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○障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準について

(平成18年12月6日)

(障発第1206001号)

(各都道府県知事あて厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長通知)

(参考:改正後全文)

障害者自立支援法(平成17年法律第123号。以下「法」という。)第30条第1項第2号イ及び第43条の規定に基づく「障害者自立支援法に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準」(平成18年厚生労働省令第171号。以下「基準」という。)については、平成18年9月29日厚生労働省令第171号をもって公布され、本年10月1日(指定共同生活介護事業所における個人単位での居宅介護等を利用する場合の特例については平成19年4月1日)から施行されたところであるが、基準の趣旨及び内容は下記のとおりであるので、御了知の上、貴管内市町村、関係機関等に周知徹底を図るとともに、その運用に遺憾のないようにされたい。

なお、平成18年4月3日付け障発第0403009号当職通知「指定障害福祉サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準等について」は平成18年9月30日限り廃止する。

第一 基準の性格

1 基準は、指定障害福祉サービス事業者及び基準該当障害福祉サービス事業者(以下「指定障害福祉サービス事業者等」という。)が法に規定する便宜を適切に実施するため、必要な最低限度の基準を定めたものであり、指定障害福祉サービス事業者等は、常にその運営の向上に努めなければならないこと。

2 指定障害福祉サービスを行う者又は行おうとする者が満たすべき基準等を満たさない場合には、指定障害福祉サービス事業者等の指定等又は更新は受けられず、また、基準に違反することが明らかになった場合には、①相当の期間を定めて基準を遵守するよう勧告を行い、②相当の期間内に勧告に従わなかったときは、事業者名、勧告に至った経緯、当該勧告に対する対応等を公表し、③正当な理由がなく、当該勧告に係る措置を採らなかったときは、相当の期限を定めて当該勧告に係る措置を採るよう命令することができるものであること。

また、③の命令をした場合には事業者名、命令に至った経緯等を公示しなければならない。なお、③の命令に従わない場合には、当該指定等を取り消すこと、又は取消しを行う前に相当の期間を定めて指定の全部若しくは一部の効力を停止すること(不適正なサービスが行われていることが判明した場合、当該サービスに係る介護給付費等の請求を停止させること)ができる。ただし、次に掲げる場合には、基準に従った適正な運営ができなくなったものとして、直ちに指定等を取り消すこと又は指定等の全部若しくは一部の効力を停止することができるものであること。

(1) 次に掲げるときその他の事業者が自己の利益を図るために基準に違反したとき

① 指定障害福祉サービス又は基準該当障害福祉サービス(以下「指定障害福祉サービス等」という。)の提供に際して利用者が負担すべき額の支払を適正に受けなかったとき

② 相談支援事業を行う者若しくは他の障害福祉サービスの事業を行う者又はその従業者に対し、利用者又はその家族に対して特定の事業者によるサービスを利用させることの代償として、金品その他の財産上の利益を供与したとき

③ 相談支援事業を行う者若しくは他の障害福祉サービスの事業を行う者又はその従業者から、利用者又はその家族に対して特定の事業者によるサービスを利用させることの代償として、金品その他の財産上の利益を収受したとき

(2) 利用者の生命又は身体の安全に危害を及ぼすおそれがあるとき

(3) その他(1)及び(2)に準ずる重大かつ明白な基準違反があったとき

3 指定障害福祉サービス事業者等が運営に関する基準に従って事業の運営をすることができなくなったことを理由として指定等が取り消され、法に定める期間の経過後に再度当該事業者等から指定障害福祉サービス事業所又は基準該当障害福祉サービス事業所(以下「指定障害福祉サービス事業所等」という。)についての指定等の申請がなされた場合には、当該事業者が運営に関する基準を遵守することを確保することに特段の注意が必要であり、その改善状況等が確認されない限り指定等を行わないものとすること。

第二 総論

1 事業者指定の単位について

(1) 従たる事業所の取扱いについて

指定障害福祉サービス事業者等の指定等は、原則として障害福祉サービスの提供を行う事業所ごとに行うものとするが、生活介護、自立訓練(機能訓練)、自立訓練(生活訓練)、就労移行支援、就労継続支援A型又は就労継続支援B型(以下「日中活動サービス」という。)については、次の①及び②の要件(特定旧法指定施設における分場であって、平成18年9月30日において現に存するものが行う場合にあっては、「従たる事業所」において専従の従業者が1人以上確保されていること及び②の要件とする。)を満たす場合については、「主たる事業所」のほか、一体的かつ独立したサービス提供の場として、一又は複数の「従たる事業所」を設置することが可能であり、これらを一の事業所として指定することができる取扱いとする。

① 人員及び設備に関する要件

ア 「主たる事業所」及び「従たる事業所」の利用者の合計数に応じた従業者が確保されているとともに、「従たる事業所」において常勤かつ専従の従業者が1人以上確保されていること。

イ 「従たる事業所」の利用定員が障害福祉サービスの種類に応じて次のとおりであること。

(Ⅰ) 児童デイサービス 5人以上

(Ⅱ) 生活介護、自立訓練(機能訓練)、自立訓練(生活訓練)又は就労移行支援 6人以上

(Ⅲ) 就労継続支援A型又は就労継続支援B型 10人以上

ウ 「主たる事業所」と「従たる事業所」との間の距離が概ね30分以内で移動可能な距離であって、サービス管理責任者の業務の遂行上支障がないこと。

② 運営に関する要件

ア 利用申込みに係る調整、職員に対する技術指導等が一体的に行われること。

イ 職員の勤務体制、勤務内容等が一元的に管理されていること。必要な場合には随時、主たる事業所と従たる事業所との間で相互支援が行える体制(例えば、当該従たる事業所の従業者が急病の場合等に、主たる事業所から急遽代替要員を派遣できるような体制)にあること。

ウ 苦情処理や損害賠償等に際して、一体的な対応ができる体制にあること。

エ 事業の目的や運営方針、営業日や営業時間、利用料等を定める同一の運営規程が定められていること。

オ 人事・給与・福利厚生等の勤務条件等による職員管理が一元的に行われるとともに、主たる事業所と当該従たる事業所間の会計が一元的に管理されていること。

(2) 出張所等の取扱いについて

指定障害福祉サービス事業者等の指定等は、原則として障害福祉サービスの提供を行う事業所ごとに行うものとするが、例外的に、生産活動等による製品の販売、待機や道具の保管、着替え等を行う出張所等であって、(1)の②の要件を満たすものについては、「事業所」に含めて指定することができる取扱いとする。

(3) 多機能型事業所について

基準第2条第16号に規定する多機能型による事業所(以下「多機能型事業所」という。)に係る指定については、当該多機能型事業所として行う障害福祉サービスの種類ごとに行うものとする。なお、多機能型事業所に係る具体的な取扱いについては、第十六を参照されたい。

(4) 同一法人による複数の事業所が一又は複数の指定障害福祉サービスを実施する場合の取扱いについて

同一敷地内において複数の事業所が一又は複数の指定障害福祉サービスを実施する場合については、一の指定障害福祉サービス事業所又は一の多機能型事業所として取り扱うこと。なお、特定旧法指定施設に係る例外的な取扱いについては、(5)を参照されたい。

また、同一法人による複数の事業所が複数の指定障害福祉サービスを異なる場所で実施する場合は、(1)の①のイ及びウ並びに②の要件を満たしている場合は、一の多機能型事業所として取り扱うことが可能である。

(5) 特定旧法指定施設等が指定障害福祉サービス事業所等へ転換する場合の指定の単位について

① 原則的な指定の単位

特定旧法指定施設が指定障害福祉サービス事業所へ転換する場合については、原則として、当該特定旧法指定施設としての指定の単位ごとに転換すること。ただし、主たる事業所と従たる事業所に係る取扱いについての要件を満たす複数の特定旧法指定施設が指定障害福祉サービス事業所へ転換する場合については、当該施設を一の指定障害福祉サービス事業所とすることも差し支えない。

(例) 入所施設にデイサービスセンターが併設している場合

・転換が認められるもの

デイサービスセンターのみ指定生活介護事業所へ転換

・転換が認められないもの

デイサービスセンターと入所施設の定員の一部を併せて一の指定生活介護事業所へ転換

② 分場の取扱い

特定旧法指定施設の分場については、原則として、当該特定旧法指定施設の転換の際に、併せて当該特定旧法指定施設の従たる事業所として取り扱うこととなるが、当該分場が、指定障害福祉サービス事業所としての定員規模や人員等に関する基準を満たす場合については、①にかかわらず、当該分場のみが指定障害福祉サービス事業所へ転換することも差し支えない。

③ 同一法人による複数の特定旧法指定施設が同一敷地内において一又は複数の指定障害福祉サービス事業所へ転換する場合の取扱い

同一法人による複数の特定旧法指定施設が同一敷地内において一又は複数の指定障害福祉サービス事業所へ転換する場合であって、次に該当する場合については、(4)にかかわらず、当該特定旧法指定施設としての指定の単位ごとに、2以上の独立した指定障害福祉サービス事業所又は多機能型事業所として取り扱うことができるものとすること。

ア 複数の異なる種別の特定旧法指定施設から複数の同一種別又は異なる種別の指定障害福祉サービス事業所へ転換する場合及び複数の同一種別の特定旧法指定施設から複数の異なる種別の指定障害福祉サービス事業所へ転換する場合であること。この場合、別々の敷地に立地する特定旧法指定施設が片方の敷地へ移築される場合も含むものとする。

イ 指定障害福祉サービス事業所ごとに必要な設備が備えていること。ただし、レクリエーション等を行う多目的室など、利用者のサービス提供に直接的な関わりのない設備については、共用して差し支えない。

