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○自立支援医療費の支給認定について

(平成18年3月3日)

(障発第0303002号)

(各都道府県知事・各指定都市市長・各中核市市長あて厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長通知)

障害者自立支援法(平成17年法律第123号。以下「法」という。)に基づく自立支援医療については、本年4月1日から施行されるところであるが、標記について、自立支援医療費支給認定通則実施要綱(別紙1)、自立支援医療費(育成医療)支給認定実施要綱(別紙2)、自立支援医療費(更生医療)支給認定実施要綱(別紙3)及び自立支援医療費(精神通院医療)支給認定実施要綱(別紙4)を作成したので、本年4月1日から、これらを参考に支給認定を行うとともに、貴管内市町村を含め関係者及び関係団体に対する周知方につき配慮を願いたい。

なお、昭和62年7月3日児発第593号「身体に障害のある児童に対する育成医療の給付について」、平成5年3月30日社援更発第89号「更生医療の給付について」、昭和40年9月15日衛発第648号「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第32条に規定する精神障害者通院医療費公費負担の事務取扱いについて」及び昭和59年10月25日社更発第169号「更生医療の給付に係るいわゆる自己負担額の算定方法について」は、本通知の施行に伴い廃止する。

また、昭和45年10月21日社更発第89号「先天性心臓疾患による心臓機能障害者に対する更生医療の給付について」、昭和54年5月10日社更発第56号「じん臓機能障害者に対する更生医療の給付について」、昭和55年5月20日社更発第82号「更生(育成)医療における形成外科的治療を担当する医療機関の指定について」、昭和57年3月23日社更発第43号「「音声・言語機能障害を伴う唇顎口蓋裂の歯科矯正」の更生(育成)医療を担当する医療機関の指定について」、昭和61年9月22日社更発第158号「小腸機能障害者に対する更生医療の給付について」及び平成10年4月8日障発第230号「ヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能の障害者に対する更生医療の給付について」に定める更生医療の給付の決定等については、本通知手続を参考にして行われたい。

なお、この通知は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第245条の4第1項の規定に基づく技術的助言であることを申し添える。

別紙1

自立支援医療費支給認定通則実施要綱

障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成17年法律第123号。以下「法」という。)第58条第1項に基づく自立支援医療費の支給認定(以下「支給認定」という。)の事務手続については、法令の定めるところによるものであるが、本要綱を参照しつつ支給認定の適正な実施を図られたい。

第1 定義

1 障害者又は障害児の保護者を「障害者等」という。

2 指定自立支援医療の提供を受ける障害者又は障害児を「受診者」という。

3 自立支援医療費の支給を受ける障害者等を「受給者」という。

4 自立支援医療費の支給認定の申請を行おうとする者又は行った者を「申請者」という。

5 住民基本台帳法(昭和42年法律第81号)に基づく住民基本台帳上の世帯を「世帯」という。

6 申請者並びに障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律施行令(平成18年政令第10号。以下「令」という。)第29条第1項に規定する支給認定基準世帯員で構成する世帯(自立支援医療費の支給に際し支給認定に用いる世帯)を「「世帯」」という。

第2 所得区分

自立支援医療費の支給認定については、法第58条第3項の規定により、自己負担について受診者の属する「世帯」の収入や受給者の収入に応じ区分(以下「所得区分」という。)を設けて認定することとし、所得区分ごとに負担上限月額(令第35条第1項に規定する負担上限月額をいう。以下同じ。)を設けることとする。

1 所得区分及びそれぞれの負担上限月額は次のとおり。

① 生活保護 負担上限月額 0円

② 低所得1 負担上限月額2,500円

③ 低所得2 負担上限月額5,000円

④ 中間所得層 負担上限月額設定なし

(⑤ 一定所得以上:自立支援医療費の支給対象外)

2 1の所得区分のうち④中間所得層については、受診者が令第35条第1項第1号に規定する高額治療継続者(以下「重度かつ継続」という。)に該当する場合には、次のとおり別途所得区分を設け、それぞれの負担上限月額を設ける。

④’中間所得層1 負担上限月額 5,000円

④”中間所得層2 負担上限月額10,000円

3 1の所得区分のうち④中間所得層については、受診者が重度かつ継続に該当しない場合であって、育成医療を受けるときには、平成30年3月31日までの間は、次のとおり別途所得区分を設け、それぞれの負担上限月額を設ける。

④’中間所得層(育成医療)Ⅰ 負担上限月額 5,000円

④”中間所得層(育成医療)Ⅱ 負担上限月額10,000円

4 1の所得区分のうち⑤一定所得以上については、受診者が重度かつ継続に該当する場合には、平成30年3月31日までの間は、自立支援医療費の支給対象とし、次のとおり別途所得区分及び負担上限月額を設ける。

⑤’一定所得以上(重度かつ継続) 負担上限月額20,000円

5 1の所得区分のうち①生活保護の対象は、受診者の属する世帯が生活保護法(昭和25年法律第144号)による生活保護受給世帯(以下「生活保護世帯」という。)若しくは中国残留邦人等の円滑な帰国の促進並びに永住帰国した中国残留邦人等及び特定配偶者の自立の支援に関する法律(平成6年法律第30号)による支援給付受給世帯(以下「支援給付世帯」という。)である場合又は生活保護法による要保護世帯若しくは中国残留邦人等の円滑な帰国の促進並びに永住帰国した中国残留邦人等及び特定配偶者の自立の支援に関する法律による要支援世帯であって、②低所得1の負担上限額を適用としたならば保護又は支援を必要とする状態となる世帯である場合とする。

6 1の所得区分のうち②低所得1の対象は、受診者の属する「世帯」が市町村民税世帯非課税世帯(注1)であって、受給者に係る次に掲げる収入の合計金額が80万円以下である場合であって、かつ、所得区分が①生活保護の対象ではない場合であるものとする。

・地方税法上の合計所得金額(注2)

(合計所得金額がマイナスとなる者については、0とみなして計算する)

・所得税法上の公的年金等の収入金額(注3)

・その他厚生労働省令で定める給付(注4)

(注1) 「市町村民税世帯非課税世帯」とは、受診者の属する「世帯」の世帯員(世帯員の具体的な範囲は、本要綱第5の1による。)が自立支援医療を受ける日の属する年度(自立支援医療を受ける日の属する月が4月から6月である場合にあっては、前年度)分の地方税法(昭和25年法律第226号)の規定による市町村民税(同法の規定による特別区民税を含むものとし、同法第328条の規定によって課する所得割を除く。以下同じ。)が課されていない者又は市町村の条例で定めるところにより当該市町村民税を免除された者(当該市町村民税の賦課期日において同法の施行地に住所を有しない者を除く。)である世帯をいう。

(注2) 「合計所得金額」とは、地方税法第292条第1項第13号に規定する合計所得金額をいう。

(注3) 「公的年金等の収入金額」とは、所得税法(昭和40年法律第33号)第35条第2項第1号に規定する公的年金等の収入金額をいう。

(注4) 「その他厚生労働省令で定める給付」とは、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律施行規則(以下「施行規則」という。)第54条各号に掲げる各給付の合計金額をいう。

7 1の所得区分のうち③低所得2の対象は、受診者の属する「世帯」が市町村民税世帯非課税世帯(均等割及び所得割双方が非課税)である場合であって、かつ、所得区分が①生活保護及び②低所得1の対象ではない場合であるものとする。

8 1の所得区分のうち④中間所得層の対象となるのは、受診者の属する「世帯」に属する者の市町村民税額(所得割)の合計が23万5千円未満の場合であって、かつ、所得区分が①生活保護、②低所得1及び③低所得2の対象ではない場合であるものとする。

(注) 「所得割」を算定する場合には、地方税法等の一部を改正する法律(平成22年法律第4号)第1条の規定による改正前の地方税法第292条第1項第8号に規定する扶養親族(16歳未満の者に限る。(以下「扶養親族」という。))及び同法第314条の2第1項第11号に規定する特定扶養親族(19歳未満の者に限る。(以下「特定扶養親族」という。))があるときは、同号に規定する額(扶養親族に係るもの及び特定扶養親族に係るもの(扶養親族に係る額に相当するものを除く。)に限る。)に同法第314条の3第1項に規定する所得割の税率を乗じて得た額を控除するものとする。

