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○障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害者支援施設等の人員、設備及び運営に関する基準について

(平成19年1月26日)

(障発第0126001号)

(各都道府県知事あて厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長通知)

障害者自立支援法(平成17年法律第123号。平成25年4月から障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律。以下「法」という。)第38条第1項、第44条及び第46条第3項の規定に基づく「障害者自立支援法に基づく指定障害者支援施設等の人員、設備及び運営に関する基準」(平成25年4月から障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害者支援施設等の人員、設備及び運営に関する基準。以下「基準」という。)については、平成18年9月29日厚生労働省令第172号をもって公布され、平成18年10月1日から施行されたところであるが、基準の趣旨及び内容は下記のとおりであるので、御了知の上、貴管内市町村、関係機関等に周知徹底を図るとともに、その運用に遺憾のないようにされたい。

第一 基準の性格

1 基準は、指定障害者支援施設等が法に規定する便宜を適切に実施するため、必要な最低限度の基準を定めたものであり、指定障害者支援施設等は、常にその事業の運営の向上に努めなければならないこと。

2 指定障害者支援施設等が満たすべき基準を満たさない場合には、指定障害者支援施設等の指定又は更新は受けられず、また、基準に違反することが明らかになった場合には、①相当の期間を定めて基準を遵守するよう勧告を行い、②相当の期間内に勧告に従わなかったときは、設置者名、勧告に至った経緯、当該勧告に対する対応等を公表し、③正当な理由がなく、当該勧告に係る措置を採らなかったときは、相当の期限を定めて当該勧告に係る措置を採るよう命令することができるものであること。

また、③の命令をした場合には設置者名、命令に至った経緯等を公示しなければならない。なお、③の命令に従わない場合には、当該指定を取り消すこと、又は取消しを行う前に相当の期間を定めて指定の全部若しくは一部の効力を停止すること(不適正なサービスが行われていることが判明した場合、当該サービスに関する介護給付費又は訓練等給付費(以下「介護給付費等」という。)の請求を停止させること)ができる。ただし、次に掲げる場合には、基準に従った適正な運営ができなくなったものとして、直ちに指定を取り消すこと又は指定の全部若しくは一部の効力を停止することができるものであること。

(1) 次に掲げるときその他の指定障害者支援施設等が自己の利益を図るために基準に違反したとき

① 施設障害福祉サービスの提供に際して指定障害者支援施設等に入所する者又は当該指定障害者支援施設等に通所する者(以下「利用者」という。)が負担すべき額の支払を適正に受けなかったとき

② 一般相談支援事業若しくは特定相談支援事業を行う者若しくは他の障害福祉サービスの事業を行う者又はその従業者に対し、利用者又はその家族に対して事業者による指定障害福祉サービスを利用させることの代償として、金品その他の財産上の利益を供与したとき

③ 一般相談支援事業若しくは特定相談支援事業を行う者若しくは他の障害福祉サービスの事業を行う者又はその従業者から、利用者又はその家族に対して特定の事業者による指定障害福祉サービスを利用させることの代償として、金品その他の財産上の利益を収受したとき

(2) 利用者の生命又は身体の安全に危害を及ぼすおそれがあるとき

(3) その他(1)及び(2)に準ずる重大かつ明白な基準違反があったとき

3 指定障害者支援施設等が、運営に関する基準に従って事業の運営をすることができなくなったことを理由として指定が取り消され、法に定める期間の経過後に再度当該施設等から指定障害者支援施設等について指定の申請がなされた場合には、当該施設等が運営に関する基準を遵守することを確保することに特段の注意が必要であり、その改善状況等が確認されない限り指定を行わないものとすること。

4 地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律(平成23年法律第37号)において法等の改正がなされ、従来厚生労働省令で定めることとしていた基準について、都道府県の条例で定めることとされたところであるが、その具体的な考え方については、「地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律の一部の施行に伴う厚生労働省関係省令の整備に関する省令の公布について」(平成23年10月7日付け障発第1007第1号厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長通知)を参照されたい。

第二 総論

1 事業者指定の単位について

(1) 従たる事業所(昼間実施サービスの場)の取扱いについて

指定障害者支援施設の指定等は、原則として施設障害福祉サービスの提供を行う障害者支援施設ごとに行うものとするが、障害者支援施設で行う昼間実施サービス(生活介護、自立訓練(機能訓練)、自立訓練(生活訓練)、就労移行支援及び就労継続支援B型)については、次の①及び②の要件を満たす場合については、当該障害者支援施設内の「主たる事業所(昼間実施サービスの場に限る。以下同じ。)」のほか、一体的かつ独立したサービス提供の場として、当該障害者支援施設と異なる場所に一又は複数の「従たる事業所(昼間実施サービスの場に限る。以下同じ。)」を設置することが可能であり、これらを一の障害者支援施設として指定することができる取扱いとする。

① 人員及び設備に関する要件

ア 「主たる事業所」及び「従たる事業所」の利用者の合計数に応じた従業者が確保されているとともに、「従たる事業所」において常勤かつ専従の従業者が1人以上確保されていること。

イ 「従たる事業所」の利用定員が障害福祉サービスの種類に応じて次のとおりであること。

(Ⅰ) 生活介護、自立訓練(機能訓練)、自立訓練(生活訓練)又は就労移行支援 6人以上

(Ⅱ) 就労継続支援B型 10人以上

ウ 「主たる事業所」と「従たる事業所」との間の距離が概ね30分以内で移動可能な距離であって、サービス管理責任者の業務の遂行上支障がないこと。

エ 利用者の支援に支障がない場合には、基準に定める設備の全部又は一部を設けないこととしても差し支えないこと。

② 運営に関する要件

ア 利用申し込みに係る調整、職員に対する技術指導等が一体的に行われていること。

イ 職員の勤務態勢、勤務内容等が一元的に管理されていること。必要な場合には随時、主たる事業所と従たる事業所との間で相互支援が行える体制(例えば、当該従たる事業所の従業者が急病の場合等に、主たる事業所から急遽代替要因を派遣できるような体制)にあること。

ウ 苦情処理や損害賠償等に際して、一体的な対応ができる体制にあること。

エ 事業の目的や運営方針、営業日や営業時間、利用料等を定める同一の運営規程が定められていること。

オ 人事・給与・福利厚生等の勤務条件等による職員管理が一元的に行われるとともに、主たる事業所と当該従たる事業所間の会計が一元的に管理されていること。

(2) 複数の昼間実施サービスを行う障害者支援施設において、昼間実施サービスを当該障害者支援施設と異なる場所で実施する場合は、(1)の①のイ及びウ並びに②の要件を満たしている場合は、一の障害者支援施設として取り扱うことが可能である。

2 用語の定義(基準第2条)

(1) 「常勤換算方法」

指定障害者支援施設等の従業者の勤務延べ時間数を当該指定障害者支援施設等において常勤の従業者が勤務すべき時間数(1週間に勤務すべき時間数が32時間を下回る場合は32時間を基本とする。)で除することにより、当該障害者支援施設等の従業者の員数を常勤の従業者の員数に換算する方法をいうものである。この場合の勤務延べ時間数は、当該施設障害福祉サービスに従事する勤務時間の延べ数であること。

(2) 「勤務延べ時間数」

勤務表上、施設障害福祉サービスの提供に従事する時間として明確に位置づけられている時間又は当該施設障害福祉サービスの提供のための準備等を行う時間(待機の時間を含む。)として明確に位置付けられている時間の合計数とする。なお、従業者1人につき、勤務延べ時間数に算入することができる時間数は、当該指定障害者支援施設等において常勤の従業者が勤務すべき勤務時間数を上限とすること。

(3) 「常勤」

指定障害者支援施設等における勤務時間が、当該指定障害者支援施設等において定められている常勤の従業者が1週間に勤務すべき時間数(1週間に勤務すべき時間数が32時間を下回る場合は32時間を基本とする。)に達していることをいうものである。ただし、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成3年法律第76号)第23条第1項に規定する所定労働時間の短縮措置が講じられている者については、利用者の処遇に支障がない体制が事業所として整っている場合は、例外的に常勤の従業者が勤務すべき時間数を30時間として取り扱うことを可能とする。

当該指定障害者支援施設等に併設される事業所の職務であって、当該指定障害者支援施設等の職務と同時並行的に行われることが差し支えないと考えられるものについては、それぞれに係る勤務時間の合計が常勤の従業者が勤務すべき時間数に達していれば、常勤の要件を満たすものであることとする。

例えば、指定障害者支援施設と指定短期入所事業所が併設されている場合、当該指定障害者支援施設の管理者と指定短期入所事業所の管理者とを兼務している者は、その勤務時間の合計が所定の時間に達していれば、常勤要件を満たすこととなる。

(4) 「専ら従事する」「専ら提供に当たる」

原則として、サービス提供時間帯を通じて施設障害福祉サービス以外の職務に従事しないことをいうものである。この場合のサービス提供時間帯とは、従業者の指定障害者支援施設等における勤務時間(生活介護及び施設入所支援については、サービスの単位ごとの提供時間)をいうものであり、当該従業者の常勤・非常勤の別を問わない。

(5) 「前年度の平均値」

① 基準第4条第2項における「前年度の平均値」は、当該年度の前年度(毎年4月1日に始まり翌年3月31日をもって終わる年度とする。以下同じ。)の利用者延べ数を開所日数で除して得た数とする。この算定に当たっては、小数点第2位以下を切り上げるものとする。

② 新たに事業を開始し、若しくは再開し、又は増床した施設において、新設又は増床分のベッドに関して、前年度において1年未満の実績しかない場合(前年度の実績が全くない場合を含む。)の利用者の数は、新設又は増床の時点から6月未満の間は、便宜上、利用定員の90%を利用者数とし、新設又は増床の時点から6月以上1年未満の間は、直近の6月における全利用者の延べ数を当該6月間の開所日数で除して得た数とし、新設又は増床の時点から1年以上経過している場合は、直近1年間における全利用者の延べ数を当該1年間の開所日数で除して得た数とする。これに対し、減少の場合には、減少後の実績が3月以上あるときは、減少後の利用者の数の延べ数を当該3月間の開所日数で除して得た数とする。

ただし、これらにより難い合理的な理由がある場合には、他の適切な方法により利用者数を推定するものとする。

③ 特定旧法指定施設が指定障害者支援施設へ転換する場合の「前年度の平均値」については、当該指定を申請した日の前日から直近1月間の全利用者の延べ数を当該1月間の開所日数で除して得た数とする。また、当該指定後3月間の実績により見直すことができることとする。