ウ 指定障害福祉サービス事業所ごとに必要な従業者が確保されていること。

ただし、管理者については、兼務して差し支えない。

(例) 同一敷地内にA通所施設とB通所施設が併設している場合

指定障害福祉サービス事業所への転換に当たって次のいずれの形態も可能である。

・A通所施設とB通所施設が指定生活介護と指定自立訓練(機能訓練)を行う多機能型事業所へ転換

・A通所施設が指定生活介護事業所へ転換し、B通所施設が指定自立訓練(機能訓練)事業所へ転換

④ 障害者デイサービス事業所が指定障害福祉サービス事業所へ転換する場合の取扱い

平成18年9月30日において現に存する障害者デイサービス事業所であって、特定旧法指定施設等に併設されるものについては、利用定員が10人以上であれば、指定障害福祉サービス事業所へ転換することができることとしているが、これは、当該特定旧法指定施設等が指定障害者支援施設等へ転換した場合、当該指定障害者支援施設の昼間実施サービスの利用定員と当該障害者デイサービスの利用定員との合計が20人以上となることが明らかであることを踏まえた経過措置であることから、当該指定障害者支援施設の転換の際に、当該障害者デイサービス事業所から転換した指定障害福祉サービス事業所を廃止し、当該指定障害者支援施設の昼間実施サービスの一部として取り扱うこと。

⑤ 小規模作業所等が指定障害福祉サービス事業所へ転換する場合の取扱い

「障害者自立支援法に基づく障害福祉サービス事業の設備及び運営に関する基準」(平成18年厚生労働省令第174号)基準附則第5条第2項の規定により、「将来的にも利用者の確保の見込がないものとして都道府県知事が認める地域」に存在する小規模作業所又は地域活動支援センターであって、平成24年3月31日までの間に障害福祉サービス事業(生活介護、自立訓練(機能訓練)、自立訓練(生活訓練)、就労移行支援、就労継続支援B型及び多機能型事業所)へ転換する場合は、利用定員の合計は10人以上とすることができる。

2 用語の定義(基準第2条)

(1) 「常勤換算方法」

指定障害福祉サービス事業所等の従業者の勤務延べ時間数を当該指定障害福祉サービス事業所等において常勤の従業者が勤務すべき時間数(1週間に勤務すべき時間数が32時間を下回る場合は32時間を基本とする。)で除することにより、当該指定障害福祉サービス事業所等の従業者の員数を常勤の従業者の員数に換算する方法をいうものである。この場合の勤務延べ時間数は、当該指定障害福祉サービス事業所等の指定等に係る事業のサービスに従事する勤務時間の延べ数であること。

(2) 「勤務延べ時間数」

勤務表上、指定障害福祉サービス等の提供に従事する時間として明確に位置付けられている時間又は当該指定障害福祉サービス等の提供のための準備等を行う時間(待機の時間を含む。)として明確に位置付けられている時間の合計数とする。なお、従業者1人につき、勤務延べ時間数に算入することができる時間数は、当該指定障害福祉サービス事業所等において常勤の従業者が勤務すべき勤務時間数を上限とすること。

(3) 「常勤」

指定障害福祉サービス事業所等における勤務時間が、当該指定障害福祉サービス事業所等において定められている常勤の従業者が勤務すべき時間数(1週間に勤務すべき時間数が32時間を下回る場合は32時間を基本とする。)に達していることをいうものである。

当該指定障害福祉サービス事業所等に併設される事業所の職務であって、当該指定障害福祉サービス事業所等の職務と同時並行的に行われることが差し支えないと考えられるものについては、それぞれに係る勤務時間の合計が常勤の従業者が勤務すべき時間に達していれば、常勤の要件を満たすものであることとする。

例えば、一の指定障害福祉サービス事業者によって行われる指定生活介護事業所と指定就労継続支援B型事業所が併設されている場合、当該指定生活介護事業所の管理者と当該指定就労継続支援B型事業所の管理者とを兼務している者は、これらの勤務時間の合計が所定の時間に達していれば、常勤要件を満たすこととなる。

(4) 「専ら従事する」「専ら提供に当たる」「専従」

原則として、サービス提供時間帯を通じて指定障害福祉サービス等以外の職務に従事しないことをいうものである。この場合のサービス提供時間帯とは、従業者の指定障害福祉サービス事業所等における勤務時間(療養介護、生活介護及び児童デイサービスについては、サービスの単位ごとの提供時間)をいうものであり、当該従業者の常勤・非常勤の別を問わない。

(5) 「前年度の平均値」

① 基準第50条(療養介護に係る従業者の員数を算定する場合の利用者の数の算定方法)、第78条(生活介護に係る従業者の員数を算定する場合の利用者の数の算定方法)、第138条(共同生活介護に係る従業者の員数を算定する場合の利用者の数の算定方法)、第156条(自立訓練(機能訓練)に係る従業者の員数を算定する場合の利用者の数の算定方法)、第166条(自立訓練(生活訓練)に係る従業者の員数を算定する場合の利用者の数の算定方法)、第175条(就労移行支援に係る従業者の員数を算定する場合の利用者の数の算定方法)、第186条(第199条において準用される場合を含む。)(就労継続支援A型及び就労継続支援B型に係る従業者の員数を算定する場合の利用者の数の算定方法)及び第208条(共同生活援助に係る従業者の員数を算定する場合の利用者の数の算定方法)における「前年度の平均値」は、当該年度の前年度(毎年4月1日に始まり翌年3月31日をもって終わる年度とする。以下同じ。)の利用者延べ数を開所日数で除して得た数とする。この算定に当たっては、小数点第2位以下を切り上げるものとする。

② 新たに事業を開始し、若しくは再開し、又は増床した事業者又は施設において、新設又は増床分のベッドに関し、前年度において1年未満の実績しかない場合(前年度の実績が全くない場合を含む。)の利用者の数等は、新設又は増床の時点から6月未満の間は、便宜上、利用定員の90%を利用者の数等とし、新設又は増床の時点から6月以上1年未満の間は、直近の6月における全利用者の延べ数を当該6月間の開所日数で除して得た数とする。また、新設又は増床の時点から1年以上経過している場合は、直近1年間における全利用者等の延べ数を当該1年間の開所日数で除して得た数とする。これに対し、減少の場合には、減少後の実績が3月以上あるときは、減少後の利用者の数等の延べ数を当該3月間の開所日数で除して得た数とする。

ただし、これらにより難い合理的な理由がある場合には、他の適切な方法により利用者の数を推定するものとする。

③ 特定旧法指定施設が指定障害福祉サービス事業所等へ転換する場合の「前年度の平均値」については、当該指定等を申請した日の前日から直近1月間の全利用者の延べ数を当該1月間の開所日数で除して得た数とする。また、当該指定等後3月間の実績により見直すことができることとする。

第三 居宅介護、重度訪問介護、同行援護及び行動援護

1 人員に関する基準

(1) 従業者の員数(基準第5条第1項)

① 適切な員数の職員確保

指定居宅介護事業所における従業者の員数については、常勤換算方法で2.5人以上と定められたが、これについては、職員の支援体制等を考慮した最小限の員数として定められたものであり、各地域におけるサービス利用の状況や利用者の数及び指定居宅介護の事業の業務量を考慮し、適切な員数の職員を確保するものとする。

なお、指定居宅介護の提供に当たる従業者(ホームヘルパー)の要件については、別に通知するところによる。

② 勤務時間数の算定

勤務日及び勤務時間が不定期な従業者(以下「登録居宅介護等従業者」という。)についての勤務延べ時間数の算定については、次のとおりの取扱いとする。

ア 登録居宅介護等従業者によるサービス提供の実績がある事業所については、登録居宅介護等従業者1人当たりの勤務時間数は、当該事業所の登録居宅介護等従業者の前年度の週当たりの平均稼働時間(サービス提供時間及び移動時間をいう。)とすること。

イ 登録居宅介護等従業者によるサービス提供の実績がない事業所又は極めて短期の実績しかない等のためアの方法によって勤務延べ時間数の算定を行うことが適当でないと認められる事業所については、当該登録居宅介護等従業者が確実に稼働できるものとして勤務表に明記されている時間のみを勤務延べ時間数に算入すること。なお、この場合においても、勤務表上の勤務時間数は、サービス提供の実態に即したものでなければならないため、勤務表上の勤務時間と実態が乖離していると認められる場合には、勤務表上の勤務時間の適正化の指導の対象となるものであること。

③ 出張所等の従業者の取扱い

出張所等があるときは、常勤換算を行う際の事業所の従業者の勤務延べ時間数には、出張所等における勤務延べ時間数も含めるものとする。

(2) サービス提供責任者(基準第5条第2項)

① 配置の基準

ア 事業の規模に応じて1人以上の者をサービス提供責任者としなければならないこととしているが、管理者がサービス提供責任者を兼務することは差し支えないこと。なお、これについては、最小限必要な員数として定められたものであり、業務の実態に応じて必要な員数を配置するものとする。

また、サービス提供責任者の配置の基準は、次のいずれかに該当する員数を置くこととする。

a 当該事業所の月間の延べサービス提供時間(事業所における待機時間や移動時間を除く。)が450時間又はその端数を増すごとに1人以上

b 当該事業所の従業者の数が10人又はその端数を増すごとに1人以上

したがって、例えば、常勤割合が比較的高いなど、従業者1人当たりのサービス提供時間が多い場合は、月間の延べサービス提供時間が450時間を超えていても、従業者の数が10人以下であれば、bの基準によりサービス提供責任者は1人で足りることとなる。

(例) 常勤職員4人で、そのサービス提供時間が合わせて320時間、非常勤職員が6人で、そのサービス提供時間が合わせて200時間である場合、当該事業所の延べサービス提供時間は520時間となるが、bの基準により、配置すべきサービス提供責任者は1人で足りることとなる。

イ 事業の規模に応じて常勤換算方法によることができることとされたが、その具体的取扱いは次のとおりとする。なお、サービス提供責任者として配置することができる非常勤職員については、当該事業所における勤務時間が、当該事業所において定められている常勤の従業者が勤務すべき時間数(32時間を下回る場合は32時間を基本とする。)の2分の1以上に達している者でなければならない。

a ①のアのa又はbに基づき、1人を超えるサービス提供責任者を配置しなければならない事業所については、常勤換算方法によることができる。この場合において、配置すべきサービス提供責任者の員数は、常勤換算方法で、当該事業所の月間の延べサービス提供時間を450で除して得られた数(小数点第一位に切り上げた数)又は従業者の数を10で除して得られた数以上とする。

b aに基づき、常勤換算方法によることとする事業所については、①のアのa又はbに基づき算出されるサービス提供責任者数から1を減じて得られた数以上の常勤のサービス提供責任者を配置するものとする。

c ①のアのa又はbに基づき、6人以上のサービス提供責任者を配置しなければならない事業所であって、常勤換算方法によることとする事業所については、①のアのa又はbに基づき算出されるサービス提供責任者の数に2を乗じて3で除して得られた数(一の位に切り上げた数)以上の常勤のサービス提供責任者を配置するものとする。

