を導入する場合の検討項目及び承認手順

⑨ 外部に資産の運用を委託する場合のリスク管理手法

(7) 適切な資産運用リスク管理の手法

資産運用リスクの管理者は、資産運用に関する目標及び資産運用リスク管理のための方針及び規程に基づいて管理を実行しているか。

また、市場環境等の変化を資産配分、リスク管理手法に適切に反映させるため、常に分析を行い、資産運用に影響を及ぼす事項については適切に理事会等に報告しているか。

2.資産運用リスク管理部門の役割

(1) 資産運用に係るリスクの把握

資産運用リスク管理部門は、すべての資産について、それぞれが持つ市場関連リスク、流動性リスクを数値あるいは具体的に検証可能な形で、かつ連結ベース(法令等に抵触しない範囲)で把握しているか。また、リスク量や時価が客観的に算出できない資産についても、リスクを十分に検証しているか。

共済引受リスク管理部門と密接に連携し、負債側の必要な情報についても把握しているか。

資産運用を外部委託する場合、受託者の資産運用に係るリスクを把握しているか。

(2) 市場関連リスク

① 資産運用リスク管理部門は、市場関連リスクが存在する資産及びそのリスクを明確に把握しているか。

② 市場のある資産については、一般的に認知されている方法で算出されたリスク量を把握しているか。

③ 市場のない、もしくは非常に流動性が低い資産については、客観的な方法で算出された時価等、リスク管理のために必要な数値を把握しているか。また、時価の算出方法について、当該算出方法を採用している部門以外の第三者がその合理性を検証しているか。

④ 客観的な方法で時価を算出できない資産については、資産運用に関する目標及び関連の規程をふまえて、その資産を保有することに係るリスクを十分に検討しているか。

⑤ 資産運用リスク管理部門は、有価証券等の市場取引に係る信用リスクを評価するに当たっては、格付等の外形的基準のみではなく、実質的なリスクについても検討しているか。

(3) 流動性リスク

資産運用リスク管理部門は、資産全体の流動性を把握しているか。

(4) リミットの管理

① 資産運用リスク管理部門は、各運用部門が定められた規程に従っているかを、連結ベース(法令等に抵触しない範囲)で適切にモニターし管理しているか。

② 定められたリミットを超えた運用を行う場合、手続は明確に定められているか。また、手続に従って適切に行われているか。

(5) リミットがない資産についてのリスク管理

資産運用リスク管理部門は、客観的な数値等を使用してリスク管理ができない資産について、資産運用に関する目標及び関連の規程に従って、連結ベース(法令等に抵触しない範囲)でその資産の特性、資産全体に占める割合を勘案して適切なリスク管理を行っているか。

3.負債特性に応じた資産の管理

(1) 目標等

理事会で定められた資産運用に関する目標は、負債特性を踏まえたものとなっているか。

また、理事会等は、資産・負債を総合管理し、資産運用に関する目標等の策定にかかわる組織としてALM委員会等を設置している場合、関連部門の理事や管理者が出席し、検討に参画しているか。ALM委員会等での検討の結果は、適時に理事会等に報告されているか。

(注) 「ALM委員会等」とは、ALM委員会及びそれと同等の機能を持つ組織をいう。以下同じ。

(2) ALM委員会等と関連部門との連携

ALM委員会等を設置している場合、金利・為替予測、リスク把握、ヘッジ取引等を実施する関連部門での分析・取引内容を検討データとして有効に利用しているか。

また、各関連部門での重要な情報がALM委員会等へ報告される体制となっているか。重要な情報の定義は、規程により明確にされているか。

資金繰り管理部門が行っている資産・負債両面からの流動性の評価が、共済金等に対する支払準備の視点からも十分に機能していることを確認しているか。

(3) システムの整備

金利、株価及び外国為替等の資産側における変動可能性、並びに共済の推進及び解約等の負債側における変動可能性を取込んだ多面的な分析手法を備えたシステムを整備していることが望ましい。

Ⅱ.市場関連リスク管理態勢

1.市場関連リスク管理態勢の整備・確立状況

(1) 市場取引に関する方針の明確化

共済事業実施組合の市場取引に関する方針に応じて必要とされるリスク管理態勢は異なるが、理事会において、当該共済事業実施組合全体の経営方針等に沿った市場取引に関する方針を明確に定めているか。