9 1の所得区分のうち⑤一定所得以上の対象となるのは、受診者の属する「世帯」に属する者の市町村民税額(所得割)の合計が23万5千円以上の場合であるものとする。

10 2の所得区分のうち④’中間所得層1の対象となるのは、④中間所得層の対象のうち、受診者が重度かつ継続に該当し、かつ、受診者の属する「世帯」に属する者の市町村民税額(所得割)の合計が3万3千円未満である場合であるものとする。

11 2の所得区分のうち④”中間所得層2の対象となるのは、④中間所得層の対象のうち、受診者が重度かつ継続に該当し、かつ、受診者の属する「世帯」に属する者の市町村民税額(所得割)の合計が3万3千円以上23万5千円未満の場合であるものとする。

12 3の所得区分のうち④’中間所得層(育成医療)Ⅰの対象となるのは、④中間所得層の対象のうち、育成医療に係る申請であり、かつ、受診者の属する「世帯」に属する者の市町村民税額(所得割)の合計が3万3千円未満である場合であるものとする。

13 3の所得区分のうち④”中間所得層(育成医療)Ⅱの対象となるのは、④中間所得層の対象のうち、育成医療に係る申請であり、かつ、受診者の属する「世帯」に属する者の市町村民税額(所得割)の合計が3万3千円以上23万5千円未満の場合であるものとする。

14 8から13までにおいて、市町村民税額(所得割)の合計を判断する場合には、本要綱第5の1に基づくこととなる。

15 ⑤’一定所得以上(重度かつ継続)の対象となるのは、⑤一定所得以上の対象のうち、受診者が重度かつ継続に該当する場合であるものとする。

第3 「世帯」

1 「世帯」については、受診者の属する世帯の世帯員のうち、8の②に掲げる特例に該当する場合を除き受診者と同じ医療保険に加入する世帯員をもって、生計を一にする「世帯」として取り扱うこととする。

2 家族の実際の居住形態及び税制面での取扱いにかかわらず、8の②に掲げる特例に該当する場合を除き医療保険の加入関係が異なる場合には別の「世帯」として取り扱う。

3 申請者から申請を受けた場合には、自立支援医療費支給認定申請書(別紙様式第1号。以下「申請書」という。)の他、受給者の氏名が被保険者本人又は被扶養者として記載されている被保険者証・被扶養者証・組合員証など各種医療保険の加入関係を示すもの(以下「被保険者証等」という。)の写し(注1)を提出させるものとする(注2)。あわせて、受診者の属する「世帯」に属する他の者の氏名が記載された被保険者証等の写しを提出させるものとする。

(注1) 受診者が18歳未満である場合は受給者のものに加えて受診者の氏名が記載されている被保険者証等の写しも併せて提出させるものとする。

(注2) カード型の被保険者証等については、その券面の写しが該当。以下同じ。

4 受診者が国民健康保険又は後期高齢者医療制度の被保険者である場合については、申請者の提示した被保険者証等の写しが「世帯」全員のものかどうかの確認を、申請者に住民票を提出させる、職権で調査する等の方法によって確認を行うこととする。

5 「世帯」に属する受診者を除く世帯員の氏名が記載された被保険者証等の写しについても提出させること。その際、被保険者証等の形式や加入している医療保険によって、本要綱第5に定める所得区分の認定に際して対象となる世帯員の範囲が異なることに留意すること。

6 「市町村民税世帯非課税世帯」への該当の有無の判断や市町村民税額(所得割)の「世帯」における合計額の算定については、受診者の属する「世帯」の世帯員が自立支援医療を受ける日の属する年度(自立支援医療を受ける日の属する月が4月から6月である場合にあっては、前年度)の課税状況を基準とすることが基本となる。なお、自立支援医療を受ける日の属する月が4月から6月である場合であって、7月以降も支給認定の有効期間が継続するときには、7月に「市町村民税世帯非課税世帯」への該当の有無の判断や市町村民税額(所得割)の「世帯」における合計額の算定について再確認を行うことを必ずしも要さない。ただし、個別の判断によって再確認を行うことは妨げない。

7 障害者等が精神通院医療に係る自立支援医療費の支給を受ける場合には、申請者に市町村に対して申請書とともに添付資料を提出させることとし、市町村は当該申請書を確認の上、都道府県に進達することとする。また、当該進達を受けた都道府県が資料を再確認の上、当該申請者に係る支給認定を行うこととする。

8 「世帯」の範囲の特例

① 受診者と同一の「世帯」に属する親、兄弟、子ども等がいる場合であっても、その親、兄弟、子ども等が、税制と医療保険のいずれにおいても障害者を扶養しないこととしたときは、申請者の申請に基づき、特例として、受診者及びその配偶者を当該親、兄弟、子ども等とは別の「世帯」に属するものとみなす取扱いを行うことを選択できるものとする。

・ この特例は、申請者及びその配偶者は市町村民税非課税である一方、これ以外の同一の世帯に属する世帯員が市町村民税課税である場合にのみ認めることとする。

・ この特例に係る申請があった場合には、申請書の他、当該申請者及びその配偶者が扶養関係に基づく税制上及び医療保険上の各種控除(以下「扶養控除」という。)の対象となっていないかどうかを確認するため、同一世帯に属する者の市町村民税に係る税情報の記載された適宜の書面又は書面の写し及び被保険者証の写しの提出を求め、その内容を確認するものとする。

・ なお、ある年度において扶養関係にあったものの、当該年度の途中で生計を別にしたような場合であって、次年度の税申告時から扶養控除の対象から外れることとなる者については、受給者から、その旨の確認を誓約書等適宜の方法によって得ることにより、受給者及びその配偶者を他の世帯員と別の「世帯」とみなす取扱いができるものとする。

② 受診者が18歳未満の場合については、受診者と受給者が同一の医療保険に加入していない場合であっても、受診者と受給者を同一の「世帯」とみなすものとする。

9 加入している医療保険が変更となった場合など「世帯」の状況が変化した場合は、新たな被保険者証の写し等必要な書面を添付の上、受給者に速やかに変更の届出をさせるものとする。なお、「世帯」の状況の変化に伴い支給認定の変更が必要となった場合には、別途、支給認定の変更の申請が必要となる点に留意すること。

第4 「世帯」の所得の認定

1 「世帯」の所得は、申請者の申請に基づき認定するものとする。

2 申請の際の提出資料や申請者からの聞き取りから、所得が一切確認できなければ、原則として所得区分を⑤一定所得以上として取り扱うこととする。

また、市町村民税額(所得割)が23万5千円未満であることについてのみ確認できた場合は、所得区分を④中間所得層として取り扱うこととし、本要綱第2の2に該当する場合は所得区分を④”中間所得層2と、本要綱第2の3に該当する場合は所得区分を④”中間所得層(育成医療)Ⅱとして取り扱うこととする。

さらに、市町村民税非課税であることについてのみ確認できた場合には、所得区分を③低所得2として取扱うこととする。

3 「世帯」の所得の確認は、各医療保険制度の保険料の算定対象となっている者の所得を確認するものとする。

第5 「世帯」の所得区分の認定

1 「世帯」の所得区分は、受診者の属する「世帯」のうち、各医療保険制度で保険料の算定対象となっている者(例えば、健康保険など被用者保険では被保険者本人、国民健康保険又は後期高齢者医療制度では被保険者全員)に係る市町村民税の課税状況等を示す公的機関発行の適宜の資料に基づき算定し、認定を行うものとする。なお、各医療保険制度における自己負担の減額証等に基づいて市町村民税が非課税であることを認定しても差し支えない。

また、所得区分が②低所得1に該当するかどうかを判断する場合には、併せて申請者の障害年金等、特別児童扶養手当等の受給状況を示す公的機関発行の適宜の資料に基づき、申請者の収入を算定し認定するものとする。

2 法第12条に基づき、認定に際し必要な事項につき調査を行うことが可能であるが、加えて申請の際に税情報や手当の受給状況等に係る調査についての同意を書面で得るような取扱い等を行うことも差し支えない。

なお、この同意は原則受給者から得るものとするが、これが困難な場合は、保護者等に自らの身分を示す適宜の書面を提出させた上で、当該保護者等から同意を得てもよいこととする。

3 受診者が精神通院医療を受ける場合には、申請者に市町村に対して申請書とともに添付資料を提出させることとし、市町村はこれを確認の上、都道府県に進達することとする。また、当該進達を受けた都道府県は資料を再確認の上、認定を行うこととする。

