添付一覧
○確定給付企業年金の規約の承認及び認可の基準等について
(平成14年3月29日)
(/年企発第0329003号/年運発第0329002号/)
(地方厚生(支)局長あて厚生労働省年金局企業年金国民年金基金課長・運用指導課長通知)
確定給付企業年金の指導に当たっては、以下の事項に留意して、適切に取り扱われたい。
1.確定給付企業年金の実施事業所及び企業年金基金への指導等
確定給付企業年金の規約の承認及び認可の基準を別紙1のとおり定めたので、これに基づいて規約の承認及び認可の事務が速やかに行われるよう、確定給付企業年金を実施する事業主(以下「実施事業主」という。)及び企業年金基金(以下「基金」という。)の関係者に対しても、十分な説明及び適正な指導等を期せられたい。
なお、確定給付企業年金は、事業主が従業員と給付の内容を約し、高齢期において従業員がその内容に基づいた給付を受けることができるようにすることを目的とする制度であることを踏まえ、その規約の承認又は基金の設立認可の申請を受理する際には、当基準に基づいて労使合意に至るまでの過程を確認することなどにより、規約の内容が労使間で十分に協議したものであることを的確に確認した上で、承認又は認可に係る事務を行うよう十分に留意されたい。
また、確定給付企業年金法施行規則(平成14年厚生労働省令第22号。以下「規則」という。)第46条の2第1項に規定するリスク対応掛金額等の計算に用いる規則第43条第1項に規定する財政悪化リスク相当額は、確定給付企業年金法施行規則第四十三条第一項に規定する通常の予測を超えて財政の安定が損なわれる危険に対応する額の算定方法(平成28年厚生労働省告示第412号。以下「リスク算定告示」という。)第2条に基づき算定されるものであるが、そのうちリスク算定告示第2条第2項及び第3項に基づくものについて、別紙1の2の事項に留意されたい。
2.確定給付企業年金の事業運営基準について
確定給付企業年金の事業運営基準を別紙2のとおり定めたので、貴管下の確定給付企業年金の実施事業所の事業主及び基金(以下「事業主等」という。)が、同基準に基づき事業を適正に行うよう、適切に指導されたい。
なお、基金の福祉施設の用に供する建物の所有権の取得登記及び土地の権利の取得登記に係る登録免許税の免除の手続については、別に定める。
3.規約の承認又は基金の設立認可等の申請に関する事項
(1) 申請書類等
事業主等が規約の承認又は基金の設立認可の申請等を行う場合にあっては、以下により申請するよう指導すること。なお、複数の事業主により規約型企業年金を実施しようとする場合又は実施している場合における規約の承認の申請等については、代表事業主を定め、その代表事業主が行うものであることに留意すること。
① 規約の承認又は基金の設立認可の申請等は、別紙3「申請書類一覧」に掲げる書類によること。
② 前記①において、次の書類については、様式C1に掲げる書類「年金数理に関する確認」が添付されていること。
(ア) 給付の設計の基礎を示した書類(様式C2参照)
(イ) 掛金の計算の基礎を示した書類(様式C3参照)
(ウ) 財政再計算報告書(様式C4参照)
(エ) 終了時の積立金の額並びに最低積立基準額及びその算定基礎を示した書類(終了の承認又は解散の認可の申請時の書類に限る。)(様式C5参照)ただし、閉鎖型受託保証型確定給付企業年金の場合は、様式E2により作成されたものであること(1.給付状況の「件数」及び「金額(円)」の欄を斜線とすること。)。
(2) 標準処理期間
前記(1)の承認又は認可の申請等についての標準処理期間は2ヶ月とすることから、当該申請にあたっては、規約の適用日のおおむね2ヶ月前までに行うものであること。ただし、確定拠出年金法施行規則等の一部を改正する省令(令和4年厚生労働省令第13号。以下「税改省令」という。)附則第2条第1項第3号イ又は第4号イに掲げる場合に該当する規約変更の届出にあたっても、規約の適用日のおおむね2ヶ月前までに行うものであること。
(3) 存続厚生年金基金が確定給付企業年金の給付の支給に関する権利義務を承継する場合の取扱い
公的年金制度の健全性及び信頼性の確保のための厚生年金保険法等の一部を改正する法律(平成25年法律第63号。以下「平成25年改正法」という。)附則第5条第1項の規定によりなおその効力を有するものとされた改正前確定給付企業年金法(平成13年法律第50号。以下「改正前法」といい、改正後の確定給付企業年金法を「法」という。)第107条第2項の規定に基づき存続厚生年金基金が確定給付企業年金の給付の支給に関する権利義務を承継する場合においては、存続厚生年金基金又は存続厚生年金基金の設立事業所になろうとする事業所の事業主は、「厚生年金基金の設立、合併及び分割等の認可申請等の手続きについて(平成8年6月27日企国発第33号・年数発第6号)」に基づいて認可の申請に必要な手続きを経ること。
(4) 確定給付企業年金法施行令(平成13年政令第424号。以下「令」という。)第23条第2項の規定に基づく額の障害給付金の支給(以下「当該障害給付の支給」という。)を行う場合の取扱い
① 事業主等が規約を変更して当該障害給付の支給を行おうとする場合(確定給付企業年金の実施と同時に当該障害給付の支給を行おうとする場合を含む。)にあっては、変更後の給付の設計が令第23条第2項の基準(以下、(4)において「新基準(障害)」という。)を満たすこと。また、当該変更の申請を行う時に(1)に「令第23条第2項の基準に基づく給付現価・令第23条第3項の基準に基づく給付現価を示した書類(C13)」(以下、(4)及び(5)において「様式C13」という。)を添付すること。なお、規約を変更せずに当該障害給付の支給を行おうとする場合にあっては、当該障害給付の支給を行うこととなる日の直後の財政再計算の報告又は事業及び決算に関する報告書の提出時に様式C13を添付すること。
② 当該障害給付の支給を行っている事業主等が財政再計算を実施したときの計算基準日又は事業年度末において当該規約又は当該基金における給付の設計が新基準(障害)を満たしていない場合は、当該財政再計算の計算基準日の後一年以内(計算基準日が事業年度末の場合は一年六ヶ月以内)又は当該事業年度末の後一年六ヶ月以内に、当該規約又は当該基金における給付の設計が新基準(障害)を満たすように給付の設計の変更に係る規約変更等を行うこと。また、当該規約変更の前に規約の変更、財政再計算の報告又は事業及び決算に関する報告を行う場合は、様式C13に変更予定である旨を記載して添付すること。なお、財政再計算を実施したときの計算基準日又は事業年度末において当該規約又は当該基金における給付の設計が新基準(障害)を満たしている場合は、当該財政再計算の報告又は事業及び決算に関する報告書の提出時に様式C13を添付すること。
③ 当該障害給付の支給を行っている事業主等が規約を変更して当該障害給付の支給を行わないこととする場合には、当該規約の変更の申請を行う時に、(1)に様式C13にその旨を記載して添付すること。なお、規約の変更を行わずに当該障害給付の支給を行わないこととする場合にあっては、当該障害給付の支給を行わないこととなる日の直後の財政再計算の報告又は事業及び決算に関する報告書の提出時に様式C13にその旨を記載して添付すること。
④ 様式C13の提出に当たっては、当該障害給付の発生確率等を見込む際に用いた数値についての資料を添付すること。
(5) 令第23条第3項の規定に基づく額の遺族給付金の支給(以下「当該遺族給付の支給」という。)を行う場合の取扱い
① 事業主等が規約を変更して当該遺族給付の支給を行おうとする場合(確定給付企業年金の実施と同時に当該遺族給付の支給を行おうとする場合を含む。)にあっては、変更後の給付の設計が令第23条第3項の基準(以下、(5)において「新基準(遺族)」という。)を満たすこと。また、当該変更の申請を行う時に(1)に様式C13を添付すること。なお、規約を変更せずに当該遺族給付の支給を行おうとする場合にあっては、当該遺族給付の支給を行うこととなる日の直後の財政再計算の報告又は事業及び決算に関する報告書の提出時に様式C13を添付すること。
② 当該遺族給付の支給を行っている事業主等が財政再計算を実施したときの計算基準日又は事業年度末において当該規約又は当該基金における給付の設計が新基準(遺族)を満たしていない場合は、当該財政再計算の計算基準日の後一年以内(計算基準日が事業年度末の場合は一年六ヶ月以内)又は当該事業年度末の後一年六ヶ月以内に、当該規約又は当該基金における給付の設計が新基準(遺族)を満たすように給付の設計の変更に係る規約変更等を行うこと。また、当該規約変更の前に規約の変更、財政再計算の報告又は事業及び決算に関する報告を行う場合は、様式C13に変更予定である旨を記載して添付すること。なお、財政再計算を実施したときの計算基準日又は事業年度末において当該規約又は当該基金における給付の設計が新基準(遺族)を満たしている場合は、当該財政再計算の報告又は事業及び決算に関する報告書の提出時に様式C13を添付すること。