(2) ポートフォリオの構築

理事会は、法令に定める資産の運用額の制限及び負債特性を踏まえた上で、適切なポートフォリオの構築そのものがリスク・コントロールであることを認識し、ポートフォリオについての基本的な考え方を明確に定めているか。また、理事会は定期的に(最低限四半期に1回)及び必要に応じて随時、ポートフォリオをチェックしているか。さらに、理事(特に担当理事)は自組合が構築しているポートフォリオの特性を十分に認識、評価しているか。

(3) リスク管理のための組織の整備

理事会は、決定した方針とそれに応じたリスク管理方針に従い、かつ収益目標等に見合った適切な市場関連リスクの管理体制を整備しているか。

(4) リミットの設定の際の基本的な考え方の確立

リミットの設定に際しては、共済事業実施組合の経営や財務内容に重大な影響がもたらされることもあることを念頭に置き、理事会において、例えば、リスクを最小限度に抑えることを目標とするのか、能動的に一定のリスクを引き受け、これを管理する中で収益を挙げることを目標とするのか等について、基本的な考え方を明確に定めているか。

(注) リミットとは、ポジション枠(金利感応度や想定元本等に対する限度枠)、リスク・リミット(VaR等の予想損失額の限度枠)、資産運用枠(保有限度)、ロスカット・ルール等自組合で設けているリスク管理上必要な制限及び枠のすべてをいう。

(5) リミットの適切な設定

理事会等において、リミットの設定の際の基本的な考え方に基づき、各部門のリスク・テイク業務の内容を検討し、実績追認ではなく、各部門の経営上の位置付け、自己資本、収益力、リスク管理能力、人的能力、共済金等の支払能力等の経営体力を勘案し、市場部門全体のリミットを設定した上で、取り扱う業務(保有目的)、商品の種類、リスク・カテゴリー等ごとに、それぞれに見合った適切なリミットを設定しているか。

また、理事会等において、定期的に(最低限半年に1回)、各部門のリスク・テイク業務の内容等を再検討し、リミットを見直しているか。

なお、自己資本等の経営体力とリスク量とを比較し、経営体力から見て過大なリスク量となっていないかを確認する観点から、市場部門全体のリミットの総枠について、これに対応する自己資本等が当該共済事業実施組合の業務全体の中で適切な配分となっていることを確認しているか。

(6) ハイリスク商品の明確なリミット設定

理事会等において、複雑な仕組債、信用リスクが高い有価証券等ハイリスク商品について、特にリミットを明確に設定しているか。

(7) リスク管理のための規程の整備

市場リスク管理のための規程は、特に、デリバティブを含む市場取引について、市場部門(フロント・オフィス)、事務管理部門(バック・オフィス)及びリスク管理部門(ミドル・オフィス等)、各部門の管理者のそれぞれの役割と権限を明確にしているか。

また、リスク管理の方針に従って、取り扱う業務(保有目的)、商品の種類、リスク・カテゴリー等ごとに、それぞれに見合った適切な管理規程を理事会等の承認を経た上で作成し、当該規程を必要に応じ見直しているか。

(8) リミットの適切な管理

管理者は、各リミット設定の際の基本的な考え方及び設定されたリミットに従い、適切な管理の実行について責任を負っているか。

2.市場関連リスク管理部門の体制と役割

(1) 金利リスクの把握

① 複数の手法を利用した多面的なリスク管理

オンバランスとオフバランスを統合し、異なる分析手法(デュレーション分析、シミュレーション分析等)を併用するなど、多面的な管理を行っているか。

② 金利リスクの分析及びその分析結果の活用

金利リスクについて適切な金融手法を用いて、定期的に(最低限四半期に1回)リスクの把握を行い、リスク管理部門等で活用しているか。

なお、定期的に(四半期に1回以上)ストレス・テストを行い、リスク管理部門等で活用していることが望ましい。

(2) 為替リスクの把握

① 為替リスクの適切な把握

保有外貨資産・負債の為替リスクについて、適切な金融手法を利用するなど、自らの有するリスクに応じた適切な管理を行っているか。

② 為替リスクの分析及びその分析結果の活用

定期的に(最低限四半期に1回)リスクの把握を行い、リスク管理部門等で活用しているか。

なお、定期的に(四半期に1回以上)ストレス・テストを行い、リスク管理部門等で活用していることが望ましい。

(3) 価格変動リスクの把握

① 価格変動リスクの適切な把握

価格変動リスクに係るリスク要素を把握し、リスクを適切に管理しているか。

② 価格変動リスクの分析及びその分析結果の活用

定期的に(最低限四半期に1回)有価証券等の含み損益を把握するなど、リスクを分析し、分析結果をリスク管理部門等で活用しているか。

(4) 負債特性を踏まえたリミットの見直し等

① リミットの適切な設定及び見直し

負債特性を踏まえた市場関連リスクの統合管理に関するリミットの設定は、理事会が決定したリスク管理の基本方針に沿ったもので、かつ、自己資本、共済金等の支払能力等の経営体力を考慮したものとなっているか。また、リミットは、定期的に(最低限半年に1回)あるいは必要に応じ随時見直しているか。

