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○介護給付費等の支給決定等について

(平成19年3月23日)

(障発第0323002号)

(各都道府県知事・各指定都市市長・各中核市市長あてこども家庭庁支援局長、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長通知)

標記については、障害者自立支援法(平成17年法律第123号。平成25年4月から障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律。以下「法」という。)及びこれに基づく関係法令等によって規定しているところであるが、この実施に伴う取扱いを下記のとおり定め、平成18年10月1日より適用することとしたので、御了知の上、貴管内市町村、関係機関等に周知徹底を図るとともに、その運用に遺憾のないようにされたい。

また、平成15年3月28日付け障発第0328020号当職通知「支援費支給決定について」、平成15年6月6日付け障発第0606001号当職通知「児童デイサービスに係る居宅生活支援費の支給等の対象となる児童について」及び平成15年6月6日付け障発第0606002号当職通知「児童福祉法第21条の25第1項に規定するやむを得ない事由による措置により児童デイサービスを提供する場合の留意事項について」は平成18年9月30日限り廃止する。

なお、本通知は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第245条の4第1項の規定に基づく技術的な助言であることを申し添える。

第一 支給決定及び地域相談支援給付決定の基本的取扱い

障害福祉サービスの利用について介護給付費、特例介護給付費、訓練等給付費若しくは特例訓練等給付費(以下「介護給付費等」という。)の支給を受けようとする障害者又は障害児の保護者(以下「障害者等」という。)又は地域相談支援給付費若しくは特例地域相談支援給付費(以下「地域相談支援給付費等」という。)の支給を受けようとする障害者は、障害福祉サービス又は地域相談支援の種類ごとに市町村に対して支給申請を行う。市町村は、障害福祉サービスの支給決定(以下「支給決定」という。)又は地域相談支援の給付決定(以下「地域相談支援給付決定」という。)を行うに当たって、指定特定相談支援事業者が作成するサービス等利用計画案の提出を求める。

市町村は、申請を行った障害者等の障害支援区分又は障害の種類及び程度、当該障害者等の介護を行う者の状況、置かれている環境、当該障害者等の介護給付費等の受給の状況その他の主務省令で定める事項及びサービス等利用計画案を勘案して、支給の要否を決定し、支給決定又は地域相談支援給付決定を行う場合には、支給決定又は地域相談支援給付決定の有効期間及び障害福祉サービス又は地域相談支援の種類ごとに月を単位として主務省令で定める期間において介護給付費等を支給する障害福祉サービスの量(以下「支給量」という。)又は地域相談支援給付費等を支給する地域相談支援の量(以下「地域相談支援給付量」という。)を定めることとなる。

第二 障害支援区分の認定

障害支援区分は、障害の多様な特性その他の心身の状態に応じて必要とされる標準的な支援の度合を総合的に示す指標であり、その認定の具体的な方法等については、平成26年3月3日付け障発0303第1号当職通知「障害支援区分認定の実施について」等で既にお示ししているところであるが、対象となるサービスの種類、認定の有効期間、認定を受けた者の転出入時の具体的な取扱い等については次のとおりとする。

1 対象となるサービスの種類

市町村は、障害者(児童福祉法(昭和22年法律第164号)附則第63条の2及び第63条の3の規定に基づき15歳以上18歳未満の児童が障害者のみを対象とするサービスを利用する場合及び精神保健福祉センター等の意見に基づき精神障害者である児童が障害者のみを対象とするサービスを利用する場合を含む。以下同じ。)から介護給付費(特例介護給付費を含む。以下同じ。)又は訓練等給付費(特例訓練等給付費を含み、共同生活援助に係るものに限る。)の支給対象となるサービスに係る支給申請(同行援護に係る支給申請のうち「身体介護を伴わない場合」及び共同生活援助に係る支給申請のうち、入浴、排せつ又は食事等の介護を伴わない場合を除く。以下「障害支援区分の認定を要する支給申請」という。)があったときに、障害支援区分の認定を行う。

2 認定の有効期間

障害支援区分の認定の有効期間については、3年を基本とし、障害者の心身の状況から状態が変動しやすいと考えられる場合等においては、市町村審査会の意見に基づいて3か月以上3年未満の範囲で有効期間を短縮できるものとする。

3 認定の有効期間の開始日及び終了日

(1) 有効期間の開始日

障害支援区分の認定の有効期間の開始日は、原則として認定日とするが、支給決定の有効期間の開始日と合わせることも可能とする。

なお、障害支援区分を認定した結果、支給決定は却下となる場合においても、障害支援区分の認定自体は有効である。

(2) 有効期間の算定方法

月を単位とする有効期間が月の末日で満了するよう、次のとおり有効期間を算定するものとする。

① 有効期間の開始日が月の初日の場合

当該月から起算して1か月単位で定める期間とする。

② 有効期間の開始日が月の途中の場合

有効期間の開始日が属する月の末日までの期間と1か月単位で定める期間を合算して得た期間とする。

4 転出入時における障害支援区分認定の取扱い

障害支援区分認定を受けた者(以下「障害支援区分認定者」という。)が、他の市町村に転出した場合、転入先の市町村で新たに障害支援区分認定に係る調査(以下「認定調査」という。)を受けることなく、転出元市町村で認定を受けた障害支援区分及び有効期間を引き続き有効にできることを基本とする。

(1) 事務手続

① 障害支援区分認定者が転出する際、障害支援区分認定者は、転出元市町村に転出届を提出し、当該転出元市町村は、当該転出予定者の障害支援区分、認定の有効期間その他障害支援区分の認定に必要な事項を記載した証明書(以下「障害支援区分認定証明書」という。)を障害支援区分認定者に交付する。

② 障害支援区分認定者は、転入先市町村に転入してから14日以内に、障害支援区分認定証明書を添えて支給申請を行う。

③ 転入先市町村は、改めて認定調査及び市町村審査会における審査判定の手続を経ることなく、証明書の内容をもって障害支援区分を認定する。

(2) 認定の有効期間

転出元市町村で認定された有効期間の満了日まで有効とする。

5 支給申請後認定前に申請者が転出した場合の取扱い

(1) 認定調査前に転出した場合

転出元市町村は、申請を却下し、又は申請者に申請の取下げを指導するとともに、サービス利用希望者に対し、転入先市町村で改めて支給申請を行うよう指導する。

ただし、障害支援区分の認定を要する支給申請を行った障害者が、申請後に緊急その他やむを得ない理由により申請に係るサービスを利用している場合で、転出元市町村が特例介護給付費又は特例訓練等給付費を支給しようとする場合は、申請者に対し、転入先市町村による障害支援区分認定後に障害支援区分認定証明書の交付を受けて提出するよう指導し、当該認定結果に基づき障害支援区分を認定することができるものとする。

(2) 障害支援区分認定調査後に転出した場合

① 転出元市町村は、支給申請を受け、認定調査済みであることを付記した障害支援区分認定証明書を申請者に交付する。この場合、備考欄に「○月○日 認定調査済み」と記す。

② サービス利用希望者は、転入先市町村に転入してから14日以内に、障害支援区分認定証明書を添えて支給申請を行う。

③ その後転出元市町村は、市町村審査会における判定まで手続を行い、改めて、判定結果を記入した障害支援区分認定証明書を申請者に交付する。

④ 転入先市町村は、申請者から判定結果を記入した障害支援区分認定証明書の提出を受けて、当該判定結果に基づき障害支援区分を認定する。

第三 障害児に係る支給決定の方法

障害児については、発達途上にあり時間の経過と共に障害の状態が変化すること、乳児期については通常必要となる育児上のケアとの区別が必要なこと等検討課題が多く、現段階では直ちに使用可能な指標が存在しないことから、障害支援区分は設けないこととし、障害児の支給決定は、従前の取扱いを基本にしつつ、平成18年10月からの取扱いは次のとおりとする。

※ 対象児童に該当するか否かの判断に当たっては、必ずしも身体障害者手帳、療育手帳又は精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている必要はない。この場合、市町村は、当該児童が支援を必要とするか否かについて、市町村保健センター、児童相談所、保健所等に意見を求めることが望ましいものとする。

① 居宅介護又は短期入所の申請があった場合、障害の種類や程度の把握のために、5領域11項目の調査(別表1)を行った上で支給の要否及び支給量を決定する。また、NICU等での集中治療を経て退院した直後である場合をはじめ、5領域11項目の調査だけでは支給の要否及び支給量の決定が難しい乳幼児期(特に0歳から2歳)の医療的ケア児(以下「乳幼児期の医療的ケア児」という。)については、5領域11項目の調査に加えて医療的ケアの判定スコアの調査(別表2)における医師の判断を踏まえて支給の要否及び支給量を決定する。ただし、支給決定を行う保護者が判定スコアの調査を望まない場合は、これを省略できるものとする。

居宅介護のうち障害児に係る通院等介助(身体介護を伴う場合)の対象者については、5領域11項目の調査を行った上で、障害者に係る通院等介助(身体介護を伴う場合)の判断基準に準じ、日常生活において身体介護が必要な障害児であって、かつ、通院等介助のサービス提供時において、「歩行」「移乗」「移動」「排尿」「排便」について介助が必要と想定されるか否かによって、それぞれの実施主体が判断する。

