アクセシビリティ閲覧支援ツール

添付一覧

添付画像はありません

○医療事故情報収集等事業における報告すべき事案等の周知について

(平成20年9月1日)

(医政総発第0901001号)

(特定機能病院・事故等報告病院院長あて厚生労働省医政局総務課長通知)

医療行政の推進につきましては、平素から格別の御高配を賜り厚く御礼申し上げます。今般、財団法人日本医療機能評価機構(以下「日本医療機能評価機構」という。)より、医療事故情報収集等事業平成19年年報が公表されました。

医療事故情報収集等事業においては、医療法施行規則(昭和23年厚生省令第50号)第12条に基づき、平成16年10月から、国立高度専門医療センター、国立ハンセン病療養所、独立行政法人国立病院機構の開設する病院、学校教育法に基づく大学の附属施設である病院(病院分院を除く。)及び特定機能病院について、登録分析機関(日本医療機能評価機構)に対し、医療機関内における事故その他の報告を求める事案の報告が義務付けられており、各医療機関より報告された事故等事案については、日本医療機能評価機構において収集、分析し提供することにより、医療機関や医療関係団体等において活用されているところです。

平成17年から19年の年報によると、報告義務対象医療機関273施設(平成19年12月31日現在)のうち、事故等事案の報告施設数は、平成17年は176施設、平成18年は195施設及び平成19年は193施設となっています。また、第9回報告書によると、平成16年10月から平成19年3月までに事案の報告が全くなかった医療機関は、53施設となっています。

本事業の充実により、医療機関が医療安全対策に有用な情報を共有するとともに、国民に対して情報を提供することを通じて医療安全対策の一層の推進を図るため、貴職におかれましては、改めて別添通知(「医療法施行規則の一部を改正する省令の一部の施行について」(平成16年9月21日付け医政発第0921001号))を御確認いただき、事故等事案を報告されるよう宜しくお願いします。

(留意事項) 本通知の内容については、貴院の医療に係る安全管理のための委員会の関係者、医療安全管理者、医薬品及び医療機器の安全使用のための責任者等に対しても、周知願います。

<別添>

○医療法施行規則の一部を改正する省令の一部の施行について

(平成16年9月21日)

(医政発第0921001号)

(各都道府県知事・各政令市市長・各特別区区長あて厚生労働省医政局長通知)

今般、平成16年9月21日付けで公布された医療法施行規則の一部を改正する省令(平成16年厚生労働省令第133号。以下「改正省令」という。)については、本年10月1日をもって施行されることとなった。

改正の趣旨、内容等については下記のとおりであるので、御了知の上、その運用に遺憾のないよう特段の御配慮をいただくとともに、本通知の趣旨等について、貴管下保健所設置市、特別区、医療機関、関係団体等に対し周知願いたい。

第一 改正の趣旨

平成13年5月に厚生労働省に設置した「医療安全対策検討会議」において、今後の医療安全対策の目指すべき方向性と緊急に取り組むべき課題について幅広い検討が行われ、「医療安全推進総合対策」が取りまとめられ、事故事例の収集については、法的な問題も含めてさらに検討することとされた。これを受けて設置した「医療に係る事故事例情報の取扱いに関する検討部会」により引き続き検討が行われ、平成15年4月、報告書が取りまとめられた。本報告書においては、医療事故の発生予防・再発防止策を講じるため、医療現場から「幅広く」、「質の高い情報」を収集し、専門家により分析した上で、改善方策を医療現場等に提供する必要があること、及び、事故の分析体制が確立されている国立高度専門医療センター、特定機能病院等については、特に重大な事例の報告を義務付けること等が指摘された。今回の改正省令は、医療機関における医療の安全確保が医療政策における最重要課題の一つであることにかんがみ、本報告書の趣旨等を踏まえつつ、医療法施行規則(昭和23年厚生省令第50号。以下「規則」という。)の一部改正によって、国立高度専門医療センター等における事故等事例の報告に関する事項を定めるものである。

第二 改正内容

平成16年10月1日より、(1)の対象医療機関の管理者は、当該医療機関において(2)の事故等事案が発生した場合には、当該事案が発生した日から原則として二週間以内に、(3)に掲げる項目(詳細は別紙参照)を記載した報告書を作成し、厚生労働大臣の登録を受けたもの(以下「登録分析機関」という。)に提出することとする。なお、報告様式等については、後日別途告示される登録分析機関から追って示される予定であることを申し添える。

