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○病院における吹付けアスベスト(石綿)対策の徹底及び使用実態調査の実施について

(平成20年5月1日)

(医政発第0501015号)

(各都道府県知事あて厚生労働省医政局長通知)

病院におけるアスベスト(石綿)対策については、患者等の安全対策に万全を期すために、平成17年8月に「病院における吹付けアスベスト(石綿)等使用実態調査」等を実施し、その結果及びその後のフォローアップ結果を公表するとともに、「ばく露のおそれがある場所」を有している病院については、法令等に基づき適切な措置を指導するなど従来より適切な対応をお願いしてきたところです。

アスベストを取り巻く最近の状況は、昨年12月に総務省行政評価局からアスベスト対策に関する調査結果に基づく勧告(勧告本文及び結果報告書等については、下記HPで公開)が、当省の他関係省庁(総務省、文部科学省、国土交通省及び環境省)に出されました。

また、アスベストのうち一般に知られているクリソタイル、アモサイト及びクロシドライト以外のトレモライト、アンソフィライト及びアクチノライトの使用実態が報道され、これを受け、別紙のとおり、厚生労働省労働基準局から「石綿等障害予防規則第3条第2項の規定による石綿等の使用の有無の分析調査の徹底等について」(平成20年2月6日付け基安化発第0206003号)によりアスベストに係る分析調査の徹底に関する通知が発出されたところです。

これらの情報及び対応については、先に開催された全国医政関係主管課長会議等でもお願いしているところですが、改めて、以下の対応方針とし、管下の病院の管理者に周知するとともに、適切な対処について指導方お願いします。

厚生労働省としては、アスベスト問題に関する関係省庁会議で実態調査の必要性が確認されたことを受け、患者又は職員等の安全対策に万全を期すため、6種類のアスベストに係る使用実態調査を実施することとしました。

本調査については、貴都道府県の建築関係部局、環境関係部局、福祉関係部局、教育関係部局などと十分連携の上、管下の病院に対し依頼するとともに、別添「病院における吹付けアスベスト(石綿)等使用実態調査要領」に基づき、調査表を作成の上、平成20年6月30日(月)までに提出していただくようお願いいたします。

なお、本調査の結果については公表を検討していることを申し添えます。

今後とも、「ばく露のおそれがある場所」を保有している病院はもとより、吹付アスベストが安定していて飛散のおそれのない病院であっても、破損の際にはアスベストの繊維が飛散する恐れがあるため、引き続きアスベストの除去、封じ込め、囲い込み等法令等に基づき適切な措置を指導するなど病院における吹付けアスベスト(石綿)対策の徹底に万全を期されるようお願いします。

Ⅰ 総務省勧告のうち厚生労働省関連事項

1 使用実態把握の充実等

使用実態調査におけるアスベスト使用の確認状況

アスベストの飛散・ばく露防止対策を実施するための基礎資料となる各省が実施した使用実態調査について、15都道府県に所在する389施設のアスベスト使用についての確認状況を総務省が調査したところ、所有者等が、調査対象とされた年度内に増改築された棟を確認していないもの、機械室等建築物内の一部の部屋のみに限定しているものなど、建築物全体における使用状況を十分確認していないものが、計6施設(病院は3施設)で見られたとされている。

また、エレベータ昇降路内を確認していないものが、計90施設(病院は17施設)で見られたとされている。

【所見】 勧告(P18、19)、結果報告書(P40、43)

総務省、文部科学省、厚生労働省及び国土交通省は、使用実態調査においてアスベスト使用の有無が的確に把握されていない状況があったことを踏まえ、アスベスト使用建築物の実態把握を充実させることとし、次の措置を講ずる必要がある。

①アスベスト使用の有無についての確認を所有者等に徹底させるよう都道府県等に助言すること。

②アスベストが使用されている可能性があるエレベータの昇降路等の建築設備があることを引き続き都道府県等に情報提供するなど、相互に連携して、都道府県等への支援に努めること。