4 所得区分は、支給認定の審査時に把握されている所得状況に基づき認定するものとする。

なお、所得状況について定期的に職権で把握し、職権で把握した所得に応じた所得区分に変更することも差し支えない。

第6 支給認定の変更

1 受給者が支給認定の変更の申請を行うときには、申請書に必要事項を記載し、変更の生じた理由を証する書類、自立支援医療受給者証(別紙様式第2号。以下「受給者証」という。)を添えて提出させることとする。

なお、申請書及び受給者証の記載事項の変更のうち、負担上限月額(所得区分及び重度かつ継続の該当・非該当の変更によるもの)及び指定自立支援医療機関の変更以外の変更については、自立支援医療受給者証等記載事項変更届(別紙様式第3号)をもって届出させることとする。

2 受診者が精神通院医療を受けている場合には、申請者は市町村に対して申請書とともに添付資料を提出させることとし、市町村はこれを確認の上、都道府県に進達することとする。また、当該進達を受けた都道府県は資料を再確認の上、認定することとする。

3 所得区分の変更の必要があると判断した場合は、変更の認定を行った日の属する月の翌月の初日から新たな所得区分に変更するものとし、新たな所得区分と負担上限月額を記載した受給者証を交付することとする。また、必要に応じ自己負担上限額管理票(別紙様式第4号。以下「管理票」という。)を交付すること。なお、所得区分の変更の必要がないと判断した場合は、変更認定を行わない旨の通知書(別紙様式第5号)を申請者に交付することとする。

4 指定自立支援医療機関の変更の必要があると判断した場合は、変更の認定を行った日以降より新たな医療機関に変更するものとし、新たな指定自立支援医療機関を記載した受給者証を交付する。なお、指定自立支援医療機関の変更の必要がないと判断した場合は、変更認定を行わない旨の通知書を申請者に交付すること。

第7 負担上限月額管理の取扱い

1 自立支援医療において負担上限月額が設定された者については、管理票を交付すること。

2 管理票の交付を受けた受給者は、指定自立支援医療機関で指定自立支援医療を受ける際に受給者証とともに管理票を医療機関に提示すること。

3 管理票を提示された指定自立支援医療機関は、受給者から自己負担を徴収した際に、徴収した自己負担額及び当月中にその受給者が指定自立支援医療について、支払った自己負担の累積額を管理票に記載する。当該月の自己負担の累積額が負担上限月額に達した場合は、管理票の所定欄にその旨を記載すること。

4 受給者から、当該月の自己負担の累積額が負担上限月額に達した旨の記載のある管理票の提出を受けた指定自立支援医療機関は、当該月において自己負担を徴収しないものとする。

第8 医療の種類と負担上限月額、食事療養費及び生活療養費

1 自立支援医療の負担上限月額は、令第1条に規定される自立支援医療の種類(育成医療、更生医療又は精神通院医療)ごとに設定されるものである。例えば、同一の受診者が育成医療又は更生医療と精神通院医療とを同一月に受けた場合については、それぞれの種類ごとに負担上限月額が適用され、異なる種類間では合算を行わない。

2 所得区分が④中間所得層である育成医療又は更生医療の受給者が複数の疾病に関して支給認定を受けた場合において、重度かつ継続に該当する疾病等に係る認定を含む時は、当該複数疾病の全てについての自立支援医療に係る自己負担額の合計額について、重度かつ継続に係る負担上限月額を適用する。

3 育成医療及び更生医療に係る入院時の食事療養及び生活療養については、所得区分が①生活保護及び生活保護移行防止のため食事療養費及び生活療養費の減免措置を受けた受給者(以下「食事療養費等減免者」という。)以外の受給者には、医療保険における入院時の食事療養及び生活療養に係る標準負担額と同額分を自己負担させることとなる(健康保険の療養に要する費用の額の算定の例により算定した額が自立支援医療費の対象となりうるのだが、実際には医療保険が優先し、食事療養費及び生活療養費分が医療保険から支払われるため、自立支援医療費からは食事療養費及び生活療養費分が支払われないこととなる。)。

一方、食事療養費等減免者には、入院時の食事療養及び生活療養に係る自己負担額を0円とするので、食事療養費等減免者以外の受給者とは異なり、自立支援医療費から少なくとも医療保険の標準負担額相当部分が支給されることとなる(原則的に健康保険の療養に要する費用の額の算定方法の例により算定した額が自立支援医療費から支給されることとなるが、医療保険が優先するため、医療保険に加入している食事療養費等減免者については、最終的に医療保険の標準負担額相当部分のみが、生保世帯等で医療保険に加入していない食事療養費等減免者については、健康保険の食事療養費及び生活療養費相当部分と標準負担額相当部分の合算分が、それぞれ自立支援医療費として支給されることとなる。)。

4 なお、入院時の食事療養及び生活療養に係る自己負担額については、負担上限月額を計算する際の自己負担額には含まれないことに留意すること。

第9 未申告者の取扱い

1 非課税であることから税制上の申告をしておらず、課税・非課税の確認がとれない者については、原則として、申告した上で非課税の証明書を取得するよう求め、その証明書を提出させるものとする。

なお、非課税であることが確認できなければ、所得区分を⑤一定所得以上として取り扱うこと。また、この場合においては、本要綱第2の4の適用はないものとする。

2 ただし、精神通院医療については、障害者自立支援法制定以前の制度では所得確認がなかったことなどを勘案し、当分の間、申請者が、非課税であることを示す資料が添付されていないにも関わらず非課税であることを申し述べた場合には、例外的に、次のように取り扱うものとする。

・ 申請者から申請書等の提出受けた市町村は、非課税であるとみなすことができるかどうかの意見を付して、都道府県に関係資料を送付する。

・ 都道府県は、市町村からの意見を参考に、非課税とみなしてよいと判断すれば、非課税とみなすことができる。

3 上記取扱いを受けた者は、原則として、所得区分を③低所得2と認定するものとするが、都道府県の判断により、所得区分を②低所得1と認定しても差し支えない。

ただし、この場合には、障害基礎年金1級を受給する者とのバランスを失することのないよう、本人の収入状況等を十分に確認するなど配慮されたい。

第10 医療保険未加入者の取扱い

1 自立支援医療費の申請の審査の段階で加入医療保険の把握を行い、被用者保険の加入者又は後期高齢者医療制度の被保険者となる場合や、生活保護世帯の医療扶助又は支援給付世帯の医療支援給付の対象となっている場合を除き、加入手続を行っていない場合には、申請者に対して手続を促すとともに、市町村の国民健康保険主管課に連絡し、国民健康保険の加入手続が行われるようにすること。

2 受給者がその有効期間内に加入医療保険の資格を喪失した場合は、被用者保険の加入者となり得る場合や生活保護世帯又は支援給付世帯となり得る場合を除き、速やかに市町村の国民健康保険主管課に連絡し、国民健康保険の加入手続が行われるようにすること。

3 1及び2の加入手続を行っている途上における申請に際しての「世帯」の取扱いについては、加入手続が完了した場合の「世帯」に準じて取り扱うこと。

4 1及び2にかかわらず、申請者が正当な理由がなく医療保険の加入手続を行わない場合については、「世帯」の範囲及び所得の確認ができないことから、所得区分は⑤一定所得以上として取り扱うこと。なお、この場合においては、本要綱第2の4の適用はないものとする。

第11 指定自立支援医療機関の窓口における自己負担額

1 受給者の自己負担については、その性質上、医療保険制度における一部負担金の一部であるから、健康保険法第75条に規定する一部負担金の端数処理の規定が適用され、医療機関における自己負担の徴収に当たっては、10円未満の金額は、四捨五入して、自己負担を徴収するものであること。

2 所得区分が④中間所得層であるため負担上限月額が設定されていない者について、医療費総額の1割相当額が医療保険の自己負担限度額(高額療養費基準額)を超えた場合は、高額療養費基準額を徴収すること。この場合、高額療養費は医療機関に支給されるものであること。

第12 指定自立支援医療機関

都道府県知事は、法第59条第1項で定めるところにより、指定を行った指定自立支援医療機関についての一覧を自立支援医療の種類ごとに作成すること。

また、指定自立支援医療機関に異動(新規指定や廃止等)のあった場合には、異動のあった指定自立支援医療機関の一覧を、各月ごとに社会保険診療報酬支払基金及び国民健康保険団体連合会に送付すること。