第三 指定障害者支援施設等の人員、設備及び運営に関する基準

1 人員に関する基準

(1) 従業者の員数(基準第4条)

① 生活介護を行う場合(基準第4条第1項第1号)

ア 医師(基準第4条第1項第1号イ(1))

日常生活上の健康管理及び療養上の指導を行う医師を、生活介護を利用する利用者の障害の特性に応じて必要数を配置しなければならないものであること。なお、この場合の「必要数を配置」とは、嘱託医を確保することをもって、これを満たすものとして取り扱うことも差し支えない。

また、生活介護において看護師等による利用者の健康状態の把握や健康相談等が実施され、必要に応じて医療機関への通院等により対応することが可能な場合に限り、医師を配置しない取扱いとすることができることとするものである。

イ 看護職員、理学療法士又は作業療法士及び生活支援員(基準第4条第1項第1号イ(2))

これらの従業者については、生活介護の単位ごとに、常勤換算方法により、次の(Ⅰ)及び(Ⅱ)の数を合計した数以上でなければならないものである。

(Ⅰ) (Ⅱ)以外の利用者については、前年度の利用者の数の平均値及び障害支援区分に基づき、次の算式により算定される平均障害支援区分に応じた必要数

なお、平均障害支援区分の算定に当たっては、利用者の数から、法附則第21条第1項に規定する特定旧法指定施設を利用していた者、平成18年9月30日において現に障がい者制度改革推進本部等における検討を踏まえて障害保健福祉施策を見直すまでの間において障害者等の地域生活を支援するための関係法律の整備に関する法律(平成22年法律第71号。以下「整備法」という。)による改正前の児童福祉法第42条に規定する知的障害児施設、同法第43条の3に規定する肢体不自由児施設及び同法第43条の4に規定する重症心身障害児施設を利用していた者又は平成18年9月30日において現に同法第7条第6項及び旧身体障害者福祉法第18条第2項に規定する指定医療機関に入院していた者であって、生活介護又は施設入所支援の対象に該当しない者(以下「経過措置利用者」という。)、経過措置利用者以外の施設入所者であって、区分3(50歳以上の者は区分2)以下の者又は生活介護以外の昼間実施サービスを利用する利用者は除かれる。(厚生労働省告示第553号「厚生労働大臣が定める者」参照)

(算式)

{(2×区分2に該当する利用者の数)+(3×区分3に該当する利用者の数)+(4×区分4に該当する利用者の数)+(5×区分5に該当する利用者の数)+(6×区分6に該当する利用者の数)}/総利用者数

なお、平均障害支援区分の算出に当たって、小数点以下の端数が生じる場合には、小数点第2位以下を四捨五入することとする。

(Ⅱ) 生活介護を利用する経過措置利用者以外の施設入所者であって、区分3(50歳以上の者は区分2)以下の者の数を10で除した数

また、看護職員及び生活支援員については、それぞれについて最低1人以上配置するとともに、必要とされる看護職員及び生活支援員のうち、1人以上は常勤でなければならない。

ウ 機能訓練指導員(基準第4条第1項第1号ハ)

理学療法士及び作業療法士を確保することが困難な場合には、看護師のほか、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師、言語聴覚士の日常生活を営むのに必要な機能の減退を防止するために必要な訓練を行う能力を有する者をもって代えることができるものであること。

また、利用者の日常生活やレクリエーション、行事を通じて行う機能訓練については、指定障害者支援施設等の生活支援員が兼務して行っても差し支えない。

エ サービス管理責任者(基準第4条第1項第1号イ(3))

サービス管理責任者は、利用者に対する効果的かつ適切な生活介護を行う観点から、適切な方法により、利用者の解決すべき課題を把握した上で、施設障害福祉サービス計画の作成及び提供したサービスの客観的な評価等を行う者であり、利用者の数に応じて必要数を置くこととしたものである。

また、指定障害者支援施設等の従業者は、原則として専従でなければならず、職種間の兼務は認められるものではない。このため、サービス管理責任者についても、施設障害福祉サービス計画の作成及び提供した生活介護の客観的な評価等の重要な役割を担う者であるので、これらの業務の客観性を担保する観点から、原則として、サービス管理責任者と直接サービスの提供を行う生活支援員等とは異なる者でなければならない。

ただし、利用者に対するサービス提供に支障がない場合は、サービス管理責任者が指定障害者支援施設等の他の職務に従事することができるものとする。この場合においては、原則として、兼務を行う他の職務に係る常勤換算上、当該サービス管理責任者の当該他の職務に係る勤務時間を算入することはできないものであること。

また、1人のサービス管理責任者は、最大利用者60人までの施設障害福祉サービス計画の作成等の業務を行うことができることとしていることから、この範囲で、指定障害者支援施設等のサービス管理責任者が、指定宿泊型自立訓練事業所、指定共同生活援助事業所若しくは外部サービス利用型指定共同生活援助事業所に置くべきサービス管理責任者又は大規模な指定障害福祉サービス事業所等において、専従かつ常勤のサービス管理責任者1人に加えて配置すべきサービス管理責任者を兼務することは差し支えない。

(例) 利用者の数が30人の指定障害者支援施設におけるサービス管理責任者が、利用者の数が10人の指定宿泊型自立訓練事業所におけるサービス管理責任者と兼務する場合

オ 生活介護の単位(基準第4条第1項第1号ロ)

(Ⅰ) サービス提供の単位

生活介護の単位とは、1日を通じて、同時に、一体的に提供される生活介護をいうものであり、次の要件を満たす場合に限り、複数の生活介護の単位を設置することができる。

i 生活介護が階を隔てるなど、同時に、2つの場所で行われ、これらのサービスの提供が一体的に行われているとはいえないこと。

ii 生活介護の単位ごとの利用定員が20人以上であること。

iii 生活介護の単位ごとに必要とされる従業者が確保されていること。

(Ⅱ) サービス提供単位ごとの従業者の配置

生活介護の単位ごとに専ら当該生活介護の提供に当たる者を確保するとは、生活介護の単位ごとに生活支援員について、当該生活介護の提供時間帯に当該職種の従業者が常に確保され、必要な配置を行うよう定めたものである(例えば専従する生活支援員の場合、その員数は1人となるが提供時間帯の2分の1ずつの時間専従する生活支援員の場合は、その員数としては2人が必要となる)。

(Ⅲ) 常勤の従業員の配置

同一施設で複数の生活介護の単位を設置する場合には、同時に行われる単位の数の常勤の従業者(サービス管理責任者及び医師を除く。)が必要となるものである。

② 自立訓練(機能訓練)を行う場合(基準第4条第1項第2号)

ア 看護職員、理学療法士又は作業療法士及び生活支援員(基準第4条第1項第2号イ(1))

これらの従業者については、その員数の総数が、常勤換算方法により、自立訓練(機能訓練)を利用する利用者の数を6で除した数以上でなければならないものであり、この場合、看護職員、理学療法士又は作業療法士及び生活支援員については、それぞれについて、最低1人以上配置することが必要である。

また、これらの従業者のうち、看護職員及び生活支援員については、それぞれ1人以上が常勤でなければならない。

イ サービス管理責任者(基準第4条第1項第2号イ(2))

生活介護の場合と同趣旨であるため、①のエを参照されたい。

ウ 訪問による自立訓練(機能訓練)を行う場合(基準第4条第1項第2号ロ)

自立訓練(機能訓練)は、指定障害者支援施設等において行うほか、当該自立訓練(機能訓練)の利用により、当該指定障害者支援施設等を退所した利用者の居宅を訪問して行うこともできるが、この場合、当該指定障害者支援施設等に置くべき従業者の員数とは別に、当該業務を担当する生活支援員を1人以上確保する必要がある。

エ 機能訓練指導員(基準第4条第1項第2号ハ)

生活介護の場合と同趣旨であるため、①のウを参照されたい。

③ 自立訓練(生活訓練)を行う場合(基準第4条第1項第3号)

ア 生活支援員(基準第4条第1項第3号イ(1))

生活支援員の員数が、常勤換算方法により、自立訓練(生活訓練)を利用する利用者の数を6で除した数以上でなければならないものであり、この場合、生活支援員について、最低1人以上配置することが必要である。

また、生活支援員は、1人以上が常勤でなければならない。

イ 看護職員を配置する場合(基準第4条第1項第3号ロ)

当該自立訓練(生活訓練)において、健康上の管理が必要な利用者がいるために看護職員を配置している場合は、「生活支援員」を「生活支援員及び看護職員」と読み替え、この場合、生活支援員及び看護職員のそれぞれについて、最低1人以上配置することが必要である。

ウ サービス管理責任者(基準第4条第1項第3号イ(2))

生活介護の場合と同趣旨であるため、①のエを参照されたい。

エ 訪問による自立訓練(生活訓練)を行う場合(基準第4条第1項第3号ハ)

自立訓練(機能訓練)の場合と同趣旨であるため、②のウを参照されたい。

④ 就労移行支援を行う場合(基準第4条第1項第4号)

ア 職業指導員及び生活支援員(基準第4条第1項第4号イ(1))

職業指導員及び生活支援員については、その員数の総数が、常勤換算方法により、就労移行支援を利用する利用者の数を6で除した数以上でなければならないものであり、この場合、職業指導員及び生活支援員のそれぞれについて、最低1人以上配置することが必要である。

また、職業指導員及び生活支援員のうち、いずれか1人以上は常勤でなければならない。

イ 就労支援員(基準第4条第1項第4号イ(2))

就労支援員については、その員数の総数が、常勤換算方法により、就労移行支援を利用する利用者の数を15で除した数以上でなければならない。なお、職場実習のあっせん、求職活動の支援及び就職後の職場定着のための支援等、障害者に関する就労支援の経験を有した者が行うことが望ましい。

ウ サービス管理責任者(基準第4条第1項第4号イ(3))

生活介護の場合と同趣旨であるため、①のエを参照されたい。

エ 認定指定障害者支援施設において就労移行支援を行う場合の従業者の員数(基準第4条第1項第4号ロ)

(Ⅰ) 職業指導員及び生活支援員については、その員数の総数が、常勤換算方法により、就労移行支援を利用する利用者の数を10で除した数以上でなければならないものであり、この場合、職業指導員及び生活支援員のそれぞれについて、最低1人以上配置することが必要である。

また、職業指導員及び生活支援員のうち、いずれか1人以上は常勤でなければならない。

(Ⅱ) サービス管理責任者については、生活介護の場合と同趣旨であるため、①のエを参照されたい。

(Ⅲ) なお、認定指定障害者支援施設において就労移行支援を行う場合の従業者は、あん摩マッサージ指圧師、はり師及びきゅう師に係る学校又は養成施設の教員との兼務が可能であること。