なお、短期入所については、障害児に係るこども家庭庁長官及び厚生労働大臣が定める区分(平成18年厚生労働省告示第572号)による障害児支援区分に基づき支給の要否を決定することとしているが、具体的な適用方法は次のとおりとする。

※障害児支援区分

【区分3】別表1①~④の項目のうち「全介助」が3項目以上又は別表1⑤の項目のうち「ほぼ毎日(週5日以上の)支援や配慮等が必要」が1項目以上

【区分2】別表1①~④の項目のうち「全介助」若しくは「一部介助」が3項目以上又は別表1⑤の項目のうち「週に1回以上の支援や配慮等が必要」が1項目以上

【区分1】区分3又は区分2に該当しない児童で、別表1①~④の項目のうち「一部介助」又は「全介助」が1項目以上

② 行動援護の申請があった場合、障害者と同様、こども家庭庁長官及び厚生労働大臣が定める基準並びに厚生労働大臣が定める基準(平成18年厚生労働省告示第543号。以下「基準告示」という。)に定める別表に掲げる12項目の調査等を行い、合計点数が10点以上の者を対象とする(てんかん発作については、必ずしも医師意見書の提出を求める必要はなく、家族等からの申出のみでも可とする。)。

③ 重度障害者等包括支援の申請があった場合、認定調査の調査項目と同様の80項目の調査を行い、市町村審査会に重度障害者等包括支援の対象とすることが適当であるか否かの意見を聴取した上で支給の要否を決定する。また、乳幼児期の医療的ケア児については、前述の調査等に加えて医療的ケアの判定スコアの調査(別表2)における医師の判断踏まえて支給の要否及び支給量を決定する。ただし、支給決定を行う保護者が判定スコアの調査を望まない場合は、これを省略できるものとする。

※ なお、麻痺等の有無の確認については、身体障害者手帳、医師の診断書又は聞き取り等により確認する。

④ 同行援護の申請があった場合、障害者と同様、基準告示に定める別表第2に掲げる調査項目の項の各欄の区分に応じ、それぞれの調査項目に係る利用者の状況をそれぞれ同表の0点の項から2点の項までに当てはめて算出した点数のうち、移動障害の欄に係る点数が1点以上であり、かつ、移動障害以外の欄に係る点数のいずれかが1点以上であること。

別表1 障害児の調査項目(5領域11項目)


項目

区分

判断基準

食事

・全介助

全面的に介助を要する。

・一部介助

おかずを刻んでもらうなど一部介助を要する。

・介助なし


排せつ

・全介助

全面的に介助を要する。

・一部介助

便器に座らせてもらうなど一部介助を要する。

・介助なし


入浴

・全介助

全面的に介助を要する。

・一部介助

身体を洗ってもらうなど一部介助を要する。

・介助なし


移動

・全介助

全面的に介助を要する。

・一部介助

手を貸してもらうなど一部介助を要する。

・介助なし


行動障害および精神症状

(1) 強いこだわり、多動、パニック等の不安定な行動や、危険の認識に欠ける行動。

・ほぼ毎日(週5日以上の)支援や配慮等が必要

調査日前の1週間に週5日以上現れている場合又は調査日前の1か月間に5日以上現れている週が2週以上ある場合。

(2) 睡眠障害や食事・排せつに係る不適応行動(多飲水や過飲水を含む。)。

(3) 自分を叩いたり傷つけたり他人を叩いたり蹴ったり、器物を壊したりする行為。

・週に1回以上の支援や配慮等が必要

調査日前の1か月間に毎週1回以上現れている場合又は調査日前の1か月間に2回以上現れている週が2週以上ある場合。

(4) 気分が憂鬱で悲観的になったり、時には思考力が低下する。

(5) 再三の手洗いや繰り返しの確認のため日常動作に時間がかかる。

(6) 他者と交流することの不安や緊張、感覚の過敏さ等のため外出や集団参加ができない。また、自室に閉じこもって何もしないでいる。

(7) 学習障害のため、読み書きが困難。

※通常の発達において必要とされる介助等は除く。

別表2 医療的ケアの判定スコアの調査

項目

細項目

基本スコア

見守りスコア

① 人工呼吸器(鼻マスク式補助換気法、ハイフローセラピー、間歇的陽圧吸入法、排痰補助装置及び高頻度胸壁振動装置を含む。)の管理


10

2

1

0

② 気管切開の管理


8

2

0

③ 鼻咽頭エアウェイの管理


5

1

0

④ 酸素療法


8

1

0

⑤ 吸引(口鼻腔又は気管内吸引に限る。)


8

1

0

⑥ ネブライザーの管理


3

0

⑦ 経管栄養

(1) 経鼻胃管、胃瘻、経鼻腸管、経胃瘻腸管、腸瘻又は食道瘻

8

2

0

(2) 持続経管注入ポンプ使用

3

1

0

⑧ 中心静脈カテーテルの管理(中心静脈栄養、肺高血圧症治療薬、麻薬等)


8

2

0

⑨ 皮下注射

(1) 皮下注射(インスリン、麻薬等の注射を含む。)

5

1

0

(2) 持続皮下注射ポンプの使用

3

1

0

⑩ 血糖測定(持続血糖測定器による血糖測定を含む。)


3

1

0

⑪ 継続的な透析(血液透析、腹膜透析等)


8

2

0

⑫ 導尿

(1) 間欠的導尿

5

0

(2) 持続的導尿(尿道留置カテーテル、膀胱瘻、腎瘻又は尿路ストーマ)

3

1

0

⑬ 排便管理

(1) 消化管ストーマの使用

5

1

0

(2) 摘便又は洗腸

5

0

(3) 浣腸

3

0

⑭ 痙攣時における座薬挿入、吸引、酸素投与又は迷走神経刺激装置の作動等の処置


3

2

0

(注)

「⑬ 排便管理」における「(3) 浣腸」は、市販のディスポーザブルグリセリン浣腸器(挿入部の長さがおおむね5センチメートル以上6センチメートル以下のものであって、グリセリンの濃度が50%程度であり、かつ、容量が、成人を対象とする場合にあってはおおむね40グラム以下、6歳以上12歳未満の小児を対象とする場合にあってはおおむね20グラム以下、1歳以上6歳未満の幼児を対象とする場合にあってはおおむね10グラム以下、0歳の乳児を対象とする場合にあってはおおむね5グラム以下のものをいう。)を用いて浣腸を施す場合を除く。

第四 支給決定及び地域相談支援給付決定の際勘案すべき事項その他の基本事項

1 支給決定及び地域相談支援給付決定の際に勘案すべき事項を定める趣旨

障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律施行規則(平成18年厚生労働省令第19号。以下「規則」という。)第12条に規定する支給決定の際に勘案すべき事項及び規則第34条の35に規定する地域相談支援給付決定の際に勘案すべき事項(以下「勘案事項」という。)を定める趣旨は、次のとおりである。

(1) 障害福祉サービス

① 障害支援区分又は障害の種類及び程度その他の心身の状況

障害支援区分の認定を要する支給申請を行う障害者に対し、介護給付費又は訓練等給付費(特例訓練等給付費を含む。以下同じ。)の支給要否決定を行うに当たっては、申請者の障害支援区分が当該サービスの利用要件に該当しているか否かをまず確認する必要がある。また、障害支援区分が利用要件に該当しており、支給決定を行おうとする場合には、障害支援区分が障害の多様な特性その他の心身の状態に応じて必要とされる標準的な支援の度合を段階的に区分していることにかんがみ、特に居宅介護等の訪問系サービスについては、その区分を勘案して支給量を定めることが適当である。

乳幼児期の医療的ケア児に対し、介護給付費の支給要否決定を行うに当たっては、5領域11項目の調査のみでは、医療的ケア児の障害の程度が通常の発達においても必要である介助等を要する状態であるのか、内部障害等に起因する医療的ケアにより通常の発達を超える介助等を要する状態であるか否かの判断が困難である。そのため、医療的ケアの判定スコアの調査項目欄に規定するいずれかの医療行為を必要とする状態である場合は、通常の発達を超える介助等を要するものとして支給決定を行うこととして差し支えない。

また、訓練等給付費の支給対象となる障害福祉サービスに係る支給申請(共同生活援助に係る支給申請のうち、日中サービス支援型指定共同生活援助の利用を希望する場合又は入浴、排せつ若しくは食事等の介護を伴う場合を除く。以下「障害支援区分の認定を要しない支給申請」という。)を行う障害者については、障害支援区分の認定は要さず、障害の種類及び程度を勘案する。その際、当該障害者等の身体障害者手帳や療育手帳、精神保健福祉手帳等に記載されている障害の状況又は疾病名のみに着目するのではなく、障害があるがゆえに日常生活を営むのに支障をきたしている状況等を含めて勘案する。具体的には、例えば、認定調査の調査項目を活用しつつ本人や家族、相談支援専門員等からの聞き取りを行うなど、市町村において必要な調査を行い障害の程度を含めた心身の状況を把握するとともに、地域におけるサービス資源に限りがあり、利用希望者が定員枠を超えるような場合には、自立訓練(機能訓練・生活訓練)に限り、待機期間のほか、認定調査の調査項目のうち訓練等給付費に関連する項目の調査結果をスコア化し、暫定支給決定の優先順位を考慮する際の参考指標として用いるものとする。(障害児については第三を参照のこと。)