② ポートフォリオの見直し

流動性、配当確保又は損切りのために有価証券の売却を行った場合には、適時・適切にポートフォリオを見直しているか。

③ 適切なリスク・コントロールの実行

金利・為替・価格変動リスク等市場関連リスクのコントロールは、理事会が決定したリスク管理の方針に従っているか。

④ リスク管理部門等での検討結果の経営戦略への活用

理事会における戦略目標やリスク管理方針の策定の際に、リスク管理部門等での分析結果を勘案しているか。

また、リスク管理部門等において、理事会が決定したリスク管理方針に沿ってリスク・コントロール等の業務運営が行われているかどうかを検証し、理事会等に報告しているか。方針に沿った業務運営が行われていない場合には、速やかに改善措置をとっているか。

(5) 市場リスクの管理

① 業績の管理

損益状況等の分析及び不適切な取扱いのチェック

決算操作等のために、経済的合理性のない、仕組債の購入等を含めたデリバティブ取引等を利用した不健全な取引を行っていないか。また、リスク管理部門において、収益部門が想定を超える収益を挙げている場合には、その要因が分析され、それがリスク管理に係る各種の規程の逸脱等の不適切な取扱いなどによるものでないことを確認しているか。

リスク管理部門は、損益を契約額・想定元本、取引量との関係で査閲することも行っているか。

② 時価評価

イ.規程の整備

時価評価の算定方法に関しては、会計処理の恣意性を排除し透明性を確保する観点から、継続的に使用することが必要であり、少なくとも下記の事項について理事会等の承認を経た上で、明確な規程等を定めているか。また、当該規程等は、重要な規程として取扱い、その変更に際しても制定の際に準じた手続等をとっているか。

(イ) 時価を算定する部署の管理者の権限と義務

(ロ) 規程の遵守義務及び変更手続

(ハ) 時価の算定方法に係る基本的考え方

・ 市場取引を行う組織から独立した他の組織による時価の算定

・ 時価の算定方法(別の書類に定める場合はその旨の規定)

・ 時価の算定に関するルールの遵守に係る内部監査の実施

・ 時価の算定にフロント機能を有する組織が関与する必要がある場合は、その関与の方法

ロ.市場取引の実施部署と時価算定部署の分離

時価算定の方法の公正性を確保する観点から、市場取引を行う部署と時価算定を担当する部署が異なっているか。

ハ.時価算定の客観性の確保

時価算定の客観性を確保するため、以下の点に留意しているか。

(イ) 規程等に基づき時価算定要領等を定め、継続的に使用しているか。また、制度改正、評価手法の開発等により、算定方法を変更する必要が生じた場合には、規程等に基づき速やかに改正しているか。また、算定方法の変更状況を明確にしているか。

(ロ) 時価算定要領等については、内容の公正性・妥当性をチェックする観点から、あらかじめ、市場取引を行う組織(いわゆるフロント機能を有する組織)及び仕組みを開発する組織から独立した他の組織(例えば、リスク管理部門や内部監査部門等)の承認を受けているか。

また、当該要領等の運用状況についても定期的に上記組織(例えば、リスク管理部門や内部監査部門等。ただし、実際に算定を行っている部署は除く。)のチェックを受けているか。

(ハ) 「金融商品に関する会計基準」(企業会計基準委員会)等に基づき、適正に時価が算定されているか。また、時価の算定については、自らの責任で行っているか。特に、第三者から時価情報を入手する場合には、定期的に入手した上で、時価の妥当性につき自ら検証しているか。

(ニ) 時価算定の客観性確保の状況の確認が、内部監査の重点事項に含まれているか。

③ 時価・リスク量の把握

イ.正確な時価の把握

ポジションの時価(モデル等により算出する時価を含む。)を適時に正確に把握しているか。また、貸付金等時価把握の技術が確立していないものも、可能な限り把握しているか。なお、連結ベースでも把握していることが望ましい。