③ 当該遺族給付の支給を行っている事業主等が規約を変更して当該遺族給付の支給を行わないこととする場合には、当該規約の変更の申請を行う時に、(1)に様式C13にその旨を記載して添付すること。なお、規約の変更を行わずに当該遺族給付の支給を行わないこととする場合にあっては、当該遺族給付の支給を行わないこととなる日の直後の財政再計算の報告又は事業及び決算に関する報告書の提出時に様式C13にその旨を記載して添付すること。
④ 様式C13の提出に当たっては、当該遺族給付の発生確率等を見込む際に用いた数値についての資料を添付すること。
(6) 税改省令附則第2条第1項第3号イ又は第4号イに掲げる場合に該当する規約の承認又は基金の設立認可の申請等を行う場合の取扱い
① 事業主等が税改省令附則第2条第1項第3号イ又は第4号イに掲げる場合に該当する規約の承認又は基金の設立認可の申請等を行う場合は、税改省令附則第2条第1項第3号イ又は第4号イに掲げる場合に該当する実施事業所の事業主が作成した確定拠出年金法(平成13年法律第88号)第2条第2項に規定する企業型年金(以下「企業型年金」という。)の実施状況及び確定拠出年金法施行令及び公的年金制度の健全性及び信頼性の確保のための厚生年金保険法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置に関する政令の一部を改正する政令(令和3年政令第244号。②において「令和3年経過措置改正政令」という。)附則第2項の経過措置の適用状況がわかる書類を添付すること。
② 事業主等が税改省令附則第2条第1項第3号イ又は第4号イに掲げる場合に該当する規約の承認又は基金の設立認可の申請等を行う場合にあっては、税改省令附則第2条第1項第3号イ又は第4号イに掲げる場合に該当する実施事業所を対象として実施事業所ごとに、次に掲げる事項((オ)及び(カ)に掲げる事項にあっては、当該実施事業所において企業型年金加入者である加入者がいる場合に限る。)を併せて届け出ること。
(ア) 規約(基金)番号
(イ) 実施事業主名称
(ウ) 確定給付企業年金の実施事業所名称
(エ) 給付区分
(オ) 企業型年金規約番号
(カ) 令和3年経過措置改正政令附則第2項の経過措置の適用状況
4.報告書の提出について
事業主等は、毎事業年度終了後4月以内に事業及び決算に関する報告書を提出することとなっているが、当該報告書の受理にあっては、次に掲げる事項について留意すること。
(1) 報告書の内容は、「事業報告書」(様式C6参照)及び「決算に関する報告書」(様式C7参照)であること。ただし、様式C6―ウについては、直近に作成した給付の設計の基礎を示した書類(様式C2)(C6―ウの報告事項が網羅されているものに限る。)の提出に代えることができること。
(2) 決算に関する報告書は、別紙4の「勘定科目説明」に基づいて作成された「貸借対照表」及び「損益計算書」(様式C7―ク)並びに「積立金の額と責任準備金の額及び最低積立基準額並びに積立上限額との比較を示した書類」及び「積立金の積立てに必要となる掛金の額を示した書類」に、「年金数理に関する確認」(様式C1)が添付されたものであること。なお、一の確定給付企業年金において、リスク分担型企業年金とリスク分担型企業年金でない確定給付企業年金を実施する場合には、様式C6及び様式C7(業務経理は除く。)は、それぞれ別に作成し、その旨がわかるように提出すること。
(3) 基金型企業年金の場合にあっては、監事意見書及び代議員会会議録の謄本又は抄本が添付されているものであること。なお、監事意見書は、別紙5の「企業年金基金監事監査規程要綱」を基準として設けられた監査規定に基づき監事が行った監査の結果を示したものとすること。
(4) 事業年度終了後、報告書の提出までの間に、次の①から⑦までに該当した場合には、それぞれ①から⑦までに定める取扱いに従い、それぞれ①から⑦までに該当する前の状態で当該報告書が作成されていること。また、次の①から⑥中の「明記」とは、表題に、「確定給付企業年金の事業及び決算に関する報告書について(決算日 平成○年○月○日)(旧○○○○(規約(基金)番号○○号)分)」(規約(基金)番号は提出者と異なる場合に記載)と記載することであること。
① 法第74条の規定に基づき規約型企業年金の統合が行われた場合
統合後の事業主が、統合前の規約型企業年金分の報告書を、統合前の規約型企業年金分であることを表題に明記した上で提出すること。
② 法第75条の規定に基づき規約型企業年金の分割が行われた場合
分割後の規約型企業年金のうち、「分割前の規約型企業年金の加入者が最も多く加入している確定給付企業年金」の事業主(複数事業主の場合は当該規約型企業年金の代表事業主)が、分割前の規約型企業年金分の報告書を、分割前の規約型企業年金分であることを表題に明記した上で提出すること。
③ 法第76条の規定に基づき基金の合併が行われた場合
合併後の基金が、合併前の基金分の報告書を、代議員会で議決を得た上で(合併前の基金の代議員会で議決を得ていなかった場合に限る。)、合併前の基金分であることを報告書の表題に明記した上で提出すること。
④ 法第77条の規定に基づき基金の分割が行われた場合
分割後も存続する基金があれば存続基金が、分割により基金が消滅した場合は「分割により設立され、承継した権利義務(分割時の通常予測給付現価)が最も大きい基金」が、分割前の基金分の報告書を、代議員会で議決を得た上で(分割前の基金の代議員会で議決を得ていなかった場合に限る。)、分割前の基金分であることを報告書の表題に明記した上で提出すること。
⑤ 法第80条の規定に基づき規約型企業年金から企業年金基金への移行及び改正前法第108条に規定する規約型企業年金から存続厚生年金基金への移行により、終了の承認があったとみなされる場合
移行前の規約型企業年金の事業主(複数事業主の場合は当該規約型企業年金の代表事業主)が、移行前の規約型企業年金分の報告書を、移行前の規約型企業年金分であることを表題に明記した上で提出すること。
⑥ 法第81条の規定に基づき基金から規約型企業年金への移行により基金が解散の認可があったとみなされる場合
事業主(複数事業主の場合は当該規約型企業年金の代表事業主)が、移行前の基金分の報告書を、移行前の基金分であることを表題に明記した上で提出すること。なお、移行前の基金の代議員会で報告書の議決を得ていなかった場合は、「事業及び決算に関する報告書を議決した代議員会の会議録を添付できない理由書」(様式D参照)を添付すること。
⑦ 法第83条第2項の規定に基づき基金の解散又は同法第83条第1項に規定する規約型企業年金の終了が行われた場合
清算人が、当該解散基金又は終了規約型企業年金の報告書を提出すること。なお、基金の解散時に解散前の基金の代議員会で報告書の議決を得ていなかった場合は、「事業及び決算に関する報告書を議決した代議員会の会議録を添付できない理由書」(様式D参照)を添付すること。
(5) (1)及び(2)にかかわらず、閉鎖型受託保証型確定給付企業年金の事業主等が提出する事業及び決算に関する報告書の内容については、様式E2によるものとし、「年金数理に関する確認」(様式C1)が添付されたものであること。
(6) (1)及び(2)にかかわらず、受託保証型確定給付企業年金(閉鎖型受託保証型確定給付企業年金を除く。)の事業主等が提出する事業及び決算に関する報告書の内容については、様式E4によるものとし、「年金数理に関する確認」(様式C1)が添付されたものであること。
5.確定給付企業年金の終了に伴う清算業務について
清算の業務は、供託法等の関連法規によるほか次により取り扱うものであること。
(1) 財産目録等の承認申請
規則第100条の規定に基づき地方厚生局長等に提出する財産目録等の承認の申請に関する書類は、次により作成されたものであること。ただし、閉鎖型受託保証型確定給付企業年金の場合は、①から③に代えて、終了日現在における積立金の額及び最低積立基準額を算出し、様式E2により作成されたものであること(1.給付状況の「件数」及び「金額(円)」の欄を斜線とすること。)。
① 財産目録
終了日現在において、経理単位ごとに別紙4の「勘定科目説明」の大分類及び中分類ごとに作成すること。
② 貸借対照表