⑤ 就労継続支援B型を行う場合(基準第4条第1項第5号)

ア 職業指導員及び生活支援員(基準第4条第1項第5号イ(1))

職業指導員及び生活支援員については、その員数の総数が、常勤換算方法により、就労継続支援B型を利用する利用者の数を10で除した数以上でなければならないものであり、この場合、職業指導員及び生活支援員のそれぞれについて、最低1人以上配置することが必要である。

また、職業指導員及び生活支援員のうち、いずれか1人以上は常勤でなければならない。

イ サービス管理責任者(基準第4条第1項第5号イ(2))

生活介護の場合と同趣旨であるため、①のエを参照されたい。

⑥ 施設入所支援(基準第4条第1項第6号)

ア 生活支援員(基準第4条第1項第6号イ(1))

施設入所支援については、夜間の時間帯(午後10時から翌日の午前5時までの時間を含めた連続する16時間をいい、原則として、指定障害者支援施設等ごとに設定するものとする。)において、入浴、排せつ又は食事の介護等を適切に提供する必要があることから、当該夜間の時間帯を通じて、施設入所支援の単位ごとに、利用定員の規模に応じ、夜勤を行う生活支援員を必要数配置するものである。

ただし、生活介護以外の昼間実施サービスを利用する利用者に対してのみその提供が行われる施設入所支援の単位にあっては、利用者の障害の程度や当該利用者に対する夜間の時間帯に必要となる支援の内容等を踏まえ、宿直勤務を行う生活支援員を1以上確保すれば足りることとしたものである。

イ サービス管理責任者(基準第4条第1項第6号イ(2))

施設入所支援に係るサービス管理責任者については、原則として、昼間実施サービスにおいて配置されるサービス管理責任者が兼ねるものとすること。

ウ 施設入所支援の単位(基準第4条第1項第6号ロ)

生活介護の場合と同趣旨であるため、①のオを参照されたい。

ただし、施設入所支援の単位ごとの利用定員が30人以上である必要があること。

⑦ 従業者の員数に関する特例(基準第4条の2)

18歳以上の障害児施設入所者が、平成24年4月1日以降も引き続き必要なサービスを受けることができるよう、法に基づく指定障害者支援施設の指定に当たっての特例として、指定障害者支援施設等が、福祉型障害児入所施設に係る指定障害児入所施設等の指定を受け、かつ、施設障害福祉サービスと指定入所支援(児童福祉法第24条の2第1項に規定する指定入所支援をいう。)とを同一の施設において一体的に提供している場合については、児童福祉法に基づく指定障害児入所施設等の人員、設備及び運営に関する基準(平成24年厚生労働省令第16号)第4条に規定する人員に関する基準を満たすことをもって、①及び⑥の基準を満たしているものとみなすことができることとしたものである。

⑧ 昼間実施サービスの従業者と施設入所支援の生活支援員との兼務について

昼間実施サービスの従業者が施設入所支援の生活支援員を兼務する場合については、当該昼間実施サービスの従業者の員数の算定に当たって、夜間の時間帯において当該施設入所支援の生活支援員が勤務すべき時間も含めて差し支えない。したがって、昼間実施サービスとして必要とされる従業者の員数とは別に、施設入所支援の生活支援員を確保する必要はないこと。

(例) 昼間、生活介護(平均障害支援区分は4)を行う指定障害者支援施設であって、利用定員が50人の場合(常勤職員が1日に勤務すべき時間が8時間であることとした場合)

この場合に必要となる指定障害者支援施設における従業者の1日の勤務延べ時間数は、

・ 生活介護の従業者 50÷5=10人 10人×8時間=80時間

・ 施設入所支援の生活支援員 1人×16時間=16時間

合計96時間が必要となるのではなく、夜間の時間帯を通じて1人の生活支援員を確保した上で、合計80時間が確保されれば足りるものであること。

(2) 複数の昼間実施サービスを行う場合における従業者の員数(基準第5条)

① 基準第5条第1項の規定は、指定障害者支援施設等が複数の昼間実施サービスを提供する場合にあっては、当該昼間実施サービスの利用定員の合計数が20人未満の場合は、当該指定障害者支援施設等に置くべき従業者のうち、1人以上が常勤の者であれば足りるものである。

② 同条第2項の規定は、複数の昼間実施サービスを提供する指定障害者支援施設等に置くべきサービス管理責任者の数については、当該昼間実施サービスの利用定員の合計数に対して、必要な員数が確保されていれば足りるものである。

2 設備に関する基準

(1) 訓練・作業室(基準第6条第2項第1号)

訓練・作業室については、面積や数に定めはないが、利用者の障害の特性や機能訓練又は生産活動の内容等に応じて適切な施設障害福祉サービスが提供されるよう、当該施設障害福祉サービスの種類ごとに、適当な広さ又は数の設備を確保しなければならないものとする。

(2) 廊下幅については、従来の規制を緩和したところであるが、利用者の障害の特性を踏まえた適切な幅員を確保するとともに、非常災害時において、利用者が迅速に避難できるよう、配慮されたものでなければならない。

なお、「中廊下」とは、廊下の両側に居室等利用者の日常生活に直接使用する設備のある廊下をいう。

また、ここでいう「廊下の一部の幅を拡張することにより、利用者、従業者等の円滑な往来に支障がないようにしなければならないこと」とは、アルコーブを設けることなどにより、利用者又は従業者等がすれ違う際にも支障が生じない場合を想定している。

(3) 指定障害者支援施設等は、利用者の日常生活全般を支援する必要があることから、利用者のニーズを踏まえ、この基準に定める設備のほか、必要な設備を設けるよう努めるものとすること。

(4) 設備に関する特例(基準第6条の2)

従業者の員数に関する特例と同趣旨であるため、1の(1)の⑦を参照されたい。

(5) 経過措置

指定障害者支援施設等の設備に関する基準については、以下の経過措置が設けられているので留意すること。

① 多目的室の経過措置(基準附則第15条)

施行日において現に存する指定身体障害者更生施設、指定身体障害者療護施設、指定特定身体障害者入所授産施設、指定知的障害者入所更生施設、指定特定知的障害者入所授産施設、指定知的障害者通勤寮、精神障害者生活訓練施設及び精神障害者入所授産施設が、施設障害福祉サービスを提供する場合におけるこれらの施設の建物(基本的な設備が完成しているものを含み、平成18年10月1日以降に増築され、又は全面的に改築された部分を除く。)については、当分の間、多目的室を設けないことができるものであること。

② 居室の定員の経過措置(基準附則第16条)

施行日において現に存する指定知的障害者入所更生施設、指定特定知的障害者入所授産施設又は指定知的障害者通勤寮(基本的な設備が完成しているものを含み、この基準の施行の後に増築され、又は全面的に改築された部分を除く。)については、居室について、原則として4人以下とするものであること。

③ 居室面積の経過措置(基準附則第17条及び第17条の2)

ア 施行日において現に存する指定身体障害者更生施設、指定身体障害者療護施設、指定特定身体障害者入所授産施設、指定知的障害者入所更生施設、指定特定知的障害者入所授産施設、指定知的障害者通勤寮、旧身体障害者福祉法第17条の32第1項に規定する国立施設又は法第5条第1項に規定するのぞみの園については、居室面積について、6.6平方メートル以上とするものであること。

イ 施行日において現に存する精神障害者生活訓練施設又は精神障害者入所授産施設については、居室面積について、4.4平方メートル以上とするものであること。

ウ 施行日において現に存する指定身体障害者更生施設若しくは指定特定身体障害者入所授産施設であって、障害者自立支援法の一部の施行に伴う厚生労働省関係省令の整備に関する省令(平成18年厚生労働省令第169号。以下「整備省令」という。)による廃止前の指定身体障害者更生施設等の設備及び運営に関する基準(平成14年厚生労働省令第79号)附則第2条第1項若しくは附則第4条第1項の規定の適用を受けているもの又は指定知的障害者入所更生施設、指定特定知的障害者入所授産施設若しくは指定知的障害者通勤寮であって、整備省令による廃止前の指定知的障害者更生施設等の設備及び運営に関する基準(平成14年厚生労働省令第81号)附則第2条から附則第4条までの規定の適用を受けているものについては、居室面積について、3.3平方メートル以上とするものであること。

エ 平成24年4月1日において現に存していた整備法第5条による改正前の児童福祉法第24条の2第1項に規定する指定知的障害児施設等(以下「旧指定知的障害児施設等」という。)であって、同日以後指定障害者支援施設等となるもの(指定障害者支援施設等となった後に増築され、又は全面的に改築された部分を除く。)については、当分の間、居室面積について、4.95平方メートル以上とするものであること。

④ ブザー又はこれに代わる設備の経過措置(基準附則第18条及び第18条の2)

ア 施行日において現に存する指定身体障害者更生施設、指定特定身体障害者入所授産施設、指定知的障害者入所更生施設、指定特定知的障害者入所授産施設、指定知的障害者通勤寮、精神障害者生活訓練施設又は精神障害者入所授産施設については、当分の間、第6条第2項第2号トのブザー又はこれに代わる設備を設けないことができるものであること。

イ 平成24年4月1日において現に存していた旧知的障害児施設等であって、同日以後指定障害者支援施設等となるもの(指定障害者支援施設等となった後に増築され、又は全面的に改築された部分を除く。)については、当分の間、第6条第2項第2号トの規定は適用しないものであること。

⑤ 廊下幅の経過措置(基準附則第19条及び第20条)

ア 施行日において現に存する指定知的障害者入所更生施設又は指定特定知的障害者入所授産施設については、廊下幅について、1.35メートル以上とするものであること。

イ 施行日において現に存する指定知的障害者通勤寮、精神障害者生活訓練施設又は精神障害者入所授産施設については、第6条第2項第8号の規定は当分の間適用しないものであること。

ウ 施行日において現に存する指定身体障害者更生施設、指定身体障害者療護施設、指定特定身体障害者入所授産施設、指定知的障害者入所更生施設又は指定特定知的障害者入所授産施設については、第6条第2項第8号ロの規定は当分の間適用しないものであること。

エ 平成24年4月1日において現に存していた旧知的障害児施設等であって、同日以後指定障害者支援施設等となるもの(指定障害者支援施設等となった後に増築され、又は全面的に改築された部分を除く。)については、当分の間、第6条第2項第8号の規定は適用しないものであること。

3 運営に関する基準

(1) 内容及び手続の説明及び同意(基準第7条)