ロ.リスク要素の把握・計測

例えば、金利であれば、金利全体の上昇(下降)のみならず、イールドカーブの形状の変化、商品間・市場間のスプレッドの変化によるリスクを把握しているか。

さらに、複雑なスキームの取引等について、リスク要素の把握もできないままで取引を行っていないか。

オプション取引を相当程度行っている場合、また、取引量は少ないとしても「売り」を行っている場合には、市場価格の変化及び市場価格の予想変動率の変化、また、市場価格の変動によりもたらされるヘッジ比率の変更の必要性とその場合の適正な水準等について把握しているか。

ハ.統一的な指標によるリスク量の計測

リスク量を、各部門に共通した統一的な指標で定量的に把握しているか。統一的な指標は、すべての必要なリスク要素を把握・計測していることが望ましいが、仮に、統一的指標で十分な把握・計測を行っていないリスクが存在している場合には、これを計測する情報を補完的に用いることにより、経営上の意思決定に際しては、必要なすべてのリスク要素を勘案することを確保しているか。

また、積極的な市場取引を行う場合には、リスク量の計測は、例えば、統計的手法を用いたVaR法等の、合理的、かつ、客観的で精緻な方式を採用して行っているか。そうでない場合にも、リスク量の計測は、統計的手法を用いたVaR法等を採用して行うことが望ましいが、少なくとも、例えばBPV法等による簡易な計測方法により行っているか。

ニ.モデルの妥当性の検証態勢及びモデルの管理態勢の確立

プライシングモデルやリスク量の計測に用いられているモデルについては、フロント部門や仕組みを開発する組織から独立した他の組織(例えば、リスク管理部門や内部監査部門、外部コンサルタント等)において、その妥当性を検証しているか。仮に、各モデルに不備が認められた場合には、適切に修正を行っているか。

また、各モデルの内容を、容易に改変することができないような体制・規程を整備し、定められた規程等に従って適切にモデルの管理を行っているか。なお、各モデルについては、定期的に(年1回程度)見直しすることが望ましい。

ホ.リスク計測機能の有効性の検証

リスク管理部門や内部監査部門等において、金利や為替レートの変化等が収益、自己資本、共済金等の支払能力等の経営体力に及ぼす影響を定期的に計測するとともに、計測結果と実際の損益動向とを比較することによって、リスク計測機能の有効性を検証しているか。

ヘ.ストレス・テストの適切な実施

VaR法は、あくまで平常の市場環境の下で最大のリスク量を計測するものであることを踏まえ、ストレス・テストを定期的に行うことが望ましい。また、BPV法を基本としたセンシティビティ分析を主としている場合は、最悪のシナリオによる分析を定期的に行っているか。

なお、ストレス・テストの内容については、その設定内容の根拠が明確であり、かつ適切なものとなっているか。

市場の状況の変化や保有しているポジションの大きさ、ポートフォリオの内容等に比例して、なるべく頻繁に(例えば四半期に1回程度)ストレス・テストを行っていることが望ましい。

ト.ポジションの把握、時価評価、リスク量の計測の頻度

ポジションの把握、時価評価、リスク量の計測を極力頻繁に(月1回以上)行い、また、主要拠点の連結ベースで行っていることが望ましい。

④ リミットポジションの管理

イ.リミットの管理規程の明確化

リミットを超過した場合、もしくは超過するおそれがある場合の管理者への報告体制、権限(方針及び手続等)を明確に定めているか。

また、当該規程においては、リミットを超えてポジションを持ち続けることができないこととなっているか。

ロ.リミット等の権限の委譲

担当理事、管理者、各ディーラーごとにポジション、収益目標、リミット等の権限委譲を文書で行い、リミット等の変更の都度ディーラー等から署名による確認書を受ける等、ディーラー等に対して責任の領域を明確に指示しているか。また、各部門に設定されたリミット等については定期的に(最低限半年に1回)見直しを行っているか。

ハ.リミットの管理規程の遵守

リミットの管理規程の適用は厳正に行っているか。また、規程又は運用に問題があると認められる場合には、適切な改善策をとっているか。

リスク管理上、何らかの問題が発生した場合には、部門内で処理せず、リスク管理部門等へ速やかに正確な情報を伝達しているか。

ニ.リミット、ポジションの管理の実行

リスク管理部門が少なくとも日次ベースで主要商品のリミット及びポジションをモニターできる体制となっているか。

また、積極的な市場取引を行う共済事業実施組合にあっては、リスク管理部門が日中において、必要に応じ主要商品のリミット及びポジションをモニターできる体制となっているか。なお、ディーラー別又はポートフォリオ別のポジション収益管理システムを整備し、適切に運用しているか。