終了日現在において、経理単位ごとに別紙4の「勘定科目説明」に基づき様式C7―クを用いて作成すること。
③ 終了時の積立金の額並びに最低積立基準額及びその算定基礎を示した書類(様式C5参照)
終了日現在における積立金の額及び最低積立基準額を算出し作成すること。
(2) 決算報告書の承認
規則第103条の規定に基づき地方厚生局長等に提出する決算報告書の承認の申請に関する書類は、次により作成されたものであること。ただし、閉鎖型受託保証型確定給付企業年金の場合は、①及び②の作成を要しないこと。
① 貸借対照表
清算の結了日(基金にあっては、基金の債務の弁済が完了していること。以下同じ。)において、経理単位ごとに別紙4の「勘定科目説明」の大分類、中分類及び小分類ごと(簡易な基準に基づく確定給付企業年金にあっては大分類及び中分類ごと)に作成すること。
② 損益計算書
終了日の属する年度の初日から清算の結了日までの期日について、経理単位ごとの勘定科目ごとの別紙4の「勘定科目説明」の大分類、中分類及び小分類ごと(簡易な基準に基づく確定給付企業年金にあっては大分類及び中分類ごと)に作成すること。
③ 残余財産処分計算書(様式C8参照)
規約に定める方法により分配し、分配が完了した日において作成すること。
(3) 基金から規約型企業年金へ移行した場合の取扱い
① 法第81条第3項の規定により解散の認可があったものとみなされた基金は、同条第2項の承認後、速やかに、財産目録等の承認及び決算報告書等の承認等の基金の解散に必要な手続を経ること。
② 基金の清算が結了した時点において、なお基金の残余財産がある場合にあっては、当該残余財産を移行した確定給付企業年金の年金経理に移換すること。
6.確定給付企業年金の業務委託法人の指定及びその運営について
確定給付企業年金の業務委託法人の指定要領を別紙6のとおり定めたので通知する。
7.満期保有目的の債権を金融商品会計基準等に準拠して評価する場合の読替えについて
「確定給付企業年金制度について(平成14年3月29日年発第0329008号)」の別紙3「確定給付企業年金の年金積立金の評価方法について」に基づき、有価証券等の保有区分を適用する場合の技術的な読替えは別紙7のとおりとする。
8.支払終了企業年金の報告について
規約型企業年金において、全ての受給権者等に対して年金又は一時金の支給が完了し、また、加入者が存在せず、かつ新規に加入者が生じない確定給付企業年金(以下、この8において「支払終了企業年金」という。)であって、法第83条第1項第3号により当該支払終了企業年金を終了しようとする場合には、支払終了企業年金になることが確認されたこと及び清算人の候補について様式F1により報告するよう指導すること。また、支払終了企業年金の清算が終了し、清算人が退任する場合は、規則第102条に基づき、様式F2により、清算人の死亡等による場合は、同条に基づき、様式F3により、遅滞なく、届け出るよう指導すること。
(別紙1)
(別紙1の2)
特別算定方法に係る留意事項
(1) リスク算定告示第2条第2項又は第3項の規定に基づく特別算定方法により財政悪化リスク相当額を算定する場合には、リスク算定告示第3条第1項の規定に基づく厚生労働大臣の承認(以下「特別算定方法の承認」という。)を受ける必要があること。
ただし、リスク分担型企業年金以外の確定給付企業年金の事業主等がリスク算定告示第3条第1項各号に掲げる算定方法により財政悪化リスク相当額を算定する場合には、特別算定方法の承認は不要であるが、その算定方法(以下「承認不要な特別算定方法」という。)も特別算定方法であることからリスク算定告示第3条第4項の要件を満たす必要があること。
(2) 特別算定方法の承認の審査に当たっては、リスク算定告示第3条第4項各号の要件について、次に掲げる事項を満たすものであるか確認する必要があること。
① 通常予測給付額の現価に相当する額(リスク分担型企業年金の場合にあっては、調整前給付現価相当額)から掛金の額の予想額の現価に相当する額と積立金の額を合算した額を控除した額の20年に1回の頻度で発生すると予想される最大額を算定するものであること。(リスク算定告示第3条第4項第1号要件)
・ 当該最大額の算定方法について、合理性を示す根拠が付されていること。
② リスク算定告示第1条第15号に規定する価格変動リスクを考慮するものであり、リスク算定告示第1条第16号に規定する負債変動リスクについて、以下の条件を満たすものであること。(リスク算定告示第3条第4項第2号要件)
・ リスク分担型企業年金にあっては、少なくとも予定利率と実績とが乖離することに伴い発生しうる危険(以下「予定利率低下リスク」という。)が考慮されていること。なお、当該危険をリスク算定告示第2条第1項第2号ロに定める方法により算定することは妨げられないこと。
・ 予定利率低下リスクを考慮する場合における予定利率の低下幅は1%(下限予定利率を下回る場合は、下限予定利率までの低下幅)を基本とし、それ以外を用いる場合には合理的な理由が付されていること。
③ 信頼できるデータ、情報及び手法として以下の条件を満たすものであること。(リスク算定告示第3条第4項第3号要件)
・ 単年度データなどの短期的な情報に基づくものではなく、原則20年程度以上の十分な期間にわたる数値を用いることを基本とし、それよりも短い期間のデータを用いる場合には合理的な理由が付されていること。
・ 過去の実績データの利用を原則とし、実績データ以外の情報を用いる場合には合理的な理由及び当該データの信頼性を確認できる根拠が示されていること。
(3) 承認不要な特別算定方法としてリスク算定告示第3条第1項第1号イに掲げる算定方法は、価格変動リスクを計算基準日時点の積立金の資産構成割合ではなく、政策的資産構成割合に基づき算定する方法であり、この算定方法に用いる政策的資産構成割合は、基本的には財政悪化リスク相当額を算定する時点で有効な政策的資産構成割合とすること。
ただし、例えば、政策的資産構成割合の見直しを予定している場合にあっては、確定給付企業年金の事情を踏まえ、見直し後の政策的資産構成割合を用いることも可能であること。
なお、政策的資産構成割合のその他の資産が2割以上である場合には、リスク算定告示第2条第2項の規定に基づく特別算定方法として、特別算定方法の承認が必要であること。
(4) 承認不要な特別算定方法としてリスク算定告示第3条第1項第1号ロに掲げる算定方法は、運用環境の変化により資産の価格が変動する以外の理由により積立金の額に増減が生じる場合にその積立金の増減を勘案して財政悪化リスク相当額を算定するものであること。
ここで、同号ロに掲げる算定方法には、積立金の増減を見込まずにリスク算定告示第2条第1項第1号又は第3条第1項第1号イの規定に基づき算定された財政悪化リスク相当額に対して、増減前後の積立金の比率を乗じることにより財政悪化リスク相当額を算定する方法を含むこととし、運用環境の変化により資産の価格が変動する以外の理由により積立金の額に増減が生じる場合とは、以下の場合とする。
① 法第74条の規定により規約型企業年金を他の規約型企業年金と統合する場合
② 法第75条の規定により規約型企業年金を分割する場合
③ 法第76条の規定により企業年金基金を他の企業年金基金と合併する場合
④ 法第77条の規定により企業年金基金を分割する場合
⑤ 法第78条の規定により事業主等が実施事業所を増加又は減少させる場合
⑥ 法第79条の規定により実施事業所に係る給付の支給に関する権利義務の他の確定給付企業年金への移転を行う場合又は他の確定給付企業年金から承継する場合
⑦ 公的年金制度の健全性及び信頼性の確保のための厚生年金保険法等の一部を改正する法律(平成25年法律第63号。以下「平成25年改正法」という。)第2条の規定による改正前の確定給付企業年金法(以下「改正前法」という。)第110条の2の規定により存続厚生年金基金の設立事業所に係る給付の支給に関する権利義務を確定給付企業年金が承継する場合
⑧ 法第80条第1項又は第81条第1項の規定により規約型企業年金又は企業年金基金の加入者等に係る給付の支給に関する権利義務を当該規約型企業年金又は企業年金基金が実施する事業主が設立した企業年金基金又は規約型企業年金に移転する場合
⑨ 法第80条第2項又は第81条第2項の規定により規約型企業年金が実施する事業主又は企業年金基金の実施事業所の事業主が設立した企業年金基金が規約型企業年金又は企業年金基金の加入者等に係る給付の支給に関する権利義務を承継する場合