第13 医療保険各法等との関連事項

他法に基づく給付が行われる医療との関係については、令第2条に規定されているとおりであること。したがって、結果的に、自立支援医療費の支給は、医療保険の自己負担部分を対象とすることとなる。

第14 その他

本要綱に係る各種様式の例は別添のとおりであるので、参考とすること。

別紙2

自立支援医療費(育成医療)支給認定実施要綱

障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成17年法律第123号。以下「法」という。)第58条第1項に基づく自立支援医療費(育成医療)(以下単に「育成医療」という。)の支給認定(以下「支給認定」という。)の事務手続及び運営等については、法令及び通知によるほか、本要綱により行い、もって支給認定の適正な実施を図るとともに効率的な運営に努めること。

第1 定義

1 指定自立支援医療の提供を受ける障害児を「受診者」という。

2 自立支援医療費の支給を受ける者を「受給者」という。

3 自立支援医療費の支給認定の申請を行おうとする者又は行った者を「申請者」という。

4 住民基本台帳法(昭和42年法律第81号)に基づく住民基本台帳上の世帯を「世帯」という。

5 申請者並びに障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律施行令(平成18年政令第10号。以下「令」という。)第29条第1項に規定する支給認定基準世帯員で構成する世帯(自立支援医療費の支給に際し支給認定に用いる世帯)を「「世帯」」という。

第2 育成医療の対象

育成医療の対象となる児童は、身体障害者福祉法(昭和24年法律第283号)第4条の規定による別表に掲げる程度の身体上の障害を有する児童又は現存する障害若しくは疾患に係る医療を行わないときは、将来において同別表に掲げる障害と同程度の障害を残すと認められる児童であって、確実な治療の効果が期待できるものとすること。

1 育成医療の対象となる障害は、次のとおり障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律施行規則(以下「施行規則」という。)第6条の17で定めるものであること。

(1) 視覚障害によるもの

(2) 聴覚、平衡機能の障害によるもの

(3) 音声機能、言語機能又はそしゃく機能の障害によるもの

(4) 肢体不自由によるもの

(5) 心臓、腎臓、呼吸器、ぼうこう若しくは直腸、小腸又は肝臓の機能の障害によるもの

(6) 先天性の内臓の機能の障害によるもの((5)に掲げるものを除く。)

(7) ヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能の障害によるもの

2 内臓の機能の障害によるものについては、手術により、将来、生活能力を維持できる状態となるものに限ることとし、いわゆる内科的治療のみのものは除くこと。

なお、腎臓機能障害に対する人工透析療法、腎移植術後の抗免疫療法、小腸機能障害に対する中心静脈栄養法、心臓機能障害に対する心移植術後の抗免疫療法及び肝臓機能障害に対する肝臓移植後の抗免疫療法については、それらに伴う医療についても対象となるものであること。

3 自立支援医療費の支給の対象となる育成医療の内容は、次のとおりとする。

(1) 診察

(2) 薬剤又は治療材料の支給

(3) 医学的処置、手術及びその他の治療並びに施術

(4) 居宅における療養上の管理及びその治療に伴う世話その他の看護

(5) 病院又は診療所への入院及びその療養に伴う世話その他の看護

(6) 移送(医療保険により給付を受けることができない者の移送に限る。)

第3 支給認定の申請

支給認定の申請は、施行規則第35条に定めるところによるが、その具体的事務処理は次によること。

1 申請に当たっては、申請書に指定自立支援医療機関において育成医療を主として担当する医師の作成する自立支援医療意見書(以下「医師の意見書」という。別紙様式第6号。)、受診者及び受診者と同一の「世帯」に属する者の名前が記載されている被保険者証・被扶養者証・組合員証など医療保険の加入関係を示すもの(以下「被保険者証等」という。)並びに受診者の属する「世帯」の所得の状況等が確認できる資料(市町村民税の課税状況が確認できる資料、生活保護受給世帯又は支援給付受給世帯の証明書、市町村民税世帯非課税世帯については受給者に係る収入の状況が確認できる資料)のほか、腎臓機能障害に対する人工透析療法の場合については、特定疾病療養受療証の写しを添付の上、市町村長(特別区にあっては区長。以下同じ。)に申請させること。

2 医師の意見書は、支給認定に当たっての基礎資料となるものであるから、指定自立支援医療機関において育成医療を主として担当する医師が作成したものである必要があること。

第4 支給認定

1 市町村長が所定の手続による申請を受理した場合は、備付けの自立支援医療申請受理簿に記入した上で、受診者について育成医療の要否等に関し、育成医療の対象となる障害の種類、具体的な治療方針、入院又は通院回数等の医療の具体的な見通し及び育成医療によって除去軽減される障害の程度について具体的に認定を行うとともに、支給に要する費用の概算額の算定を行うこと。

なお、自立支援医療費の支給に要する費用の概算額は、健康保険診療報酬点数表を用いて、指定自立支援医療機関において実施する医療の費用(食事療養の費用を除く。)について算定すること。

2 市町村長は、当該申請について、育成医療が必要かどうか医学的な判断を行うこと。判断を行うための審査体制を独自で構築できない市町村においては、近隣自治体との一部事務組合や広域連合を設置し審査体制を構築すること。

3 市町村長は、当該申請について、育成医療を必要とすると認められた場合は、「世帯」の所得状況を確認の上、令第35条第1項第1号に規定する高額治療継続者(以下「重度かつ継続」という。)への該当の有無の判断及び自立支援医療費支給認定通則実施要綱第2に定める負担上限月額の認定を行った上で、施行規則の定めるところにより、自立支援医療受給者証(以下「受給者証」という。)を交付すること。また、必要に応じ自己負担上限額管理票を申請者に交付すること。なお、認定を必要としないと認められる場合については、認定しない旨、通知書を申請者に交付すること。

4 育成医療の提供に関する具体的方針は、受給者証裏面に詳細に記入すること。

5 自立支援医療費の支給の範囲は、受給者証に記載されている医療に関する費用に限られること。

6 支給認定の有効期間が必要以上に長期に及ぶことは、予算の適正化の見地から厳に戒むべきところであるので、有効期間は原則3か月以内とし、有効期間が3か月以上に及ぶ支給認定を行うに当たっては、特に慎重に取り扱われたいこと。なお、腎臓機能障害における人工透析療法及び免疫機能障害における抗HIV療法等治療が長期に及ぶ場合についても最長1年以内とすること。

7 育成医療を受ける指定自立支援医療機関の指定は同一受診者に対し原則1か所とすること。ただし、医療に重複がなく、やむを得ない事情がある場合に限り、例外的に複数指定することを妨げない。

8 受診者が死亡した場合又は身体の状況から育成医療を受ける必要がなくなった場合は、交付していた受給者証を速やかに市町村長に返還させること。

9 受診者が、支給認定の有効期間内に満18歳になった場合であっても、当初の支給認定の有効期間中は育成医療の支給認定の取消しは行わないものとすること。なお、当初の支給認定の有効期間を超えて再度の育成医療の支給認定を行うことはできないものとする。

第5 育成医療の再認定及び医療の具体的方針の変更

1 支給認定の有効期間が終了した際の再度の支給認定(以下「再認定」という。)を申請する場合、申請者は、申請書に再認定の必要性を詳細に記した医師の意見書、被保険者証等及び受診者の属する「世帯」の所得の状況等が確認できる資料のほか、腎臓機能障害に対する人工透析療法の場合については、特定疾病療養受療証の写しを添付の上、市町村長あて申請させること。市町村長は、再認定が必要であると認められるものについて、再認定後の新たな受給者証を交付すること。また、再認定を必要としないと認められるものについては認定しない旨を本要綱第4の3の却下手続に準じて通知書を交付すること。

2 有効期間内における医療の提供に関する具体的方針の変更については、変更の申請書に変更の必要性を詳細に記した医師の意見書を添付の上、市町村長あて受給者に申請させること。市町村長は当該申請について育成医療の変更の要否等について変更が必要であると認められる場合は、変更後の新たな受給者証を交付すること。

なお、医療の提供に関する具体的方針の変更の効力の始期は、変更を決定した日以降とすること。また、変更を必要としないと認められるものについては、認定しない旨を本要綱第4の3の却下手続に準じて通知書を交付すること。

第6 自立支援医療費の支給の内容

1 自立支援医療費の支給の対象となる育成医療の内容は、本要綱第2のとおりであるが、それらのうち治療材料等の取扱いについては、次によること。

(1) 自立支援医療費の支給は、受給者証を指定自立支援医療機関に提示して受けた育成医療に係る費用について、市町村が当該指定自立支援医療機関に支払うことにより行うことを原則とする。