指定障害者支援施設等は、利用者に対し適切な施設障害福祉サービスを提供するため、その提供の開始に際し、あらかじめ、利用申込者に対し、提供する施設障害福祉サービスの種類ごとに、当該指定障害者支援施設等の運営規程の概要、従業者の勤務体制、事故発生時の対応、苦情処理の体制等の利用申込者がサービスを選択するために必要な重要事項について、利用者の障害の特性に応じ、適切に配慮されたわかりやすい説明書やパンフレット等の文書を交付して懇切丁寧に説明を行い、当該指定障害者支援施設等から施設障害福祉サービスの提供を受けることにつき、当該利用申込者の同意を得なければならないこととしたものである。

なお、利用者及び指定障害者支援施設等双方の保護の立場から書面によって確認することが望ましいものである。

また、利用者との間で当該施設障害福祉サービスの提供に係る契約が成立したときは、当該利用者の障害の特性に応じた適切な配慮をもって、社会福祉法(昭和26年法律第45号)第77条第1項の規定に基づき、

① 指定障害者支援施設等の設置者の名称及び主たる事務所の所在地

② 指定障害者支援施設等が提供する施設障害福祉サービスの内容

③ 施設障害福祉サービスの提供につき利用者が支払うべき額に関する事項

④ 施設障害福祉サービスの提供開始年月日

⑤ 施設障害福祉サービスに係る苦情を受け付けるための窓口を記載した書面を交付すること。

なお、利用者の承諾を得た場合には当該書面に記載すべき事項を電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法により提供することができる。

(2) 契約支給量の報告等(基準第8条)

① 契約支給量等の受給者証への記載

指定障害者支援施設等は、施設障害福祉サービスの提供に係る契約が成立した時は、利用者の受給者証に当該指定障害者支援施設等の設置者及びその施設の名称、当該指定障害者支援施設等が提供する施設障害福祉サービスの内容、当該指定障害者支援施設等の設置者が当該利用者に提供する月当たりの施設障害福祉サービスの提供量(契約支給量)、契約日等の必要な事項を記載すること。

なお、当該契約に係る施設障害福祉サービスの提供が終了した場合にはその年月日を、月途中で終了した場合には当該月で既に提供した施設障害福祉サービスの量を記載することとしたものである。

② 契約支給量

基準第8条第2項は、受給者証に記載すべき契約支給量の総量は、当該利用者の支給量を超えてはならないこととしたものである。

③ 市町村への報告

同条第3項は、指定障害者支援施設等は、①の規定による記載をした場合には、遅滞なく市町村に対して、当該記載事項を報告するとともに、当該利用者が退所する場合には、その理由等を報告しなければならないこととしたものである。

(3) 提供拒否の禁止(基準第9条)

指定障害者支援施設等は、原則として、利用申込みに対して応じなければならないことを規定したものであり、特に、障害支援区分や所得の多寡を理由にサービスの提供を拒否することを禁止するものである。提供を拒むことのできる正当な理由がある場合とは、

① 当該指定障害者支援施設等の利用定員を超える利用申込みがあった場合

② 入院治療の必要がある場合

③ 当該指定障害者支援施設等が提供する施設障害福祉サービスの主たる対象とする障害の種類を定めている場合、その他利用者に対し自ら適切な施設障害福祉サービスを提供することが困難な場合である。

(4) 連絡調整に対する協力(基準第10条)

指定障害者支援施設等は、当該施設等の利用について市町村又は一般相談支援事業者若しくは特定相談支援事業者から、利用者の紹介、地域におけるサービス担当者会議への出席依頼等の連絡調整等に対し、指定障害者支援施設等の円滑な利用の観点から、できる限り協力しなければならないこととしたものである。

(5) サービス提供困難時の対応(基準第11条)

指定障害者支援施設等は、基準第9条の正当な理由により、利用申込者に対し自ら適切な施設障害福祉サービスを提供することが困難であると認めた場合には、同条の規定により、適当な他の指定障害者支援施設等の紹介その他の必要な措置を速やかに講じなければならないものである。

(6) 受給資格の確認(基準第12条)

指定障害者支援施設等の利用に係る介護給付費等を受けることができるのは、支給決定障害者に限られるものであることを踏まえ、指定障害者支援施設等は、施設障害福祉サービスの提供の開始に際し、利用者の提示する受給者証によって、支給決定の有無、支給決定の有効期間、支給量などサービス提供に必要な事項を確かめなければならないこととしたものである。

(7) 介護給付費又は訓練等給付費の支給の申請に係る援助(基準第13条)

① 支給決定を受けていない者

基準第13条第1項は、支給決定を受けていない者から利用の申込みを受けた場合には、その者の意向を踏まえて速やかに介護給付費等の支給申請に必要な援助を行うこととするものである。

② 利用継続のための援助

同条第2項は、利用者の支給決定に係る支給期間の終了に伴い、引き続き当該利用者が当該指定障害者支援施設等のサービスを利用する意向がある場合には、市町村の標準処理期間を勘案し、あらかじめ余裕をもって当該利用者が支給申請を行うことができるよう申請勧奨等の必要な援助を行うことを定めたものである。

(8) 心身の状況等の把握(基準第14条)

基準第14条は、指定障害者支援施設等は、利用者の日常生活全般を支援する観点から、当該利用者の障害の程度やその客観的なニーズ等に即した適切な施設障害福祉サービスが提供されるよう、当該利用者の心身の状況、その置かれている環境、他の福祉サービスの利用状況等の把握に努めなければならないことを規定したものである。

(9) 指定障害福祉サービス事業者等との連携(基準第15条)

① 基準第15条第1項は、指定障害者支援施設等が、施設障害福祉サービスを提供するに当たっては、外部の障害福祉サービスの利用も含め、利用者の障害の程度や客観的なニーズ等に即したサービスの選択が可能となるよう、他の障害福祉サービス事業者等との連携を密接に行うこととしたものである。

② 同条第2項は、指定障害者支援施設等が、施設障害福祉サービスの提供を終了するに際しては、利用者が当該施設を退所した後、地域生活への円滑な移行が可能となるよう、他の障害福祉サービス事業者等との連携を密接に行うこととしたものである。

(10) 身分を証する書類の携行(基準第16条)

指定障害者支援施設等が、自立訓練(機能訓練)又は自立訓練(生活訓練)の利用に係る利用者(当該指定障害者支援施設等を退所し、居宅において引き続き自立訓練(機能訓練)又は自立訓練(生活訓練)を利用する者を含む。以下この第16条において同じ。)の居宅を訪問して、自立訓練(機能訓練)又は自立訓練(生活訓練)を行う場合には、利用者が安心して施設障害福祉サービスの提供を受けられるよう、当該指定障害者支援施設等の従業者に身分を明らかにする証書や名札等を携行させ、初回訪問時及び利用者又はその家族から求められたときは、これを提示すべき旨を指導しなければならないこととしたものである。

なお、この証書等には、当該指定障害者支援施設等の名称、当該従業者の氏名を記載するものとし、当該従業者の写真の貼付や職能の記載を行うことが望ましい。

(11) サービスの提供の記録(基準第17条)

① 記録の時期

ア 基準第17条第1項は、利用者及び指定障害者支援施設等が、その時点での施設障害福祉サービスの利用状況等を把握できるようにするため、指定障害者支援施設等は、当該指定障害者支援施設等において施設入所支援を受ける者以外の者に対して施設障害福祉サービスを提供した際には、当該施設障害福祉サービスの提供日、提供したサービスの具体的内容、利用者負担額等の利用者に伝達すべき必要な事項を、後日一括して記録するのではなく、サービスを提供する都度記録しなければならないこととしたものである。

イ 基準第17条第2項は、指定障害者支援施設等は、当該指定障害者支援施設等において施設入所支援を受ける者に対して施設障害福祉サービスを提供する場合であって、当該記録を適切に行うことができる場合においては、これらの事項について後日一括して記録することも差し支えないこととしたものである。

② 利用者の確認

基準第17条第3項は、同条第1項及び第2項のサービスの提供の記録について、サービスの提供に係る適切な手続を確保する観点から、利用者の確認を得なければならないこととしたものである。

(12) 指定障害者支援施設等が支給決定障害者に求めることのできる金銭の支払の範囲等(基準第18条)

指定障害者支援施設等は、基準第19条第1項から第4項までに規定する額のほか曖昧な名目による不適切な費用の領収を行うことはできないこととしたものであるが、利用者の直接便益を向上させるものについては、次の要件を満たす場合に、当該利用者に金銭の支払を求めることは差し支えないものである。

① 施設障害福祉サービスの提供の一環として行われるものではないサービスの提供に要する費用であること。

② 利用者に求める金額、その使途及び金銭の支払を求める理由について記載した書面を当該利用者に交付し、説明を行うとともに、当該利用者の同意を得ていること。

(13) 利用者負担額等の受領(基準第19条)

① 利用者負担額の受領

基準第19条第1項は、指定障害者支援施設等は、法定代理受領サービスとして提供される施設障害福祉サービスについての利用者負担額として、法第29条第3項第2号に規定する政令で定める額(政令で定める額よりも、サービス提供に要した費用の1割相当額の方が低い場合は、1割相当額)の支払を受けなければならないことを規定したものである。

なお、法第31条の規定により、介護給付費等の額の特例の適用を受ける場合は、市町村が定める額を利用者負担額とする。

② 法定代理受領を行わない場合

同条第2項は、指定障害者支援施設等が法定代理受領を行わない施設障害福祉サービスを提供した際には、利用者から、利用者負担額のほか、当該施設障害福祉サービスにつき法第29条第3項第1号に規定する厚生労働大臣が定める基準により算定した費用の額(その額が現に当該施設障害福祉サービスに要した費用(法第29条第1項に規定する特定費用を除く。)の額を超えるときは、当該施設障害福祉サービスに要した費用の額)の支払を受けるものとしたものである。

③ その他受領が可能な費用の範囲

同条第3項は、指定障害者支援施設等は、前2項の支払を受ける額のほか、施設障害福祉サービスにおいて提供される便宜に要する費用のうち、当該施設障害福祉サービスの種類ごとに、次に掲げる費用の支払を受けることができることとし、介護給付費等の対象となっているサービスと明確に区分されない曖昧な名目による費用の支払を受けることは認めないこととしたものである。