⑩ 法第81条の2第1項若しくは第3項又は改正前法第115条の2第1項若しくは同法第115条の3第3項の規定により脱退一時金相当額を他の確定給付企業年金へ移換する場合若しくは他の確定給付企業年金から移換を受ける場合又は存続厚生年金基金へ移換する場合若しくは存続厚生年金基金から移換を受ける場合
⑪ 法第82条の2第1項の規定により積立金の一部を企業型年金の資産管理機関に移換する場合
⑫ 法第82条の3の規定により脱退一時金相当額を企業型年金の資産管理機関又は国民年金基金連合会へ移換する場合
⑬ 法第82条の5の規定により積立金の一部を独立行政法人勤労者退職金共済機構へ移換する場合
⑭ 法第82条の6の規定により企業型年金の資産管理機関又は国民年金基金連合会から個人別管理資産の移換を受ける場合又は独立行政法人勤労者退職金共済機構から解約手当金相当額の引渡し若しくは移換を受ける場合
⑮ 法第91条の19第2項又は平成25年改正法附則第46条第2項の規定による中途脱退者に係る脱退一時金相当額を企業年金連合会又は存続連合会へ移換する場合
⑯ 平成25年改正法附則第35条第1項の規定による存続厚生年金基金から残余財産の移換を受ける場合
なお、積立金の増減を勘案した後の積立金のその他の資産が積立金に占める割合が2割以上である場合には、リスク算定告示第2条第2項の規定に基づく特別算定方法として、特別算定方法の承認が必要であること。
(5) 承認不要な特別算定方法としてリスク算定告示第3条第1項第2号に掲げる算定方法は、負債変動リスクを予定利率が1%(下限予定利率を下回る場合は、下限予定利率までの低下幅)低下した場合の数理債務(過去勤務債務がある場合は、数理債務から特別掛金収入現価を控除することができる)の増加額として算定し、価格変動リスクに当該増加額を加算するものであること。
(6) リスク算定告示第4条第1項の規定により現在使用している特別算定方法の内容を変更する場合には、厚生労働大臣の承認(以下「特別算定方法の変更承認」という。)が必要であること。
ただし、その変更された特別算定方法の内容がリスク算定告示第3条第1項各号に掲げる算定方法により財政悪化リスク相当額を算定するものである場合には、特別算定方法の変更承認は不要であること。
なお、特別算定方法(承認不要な特別算定方法を含む。以下同じ。)を使用している場合であって、財政悪化リスク相当額の算定方法をリスク算定告示第2条第1項に規定する算定方法(以下「標準算定方法」という。)に変更するときには、あらかじめ特別算定方法に係る承認申請書類(承認不要な特別算定方法の場合は、当該特別算定方法に基づき初めて提出する掛金の計算の基礎を示した書類又は財政再計算報告書)において当該特別算定方法を使用する期間を限る旨及びその理由を記載している場合を除き、リスク算定告示第5条の規定に基づき特別算定方法の使用を中止する旨及びその理由を記載した書類を厚生労働大臣に提出すること。
(7) リスク算定告示第6条の規定により、年金数理人から現在使用している特別算定方法の内容又は特別算定方法を使用することが不適当である旨の所見を付された場合には、当該所見の内容に応じて速やかに、事業主等は、特別算定方法の内容が適当となるよう変更する又は特別算定方法の使用を中止すること。
例えば、年金数理人が次回の財政再計算までに特別算定方法の内容を変更する必要がある旨の所見を付したのであれば、事業主等は、当該財政再計算までに特別算定方法の内容が適当となるよう変更する又は特別算定方法の使用を中止する必要があること。
(別紙2)
確定給付企業年金の事業運営基準
1.総括的事項(規約型・基金型共通)
① 事業主及び企業年金基金(以下「基金」という。)は、加入者等及び受給権者の氏名、住所、生年月日その他の個人情報の保管・使用に当たっては、確定給付企業年金の実施に係る業務の遂行の目的のみに保管・使用し、当該業務以外の別の目的のために保管・使用してはならないこと(加入者等の同意がある場合その他正当な事由がある場合を除く。)。
② 基金は、加入者の氏名に変更が生じたときは、すみやかに当該加入者を使用する事業主から届出書を提出させることとし、当該異動内容を把握すること。
③ 規約型企業年金を実施する事業主は、加入者の住所に異動が生じたときは、すみやかに当該加入者からの申出を受け、当該異動内容を把握すること。
④ 基金は、加入者の住所に異動が生じたときは、基金型企業年金の事業主に対する当該加入者の申出等に基づき、当該異動内容を把握すること。なお、基金型企業年金の事業主に住所記録を管理・保管させることとしても差し支えないが、この場合には、基金は、基金型企業年金の事業主の住所記録の管理・保管状況を定期的に確認すること。
⑤ 規約型企業年金を実施する事業主及び基金は、加入者であった者(脱退一時金の全部を支給された者を除く。)について氏名又は住所に異動が生じたときは、すみやかに当該加入者であった者(脱退一時金の全部を支給された者を除く。)から届出書を提出させることとし、当該異動内容を把握すること。
⑥ 規約型企業年金を実施する事業主及び基金は、受給権者の氏名又は住所に異動が生じたときは、すみやかに当該受給権者から届出書を提出させることとし、当該異動内容を把握すること。
⑦ 加入者原簿は給付を受ける権利の有無及び内容を確認するための基本的な資料であることから、加入者資格の取得及び喪失の年月日その他給付の裁定に必要な事項について正確に記録するとともに、記録が滅失することのないように管理には慎重を期すこと。
⑧ 規約については、その現況及び変遷を常に明確にしておくこと。
⑨ 基金には、給付に課される所得税について、所得の支払者としての事務があることから、給付の支払のつど、給付の種類別に、受給者ごとの支払額、支払金融機関、所得税額及び住所等を記載した一覧表を作成し、事業年度終了後速やかに、当該事業年度中に支払った給付について、受給者ごとに、各支払年月日等を記載した一覧表を作成すること。当該支払に係る事務を委託している場合の扱いについては、これに準ずること。
2.企業年金基金の組織及び運営に関する事項
(1) 総括的事項
基金は、確定給付企業年金を実施するために特に設けられた法人であることから、基金の実情に応じて必要な内部統制を整備し、適宜見直しを行い、設立本来の目的を逸脱することなく、適切な運営に努めること。また、内部統制を向上させ、会計の正確性を確保するため、基金の実情に応じて公認会計士や年金数理人等を含めた専門的知見を有する者による支援を受けることが望ましいこと。
(2) 代議員会
① 代議員会は、基金の運営の重要事項を決定する議決機関であり、基金の運営の中核を占めるものであることから、事業主や労働組合等一部の者の専横を廃し、民主的に運営される必要があること。
② 加入者において選出する代議員(互選代議員)の選出の手続については、あらかじめ規程を設けることなどにより民主的に、かつ、適正に行うこと。また、事業主(その代理人を含む。)及び実施事業所に使用される者において選出する代議員(以下「選定代議員」という。)の選出の手続についても、あらかじめ規程を設けるなど明確化されていること。
③ 複数の厚生年金適用事業所において1の基金を設立する場合にあっては、各実施事業所の事業主及び加入者の意思が適切に反映されるよう配慮すること。そのため、総合型企業年金基金(2以上の事業主が共同して設立する基金(確定給付企業年金法施行規則(平成14年厚生労働省令第22号。以下「規則」という。)第19条の2第1号に規定する要件に該当する基金を除く。))にあっては、確定給付企業年金法施行令(平成13年政令第424号。以下「令」という。)第10条の2及び規則第19条の2の規定に基づき、当該基金の実施事業所の事業主の9割以上が所属する当該基金と異なる協同組織体(他の法令に根拠のある協同組織体に限る。)であって、次の(ア)から(ウ)までのいずれにも該当するものが存在する場合を除き、選定代議員の数は、基金の設立時の選定においては設立時、代議員の任期満了時の選定においては満了時の事業主の数の10分の1(事業主の数が500を超える場合にあっては50、事業主の数が30を下回る場合にあっては3)以上、選定代議員の選定の都度、全ての事業主により選定を行うこととし、その選定方法は、(1)事業主が他の事業主と共同で選定代議員候補者を指名する方法、(2)各事業主が独自の選定代議員候補者を指名する方法のいずれかを基本とし、(1)及び(2)の指名を希望しない事業主は選定行為を現役員・職員以外の第三者(選定人)に委任できるものであること。
(ア) 当該協同組織体は、その構成員のうち確定給付企業年金を実施していない事業主に対して当該基金への加入を義務付け又は推奨することを決議等しており、その決議等に基づく活動実績が確認できる。