従って、具体例を示すと別表1又は2に示す常勤換算方法を採用する事業所で必要となる常勤のサービス提供責任者数以上の常勤のサービス提供責任者を配置するものとする。

② 資格要件

サービス提供責任者については、次のいずれかに該当する常勤の従業者から選任すること。

ア 介護福祉士

イ 介護保険法施行規則(平成11年厚生省令第36号)第22条の23第1項に規定する介護職員基礎研修を修了した者

ウ 居宅介護従業者養成研修((1)の①で別に通知するところによる居宅介護の提供に当たる従業者に係る養成研修をいう。以下同じ。)の1級課程(「障害者(児)ホームヘルパー養成研修事業の実施について」(平成13年6月20日障発第263号当職通知。以下「旧通知」という。)の1級課程を含む。以下同じ。)を修了した者

エ ウの居宅介護従業者養成研修の2級課程(旧通知の2級課程を含む。以下同じ。)を修了した者であって3年以上介護等の業務に従事した者

なお、介護保険法上の指定訪問介護事業所及び指定介護予防訪問介護事業所に置くべきサービス提供責任者の選任要件に該当するものについても、アからエまでと同様に取り扱って差し支えないものとする。

③ 留意点

②のエに掲げる「2級課程を修了した者であって3年以上介護等の業務に従事した者」とは、社会福祉士及び介護福祉士法(昭和62年法律第30号)第40条第2項第1号に規定する「3年以上介護等の業務に従事した者」と同様とし、その具体的な取扱いについては、「指定施設における業務の範囲等及び介護福祉士試験の受験資格の認定に係る介護等の業務の範囲等について」(昭和63年2月12日社庶第29号厚生省社会局長、児童家庭局長連名通知)の別添2「介護福祉士試験の受験資格の認定に係る介護等の業務の範囲等」(以下「業務の範囲通知」という。)を参考とされたい。

この場合、3年間の実務経験の要件が達成された時点と2級課程の研修修了時点との時間的な前後関係は問わないものであること。

また、介護等の業務に従事した期間には、ボランティアとして介護等を経験した期間は原則として含まれないものであるが、特定非営利活動促進法(平成10年法律第7号)に基づき設立された特定非営利活動法人が法第36条第1項の規定に基づき居宅介護に係る指定を受けている又は受けることが確実に見込まれる場合であって、当該特定非営利活動法人が指定を受けて行うことを予定している居宅介護と、それ以前に行ってきた事業とに連続性が認められるものについては、例外的に、当該特定非営利活動法人及び当該特定非営利活動法人格を付与される前の当該団体が行う事業に従事した経験を有する者の従事期間を、当該者の3年の実務経験に算入して差し支えないものとする。

なお、この場合において、介護福祉士国家試験の受験資格としての実務経験に当該従事期間を算入することはできないものであること。

④ 暫定的な取扱いに係る留意点

2級課程の研修を修了した者であって、3年以上介護等の業務に従事したものをサービス提供責任者とする取扱いは暫定的なものであることから、指定居宅介護事業者は、できる限り早期に、これに該当するサービス提供責任者に介護職員基礎研修若しくは1級課程の研修を受講させ、又は介護福祉士の資格を取得させるよう努めなければならないものであること。

(3) 管理者(基準第6条)

指定居宅介護事業所の管理者は常勤であり、かつ、原則として専ら当該事業所の管理業務に従事するものとする。ただし、以下の場合であって、当該事業所の管理業務に支障がないときは、他の職務を兼ねることができるものとする。なお、管理者は、指定居宅介護の従業者である必要はないものである。

① 当該指定居宅介護事業所の従業者としての職務に従事する場合

② 同一敷地内にある又は道路を隔てて隣接する等、特に当該事業所の管理業務に支障がないと認められる範囲内に他の事業所又は施設等がある場合に、当該他の事業所又は施設等の管理者又は従業者としての職務に従事する場合(この場合の他の事業所又は施設等の事業の内容は問わないが、例えば、管理すべき事業所数が過剰であると個別に判断される場合や、併設される指定障害者支援施設等において入所者に対しサービス提供を行う看護・介護職員と兼務する場合などは、管理業務に支障があると考えられる。ただし、指定障害者支援施設等における勤務時間が極めて限られている職員である場合等、個別に判断の上、例外的に認める場合があっても差し支えない。)

(4) 準用(基準第7条)

基準第5条及び第6条については、指定重度訪問介護事業所、指定同行援護事業所及び指定行動援護事業所に準用されるものであることから、指定重度訪問介護事業所、指定同行援護事業所及び指定行動援護事業所については、(1)から(3)までを参照されたい。(指定重度訪問介護事業所については、(2)の①は除く。)

(5) 指定重度訪問介護事業所の取扱い

① サービス提供責任者の配置の基準

ア 事業の規模に応じて1人以上の者をサービス提供責任者としなければならないこととしているが、管理者がサービス提供責任者を兼務することは差し支えないこと。なお、これについては、最小限必要な員数として定められたものであり、業務の実態に応じて必要な員数を配置するものとする。

また、サービス提供責任者の配置の基準は、次のいずれかに該当する員数を置くこととする。

a 当該事業所の月間の延べサービス提供時間(事業所における待機時間や移動時間を除く。)が1,000時間又はその端数を増すごとに1人以上

b 当該事業所の従業者の数が20人又はその端数を増すごとに1人以上

c 当該事業所の利用者の数が5人又はその端数を増すごとに1人以上

イ 事業の規模に応じて常勤換算方法によることができることとされたが、その具体的取扱は次のとおりとする。なお、サービス提供責任者として配置することができる非常勤職員については、当該事業所における勤務時間が、当該事業所において定められている常勤の従業者が勤務すべき時間数(32時間を下回る場合は32時間を基本とする。)の2分の1以上に達している者でなければならない。

a ①のアのa、b又はcに基づき、1人を超えるサービス提供責任者を配置しなければならない事業所については、常勤換算方法によることができる。この場合において、配置すべきサービス提供責任者の員数は、常勤換算方法で、当該事業所の月間の延べサービス提供時間を1,000で除して得られた数(小数第一位に切り上げた数)、従業者の数を20で除して得られた数(小数点第一位に切り上げた数)又は利用者の数を5で除して得られた数(小数点第一位に切り上げた数)以上とする。

b aに基づき、常勤換算方法によることとする事業所については、①のアのa、b又はcに基づき算出されるサービス提供責任者数から1を減じて得られた数以上の常勤のサービス提供責任者を配置するものとする。

c ①のアのa、b又はcに基づき、6人以上のサービス提供責任者を配置しなければならない事業所であって、常勤換算方法によることとする事業所については、①のアのa、b又はcに基づき算出されるサービス提供責任者の数に2を乗じて3で除して得られた数(一の位に切り上げた数)以上の常勤のサービス提供責任者を配置するものとする。

従って、具体例を示すと別表3から5に示す常勤換算方法を採用する事業所で必要となる常勤のサービス提供責任者数以上の常勤のサービス提供責任者を配置するものとする。

② サービス提供責任者の資格要件

(2)の②のアからエまでのうちいずれかに該当する従業者又は当該従業者を確保できないなど、特にやむを得ない事情があると認められる場合には、従業者のうち相当の知識と経験を有する者から選任すること。

(6) 指定同行援護事業所の取扱い

① サービスを提供する者の実務経験

サービスを提供する者に必要とされる実務経験については、業務の範囲通知のうち、視覚障害のある身体障害者若しくは障害児に関するもの、視覚障害のある身体障害者若しくは障害児の居宅介護又はこれと同等であると都道府県知事が認める業務として、併せて、従事した期間は業務の範囲通知に基づいて、1年に換算して認定する。

② サービス提供責任者の資格要件

指定同行援護事業所のサービス提供責任者は、次のア又はイの要件を満たすものであってウの要件を満たすもの、厚生労働大臣が定める者(平成18年厚生労働省告示第556号)第四号介護給付費等単位数表第12の1の注2の2の厚生労働大臣が定める厚生労働省組織規則(平成13年厚生労働省令第1号)第625条に規定する国立障害者リハビリテーションセンター学院に置かれる視覚障害学科(国立障害者リハビリテーションセンター学院養成訓練規定(昭和55年厚生省告示第四号)第4条第1項に規定する視覚障害学科をいう。)の教科を修了した者又はこれに準ずる視覚障害者の生活訓練を専門とする技術者の養成を行う研修を修了した者

ア (2)の②のアからエのいずれかの要件に該当するもの

イ 平成23年9月30日において現に地域生活支援事業におけるの移動支援事業に3年間従事したもの。

ウ 同行援護従業者養成研修応用課程を修了した者(相当する研修課程修了者を含む。)(ただし、上記アに該当するものについては、平成26年9月30日までの間においては、当該研修課程を修了したものと見なす。)

③ 暫定的な取扱いに係る留意点

(6)の②のイの地域生活支援事業の移動支援に3年間従事したものをサービス提供責任者とする取扱いは暫定的なものであることから、平成26年9月30日までの間に、これに該当するサービス提供責任者は(2)の②のアからエのいずれかの要件を満たさなければならないものであること。

(7) 指定行動援護事業所の取扱い

① サービスを提供する者の実務経験

サービスを提供する者に必要とされる実務経験については、業務の範囲通知のうち、知的障害者若しくは知的障害児に関するもの、知的障害者、知的障害児若しくは精神障害者の居宅介護又はこれと同等であると都道府県知事が認める業務とし、併せて、従事した期間は業務の範囲通知に基づいて、2年換算して認定するものとする。

