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○自動体外式除細動器(AED)の講習内容の取りまとめについて

(平成16年8月16日)

(医政指発第0816001号)

(各都道府県衛生主管部(局)長あて厚生労働省医政局指導課長通知)

「非医療従事者による自動体外式除細動器(AED)の使用について」(平成16年7月1日付け厚生労働省医政局長通知。以下「平成16年7月通知」という。)記5その他(1)において、指導教育プログラムが取りまとめられた際等には、必要に応じて追って通知するものとしたところである。

一般市民を対象とした講習については、既に非医療従事者による自動体外式除細動器(AED)の使用のあり方検討会報告書(以下「報告書」という。)において示されているところであるが、今般、報告書にある公的な団体として(財)日本救急医療財団が主催する心肺蘇生法委員会(以下「心肺蘇生法委員会」という。)で、自動体外式除細動器の講習内容が取りまとめられたので、貴職におかれてはその内容について了知いただくとともに、管内の市町村(特別区を含む。)、関係機関、関係団体等に周知していただくようお願いする。

1 業務の内容や活動領域の性格から一定の頻度で心停止者に対し応急の対応をすることが期待・想定される者を対象に実施される講習について

報告書第3の3の(4)において、「非医療従事者のうち、業務の内容や活動領域の性格から一定の頻度で心停止者に対し応急の対応をすることが期待・想定される者を対象に実施される講習」は、「その活動領域の特性や、実施の可能性の高さ、それまでの基本的心肺蘇生処置の習得状況などに応じた適切な内容を盛り込んだ講習を行うことが期待される」とされていることを踏まえて、その講習の内容について別添1の通り取りまとめられたところである。特に、救急対応の義務のある業務に従事する者に対する講習は、当該講習の内容を満たすものであること。

2 講師養成のための講習について

報告書第3の3の(2)において、自動体外式除細動器の使用に関する講習の講師について、「地方公共団体の消防担当部局や公的な団体が実施する一定の講習プログラムを修了した非医療従事者が、一般市民を対象とした基本的心肺蘇生処置の指導員となり、これまでも講習のすそ野を広げることに貢献している実績に鑑み、自動体外式除細動器の使用に関する教授法を含む指導教育プログラムを修了した者も講師として活用すべき」とされているものの、平成16年7月通知において、「公的な団体において、関係学会の協力を得て作成するものとされている非医療従事者を対象とした指導教育プログラムの普及が図られるまでの間は、関連する基本的心肺蘇生処置及びAEDの使用に関し十分な知識・経験を有する有資格者とする」としたところである。これらを踏まえ、今般、講師養成のための講習の内容として別添2の通り取りまとめられたところであるので、今後、当該講習の内容を修了した者も講師として活用するものであること。

3 その他

(1) 上記の講習内容には、医学的内容である基本的心肺蘇生処置及び自動体外式除細動器の使用法が含まれていることから、その内容及び講習の実施について基本的心肺蘇生処置及び自動体外式除細動器の使用に関し十分な知識・経験を有する医師による指導又は助言を適宜得ること。

(2) 上記の講習内容は、各講習の受講者が身につけるべき最低限の内容であるので、当該講習の内容について必要に応じて充実を図ることや、各団体等が実施している応急手当等の講習内容に組み入れることについては、差し支えないものであること。

(3) 事後検証の結果等を踏まえて、講習の内容やあり方について、関係学会等の協力を得て、公的な団体で適宜見直していくものであること。

(4) 今般、併せて心肺蘇生法委員会で、自動体外式除細動器の使用に関する講習のテキストとして、「自動体外式除細動器(AED)を用いた救急蘇生法の指針(一般市民のために)」及び「指導者のための自動体外式除細動器(AED)を用いた心肺蘇生法の指針(一般市民用)」を作成することとし、その内容については、今後、(財)日本救急医療財団ホームページ(http://www.qqzaidan.or.jp)に掲載される予定となっているので、参考とされたいこと。

別添1

一定の頻度で対応することが想定される者のための自動体外式除細動器(AED)講習

【一般目標】

1.救命の連鎖と早期除細動の重要性を理解する

2.AED到着までの基本的心肺蘇生処置が実施できる

3.正しくAEDを作動させ、安全に使用できる

4.業務の中でのAEDの位置づけについて理解する

【講習内容】

大項目

中項目

小項目

到達目標

時間(分)

イントロダクション

コース開催の目的

コースの概説

病院外心停止者への対策及び救命の連鎖の重要性

病院外心停止者への対策及び救命の連鎖の重要性を理解する

15

基本的心肺蘇生処置(実技)