《対応方針》

○ アスベスト使用の有無についての確認の所有者等への徹底について

管下の病院の管理者に対し、吹付けアスベスト等の使用状況については建築物全体について確認するよう周知するとともに、一部の部屋のみ等十分確認していないことが判明した場合は建築物全体について確認を徹底し適切に対処するよう指導すること。

○ エレベータの昇降路に係る実態把握調査の必要性について

管下の病院の管理者に対し、エレベーターの昇降路内について、アスベストが使用されている可能性があることを周知するとともに、確認を行っていない事例が判明した場合は確認を行うよう指導すること。

2 ばく露防止対策等の適切な実施

吹付けアスベスト等の管理状況

アスベストの飛散・ばく露防止対策を実施するための基礎資料となる各省が実施した使用実態調査について、15都道府県に所在する254施設のアスベスト使用実態調査の結果の保存状況を総務省が調査したところ、所有者等が、保存の必要性を認識していないなどの理由から、これを保存していないものが、計12施設(病院は1施設)で見られたとされている。

【所見】 勧告(P31)、結果報告書(P69)

総務省、厚生労働省及び国土交通省は、相互に連携して、設計図書、使用実態調査等により吹付けアスベスト等の使用が判明したもの及び今後把握されたものについて、所有者等において、その適切な管理が図られるよう、次の措置を講ずる必要がある。

① 略

②厚生労働省及び国土交通省は、使用実態調査結果等の所有者等における保存の必要性について、都道府県等を通じて建築物の所有者等に周知すること。

《対応方針》

○ 使用実態調査結果等の所有者等における保存ついて

管下の病院の管理者に対し、適切なアスベスト管理の観点等から、実態調査結果、設計図書及び工事記録等アスベスト関連書類を適切に保存すべきものであることを周知すること。

(参考)アスベスト対策に関する調査結果に基づく勧告(平成19年12月 総務省行政評価局)

・要旨(HTML) http://www.soumu.go.jp/s-news/2007/071211_1.html

・要旨(PDF) http://www.soumu.go.jp/s-news/2007/pdf/071211_1_1.pdf

・事例集(PDF) http://www.soumu.go.jp/s-news/2007/pdf/071211_1_2.pdf

・勧告(PDF) http://www.soumu.go.jp/s-news/2007/pdf/071211_1_3.pdf

・結果報告書 http://www.soumu.go.jp/s-news/2007/071211_1_4.html

Ⅱ 新聞報道

アスベストのうち、クリソタイル、アモサイト、クロシドライト以外のトレモライト、アンソフィライト、アクチノライトの使用実態(平成20年1月5日、2月19日等)

《対応方針》

○ トレモライト、アンソフィライト及びアクチノライトの使用実態について

管下の病院の管理者に対し、クリソタイル、アモサイト及びクロシドライトの3種類以外のトレモライト、アンソフィライト及びアクチノライトの使用実態について注意喚起を行い、それらの使用が判明した場合は、法令等に基づき適切に対処するよう指導すること。

(別添)

病院における吹付けアスベスト(石綿)等使用実態調査要領

1.調査対象施設

(別紙1)に掲げる病院。

2.調査対象建材

平成8年度以前に竣工した建築物(改修工事も含む。)に使用されている以下に掲げるもの。

(1) 吹付けアスベスト(石綿)等(※)

石綿障害予防規則(平成17年2月24日厚生労働省令第21号、以下「石綿則」という。)第2条第1項に定めるアスベスト(石綿)等で、建築物の壁、柱、天井等に吹付けられたもの。

※ いわゆる「吹付けアスベスト(石綿)」、「吹付けロックウール」及び「吹付けひる石(バーミキュライト)」等と呼ばれているもので、含有する石綿(アクチノライト、アモサイト、アンソフィライト、クリソタイル、クロシドライト及びトレモライトの6種類)の重量が当該製品の重量の0.1%を超えるもの。