(2) 治療材料費は、治療経過中に必要と認められた医療保険適用のものであり、最少限度の治療材料及び治療装具のみを支給すること。

なお、この場合は現物給付をすることができること。また、運動療法に要する器具は指定自立支援医療機関において整備されているものであることから支給は認められないこと。

(3) 移送費の支給は、事前に市町村長に申請をさせ、本人が歩行困難あること等により必要と認められる場合に支給することとすること。また、医療保険による移送費を受けることができない者について、受診者を移送するために必要とする最小限度の経費を支給することとすること。

なお、家族が行った移送等の経費については認めないこと。

(4) 治療材料費等の支給申請は、その事実について指定自立支援医療機関の医師の証明書等を添えて、受給者から市町村長に申請させること。

2 支給認定の有効期間中において、育成医療の対象疾病に直接起因する疾病を併発した場合は、その併発病の治療についても自立支援医療費の支給の対象として差支えないこと。

第7 指定自立支援医療機関における診療報酬の請求及び支払

指定自立支援医療機関による診療報酬の請求は、診療報酬請求書に診療報酬明細書を添付の上、当該指定自立支援医療機関所在地の社会保険診療報酬支払基金又は国民健康保険団体連合会に対し行うこととすること。

第8 育成医療に係る診療報酬の審査、決定及び支払

1 診療報酬の請求、審査及び支払については、「自立支援医療(育成医療・更生医療)の支給に係る診療(調剤)報酬の審査及び支払に関する事務の社会保険診療報酬支払基金への委託について」(社援発0322第4号平成24年3月22日厚生労働省社会・援護局長通知)及び「自立支援医療(育成医療・更生医療)の給付に係る診療報酬の審査及び支払に関する事務の国民健康保険団体連合会への委託について」(社援更発第25号平成5年2月15日厚生労働省社会・援護局長通知)に定めるところによること。

2 診療報酬の額の決定は、都道府県知事又は指定都市若しくは中核市の市長が行うこと。

第9 その他

市町村は、受給者証の交付及び自立支援医療費の支給等について台帳等を備え付け、支給の状況を明らかにしておくこと。

別紙3

自立支援医療費(更生医療)支給認定実施要綱

障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成17年法律第123号。以下「法」という。)第58条第1項に基づく自立支援医療費(更生医療)(以下単に「更生医療」とする。)の支給認定(以下「支給認定」という。)についての事務手続及び運営等については、法令及び通知によるほか、本要綱により行い、もって支給認定の適正な実施を図るとともに効率的な運営に努めること。

第1 定義

1 指定自立支援医療の提供を受ける障害者を「受診者」という。

2 自立支援医療費の支給を受ける者を「受給者」という。

3 自立支援医療費の支給認定の申請を行おうとする者又は行った者を「申請者」という。

4 住民基本台帳法(昭和42年法律第81号)に基づく住民基本台帳上の世帯を「世帯」という。

5 申請者並びに障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律施行令(平成18年政令第10号。以下「令」という。)第29条第1項に規定する支給認定基準世帯員で構成する世帯(自立支援医療費の支給に際し支給認定に用いる世帯)を「「世帯」」という。

第2 更生医療の対象

更生医療の対象となる者は、身体障害者福祉法(昭和24年法律第283号)第4条に規定する身体上の障害を有すると認められる者であって、確実な治療の効果が期待できるものとすること。

1 更生医療の対象となる障害は、次のとおり障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律施行規則(平成18年厚生労働省令第19号)第6条の18で定めるものであること。

(1) 視覚障害によるもの

(2) 聴覚、平衡機能の障害によるもの

(3) 音声機能、言語機能又はそしゃく機能の障害によるもの

(4) 肢体不自由によるもの

(5) 心臓、腎臓、小腸又は肝臓の機能の障害によるもの(日常生活が著しい制限を受ける程度であると認められるものに限る。)

(6) ヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能の障害によるもの(日常生活が著しい制限を受ける程度であると認められるものに限る。)

2 更生医療の対象となる障害は、臨床症状が消退しその障害が永続するものに限られること。また、更生医療の対象となる医療は、当該障害に対し確実な治療の効果が期待できるものに限られることから、当該障害に該当しても、他の法令等に基づく他の趣旨の医療により治療される部分については、更生医療の対象にならないこと。内臓の機能の障害によるものについては、手術により障害が補われ、又は障害の程度が軽減することが見込まれるものに限るものとし、いわゆる内科的治療のみのものは除くこと。

なお、腎臓機能障害に対する人工透析療法、腎移植術後の抗免疫療法、小腸機能障害に対する中心静脈栄養法、心臓機能障害に対する心移植術後の抗免疫療法及び肝臓機能障害に対する肝臓移植術後の抗免疫療法については、それらに伴う医療についても対象となるものであること。

3 自立支援医療費の支給の対象となる更生医療の内容は以下のとおりとする。

(1) 診察

(2) 薬剤又は治療材料の支給

(3) 医学的処置、手術及びその他の治療並びに施術

(4) 居宅における療養上の管理及びその治療に伴う世話その他の看護

(5) 病院又は診療所への入院及びその療養に伴う世話その他の看護

(6) 移送(医療保険により給付を受けることができない者の移送に限る。)

第3 支給認定の申請

支給認定の申請は、施行規則第35条に定めるところによるが、その具体的事務処理は次によること。

1 申請に当たっては、申請書に指定自立支援医療機関において更生医療を主として担当する医師の作成する意見書(以下「医師の意見書」という。)、身体障害者手帳の写し、受診者及び受診者と同一の「世帯」に属する者の名前が記載されている被保険者証・被扶養者証・組合員証など医療保険の加入関係を示すもの(以下「被保険者証等」という。)並びに受診者の属する「世帯」の所得の状況等が確認できる資料(市町村民税の課税状況が確認できる資料、生活保護受給世帯又は支援給付受給世帯の証明書、市町村民税世帯非課税世帯については受給者に係る収入の状況が確認できる資料)のほか、腎臓機能障害に対する人工透析療法の場合については、特定疾病療養受療証の写しを添付の上、市町村長(特別区にあっては区長。以下同じ。)に申請させること。

2 医師の意見書は、支給認定に当たっての基礎資料となるものであるから、指定自立支援医療機関において更生医療を主として担当する医師が作成したものである必要があること。

3 市町村長は、所定の手続による申請を受理した場合は、備付けの自立支援医療申請受理簿に記入し、かつ、申請者が申請の資格を有するか否かを検討し、申請の資格を有すると認められた者については、身体障害者更生相談所(以下「更生相談所」という。)の長に対し、更生医療の要否等についての判定(以下「判定」という。)を依頼するとともに、必要に応じ、申請者に期日を指示し、更生相談所に来所させること。

第4 更生医療の要否の判定

1 判定の依頼を受けた更生相談所の長は申請者について判定を行い、判定書及び付属書類を作成し市町村長に送付すること。

2 判定は、申請者について、医学的に支給認定を行うかどうかについて的確な判定を行い、更生医療を必要とすると認められた者については、医療の対象となる障害の種類、令第35条第1項第1号に規定する高額治療継続者(以下「重度かつ継続」という。)の対象疾病であるか否か、具体的な治療方針、入院又は通院回数等の医療の具体的な見通し及び更生医療によって除去軽減される障害の程度について具体的に判断を行うとともに、支給に要する費用の概算額の算定を行うこと。

なお、自立支援医療費の支給に要する費用の概算額は、健康保険診療報酬点数表を用いて、指定自立支援医療機関において実施する医療の費用(食事療養及び生活療養の費用を除く。)について算定すること。また、高齢者の医療の確保に関する法律(昭和57年法律第80号)の対象者の更生医療については、高齢者の療養の給付に要する費用の額の算定方法及び診療方針の例によって行うものとすること。

第5 支給認定

1 市町村長は、更生相談所の判定の結果、更生医療を必要とすると認められた申請者について、支給認定を行い、自立支援医療受給者証(以下「受給者証」という。)を交付すること。

また、判定の結果、更生医療を必要としないと認められた者については本要綱第3の3の却下手続に準じて通知書を交付すること。

なお、支給認定の際に指定自立支援医療機関において実施する医療以外に移送等を必要とすると認められた者については、それらに要する費用額の算定を行った調査書を作成すること。