なお、「その他の心身の状況」を勘案する場合とは、当該障害者が医療機関における入院治療が必要なために、障害福祉サービスで対処することが適当でない場合等を想定している。

② 介護を行う者の状況

介護を行う者(障害児にあっては保護者)の有無、年齢、心身の状況及び就労状況等を勘案して、介護給付費等の支給を決定する。

特に、短期入所については、その介護を行う者の疾病その他の理由により、居宅(家庭)において介護を受けることが一時的に困難となったことが、支援の要件となっているところである。このため、短期入所に係る介護給付費の支給を決定する際には、介護を行う者の疾病その他の状況が一時的なものか、継続的なものなのかを勘案して、支給期間を決定することになる。ただし、障害者本人の心身の状況等から市町村が特に必要と認める場合には、介護を行う者の状況にかかわらず、障害者本人の理由により短期入所に係る介護給付費の支給を行うことは可能である。

また、障害児に係る居宅介護においては、従来より、重度の障害のため日常生活を営むのに著しく支障がある障害児本人に着目するだけでなく、障害児の属する家庭を対象として、便宜を供与してきたところである。

なお、当該事項は、介護を行う者がいる場合に居宅介護等の介護給付費の支給を行わないという趣旨ではなく、介護給付費の支給に当たっては、介護を行う者の状況に配慮した上で行っていただくよう留意されたい。

乳幼児期の医療的ケア児の属する家庭においては、一般的に在宅移行時における介護者の負担の増加や、医療的ケアのために24時間の対応を行っている場合等が想定されることに配慮すること。

③ 介護給付費等の受給状況及び介護給付費等以外の保健医療サービス又は福祉サービス等の利用状況

市町村は、申請されたサービス以外のサービスの利用状況を踏まえ、支給決定により当該障害者等が全体としてどのようなサービスを受けながら生活することになるのかを把握した上で支給決定を行う。例えば、居宅介護に係る支給申請の場合、日中において支援を行うこととなる生活介護、自立訓練(機能訓練・生活訓練を含み、宿泊型自立訓練を除く。)、就労移行支援及び就労継続支援(A型・B型)(以下「日中活動サービス」という。)や短期入所に係る受給の状況、地域生活支援事業の利用状況等を勘案し、支給量の調整等を図ることが考えられる。

また、介護保険制度に基づく給付との適用関係については、法第7条に規定しているところであるが、この取扱いは別に通知するところによる。

④ 障害福祉サービスの利用に関する意向の具体的内容

当該障害者等が受けようとするサービスの内容、利用目的等、具体的にどのような利用の意向があるのかを勘案して介護給付費等の支給決定を行う。その際、社会参加の意欲を含め、本人がどのような生活をしていきたいのかを十分考慮する必要がある。

特に、指定障害福祉サービス基準附則第7条に規定する地域移行支援型ホームにおける指定共同生活援助等の利用については、地域移行支援型ホームを行う事業者が当該事業を開始した日において精神科病院に1年以上入院している精神障害者であって、当該病院等が地域への退院支援を徹底してもなお、直接、地域に出ることを不安に感じる者が、当該サービスの利用を自ら希望する場合にのみ利用が可能である。ただし、退院する際は病院の敷地外である地域生活に移行することが原則であり、地域移行支援型ホームの利用は、やむを得ない事情を考慮して例外的に認められるものであることに留意すること。

⑤ 置かれている環境

当該障害者等が居住する住宅の構造(例えば、障害に対応した住宅改修の状況)、立地や生活環境(例えば、事業所・施設や医療機関までの距離や交通手段)等を勘案する。

⑥ 当該申請に係る障害福祉サービスの提供体制の整備の状況

介護給付費等の支給決定を行うに当たっては、実際に当該障害者等が当該障害福祉サービスを利用できる見込みがあることが必要であることから、本事項を勘案することとする。利用の見込みは、障害者等から利用予定事業者・施設を聴取するほか、障害者等からの求めに応じ、指定障害福祉サービス事業者等との連絡調整を行うこと等により判断することとなる。

また、地域における必要なサービス提供体制が確保されていない段階においては、障害者等が、それぞれその障害支援区分又は障害の種類及び程度等に応じてサービスを利用できるよう調整するために、本事項を勘案することが必要となる場合も想定される。

(2) 地域相談支援

① 障害の種類及び程度その他の心身の状況

地域相談支援を利用しようとする障害者については、障害支援区分の認定は要さず、障害の種類及び程度を勘案する。その際、当該障害者の身体障害者手帳や療育手帳、精神保健福祉手帳等に記載されている障害の状況又は疾病名のみに着目するのではなく、障害があるがゆえに日常生活を営むのに支障をきたしている状況等を含めて勘案する。具体的には、障害支援区分の認定を要しない支給申請を行う障害者と同様に、例えば、認定調査の調査項目を活用しつつ本人や家族、相談支援専門員等からの聞き取りを行うなど、市町村において必要な調査を行い障害の程度を含めた心身の状況を把握する。

② 地域相談支援給付費等の受給状況及び地域相談支援給付費等以外の保健医療サービス又は福祉サービス等の利用状況

市町村は、申請されたサービス以外のサービスの利用状況を踏まえ、地域相談支援給付決定により当該障害者が全体としてどのようなサービスを受けながら生活することになるのかを把握した上で地域相談支援給付決定を行う。

③ 地域相談支援の利用に関する意向の具体的内容

当該障害者が受けようとする地域相談支援の内容、利用目的等、具体的にどのような利用の意向があるのかを勘案して地域相談支援給付決定を行う。特に、地域移行支援については、地域生活への移行に向けた意欲を含め、本人がどのような生活をしていきたいのかを十分考慮する必要がある。

④ 置かれている環境

地域移行支援に係る地域相談支援給付決定を行うに当たっては、当該障害者の入院又は入所等している期間、家族関係や地域生活への移行後における生活環境(例えば、事業所・施設や医療機関までの距離や交通手段)等を勘案する。地域定着支援に係る地域相談支援給付決定を行うに当たっては、家族等の同居の有無、同居している家族等の年齢、心身の状況及び就労状況、同居している家族等による当該障害者への緊急時等において必要となる支援の見込み等を勘案して、地域相談支援給付決定をする。

⑤ 当該申請に係る地域相談支援の提供体制の整備の状況

地域相談支援給付決定を行うに当たっては、実際に当該障害者が当該地域相談支援を利用できる見込みがあることが必要であることから、障害福祉サービスと同様に本事項を勘案することとする。

2 勘案事項の聴き取り・審査

勘案事項の聴き取りは、まず申請者本人から市町村の職員が行うことが原則となる。ただし、市町村は、認定調査の調査項目の聴き取りも含め、公正・中立な立場で業務を実施できるものと認められる指定一般相談支援事業者、指定特定相談支援事業者等に限り委託することができるものとする。また、本人からだけでは十分な聴き取りが困難である場合、本人の状態をよく知っている者(家族のほか、事業所、施設、精神科病院、救護施設等(障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定地域相談支援の事業の人員及び運営に関する基準(平成24年厚生労働省令第27号)第1条第3号に規定する救護施設等をいう。)、刑事施設等(同条第4号に規定する刑事施設等をいう。)、保護観察所又は地域生活定着支援センター等の担当者を含む。)からも聴き取りを行うなど、その適切な把握に努めることが必要である。

3 サービス等利用計画案の提出

市町村は、障害福祉サービスの申請若しくは変更の申請に係る障害者若しくは障害児の保護者又は地域相談支援の申請に係る障害者に対し、指定特定相談支援事業者が作成するサービス等利用計画案の提出を求める。ただし、当該申請者が、介護保険制度のサービスを利用する場合については、居宅サービス計画又は介護予防サービス計画(ケアプラン)の作成対象者となるため、障害福祉サービス固有のものと認められる行動援護、同行援護、自立訓練(生活訓練)、就労移行支援、就労継続支援等の利用を希望する場合であって、市町村がサービス等利用計画案の作成が必要と認める場合に求めるものとする。