意識・呼吸・循環のサインの確認と心肺蘇生法

意識の確認、通報、気道の確保

意識の確認、早期通報、気道の確保が実施できる

10

人工呼吸

人工呼吸法が実施できる

15

 

 

循環のサインと心臓マッサージ

循環のサインを確認し心臓マッサージが実施できる

15

 

 

シナリオに対応した心肺蘇生法

シナリオに対応した心肺蘇生法の実施ができる

10

休憩

 

 

 

15

AEDの使用方法(実技)

AEDの使用方法

AEDの使用方法(ビデオあるいはデモ)

AEDの電源の入れ方とパッドの装着方法を理解する

10

 

 

指導者による使用方法の実際の呈示

AEDの使用方法と注意点を理解する

10

 

 

AEDの実技

シナリオに対応して、安全にAEDを使用できる

60

知識の確認(筆記試験)

実技の評価(実技試験)

 

知識の確認

シナリオを使用した実技の評価

心肺蘇生法とAEDに関する知識を確認する

様々なシナリオに対応したAEDや心肺蘇生法が実施できることを確認する

60

講習時間計

220

【留意事項】

○ 筆記試験及び実技試験については、客観的評価を行い、原則として試験の結果により内容の80%以上を理解できたことを合格の目安とすること。

○ 講習対象者の活動領域等に応じたシナリオの作成等、講習内容の創意工夫をおこなうこと。

○ 2年から3年間隔での定期的な再講習をおこなうこと。

○ 効果的かつ質の高い実習を行うために、受講者と用いる教材・機材等の配置については5:1以内が望ましいこと。

○ 効果的かつ質の高い実習を行うために、受講者と指導者の配置については10:1以内が望ましいこと。

別添2

講師養成のための自動体外式除細動器(AED)講習

【一般目標】

1.救命の連鎖と早期除細動の重要性を指導できる

2.AED到着までの基本的心肺蘇生処置を指導できる

3.正しくAEDを作動させ、安全に使用するよう指導できる

4.効果的かつ質の高い講習を実施できる

【講習内容】

大項目

中項目

小項目

到達目標

時間(分)

イントロダクション

コース開催の目的

コースの概説

病院外心停止者への対策及び救命の連鎖の重要性

病院外心停止者への対策及び救命の連鎖の重要性を指導できる

20

基本的心肺蘇生処置の確認

意識・呼吸・循環のサインの確認と心肺蘇生法を確認する

意識の確認、通報、気道の確保

意識の確認、早期通報、気道の確保を確実にできること確認する

15

人工呼吸

人工呼吸法を確実にできることを確認する

15

 

 

循環のサインと心臓マッサージ

循環のサインを確認し心臓マッサージを確実にできることを確認する

15

 

 

シナリオに対応した心肺蘇生法

シナリオに対応した心肺蘇生法を確実にできることを確認する

15

AEDの知識

AEDの基本的原理

AEDの解説、問題対処法、メンテナンス

AEDの基本的原理について指導できる

AEDに関する問題対処法、メンテナンスについて指導できる

30

シナリオに対応したAED使用方法(実技)

効果的なAED使用方法

様々なシナリオに対応したAED使用方法

様々なシナリオに対応したAED使用方法について理解する

60

休憩

 

 

 

15

AED使用方法の指導法(実技)

AEDの使用方法の指導法の実際

ビデオあるいはデモによるAED使用方法

ビデオあるいはデモによってAED使用方法について理解する

20

 

 

AED使用方法の実際の呈示

実際にAEDを呈示しながら、その使用方法と注意点について指導できる

20

 

 

様々なシナリオに対応したAED使用方法の指導法

様々なシナリオに対応したAED使用方法を指導できる

60

休憩

 

 

 

15

知識の確認(筆記試験)

実技の評価(実技試験)

 

知識の確認

シナリオを使用した指導方法の評価

心肺蘇生法とAEDに関する知識を確認する

様々なシナリオに対応した指導法を実施できることを確認する

60

講習時間計

360

【留意事項】

○ 受講の前提として、心肺蘇生法指導者講習を修了していること。

○ 筆記試験及び実技試験については、客観的評価を行い、原則として試験の結果により内容の80%以上を理解できたことを合格の目安とすること。

○ 受講者の活動領域等に応じたシナリオの作成等、講習内容の創意工夫をおこなうこと。

○ 2年から3年間隔での定期的な再講習をおこなうこと。

○ 効果的かつ質の高い実習を行うために、受講者と用いる教材・機材等の配置については5:1以内が望ましいこと。

○ 効果的かつ質の高い実習を行うために、受講者と指導者の配置については10:1以内が望ましいこと。