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○災害時の救護所等におけるエックス線撮影装置の安全な使用について

(平成21年1月7日)

(医政指発第0107003号)

(各都道府県衛生主管部(局)長あて厚生労働省医政局指導課長通知)

災害時の救護所等におけるエックス線撮影については、トリアージの適切な実施、搬送先医療機関及び搬送手段の適切な選定等に資すると考えられており、災害時の救護所等におけるエックス線撮影装置の安全な使用に関する指針の作成が求められていたところである。

平成19年度厚生労働科学研究費補助金(健康危機管理・テロリズム対策システム研究事業)による「健康危機管理・大規模災害に対する初動期医療体制のあり方に関する研究」(主任研究者:辺見弘独立行政法人国立病院機構災害医療センター院長)における検討を基に、別添のとおり「災害時の救護所等におけるエックス線撮影装置の安全な使用に関する指針」を取りまとめたので、災害時の救護所等におけるエックス線撮影を行う際の参考とするよう、管下の保健所設置市、特別区、医療機関、関係団体等に対する周知方よろしくお願いする。

(別添)

災害時の救護所等におけるエックス線撮影装置の安全な使用に関する指針

1 指針の目的

本指針は、災害時の救護所等におけるエックス線撮影装置の安全な使用を確保し、医療機関及び搬送手段の適切な選定等に資することを目的とする。

2 災害時の救護所等におけるエックス線撮影の適用

(1) 対象となる救護所等

災害時の救護所、避難所、傷病者を集めてトリアージを行うトリアージポスト、広域搬送拠点、臨時医療施設(SCU;Staging Care Unit)、災害によりエックス線診療室が使用できなくなった医療機関の屋外等であって、放射線防護に関する専門的知識を有する医師、歯科医師又は診療放射線技師がエックス線撮影装置の管理を行う場所。

(2) 対象患者

適切な災害医療を行うためにエックス線撮影が必要であると医師又は歯科医師が認めた者。

(3) 撮影部位

適切な災害医療を行うために、エックス線撮影が必要であると医師又は歯科医師が認めた部位

(4) 撮影方法

エックス線撮影のみを行うこととし、透視は行わないこと。また、エックス線撮影時の照射野は必要最小限に絞ること。

(5) 撮影体位

原則として臥位撮影を行うこと。立位又は座位でのエックス線撮影を行う際には次に掲げる要件を満たすなど、適切な放射線防護措置を講ずること。

ア) 照射方向に0.25ミリメートル鉛当量以上の防護衝立、防護スクリーン等のしゃへい物又は防護衣により公衆に対する放射線防護措置を講ずること。

イ) 照射方向に、人が通行し、又は停在することのない場所とすること。

3 災害時の救護所等におけるエックス線撮影時の放射線防護措置

(1) エックス線撮影に関する説明

エックス線撮影を行う際には、患者、家族及び介助者に対し、個々のエックス線撮影の状況に応じて、次に掲げる内容について、分かりやすく説明を行うこと。

ア 臨床上の判断から救護所等におけるエックス線撮影が必要であること。

イ 放射線防護と安全に十分に配慮がなされていること。

ウ 安全確保のため、医師、歯科医師又は診療放射線技師の指示に従うべきこと。

(2) エックス線撮影時の放射線防護措置

① 医療従事者の防護

ア エックス線撮影装置を直接操作する医師、歯科医師又は診療放射線技師は、放射線診療従事者として記録し、個人被ばく線量計を着用すること。

イ 医療従事者が頻繁に患者の撮影時に身体を支える場合には、当該医療従事者は、放射線診療従事者として記録し、個人被ばく線量計を着用すること。

ウ 操作者は0.25ミリメートル鉛当量以上の防護衣を着用するなど、防護に配慮すること。

エ 操作者は、介助する医療従事者がエックス線撮影時に、患者の身体を支える場合には、0.25ミリメートル鉛当量以上の防護衣及び防護手袋を着用させること。

オ エックス線撮影に必要な医療従事者以外の者は、エックス線管容器及び患者から2メートル以上離れた場所で、エックス線撮影が終了するまで待機すること。また、2メートル以上離れることができない場合には0.25ミリメートル鉛当量以上の防護衣等により、放射線防護措置を講じること。

② 公衆の防護

ア 撮影患者以外の患者に対しては、エックス線管容器及び撮影患者から3メートル以上離れた場所で診療を行うこと。特に、子供及び妊婦に対しては、さらに十分な配慮が必要であること。

また、3メートル以上離れることができない場合には、0.25ミリメートル鉛当量以上の防護衣等により、放射線防護措置を講ずること。

イ 撮影を要する多数の患者がいる場合は、前の撮影患者の撮影が終了するまで3メートル以上離れ待機させること。

(3) エックス線撮影装置の保守管理等

エックス線撮影装置の保守管理や器材の選択は、被ばくの低減のみならず、良質なエックス線写真を得るためにも重要であるので、エックス線撮影装置の安全や性能が維持できているか定期的に点検を行うとともに、診療に適したイメージングプレート、フラットパネル等を選択し、適正な撮影、画像表示、及び出力が行われるよう注意すること。