市町村からサービス等利用計画案の提出を求められた申請者は、指定特定相談支援事業者が作成したサービス等利用計画案を提出する。

なお、市町村からサービス等利用計画案の提出を求められた申請者は、身近な地域に指定特定相談支援事業者がない場合又は指定特定相談支援事業者以外の者が作成するサービス等利用計画案の提出を希望する場合には、指定特定相談支援事業者が作成する計画案に代えて当該事業者以外の者が作成するサービス等利用計画案を提出できる。ただし、地域移行支援型ホーム(従前の地域移行型ホームを含む。以下同じ。)における指定共同生活援助等の申請者に係るサービス等利用計画案については、指定特定相談支援事業者(当該地域移行支援型ホームと同一敷地内にある病院の開設者、管理者その他の関係者と特別な関係にないものに限る。)が作成したものに限る(既に指定特定相談支援事業者以外の者が作成したサービス等利用計画を有する申請者については、当該計画の有効期間内においてはこの限りでない。)。その際、市町村は、指定特定相談支援事業者に対し、当該地域移行支援型ホームにおける指定共同生活援助等の利用とは別に、当該申請者が地域で生活することが可能となるような支援策が考えられる場合にはそれを申請者に提示するように努め、必要な助言、指導を行うこと。

市町村は、これらのサービス等利用計画案の提出があった場合には、勘案事項及び当該サービス等利用計画案を勘案して支給決定又は地域相談支援給付決定を行う。

4 同時に支給決定又は地域相談支援給付決定ができるサービスの組合せ

(1) 併給調整関係

個々の障害者等のニーズや地域におけるサービス提供基盤は多様であること、さらに、利用実績払い(日額報酬)を導入したことに伴い、報酬の重複なく、様々なサービスを組み合わせることが可能となったことから、原則として、併給できないサービスの組み合わせは特定せず、報酬が重複しない利用形態であるならば、障害者等の自立を効果的に支援する観点から、市町村が支給決定又は地域相談支援給付決定時にその必要性について適切に判断し、特に必要と認める場合は併給を妨げないものとする。

具体例を挙げると次のとおりである。

① 重度訪問介護は、従前の日常生活支援の取扱いと同様に、身体介護や家事援助等の援助が断続的に行われることを総合的に評価して設定しており、同一の事業者がこれに加えて身体介護及び家事援助等の居宅介護サービス費を算定することはできない。ただし、当該者にサービスを提供している事業所が利用者の希望する時間帯にサービスを提供することが困難である場合であって、他の事業者が身体介護等を提供する場合にあっては、この限りでない。

② 障害者支援施設又はのぞみの園において施設入所支援を受ける障害者については、施設入所支援以外の日中活動に係る施設障害福祉サービスについては併せて支給決定を行うこととなるが、当該日中活動に係る施設障害福祉サービス以外の障害福祉サービス(居宅介護等)については、原則として利用することはできない。ただし、障害者支援施設又はのぞみの園に入所する者が一時帰宅する場合や共同生活援助を行う住居以外で単身生活の体験をする場合等においては、通常、受け入れ体制が確保されていることが想定されるが、市町村が特に必要と認める場合においては、施設入所に係る報酬が全く算定されない期間中に限り、居宅介護、重度訪問介護、同行援護及び行動援護について支給決定を行うことは可能である。

なお、障害者支援施設又はのぞみの園の入所者に係る日中活動サービスについては、既に、施設入所支援と併せて支給決定を受けていることから、改めて支給決定を受けることなく、一時帰宅中に当該日中活動サービスを利用することは可能である。

また、障害者支援施設又はのぞみの園において施設入所支援を受ける者が、共同生活援助を体験的に利用する場合には、その間、共同生活援助の利用が可能となるとともに、併せてその期間中の日中活動サービスの利用も可能である。

さらに、障害者支援施設又はのぞみの園において施設入所支援を受ける者は、地域移行支援における障害福祉サービスの体験的な利用支援及び体験的な宿泊支援の利用も可能である。

③ 共同生活援助を行う住居に入居する者(体験的な利用を行う者を含む。)は、入居中は、居宅介護及び重度訪問介護を利用することはできない(指定障害福祉サービス基準附則第18条の2第1項及び第2項の適用を受ける入居者を除く。)。


指定障害福祉サービス基準附則第18条の2第1項の適用を受ける入居者

指定障害福祉サービス基準附則第18条の2第2項の適用を受ける入居者

居宅介護

○(居宅における身体介護が中心である場合のみ)

重度訪問介護

×

ただし、入居者が一時帰宅する場合においては、通常、受け入れ体制が確保されていることが想定されるが、市町村が特に必要と認める場合においては、共同生活援助を行う住居の利用に係る報酬が全く算定されない期間中に限り、居宅介護又は重度訪問介護について支給決定を行うことは可能である(障害支援区分等が利用要件に該当している場合に限る。また、指定障害福祉サービス基準附則第18条の2第1項及び第2項の適用を受ける入居者で居宅介護又は重度訪問介護の支給決定を受けている者は、居宅介護又は重度訪問介護について改めての支給決定は不要である。)。

なお、共同生活援助を行う住居の入居者が慢性疾患等の障害者であって、医師の指示により、定期的に通院を必要とする者である場合に限り、居宅介護における通院等介助や通院等乗降介助を利用することができる。

また、共同生活援助を行う住居のうち、日中サービス支援型指定共同生活援助については、常時の支援体制を確保し、昼夜を通じて共同生活援助のサービスが提供されるものであるが、当該利用者であっても、本人の意向等を勘案した上で日中活動に係る障害福祉サービスを併せて支給決定することが可能である。

そのほか、共同生活援助を行う住居の入居者が既に別途日中活動サービスに係る支給決定を受けている場合は、改めて支給決定を受けることなく、一時帰宅中に利用することは可能である。

④ 障害者支援施設、のぞみの園又は共同生活援助を行う住居に入所(入居)する者は、入所(入居)中は原則として短期入所を利用することはできない。ただし、入所(入居)者が、一時帰宅中において、短期入所が必要な事情が生じた場合には、通常、これらの入所施設又は共同生活援助を行う住居に戻って必要な支援を受けることが想定されるが、一時帰宅中の施設入所支援等の報酬(帰宅時支援加算は含まない。)が算定されない期間においては、帰宅先における介護者の一時的な事情により必要な介護を受けることが困難で、かつ、帰宅先と入所施設又は共同生活援助を行う住居とが遠隔地であるため直ちに入所施設又は共同生活援助を行う住居に戻ることも困難である場合等、市町村が特に必要と認める場合は、支給決定を行うことは可能である。

⑤ 退居後(外部サービス利用型)共同生活援助サービスを受ける障害者については、退居後の支援として、本人への相談支援や新しい住居における在宅の支援チームへの引き継ぎ等を行うことを趣旨としているため、利用者の地域における一人暮らし等の定着を促進する観点から、居宅介護や重度訪問介護、短期入所を含め、他の障害福祉サービスの支給決定を行うことが可能である。

⑥ 日中活動サービスについては、その効果的な支援を図る観点から、通常、同一種類のサービスを継続して利用することが一般的であると考えられるが、障害者の効果的な支援を行う上で市町村が特に必要と認める場合には、複数の日中活動サービスを組み合わせて支給決定を行うことは可能である。

なお、複数の日中活動サービスの支給決定を受けている場合でも、日中活動サービスに係る報酬は一日単位で算定されることから、同一日に複数の日中活動サービスを利用することはできない(同一日に同一サービスを異なる事業所で利用した場合を含め、同一日においては、一の事業所以外は報酬を算定できない。)。ただし、市町村が日中活動サービスの利用と併せて宿泊型自立訓練が特に必要と認めた場合を除く。

⑦ 重度障害者等包括支援は、障害福祉サービスを包括的に提供するものであるので、他の障害福祉サービスとの併給はできない。

⑧ 就労定着支援は、障害者が新たに雇用された通常の事業所での就労の継続を図るため、企業、障害福祉サービス事業者、医療機関等との連絡調整を行うとともに、雇用に伴い生じる日常生活又は社会生活を営む上での各般の問題に関する相談、指導及び助言等の支援を行うものであり、自立生活援助の支援内容を包含するため、自立生活援助との併給はできない。

また、就労定着支援を利用する障害者は、一般企業に6月以上就労が継続している障害者であるため、自立訓練(生活訓練)との併給はできない。

⑨ 自立生活援助は、障害者が自立した地域生活を営む上での各般の問題に対し、居宅への訪問や随時の相談対応等により当該障害者の状況を把握し、必要な情報提供や助言、連絡調整等の支援を行うものであり、地域定着支援の支援内容を包含するため、地域定着支援との併給はできない。

(2) サービス等利用計画の導入と障害福祉サービスの利用の組合せについて

① 基本的考え方

平成24年4月以降、以下の利用の組み合わせについては、現行制度の基本的な考え方(職住分離や地域移行)は維持しつつ、指定特定相談支援事業者によるサービス等利用計画を作成する手続を経た上で、利用の組み合わせが必要な場合には、市町村の判断で認めることができることとする。

・就労継続支援B型と施設入所支援との利用の組み合わせ

・生活介護と施設入所支援との利用の組み合わせ

② 対象者

平成24年4月以降、就労継続支援B型と施設入所支援との利用の組み合わせを希望する者又は生活介護と施設入所支援との利用の組み合わせを希望する者であって、障害支援区分が4(50歳以上の者は3)より低い者

ア 法の施行時の身体・知的の旧法施設(通所施設も含む。)の利用者(特定旧法受給者)

