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○心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律に基づく指定医療機関等に関する省令の一部を改正する省令の施行について

(平成20年8月1日)

(障発第0801001号)

(各都道府県知事あて厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長通知)

平成20年8月1日付で公布された心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律に基づく指定医療機関等に関する省令の一部を改正する省令(厚生労働省令第133号。以下「改正省令」という。)は、同日から施行され、これに伴い、心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律に基づく指定医療機関等に関する省令附則第2条第3項の規定に基づき厚生労働大臣が定める基準(厚生労働省告示第418号)、心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律に基づく指定医療機関等に関する省令附則第2条第7項の規定に基づき厚生労働大臣が定める事項(厚生労働省告示第419号)、心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律に基づく指定医療機関等に関する省令附則第2条第8項の規定に基づき厚生労働大臣が定める事項(厚生労働省告示第420号)が同日告示されたところである。

これらの概要は下記のとおりであるので、貴職におかれても改正の趣旨等について十分に御了知いただきたい。また、厚生労働省としても、入院医療が必要と決定された者への適切な処遇の確保の観点から、指定入院医療機関や法に基づく鑑定を行う医療機関に対し、病床不足時の臨時応急的な対応に係る協力を要請するなど可能な限りの対策を講ずる所存であるが、各都道府県におかれても、厚生労働省から記3による協力を要請した場合には、関係機関と連携しつつ、入院医療が必要と決定された者への適切な処遇の確保につき格段のご配慮をお願いする。

1 趣旨

心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律(以下「法」という。)に基づく指定入院医療機関の整備が進んでおらず、入院医療が必要と決定された者への適切な処遇の確保に支障を来すおそれが高まっていることから、新たに、病床に余裕がない場合又は余裕がなくなると見込まれる場合における臨時応急的な対応を規定したものである。

2 概要

(1) 病床不足時の臨時応急的な対応の追加(省令改正関係)

ア 病床不足時の臨時応急的な措置として、厚生労働大臣が、当分の間、すべての指定入院医療機関において病床不足が生じた場合、以下に掲げる者に対し、指定入院医療機関以外の医療施設(以下「特定医療施設」という。)又は指定入院医療機関の指定に係る病床以外の病床(以下「特定病床」という。)において、入院による医療を行う措置を実施できることとしたこと。ただし、(ア)に掲げる者については、当該措置の実施により、当該特定医療施設又は特定病床における病床に余裕がなくなり、又は余裕がなくなると見込まれる場合には、当該措置を実施できないこと。

(ア) 指定入院医療機関(以下「委託指定入院医療機関」という。)への入院決定を受けた者であって、当該指定入院医療機関に勤務する精神保健指定医の診察の結果、その症状に照らし、上記の措置の実施によりその精神障害の特性に応じ、円滑な社会復帰を促進するために必要な医療を受けることができなくなるおそれがないと認められるもの

(イ) 既に指定入院医療機関に入院している者であって、当該指定入院医療機関に勤務する精神保健指定医の診察の結果、当該者に対する医療の提供の経過及びその症状に照らし、早期に社会復帰することが可能であり、及び上記の措置を実施した場合においても、その円滑な社会復帰を促進するために必要な医療を受けるに当たって支障が生じないと認められるもの

イ 特定医療施設は、厚生労働大臣の定める基準(告示第418号により規定)を満たす下記の施設とすること。

(ア) 国又は都道府県が設置する精神科病院

(イ) 都道府県又は都道府県及び都道府県以外の地方公共団体が設立した地方独立行政法人が設置する精神科病院

(ウ) 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第19条の8に規定する指定病院

(エ) 前記ア(イ)に定める者の居住地に所在する指定通院医療機関の指定を受けた病院であって、当該者に対し入院医療による精神障害の医療を行うことができるもの

ウ 厚生労働大臣は、当該措置を行う際には、地理的条件、交通事情等を勘案して特定医療施設又は特定病床を有する指定入院医療機関を定めるとともに、委託指定入院医療機関又は前記ア(イ)に定める者が入院する指定入院医療機関(以下「委託指定入院医療機関」という。)の管理者に対し、特定医療施設の名称等を通知するとともに、必要に応じ、対象者を別の特定医療施設又は特定病床に移送する義務を負うこと。

