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○障害福祉サービス等における日常生活に要する費用の取扱いについて

(平成18年12月6日)

(障発第1206002号)

(各都道府県知事あて厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長通知)

障害者自立支援法による療養介護、生活介護、児童デイサービス、短期入所、自立訓練(機能訓練)、自立訓練(生活訓練)、就労移行支援、就労継続支援A型、就労継続支援B型及び共同生活援助並びに施設入所支援(以下「障害福祉サービス等」という。)の提供に当たって、当該障害福祉サービス等に係る利用者負担額のほか、利用者から受け取ることが認められる費用の取扱いについては、「障害者自立支援法に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準」(平成18年厚生労働省令第171号)及び「障害者自立支援法に基づく指定障害者支援施設等の人員、設備及び運営に関する基準」(平成18年厚生労働省令第172号)において規定されているところであるが、障害福祉サービス等において提供される便宜のうち、「日常生活においても通常必要となるものに係る費用であって、支給決定障害者に負担させることが適当と認められるもの」(以下「その他の日常生活費」という。)の具体的な取扱いについて下記のとおり定めたので、御了知の上、貴管内市町村、関係機関等に周知徹底を図るとともに、その運用に遺憾のないようにされたい。

なお、平成18年3月31日付け障発第0331018号当職通知「特定費用の取扱いについて」は平成18年9月30日限り廃止する。

1 「その他の日常生活費」の趣旨

「その他の日常生活費」は、利用者の自由な選択に基づき、事業者又は施設が障害福祉サービス等の提供の一環として提供する日常生活上の便宜に係る経費がこれに該当する。

なお、事業者又は施設により行われる便宜の供与であっても、サービスの提供と関係のないもの(利用者の贅沢品や嗜好品の購入等)については、その費用は「その他の日常生活費」とは区別されるべきものである。

2 「その他の日常生活費」の受領に係る基準

「その他の日常生活費」の趣旨にかんがみ、事業者又は施設が、利用者から「その他の日常生活費」の徴収を行うに当たっては、次に掲げる基準が遵守されなければならないものとする。

(1) 「その他の日常生活費」の対象となる便宜と、介護給付費又は訓練等給付費(以下「介護給付費等」という。)の対象となっているサービスとの間に重複関係がないこと。

(2) 介護給付費等の対象となっているサービスと明確に区分されない曖昧な名目による費用の受領は認められないこと。したがって、お世話料、管理協力費、共益費、施設利用補償金といったあやふやな名目の費用の徴収は認められず、費用の内訳が明らかにされる必要があること。

(3) 「その他の日常生活費」の受領については、利用者に事前に十分な説明を行い、その同意を得なければならないこと。

(4) 「その他の日常生活費」の受領は、その対象となる便宜を行うための実費相当額の範囲内で行われるべきものであること。

(5) 「その他の日常生活費」の対象となる便宜及びその額は、事業者又は施設の運営規程において定められなければならず、また、サービスの選択に資すると認められる重要事項として、当該事業者又は施設の見やすい場所に掲示されなければならないこと。ただし、「その他の日常生活費」の額については、その都度変動する性質のものである場合には、「実費」という形の定め方が許されるものであること。

3 「その他の日常生活費」の具体的な範囲

(1) 利用者の希望によって、身の回り品として日常生活に必要なものを事業者又は施設が提供する場合に係る費用

(2) 利用者の希望によって、教養娯楽等として日常生活に必要なものを事業者又は施設が提供する場合に係る費用

4 留意事項

(1) 3の(1)に掲げる「身の回り品として日常生活に必要なもの」とは、一般的に利用者の日常生活に最低限必要と考えられる物品(例えば、歯ブラシや化粧品等の個人用の日用品等)であって、利用者の希望を確認した上で提供されるものをいう。

したがって、こうした物品を事業者又は施設がすべての利用者に対して一律に提供し、すべての利用者からその費用を画一的に徴収することは認められないものである。

(2) 3の(2)に掲げる「教養娯楽等として日常生活に必要なもの」とは、例えば、事業者又は施設が障害福祉サービス等の提供の一環として実施するクラブ活動や行事における材料費、入浴に係る費用等が想定されるものであり、すべての利用者に一律に提供される教養娯楽に係る費用(共用の談話室等にあるテレビやカラオケ設備の使用料等)について、「その他の日常生活費」として徴収することは認められないものである。

5 「その他の日常生活費」と区別されるべき費用の取扱い

預り金の出納管理に係る費用については、「その他の日常生活費」とは区別されるべき費用である。預り金の出納管理に係る費用を利用者から徴収する場合には、

(1) 責任者及び補助者が選定され、印鑑と通帳が別々に保管されていること、

(2) 適切な管理が行われていることの確認が複数の者により常に行える体制で出納事務が行われること、

(3) 利用者との保管依頼書(契約書)、個人別出納台帳等、必要な書類を備えていること

等が満たされ、適正な出納管理が行われることが要件となる。

また、利用者から出納管理に係る費用を徴収する場合にあっては、その積算根拠を明確にし、適切な額を定めることとし、例えば、預り金の額に対し、月当たり一定割合とするような取扱いは認められないものである。

預り金の出納管理に係る費用のほか、「その他の日常生活費」と区別されるべき費用としては、利用者個人の希望による嗜好品、贅沢品の購入に係る費用、障害者支援施設における入退所時の送迎に係る費用などが考えられる。

6 利用者等に金銭の支払を求める場合の考え方

障害福祉サービス等の提供に要する費用として介護給付費等に含まれるものについては、利用者から徴収することはできない。介護給付費等の対象に含まれない費用については、利用者から金銭を徴収することが可能とされている。

また、利用者から金銭を徴収することができるのは、当該金銭の使途が直接当該利用者の便益を向上させるものであって当該利用者に支払を求めることが適当であるものに限られるものである。金銭の支払を求める際は、当該金銭の使途及び額並びに利用者に金銭の支払を求める理由について書面によって明らかにするとともに、利用者の同意を得なければならないものである。

7 特定旧法指定施設における日常生活に要する費用の取扱いについて

特定旧法指定施設における指定旧法施設支援の提供に当たって、当該障害福祉サービス等に係る利用者負担額のほか、利用者から受け取ることが認められる費用の取扱いについては、障害者自立支援法の一部の施行に伴う厚生労働省関係省令の整備等に関する省令(平成18年厚生労働省令第169号。以下「整備省令」という。)による廃止前の指定身体障害者更生施設等の設備及び運営に関する基準(平成14年厚生労働省令第79号)及び整備省令による廃止前の指定知的障害者更生施設等の設備及び運営に関する基準(平成14年厚生労働省令第81号)において規定されているところであるが、その具体的な取扱いについては、上記1から6までの規定に準じた取扱いとすること。