⑤ 市場流動性リスク

イ.市場流動性の適切な把握

リスク管理部門は、市場流動性の状況を正確に把握し(又は報告を受け)ているか。

また、必要に応じ、市場流動性の状況を代表理事及び理事会等へ報告しているか。

ロ.リミットの設定及び見直しの実施

マーケットの状況により、市場において企図した時点価格での取引や企図した量の取引ができないこともあることを踏まえ、リスク管理部門は、市場流動性の状況を勘案し、必要に応じ適切に理事会等の承認を得た上で(緊急の場合には担当理事が決定し、事後的に理事会等に報告し検証を受ける。)、リミットを設定しているか。

また、運用商品、市場環境の変化等により定期的に(最低限半年に1回)及び状況に応じて随時、リミットを見直しているか。

ハ.市場流動性リスクを勘案した運用

商品ごとに市場規模・厚み、流動性を勘案した運用を行っているか。

また、一度に多量の商品を売買することは、その商品の売買自体によって市場流動性リスクが生じることがあることを認識し、その影響を勘案した上で運用を行っているか。

ニ.モニタリングの実施

リスク管理部門は、商品ごとの日々のポジションの状況を把握するとともに、市場規模の変化、信用状況の変化をモニタリングしているか。

ホ.報告の実施

リスク管理部門は、把握されたポジションの状況等について、規程に基づき正確に担当理事(必要に応じ代表理事及び理事会)に報告しているか。また、商品の売買自体によって流動性リスクが生じる可能性がある場合、リミットを超過した場合や、懸念時・危機時の場合には、極力、頻繁に代表理事又は理事会に報告を行うとともに、適切な対応策をとっているか。

⑥ 事務管理

イ.規程に従った事務処理

為替、資金、証券取引等及びこれらの派生商品取引については、各取引の規程を定め、これに沿った取扱いを行っているか。例えば、

(イ) 事務管理部門は、すべての取引手順を漏れなく把握しているか。(例えばシステム入力の最終確認、チケットの打刻や連続番号による確認等)

(ロ) 取引内容の入力は遅滞なく行われているか。

(ハ) 確認・調整段階で検出されたディーリング・チケットの誤りの修正は管理者によって承認されているか。

(ニ) 処理が将来行われるため未完扱いとされているディーリング・チケットは、適切に管理・記録されているか。

(ホ) 取引担当者以外の者がコンファーメーションを送受しているか。

(ヘ) コンファーメーションとディーリング・チケットの照合は適切に行われているか。

(ト) ディーリング・チケット、ディーリング・シート、コンファーメーション等の保存・保管は適切に行われているか。

なお、市場部門及び事務管理部門の個々の取引記録等の証拠書類については、内部監査部門のチェックを受けることとし、規程に定められている保存年限(最低限1年以上)に基づいて保存しているか。

ロ.データの突合

市場部門と事務管理部門における取引データの突合を行うとともに、相違がある場合には、速やかにその原因究明を行い、あらかじめ定められた方法に基づき補完しているか。例えば、証券取引においては、市場部門でのディーリング・システムによるポジションと事務管理部門での証券会社又はカストディ部門等との確認後の勘定系の証券保有残高との照合を定期的に(最低限月1回)行っているか。

⑦ 市場取引に係る信用リスクの管理

イ.市場取引に係る信用リスク量の計測

信用リスク量の計測は、最低限、想定元本方式又はオリジナル・エクスポージャー方式(想定・契約元本に商品・取引期間ごとの掛目を乗ずる方式)で把握しているか。

また、積極的な市場取引を行う場合には、信用リスク量の計測は、カレント・エクスポージャー方式(再構築コストとポテンシャル・エクスポージャーの合計)で行っているか。

ロ.ポジション、時価評価、信用リスク量のオンバランスとオフバランス一体管理

少なくとも月次で、また、新規取引や取引の更新時には、その時点(あるいは直近時点)での取引先ごとのオンバランスとオフバランス一体での信用リスク量を正確に把握しているか。

積極的な市場取引を行う共済事業実施組合にあっては、取引先ごとの個別取引状況を把握し、時価、信用リスク量をオンバランスとオフバランス一体で名寄せ管理し、信用リスクの管理者に対してエクスポージャーとクレジット・リミットの状況について適時かつ正確な情報提供を行っているか。

ハ.取引の承認体制の明確化及び取引承認機能の独立