イ 法施行後に旧法施設に入所し、継続して入所している者

ウ 平成24年4月の改正児童福祉法の施行の際に障害児施設(指定医療機関を含む)に入所している者

エ 新規の入所希望者

なお、エの者に係る生活介護と施設入所支援との利用の組み合わせについては、これらのサービスがいずれも介護給付であることから、障害支援区分1以上の者を対象とする。なお、通所による生活介護の利用要件(障害支援区分3(50歳以上の者は2)以上)は変更しないことに留意すること。

③ 組合せを認める手続

市町村は、本人の意向を踏まえ、以下の判断の視点及び手続を踏まえて判断するものとする。なお、支給決定の更新の際も同様とする。

ア 判断の視点

(ア) 生活介護と施設入所支援との組み合わせ

地域における障害福祉サービスの提供体制の状況その他やむを得ない事情により、通所によって介護等を受けることが困難なもの

(イ) 就労継続支援B型と施設入所支援の組み合わせ

・入所させながら訓練等を実施することが必要かつ効果的であると認められるもの

・地域における障害福祉サービスの提供体制の状況その他やむを得ない事情により、通所によって訓練等を受けることが困難なもの

イ 手続

(ア) 市町村における全体方針の検討

市町村の協議会(法第89条の3第1項に規定する協議会をいう。以下同じ。)において、地域における障害福祉サービスの提供体制等を踏まえた上で、当該市町村における施設入所支援と生活介護(障害支援区分4(50歳以上の者は3)より低い者)又は就労継続支援B型の利用の組み合わせに対する対応方針等について定めるとともに、市町村の協議会に一定期間ごとに本組み合わせの対象者の数や状況報告を行い、地域の社会資源の開発等につなげるよう努めることが望ましい。

なお、地域において必要なサービスが提供できる等の理由により、仮に新規入所者の利用の組み合わせを原則として認めない場合であっても、旧法施設入所者等(②のアからウまで)については、引き続き、施設入所支援との組み合わせを可能とする。

(イ) 個別の利用者に関する手続

市町村は、支給決定に当たっては、指定特定相談支援事業者が上記の判断の視点等を踏まえて当該組合せが適当であるか否かを検討して作成したサービス等利用計画案を勘案して、当該組合せが適当であると認める場合に支給決定を行う。

市町村は、当該支給決定に当たって、必要に応じて市町村審査会に諮ることが望ましい。

なお、支給決定後において、指定特定相談支援事業者は、市町村において利用者の心身の状況等を勘案して柔軟かつ適切に設定した期間(ただし、少なくとも年1回)ごとに、継続サービス利用支援(モニタリング)を実施し、組合せが適当であるか否かについて検討を行い、見直しが必要な場合にはサービスの組合せの変更等に係る申請を利用者に勧奨するものとする。

ウ 手続の適用時期

(ア) 平成24年3月末時点での施設入所者(②のアからウまで)

当該者については、原則、支給決定の更新時にサービス等利用計画の作成を求めた上で、引き続き、当該組み合わせを認めて差し支えないこととする。

なお、平成24年4月の改正児童福祉法の施行の際に障害児施設に入所している者(②のウ)については、当該施行日においてはサービス等利用計画の作成を求めることを要しないが、支給決定の更新時においては、特に優先的にサービス等利用計画作成の対象とすること。

(イ) 平成24年4月以降の新規利用者(②のエ)

上記手続を経たものに限り認めることとする。

5 支給決定基準等の作成

(1) 障害福祉サービス

市町村は、勘案事項を踏まえつつ、介護給付費等の支給決定を公平かつ適正に行うため、あらかじめ支給の要否や支給量の決定についての支給決定基準を定めておくことが適当である。

その際、国庫負担基準は、あくまで国が市町村の給付費の支弁額に対して国庫負担する際の一人当たりの基準額であり、当該基準額が個々の利用者に対する支給量の上限となるものではないことに留意すること。

一方、個々の障害者の事情に応じ、支給決定基準と異なる支給決定(いわゆる「非定型」の支給決定)を行う必要がある場合が想定されることから、市町村はあらかじめ「非定型」の判断基準等を定めておくことが望ましい。

なお、「非定型」の支給決定を行うに当たっては、支給決定案について市町村審査会の意見を聴いた上で個別に適切な支給量を定めること。

また、共同生活援助に係る支給申請を行う障害者のうち、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第171号。以下「指定障害福祉サービス基準」という。)第213条の12に規定する受託居宅介護サービスの提供を受けることを希望する障害者に対する受託居宅介護サービスの支給量の決定に係る支給決定基準(以下「受託居宅介護サービスの支給決定基準」という。)は、以下により定めておくことが適当である。

ア 受託居宅介護サービスの支給決定基準の基本的な考え方

受託居宅介護サービスの支給決定基準については、障害支援区分ごとにイに掲げる市町村が支給決定を行うに当たって参酌すべき受託居宅介護サービスの支給標準時間(分/月)(以下「支給標準時間」という。)に基づき設定するものとし、当該支給標準時間の範囲内で定めることを基本とする。

イ 支給標準時間

【区分2】 150分/月

【区分3】 600分/月

【区分4】 900分/月

【区分5】 1,300分/月

【区分6】 1,900分/月

ウ 「非定型」の判断基準

以下の(ア)又は(イ)に掲げる場合であって、アにより定めた支給決定基準の支給量の範囲内では必要な受託居宅介護サービスの支給量が確保されないと認められる場合には、当該支給決定基準を超える支給決定を行うこととして差し支えないこと。この場合、支給決定に当たって、市町村審査会の意見を聴いた上で個別に適切な支給量を定めることが望ましいこと。なお、(イ)に掲げる場合であって、指定特定相談支援事業者以外の者がサービス等利用計画案を作成した場合については、支給決定に当たって、市町村審査会の意見を聴くものとする。

(ア) 当該支給申請を行う者が利用する外部サービス利用型指定共同生活援助事業所(指定障害福祉サービス基準第213条の14第1項に規定する外部サービス利用型指定共同生活援助事業所をいう。)に当該支給申請を行う者以外に受託居宅介護サービスの提供を受けている、若しくは、希望する利用者がいない場合又は受託居宅介護サービスを受けている、若しくは、希望する利用者のすべてが障害支援区分2以下である場合

(イ) 障害支援区分4以上であって、指定特定相談支援事業者等が作成したサービス等利用計画案を勘案した上で、支給決定基準を超えた支給決定が必要であると市町村が認めた場合

(2) 地域相談支援

地域相談支援についても、介護給付費等の支給決定の場合と同様に、障害者の心身の状況や置かれている環境等の勘案事項を基礎に支給の要否等についてあらかじめ地域相談支援給付決定の基準を定めておくことが適当である。

第五 介護給付費等に係る支給決定及び地域相談支援給付決定

1 介護給付費等に係る支給決定

(1) 障害支援区分の認定を要する支給申請に係る介護給付費又は訓練等給付費の支給決定

障害支援区分の認定を要する支給申請を行う障害者に対して、介護給付費又は訓練等給付費の支給決定をする場合は、申請者について認定した障害支援区分(障害児については障害の種類及び程度)等が、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービス等及び基準該当障害福祉サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成18年厚生労働省告示第523号。以下「報酬告示」という。)別表介護給付費等単位数表の規定に基づき、当該障害福祉サービスの所定単位数が算定される場合(解釈運用に当たっては、平成18年10月31日障発第1031001号当職通知「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービス等及び基準該当障害福祉サービスに要する費用の額の算定に関する基準等の制定に伴う実施上の留意事項について」(以下「報酬解釈通知」という。)に定める各障害福祉サービスの対象者を参照すること。)に該当することを確認するとともに、申請者に係るその他の勘案事項及びサービス等利用計画案を十分に踏まえること。また、その際には、必要に応じて法第22条第2項の規定に基づき市町村審査会、身体障害者更生相談所等の意見を聴くものとする。

(2) 障害支援区分の認定を要しない支給申請に係る訓練等給付費の支給決定

障害支援区分の認定を要しない支給申請を行う障害者に対して、訓練等給付費の支給決定をする場合の留意事項は、申請者の障害の種類及び程度その他の状況が、報酬告示別表介護給付費等単位数表の規定に基づき、当該障害福祉サービスの所定単位数が算定される場合(解釈運用に当たっては、報酬解釈通知に定める各障害福祉サービスの対象者を参照すること。)に該当することを確認するほか、基本的には(1)の場合と同様であるが、一部のサービスを除き、一定期間の訓練を行うサービスであることを踏まえ、障害者本人の希望を尊重しつつ、より適切なサービスの利用を図る観点から、利用を希望する障害福祉サービスについて、当該サービスの継続利用についての利用者の最終的な意向を確認した上で、当該サービスの利用が適切か否かの客観的な判断を行うための期間(以下「暫定支給決定期間」という。)を設定した支給決定(以下「暫定支給決定」という。)を行うものとする。