2 受給者証の交付に当たっては、「世帯」の所得状況及び更生相談所の判定書に基づき、重度かつ継続への該当の有無の判断及び自立支援医療費支給認定通則実施要綱第2に定める負担上限月額の認定を行った上で、施行規則の定めるところにより、受給者証を交付すること。また、必要に応じ自己負担上限額管理票を申請者に交付すること。なお、認定を必要としないと認められる場合については認定しない旨、通知書を申請者に交付すること。

3 更生医療の提供に関する具体的方針は、判定書に基づき、受給者証裏面に詳細に記入すること。

4 自立支援医療費の支給の範囲は、受給者証に記載されている医療に関する費用に限られること。

5 支給認定の有効期間が必要以上に長期に及ぶことは、予算の適正化の見地から厳に戒むべきところであるので、有効期間は原則3か月以内とし、有効期間が3か月以上に及ぶ支給認定を行うに当たっては、特に慎重に取り扱われたいこと。なお、腎臓機能障害における人工透析療法及び免疫機能障害における抗HIV療法等治療が長期に及ぶ場合についても最長1年以内とすること。

6 更生医療を受ける指定自立支援医療機関の指定は同一受診者に対し原則1か所とすること。ただし、医療に重複がなく、やむを得ない事情がある場合に限り、例外的に複数指定することを妨げない。

7 受診者が死亡した場合又は医療を受けることを中止した場合は、交付していた受給者証を速やかに市町村長に返還させること。

第6 更生医療の再認定及び医療の具体的方針の変更

1 支給認定の有効期間が終了した際の再度の支給認定(以下「再認定」という。)を申請する場合、申請者は、申請書に再認定の必要性を詳細に記した医師の意見書、被保険者証等及び受診者の属する「世帯」の所得の状況等が確認できる資料のほか、腎臓機能障害に対する人工透析療法の場合については、特定疾病療養受療証の写しを添付の上、市町村長あて申請させること。市町村長は、更生相談所の長に対し、再認定の要否等についての判定を依頼するとともに、更生相談所の判定の結果、再認定が必要であると認められるものについて、再認定後の新たな受給者証を交付すること。また、再認定を必要としないと認められるものについては認定しない旨、本要綱第5の2の却下手続に準じて通知書を交付すること。

2 有効期間内における医療の提供に関する具体的方針の変更について、変更の申請書に変更の必要性を詳細に記した医師の意見書を添付の上、市町村長あて申請すること。市町村長は、更生相談所の長に対し、変更の要否等についての判定を依頼するとともに、更生相談所の判定の結果、変更が必要であると認められるものについて、変更後の新たな受給者証を交付すること。。

なお、医療の具体的方針の変更の効力の始期は、変更を決定した日以降とすること。また、変更を必要としないと認められるものについては認定しない旨、本要綱第5の2の却下手続に準じて通知書を交付すること。

第7 自立支援医療費の支給の内容等

1 市町村長は、支給認定を受けた者が更生医療を受けた指定自立支援医療機関に対し、必要に応じ、治療経過・予定報告書(以下「報告書」という。)の提出を求めること。ただし、当該指定自立支援医療機関が薬局である場合はその必要はないこと。

2 緊急かつやむを得ない事情により、支給認定の有効期間を延長する必要があると指定自立支援医療機関が認める場合には、報告書にその旨を記入して提出させること。この場合において単なる期間延長として認められる期間は2週間以内としかつ、1回に限ることとし、なお、更生相談所における判定は要せず、市町村長の判断により期間延長の承認を行って差し支えないこと。2週間以上の期間を要するものについては、再認定として本要綱第6の1の取扱いによること。

3 自立支援医療費の支給の対象となる更生医療の内容は、本要綱第2のとおりであるが、それらのうち治療材料等の取扱いについては、次によること。

(1) 自立支援医療費の支給は、受給者証を指定自立支援医療機関に提示して受けた更生医療に係る費用について、市町村が当該指定自立支援医療機関に支払うことにより行うことを原則とする。

(2) 治療材料費は、治療経過中に必要と認められた医療保険適用のものであり、最少限度の治療材料及び治療装具のみを支給すること。

なお、この場合は現物給付をすることができること。また、運動療法に要する器具は指定自立支援医療機関において整備されているものであることから支給は認められないこと。

(3) 移送費の支給は、医療保険による移送費を受けることができない者について、受診者を移送するために必要とする最小限度の経費を支給することとすること。移送費等の支給申請は、その事実について指定自立支援医療機関の医師の証明書等を添えて、申請者から市町村長に申請させること。なお、家族が行った移送等の経費については認めないこと。

(4) 施術はマッサージのみ認めることとし、この場合は当該指定自立医療機関にマッサージ師がなく、かつ、担当の医師の処方に基づいて指定する施術所において施術を受ける場合にのみ、その費用を支給すること。

(5) 施術料及び治療材料費の費用の算定は次によること。

ア 施術料は保険局長通知「はり師・きゅう師及びあん摩・マッサージ・指圧師の施術に係る療養費の支給について」により算定すること。

イ 治療材料費の算定は、健康保険の規定による療養に要する費用の額の算定方法の例によること。

第8 指定自立支援医療機関における診療報酬の請求及び支払

診療報酬の請求は、診療報酬請求書に診療報酬明細書を添付のうえ、当該指定自立支援医療機関所在地の社会保険診療報酬支払基金又は国民健康保険団体連合会に提出させること。

第9 診療報酬の審査、決定及び支払

1 診療報酬の審査については「自立支援医療(育成医療・更生医療)の支給に係る診療(調剤)報酬の審査及び支払に関する事務の社会保険診療報酬支払基金への委託について」(社援発0322第4号平成24年3月22日厚生労働省社会・援護局長通知)及び「自立支援医療(育成医療・更生医療)の給付に係る診療報酬の審査及び支払に関する事務の国民健康保険団体連合会への委託について」(社援更発第25号平成5年2月15日厚生労働省社会・援護局長通知)の定めるところによること。

2 診療報酬の額の決定は、都道府県知事又は指定都市若しくは中核市の市長が行うこと。

別紙4

自立支援医療費(精神通院医療)支給認定実施要綱

障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成17年法律第123号)第58条第1項の規定に基づく自立支援医療費(精神通院医療)(以下単に「精神通院医療」とする。)の支給認定(以下「支給認定」という。)についての事務手続運営等については、法令及び通知によるほか、本要綱により行い、もって支給認定の適正な実施を図るとともに効率的な運営に努めること。

第1 定義

1 障害者又は障害児の保護者を「障害者等」という。

2 指定自立支援医療の提供を受ける障害者又は障害児を「受診者」という。

3 自立支援医療費の支給を受ける障害者等を「受給者」という。

4 自立支援医療費の支給認定の申請を行おうとする者又は行った者を「申請者」という。

5 住民基本台帳法(昭和42年法律第81号)に基づく住民基本台帳上の世帯を「世帯」という。

6 申請者並びに障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律施行令(平成18年政令第10号。以下「令」という。)第29条第1項に規定する支給認定基準世帯員で構成する世帯(自立支援医療費の支給に際し支給認定に用いる世帯)を「「世帯」」という。

7 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(昭和25年法律第123号)第45条に基づく精神障害者保健福祉手帳を「手帳」という。

第2 精神通院医療の対象及び医療の範囲

1 精神通院医療の対象となる者は、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第5条に規定する精神障害者又はてんかんを有する者で、精神通院医療の対象となる障害は、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律施行規則(平成18年厚生労働省令第19号)第6条の19に定めるとおり通院による治療を継続的に必要とする程度の状態の精神障害(てんかんを含む。)とする。

2 精神通院医療の範囲は、精神障害及び当該精神障害に起因して生じた病態に対して病院又は診療所に入院しないで行われる医療とする。

ここで、当該精神障害に起因して生じた病態とは、当該精神障害の治療に関連して生じた病態や、当該精神障害の症状に起因して生じた病態とし、指定自立支援医療機関において精神通院医療を担当する医師(てんかんについては、てんかんの医療を担当する医師)によって、通院による精神医療を行うことができる範囲の病態とする。

ただし、複数の診療科を有する医療機関にあっては、当該診療科以外において行った医療は範囲外とする。また、結核性疾患は、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10年法律第114号)に基づいて医療が行われるので、範囲外とする。