② サービス提供責任者の資格要件

指定行動援護事業所のサービス提供責任者は、次のいずれの要件も満たすものとする。なお、イに掲げる「従事した経験」については、業務の範囲通知のうち知的障害者若しくは知的障害児に関するもの、知的障害者、知的障害児若しくは精神障害者の居宅介護又はこれと同等であると都道府県知事が認める業務とし、併せて、従事した期間は、業務の範囲通知に基づいて5年に換算して認定するものとする。

ア (2)の②のアからエのいずれかの要件に該当するもの又は行動援護従業者養成研修課程(従前の知的障害者外出介護従業者養成研修課程等、当該研修の課程に相当するものとして都道府県知事が認める研修の課程を含む。)を修了した者

イ 知的障害者、知的障害児又は精神障害者の福祉に関する事業(直接処遇に限る。)に5年以上従事した経験を有するもの(ただし、平成21年3月31日までの間に限り、行動援護従業者養成研修課程を修了した者にあっては、これらの事業に3年以上従事した経験を有することで足りるものとする。)

(8) 人員の特例要件について

① 介護保険との関係

介護保険法による指定訪問介護事業者及び指定介護予防訪問介護事業者が、法による指定居宅介護、指定重度訪問介護、指定同行援護又は指定行動援護の事業を行う場合は、当該介護保険法上の指定を受けていることをもって、基準を満たしているものと判断し、指定を行って差し支えないものとする。

② 指定居宅介護事業者が、指定重度訪問介護、指定同行援護又は指定行動援護の事業を併せて行う場合の要件

ア 従業者(ホームヘルパー)

当該事業所に置くべき従業者の員数は、一の指定居宅介護事業所として置くべき従業者の員数で足りるものとする。(指定居宅介護事業者、指定重度訪問介護事業者、指定同行援護事業者及び指定行動援護事業者の3つの指定を受ける場合も同様とする。)

イ サービス提供責任者

当該事業所に置くべきサービス提供責任者の員数は、指定重度訪問介護、指定同行援護及び指定行動援護を合わせた事業の規模に応じて1以上で足りるものとする。(同上)

ただし、指定重度訪問介護事業所が指定居宅介護、指定同行援護又は指定行動援護の事業を併せて行う場合のサービス提供責任者の配置の基準は、次のいずれかに該当する員数を置くこととする。(同上)

a (2)の①の基準のいずれかに該当する員数

b 指定居宅介護、指定同行援護又は指定行動援護については(2)の①の基準のいずれかに該当する員数、指定重度訪問介護については(5)の①の基準のいずれかに該当する員数、のそれぞれを合計した員数(ただし、(5)の①のアのbの基準により指定重度訪問介護のサービス提供責任者の員数を算出する場合は、「指定重度訪問介護専従の従業者20人又はその端数を増すごとに1人以上」に読み替えて算出するものとする。この場合、指定重度訪問介護と指定居宅介護、指定同行援護又は指定行動援護の双方に従事する従業者については、(2)の①のアのbの基準を適用し員数を算出した上で、「指定重度訪問介護専従の従業者20人又はその端数を増すごとに1人以上」の基準により算出した員数と合計した員数を配置することとする。)

ウ 管理者

当該事業所に置くべき管理者が、指定重度訪問介護事業所、指定同行援護事業所及び指定行動援護事業所の管理者の業務を兼務することは差し支えない。(同上)

なお、アからウまでの取扱いについては、指定重度訪問介護事業者が指定居宅介護、指定同行援護又は指定行動援護を、指定同行援護事業者が指定居宅介護、指定重度訪問介護又は指定行動援護を、指定行動援護事業者が指定居宅介護、指定重度訪問介護又は指定同行援護を併せて行う場合も同様とする。

2 設備に関する基準(基準第8条第1項)

(1) 事務室

指定居宅介護事業所には、事業の運営を行うために必要な面積を有する専用の事務室を設けることが望ましいが、間仕切りする等他の事業の用に供するものと明確に区分される場合は、他の事業と同一の事務室であっても差し支えない。

なお、この場合に、区分がされていなくても業務に支障がないときは、指定居宅介護の事業を行うための区画が明確に特定されていれば足りるものとする。

(2) 受付等のスペースの確保

事務室又は指定居宅介護の事業を行うための区画については、利用申込みの受付、相談等に対応するのに適切なスペースを確保するものとする。

(3) 設備及び備品等

指定居宅介護事業者は、指定居宅介護に必要な設備及び備品等を確保するものとする。特に、手指を洗浄するための設備等感染症予防に必要な設備等に配慮すること。ただし、他の事業所、施設等と同一敷地内にある場合であって、指定居宅介護の事業又は当該他の事業所、施設等の運営に支障がない場合は、当該他の事業所、施設等に備え付けられた設備及び備品等を使用することができるものとする。

なお、事務室又は区画、設備及び備品等については、必ずしも事業者が所有している必要はなく、貸与を受けているものであっても差し支えない。

(4) 設備の特例要件について

(1)の(6)の①及び②に該当する場合の設備要件については、(1)から(3)までに準じて取り扱われたい。

(5) 準用(基準第8条第2項)

基準第8条第1項については、指定重度訪問介護事業所、指定同行援護事業所及び指定行動援護事業所に準用されるものであることから、指定重度訪問介護事業所、指定同行援護事業所及び指定行動援護事業所については、(1)から(4)までを参照されたい。

3 運営に関する基準

(1) 内容及び手続の説明及び同意(基準第9条)

指定居宅介護事業者は、利用者に対し適切な指定居宅介護を提供するため、その提供の開始に際し、あらかじめ、利用申込者に対し、当該指定居宅介護事業所の運営規程の概要、従業者の勤務体制、事故発生時の対応、苦情処理の体制等の利用申込者がサービスを選択するために必要な重要事項について、利用者の障害の特性に応じ、適切に配慮されたわかりやすい説明書やパンフレット等の文書を交付して懇切丁寧に説明を行い、当該事業所から指定居宅介護の提供を受けることにつき、当該利用申込者の同意を得なければならないこととしたものである。

なお、利用者及び指定居宅介護事業所双方の保護の立場から書面によって確認することが望ましいものである。

また、利用者との間で当該指定居宅介護の提供に係る契約が成立したときは、利用者の障害の特性に応じた適切な配慮をもって、社会福祉法(昭和26年法律第45号)第77条第1項の規定に基づき、

① 当該事業の経営者の名称及び主たる事務所の所在地

② 当該事業の経営者が提供する指定居宅介護の内容

③ 当該指定居宅介護の提供につき利用者が支払うべき額に関する事項

④ 指定居宅介護の提供開始年月日

⑤ 指定居宅介護に係る苦情を受け付けるための窓口

を記載した書面を交付すること。

なお、利用者の承諾を得た場合には当該書面に記載すべき事項を電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法により提供することができる。

(2) 契約支給量の報告等(基準第10条)

① 契約支給量等の受給者証への記載

指定居宅介護事業者は、指定居宅介護の提供に係る契約が成立した時は、利用者の受給者証に当該事業者及びその事業所の名称、当該指定居宅介護の内容、当該事業者が当該利用者に提供する月当たりの指定居宅介護の提供量(契約支給量)、契約日等の必要な事項を記載すること。

なお、当該契約に係る指定居宅介護の提供が終了した場合にはその年月日を、月途中で終了した場合には当該月で既に提供した指定居宅介護の量を記載することとしたものである。

② 契約支給量

基準第10条第2項は、受給者証に記載すべき契約支給量の総量は、当該利用者の支給量を超えてはならないこととしたものである。

③ 市町村への報告

同条第3項は、指定居宅介護事業者は、①の規定による記載をした場合に、遅滞なく市町村に対して、当該記載事項を報告することとしたものである。

(3) 提供拒否の禁止(基準第11条)

指定居宅介護事業者は、原則として、利用申込みに対して応じなければならないことを規定したものであり、特に、障害程度区分や所得の多寡を理由にサービスの提供を拒否することを禁止するものである。提供を拒むことのできる正当な理由がある場合とは、

① 当該事業所の現員からは利用申込みに応じきれない場合

② 利用申込者の居住地が当該事業所の通常の事業の実施地域外である場合

③ 当該事業所の運営規程において主たる対象とする障害の種類を定めている場合であって、これに該当しない者から利用申込みがあった場合、その他利用申込者に対し自ら適切な指定居宅介護を提供することが困難な場合

④ 入院治療が必要な場合

である。

(4) 連絡調整に対する協力(基準第12条)

指定居宅介護事業者は、市町村又は相談支援事業者が行う利用者の紹介、地域におけるサービス担当者会議への出席依頼等の連絡調整等に対し、指定障害福祉サービスの円滑な利用の観点から、できる限り協力しなければならないこととしたものである。

(5) サービス提供困難時の対応(基準第13条)

指定居宅介護事業者は、基準第11条の正当な理由により、利用申込者に対し自ら適切な指定居宅介護を提供することが困難であると認めた場合には、基準第13条の規定により、適当な他の指定居宅介護事業者等の紹介その他の必要な措置を速やかに講じなければならないものである。

(6) 受給資格の確認(基準第14条)

指定居宅介護の利用に係る介護給付費を受けることができるのは、支給決定障害者等に限られるものであることを踏まえ、指定居宅介護事業者は、指定居宅介護の提供の開始に際し、利用者の提示する受給者証によって、支給決定の有無、支給決定の有効期間、支給量等を確かめなければならないこととしたものである。

(7) 介護給付費の支給の申請に係る援助(基準第15条)

① 支給決定を受けていない利用者

基準第15条第1項は、支給決定を受けていない者から利用の申込みを受けた場合には、その者の意向を踏まえて速やかに介護給付費の支給申請に必要な援助を行うこととするものである。

② 利用継続のための援助

同条第2項は、利用者の支給決定に係る支給期間の終了に伴い、引き続き当該利用者が当該事業者のサービスを利用する意向がある場合には、市町村の標準処理期間を勘案し、あらかじめ余裕をもって当該利用者が支給申請を行うことができるよう申請勧奨等の必要な援助を行うことを定めたものである。