なお、就労定着支援については、生活介護、自立訓練、就労移行支援又は就労継続支援(以下「就労移行支援等」という。)を利用した後、通常の事業所に新たに雇用された障害者であって、就労を継続している期間が6月(通常の事業所に雇用された後に労働時間の延長の際に就労に必要な知識及び能力の向上のための支援を一時的に必要とする者として、就労移行支援等を利用した場合(当該利用形態を以下「労働時間延長支援型」という。)は、当該就労移行支援等の終了日の翌日から起算して6月、休職からの復職の際に就労に必要な知識及び能力の向上のための支援を一時的に必要とする者として、就労移行支援等を利用した場合(当該利用形態を以下「復職支援型」という。)は、復職した日から起算して6月)を経過した障害者が利用するものであるため、暫定支給決定を行わずに支給決定を行うものとする。また、障害者の職場への定着を促進するため、一般就労を目指して就労移行支援等の利用を希望する障害者には、あらかじめ一般就労後の就労定着支援の利用を推奨することが望ましい。

① 暫定支給決定の対象サービス

市町村は、障害者から自立訓練(機能訓練、生活訓練、宿泊型自立訓練)、就労移行支援又は就労継続支援A型(雇用契約を締結しない場合を含む。)の支給申請があったときは、勘案事項やサービス等利用計画案を踏まえて暫定支給決定を行うものとする。ただし、労働時間延長支援型については、暫定支給決定を要しないこととする。

就労継続支援B型については、年齢や体力の面で一般企業に雇用されることが困難となった者等であり、他事業への転換が困難な者であることから、暫定支給決定を要しないものとするが、報酬解釈通知に定める当該サービスの対象者に留意の上、一般就労又は就労移行支援若しくは就労継続支援A型の利用が可能な者に対し、安易に就労継続支援B型の支給決定を行うことがないよう留意されたい。なお、暫定支給決定の対象サービスに係る支給申請のあった障害者について、既に暫定支給決定期間中に行うアセスメントと同等と認められるアセスメントが行われており、改めて暫定支給決定によるアセスメントを要しないものと市町村が認めるときは、暫定支給決定は行わなくても差し支えないものとする。

② 暫定支給決定期間

暫定支給決定期間については、2か月以内の範囲で市町村が個別のケースに応じて利用者のアセスメントに必要な期間を勘案して設定すること。

③ 暫定支給決定時における市町村、サービス提供事業者及び指定特定相談支援事業者の対応

市町村は、暫定支給決定をした場合には、サービス提供事業者と連携調整の上、次の手順により、当該支給決定障害者のサービス利用の継続に対する適否等を適切に判断するものとする。

ア サービス提供事業者は、暫定支給決定を受けた利用者と利用契約をしたときは、利用者のアセスメントを通じて、暫定支給決定期間に係る適切な個別支援計画を作成し、当該計画に基づき支援を実施する。

その際、利用者の障害特性、適性等を十分に踏まえた個別支援計画の作成が可能となるよう、利用者の家族や関係機関と十分連携すること。

イ サービス提供事業者は、暫定支給決定期間内に実施した利用者のアセスメント内容並びに個別支援計画、当該計画に基づく支援実績及びその評価結果をとりまとめ、市町村が定める日までに市町村及び当該利用者に指定計画相談支援を提供する指定特定相談支援事業者に提出する。

ウ 暫定支給決定期間経過後、利用者が引き続きサービスの継続を希望する場合、市町村は、サービス提供事業者から提出のあった②の書類や当該指定特定相談支援事業者のモニタリング結果を踏まえ(必要に応じて聴き取りを行う。)、サービスを継続することによる改善(維持を含む。以下同じ。)効果が見込まれるか否かを判断し、改善効果が見込まれないと判断した場合には、市町村、サービス提供事業者、当該指定特定相談支援事業者及び利用者(必要に応じて家族や関係機関等関係者の参加を求める。)による連絡調整会議を開催し、利用者にその旨を説明するとともに、今後のサービス利用について調整を行う。

エ ウにおいて市町村がサービスを継続することによる改善効果が見込まれると判断した場合は、個別支援計画に基づく本来的な訓練に移行する。

なお、市町村は、当該判断に基づく支給決定を行うに当たっては、改めて指定特定相談支援事業者が作成するサービス等利用計画案の提出を求める必要はない。

オ 本来的な訓練に当たっては、事業者は、暫定支給決定期間中のアセスメント結果等に基づき、規則第6条の6及び第6条の8に規定する標準利用期間(暫定支給決定期間を含む。)の範囲内で、適切なサービス提供期間を設定し、これを踏まえて作成した個別支援計画を利用者へ交付する。

2 地域相談支援給付決定

申請に係る地域相談支援給付決定をする場合の留意事項は、以下の点に留意するほか、申請者に係るその他の勘案事項及びサービス等利用計画案を十分に踏まえること。

また、その際には、必要に応じて法第51条の7第2項の規定に基づき市町村審査会、身体障害者更生相談所等の意見を聴くものとする。

(1) 地域移行支援

申請者が地域相談支援基準第1条第2号から第4号までに規定する施設等に入所している障害者又は精神科病院に入院している精神障害者であることを確認する。

刑事施設又は少年院(以下「矯正施設」という。)に収容されている障害者については、保護観察所、地域生活定着支援センターが行う支援との重複を避け、役割分担を明確にする観点等から、特別調整の対象となった障害者(「高齢又は障害により特に自立が困難な矯正施設収容中の者の社会復帰に向けた保護、生活環境の調整等について(通達)」(平成21年4月17日法務省保観第244号。法務省矯正局長、保護局長連名通知)に基づき、特別調整対象者に選定された障害者をいう。)のうち、矯正施設から退所するまでの間に障害福祉サービスの体験利用や体験宿泊など矯正施設在所中に当該施設外で行う支援の提供が可能であると見込まれるなど指定一般相談支援事業者による効果的な支援が期待される障害者を対象とする。

(2) 地域定着支援

申請者が次に掲げる者であることを確認する。

① 居宅において単身であるため緊急時の支援が見込めない状況にある者

② 居宅において家族と同居している障害者であっても、当該家族等が障害、疾病等のため、障害者に対し、当該家族等による緊急時の支援が見込めない状況にある者

③ 居宅において家族と同居している障害者で、同居する家族に障害、疾病のない場合であっても、地域移行支援を利用して退院・退所した者、精神科病院の入退院を繰り返している者、強度行動障害や高次脳機能障害等の状態にある者等、地域生活を営むため緊急時に手厚い支援を必要としている者

第六 支給決定又は地域相談支援給付決定時に定める事項

1 支給決定又は地域相談支援給付決定事項

市町村は、申請のあった障害福祉サービス又は地域相談支援の種類に応じ、申請者からの具体的な利用意向の聴き取り等により、更にサービス内容を特定して支給決定又は地域相談支援給付決定を行うとともに、特定された障害福祉サービス又は地域相談支援の種類(区分)及び内容ごとに支給量又は地域相談支援給付量及び支給決定又は地域相談支援給付決定の有効期間を定める。

(1) 支給量及び地域相談支援給付量

支給量及び地域相談支援給付量を定める単位期間については、1か月とし、支給量を定める単位については、サービスの種類ごとに次の単位で定める。

・ 居宅介護、重度訪問介護、同行援護、行動援護・・・時間(30分単位)

※ 家事援助において、最初の30分以降は15分を単位とする。

・ 重度障害者等包括支援・・・単位/月

・ 上記以外の障害福祉サービス及び地域相談支援・・・日/月

また、具体的な支給量及び地域相談支援給付量については、障害福祉サービス及び地域相談支援の種類ごとに、支給決定又は地域相談支援給付決定を行おうとする者の勘案事項を踏まえて、次の考え方により、適切な量を定めるものとする。なお、複数のサービスを組み合わせて支給決定又は地域相談支援給付決定をする場合(併給が認められないサービスを除く。)は、複数のサービスを合わせた支給量が適切な量となるよう留意する必要がある。

① 居宅介護、重度訪問介護、同行援護、行動援護

あらかじめ定めた支給決定基準に照らしつつ、障害支援区分その他の勘案事項を踏まえて支給量を定める。

② 短期入所、自立訓練(生活訓練)と併せて短期滞在加算(心身の状況の悪化防止

など、緊急の必要性が認められる場合)を算定する場合の当該短期滞在加算の支給量一月当たりの利用必要(見込み)日数を支給量として定める。

③ 重度障害者等包括支援

一月の支給量を一月のサービス利用に要する包括報酬の単位数として定めることから、サービス等利用計画案等を踏まえ、一月ごとの支給量を定める。

④ 生活介護、自立訓練(機能訓練・生活訓練)、就労移行支援、就労継続支援

ア 平成18年4月から利用実績払い(日額報酬)を導入したことに伴い、通所による指定施設支援の量について、原則として、各月の日数から8日を控除した日数(以下「原則の日数」という。)を限度として利用することを決定しているものとみなしてきたところであるが、平成18年10月以降の法移行後においても、日中活動サービスについては、引き続き、原則として一人の障害者が一月に利用できる日数(支給量)は、「原則の日数」を上限とすることを基本とする。ただし、次の場合には、「原則の日数」を超える支給量を定めることが可能なものとする。

