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○電動車いすに係る補装具費の支給について

(平成18年9月29日)

(障発第0929009号)

(各都道府県知事・各指定都市市長・各中核市市長あて厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長通知)

障害者自立支援法(平成17年法律第123号)第76条の規定に基づいて市町村が支給する電動車いすに係る補装具費について、別紙のとおり「電動車いすに係る補装具費支給事務取扱要領」を定め、支給事務の円滑かつ適正な実施及び利用者等の安全確保に資することとしたので、内容了知の上、貴管内市町村及び関係機関等へ周知方ご配意願いたい。

なお、これに伴い、平成14年3月27日障発第0327013号厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長通知「電動車いすの給付について」は廃止する。

別紙

電動車いすに係る補装具費支給事務取扱要領

第1 基本的事項

1 電動車いすに係る補装具費の支給は、重度の歩行困難者の自立と社会参加の促進を図ることを目的として行われるものであることから、身体障害者及び身体障害児(以下「障害者」という。)の身体の状況、年齢、職業、学校教育、生活環境等の諸条件を考慮し、その是非を判断すること。

2 電動車いすに係る補装具費の支給に際しては、使用者及び他の歩行者等の安全を確保するため、操作訓練、使用上の留意事項の周知等について格段の指導を行うこと。

第2 実施要領

1 電動車いすに係る補装具費支給基準

(1) 対象者

学齢児以上であって、次のいずれかに該当する障害者であること。

なお、電動車いすの特殊性を特に考慮し、少なくとも小学校高学年以上を対象とすることが望ましいこと。

ア 重度の下肢機能障害者であって、電動車いすによらなければ歩行機能を代替できないもの

イ 呼吸器機能障害、心臓機能障害によって歩行に著しい制限を受ける者であって、医学的所見から適応が可能なもの

(2) 使用者条件

次のいずれにも該当する障害者であること。

ア 日常生活において、視野、視力、聴力等に障害を有しない者又は障害を有するが電動車いすの安全走行に支障がないと判断される者

イ 歩行者として、必要最小限の交通規則を理解・遵守することが可能な者

(3) 操作能力

次のすべての操作を円滑に実施できる障害者であること。

ただし、アシスト式手動兼用型の場合には、イの(エ)を除き不要であること。

ア 基本操作

(ア) 操作ノブ等の操作

(イ) メインスイッチ・速度切替

(ウ) 発進・停止

イ 移動操作

(ア) 速度(低速・高速等)調節

(イ) 直進(直線・蒲鉾・片傾斜道路)走行

(ウ) S字・クランク走行

(エ) 坂道走行

(オ) 溝・段差乗越え走行

(カ) 旋回

(キ) 非常時の対応

(ク) その他移動に必要な操作

2 支給の判定

(1) 身体障害者の場合には、新規支給、再支給にかかわらず1の要件について、身体障害者更生相談所(以下「更生相談所」という。)が十分な判定を行うこと。

身体障害児の場合には、新規支給、再支給にかかわらず1の要件について担当医師から詳しい診断及び意見を求め、必要に応じて、更生相談所に対し協力・助言を求めるなど、当該児童の日常生活における電動車いすの必要性について十分に検討すること。

ただし、告示に定められている電動車いすを使用している障害者が、当該電動車いすが修理不能となったことのみを理由として、同じ型式の電動車いすに係る補装具費の再支給を希望する場合には、1の(2)の要件に係る補装具費支給意見書により判定して差し支えないこと。

(2) 補装具費を支給する電動車いすの名称種別の決定に当たっては、身体の状況、生活環境及び身体的操作能力(操作性、所要時間、安全性等)の結果等を総合的に考慮して行うこと。

特に、電動車いすの操作経験を有さない障害者に支給する場合には、十分な操作訓練や使用上の留意事項の周知について徹底するとともに、特に身体障害児の場合には、当該保護者等に対しても使用上の留意事項を周知し、本人及び周囲の安全確保に十分配慮すること。

(3) 手動兼用型に係る補装具費の支給目的のひとつは残存能力を活かすことにあるため、支給を受けた障害者が電動力に依存し過ぎることのないよう、効果的な使用方法について、本人及び家族等に対し周知を図ること。

また、バッテリーの選定に当たっては、日常生活圏における坂路及び悪路の状況により、必要となる性能に基づいて行うこと。

(4) バッテリー交換の適否の判断に当たっては、使用者個々の走行状態及びバッテリーの充電能力により使用可能な期間は相当の長短が予想されるので、特に、ニッケル水素及びニッカドのバッテリーは300回~500回の充電が可能とされている点を踏まえながら、実情に沿うよう適切に実施されたい。

第3 その他

この要領に定めのない事項については、補装具費支給事務取扱指針に準ずる。

(参考)

電動車いすの名称に係る判定の目安について

※ 日常生活圏とは、自宅周辺の日常の行動範囲及び通勤又は通学のために、日常的に車いすの使用を行う圏域である。