また、登録分析機関の登録に係る改正部分に関しては、公布の日から施行とする。

(1) 対象医療機関

1 国立高度専門医療センター及び国立ハンセン病療養所

2 独立行政法人国立病院機構の開設する病院

3 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)に基づく大学の附属施設である病院(病院分院を除く。)

4 特定機能病院

(2) 医療機関における事故等の範囲

1 誤った医療又は管理を行ったことが明らかであり、その行った医療又は管理に起因して、患者が死亡し、若しくは患者に心身の障害が残った事例又は予期しなかった、若しくは予期していたものを上回る処置その他の治療を要した事案。

2 誤った医療又は管理を行ったことは明らかでないが、行った医療又は管理に起因して、患者が死亡し、若しくは患者に心身の障害が残った事例又は予期しなかった、若しくは予期していたものを上回る処置その他の治療を要した事案(行った医療又は管理に起因すると疑われるものを含み、当該事案の発生を予期しなかったものに限る。)

3 前二号に掲げるもののほか、医療機関内における事故の発生の予防及び再発の防止に資する事案。

(3) 報告を求める項目

1 当該事案が発生した日時、場所及び診療科名

2 性別、年齢、病名その他の当該事案に係る患者に関する情報

3 職種その他の当該事案に係る医療関係者に関する情報

4 当該事案の内容に関する情報

5 前各号までに掲げるもののほか、当該事案に関し必要な情報

第三 その他

第二の(1)以外の医療機関については、事故等事案の報告は義務づけられていないが、あらかじめ登録分析機関に申し出ることにより第二の(2)及び(3)と同様の報告を行うことが可能であるので、事故等事案の報告の重要性等に関する理解を深め、より多くの医療機関による報告が行われるよう本通知の趣旨等について周知に努められたい。

また、本報告制度への参加の有無にかかわらず、毎年通知している「医療法第25条第1項の規定に基づく立入検査の実施について」に基づく依頼(医療機関において発生した管理上重大な事故(多数の人身事故、院内感染の発生、診療用放射線器具等の紛失等)、軽微な事故であっても行政の参考となると判断される事案等の医政局指導課への情報提供)については、引き続き対応していただくとともに、関係医療機関にその旨ご周知願いたい。

別紙

報告を求める項目

1 当該事案が発生した日時、場所及び診療科名

発生月、その曜日(祝祭日であるか否かを含む。)、発生時間帯、発生場所、関連する診療科(複数回答可)

2 性別、年齢、病名その他の当該事案に係る患者に関する情報

患者の性別、患者の年齢、患者区分(入院又は通院の別)、疾患名(事故に関連したもの)

3 職種その他の当該事案に係る医療関係者に関する情報

当事者の職種(医師については専門医又は認定医資格の有無を含む)、当事者の職種経験(勤続)期間(年月)、当事者のその部署に部署配属期間(年月)、当事者の勤務状況(数値情報:直前1週間の当直または夜勤の回数(夜勤の場合にあたっては、2交代制か3交代制の別を含む))、発見者

4 当該事案の内容に関する情報

事故の内容(テキスト情報)、発生場面、事故の程度(死亡、傷害の残存、又は治療・処置の別)

5 前各号までに掲げるもののほか、当該事案に関し必要な情報

発生要因、患者側の要因(心身状態)、緊急に行った処置(テキスト情報)、事故原因(テキスト情報)、事故の検証状況(テキスト情報)、改善策(テキスト情報)

注1) テキスト情報以外の項目の記載に関しては、医療安全対策ネットワーク整備事業(ヒヤリ・ハット事例の収集、分析及び情報提供)の実施について(平成16年3月30日、医政発第0330008号、薬食発第0330010号)の別添2:「全般コード化情報」コード表及び別添3:「記述情報」コード・記述項目表に記載されている内容を参照すること。

注2) 改善策や事故原因等の記述情報の一部に関しては、2週間の提出期限時点で判明或いは検討出来ている内容で暫定的に記載、提出することとし、それ以降改善策や事故原因等の内容が確定するまで随時情報を追加提出することとする。

(参考)

① 規則に規定される報告を求める医療機関における事故等の範囲について、事故報告範囲検討会が取りまとめた考え方と具体的な例を別紙の参考1、2に示しているので、参考にされたい。

② 医療機関の安全管理の指導等は、厚生労働省ホームページ「医療安全対策について」(http://www.mhlw.go.jp/topics/2001/0110/tp1030-1.html)に各種報告書や研究成果等の資料を掲載しており、これらを参考にされたい。

参考1

報告範囲の考え方

 