(ア) 日中活動サービスの事業運営上の理由から、「原則の日数」を超える支援が必要となる場合は、都道府県に届け出ることにより、当該施設が特定する3か月以上1年以内の期間において、利用日数の合計が「原則の日数」の総和の範囲内であれば利用することができるものとする。

(イ) (ア)に該当しない場合であっても、心身の状態が不安定である、介護者が不在で特に支援の必要があるなど、利用者の状態等にかんがみ、市町村が必要と判断した場合には、「原則の日数」を超えて利用することができるものとする。

イ 指定障害者支援施設又はのぞみの園において、施設入所支援と併せて日中活動サービスを利用する場合の当該日中活動サービスの量については、土日に係る支援について、施設入所支援の報酬の中で評価していることから、通所による日中活動サービスと同様、「原則の日数」を上限とする。

ウ このほか、日中活動サービスの利用日数に係る取扱いについては、「日中活動サービス等を利用する場合の利用日数の取扱いに係る事務処理について」(障障発第0928001号厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課長通知)によるものとする。

⑤ 療養介護、施設入所支援、宿泊型自立訓練、就労定着支援、自立生活援助、共同生活援助及び地域相談支援

支給決定又は地域相談支援給付決定の有効期間中における各月における暦日数を支給量又は地域相談支援給付量として定める。

ただし、共同生活援助において体験的な利用を行う場合、各月における暦日数を上限として、必要な日数を定めるものとする。

共同生活援助に係る支給申請を行う障害者のうち受託居宅介護サービスの提供を受けることを希望する障害者に対しては、障害支援区分ごとにあらかじめ定めた受託居宅介護サービスの支給決定基準に照らしつつ、障害の種類その他の勘案事項を踏まえて支給量を定める。

(2) 支給決定又は地域相談支援給付決定の有効期間

介護給付費等に係る支給決定又は地域相談支援給付決定の有効期間は、障害支援区分や介護を行う者の状況等の支給決定又は地域相談支援給付決定を行った際に勘案した事項が変化することがあるため、市町村が障害者等の状況を的確に把握し、提供されているサービスの適合性を確認するとともに、適切な障害支援区分や支給量に見直しを行うため、市町村が定めるものである。その決定に当たっては、支給決定又は地域相談支援給付決定に際し勘案した状況がどの程度継続するかという観点から検討することとなるが、支給決定又は地域相談支援給付決定の有効期間を定める趣旨からあまりに長い期間とすることは適切でないため、規則第15条及び第34条の42に規定する期間を超えてはならないこととしている。

このため、支給決定期間又は地域相談支援給付決定期間の終了に際しては、改めて介護給付費等の支給決定又は地域相談支援給付決定を受けることにより継続してサービスを受けることが可能である(ただし、自立訓練等期限の定めのある訓練等給付に係る障害福祉サービス等については第8の2を参照のこと。)。

なお、規則第15条及び第34条の42に規定する期間はあくまで上限であるから、支給決定又は地域相談支援給付決定に当たっては、個々の状況に応じて適切な期間とするよう留意されたい。

2 支給決定又は地域相談支援給付決定に併せて決定等する事項

(1) 障害福祉サービス受給者証等への記載

市町村は、支給決定に際し、当該障害福祉サービスに係る報酬の算定上あらかじめ市町村において決定、確認等が必要な事項、利用者負担上限月額その他必要な事項について、併せて決定等を行い、障害福祉サービス受給者証に記載すること。市町村は、地域相談支援給付決定に際し、地域相談支援に係る報酬の算定上あらかじめ市町村において決定が必要な事項その他必要な事項について、併せて決定等を行い、地域相談支援受給者証に記載すること。

なお、障害福祉サービス受給者証及び地域相談支援受給者証については、規則第14条及び第34条の41において記載事項を規定しているが、様式については、市町村がある程度柔軟に対応できるよう規則に規定しなかったものである。したがって、市町村において適切な様式を作成し、交付することとして差し支えないが、必要な内容が適切に記載されるとともに、支給決定障害者等から提示を受ける指定障害福祉サービス事業者等が容易に記載内容を確認できるようにする観点から、別に提示する様式例を参考とされたい。

(2) 継続サービス利用支援(モニタリング)の期間

指定特定相談支援事業者は支給決定障害者が障害福祉サービス又は地域相談支援を利用するに当たってサービス等利用計画が適切であるかにつき、障害福祉サービス又は地域相談支援の利用状況を検証することとされている。

継続サービス利用支援(モニタリング)の期間については、規則第6条の16において標準期間が示されており、市町村が当該期間及び利用者の心身の状況等を勘案しながら設定することとしている。

市町村においては、利用している障害福祉サービス又は地域相談支援の種類のみをもって、モニタリングの実施期間として一律に設定することのないよう相談支援専門員の提案を踏まえつつ利用者ごとに柔軟かつ適切な期間を設定するようにすること。

第七 支給決定の変更

市町村は、変更の申請又は職権により、支給決定障害者等につき必要があると認めるときは、支給決定の有効期間内において支給量の変更を行うことができる。支給決定の変更に当たっては、次のことに留意すること。なお、運用上、地域相談支援給付決定の変更は想定されないことに留意すること。

1 障害支援区分の変更認定

市町村は、支給量の変更の決定を行うに当たり、必要があると認めるときは、障害支援区分の変更の認定を行うことができる。

実際に変更の認定手続を行うか否かは、個別具体のケースに応じて市町村が必要性を判断することとなるが、基本的には、支給決定障害者が心身の状況の変化を申し立てており、相当と認められることが判断の目安として考えられる。支給決定障害者が心身の状況の変化を申し立てている場合でも、現に認定されている障害支援区分等を勘案し、変更申請があった支給量が支給決定されると見込まれる場合には、必ずしも障害支援区分の変更の認定は必要ない。

障害支援区分の変更の認定の有効期間は、新たな認定と同様に設定し、現に認定されていた障害支援区分の有効期間の残存期間ではないこと。

なお、既に障害支援区分の認定及び支給決定を受けて介護給付費又は訓練等給付費に係る障害福祉サービスを利用している者から、異なる種類(区分)の介護給付費又は訓練等給付費に係る障害福祉サービスの利用に係る支給申請があった場合も、同様の考え方により、必要に応じて変更の認定を行う。

2 変更の決定

支給決定の変更を行う場合には、支給決定時と同様、勘案事項を勘案し、当該市町村の支給決定基準等に照らして変更の要否又は変更後の支給量を決定する。

① 変更年月日(変更内容の適用年月日)

支給量は一月を単位として定めるため、変更後の支給量は、原則として変更を決定した日の属する月の翌月の初日から適用するものとする。

② 有効期間

変更後の支給量が適用される期間(有効期間)は、変更前の支給量に係る支給決定の有効期間の末日までとする(支給決定の有効期間は変更されない。)。

第八 支給決定又は地域相談支援給付決定の更新

支給決定又は地域相談支援給付決定の有効期間が終了する場合において、支給決定障害者等が引き続き当該障害福祉サービス又は地域相談支援の利用を希望するときは、市町村は、支給決定障害者等からの支給申請に基づき、勘案事項等を勘案した結果、サービスの利用継続の必要性が認められれば、改めて支給決定又は地域相談支援給付決定をすることができる(この支給決定又は地域相談支援給付決定を以下「支給決定又は地域相談支援給付決定の更新」という。)。

支給決定又は地域相談支援給付決定の更新に当たっては、次のことに留意すること。

1 障害支援区分との関係

障害支援区分の認定を要する支給申請を行う障害者に対する介護給付費又は訓練等給付費に係る支給決定については、障害支援区分の認定が必要であることから、支給決定の更新に当たっては、障害支援区分の有効期間の範囲内で行うか、改めて障害支援区分の認定をする必要がある。

(1) 障害支援区分の認定を要しない場合

障害支援区分の有効期間が3年である障害者に対し、居宅介護の支給決定を1年の有効期間で行っている場合など、認定されている障害支援区分の有効期間の範囲内で支給決定の更新をすることができるときは、障害支援区分の有効期間の範囲内かつ当該障害福祉サービスについて設定できる支給決定の有効期間の範囲内で支給決定の更新を行う。

(2) 障害支援区分の認定の更新を行う場合

① 障害支援区分の有効期間と支給決定の有効期間の終期が同じ場合

障害支援区分の有効期間と同期間で支給決定を行っている場合など、障害支援区分の有効期間と支給決定の有効期間の終期が同じ場合は、支給決定の更新に際し、当初の支給決定時と同様の手続により改めて障害支援区分の認定を行うものとする(当該認定を以下「障害支援区分の更新認定」という。)。

この場合の障害支援区分の更新認定の有効期間の開始日は、原則として、更新前の障害支援区分の有効期間の満了日の翌日とする。

② 障害支援区分の有効期間と支給決定の有効期間の終期が異なる場合

障害支援区分の更新認定を要する場合は、障害支援区分の有効期間の終期と支給決定の有効期間の終期が一致しているのが通常と考えられるが、障害支援区分の有効期間の範囲内で支給決定し、又は支給決定の更新をした結果、障害支援区分の有効期間の残存期間があり、当該残存期間が支給決定の更新を行おうとする有効期間よりも著しく短い場合(概ね3か月以下を目安とする。)は、障害支援区分の更新認定をできるものとする。