(8) 身分を証する書類の携行(基準第18条)

利用者が安心して指定居宅介護の提供を受けられるよう、指定居宅介護事業者は、当該指定居宅介護事業所の従業者に身分を明らかにする証書や名札等を携行させ、初回訪問時及び利用者又はその家族から求められたときは、これを提示すべき旨を指導しなければならないこととしたものである。

なお、この証書等には、当該指定居宅介護事業所の名称、当該従業者の氏名を記載するものとし、当該従業者の写真の貼付や職能の記載を行うことが望ましい。

(9) サービスの提供の記録(基準第19条)

① 記録の時期

基準第19条第1項は、利用者及び指定居宅介護事業者が、その時点での指定居宅介護の利用状況等を把握できるようにするため、指定居宅介護事業者は、指定居宅介護を提供した際には、当該指定居宅介護の提供日、提供したサービスの具体的内容(例えば、身体介護と家事援助の別等)、実績時間数、利用者負担額等の利用者へ伝達すべき必要な事項を、後日一括して記録するのではなく、サービスの提供の都度記録しなければならないこととしたものである。

② 利用者の確認

同条第2項は、同条第1項のサービスの提供の記録について、サービスの提供に係る適切な手続を確保する観点から、利用者の確認を得なければならないこととしたものである。

(10) 支給決定障害者等に求めることのできる金銭の支払の範囲等(基準第20条)指定居宅介護事業者は、基準第21条第1項から第3項に規定する額の他曖昧な名目による不適切な費用の徴収を行うことはできないこととしたものであるが、利用者の直接便益を向上させるものについては、次の要件を満たす場合に、利用者等に金銭の支払を求めることは差し支えないものである。

① 指定居宅介護のサービス提供の一環として行われるものではないサービスの提供に要する費用であること。

② 利用者等に求める金額、その使途及び金銭の支払を求める理由について記載した書面を利用者に交付し、説明を行うとともに、当該利用者の同意を得ていること。

(11) 利用者負担額等の受領(基準第21条)

① 利用者負担額の受領

基準第21条第1項は、指定居宅介護事業者は、法定代理受領サービスとして提供される指定居宅介護についての利用者負担額として、居宅介護サービス費の基準額の1割(ただし、法第31条の規定の適用により介護給付費の給付率が9割でない場合については、それに応じた割合とし、負担上限月額を上限とする。)の支払を受けなければならないことを規定したものである。

② 法定代理受領を行わない場合

同条第2項は、指定居宅介護事業者が法定代理受領を行わない指定居宅介護を提供した際には、利用者から、利用者負担額のほか、当該指定居宅介護につき法第29条第3項に規定する厚生労働大臣が定める基準により算定した費用の額(その額が現に当該居宅介護に要した費用(法第29条第1項に規定する特定費用を除く。)の額を超えるときは、当該居宅介護に要した費用の額)の支払を受けるものとしたものである。

③ 交通費の受領

同条第3項は、指定居宅介護の提供に関して、前2項の支払を受ける額のほか、利用者の選定により通常の事業の実施地域以外の地域の居宅において指定居宅介護を行う場合の交通費(移動に要する実費)の支払を利用者から受けることができることとしたものである。

④ 領収証の交付

同条第4項は、前3項の規定による額の支払を受けた場合には当該利用者に対して領収証を交付することとしたものである。

⑤ 利用者の事前の同意

同条第5項は、同条第3項の費用の額に係るサービスの提供に当たっては、あらかじめ、利用者に対し、当該サービスの内容及び費用について説明を行い、当該利用者の同意を得ることとしたものである。

(12) 利用者負担額に係る管理(基準第22条)

指定居宅介護事業者は、支給決定障害者等の依頼を受けて、利用者負担額等に係る管理を行うこととされたが、その具体的な取扱いについては、別に通知するところによるものとする。

(13) 介護給付費の額に係る通知等(基準第23条)

① 利用者への通知

基準第23条第1項は、指定居宅介護事業者は、市町村から法定代理受領を行う指定居宅介護に係る介護給付費の支給を受けた場合には、利用者に対し、当該利用者に係る介護給付費の額を通知することとしたものである。

② サービス提供証明書の利用者への交付

同条第2項は、基準第21条第2項の規定による額の支払を受けた場合には、提供した指定居宅介護の内容、費用の額その他利用者が市町村に対し介護給付費を請求する上で必要と認められる事項を記載したサービス提供証明書を利用者に交付しなければならないこととしたものである。

(14) 指定居宅介護の基本取扱方針(基準第24条)

指定居宅介護は、漫然かつ画一的に提供されることがないよう、個々の利用者の身体その他の状況及びその置かれている環境に応じて適切に提供されなければならないこととしたものである。

提供された指定居宅介護については、目標達成の度合いや利用者の満足度等について常に評価を行うとともに、居宅介護計画の見直しを行うなど、その改善を図らなければならないものであること。

(15) 指定居宅介護の具体的取扱方針(基準第25条)

指定居宅介護の提供に当たっては、介護技術の進歩に対応した適切なサービスが提供できるよう、常に新しい技術を習得する等、研鑽を行うべきものであること。

(16) 居宅介護計画の作成等(基準第26条)

サービス提供責任者の中心的な業務である居宅介護計画の作成について規定したものであり、居宅介護計画は次の点に留意して作成されるものである。

① サービス提供責任者は、居宅介護計画の目標や内容等については、利用者及びその家族に、理解しやすい方法で説明を行うとともに、その実施状況や評価についても説明を行うものとする。

② 居宅介護計画書の作成に当たっては、利用者の状況を把握・分析し、居宅介護の提供によって解決すべき課題を明らかにし(アセスメント)、これに基づき、援助の方向性や目標を明確にし、担当する従業者の氏名、従業者が提供するサービスの具体的内容、所要時間、日程等を明らかにするものとする。なお、居宅介護計画書の様式については、各事業所ごとに定めるもので差し支えない。

③ 居宅介護計画を作成した際には、遅滞なく利用者に交付しなければならない。

④ サービス提供責任者は、他の従業者の行うサービスが居宅介護計画に沿って実施されているかについて把握するとともに、助言、指導等必要な管理を行わなければならない。

(17) 緊急時の対応(基準第28条)

従業者が現に指定居宅介護の提供を行っているときに、利用者に病状の急変が生じた場合その他必要な場合は、運営規程に定められた緊急時の対応方法に基づき、速やかに医療機関への連絡を行う等の必要な措置を講じなければならないこととしたものである。

(18) 支給決定障害者等に関する市町村への通知(基準第29条)

法第8条第1項の規定により、市町村は、偽りその他不正な手段によって自立支援給付費の支給を受けた者があるときは、その者から、その支給を受けた額に相当する金額の全部又は一部を徴収することができることにかんがみ、指定居宅介護事業者は、その利用者が偽りその他不正な手段によって自立支援給付費の支給を受け、又は受けようとしたときは、自立支援給付費の適正化の観点から、遅滞なく、意見を付して市町村に通知しなければならないこととしたものである。

(19) 管理者及びサービス提供責任者の責務(基準第30条)

指定居宅介護事業所の管理者とサービス提供責任者の役割分担について規定したものであり、管理者は、従業者及び業務の一元的管理並びに従業者に基準第二章第四節(運営に関する基準)を遵守させるための指揮命令を、サービス提供責任者は、指定居宅介護の利用の申込みに係る調整、従業者に対する技術指導等のサービスの内容の管理を行うものである。

(20) 運営規程(基準第31条)

指定居宅介護の事業の適正な運営及び利用者に対する適切な指定居宅介護の提供を確保するため、基準第31条第1号から第9号までに掲げる事項を内容とする規程を定めることを指定居宅介護事業所ごとに義務付けたものであるが、特に以下の点に留意するものとする。なお、同一事業者が同一敷地内にある事業所において、複数のサービス種類について事業者指定を受け、それらの事業を一体的に行う場合においては、運営規程を一体的に作成することも差し支えない(この点については他のサービス種類についても同様とする)。

① 指定居宅介護の内容(第4号)

「指定居宅介護の内容」とは、身体介護、通院介助、家事援助、通院等のための乗車又は降車の介助(以下「通院等乗降介助」という。)のサービスの内容を指すものであること。

② 支給決定障害者等から受領する費用の額(第4号)

指定居宅介護に係る利用者負担額のほかに、基準第21条第3項に規定する額を指すものであること(以下、他のサービス種類についても同趣旨)。

③ 通常の事業の実施地域(第5号)

通常の事業の実施地域は、客観的にその区域が特定されるものとすること。

なお、通常の事業の実施地域は、利用申込みに係る調整等の観点からの目安であり、当該地域を越えてサービスが行われることを妨げるものではないものであること(以下、他のサービス種類についても同趣旨)。

④ 事業の主たる対象とする障害の種類を定めた場合の当該障害の種類(第7号)

指定居宅介護事業者は、障害種別等にかかわらず利用者を受け入れることを基本とするが、指定居宅介護の提供に当たっては、利用者の障害特性に応じた専門性に十分配慮する必要があることから、提供するサービスの専門性を確保するため、特に必要がある場合において、あらかじめ、障害種別により「主たる対象者」を定めることができることとしたものである。この場合、当該対象者から指定居宅介護の利用に係る申込みがあった場合には、正当な理由なく指定居宅介護の提供を拒んではならないものであること。(以下、他のサービス種類についても同趣旨)。

⑤ 虐待の防止のための措置に関する事項(第8号)

居宅介護における「虐待の防止のための措置」については、「障害者(児)施設における虐待の防止について」(平成17年10月20日障発第1020001号当職通知)に準じた取扱いをすることとし、指定居宅介護事業者は、利用者に対する虐待を早期に発見して迅速かつ適切な対応が図られるための必要な措置について、あらかじめ運営規程に定めることとしたものである。具体的には、

ア 虐待の防止に関する責任者の選定

イ 成年後見制度の利用支援

ウ 苦情解決体制の整備

エ 従業者に対する虐待の防止を啓発・普及するための研修の実施(研修方法や研修計画など)