患者重症度

A.死亡(恒久)

B.障害残存(恒久)

C.濃厚な処置・治療を要した事例(一過性)(注1)

軽微な処置・治療を要した事例または影響の認められなかった事例

原因等

 

1.明らかに誤った医療行為又は管理(注2)に起因して、患者が死亡し、若しくは患者に障害が残った事例又は濃厚な処置若しくは治療を要した事例。

事故(注4)として報告

注3 医療安全対策ネットワーク整備事業(ヒヤリ・ハット事例収集事業)へ報告

2.明らかに誤った医療行為又は管理は認められないが、医療行為又は管理上の問題(注2)に起因して、患者が死亡し、若しくは患者に障害が残った事例又は濃厚な処置若しくは治療を要した事例。(医療行為又は管理上の問題に起因すると疑われるものを含み、当該事例の発生を予期しなかったものに限る。)

 

3.上記1.2のほか、医療に係る事故の発生の予防及び再発の防止に資すると認める事例

※ ヒヤリハット事例に該当する事例も含まれる

事故(注4)として報告

・注1)濃厚な処置・治療を要する場合とは、バイタルサインの変化が大きいため、本来予定されていなかった処置や治療(消毒、湿布、鎮痛剤投与等の軽微なものを除く)が新たに必要になった場合や、新たに入院の必要が出たり、入院期間が延長した場合等をいう。

・注2)ここにいう「管理(管理上の問題)」では、療養環境の問題の他に医療行為を行わなかったことに起因するもの等も含まれる。

・注3)画像1 (1KB)別ウィンドウが開きます
部分は軽微な処置・治療を要した事例を示しており、従来のヒヤリ・ハット事例収集事業では報告対象外であった項目。

・注4)事故とは、過誤および過誤をともなわない事故の両方が含まれる。

参考2

事故報告範囲具体例

1.明らかに誤った医療行為又は管理に起因して、患者が死亡し、若しくは患者に障害が残った事例又は濃厚な処置若しくは治療を要した事例。

【医療行為にかかる事例】

・異物の体内遺残

・手術・検査・処置・リハビリ・麻酔等における、患者や部位の取り違え

・明らかに誤った手順での手術・検査・処置・リハビリ・麻酔等

・重要な徴候、症状や検査結果の見落とし又は誤認による誤診

【医薬品・医療用具の取り扱いにかかる事例】

・投薬にかかる事故(異型輸血、誤薬、過剰投与、調剤ミス等)

・機器の間違い又は誤用による事故

【管理上の問題にかかる事例、その他】

・明らかな管理不備による入院中の転倒・転落、感電等

・入院中に発生した重度な(筋膜(Ⅲ度)・筋層(Ⅳ度)に届く)褥瘡

2.明らかに誤った医療行為又は管理は認められないが、医療行為又は管理上の問題(注2)に起因して、患者が死亡し、若しくは患者に障害が残った事例又は濃厚な処置若しくは治療を要した事例。(医療行為又は管理上の問題に起因すると疑われるものを含み、当該事例の発生を予期しなかったものに限る。)

【医療行為にかかる事例】

・手術・検査・処置・リハビリ・麻酔等にともなう予期されていなかった合併症

・リスクの低い妊産婦の死亡

【医薬品・医療用具の取り扱いにかかる事例】

・医療機器等の取り扱い等による重大な事故(人工呼吸器等)

・チューブ・カテーテル等の取り扱いによる重大な事故

【管理上の問題にかかる事例、その他】

・熟練度の低い者が適切な指導なく行った医療行為による事故

・入院中の転倒・転落、感電、熱傷

・入院中の身体抑制にともなう事故

・その他、原因不明で重篤な結果が生じた事例

3.上記1.2のほか、医療に係る事故の発生の予防及び再発の防止に資すると認める事例

※ ヒヤリハット事例に該当する事例も含まれる

【医療行為等にかかる事例】

・移植にともなう未知の感染症

・遺伝子治療による悪性腫瘍

・汚染された薬剤・材料・生体由来材料等の使用による事故

【管理上の問題にかかる事例】

・間違った保護者の元への新生児の引き渡し

・説明不足により、患者が危険な行為をおかした事例

・入院中の自殺または自殺企図

・患者の逸脱行為による転倒・転落、感電等

【犯罪、その他】

・院内で発生した暴行、誘拐等の犯罪

・無資格者・資格消失者による医療行為

・盗難

※ この表は、それぞれのカテゴリーにおけるいくつかの例を示したものである。