3 また、症状が殆ど消失している患者であっても、障害の程度が軽減している状態を維持し、又は障害の再発を予防するために入院によらない治療を続ける必要がある場合には、対象となる。

第3 支給認定の申請

支給認定の申請は、施行規則第35条に定めるところによるが、その具体的事務処理は次によること。

1 支給認定の申請については、申請書に次の書類を添付して行う。

(1) 支給認定の申請のみを行う場合

・ 指定自立支援医療機関において精神障害の診断又は治療に従事する医師による別紙様式第7号による診断書(以下「医師の診断書」という。)及び令第35条第1項第1号に規定する高額治療継続者(以下「重度かつ継続」という。)に該当する旨を申請する場合にあっては、別紙様式第8号による「重度かつ継続」に関する意見書(追加用)(「「重度かつ継続」に関する意見書」という。)

・ 受診者及び受診者と同一の「世帯」に属する者の名前が記載されている被保険者証・被扶養者証・組合員証など医療保険の加入関係を示すもの(以下「被保険者証等」という。)

・ 受診者の属する「世帯」の所得の状況等が確認できる資料(市町村民税の課税状況が確認できる資料、生活保護受給世帯又は支援給付受給世帯の証明書、市町村民税世帯非課税世帯については受給者に係る収入の状況が確認できる資料)

(2) 手帳の新規交付又は再交付の申請と併せて支給認定の申請を行う場合

・ 精神保健指定医その他精神障害の診断又は治療に従事する医師であって指定自立支援医療機関において精神通院医療を担当する医師による精神障害者保健福祉手帳制度実施要領による診断書(以下「精神障害者保健福祉手帳用の診断書」という。)及び重度かつ継続に該当する旨を申請する場合にあっては、「重度かつ継続」に関する意見書

・ 被保険者証等、受診者の属する「世帯」の所得の状況等が確認できる資料

(3) (1)に規定する医師の診断書又は(2)に規定する精神障害者保健福祉手帳用の診断書(重度かつ継続の該当者にあっては、加えて「重度かつ継続」に関する意見書。以下「診断書等」という。)については、直近の支給認定に係る申請において、これを添付している障害者等が、当該支給認定の有効期間満了後も引き続き当該精神通院医療に係る自立支援医療費の支給認定の申請を行う場合であって、直近の支給認定に係る申請時点から当該申請に係る障害者等に病状の変化及び治療方針の変更がない場合は、省略することができる。

ただし、直近の支給認定に係る申請の際に所得区分が生活保護、低所得1又は低所得2で「重度かつ継続」に関する意見書を添付していなかった場合であって、今回、「重度かつ継続」の申請を行う場合は、当該意見書の添付の省略はできないものとする。

2 申請書は、受給者の居住地を管轄する市町村長(特別区にあっては区長。以下同じ。)に提出するものとする。提出を受けた市町村においては、申請書、添付資料等を確認の上、該当する所得区分等を記入して都道府県に進達するものとする。

3 支給認定の申請は、現に支給認定を受けている者がその継続のために申請する場合には、支給認定の有効期間の終了する日の概ね3か月前から行うことができるものとする。

第4 支給認定

1 都道府県知事(指定都市にあっては市長。以下同じ。)は、所定の手続による申請書を受理したときは、次により審査を行う。

(1) 自立支援医療費の支給認定の申請のみを行う場合

精神通院医療の要否について精神保健福祉センターにおいて判定すること(本要綱第3の1の(3)に基づき、診断書等の添付が省略されている場合はこの限りでない。)。精神保健福祉センターは、別記の判定指針により、精神通院医療の要否について判定し、その結果を都道府県知事に報告すること。都道府県知事は、精神保健福祉センターの報告を受け、速やかに支給認定を行うかどうかを決定するものとする。

都道府県知事は、支給認定を行うことを決定をしたときは別紙様式第2号による自立支援医療受給者証(以下「受給者証」という。)を、支給認定を行わない決定をしたときは、別紙様式第5号による通知書を受給者の居住地を管轄する市町村長を経由して申請者に交付する。

(2) 手帳の新規交付又は再交付の申請と併せて自立支援医療費の支給認定の申請を行う場合

速やかに精神障害者保健福祉手帳の交付の可否についての所定の審査を行い、手帳の交付の決定をしたときは手帳を交付する。また、支給認定を行った場合は、受給者証を交付する。

なお、精神保健福祉センターが手帳の交付の適否について判定を行う際においては、手帳の交付については否とする場合でも、別記の判定指針により、精神通院医療の要否について判定し、その結果を都道府県知事に報告すること。都道府県知事は、精神保健福祉センターの報告を受け、速やかに自立支援医療費の支給認定を行うかどうかを決定すること。

この場合、手帳の交付又は支給認定の一方又は両方を行わないこととする場合には、精神障害者保健福祉手帳制度実施要領による却下通知書を交付すること。

(3) 手帳を所持している者が自立支援医療費の支給認定の新規の申請を行う場合

① 手帳の有効期間の満了日までの期間内を有効期間とする支給認定を行う場合

・ 重度かつ継続に該当する新規の申請を行う場合は、被保険者証等、受診者の属する「世帯」の所得の状況が確認できる資料等により所得の状況及び「重度かつ継続」に関する意見書により重度かつ継続に該当するかを確認し、精神通院医療が必要と判断されれば速やかに受給者証を交付することができる。

・ 重度かつ継続に該当しない新規の申請を行う場合は、被保険者証等、受診者の属する「世帯」の所得の状況が確認できる資料等により所得の状況を確認し、精神通院医療が必要と判断されれば速やかに受給者証を交付することができる。

② ①以外の場合

(1)に準じて行うこと。

(4) 支給認定時の投薬状況の確認等について

厚生労働省自殺・うつ病等対策プロジェクトチーム:過量服薬対策ワーキングチームにおいてとりまとめた「抗不安薬・睡眠薬の処方実態に関する報告」等を踏まえた対応及び自立支援医療費の適正化の観点からも、支給認定時等において以下の対応をお願いしたい。

① 支給認定時の投薬状況の確認

・ 支給認定の際、申請者から提出される診断書の投薬内容に同一種類の向精神薬が3種類以上処方されているか確認する。

・ 同一種類の向精神薬が3種類以上処方されている場合には、指定自立支援医療機関(病院・診療所)から理由を求める。

・ 不適正な事例が認められる場合は、過去の投薬状況を確認し、治療方針等を充分に審査した上で、支給認定を行うこと。

② 支給認定後の対応

・ 支給認定の際に①に該当した者等、今後も引き続き確認が必要であると判断された者がいた場合については、指定自立支援医療機関から診療録等の提出を求め、支給認定期間中の治療状況を把握する。

・ 投薬状況が不適切と思われる場合については、指定自立支援医療機関(病院・診療所)から治療(向精神薬の処方)に関する理由書の提出を求め、必要に応じ改善に向けた助言や指導等を実施する。

2 受給者証の「有効期間」欄には、支給認定の有効期間を記入すること。支給認定の有効期間は、新規の申請の場合には、市町村が申請を受理した日を始期とし、その始期から1年以内の日で月の末日たる日を終期とする。また、支給認定の有効期間が終了し、再度の支給認定を申請する場合には、前回支給認定の有効期間の満了日の翌日を始期とし、始期より1年以内の日で月の末日たる日を終期とする。

3 受給者証の交付を受けた者が氏名を変更したとき、同一の都道府県(指定都市を含む。以下同じ。)の区域内において居住地を移したとき、所得の状況に変化が生じたとき、「世帯」の状況が変化したとき、又は保険の種類に変更が生じた場合については、申請と同様に市町村長を経由して、都道府県知事に届け出させるものとする。

4 精神通院医療を受ける指定自立支援医療機関については、医療に重複がなく、やむを得ない事情がある場合、同一の受診者に対し複数指定することを妨げない。この場合においては、必要に応じて適切な指導を行う。

第5 医療に要する費用の額及び診療報酬の請求等

1 医療費の算定方法は、健康保険の診療方針及び療養に要する費用の額の算定方法の例による。

2 指定自立支援医療機関が都道府県に対し自立支援医療費を請求するときは、療養の給付及び公費負担医療に関する費用の請求に関する省令(昭和51年厚生省令第36号)または、訪問看護療養費及び公費負担医療に関する費用の請求に関する省令(平成4年厚生省令第5号)の定めるところによる。