等を指すものであること(以下、他のサービス種類についても同趣旨)。

(21) 介護等の総合的な提供(基準第32条)

① 基本方針

基準第4条の基本方針等を踏まえ、指定居宅介護の事業運営に当たっては、多種多様な居宅介護の提供を行うべき旨を明確化したものである。指定居宅介護は、生活全般にわたる援助を行うものであることから、指定居宅介護事業者は、入浴、排せつ、食事等の介護や調理、洗濯、掃除等の家事を総合的に提供しなければならず(通院介助又は通院等乗降介助を行う指定居宅介護事業者についても、身体介護又は家事援助を総合的に提供しなければならない。)、また、指定居宅介護事業所により提供しているサービスの内容が、身体介護のうち特定のサービス行為に偏ったり、家事援助のうち特定のサービス行為に偏ったり、通院介助又は通院等乗降介助に限定されたりしてはならないこととしたものである。

② 特定のサービスに偏ることの禁止

サービス提供の実績から特定のサービス行為に偏っていることが明らかな場合に限らず、事業運営の方針、広告、従業者の勤務体制、当該事業者の行う他の事業との関係等の事業運営全般から判断して、特定のサービス行為に偏ることが明らかであれば、本条に抵触することとなる。この「偏ること」とは、特定のサービス行為のみを専ら行うことはもちろん、特定のサービス行為に係るサービス提供時間が月単位等一定期間中のサービス提供時間の大半を占めていれば、これに該当するものである。

③ 指定の際の市町村への意見照会

通院等乗降介助を行う指定居宅介護事業者について、都道府県知事が指定を行うに当たっては、事業所の所在地の市町村に対して意見を求めることとする(確認すべき事項等については、別に定める)。

なお、基準第32条は、基準該当居宅介護事業者には適用されない。

(22) 勤務体制の確保等(基準第33条)

利用者に対する適切な指定居宅介護の提供を確保するため、従業者の勤務体制等について規定したものであるが、次の点に留意する必要がある。

① 基準第33条第1項は、指定居宅介護事業所ごとに、原則として月ごとの勤務表を作成し、従業者については、日々の勤務時間、職務の内容、常勤・非常勤の別、管理者との兼務関係、サービス提供責任者である旨等を明確にすることを定めたものであること。

② 同条第2項は、当該指定居宅介護事業所の従業者によって指定居宅介護を提供するべきことを規定したものであるが、指定居宅介護事業所の従業者とは、雇用契約その他の契約により、当該事業所の管理者の指揮命令下にある従業者を指すものであること。

③ 同条第3項は、当該指定居宅介護事業所の従業者の質の向上を図るため、研修機関が実施する研修や当該指定居宅介護事業所内の研修への参加の機会を計画的に確保することとしたものであること。

(23) 衛生管理等(基準第34条)

指定居宅介護事業者は、従業者の清潔の保持及び健康状態の管理並びに指定居宅介護事業所の設備及び備品等の衛生的な管理に努めるべきことを規定したものである。特に、指定居宅介護事業者は、従業者が感染源となることを予防し、また従業者を感染の危険から守るため、手指を洗浄するための設備や使い捨ての手袋等感染を予防するための備品等を備えるなど対策を講じる必要がある。

(24) 秘密保持等(基準第36条)

① 基準第36条第1項は、指定居宅介護事業所の従業者及び管理者に、その業務上知り得た利用者又はその家族の秘密の保持を義務付けたものである。

② 同条第2項は、指定居宅介護事業者に対して、過去に当該指定居宅介護事業所の従業者及び管理者であった者が、その業務上知り得た利用者又はその家族の秘密を漏らすことがないよう必要な措置を取ることを義務付けたものであり、具体的には、指定居宅介護事業者は、当該指定居宅介護事業所の従業者等が、従業者等でなくなった後においてもこれらの秘密を保持すべき旨を、従業者との雇用時等に取り決め、例えば違約金についての定めを置くなどの措置を講ずべきこととするものである。

③ 同条第3項は、従業者が利用者の有する問題点や解決すべき課題等の個人情報を、他の指定障害福祉サービス事業者と共有するためには、指定居宅介護事業者等は、あらかじめ、文書により利用者又はその家族から同意を得る必要があることを規定したものであるが、この同意は、サービス提供開始時に利用者及びその家族から包括的な同意を得ておくことで足りるものである。

(25) 利益供与等の禁止(基準第38条)

① 基準第38条第1項は、相談支援事業者又は他の障害福祉サービス事業者等による障害福祉サービス事業者等の紹介が公正中立に行われるよう、指定居宅介護事業者は、相談支援事業者又は他の障害福祉サービス事業者等に対し、利用者に対して当該指定居宅介護事業者を紹介することの対償として、金品その他の財産上の利益を供与してはならない旨を規定したものである。

② 同条第2項は、利用者による相談支援事業者又は他の障害福祉サービス事業者等の選択が公正中立に行われるよう、指定居宅介護事業者は、相談支援事業者又は他の障害福祉サービス事業者等から、当該事業所を利用する利用者やサービス提供が終了した利用者等を紹介することの対償として、金品その他の財産上の利益を収受してはならない旨を規定したものである。

(26) 苦情解決(基準第39条)

① 基準第39条第1項にいう「必要な措置」とは、具体的には、相談窓口、苦情解決の体制及び手順等当該事業所における苦情を解決するための措置を講ずることをいうものである。当該措置の概要については、利用申込者にサービスの内容を説明する文書に記載し、事業所に掲示することが望ましい。

② 同条第2項は、苦情に対し指定居宅介護事業所が組織として迅速かつ適切に対応するため、当該苦情(指定居宅介護事業所が提供したサービスとは関係のないものを除く。)の受付日、内容等を記録することを義務付けたものである。

また、指定居宅介護事業所は、苦情がサービスの質の向上を図る上での重要な情報であるとの認識に立ち、苦情の内容を踏まえ、サービスの質の向上に向けた取組を自ら行うべきである。

③ 同条第3項は、住民に最も身近な行政庁である市町村が、サービスに関する苦情に対応する必要が生ずることから、市町村が、指定居宅介護事業者に対する苦情に関する調査や指導、助言を行えることを運営基準上、明確にしたものである。

④ 同条第7項は、社会福祉法上、都道府県社会福祉協議会の運営適正化委員会が福祉サービスに関する苦情の解決について相談等を行うこととされたことを受けて、運営適正化委員会が行う同法第85条に規定する調査又はあっせんにできるだけ協力することとしたものである。

(27) 事故発生時の対応(基準第40条)

利用者が安心して指定居宅介護の提供を受けられるよう、指定居宅介護事業者は、利用者に対する指定居宅介護の提供により事故が発生した場合は、都道府県、市町村及び当該利用者の家族等に対して連絡を行うとともに必要な措置を講じ、利用者に対する指定居宅介護の提供により賠償すべき事故が発生した場合は、損害賠償を速やかに行わなければならないこととしたものである。

このほか、次の点に留意するものとする。

① 利用者に対する指定居宅介護の提供により事故が発生した場合の対応方法については、あらかじめ指定居宅介護事業者が定めておくことが望ましいこと。

② 指定居宅介護事業者は、賠償すべき事態において速やかに賠償を行うため、損害賠償保険に加入しておくことが望ましいこと。

③ 指定居宅介護事業者は、事故が生じた際にはその原因を解明し、再発生を防ぐための対策を講じること。なお、「福祉サービスにおける危機管理(リスクマネジメント)に関する取り組み指針」(平成14年3月28日福祉サービスにおける危機管理に関する検討会)が示されているので、参考にされたい。

(28) 会計の区分(基準第41条)

指定居宅介護事業者は、指定居宅介護事業所ごとに経理を区分するとともに、指定居宅介護の事業の会計とその他の事業の会計を区分しなければならないこととしたものである。

(29) 記録の整備(基準第42条)

基準第42条第2項により、指定居宅介護事業者は、少なくとも次に掲げる記録をその完結の日から5年間備えておかなければならないこととしたものである。

① 指定居宅介護に関する記録

ア 基準第19条に規定する指定居宅介護の提供に係る記録

イ 基準第26条に規定する居宅介護計画

ウ 基準第39条に規定する苦情の内容等に係る記録

② 基準第29条に規定する市町村への通知に係る記録

(30) 準用(基準第43条)

基準第9条から第42条までについては、重度訪問介護に係る指定障害福祉サービスの事業について準用されるものであることから、(1)から(29)までを参照されたい。

また、基準第9条から第31条まで及び第33条から第42条までについては、同行援護及び行動援護に係る指定障害福祉サービスの事業に準用されるものであることから、(1)から(20)まで及び(22)から(29)までを参照されたい。

4 基準該当障害福祉サービスに関する基準

(1) 従業者の員数(基準第44条)

① 従業者の員数の取扱い

基準該当居宅介護事業所における従業者の員数については、3人以上と定められたが、これについては、従業者の勤務時間の多寡にかかわらず員数として3人以上確保すれば足りるものである。ただし、各地域におけるサービス利用の状況や利用者の数等を考慮し、適切な員数の職員を確保するものとする。その他については、指定居宅介護事業所の場合と同趣旨であるため、第三の1の(1)及び(2)に準じて取り扱うべきものである。

なお、サービス提供責任者については、常勤である必要はないが、指定居宅介護における配置に準じて配置することが望ましい。

② 離島その他の地域の取扱い

離島その他の地域であって厚生労働大臣が定める基準(地域)については、下記の地域である(「厚生労働大臣が定める離島その他の地域」(平成18年厚生労働省告示第540号)を参照)。

ア 離島振興法(昭和28年法律第72号)第2条第1項の規定により指定された離島振興対策実施地域

イ 奄美群島振興開発特別措置法(昭和29年法律第189号)第1条に規定する奄美群島

ウ 山村振興法(昭和40年法律第64号)第7条第1項の規定により指定された振興山村

エ 小笠原諸島振興開発特別措置法(昭和44年法律第79号)第2条第1項に規定する小笠原諸島

オ 沖縄振興特別措置法(平成14年法律第14号)第3条第3号に規定する離島

カ その他、「厚生労働大臣が定める特例居宅介護サービス費等の支給に係る離島その他の地域の基準第6号の規定に基づき厚生労働大臣が定める地域」(平成12年厚生省告示第53号)により定める地域