ア 生活介護を行う場合

(Ⅰ) 食事の提供に要する費用

(Ⅱ) 創作的活動に係る材料

(Ⅲ) 日用品費

(Ⅳ) その他の日常生活においても通常必要となるものに係る費用であって、利用者に負担させることが適当と認められるもの

イ 自立訓練(機能訓練)、自立訓練(生活訓練)、就労移行支援又は就労継続支援B型を行う場合

(Ⅰ) 食事の提供に要する費用

(Ⅱ) 日用品費

(Ⅲ) その他の日常生活においても通常必要となるものに係る費用であって、利用者に負担させることが適当と認められるもの

ウ 施設入所支援を行う場合

(Ⅰ) 食事の提供に要する費用及び光熱水費

(Ⅱ) 利用者が選定する特別な居室(国若しくは地方公共団体の負担若しくは補助又はこれらに準ずるものを受けて建築され、買収され、又は改造されたものを除く。)の提供を行ったことに伴い必要となる費用

(Ⅲ) 被服費

(Ⅳ) 日用品費

(Ⅴ) その他の日常生活においても通常必要となるものに係る費用であって、利用者に負担させることが適当と認められるもの

なお、アの(Ⅳ)、イの(Ⅲ)及びウの(Ⅴ)の具体的な範囲については、「障害福祉サービス等における日常生活に要する費用の取扱いについて」(平成18年12月6日付け障発第1206002号当職通知)によるものとする。

④ 領収書の交付

同条第5項は、同条第1項から第3項の規定による額の支払を受けた場合には、当該利用者に対して領収証を交付することとしたものである。

⑤ 利用者の事前の同意

同条第6項は、同条第3項の費用の額に係るサービスの提供に当たっては、あらかじめ、利用者に対し、当該サービスの内容及び費用について説明を行い、当該利用者の同意を得なければならないこととしたものである。

(14) 利用者負担額に係る管理(基準第20条)

① 基準第20条第1項は、指定障害者支援施設等は、施設入所支援を受けている支給決定障害者が同一の月に当該指定障害者支援施設等が提供する施設障害福祉サービス及び他の障害福祉サービス等を受けたときは、当該施設障害福祉サービス及び当該他の障害福祉サービス等に係る利用者負担額を算定しなければならないこととされたが、その具体的な取扱いについては、別に通知するところによるものとする。

② 同条第2項は、指定障害者支援施設等は、昼間実施サービスのみを利用する支給決定障害者の依頼を受けて、利用者負担額に係る管理を行うこととされたが、その具体的な取扱いについては、別に通知するところによるものとする。

(15) 介護給付費又は訓練等給付費の額に係る通知等(基準第21条)

① 利用者への通知

基準第21条第1項は、指定障害者支援施設等は、市町村から法定代理受領を行う施設障害福祉サービスに係る介護給付費等の支給を受けた場合は、支給決定障害者に対し、当該支給決定障害者に係る介護給付費等の額を通知することとしたものである。

② サービス提供証明書の利用者への交付

同条第2項は、基準第19条第2項の規定による額の支払を受けた場合には、提供した施設障害福祉サービスの内容、費用の額その他利用者が介護給付費等を請求する上で必要と認められる事項を記載したサービス提供証明書を利用者に交付しなければならないこととしたものである。

(16) 施設障害福祉サービスの取扱方針(基準第22条)

① 基準第22条第2項に規定する支援上必要な事項とは、施設障害福祉サービス計画の目標及び内容のほか、行事及び日課等も含むものである。

② 同条第3項は、指定障害者支援施設等は、自らその提供する施設障害福祉サービスの質の評価を行うことはもとより、第三者による外部評価の導入を図るよう努め、常にサービスを提供する施設としての質の改善を図らなければならないこととしたものである。

(17) 施設障害福祉サービス計画の作成等(基準第23条)

① 基準第23条においては、サービス管理責任者が作成すべき施設障害福祉サービス計画について規定している。

施設障害福祉サービス計画は、利用者及びその家族の生活に対する意向、総合的な支援の方針、生活全般の質を向上させるための課題、施設障害福祉サービスの目標及びその達成時期、施設障害福祉サービスを提供する上での留意事項等を記載した書面である。

また、施設障害福祉サービス計画は、その置かれている環境及び日常生活全般の状況等の評価を通じて利用者の希望する生活や課題等の把握を行い、利用者が自立した日常生活を営むことができるよう支援する上での適切な支援内容の検討に基づいて立案されるものである。

② サービス管理責任者の役割

サービス管理責任者は、指定特定相談支援事業者等が作成したサービス等利用計画を踏まえて、当該指定障害者支援施設等以外の保健医療サービス又はその他の福祉サービス等との連携も含めて、施設障害福祉サービス計画の原案を作成し、以下の手順により施設障害福祉サービス計画に基づく支援を実施するものである。

ア 利用者に対する施設障害福祉サービス計画の提供に当たる担当者を招集して行う会議を開催し、施設障害福祉サービス計画の原案について意見を求めること

イ 当該施設障害福祉サービス計画の原案の内容について、利用者及びその家族に対して説明し、文書により当該利用者の同意を得ること

ウ 利用者へ当該施設障害福祉サービス計画を交付すること

エ 当該施設障害福祉サービス計画の実施状況の把握及び施設障害福祉サービス計画を見直すべきかどうかについての検討(当該検討は、昼間、生活介護又は就労継続支援B型を利用するものにあっては少なくとも6月に1回以上、自立訓練(機能訓練)、自立訓練(生活訓練)又は就労移行支援を利用するものにあっては少なくとも3月に1回以上行われ、必要に応じて施設障害福祉サービス計画の変更を行う必要があること。)を行うこと

(18) サービス管理責任者の責務(基準第24条)

サービス管理責任者は、施設障害福祉サービス計画の作成のほか、次の業務を担うものである。

① 利用申込みに際し、当該利用者に係る他の障害福祉サービス等の提供状況の把握を行うこと

② 指定障害者支援施設等を退所し、自立した日常生活を営むことが可能かどうか、定期的に点検するとともに、自立した日常生活を営むことが可能と認められる利用者に対し、地域生活への移行へ向けた支援を行うこと

③ 他の従業者に対して、施設障害福祉サービスの提供に係る技術的な指導及び助言を行うこと

(19) 相談等(基準第25条)

① 基準第25条第1項は、常に利用者の心身の状況、その置かれている環境等の的確な把握に努め、常時必要な相談及び援助を行い得る体制をとることにより、積極的に利用者の生活の質の向上を図ることを趣旨とするものである。

② 同条第2項は、利用者が当該指定障害者支援施設が提供する昼間実施サービス以外の外部の障害福祉サービス事業者等による生活介護、自立訓練(機能訓練)、自立訓練(生活訓練)、就労移行支援又は就労継続支援B型の利用を希望する場合には、当該利用者の希望を踏まえ、地域における障害福祉サービス事業者等に関する情報提供及び当該利用者と外部の障害福祉サービス事業者等との利用契約締結に当たっての支援など、必要な支援を行わなければならないこととしたものである。

(20) 介護(基準第26条)

① 施設障害福祉サービスの提供に当たっては、利用者の人格に十分配慮し、施設障害福祉サービス計画によるサービスの目標等を念頭において行うことが基本であり、利用者の心身の状況に応じて、適切な技術をもって介護を提供し、又は必要な支援を行うものとする。

② 排せつの介護は、利用者の心身の状況や排せつ状況などをもとに、自立支援の観点から、トイレ誘導や排せつ介助等について適切な方法により実施するものとする。

③ 利用者がおむつを使用せざるを得ない場合には、その心身及び活動の状況に適したおむつを提供するとともに、おむつ交換は、頻繁に行えばよいということではなく、利用者の排せつ状況を踏まえて実施するものとする。

④ 指定障害者支援施設等は、利用者にとって生活の場であることから、居宅における生活と同様に、通常の一日の生活の流れに沿って、離床、着替え、整容など利用者の心身の状況に応じた日常生活上の世話を適切に行うものとする。

⑤ 基準第26条第6項に規定する「常に1人以上の従業者を介護に従事させなければならない」とは、夜間も含めて適切な介護を提供できるように介護に従事する生活支援員の勤務体制を定めておくとともに、複数の施設入所支援の単位など2以上の生活支援員の勤務体制を組む場合は、それぞれの勤務体制において常時1人以上の生活支援員の配置を行わなければならないことを規定したものである。

また、施設障害福祉サービスの提供に当たっては、施設障害福祉サービスの種類及びその提供内容に応じて、従業者の勤務体制を適切に組むものとする。

(21) 訓練(基準第27条)

① 基準第27条第2項に定める訓練の提供に当たっては、利用者の人格に十分配慮し、施設障害福祉サービス計画によるサービスの目標等を念頭において行うことが基本であり、利用者の心身の状況に応じて、適切な技術をもって訓練又は必要な支援を行うものとする。

また、当該訓練は、単に身体機能の維持又は向上のための訓練を行うのみならず、利用者が当該施設を退所し、地域において自立した日常生活又は社会生活を営めるよう、当該利用者の生活全般にわたる諸課題を解決するための訓練も含め、総合的な支援を行うものでなければならないこと。

② 同条第3項に規定する「常時1人以上の従業者を訓練に従事させる」とは、適切な訓練を行うことができるように訓練に従事する従業者の勤務体制を定めておくとともに、2以上の生活支援員の勤務体制を組む場合は、それぞれの勤務体制において常時1人以上の常勤の生活支援員の配置を行わなければならないものである。

(22) 生産活動(基準第28条)

生産活動を実施するに当たっては、次の事項について留意すること。

① 生産活動の内容(基準第28条第1項)

生産活動の内容については、地域の実情、製品及びサービスの需給状況及び業界の動向を常時把握するほか、利用者の心身の状況、利用者本人の意向、適性、障害の特性、能力などを考慮し、多種多様な生産活動の場を提供できるように努めなければならないものとしたものである。

② 生産活動による利用者の疲労軽減等への配慮(基準第28条第2項)

指定障害者支援施設等は、生産活動の機会を提供するに当たっては、利用者の障害の特性、能力などに配慮し、生産活動への参加が利用者の過重な負担とならないよう、生産活動への従事時間の工夫、休憩時間の付与、効率的に作業を行うための設備や備品の活用等により、利用者の負担ができる限り軽減されるよう、配慮しなければならないものである。

③ 障害特性を踏まえた工夫(基準第28条第3項)

指定障害者支援施設等は、生産活動の機会を提供するに当たっては、実施する生産活動の能率の向上が図られるよう常に作業設備、作業工具、作業の工程などの改善に努めなければならないものである。

④ 生産活動の安全管理(基準第28条第4項)