3 2の請求書は、各月分について翌月10日までに社会保険診療報酬支払基金又は国民健康保険団体連合会に送付しなければならない。

第6 診療報酬請求書の審査及び支払

都道府県知事は、法第73条第4項の規定による診療報酬の審査及び支払に関する事務の委託について、社会保険診療報酬支払基金の支部長及び国民健康保険団体連合会の理事長(会長)と、別途通知による契約書例及び覚書例に準じて契約を締結することとする。

第7 受給者証の返還

支給認定の有効期間が満了したとき、受診者が他の都道府県に居住地を移したとき、その他当該都道府県において法第58条第1項の支給認定を行う理由がなくなったときは、速やかに受給者証をその交付を受けた際の居住地を管轄する市町村長を経由して都道府県知事に返還させること。

第8 支給台帳

1 都道府県は、受給者証の交付及び自立支援医療費の支給について台帳等を備え付け、支給の状況を明らかにしておくこと。

2 支給の状況については、精神通院医療の対象となった疾病名及び国際疾病死因分類ICD―10コード(F0~F9及びG40の別)を付記しておくこと。

別記

自立支援医療費(精神通院医療)の支給認定判定指針

第1 精神通院医療の対象となる精神障害者

自立支援医療(精神通院医療)(以下単に「精神通院医療」という。)の対象となる精神障害者は、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(昭和25年法律第123号)第5条に定める統合失調症、精神作用物質による急性中毒又はその依存症、知的障害、精神病質その他の精神疾患を有する者で、以下の病状を示す精神障害のため、通院による精神医療を継続的に要する程度の病状にあるものである。なお、現在病状が改善していても、その状態を維持し、かつ再発を予防するために、なお通院医療を継続する必要のある場合は、精神通院医療の対象となる。

第2 精神通院医療の対象となる精神障害及びその状態像

1 躁および抑うつ状態

国際疾病分類ICD―10の気分(感情)障害、症状性を含む器質性精神障害、統合失調感情障害などでみられる病態である。疾患の経過において躁状態、およびうつ状態の両者がみられる場合と、いずれか一方のみの場合がある。躁状態においては、気分の高揚が続いて被刺激性が亢進し、多弁、多動、思考奔逸、誇大的言動などがみられる。一方、抑うつ状態では気分は沈み、精神運動制止がみられ、しばしば罪業妄想、貧困妄想、心気妄想などの妄想が生じ、ときに希死念慮が生じたり、昏迷状態に陥ることもある。躁状態で精神運動興奮が強い場合、抑うつ状態で希死念慮が強い場合、あるいは昏迷が持続する場合は、通常、入院医療を要する。入院を要さない場合で、躁、およびうつ状態が精神病、あるいはそれと同等の病態にあり、持続するか、あるいは消長を繰り返し、継続的な通院による精神療法や薬物療法を必要とする場合には、精神通院医療の対象となる。

2 幻覚妄想状態

国際疾病分類ICD―10の統合失調症、統合失調型障害、妄想性障害、症状性を含む器質性精神病、精神作用物質による精神および行動の障害などでみられる病態である。その主症状として、幻覚、妄想、させられ体験、思考形式の障害などがある。強度の不安、不穏、精神運動興奮がともなう場合や、幻覚妄想に支配されて著しく奇異な行動をとったり、衝動行為に及ぶ可能性がある場合などは、入院医療を要する。入院を要さない場合で、幻覚妄想状態が精神病、あるいはそれと同等の病態にあり、持続するか、あるいは消長を繰り返し、継続的な通院による精神療法や薬物療法を必要とする場合には、精神通院医療の対象となる。

3 精神運動興奮及び昏迷の状態

国際疾病分類ICD―10の統合失調症、統合失調型障害、妄想性障害、症状性を含む器質性精神障害、精神作用物質による精神および行動の障害などでみられる病態である。この病態は、精神運動性の障害を主体とし、運動性が亢進した精神運動興奮状態と、それが低下した昏迷状態とがある。しばしば、滅裂思考、思考散乱などの思考障害、拒絶、緘黙などの疎通性の障害、常同行為、衝動行為などの行動の障害を伴う。強度の精神運動性興奮がみられたり、昏迷状態が続く場合などは、入院医療を要する。入院を要さない場合で、精神運動興奮あるいは混迷状態が精神病、あるいはそれと同等の病態にあり、持続するか、あるいは消長を繰り返し、継続的な通院による精神療法や薬物療法を必要とする場合には、精神通院医療の対象となる。

4 統合失調等残遺状態

国際疾病分類ICD―10の統合失調症、統合失調型障害、精神作用物質による精神および行動の障害などの慢性期、あるいは寛解期などにみられる病態である。この病態では、感情平板化、意欲低下、思路の弛緩、自発語の減少などがみられ、社会生活能力が病前に比べ、著しく低下した状態が続く。不食、不潔、寝たきりの状態が続くなどして身体の衰弱が著しい場合、通常、入院を要する。入院を要さない場合で、このような残遺状態が精神病か、それと同等の病態にあり、持続するか、あるいは消長を繰り返し、日常生活の指導、社会性の向上、および疾患の再発予防のため、持続的な通院による精神療法や薬物療法を必要とする場合には、精神通院医療の対象となる。

5 情動および行動の障害

国際疾病分類ICD―10の成人の人格および行動の障害、症状性を含む器質性精神障害、生理的障害および身体的要因に関連した行動症候群、小児期および青年期に通常発症する行動および情緒の障害、精神遅滞、心理的発達の障害などでみられる病態である。情動の障害には、不機嫌、易怒性、爆発性、気分変動などの情動の障害などがあり、行動の障害には、暴力、衝動行為、常同行為、多動、食行動の異常、チック・汚言、性行動の異常などがある。情動および行動の障害により、著しい精神運動興奮を呈する場合、あるいは行動制御の能力を失っている場合は、通常、入院医療を要する。入院を要さない場合で、情動および行動の障害が精神病、あるいはそれと同等の病態にあり、持続するか、消長を繰り返し、継続的な通院による精神療法や薬物療法を必要とする場合には、精神通院医療の対象となる。

6 不安および不穏状態

国際疾病分類ICD―10の統合失調症、統合失調型障害、妄想性障害、症状性を含む器質性精神病、精神作用物質による精神および行動の障害、神経症性障害、ストレス関連障害、身体表現性障害などでみられる病態である。この病態は、長期間持続する強度の不安、あるいは恐怖感を主症状とし、強迫体験、心気症状、不安の身体化、および不安発作などを含む。強度の不安により、精神運動不穏を呈するか、あるいは心身の衰弱が著しい場合は、通常、入院医療を要する。入院を要さない場合で、不安および不穏状態が、精神病、あるいはそれと同等の病態にあり、持続するか、あるいは消長を繰り返し、継続的な通院による精神療法や薬物療法を必要とする場合には、精神通院医療の対象となる。

7 けいれん及び意識障害(てんかん等)

国際疾病分類ICD―10のてんかん、症状性を含む器質性精神障害、精神作用物質による精神および行動の障害、解離性障害などでみられる病態である。この病態には、痙れんや意識消失などのてんかん発作や、もうろう状態、解離状態、せん妄など意識の障害などがある。痙れんおよび意識障害が遷延する場合は、入院医療を要する。入院を要さない場合で、痙れん、または意識障害が挿間性に発現し、継続的な通院による精神療法や薬物療法を必要とする場合には、精神通院医療の対象となる。

8 精神作用物質の乱用、依存等

国際疾病分類ICD―10の精神作用物質による精神および行動の障害のうち、精神作用物質の有害な使用、依存症候群、精神病性障害などでみられる病態である。当該物質の乱用および依存には、しばしば、幻覚、妄想、思考障害、情動あるいは行動の障害などが生じ、さまざまな社会生活上の問題がともなう。依存を基礎として生じた急性中毒、離脱状態、あるいは精神病性障害において、精神運動興奮が著しい場合は、通常、入院医療を要する。入院を要さない場合で、乱用、依存からの脱却のため通院医療を自ら希望し、あるいは精神作用物質による精神および行動の障害が精神病、あるいはそれと同等の病態にあり、継続的な通院による精神療法や薬物療法を必要とする場合には、精神通院医療の対象となる。

9 知能障害等

精神遅滞及び認知症については、易怒性、気分変動などの情動の障害や暴力、衝動行為、食行動異常等の行動の障害等を伴い、継続的な通院による精神療法や薬物療法を必要とする場合に、精神通院医療の対象となる。

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