(2) 管理者(基準第45条)

指定居宅介護の場合と基本的に同趣旨であるため、第三の1の(3)を参照されたい。ただし、管理者は常勤である必要はないことに留意すること。

(3) 設備及び備品等(基準第46条)

基準第46条は、基準該当居宅介護事業所の設備及び備品等についての規定であるが、指定居宅介護事業所の場合と基本的に同趣旨であるため、第三の2を参照されたい。

(4) 同居家族に対するサービス提供の制限(基準第47条)

基準第47条第1項各号に定める場合に限り、同居家族である利用者に対するサービス提供を例外的に認めることを定めたものである。

特に、同条第1項第1号にあるとおり、離島、山間のへき地その他の地域であって、指定居宅介護による居宅介護だけでは必要な居宅介護の見込量を確保することが困難であると市町村が認めた地域において認められるものであり、市町村は、その運用に際して次に掲げる点に留意するとともに、当該地域における指定居宅介護の確保に努めることとする。

① 市町村は、同居家族に対する居宅介護を行おうとする従業者が所属する基準該当居宅介護事業所から、居宅介護計画の写し等、同居家族に対する居宅介護が認められるための要件が満たされていることを確認できる書類を届け出させ、これに基づき基準該当居宅介護としての実施を認めるものとする。

② 市町村は、いったん認めた同居家族に対する居宅介護について、事後的にその要件を満たしていないと認めるときは、特例介護給付費の支給を行わず、又は既に支給した特例介護給付費の返還を求めるものとする。

③ 市町村は、同条第1項各号に規定する要件に反した居宅介護が行われている場合の是正の指導のほか、当該同居家族に対して行われている居宅サービスとして、当該従業者による居宅介護のほか、他の居宅サービスが適切に組み合わされているかどうか等を点検し、状況に応じて必要な助言を当該同居家族及び基準該当居宅介護事業者に対して行うものとする。

④ 同条第1項第3号に規定する、従業者が同居家族の居宅介護に従事する時間の合計時間が当該従業者が居宅介護に従事する時間の合計時間の概ね2分の1を超えないという要件は、同居家族の居宅介護が「身内の世話」ではなく、「居宅介護事業所の従業者による介護」として行われることを担保する趣旨で設けられたものであるが、こうした趣旨を踏まえつつ、当該市町村の居宅介護の基盤整備の状況など地域の実情に応じて、当該要件をある程度の幅をもって運用することは差し支えないものとする。

(5) 準用(基準第48条)

① 基準該当居宅介護

指定居宅介護の運営に関する基準のうち、第4条1項及び第9条から第42条まで(第21条第1項、第22条、第23条第1項、第27条、第32条及び第43条を除く。)の規定は、基準該当居宅介護に準用されるものであるから、第三の3の(1)から(29)まで((11)の①、(12)、(13)の①及び(21)を除く。)を参照されたい。

② 基準該当重度訪問介護及び基準該当行動援護

指定居宅介護の運営に関する基準のうち第4条第2項及び第3項並びに第9条から第42条(第21条第1項、第22条、第23条第1項、第27条、第32条及び第43条を除く。)並びに基準該当居宅介護に関する基準のうち第44条から第47条までの規定は、重度訪問介護、同行援護及び行動援護に係る基準該当障害福祉サービスの事業に準用されるものであることから、第三の3の(1)から(29)まで((11)の①、(12)、(13)の①及び(21)を除く。)及び第三の4の(1)から(4)までを参照されたい。

なお、基準該当重度訪問介護事業所のサービス提供責任者については、常勤である必要はないが、指定重度訪問介護における配置に準じて配置することが望ましい。

第四 療養介護

1 人員に関する基準

(1) 医師(基準第50条第1項第1号)

医師については、健康保険法(大正11年法律第70号)第65条第4項第1号に規定する厚生労働大臣が定める基準以上であれば足りるものであること。

(2) 看護職員(基準第50条第1項第2号)

指定療養介護事業所において置くべき看護職員(看護師、准看護師又は看護補助者をいう。)の員数については、指定療養介護の単位ごとに、常勤換算方法で、利用者の数を2で除した数以上とする。当該看護職員の員数は、原則として、療養介護を行う病棟において、障害者入院基本料等の診療報酬を算定する上で必要とされる看護職員の員数(当該病棟において、療養介護の対象とならない入院患者がいる場合には、当該入院患者を除き必要とされる看護職員の員数以上とする。)とするが、診療報酬の算定対象となる看護職員の員数では、同号の規定を満たすことができない場合には、診療報酬の算定対象とはならない看護職員を充てることにより、当該規定を満たしていれば足りること。

(3) 生活支援員(基準第50条第1項第3号)

① 生活支援員の員数については、指定療養介護の単位ごとに、常勤換算方法で、利用者の数を4で除した数以上とする。ただし、看護職員が、(2)により必要とされる看護職員の員数を満たしている場合には、当該必要数を超えて配置されている看護職員の員数を生活支援員の員数に含めることが可能であること。

② 平成24年3月31日までの間は、平成18年10月1日に現に存する指定医療機関が指定療養介護事業所に転換する場合は、①の基準を満たすための人員配置計画を作成した場合に限り、当該指定療養介護事業所に置くべき生活支援員の数は、指定療養介護の単位ごとに、常勤換算方法で、利用者の数を6で除した数以上とすること。

なお、①のただし書による取扱いは、この場合も適用されるものであることに留意すること(基準附則第3条第1項)。

③ 平成24年3月31日までの間は、平成18年9月30日において現に重症心身障害児施設を利用していた者又は平成18年9月30日において現に指定医療機関に入院していた者等であって、指定療養介護の対象に該当しないもの(「障害者自立支援法に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準第171条並びに第184条において準用する同令第22条及び第144条に規定する厚生労働大臣が定める者等」(平成18年厚生労働省告示第553号。以下「第553号告示」という。)に対して、指定療養介護を提供している事業所については、①にかかわらず、生活支援員の数を、指定療養介護の単位ごとに、当該利用者の数を6で除した数とそれ以外の利用者の数を4で除した数の合計数とすること(基準附則第3条第2項)。

(4) サービス管理責任者(基準第50条第1項第4号)

サービス管理責任者は、利用者に対する効果的かつ適切な指定療養介護を行う観点から、適切な方法により、利用者の解決すべき課題を把握した上で、療養介護計画の作成及び提供した指定療養介護の客観的な評価等を行う者であり、指定療養介護事業所ごとに、利用者の数に応じて必要数を置くこととしたものである。

(5) 指定療養介護の単位(基準第50条第3項)

① サービス提供の単位

指定療養介護の単位とは、1日を通じて、同時に、一体的に提供される指定療養介護をいうものであり、次の要件を満たす場合に限り、複数の指定療養介護の単位を設置することができる。

ア 指定療養介護が階を隔てるなど、同時に、2つの場所で行われ、これらのサービスの提供が一体的に行われているとはいえないこと。

イ 指定療養介護の単位ごとの利用定員が20人以上であること。

ウ 指定療養介護の単位ごとに必要とされる従業者が確保されていること。

② サービス提供単位ごとの従業者の配置(基準第50条第4項)

指定療養介護の単位ごとに専ら当該指定療養介護の提供に当たる者を確保するとは、指定療養介護の単位ごとに生活支援員について、当該指定療養介護の提供時間帯に当該職種の従業者が常に確保され、必要な配置を行うよう定めたものである(例えば専従する生活支援員の場合、その員数は1人となるが提供時間帯の2分の1ずつの時間専従する生活支援員の場合は、その員数としては2人が必要となる)。

③ 常勤の従業員の配置(基準第50条第5項)

同一事業所で複数の指定療養介護の単位を設置する場合には、同時に行われる単位の数の常勤の従業者(サービス管理責任者を除く。)が必要となるものである。

(6) サービス管理責任者と他の職務との兼務について(基準第50条第6項)

指定療養介護事業所の従業者(医師及び看護職員を除く。)は、原則として専従でなければならず、職種間の兼務は認められるものではない。サービス管理責任者についても、療養介護計画の作成及び提供した指定療養介護の客観的な評価等の重要な役割を担う者であるので、これらの業務の客観性を担保する観点から、原則として、サービス管理責任者と直接サービスの提供を行う生活支援員等とは異なる者でなければならない。

ただし、利用者に対するサービス提供に支障がない場合は、サービス管理責任者が指定療養介護事業所の他の職務に従事することができるものとする。この場合においては、兼務を行う他の職務に係る常勤換算上、当該サービス管理責任者の当該他の職務に係る勤務時間を算入することはできないものとする。

また、1人のサービス管理責任者は、最大利用者60人までの療養介護計画の作成等の業務を行うことができることとしていることから、この範囲で、指定療養介護事業所のサービス管理責任者が、指定共同生活介護事業所若しくは指定共同生活援助事業所に置くべきサービス管理責任者又は大規模な指定障害福祉サービス事業所等において、専従かつ常勤のサービス管理責任者1人に加えて配置すべきサービス管理責任者を兼務することは差し支えない。

(例) 利用者の数が20人の指定療養介護事業所におけるサービス管理責任者が、利用者の数が10人の指定共同生活介護事業所におけるサービス管理責任者と兼務する場合

(7) 管理者(基準第51条)

① 管理者の専従

指定療養介護事業所の管理者は、原則として、専ら当該指定療養介護事業所の管理業務に従事するものである。ただし、以下の場合であって、当該指定療養介護事業所の管理業務に支障がないときは、他の職務を兼ねることができるものとする。

ア 当該指定療養介護事業所のサービス管理責任者又は従業者としての職務に従事する場合

イ 当該指定療養介護事業所以外の他の指定障害福祉サービス事業所又は指定障害者支援施設等の管理者又はサービス管理責任者若しくは従業者としての職務に従事する場合であって、特に当該指定療養介護事業所の管理業務に支障がないと認められる場合