指定障害者支援施設等は、生産活動の機会の提供をするに当たっては、利用者が行う生産活動の安全性を確保するため、必要な措置を講ずる義務があるものである。

(23) 工賃の支払等(基準第29条)

指定障害者支援施設等は、生産活動に従事している利用者に、当該生産活動に係る事業の収入から当該事業に必要な経費を控除した額に相当する金額を工賃として支払わなければならないこととしたものである。

指定障害者支援施設等は、就労継続支援B型の提供に当たっては、利用者それぞれに対し支払われる一月あたりの工賃の平均額は、3,000円を下回るものとしてはならないこと。

ただし、一月あたりの利用者の利用日数が極端に少ない場合については、都道府県知事(地方自治法(昭和22年法律第67号)第252条の19第1項の指定都市(以下「指定都市」という。)又は同法第252条の22第1項の中核市(以下「中核市」という。)においては、指定都市又は中核市の市長。以下同じ。)の判断により、当該影響を排除した計算方法により算出した工賃の平均額をもって本規定を適用することが可能であること。

なお、都道府県(指定都市又は中核市においては、指定都市又は中核市。)は、前年度の工賃の平均額が月額3,000円を下回る場合、工賃を向上させるための指導を行うこと。

また、指定障害者支援施設等は、就労継続支援B型の提供に当たっては、毎年度、当該年度における目標工賃と、前年度における工賃実績を利用者に通知するとともに、都道府県(指定都市にあっては都道府県及び指定都市、中核市にあっては都道府県及び中核市)に届け出なければならないこと。

なお、具体的な届出方法については、「就労移行支援事業、就労継続支援事業(A型、B型)における留意事項について」(平成19年4月2日付け障障発第0402001号厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課長通知)を参照されたい。

なお、この場合の指定障害者支援施設等における会計処理については、社会福祉法人が設置する指定障害者支援施設等の場合は、「社会福祉法人会計基準の制定について」(平成23年7月27日付け雇児発0727第1号、社援発0727第1号、老発0727第1号、厚生労働省雇用均等・児童家庭局長、社会・援護局長、老健局長連名通知)を、社会福祉法人以外の法人が設置する指定障害者支援施設等の場合は、「就労支援等の事業に関する会計処理の取扱いについて」(平成18年10月2日付け社援発第1002001号厚生労働省社会・援護局長通知)を参照されたい。

(24) 実習の実施(基準第30条)

実習については、施設障害福祉サービス計画に基づき、利用者の心身の状況及びその希望に応じた適切な受入先が複数確保できるよう、就労支援員等が中心となり、その開拓に努めること。

なお、実習時において、指定障害者支援施設等における就労支援員等の職員が随行しない期間がある場合には、当該期間中に、実習先における利用者の状況について、利用者本人や実習先事業者から聞き取りを行うことにより、日報を作成するとともに、少なくとも1週間ごとに、当該聞き取りの内容等を元に、施設障害福祉サービス計画の内容の確認及び必要に応じた見直しを行うよう努めること。

また、受入先の確保に当たっては、公共職業安定所、障害者就業・生活支援センター、特別支援学校等の関係機関と連携して行うこと。

(25) 求職活動の支援等の実施(基準第31条)

求職活動については、施設障害福祉サービス計画に基づき、公共職業安定所での求職の登録、合同就職面接会や企業面接への参加などの機会を提供するとともに、当該求職活動が円滑に行えるよう、就労支援員等が必要に応じ支援すること。

(26) 職場への定着のための支援の実施(基準第32条)

指定障害者支援施設等は、利用者が円滑に職場に定着できるよう、利用者が就職してから、少なくとも6月以上の間、障害者就業・生活支援センターや職場適応援助者と連携を図りながら、事業主に対する助言、就職後に生じた職場不適応への対応等について、職場訪問や家庭訪問等による適切な相談支援を行うこと。

なお、こうした指定障害者支援施設等による職場への定着支援は、無期限に行うのではなく、概ね6月間程度経過した後に、障害者就業・生活支援センター等の就労支援機関により、利用者に対する適切な相談支援が継続的に行われるよう、当該就労支援機関との必要な調整を行うことが望ましいこと。

(27) 就職状況の報告(基準第33条)

指定障害者支援施設等は、毎年度、前年度における就職した利用者の数、就職後6月以上職場定着している者の数を、都道府県(指定都市又は中核市においては、指定都市又は中核市。)に報告しなければならないこと。

(28) 食事(基準第34条)

① 基準第34条第1項に規定する「正当な理由」とは、

ア 明らかに利用者が適切な食事を確保できる状態にある場合

イ 利用者の心身の状況から、明らかに適切でない内容の食事を求められた場合

等をいい、食事の提供を安易に拒んではならないものであること。

② 栄養管理等

食事の提供は、利用者の支援に極めて重要な影響を与えるものであることから、当該指定障害者支援施設等において食事の提供を行う場合については、利用者の年齢や障害の特性に応じて、適切な栄養量及び内容の食事を確保するため、管理栄養士又は栄養士による栄養管理が行われる必要があること。

なお、指定障害者支援施設等における管理栄養士又は栄養士の配置については、支援に係る報酬の中で包括的に評価していること。

また、食事の提供を外部の事業者へ委託することは差し支えないが、指定障害者支援施設等は、受託事業者に対し、利用者の嗜好や障害の特性等が食事の内容に反映されるよう、定期的に調整を行わなければならないものである。

③ 食事の内容

利用者に提供される食事の内容については、できるだけ変化に富み、利用者の年齢や利用者の障害の特性に配慮したものとし、栄養的にもバランスのとれたものとすること。

④ 調理及び配膳に当たっては、食品及び利用者の使用する食器その他の設備の衛生管理に努めること(「食品衛生監視票について」(平成16年4月1日付け食安発第0401001号)別添の食品衛生監視票の監視項目参照)。

⑤ 指定障害者支援施設等において食事の提供を行う場合であって、栄養士を置かないときは、保健所等の指導を受けるように努めなければならないこととしたものである。

(29) 社会生活上の便宜の供与等(基準第35条)

① 基準第35条第1項は、指定障害者支援施設等は、画一的なサービスを提供するのではなく、利用者が自らの趣味又は嗜好に応じた活動を通じて充実した日常生活を送ることができるように努めなければならないこととしたものである。

② 同条第2項は、指定障害者支援施設等は、郵便、証明書等の交付申請等、利用者が必要とする手続等について、利用者又はその家族が行うことが困難な場合は、原則としてその都度、その者の同意を得た上で代行しなければならないこととするものである。特に金銭にかかるものについては書面等をもって事前に同意を得るとともに、代行した後はその都度本人に確認を得るものとする。

③ 同条第3項は、指定障害者支援施設等は、利用者の家族に対し、当該施設の会報の送付、当該施設等が実施する行事への参加の呼びかけ等によって利用者とその家族が交流できる機会等を確保するよう努めなければならないこととするものである。

また、利用者と家族の面会の場所や時間等についても、利用者やその家族の利便に配慮したものとするよう努めなければならないこととするものである。

(30) 健康管理(基準第36条)

① 基準第36条第1項は、利用者の健康管理は、保健所等との連絡の上、医師又は看護職員その他適当な者を健康管理の責任者とし、利用者の健康状態に応じて健康保持のための適切な措置を講じることとしたものである。

② 同条第2項は、毎年、年2回以上定期的に健康診断を行うことにより、利用者の健康状態を適切に把握する必要がある。

(31) 緊急時等の対応(基準第37条)

指定障害者支援施設等が、現に施設障害福祉サービスの提供を行っているときに、利用者に病状の急変が生じた場合その他必要な場合は、運営規程に定められた緊急時の対応方法に基づき、医療機関への連絡を行うなどの必要な措置を講じなければならないこととしたものである。

(32) 施設入所支援利用者の入院期間中の取扱い(基準第38条)

① 「入院後おおむね3月以内に退院することが見込まれる」かどうかの判断は、利用者の入院先の病院及び診療所の医師に確認するなどの方法によること。

② 「必要に応じて適切な便宜を供与する」とは、利用者及びその家族の同意の上での入退院の手続やその他の個々の状況に応じた便宜を図ることを指すものである。

③ 「やむを得ない事情がある場合」とは、単に当初予定の退院日に満床であることをもって該当するものではなく、例えば、利用者の退院が予定より早まるなどの理由により、ベッドの確保が間に合わない場合等を指すものである。施設側の都合は、基本的には該当しないことに留意すること。

なお、前記の例示の場合であっても、再入所が可能なベッドの確保ができるまでの間、短期入所の利用を検討するなどにより、利用者の生活に支障を来さないよう努める必要がある。

④ 利用者の入院期間中のベッドは、短期入所等に利用しても差し支えないが、当該利用者が退院する際に円滑に再入所できるよう、その利用は計画的なものでなければならない。

(33) 支給決定障害者に関する市町村への通知(基準第39条)

法第8条第1項の規定により、市町村は、偽りその他不正な手段によって介護給付費等の支給を受けた者があるときは、その者から、その支給を受けた額に相当する金額の全部又は一部を徴収することができることにかんがみ、指定障害者支援施設等は、その利用者が偽りその他不正な手段によって介護給付費等の支給を受け、又は受けようとしたときは、介護給付費等の適正化の観点から遅滞なく、意見を付して市町村に通知しなければならないこととしたものである。

(34) 管理者による管理等(基準第40条)

基準第40条は、指定障害者支援施設等の管理者の責務として、当該施設の従業者の管理及び当該施設の実施状況の把握その他の管理を一元的に行うとともに、当該施設の従業者に基準の第二章第三節(運営に関する基準)の規定を遵守させるため必要な指揮命令を行うこととしたものである。

(35) 運営規程(基準第41条)

指定障害者支援施設等の適正な運営及び利用者に対する適切な施設障害福祉サービスの提供を確保するため、同条第1号から第13号までに掲げる事項を内容とする規程を定めることを指定障害者支援施設等ごとに義務づけたものであるが、特に次の点に留意するものとする。

① 提供する施設障害福祉サービスの種類ごとの利用定員(基準第41条第5号)

利用定員は、施設障害福祉サービスの種類ごとに定めるものとし、具体的には次のとおりとすること。

ア 昼間実施サービス

同時に昼間実施サービスの提供を受けることができる利用者の数の上限をいうものであること。なお、複数の生活介護の単位が設置されている場合にあっては、当該生活介護の単位ごとに利用定員を定める必要があること。

イ 施設入所支援

施設入所支援の事業の専用の居室のベッド数と同数とすること。なお、複数の施設入所支援の単位が設置されている場合にあっては、当該施設入所支援の単位ごとに利用定員を定める必要があること。