(イ) 基金における方針決定の手続に先だって、当該協同組織体は、基金の事業運営方針(基金の実施及び解散、給付設計(加入者の資格、福利厚生事業、権利義務移転承継、資産の受入れに関する事項を含む)、掛金及び資産運用に関する方針)を組織決定し、選定代議員に対して示している。
(ウ) 当該協同組織体は、基金の事業運営状況について定期的(四半期に1回程度)に報告を受けるとともに、当該報告を踏まえて必要に応じて事業運営の改善の検討等を行う体制が内部の委員会規程・定款等に定められており、それに沿った運営の事実が議事録等で確認できる。
④ 代議員会の運営については、あらかじめ規程を設けるなどにより円滑な運営が行われるように措置すること。
⑤ 代議員の代理出席は、災害、傷病等やむを得ない事情がある場合に限り、一人の代議員が代理できる代議員の数は最小限に止めること。
⑥ 代議員会における会議の状況及び決定事項は、詳細に記録保管しておくこと。
⑦ 代議員会で審議された事項等について、代議員に選定されていない事業主も含めた全ての事業主への情報提供を適切に行うこと。
(3) 理事
① 理事の選挙の手続については、あらかじめ規程を設けることなどにより円滑な運営が行われるように措置すること。
② 理事長に事故があったとき又は理事長が欠けたときに理事長の職務を代理し、又はその職務を行う理事については、あらかじめ指定しておくこと。
③ 理事は、会議により業務を執行することを原則とし、理事の事務執行のため、理事をもって組織する理事会を設けること。
④ 理事会における会議の状況及び決定事項は、詳細に記録保管しておくこと。
(4) 監事
① 監事は、専門的・技術的な基金の事業が長期にわたり健全に継続でき、かつ、特定の目的のために特に設立された認可法人である基金の運営が健全に行われるよう、自己監査機関として特に設けられたものであることを鑑み、監事制度の活用を図ること。
② 確定給付企業年金法(平成13年法律第50号。以下「法」という。)第23条の規定により、監事に代表権が与えられる場合においては、監事2名で共同して行うこと。
③ 監事の監査は、別紙5の「企業年金基金監事監査規程要綱」を基準として監査規定を設け、これに基づき適正かつ厳正に行うこと。また、総合型企業年金基金にあっては、規則第117条第4項第1号及び第2号並びに確定給付企業年金法施行規則第117条第4項第3号に規定する監査に準ずるものとして厚生労働大臣が定めるもの(厚生労働省告示第335号)の規定に基づき、常時20億円以上の積立金を積み立て、又は積み立てると見込まれる場合は、当該要件に該当した決算の翌々年度決算から、次のいずれかを受け、その結果を監事の監査に活用して監事の監査の充実を図ること。
ア 監査法人又は公認会計士による会計監査
イ 別紙5の2の「合意された手続のチェック項目及びチェックポイント」及び日本公認会計士協会業種別委員会実務指針第62号「総合型確定給付企業年金基金に対する合意された手続業務に関する実務指針」(以下「実務指針」という。)等に基づき公認会計士又は監査法人(これらの者と同等水準で業務を遂行できる者を含み、当該基金の理事及び職員を除く。)とあらかじめ手続を合意し、監事の監査に帯同する等して実施する合意された手続なお、同等水準とは、以下の要件その他これに準ずる要件を満たす必要があること。
a 金融商品取引法(昭和23年法律第25号)第193条の2第1項の規定に基づく財務諸表の監査若しくは同条第2項に規定に基づく財務報告に係る内部統制の監査又は会社法第436条第2項第1号の規定に基づく計算書類の監査その他これらに準ずる任意監査等(監査役の監査及び監事の監査を除く。)に関する実務経験を有すること。
b 実務指針を熟知し、その内容を受託者に的確に説明でき、実務指針に準じて手続を実施できること。
c 監査の手法(例えば、残高確認状の送付手続や監査サンプリングの理論・手法)に精通していること。
(5) 事務組織
① 基金の規模に応じた事務組織の整備を図ること。
② 事務員の数が10人未満の基金にあっても、事務員の処遇を明らかにするため、労働基準法(昭和22年法律第49号)の規定に準じた就業規則を定めることが望ましいこと。
(6) 事務管理
① 基金の実施事業所の範囲及び役員の変遷については、詳細に記録しておくこと。
② 規約の現状及び変遷を明確にしておくこと。
(7) 財務及び会計
① 基金債権は、原則として、その全部又は一部を放棄し、又はその効力を変更することができないこと。
② 出納の担当者の業務及び責任の範囲を明確にしておくこと。
③ 現金の出納及び保管は、厳正かつ確実に行うこと
3.上場株式による掛金の納付
法第56条第2項の規定による上場株式による掛金の納付については、令第36条及び規則第39条から第42条までに定めるもののほか、次に定めるところによること。
(1) 規約変更の認可申請
株式による納付を行おうとする事業主及び株式による掛金の納付を受けようとする基金は、規約変更の承認(認可)申請書に、株式による掛金の納付に係る個別銘柄、数量等に関する実施事業所が策定した全体計画(以下「全体計画」という。)についての内容が記載されている書類を様式C9を参考に作成して添付し、変更日の原則1月前までに、管轄する地方厚生(支)局長(以下「地方厚生局長等」という。)に提出すること。
(2) 基金における実施時の事務処理
① 株式による納付の申出
基金は、全体計画に基づき、株式により掛金を納付する各納付時(以下、「実施時」という。)における株式の銘柄、株式数についての申請を実施事業所から受け、
ア 全体計画に沿ったものであるか
イ 基金の資産総額に対する割合(5%)及び発行済み株式総数に対する割合(5%)を超えていないか
ウ 株式の価額の合計額が実施時に納付すべき掛金の額を超えていないかを確認するとともに、当該内容について速やかに基金資産運用機関(基金が締結した基金資産運用契約の相手方をいう。以下同じ。)へ連絡すること。
なお、申請内容が全体計画と大幅に異なる場合は、改めて理事会の同意を必要とすること。
② 受渡日及び価額評価日
基金は、株式による納付が行われるごとに、実施事業所及び基金資産運用機関と協議の上、株式の受渡日を決定するとともに、株式に係る価額評価をする日について事務処理を勘案した上で、当該受渡日の前2日間のうちいずれかの日を定めること。
また、複数の株式が納付される場合、受渡日及び価額評価日については、個別株式毎に定めるのではなく、全株式において同一日とすること。
③ 受渡日前日又は前々日の事務処理
基金は、株式の価額評価について定めた日の終値により当該株式に係る価額評価を行い、全体の評価額について、実施事業所及び基金資産運用機関へ速やかに連絡すること。
④ 受渡日当日の事務処理
ア 基金は、納付される株式に係る全体の評価額が、補足掛金の額に不足する場合は、金銭によりその不足分の納付を受けること。
イ 株式の納付を受けた際には、株式受領書(様式C10)を実施事業所に発行すること。また、基金資産運用機関へ払い込む際には、払い込む株式の内容に係る明細を記載した書類を添付すること。
ウ 株式現物の納付及び払込に当たって、搬送の方法等の具体的な対応については、搬送途上の事故等が発生しうることから、極力株式現物の移送が伴わない形態が望ましいが、実施事業所、基金及び基金資産運用機関の当事者間で十分調整する必要があること。また、基金自らが株式現物を保管してはならないことから、受渡日のうちに搬送を完了すること。
(3) 規約型企業年金における実施時の事務処理
上記(2)を参考に、資産管理運用機関(規約型企業年金の事業主(以下「事業主」という。)が締結した資産管理運用契約の相手方をいう。以下同じ。)と協議の上、適切な事務処理を行うこと。
(4) 個別株式の価額評価
個別株式の価額評価においては、当該株式が上場されている金融商品取引所の終値を採用することとされているが、当日の終値がない場合は、金融商品取引所が公表する気配値を採用すること。さらに当日の終値及び気配値ともに公表されない場合には、直近の日の終値又は気配値が取得できる日まで遡り、当該日の終値又は気配値を採用すること。
なお、2以上の金融商品取引所に上場されている場合には、原則として東京証券取引所の最終相場を採用することとし、値付け日数及び取引量等から東京証券取引所での評価が適当でないと判断される場合は、値付け日数及び取引量等から最も適当と判断される金融商品取引所の最終相場を採用すること。また、東京証券取引所を除く2以上の金融商品取引所に上場されている場合には、値付け日数及び取引量等から最も適当と判断される金融商品取引所の最終相場を採用すること。
(5) 単元未満株式の取扱