この場合の障害支援区分の更新認定の有効期間の開始日は、原則として、更新後の支給決定の有効期間の開始日と合わせるものとする。

2 支給決定又は地域相談支援給付決定の更新に係る利用期間の取扱い

自立訓練等期限の定めがある訓練等給付費に係る障害福祉サービスなど、次に掲げる支給決定又は地域相談支援給付決定の更新に際しては、標準利用期間を念頭に置くほか、利用継続の必要性について十分な評価検討を行う必要がある。なお、訓練等給付費の支給要否決定又は地域相談支援給付費の給付要否決定を行う際の調査についても、障害支援区分との均衡を考慮して、最長3年間の範囲内で、支給決定又は地域相談支援給付決定の更新に際し、障害者の心身の状況等に応じて適宜行うことが考えられる。

(1) 訓練等給付費等に係る障害福祉サービス等

① 標準利用期間が設定されているサービス

自立訓練等の標準利用期間が設定されているサービスについては、サービスの長期化を回避するため、標準利用期間を定めるとともに、規則第15条において支給決定期間を1年間(就労移行支援において、あん摩マッサージ指圧師、はり師又はきゅう師の資格取得を目的とする養成施設を利用する場合は、3年間又は5年間。労働時間延長支援型又は復職支援型については6か月)までとしている。この支給決定期間では、十分な成果が得られず、かつ、引き続きサービスを提供することによる改善効果が具体的に見込まれる場合には、各サービスごとに定められた標準利用期間の範囲内で、1年ごとに支給決定期間の更新が可能である。

なお、標準利用期間を超えて、さらにサービスの利用が必要な場合については、市町村審査会の個別審査を経て、必要性が認められた場合に限り、最大1年間の更新が可能である(原則1回。ただし、自立生活援助については、市町村審査会の個別審査を経て、必要性が認められた場合は回数の制限なく更新が可能。)。ただし、就労定着支援については3年間の標準利用期間を超えて更新することはできない。

さらに、自立訓練(宿泊型自立訓練を除く。)において、複数の障害を有する障害者が、それぞれの障害特性に応じた異なるプログラムによる支援を受けることによる効果改善が具体的に見込まれる場合であって、かつ、市町村審査会の個別審査を経て必要性が認められた場合には、当該最大1年間の更新に加え、さらに最大1年間(1回)の更新を可能とする。

② 宿泊型自立訓練

宿泊型自立訓練は、従前の制度における知的障害者通勤寮や精神障害者生活訓練施設等の機能を踏まえ、日中、一般就労や障害福祉サービスを利用している者等を対象として、一定期間、夜間の居住の場を提供し、帰宅後に生活能力等の維持・向上のための訓練を行うとともに、地域移行に向けた関係機関との連絡調整等を行い、積極的な地域移行の促進を図るものとして類型化している。

このため、標準利用期間は、原則2年間(長期間入院していた又はこれに類する事由のある障害者にあっては、3年間)とし、市町村は、サービスの利用開始から1年ごとに利用継続の必要性について確認し、支給決定の更新を行う。この場合の「長期間入院していた又はこれに類する事由のある障害者」とは、長期間、指定障害者支援施設等の入所施設に入所又は精神科病院等に入院していた者はもとより、長期間のひきこもり等により社会生活の経験が乏しいと認められる者や発達障害のある者など2年間の利用期間では十分な成果が得られないと認められる者等についても含むものとする。

なお、標準利用期間を超える支給決定の更新を行おうとする場合には、市町村審査会の意見を聴くものとする。

③ 精神障害者退院支援施設

精神障害者退院支援施設は、長期入院患者が、日中、自立訓練(生活訓練)又は就労移行支援を利用することを通じて、地域生活へと移行していく過程での選択肢の一つであり、地域移行の途上という位置づけであることから、利用者に対し、当該自立訓練(生活訓練)又は就労移行支援の標準的利用期間である2年間又は3年間を超えてサービスを提供してはならないことを原則としている。

④ 就労継続支援

就労継続支援事業の対象者のうち、「通常の事業所に雇用されることが困難な障害者」については、支給決定の更新の段階で、協議会や障害者雇用支援合同会議等において、それまでの利用実績、サービス管理責任者による評価等を踏まえ、一般就労や他の事業の利用の可能性を検討し、更新の要否を判断する。

⑤ 共同生活援助における地域移行支援型ホーム

地域移行支援型ホームは、地域への移行のための通過的な居住の場としての機能を有するものであることから、地域移行型ホーム事業者は、利用者に対し、2年間を超えてサービスを提供してはならないことを原則としている。

したがって、入居から2年間を超える支給決定の更新の申請があった場合には、市町村審査会の意見を聴き、真に必要やむを得ない場合に限って必要最小限の有効期間で支給決定の更新を行うとともに、できるだけ早期に本来的な地域への移行ができるよう必要な調整を行うものとする。

⑥ 共同生活援助におけるサテライト型住居の利用

共同生活援助(日中サービス支援型指定共同生活援助を除く。)におけるサテライト型住居は、地域において単身等で生活をしたいという明確な目的意識を持った障害者の利用期間の長期化を回避する観点から、当該サテライト型住居に入居してから原則として3年の間に一般住宅等へ移行できるよう、他の障害福祉サービス事業者等との十分な連携を図りつつ、計画的な支援を行うものとしている。

したがって、当該サテライト型住居への入居から3年を満たずに支給決定の有効期間が終了する場合にあっては、当該有効期間が終了した日の翌日から当該サテライト型住居への入居後3年が経過する日までの期間を新たな有効期間として、支給決定の更新を行うものとする。なお、サテライト型住居への入居から3年が経過した者から、再度支給決定の更新の申請があった際には、市町村審査会の個別審査を経て必要性が認められた場合に限り、支給決定を更新し、サテライト型住居において共同生活援助の提供を行うことが可能である。また、サテライト型住居の利用継続の必要性が認められない場合であっても、支給決定を更新し、サテライト型住居以外の共同生活住居において共同生活援助の提供を行うことは可能であること。

⑦ 共同生活援助における移行支援住居の利用

共同生活援助における移行支援住居は、共同生活援助の利用前から、一人暮らし等をするための支援を希望する者に対して集中的な支援を実施する観点から、当該移行支援住居に入居してから原則として3年の間に一人暮らし等へ移行できるよう、他の障害福祉サービス事業者等との十分な連携を図りつつ、計画的な支援を行うものとしている。

したがって、当該移行支援住居への入居から3年を満たずに支給決定の有効期間が終了する場合にあっては、当該有効期間が終了した日の翌日から当該移行支援住居への入居後3年が経過する日までの期間を新たな有効期間として、支給決定の更新を行うものとする。なお、移行支援住居への入居から3年が経過した者から、再度支給決定の更新の申請があった際には、市町村審査会の個別審査を経て必要性が認められた場合に限り、支給決定を更新し、引き続き、移行支援住居において共同生活援助の提供を行うことが可能である。また、移行支援住居の利用継続の必要性が認められない場合であっても、支給決定を更新し、移行支援住居以外の共同生活住居において共同生活援助の提供を行うことは可能であること。

⑧ 共同生活援助における退居後(外部サービス利用型)共同生活援助サービス費

共同生活援助における退居後(外部サービス利用型)共同生活援助サービス費は、退居後の支援として、本人への相談支援や新しい住居における在宅の支援チームへの引継ぎ等を行うことを目的として共同生活住居を退居した日の属する月から原則として3月の間に限り算定を可能としている。

ただし、利用期間の満了時に引継ぎを行うべき障害福祉サービス事業者等と引き続き調整が必要な場合など、市町村審査会の意見を聴き、3月を超えて引き続き支援が必要であると認めた場合に限り、支給決定の更新(1回)が可能である。

(2) 地域相談支援

① 地域移行支援

地域移行支援は、長期にわたり漫然と支援を継続するのではなく、一定の期間の中で目標を立てた上で効果的に支援を行うことが望ましいサービスであるため、規則第34条の42第1項において給付決定期間を6ヶ月間までとしている。

この期間では、十分な成果が得られず、かつ、引き続き地域移行支援を提供することによる地域生活への移行が具体的に見込まれる場合には、6ヶ月間の範囲内で給付決定期間の更新が可能である。

なお、更なる更新については、市町村審査会の個別審査を経てその必要性を判断することが望ましい。

② 地域定着支援

地域定着支援は、規則第34条の42第2項において給付決定期間を1年間までとしている。

対象者や同居する家族等の心身の状況や生活状況、緊急時支援の実績等を踏まえ、引き続き地域生活を継続していくための緊急時等の支援体制が必要と見込まれる場合には、1年間の範囲内で給付決定期間の更新が可能である(更なる更新についても、必要性が認められる場合については更新可)。