(2) 折板裏打ちアスベスト(石綿)断熱材

鋼板製屋根用折板等に主として結露防止等のために張り付けられたもので、アスベスト(石綿)を含有する製品。

3.調査対象建材の特定方法

設計図書等に基づき、その建築物に使用されている建材が調査対象建材に該当するか否かについて業者等に確認を行うなどして、調査対象建材及びその使用部位を特定する。(特定に当たっては、建築物について、一部の部屋に限定することなく建築物全体について対象とすること。また、エレベータの昇降路内にもアスベストが使用されていることがあるので十分留意すること。)

その際(別紙2(日本石綿協会「既存建築物における石綿使用の事前診断管理指針」抜粋、全文は同協会HP http://www.jaasc.or.jp/ 参照))に示す品目例に該当するか否かが一つの具体的判断基準と考えられるが、この品目例以外にも調査対象建材に該当するものがある可能性があるので、アスベストの含有の有無が明確に確認できない場合は、分析調査を行い、調査漏れのないよう十分留意して下さい。

※ 特に、これまで建材等に使用された石綿は、主にクリソタイル、アモサイト及びクロシドライト(以下「クリソタイル等」という。)とされていたが、最近になってトレモライト、アンソフィライト及びアクチノライト(以下「トレモライト等」という。)が建築物の吹付け材から検出された事案があることから、(別紙2)に示す品目例に該当しない場合であっても、使用されている吹付け材にトレモライト等を含む石綿が使用されていないか、改めて業者等に確認を行い、確認ができない場合は分析調査を行うなど、適切な対応をお願いします。

また、設計図書等においてアスベスト使用の有無が確認できず、分析調査を実施する場合は、「石綿障害予防規則第3条第2項の規定による石綿等の使用の有無の分析調査の徹底等について」(平成20年2月6日付け基安化発第0206003号厚生労働省労働基準局安全衛生部化学物質対策課長通知)に基づき、適切に行われるようお願いします。

なお、(社)日本作業環境測定協会のホームページにおいて、石綿含有建材中の石綿含有率等分析機関の一覧を公表しているので、分析調査実施の参考として下さい。

(石綿含有建材中の石綿含有率等分析機関一覧)

http://www.jawe.or.jp/jigyou/seido-s/ishiwata/ishiwata-list.pdf

4.調査を行う者

調査は、病院の開設者又は管理者において行われるものであり、貴職において当該病院へ依頼した上、調査が適切に行われるようお願いします。

5.調査表提出期限

平成20年6月30日(月)

調査表の提出に当たっては、Excelで作成の上、「総括表」及び「未回答病院一覧」をメールにて提出いただくとともに、「病院個表」については各都道府県において、適切に保存して下さい。

また、「病院個表」において、分析調査の結果、トレモライト等のいずれかが含有していることが判明した場合は、アスベストの種類、使用場所等の記載をお願いしていますが、これに記載があるものについては、病院個表の提出をお願いします。

さらに、本調査結果、設計図書及び工事記録等アスベスト関連書類については、各病院開設者または管理者において適切に保存されるようお願いします。

6.提出先・照会先

厚生労働省(代表:03―5253―1111)

医政局指導課 鈴木(内線2555)、高橋

E-mail:ASBESTOSIRYO@mhlw.go.jp

7.調査実施方法

(1) 調査実施の留意点

調査の実施に当たっては、これまでに病院において実施してきた設計図書等による確認や分析調査の結果を踏まえ、さらに以下の事項に留意のうえ、「病院個表」に記載して下さい。

① 設計図書等によりアスベスト使用の有無を確認する場合は、特に3「調査対象建材の特定方法」の※印の記載に十分留意して下さい。

なお、施工された建材(吹付け材を含む)についてトレモライト等を含むすべての種類のアスベストが使用されていないことが設計図書等により明らかである場合は、石綿則第3条第2項の規定により、分析調査の必要はありません。