単元未満株式については、流動性の問題があることから、納付を受けるべきではないこと。
(6) 納付された株式の転売制限及び議決権留保について
納付された株式は、実施事業所から資産管理運用機関又は基金に当該株式の所有権が移転されることから、当該事業所による当該株式の転売制限及び議決権留保は認められないこと。
また、事業主及び基金の理事については、当該株式の転売制限等受託者責任に反するような運用指図を信託会社に行うことはそもそも許されないものであるが、
ア 特定信託契約については、投資一任が義務付けられていること
イ 特定信託契約以外の信託契約については、株式運用の場合、銘柄、数量、価額、売買の別及び時期を指図することが運用方法を特定することになり、これは認められないこと
から、法令上も事業主及び基金の理事は当該株式の運用に関して、運用受託機関(資産管理運用機関及び基金資産運用機関をいう。以下同じ。)に指図できず、従って転売制限もできないものであること。
(7) 株式による掛金の納付に係る個別株式割合報告書について
株式で掛金を納付した事業主又は株式により掛金の納付を受けた基金においては、納付した株式又は納付された株式に係る報告書(様式C11)を、毎事業年度ごとに作成し、翌事業年度終了後4月以内に、地方厚生局長等へ提出すること。
(8) 留意点
① 株式の納付を受けるに当たっては、確定給付企業年金の規約上に、上場株式による掛金の納付を行うことができる旨規定する必要があり、規約変更に係る手続(注)が必要となること。その際、全体計画について、規約型企業年金の場合にあっては、資産管理運用機関の了承が、企業年金基金の場合にあっては、基金の了承が前提となること。
(注)規約変更の手続き
ア 規約型企業年金の場合 被保険者の過半数で組織する労働組合があるときは労働組合(ないときは、被保険者の過半数を代表する者)の同意及び厚生労働大臣の承認
イ 基金型企業年金の場合 代議員会の議決及び厚生労働大臣の認可
② 当該株式に係る運用を委託する運用受託機関において、当該運用受託機関が保有する当該株式数が当該株式の発行済み株式総数の5%を超える場合には、独占禁止法第11条の規定による金融会社の株式保有に係る認可申請を公正取引委員会へ、銀行法第16条の3の規定による株式保有に係る承認申請を金融庁へ行い、公正取引委員会の認可、内閣総理大臣の承認がそれぞれ必要となることから、事業主又は基金は全体計画に関して運用受託機関と連絡・調整すること。
③ 株式による納付を受けようとする基金は、適切な資産の管理運用を行うために、長期にわたり維持すべき資産構成割合(以下「政策的資産構成割合」という。)を策定するとともに、納付された株式により基金の資産構成割合を歪めることのないように十分配慮すること。
④ 株式による納付を行う事業主及び株式による納付を受けようとする基金は、積立金の運用に関する基本方針(令第45条第1項)において、運用業務に当たっての遵守事項として、納付された株式の利用方法及び制約事項を規定すること。
⑤ その他
ア 納付された株式の運用受託機関への払い込みに当たっては、適切な運用管理を行うため、通常の掛金に係る払い込み割合の対象とはせず、運用受託機関と調整のうえ委託すること。
イ 事業主及び基金は、「3.上場株式による掛金の納付」における運用受託機関への連絡については、記録に残る形で行うこと。
4.積立金の管理運用業務に関すること
事業主及び基金の積立金の管理及び運用に関する業務(以下「管理運用業務」という。)については、法、令及び規則に定めるもののほか、次に定めるところによること。
(1) 運用の基本方針及び運用指針の策定に当たっての留意点
① 運用の基本方針
運用の基本方針の策定・変更に当たっては、「確定給付企業年金制度について(平成14年3月29日年発第0329008号)(以下「法令解釈通知」という。)」及び「確定給付企業年金に係る資産運用関係者の役割及び責任に関するガイドラインについて(平成14年3月29日年発第0329009号)によるほか、必要に応じて運用受託機関とも連絡をとりながら、的確な内容のものとしていく必要があること。
基本方針の作成又は変更に際しては、規則第84条の2第1項に規定する方法により加入者の意見を聴くこと。
② 運用指針
運用指針の策定・変更に当たっては、運用受託機関とも協議を行いながら的確な内容のものとしていく必要があること。
また、運用の基本方針に係る事項についても運用受託機関に提示することが望ましいこと。
(2) 掛金の払込割合の変更等に関する取扱いについて
① 掛金の払込割合の変更、資産の移管の額及び年金給付費等の負担割合の変更並びにそれらの時期については、運用受託機関との契約の内容を踏まえ、事業主又は基金自らの判断により行うこと。
なお、年金資産は長期的観点から運用されるべきものであり、政策的資産構成割合を維持するために行う場合を除き、資産の移管又は掛金の払込割合の変更を適切な評価に基づかずに頻繁に行うことは、結果として運用効率を悪化させる可能性があることに留意すること。
② 積立金の各契約に係る資産の移管(保険契約における一般勘定と特別勘定との間における資産の振替を含む。以下「資産の移管」という。)に関する取扱いについて
ア 資産の移管を行うに当たっては、各運用受託機関と契約に基づく協議の上、基準とする契約資産額を確定するとともに、変更資産額及び変更後の資産額並びに資産の移管を行う日を決定すること。
イ 有価証券現物による移管に当たっては、その対象となる資産の範囲、移管の方法等の具体的な対応について事業主又は基金と信託銀行の契約当事者間で十分調整する必要があること。
ウ 有価証券現物の移管と受管に際して、事業主又は基金自らが有価証券現物を保管してはならないこと。仮に事業主又は基金自らが有価証券現物を保管した場合には、法第65条又は法第66条に抵触するものであること。
なお、有価証券現物の移受管の実施については、移受管に要する日数が資産の種類等により異なることから、その完了には一定の日数を要することも考えられるが、この場合においても、事業主又は基金自らが有価証券現物を保管することのないよう、信託銀行間において移受管される各資産について同日のうちにこれを完了する必要があること。
③ 給付費等の各運用受託機関の負担割合の取扱いについて
ア 給付費等の各運用受託機関の負担割合については、例えば、前事業年度の末日の2ヶ月前の日の各契約ごとの資産額の総資産の額に占める割合を基準とする等、各運用受託機関と契約に基づく協議の上、定めること。
イ 資産の移管を行った場合については、例えば、給付費等の負担割合を前事業年度の末日の2ヶ月前の日の各契約ごとの資産額の総資産の額に占める割合を基準としている事業主又は基金にあっては、それ以降の当該負担割合は、変更後の資産割合により取り扱い、また、資産移管の日が前事業年度末2ヶ月の場合は、資産の移管の日の属する事業年度の翌事業年度についても、引き続き変更後の資産割合で取り扱うこととする等、適切な取扱いを行うこと。
ウ 運用受託機関の辞任又は契約の解除等があった場合、当該運用受託機関が負担すべき給付費等については、当該運用受託機関は、辞任又は契約の解除等の日以降は支払うことができないことから、当該契約資産額が変更されるまでの間、契約が残存する各運用受託機関と協議の上、辞任又は契約の解除等となる運用受託機関の負担割合を負担することとする等、適切な取扱いを行うこと。
(3) 運用執行理事について
① 基金は、積立金の管理及び運用に関する業務(以下「管理運用業務」という。)を執行する理事(以下「運用執行理事」という。)を置かなければならないこととされているが、運用執行理事の選出に当たっては、基金の財政状況に精通し、管理運用業務を適正に執行できる者であって基金の業務運営に熱意を有する者を充てること。
なお、やむを得ない場合は、他の業務の担当理事と兼任して差し支えないが、その場合であっても他の基金の運用執行理事と兼務してはならないこと。
② 運用執行理事の職務の範囲は、おおむね次のとおりであること。
ア 運用受託機関の選定に関する事項
イ 運用の基本方針に関する事項
ウ 運用指針に関する事項
エ 運用受託機関との契約書、協定書等に関する事項
オ 資産の運用状況に関する事項
カ 監事及び行政庁による監査に関する事項
キ 理事会及び代議員会に対する運用状況及び決算に関する事項
(4) 基金の積立金の自家運用について
① 令第42条第2項の規定による届出について
ア 管理及び運用の体制に関する届出