② 提供する施設障害福祉サービスの種類ごとの内容並びに支給決定障害者から受領する費用の種類及びその額(基準第41条第6号)

「施設障害福祉サービスの種類ごとの内容」とは、年間行事・レクリエーション及び日課等を含めたサービスの内容を指すものであること。また、「支給決定障害者から受領する費用の種類及びその額」とは、基準第19条第3項により支払を受けることが認められている費用の額を指すものであること。

③ 昼間実施サービスに係る通常の事業の実施地域(基準第41条第7号)

指定障害者支援施設等が定める通常の送迎の実施地域は、客観的にその区域が特定されるものとすること。なお、指定障害者支援施設等へは利用者自ら通うことを基本としているが、生活介護の利用者のうち、障害の程度等により自ら通所することが困難な利用者に対しては、円滑な生活介護の利用が図られるよう、当該指定障害者支援施設等が送迎を実施するなどの配慮を行う必要があること。

④ サービス利用に当たっての留意事項(基準第41条第8号)

利用者が施設障害福祉サービスの提供を受ける際に、利用者側が留意すべき事項(入所期間中の生活上のルール、設備の利用上の注意事項等)を指すものであること。

⑤ 非常災害対策(基準第41条第10号)

基準第44条に規定する非常災害対策に関する具体的計画を指すものであること。

⑥ 提供する施設障害福祉サービスの種類ごとに主たる対象とする障害の種類を定めた場合には当該障害の種類(基準第41条第11号)

指定障害者支援施設等は、障害種別にかかわらず利用者を受け入れることを基本とするが、施設障害福祉サービスの提供に当たっては、利用者の障害の特性に応じた専門性に十分配慮する必要があることから、提供するサービスの専門性を確保するため、特に必要がある場合において、あらかじめ、障害種別により「主たる対象者」を定めることができることとしたものである。

なお、当該対象者からサービス利用の申込みがあった場合には、応諾義務が課せられるものである。

⑦ 虐待の防止のための措置に関する事項(基準第41条第12号)

「虐待の防止のための措置」については、「障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律」(平成23年法律第79号)において、障害者虐待を未然に防止するための対策及び虐待が発生した場合の対応について規定しているところであるが、より実効性を担保する観点から、指定障害者支援施設等においても、利用者に対する虐待を早期に発見して迅速かつ適切な対応が図られるための必要な措置について、あらかじめ運営規程に定めることとしたものである。具体的には、

ア 虐待の防止に関する責任者の選定

イ 成年後見制度の利用支援

ウ 苦情解決体制の整備

エ 従業者に対する虐待の防止を啓発・普及するための研修の実施(研修方法や研修計画など)

等を指すものであること。

⑧ その他運営に関する事項(基準第41条第13号)

利用者又は他の利用者等の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合に身体的拘束等を行う際の手続について定めておくなど苦情解決の体制等について定めておくことが望ましい。

(36) 勤務体制の確保等(基準第42条)

利用者に対する適切な施設障害福祉サービスの提供を確保するため、従業者の勤務体制等について規定したものであるが、次の点に留意するものとする。

① 基準第42条第1項は、指定障害者支援施設等ごとに、原則として月ごとの勤務表(従業員の勤務体制を生活介護の単位等により2以上で行っている場合は、その勤務体制ごとの勤務表)を作成し、従業者の日々の勤務時間、常勤・非常勤の別、管理者との兼務関係等を明確にすることを定めたものであること。

② 同条第2項は、指定障害者支援施設等は原則として、当該施設の従業者によって施設障害福祉サービスを提供すべきであるが、洗濯等の利用者への介護・支援に直接影響を及ぼさない業務については、第三者への委託等を行うことを認めるものであること。

③ 同条第3項は、指定障害者支援施設等の従業者の資質の向上を図るため、研修機関が実施する研修や当該施設内の研修への参加の機会を計画的に確保することを定めたものであること。

(37) 定員の遵守(基準第43条)

利用者に対する施設障害福祉サービスの提供に支障が生ずることのないよう、原則として、指定障害者支援施設等が定める施設障害福祉サービスの種類ごとの利用定員を超えた利用者の受入を禁止するものであるが、次に該当する利用定員を超えた利用者の受入については、適正なサービスの提供が確保されることを前提とし、地域の社会資源の状況等から新規の利用者を当該指定障害者支援施設等において受け入れる必要がある場合等やむを得ない事情が存する場合に限り、可能とすることとしたものである。

① 昼間実施サービス

ア 1日当たりの利用者の数

(Ⅰ) 利用定員50人以下の指定障害者支援施設等の場合

1日当たりの利用者の数(複数の生活介護の単位が設置されている場合にあっては、当該生活介護の単位ごとの利用者の数。((Ⅱ)及びイにおいて同じ。)が、利用定員(複数の生活介護の単位が設置されている場合にあっては、当該生活介護の単位ごとの利用定員。(イ及び②において同じ。)に150%を乗じて得た数以下となっていること。

(Ⅱ) 利用定員51人以上の指定障害者支援施設等の場合

1日当たりの利用者の数が、利用定員から50を差し引いた数に125%を乗じて得た数に、75を加えて得た数以下となっていること

イ 過去3月間の利用者の数

過去3月間の利用者の延べ数が、利用定員に開所日数を乗じて得た数に125%を乗じて得た数以下となっていること。

ただし、定員11人以下の場合は、過去3月間の利用者の延べ数が、定員の数に3を加えて得た数に開所日数を乗じて得た数以下となっていること。

② 施設入所支援

ア 1日当たりの利用者の数

(Ⅰ) 利用定員50人以下の指定障害者支援施設等の場合

1日当たりの利用者の数(複数の施設入所支援の単位が設置されている場合にあっては、当該施設入所支援の単位ごとの利用者の数。(イ及び②において同じ。)が、利用定員(複数の施設入所支援の単位が設置されている場合にあっては、当該施設入所支援の単位ごとの利用定員。(イ及び②において同じ。)に110%を乗じて得た数以下となっていること。

(Ⅱ) 利用定員51人以上の指定障害者支援施設等の場合

1日当たりの利用者の数が、利用定員から50を差し引いた数に105%を乗じて得た数に、55を加えて得た数以下となっていること。

イ 過去3月間の利用者の数

過去3月間の利用者の延べ数が、利用定員に開所日数を乗じて得た数に105%を乗じて得た数以下となっていること。

(38) 非常災害対策(基準第44条)

① 非常災害に際して必要な諸設備の整備や具体的計画の策定、関係機関への通報及び連携体制の整備、避難、救出訓練の実施等その対策の万全を期さなければならないこととしたものである。

② 「消火設備その他の非常災害に際して必要な設備」とは、消防法(昭和23年法律第186号)その他法令等に規定された設備を示しており、それらの設備を確実に設置しなければならない。

③ 「非常災害に関する具体的計画」とは、消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第3条に規定する消防計画(これに準ずる計画を含む。)及び風水害、地震等の災害に対処するための計画をいう。この場合、消防計画の策定及びこれに基づく消防業務の実施は、消防法第8条の規定に基づき定められる者に行わせるものとする。

④ 「関係機関への通報及び連携体制の整備」とは、火災等の災害時に、地域の消防機関へ速やかに通報する体制をとるよう従業者に周知徹底するとともに、日頃から消防団や地域住民との連携を図り、火災等の際に消火・避難等に協力してもらえるような体制作りを求めることとしたものである。

(39) 衛生管理等(基準第45条)

指定障害者支援施設等は、従業者の清潔の保持及び健康状態の管理に努めるべきであり、特に、従業者が感染源となることを予防し、また従業者を感染の危険から守るため、手指を洗浄するための設備や使い捨ての手袋等感染を予防するための備品等を備えるなど対策を講じるべきことを規定したものであり、このほか、次の点に留意するものとする。

① 指定障害者支援施設等は、感染症又は食中毒の発生及びまん延を防止するための措置等について、必要に応じて保健所の助言、指導を求めるとともに、常に密接な連携を保つこと。

② 特にインフルエンザ対策、腸管出血性大腸菌感染症対策、レジオネラ症対策等については、その発生及びまん延を防止するための措置について、別途通知等が発出されているので、これに基づき、適切な措置を講じること。

③ 空調設備等により施設内の適温の確保に努めること。

(40) 協力医療機関等(基準第46条)

基準第46条第1項の協力医療機関及び同条第2項の協力歯科医療機関は、指定障害者支援施設等から近距離にあることが望ましいものであること。

(41) 身体拘束等の禁止(基準第48条)

利用者又は他の利用者の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除き、身体的拘束等を行ってはならず、緊急やむを得ない場合に身体的拘束等を行う場合にあっても、その態様及び時間、その際の利用者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由を記録しなければならないこととしたものである。

(42) 秘密保持等(基準第49条)

① 基準第49条第1項は、指定障害者支援施設等の従業者及び管理者に、その業務上知り得た利用者又はその家族の秘密の保持を義務付けたものである。

② 同条第2項は、指定障害者支援施設等に対して、過去に当該指定障害者支援施設等の従業者及び管理者であった者が、その業務上知り得た利用者又はその家族の秘密を漏らすことがないよう必要な措置を取ることを義務付けたものであり、具体的には、指定障害者支援施設等は、当該指定障害者支援施設等の従業者等が、従業者等でなくなった後においてもこれらの秘密を保持すべき旨を従業者の雇用時等に取り決め、例えば違約金についての定めを置くなどの措置を講ずべきこととするものである。

③ 同条第3項は、利用者が当該指定障害者支援施設等以外のサービスを利用する等の理由により、当該施設以外の他の障害福祉サービス事業者等に対して情報の提供を行う場合には、あらかじめ、文書により利用者から同意を得る必要があることを規定したものである。

(43) 利益供与等の禁止(基準第51条)

① 基準第51条第1項は、一般相談支援事業者若しくは特定相談支援事業者又は他の障害福祉サービス事業者等による指定障害者支援施設等の紹介が公正中立に行われるよう、指定障害者支援施設等は、一般相談支援事業者若しくは特定相談支援事業者又は他の障害福祉サービス事業者等に対し、当該施設を紹介することの対償として、金品その他の財産上の利益を供与してはならない旨を規定したものである。

② 同条第2項は、利用者による退所後の一般相談支援事業者若しくは特定相談支援事業者又は他の障害福祉サービス事業者等の選択が公正中立に行われるよう、指定障害者支援施設等は、一般相談支援事業者若しくは特定相談支援事業者若しくは他の障害福祉サービス事業者等又はその従業者から、当該施設からの退所者等を紹介することの対償として、金品その他の財産上の利益を収受してはならない旨を規定したものである。