② 設計図書等ではアスベスト使用の有無が確認できず、分析調査を実施する場合は、

ア 新たに分析調査を実施する場合は、JIS法により6種類のアスベストを対象とした分析調査を実施して下さい。

イ これまでに「基発第188号」又は「基安化発第0622001号」による分析調査を実施し、「アスベストの含有なし」とされているものは、これらの分析方法がトレモライト等を対象とする方法ではないことから、トレモライト等を対象とし、JIS法による分析調査を実施して下さい。

また、JIS法による分析調査の結果、「アスベストの含有なし」とされているものについても、トレモライト等を対象としていない場合は、トレモライト等を対象とした分析調査を実施して下さい。

なお、上記基発第188号通知及び基安化発第0622001号通知による分析調査、同じくトレモライト等を対象としないJIS法による分析調査の場合であって、当該分析調査で実施されたX線回析分析のX線回析パターンにおいて、トレモライト等の回析線のピークが認められ、所有者が当該分析調査の結果に基づいて、トレモライト等がその重量の0.1%を超えて含有しているとして必要な措置を実施した場合(実施予定を含む。)は、改めて分析調査を行う必要はありません。

③ 従来の調査において、

・設計図書等に基づきアスベストの使用が判明し除去等の措置を実施している場合

・設計図書等や分析調査により6種類のアスベストが使用されていないことが明らかな場合

は、今回改めて調査を行う必要はなく、調査表の提出に当たっては、従来の調査結果を基に記入してください。

(2) 病院個表について

① 調査対象病院が有する建築物に、調査対象建材が使用されているかを調査し、調査対象病院ごとに(別紙様式1)の「病院個表」を作成して下さい。

② 「除去等の措置済」とは、除去済の他に「封じ込め状態」(*1)又は「囲い込み状態」(*2)にあるものを指すものであること。

(*1)封じ込め状態とは、吹付けアスベスト等をそのまま残し、薬剤等によりアスベスト等の表層等を固着化して、粉じんが飛散しない状態。

(*2)囲い込み状態とは、吹付けアスベスト等が使用空間に露出しないように壁、天井等で完全に覆われ、粉じんが飛散しない状態。

③ 「ばく露のおそれがないもの」とは、措置済状態ではないが、吹付けアスベスト等の損傷、劣化等による粉じんの飛散により、ばく露のおそれがない状態を指すものであること。

④ 「ばく露のおそれがあるもの」とは、措置済状態ではなく、吹付けアスベスト等の損傷、劣化等による粉じんの飛散により、ばく露のおそれがある状態を指すものであること。なお、「ばく露のおそれがあるもの」については、直ちにアスベストの除去を行うなど、法令に基づき適切な措置を講じること。

⑤ 「日常利用する場所」とは、患者又は職員等が常時使用する場所を指すものであること。

⑥ 「その他の場所」とは、「日常利用する場所」以外の全ての場所を指すものであること。

⑦ 「措置予定」とは、工事中及び具体的に工事日程が決まっている場合を指すものであること。なお、工事日程が決まっているか否かに関わらず、該当場所について利用を停止し封鎖している場合も「措置予定」とすること。

⑧ 「未定」とは、「除去等の措置済」及び「措置予定」以外を指すものであること。

(3) 総括表について

都道府県においては、病院から提出された「病院個表」を開設者種別(別紙1を参照)ごとに取りまとめ、(別紙様式2)の「総括表」を作成して提出して下さい。

なお、開設者種別ごとに、病院数、調査対象病院数及び回答病院数を記載して下さい。

(4) 未回答の病院について

提出期限において未回答の病院については、都道府県において、(別紙様式3)の「未回答病院一覧」を作成のうえ、提出願います。

8.その他

アスベストはその繊維が空気中に浮遊した状態であると危険であるといわれており、通常の使用状態では、板状に固められた建材の危険性は低いと考えられるため、アスベストを含有するボード類、床材及び保温剤等は本調査対象外としています。

一方で、これらについても、建築物の解体工事等をする場合の労働者保護の観点から、法令等に基づき適切に対処する必要があることから、石綿則第8条等の趣旨を踏まえ、これらの使用状況について把握に努める必要があるので留意して下さい。