令第44条第2号に掲げる方法により運用を行う基金は、理事会及び代議員会において意思決定を行うとともに、理事会において同号の運用業務に係る運用執行理事を選出、同号の管理運用業務に関する基本方針の決定を行ったうえで、当該運用執行理事及び管理運用担当者の氏名等を記載した届出書(様式C12)に必要な関係書類を添付し、遅滞なく地方厚生局長等に提出すること。
なお、届出書中の管理運用担当者については、法令解釈通知に規定する国内普通債券、新株予約権付社債、株式、外貨建債権、外貨建新株予約権付社債、外貨建株式のファンドマネージャー若しくは資産管理職員又は基金全体の資産を管理する責任者の職員ごとに記載すること。
イ 届出に必要な関係書類
届出に当たっては、それぞれ以下の書類を添付すること。
a 運用の基本方針を記載した書類
b 理事会及び代議員会の議事録の写し
c 投資顧問契約を締結した場合における契約書の謄本
d 株式インデックス運用におけるシステムの名称及び概要
② 令第44条第1号に掲げる方法により運用することができる基金の要件は、次のとおりとすること。
ア 理事会等基金内部での意思決定手続きに従って、運用の基本方針の策定において自家運用を行う基金が定めるべきとされている事項を運用の基本方針に定めていること。
イ 令第44条第1号に掲げる方法による運用業務に係る運用執行理事を置くよう努めなければならないこと。
ウ 法令解釈通知の第6の4の(1)に関する事項について、体制を整備するよう努めなければならないこと。
③ 令第44条第2号に掲げる運用方法に伴う積立金の管理について
基金は、令第44条第2号イ又はヘ(1)に掲げる有価証券の売買により運用する場合には、同一の会社の発行する社債の合計額は、同条第2号に係る運用資産額全体の10%以下となるよう運用すること。
④ 投資信託等への運用に当たっての留意事項
ア 投資信託又は外国投資信託(契約型投資信託)
a 投資信託及び投資法人に関する法律(以下「投信法」という。)の規定に基づき、受益証券の売買に当たっては、信託会社若しくは金融当局の認可を受けた金融商品取引業者(投資運用業を行う者に限る。)があらかじめ投資信託約款を金融当局へ届け出た投資信託に係る受益証券、又は外国投資信託の受益証券の発行者があらかじめ金融当局へ届け出た投資信託に係る受益証券を金融機関等(日本国内に本店又は主たる事務所を有する金融機関等(金融商品取引業者(第一種金融商品取引業を行う外国法人に限る。)を含む。)に限る。以下同じ。)を通じて売買するものでなければならないこと。
b 受益証券の購入に当たっては、投資信託約款、信託約款、目論見書等により、その商品の資産構成、リスク・リターン特性、投資哲学及び運用体制等が基金の政策的資産構成割合等運用の基本方針に適合するものであるかどうかについて十分な確認を行わなければならないこと。
c 基金は、事業年度ごとに資産を時価により評価し、その構成割合を確認する必要があることから、受益証券の購入後も販売金融機関等より運用に関する報告書を入手し、投資信託に係る資産構成、リスク・リターン特性、投資哲学及び運用体制等運用状況を把握しなければならないこと。なお、適切な運用管理を行う必要性から月次ごとに運用状況を把握することが望ましいこと。
イ 投資証券、投資法人債又は外国投資証券(会社型投資信託)
a 投信法の規定に基づき、投資証券又は投資法人債の売買に当たっては、設立企画人が資産運用の対象及び方針等の規約を作成し、金融当局への登録を行った投資法人による投資証券若しくは投資法人債、又は外国投資法人若しくはその設立企画人に相当する者が資産の管理及び運用等に関する事項を金融当局に届け出た上で募集の取扱い等が行われる外国投資証券を金融機関等を通じて売買するものでなければならないこと。
b 投資証券、投資法人債又は外国投資証券の購入に当たっては、投資口申込証又は投資法人債申込証に記載されている規約、目論見書等により、その商品の資産構成、リスク・リターン特性、投資哲学及び運用体制等が基金の政策的資産構成割合等運用の基本方針に適合するものであるかどうかについて十分な確認を行わなければならないこと。
c 基金は、事業年度ごとに資産を時価により評価し、その構成割合を確認する必要があることから、投資証券、投資法人債又は外国投資証券の購入後も販売金融機関等より運用に関する報告書を入手し、投資信託に係る資産構成、リスク・リターン特性、投資哲学及び運用体制等運用状況を把握しなければならないこと。なお、適切な運用管理を行う必要性から月次ごとに運用状況を把握することが望ましいこと。
ウ 私募投資信託への投資に当たって留意すべき事項
a 私募投資信託には、50人未満の者を相手方として募集する「少人数私募」と、募集人員に制限はないが適格機関投資家のみを相手方として募集する「プロ私募」の2種類があるが、基金は、現在、適格機関投資家でないため、直接、金融機関等を通じて売買を行うことができるのは「少人数私募」のみであり、「プロ私募」の売買に当たっては、委託運用により行わなければならないこと。
b 私募投資信託は、商品の資産構成、リスク・リターン特性、運用手法等につき基金の要望を反映した商品設計が可能である一方、投信法の情報開示に関する規制及び運用規制については公募投資信託に比べ緩和されたものとなっており、公募投資信託で義務付けられている目論見書及び信託約款等の交付が売買を行う金融機関等に義務付けられていないことや、投資信託に係る資産についてデリバティブの制限がないことなどから、その購入に当たっては、金融機関等から資産構成、リスク・リターン特性、投資哲学及び運用体制等について十分な説明を受けるとともに、購入後も運用状況を十分確認する必要があること。
エ 令第44条第1号イにおいて規定する投資信託の受益証券等の購入に当たっては、上記のアのb又はイのbに規定する投資信託約款、規約等により、その資産総額の2分の1を超える額を有価証券に対する投資として運用することを目的とするものであるかどうかについて十分な確認を行わなければならないこと。
⑤ 先物及びオプションによる運用に当たっての利用限度
債券先物、債券オプション、先物外国為替、通貨オプション、株価指数先物及び株価指数オプションにより運用するに当たっては、各資産ごとに以下の利用限度を遵守すること。
ア ネットベースで売りヘッジの場合(左辺が正の値である場合)
(売建に係る額+コール付与残高+プット取得残高)-(買建に係る額+コール取得残高+プット付与残高)≦現在保有する原資産の時価総額又は保有することが確定している原資産の時価総額
イ ネットベースで買いヘッジの場合(左辺が正の値である場合)
(買建に係る額+コール取得残高+プット付与残高)-(売建に係る額+コール付与残高+プット取得残高)≦(現在保有する現金又は保有することが確定している現金)+(付与対価合計額-取得対価合計額)
(注)なお、付与対価合計額とは、コール付与残高及びプット付与残高に係る対価(プレミアム)の合計額をいい、取得対価合計額とは、コール取得残高及びプット取得残高に係る対価(プレミアム)の合計額をいうこと。
ウ ただし、規則第81条第2項の規定により基金全体の政策的資産構成割合と実際の資産構成との乖離が現に生じ、当該乖離を縮小することを目的とする場合にあっては、上記にかかわらず、先物又はオプションによる運用が可能であること。
⑥ 株式インデックス運用に当たっての留意事項
ア 株式インデックス運用の対象となる株価指数は、規則第80条第3項に掲げる株価指数の他に、当該株価指数に準じたものとして厚生労働大臣が指定する指数とされているが、現在のところ、厚生労働大臣が指定した指数はないこと。
イ 規則第80条第2項第1号に規定する「株式の銘柄及びその株数の選定」は、上記アの株価指数に採用されている銘柄の株式のうちその全部又は一部について、以下に定める完全法、層化抽出法、最適化法、それらに類した方法又はそれらの方法の組み合せにより株式の銘柄及びその株数の選定を行うものであること。
a 完全法
採用した株価指数に採用されている全銘柄について、当該株価指数に完全に一致するようにポートフォリオを構築する方法であること。
b 層化抽出法
採用した株価指数に採用されている銘柄を個別銘柄の株価変動が類似する複数の銘柄群(セクター)に分類し、各銘柄群から当該株価指数の変動とできる限り一致するように銘柄を選定し、ポートフォリオを構築する方法であること。
c 最適化法
採用した株価指数の予想変化率とポートフォリオの予想収益率の差の分散を最小化するようポートフォリオを構築する方法であること。
5.基金の福祉事業に関すること
(1) 福祉事業の目的
基金の行う福祉事業は、加入者等に対し、基金の給付を補完するという性格を有しているものであるが、基金の財政の健全性に留意しつつ、給付と一体となって、加入者等の福祉の増進を図ることを目的として行われなければならないこと。