エ 当該措置を行う場合、委託指定入院医療機関等の管理者は、当該委託指定入院医療機関等の医師等による治療計画の策定、定期的な診察又は病状の評価その他の厚生労働大臣の定める事項(告示第419号により規定)を実施するとともに、特定医療施設において当該治療計画に基づく適切な医療が提供されるよう、特定医療施設との間で、医療提供に関する契約を締結しなければならないこと。

オ 契約締結の際は、医療の提供及び処遇に関する事項、委託指定入院医療機関等の策定した治療計画の実施に関する事項、前記ア(ア)及び(イ)の対象者の病状急変時に講ずべき措置に関する事項、費用の算定及び支払に関する事項、契約解除等契約違反時の措置に関する事項その他厚生労働大臣が定める事項(告示第420号)を記載した契約書を作成しなければならないこと。

カ 当該措置に基づく医療の提供は、3か月を限度とするが、前記ア(ア)に定める者を入院させる特定病床においては、6ヶ月を限度とすること。ただし、前記ア(イ)に定める者について当該措置を行う場合、居住地における円滑な社会復帰を促進するため、必要と認める場合には、3か月を限度として延長することができること。

キ 厚生労働大臣は、いずれかの指定入院医療機関の病床に余裕が生じた場合、速やかに、前記ア(ア)に定める者を当該指定入院医療機関に移送させなければならないこと。

(2) 病床不足時の臨時応急的な対応の追加(告示関係)

ア 改正省令附則第2条第3項の規定に基づき厚生労働大臣が定める基準は、次のとおりであること。

(ア) 前記(1)ア(ア)に定める者を入院させる特定医療施設においては、健康保険法に基づく診療報酬の算定の方法により、精神科救急入院料又は精神科急性期治療病棟入院料の施設基準を満たしている病棟を有すること。ただし、前記(1)イ(ア)及び(イ)に定める施設にあっては、当該病棟又は看護職員の配置が当該病棟と同等以上であると認められる病棟を有すること。

(イ) 前記(1)ア(イ)に定める者を入院させる特定医療施設においては、健康保険法に基づく診療報酬の算定の方法により、精神病棟入院基本料1又は2の施設基準を満たし、かつ、精神科作業療法、入院生活技能訓練療法及び精神科退院前訪問指導料の算定実績があり、当該医療機関内に精神保健福祉士及び作業療法士又は臨床心理技術者を配置し、社会復帰に関する十分な体制を確保していること。

イ 改正省令附則第2条第7項の規定に基づき厚生労働大臣が定める事項は、次のとおりであること。

(ア) 治療計画の策定に関する事項

(イ) 定期的な診察又は病状の評価に関する事項

(ウ) 治療計画の見直しに関する事項

(エ) その他必要な事項

ウ 改正省令附則第2条第8項の規定に基づき厚生労働大臣が定める事項は、次のとおりであること。

(ア) 定期的な診察又は病状の評価のための職員の派遣に関する事項

(イ) 特定医療施設における無断退去防止及び無断退去時に講ずべき措置に関する事項

(ウ) 委託指定入院医療機関等が前記(1)ア(ア)及び(イ)に定める者の無断退去時に講ずべき措置に関する事項

(エ) 法第91条、第92条、第93条第2項及び第94条に規定する事項の実施に関する事項

(オ) その他必要な事項

3 病床不足時の臨時応急的な対応にかかる都道府県への協力要請

(1) 厚生労働省による、指定入院医療機関や法に基づく鑑定を行う医療機関等に対する病床不足時の臨時応急的な対応にかかる協力要請にもかかわらず、当該医療機関が改正省令附則第2条第3項及び厚生労働省告示第418号に定める要件を満たさない又は病床に余裕がないなどの理由により協力を得ることができない場合は、厚生労働省は、関係する都道府県に対し、必要な要請を行うこと。この場合において、厚生労働省は、要請する理由や内容等をできる限り具体的に明らかにすること。

(2) 各都道府県においては、厚生労働省より協力要請を受けた際は、都道府県立精神科病院、地方独立行政法人が設置する精神科病院等と連携し、入院医療が必要と決定された者への適切な処遇の確保に努めること。