(44) 苦情解決(基準第52条)

① 基準第52条第1項にいう「必要な措置」とは、具体的には、相談窓口、苦情解決の体制及び手順等指定障害者支援施設等における苦情を解決するための措置を講ずることをいうものである。当該措置の概要については、利用申込者にサービスの内容を説明する文書に記載し、当該施設に掲示することが望ましい。

② 同条第2項は、苦情に対し指定障害者支援施設等が組織として迅速かつ適切に対応するため、当該苦情(指定障害者支援施設等が提供したサービスとは関係のないものを除く。)の受付日、内容等を記録することを義務付けたものである。

また、指定障害者支援施設等は、苦情がサービスの質の向上を図る上での重要な情報であるとの認識に立ち、苦情の内容を踏まえ、サービスの質の向上に向けた取組を自ら行うべきである。

③ 同条第7項は、社会福祉法上、都道府県社会福祉協議会の運営適正化委員会が福祉サービスに関する苦情の解決について相談等を行うこととされていることを受けて、運営適正化委員会が行う同法第85条に規定する調査又があっせんにできるだけ協力することとしたものである。

(45) 地域との連携等(基準第53条)

指定障害者支援施設等が地域に開かれたものとして運営されるよう、地域の住民やボランティア団体等の連携及び協力を行う等の地域との交流に努めなければならないこととしたものである。

(46) 事故発生時の対応(基準第54条)

利用者が安心して施設障害福祉サービスの提供を受けられるよう、指定障害者支援施設等は、利用者に対する施設障害福祉サービスの提供により事故が発生した場合は、速やかに都道府県及び市町村、当該利用者の家族等に対して連絡を行う等の必要な措置を講じるべきこととするとともに、事故の状況及び事故に際して採った措置について記録し、また、利用者に対する施設障害福祉サービスの提供により賠償すべき事故が発生した場合は、損害賠償を速やかに行わなければならないこととしたものである。

このほか、以下の点に留意するものとする。

① 指定障害者支援施設等は、利用者に対する施設障害福祉サービスの提供により事故が発生した場合の対応方法については、あらかじめ定めておくことが望ましいこと。

② 指定障害者支援施設等は、賠償すべき事態において速やかに賠償を行うため、損害賠償保険に加入しておくことが望ましいこと。

③ 指定障害者支援施設等は、事故が生じた際にはその原因を解明し、再発生を防ぐための対策を講じること。なお、「福祉サービスにおける危機管理(リスクマネジメント)に関する取り組み指針」(平成14年3月28日福祉サービスにおける危機管理に関する検討会)が示されているので、参考にされたい。

(47) 会計の区分(基準第55条)

指定障害者支援施設等は、施設障害福祉サービスの種類ごとに経理を区分するとともに、施設障害福祉サービスの事業の会計とその他の事業の会計を区分しなければならないこととしたものである。

(48) 記録の整備(基準第56条)

指定障害者支援施設等は、少なくとも次に掲げる記録をその完結の日から5年間備えておかなければならないこととしたものである。

① 施設障害福祉サービスに関する記録

ア 基準第17条第1項及び第2項に規定するサービスの提供の記録

イ 基準第23条第1項に規定する施設障害福祉サービス計画

ウ 基準第48条第2項に規定する身体拘束等の記録

エ 基準第52条第2項に規定する苦情の内容等の記録

オ 基準第54条第2項に規定する事故の状況及び事故に際して採った処置についての記録

② 基準第39条に規定する市町村への通知に係る記録

4 附則

(1) 障がい者制度改革推進本部等における検討を踏まえて障害保健福祉施策を見直すまでの間において障害者等の地域生活を支援するための関係法律の整備に関する法律の施行に伴う関係省令の整備等及び経過措置に関する省令(平成24年厚生労働省令第40号)による改正後の障害者自立支援法施行規則(平成18年厚生労働省令第19号)附則第1条の2の規定より、平成24年4月1日以後も、引き続き、施設障害福祉サービスを提供することができることとされた指定障害者支援施設に対する基準附則第2条から第14条までの規定の適用については、当分の間、なお従前の例によるものであること。

(2) 経過的指定障害者支援施設等に置くべき従業者の員数(基準附則第3条)

基準附則第3条は、平成24年3月31日までの間、経過措置利用者に対して生活介護、就労継続支援A型、就労継続支援B型又は施設入所支援を提供する指定障害者支援施設(以下「経過的指定障害者支援施設等」という。)に置くべき従業者の員数を定めたものである。

① 生活介護を行う場合

ア 医師、機能訓練指導員及びサービス管理責任者

指定障害者支援施設等の場合と同趣旨であるため、第三の1の(1)の①を参照されたい。

イ 看護職員、理学療法士又は作業療法士及び生活支援員

これらの従業者については、生活介護の単位ごとに、常勤換算方法により、経過措置利用者以外の利用者に対する必要数と経過措置利用者の数を10で除して得た数を合計して得た数以上でなければならないものである。

また、看護職員及び生活支援員については、それぞれについて最低1人以上配置するとともに、必要とされる看護職員及び生活支援員のうち、1人以上は常勤でなければならない。

② 自立訓練(機能訓練)を行う場合

指定障害者支援施設等の場合と同趣旨であるため、第三の1の(1)の②を参照されたい。

③ 自立訓練(生活訓練)を行う場合

指定障害者支援施設等の場合と同趣旨であるため、第三の1の(1)の③を参照されたい。

④ 就労移行支援を行う場合

指定障害者支援施設等の場合と同趣旨であるため、第三の1の(1)の④を参照されたい。

⑤ 就労継続支援A型又は就労継続支援B型を行う場合

ア 職業指導員及び生活支援員

これらの従業者については、その員数の総数が、常勤換算方法により、利用者の数を10で除した数以上でなければならないものであり、この場合、職業指導員及び生活支援員については、それぞれについて、最低1人以上配置することが必要である。

また、職業指導員及び生活支援員のうち、いずれか1人以上は常勤でなければならない。

なお、職業指導員及び生活支援員の員数は、雇用関係の有無を問わず、利用者たる障害者の人数に基づき算定すること。

イ サービス管理責任者

生活介護の場合と同趣旨であるため、第三の1の(1)の①のエを参照されたい。

⑥ 施設入所支援を行う場合

指定障害者支援施設等の場合と同趣旨であるため、第三の1の(1)の⑥を参照されたい。

(3) 複数の昼間実施サービスを行う指定障害者支援施設等における従業者の員数(基準附則第4条)

指定障害者支援施設等の場合と同趣旨であるため、第三の1の(2)を参照されたい。

(4) 設備(基準附則第5条)

経過的指定障害者支援施設等は、就労継続支援A型又は就労継続支援B型の提供に当たって支障がない場合は、訓練・作業室を設けないことができることとしたものである。

(5) 雇用契約の締結等(基準附則第6条)

就労継続支援A型を利用する利用者のうち、雇用契約を締結した者については、労働基準法等労働関係法規の適用を受ける労働者に該当するが、雇用契約によらない利用者については労働者には該当しないことから、これらの作業内容及び作業場所を区分するなど、利用者が提供する役務と賃金等との関係が明確になるよう、配慮すること。

なお、利用者の労働者性に関する具体的な考え方については、「就労継続支援事業利用者の労働者性に関する留意事項について」(平成18年10月2日付け障障発第1002003号厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課長通知)を参照されたい。

(6) 就労(基準附則第7条)

就労継続支援A型の提供に当たっては、地域の実情、製品及びサービスの需給状況及び業界の動向を常時把握するほか、利用者の心身の状況、利用者の意向又は障害の特性などを考慮し、多種多様な生産活動の場を提供できるように努めなければならないものとしたものである。

(7) 賃金等(基準附則第8条)

雇用契約を締結している利用者については、契約上の賃金を支払うこと。なお、最低賃金の減額の特例許可手続に関しては、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律の施行に伴う最低賃金の減額の特例許可手続について」(平成18年10月2日付け障障発第1002001号厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課長通知)を参照されたい。

また、雇用契約によらない利用者に対する工賃の支払については、生産活動に係る事業の収入から、上記雇用契約を締結している者に対する賃金も含め、生産活動に必要な経費を控除した額に相当する金額を支払うこと。

(8) 工賃の支払等(基準附則第9条)

都道府県(指定都市又は中核市においては、指定都市又は中核市。)は、前年度の工賃の平均額が月額3,000円を下回る場合、工賃を向上させるための指導を行うこと。

また、経過的指定障害者支援施設等は、毎年度、当該年度における目標工賃と、前年度における工賃実績を利用者に通知するとともに、都道府県(指定都市にあっては都道府県及び指定都市、中核市にあっては都道府県及び中核市)に届け出なければならないこと。

なお、具体的な届出方法については、「就労移行支援事業、就労継続支援事業(A型、B型)における留意事項について」(平成19年4月2日付け障障発第0402001号厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課長通知)を参照されたい。

(9) 実習の実施(基準附則第10条)

指定障害者支援施設等の場合と同趣旨であるため、第三の3の(24)を参照されたい。

(10) 求職活動の支援等の実施(基準附則第11条)

指定障害者支援施設等の場合と同趣旨であるため、第三の3の(25)を参照されたい。

(11) 職場への定着のための支援等の実施(基準附則第12条)

指定障害者支援施設等の場合と同趣旨であるため、第三の3の(26)を参照されたい。

(12) 利用者及び従業者以外の者の雇用(基準附則第13条)

経過的指定障害者支援施設等は、利用者以外に、就労の機会の提供として行われる指定就労継続支援A型に従事する障害者以外の職員(基準附則第3条第1項第5号により必要とされる従業者は含まない。)を、利用定員(雇用契約によらない利用者に係る利用定員を含む。)の規模に応じた数を上限として雇用することができることを定めたものである。ただし、身体障害者福祉工場、知的障害者福祉工場及び精神障害者福祉工場のうち、既に当該上限数を超える障害者以外の職員を福祉工場において行われる事業に従事する職員として雇用しているものが、経過的指定障害者支援施設等に転換する場合については、当分の間、同条の規定による基準を満たすための計画を都道府県知事に提出した場合に限り、同条の規定による上限数を超えた職員の雇用が引き続き可能である。

なお、経過的指定障害者支援施設等において就労の機会の提供として行われる就労継続支援A型は、利用者のために行われるものであることにかんがみ、障害者以外の者の雇用に当たっては、当該雇用により利用者の賃金や工賃の低下を招くことがないよう、その人数等について、十分に配慮すること。