(2) 福祉事業の内容
基金の福祉事業を例示すれば次のとおりであるが、基金は、当該基金、当該基金の事業主及び加入者に関し、その実情及び福祉事業の必要性等の実態を総合的に勘案し、最も有効かつ適切な福祉事業を選択して行うものとすること。
① 保養、健康の保持増進のための施設・事業
会館、保養所、体育施設、山の家、海の家等の設置運営
各種スポーツ、レクリエーション等の実施
② 教養、文化活動の向上に資するための事業
年金、老後の生活資金等に関する知識の普及啓蒙
教養、趣味、社会活動の助長
③ 勤労施設の整備
農園、果樹園等の整備開放
④ 冠婚葬祭等における慶弔金、災害見舞金等の支給
(3) 実施の基準
① 福祉事業の実施にあたっては、規程を定めるなど、適正かつ効果的な運営が行われるよう措置すること。
② 福祉事業は、加入者等に対し公平に利用に供されるものであること。
③ 事業主が行う厚生施設又は健康保険組合が行う保健福祉施設との調整を十分考慮し、実効ある福祉事業の実施が図られるよう配慮すること。
④ 本来、事業主が行うべき事業の肩替りとみなされるものは実施しないこと。
⑤ 加入者又は加入者であった者以外の者に対し利用に供する場合については、加入者又は加入者であった者の利用に支障をきたさないよう充分配慮すること。
⑥ 不動産の取得を伴う事業については、給付の充実度及び財政状況を十分勘案し、実施計画を定め、予め管轄地方厚生局長等へ協議すること。
⑦ 保養、健康の保持増進のための施設及び勤労施設の整備を行う場合にあっては、環境の適否及び地形上、構造上の安全性並びに防火等安全を確保するための設備を整備するとともに、利用方法、利用者の範囲、利用時間、利用心得、利用料金、定員、管理人、損害賠償等に関し必要な事項を定めること。
⑧ 福祉事業の実施及び運営は、直営を原則とすること。ただし、より効果的な実施及び運営が期待される等特に必要がある場合にあっては、実施及び運営を委託しても差支えないものであること。
⑨ 福祉事業の実施及び運営を委託する場合においては、受託者の受託能力が不充分であるもの、設備資金として融資を行う必要があるもの等に対しては委託しないこと。
⑩ 不動産の取得を伴う事業については、その事業の設置目的の達成のためにより効果的であると判断される場合は、2以上の基金による共同設置又は健康保険組合等との共同設置ができるものであること。
⑪ 2以上の基金が共同で行う場合又は健康保険組合等と共同で行う場合は次の点に留意して実施すること。
ア 費用の分担は、公平に行うこと。
イ 共同で実施した事業の内容及び費用の分担等の関係書類を整理保管し、その実績を明確にしておくこと。
⑫ 福祉事業を実施するにあたっては、健康保険組合等と充分な連携のもとに実施すること。
(4) 費用
① 福祉事業を行うにあたって必要な費用は、掛金、寄附金、年金経理からの繰入金、業務経理業務会計からの繰入金及び事業収益金並びにその他の収入金をもってあてること。
② 基金は、福祉事業を行うに当たって必要な費用に充てるため、業務経理業務会計及び業務経理福祉事業会計の繰越剰余金並びに年金経理から業務経理福祉事業会計に繰り入れられた額について、業務経理福祉事業会計において積み立てることができるものであること。
③ 会館、保養所等の福祉事業を実施する基金にあっては、毎年の福祉事業に係る経常経費を、掛金、事業収入等の恒常的安定財源により賄うこと。
④ 不動産の取得を伴う福祉事業の実施にあたっては、当該不動産の取得費用等は、原則として全額事前積立によるとともに、具体的計画がない場合には、土地の先行取得は行わないこと。
6.その他
業務経理の余裕金の運用に当たっては、規則の趣旨を踏まえ、安全確実と認められる運用方法により行わなければならない。
(1) 余裕金運用の原則
業務経理は、基金の役職員の人件費や事務費等を支出するために設けられている経理であり、年金経理とは異なり積極的に運用収益を追求するものではないことから、規則第114条の規定によるほか、売買による収益の獲得を目的とした運用は極力避け、国内債券等で運用をする場合は償還期限に留意し、満期保有で行うことが望ましい。
(2) 国内債券等での運用方法
① 対象となる国内債券等の範囲(投資基準)業務経理の余裕金の運用の本来の趣旨等に鑑み、安全確実な運用方法に限定する観点から、運用可能な国内債券等の範囲を以下のとおりとする。
なお、判断に用いる信用格付は、金融庁登録の格付会社のいずれかが評価したものを用いることとする。
ア 円建てで発行された為替リスクが無い債券等であること。
イ 当該債券等の信用格付が「A」格以上であること。
② 運用のモニタリング
業務経理の余裕金における運用資産の安全性等を確保する観点から、保有債券等の適格性について、以下により定期的に信用格付の点検を行うものとする。
ア 原則として、理事会等の都度、少なくとも年2回以上、保有債券等の信用格付について、その時点で手に入れられる最新情報に基づいて、①の投資基準を満たしているか否かを検証すること。
イ 検証の結果、投資基準を満たさなくなった場合は、売却の選択肢も含め、下記(3)の手続きに即して、適切な対応を行うこと。
(3) 余裕金運用に係る意思決定手続き等
業務経理の余裕金の運用をする場合は、以下により組織内での意思決定手続き(決裁ルート、複数の者による承認等)を明確にした上で、理事会等の適切な関与のもとで行うものとする。
① 業務経理の余裕金の運用に関する企業年金基金内の責任者を定めること。
② 投資(売買)に際して、理事会等の事前承認を得る等、あらかじめ組織内で定めた意思決定手続きにより行うこと。
③ 運用状況(運用残高、内訳、保有債券等の信用格付等)を理事会等へ報告すること。
④ 代議員会に対しても、理事会等と同様に運用状況を報告すること。
(4) その他
規則第114条第4号の規定には、公社債投資信託が含まれるものであること。
別紙3 申請書類一覧
別紙4 勘定科目説明
(別紙5)
企業年金基金監事監査規程要綱
1 監事の監査は、確定給付企業年金法第22条第4項の規定に基づいて、企業年金基金(以下「基金」という。)の業務の適正かつ能率的運営を図ることを目的として行うものとする。
2 監査は、定例監査及び特別監査とし、書面、実地又はオンライン会議システム等のデジタル技術を活用した方式により実施するものとする。
3 定例監査は、少なくとも毎事業年度一回、次に掲げる事項のすべてについて行うものとする。
(1) 諸法令、諸規則等の実施状況
(2) 事務能率及び経営合理化の状況
(3) 事業計画の実施状況
(4) 経理及び掛金に関する事項
(5) 積立金の管理及び運用に関する事項
(6) 資産の取得、管理及び処分に関する事項
(7) 給付の算定基礎となる給与等の決定及び給付の裁定等の処分に関する事項
(8) 決算に関する報告書及び事業報告書に関する事項
(9) その他業務の執行に関する状況
4 特別監査は、特定の事項について、監事が必要と認める都度行うものとする。
5 監事は、毎事業年度当初、当該事業年度の監査の回数、時期その他監査の実施に関する事項を定める監査の実施計画を立て、これを理事長に通知するものとする。(様式1参照)
6 監事は、いつでも理事又は理事長に対して、業務及び財務に関する報告を求め、又は業務及び財務の状況を調査し、若しくは帳簿書類その他の物件を検査することができる。
7 監事は、決算に関する報告書及び事業報告書について監査したときは、これに意見を付さなければならない。(様式3参照)
8 監事は、前記3に掲げる事項について監査を行うほか、次の事項について調査、研究し、理事又は理事長に意見を提出することができる。
(1) 業務の改善に関する事項
(2) 予算の編成に関する事項
(3) 基金の財政計画に関する事項
(4) その他業務に関する重要事項
9 監事は、監査の結果を文書をもって理事長に通知するとともに、少なくとも年一回は代議員会に報告しなければならない。(様式2参照)
10 監事は、監査の結果に基づき、必要があると認めるときは、理事長又は代議員会に意見を提出することができる。
11 監事は、次の各号に掲げる文書の回付を受けるものとする。
(1) 監督官庁からの認可書、承認書、通知書その他の文書
(2) 積立金の管理及び運用に関する基本方針に関する文書
(3) 業務経理に属する契約であって重要なものに関する文書
(4) 借入金の借入れに関する文書
(5) その他業務運営に関する重要な文書
12 監事の職務は、合議により行う。
様式1
様式2
様式3
(別紙5の2)
合意された手続のチェック項目及びチェックポイント