② 管理者の資格要件

指定療養介護事業所は病院であることから、指定療養介護事業所の管理者は医師でなければならない。

2 設備に関する基準(基準第52条)

指定療養介護事業所とは、指定療養介護を提供するための設備及び備品を備えた場所をいう。原則として、一の建物につき、一の事業所とし、指定療養介護の単位を複数設ける場合については、指定療養介護の単位ごとに当該指定療養介護を実施するために必要な設備を備えるものであること。

3 運営に関する基準

(1) 契約支給量の報告等(基準第53条)

① 指定療養介護事業者は、入院又は退院に際しては、支給決定障害者の受給者証に当該事業者及びその事業所の名称、指定療養介護の内容、当該指定療養介護事業者が当該支給決定障害者に提供する月当たりの指定療養介護の提供日数(契約支給量)、契約日等の必要な事項を記載すること。なお、当該契約に係る指定療養介護の提供が終了した場合にはその年月日を、月途中で終了した場合には当該月で既に提供した指定療養介護の日数を記載することとしたものである。

② 基準第53条第2項は、指定療養介護事業者は、①の規定による記載をした場合には、遅滞なく市町村に対して、当該記載事項を報告することとしたものである。

(2) サービスの提供の記録(基準第53条の2)

① 基準第53条の2第1項は、利用者及び指定療養介護事業者が、その時点での指定療養介護の利用状況等を把握できるようにするため、指定療養介護事業者は、指定療養介護を提供した際には、当該療養介護の提供日、提供したサービスの具体的内容、利用者負担額等の利用者に伝達すべき必要な事項についての記録を適切に行うことができる場合においては、これらの事項について後日一括して記録することも差し支えないこととしたものである。

② 利用者の確認

基準第53条の2第2項は、同条第1項のサービスの提供の記録について、サービスの提供に係る適切な手続を確保する観点から、利用者の確認を得なければならないこととしたものである。

(3) 利用者負担額等の受領(基準第54条)

① 利用者負担額の受領等

指定居宅介護の規定と同趣旨であるため、第三の3の(11)の①、④及び⑤を参照されたい。なお、療養介護医療費についても同様である。

② 法定代理受領を行わない場合

基準第54条第2項は、指定療養介護事業者が法第29条第5項に規定する法定代理受領を行わない指定療養介護を提供した際には、支給決定障害者から、当該指定療養介護につき、利用者負担額のほか介護給付費(療養介護医療費を含む。)の額の支払を受けるものとすることとしたものである。

③ その他受領が可能な費用の範囲

同条第3項は、指定療養介護事業者は、前2項の支払を受ける額のほか、指定療養介護において提供される便宜に要する費用のうち、

ア 日用品費

イ 日常生活においても通常必要となるものに係る費用であって、支給決定障害者に負担させることが適当と認められるもの

の支払を受けることができることとし、介護給付費の対象となっているサービスと明確に区分されない曖昧な名目による費用の支払を受けることは認めないこととしたものである。

なお、イの具体的な範囲については、別に通知するところによるものとする。

(4) 利用者負担額等に係る管理(基準第55条)

指定療養介護事業者は、支給決定障害者が同一の月に当該指定療養介護事業者が提供する指定療養介護及び他の指定障害福祉サービス等を受けたときは、他の指定障害福祉サービス等に係る利用者負担額及び療養介護医療に係る利用者負担額を算定しなければならないこととされたが、その具体的な取扱いについては、別に通知するところによるものとする。

(5) 介護給付費の額に係る通知等(基準第56条)

① 基準第56条第1項は、指定療養介護事業者は、市町村から法定代理受領を行う指定療養介護に係る介護給付費の支給を受けた場合は、支給決定障害者に対し、当該支給決定障害者に係る介護給付費の額を通知することとしたものである。

② 同条第2項は、基準第54条第2項の規定による額の支払を受けた場合には、提供した指定療養介護の内容、費用の額その他利用者が介護給付費を請求する上で必要と認められる事項を記載したサービス提供証明書を利用者に交付しなければならないこととしたものである。

(6) 指定療養介護の取扱方針(基準第57条)

① 基準第57条第2項に規定する支援上必要な事項とは、指定療養介護計画の目標及び内容のほか、行事及び日課等も含むものである。

② 同条第3項は、指定療養介護事業者は、自らその提供する指定療養介護の質の評価を行うことはもとより、第三者による外部評価の導入を図るよう努め、常にサービスを提供する事業者としての質の改善を図らなければならないこととしたものである。

(7) 療養介護計画の作成等(基準第58条)

① 療養介護計画

基準第58条においては、サービス管理責任者が作成すべき療養介護計画について規定している。

療養介護計画は、利用者及びその家族の生活に対する意向、総合的な支援の方針、生活全般の質を向上させるための課題、指定障害福祉サービスの目標及びその達成時期、指定療養介護を提供する上での留意事項等を記載した書面である。

また、療養介護計画は、利用者の能力、その置かれている環境及び日常生活全般の状況等の評価を通じて利用者の希望する生活や課題等の把握を行い、利用者が自立した日常生活を営むことができるよう支援する上での適切な支援内容の検討に基づいて立案されるものである。

② サービス管理責任者の役割

サービス管理責任者は、当該指定療養介護事業所以外の保健医療サービス又はその他の福祉サービス等との連携も含めて、療養介護計画の原案を作成し、以下の手順により療養介護計画に基づく支援を実施するものである。

ア 利用者に対する指定療養介護の提供に当たる担当者を招集して行う会議を開催し、療養介護計画の原案について意見を求めること

イ 当該療養介護計画の原案の内容について、利用者及びその家族に対して説明し、文書により当該利用者の同意を得ること

ウ 利用者へ当該療養介護計画を交付すること

エ 当該療養介護計画の実施状況の把握及び療養介護計画の見直すべきかどうかについての検討(当該検討は少なくとも6月に1回以上行われ、必要に応じて療養介護計画の変更を行う必要があること。)を行うこと

(8) サービス管理責任者の責務(基準第59条)

サービス管理責任者は、療養介護計画の作成のほか、次の業務を担うものである。

① 利用申込みに際し、当該利用者に係る他の障害福祉サービス等の提供状況の把握を行うこと

② 指定療養介護事業所を退院し、自立した日常生活を営むことが可能かどうか、定期的に点検するとともに、自立した日常生活を営むことが可能と認められる利用者に対し、地域生活への移行へ向けた支援を行うこと

③ 他の従業者に対して、指定療養介護の提供に係る技術的な指導及び助言を行うこと

(9) 相談及び援助(基準第60条)

基準第60条は、常に利用者の心身の状況、その置かれている環境等の的確な把握に努め、常時必要な相談及び援助を行い得る体制をとることにより、積極的にサービスを利用する利用者の生活の質の向上を図ることを趣旨とするものである。

(10) 機能訓練(基準第61条)

基準第61条に規定する機能訓練は、作業療法士又は理学療法士等が行う機能訓練に限るものではなく、日常生活の中での機能訓練やレクリエーション、行事の実施等を通じた機能訓練を含むものであり、これらについても十分配慮しなければならない。

(11) 看護及び医学的管理の下における介護(基準第62条)

① 利用者への配慮

指定療養介護の提供に当たっては、利用者の人格に十分配慮し、療養介護計画によるサービスの目標等を念頭において行うことが基本であり、利用者の心身の状況に応じて、適切な技術をもって介護を提供し、又は必要な支援を行うものとする。

② 排せつの介護

排せつの介護は、利用者の心身の状況や排せつ状況などをもとに、自立支援の観点から、トイレ誘導や排せつ介助等について適切な方法により実施するものとする。

また、利用者がおむつを使用せざるを得ない場合には、その心身及び活動の状況に適したおむつを提供するとともに、おむつ交換は、頻繁に行えばよいということではなく、利用者の排せつ状況を踏まえて実施するものとする。

(12) その他のサービスの提供(基準第63条)

① レクリエーションの実施

指定療養介護事業所は、画一的なサービスを提供するのではなく、利用者が自らの趣味や嗜好に応じた活動を通じて充実した日常生活を送ることができるよう、野外活動や芸術鑑賞等のレクリエーション行事の実施に努めなければならないこととしたものである。

② 利用者の家族との連携

基準第63条第2項は、指定療養介護事業所は利用者の家族に対し、指定療養介護事業所の会報の送付、当該事業所が実施する行事への参加呼びかけ等によって利用者とその家族が交流できる機会等を確保するよう努めなければならないこととする。また、利用者や家族の面会の場所や時間等についても、利用者やその家族に配慮したものとするよう努めなければならない。

(13) 緊急時等の対応(基準第64条)

指定療養介護事業所は、現に指定療養介護の提供を行っているときに、利用者に病状の急変が生じた場合その他必要な場合は、運営規程に定められた緊急時の対応方法に基づき、その他の専門医療機関への連絡を行うなどの必要な措置を講じなければならないこととしたものである。

(14) 支給決定障害者に関する市町村への通知(基準第65条)

法第8条第1項の規定により、市町村は、偽りその他不正な手段によって自立支援給付費の支給を受けた者があるときは、その者から、その支給を受けた額に相当する金額の全部又は一部を徴収することができることにかんがみ、指定療養介護事業者は、その利用者が偽りその他不正な手段によって自立支援給付費の支給を受け、又は受けようとしたときは、自立支援給付費の適正化の観点から遅滞なく、意見を付して市町村に通知しなければならないこととしたものである。

(15) 管理者の責務(基準第66条)

指定療養介護事業所の管理者の責務として、指定療養介護事業所の従業者の管理及び指定療養介護事業所の業務の実施状況の把握その他の管理を一元的に行うとともに、当該指定療養介護事業所の従業者に基準第三章第四節(運営に関する基準)の規定を遵守させるため必要な指揮命令を行うこととしたものである。

(16) 運営規程(基準第67条)

指定療養介護事業所の適正な運営及び利用者に対する適切な指定療養介護の提供を確保するため、基準第67条第1号から第10号までに掲げる事項を内容とする規程を定めることを指定療養介護事業所ごとに義務付けたものであるが、特に次の点に留意するものとする。

① 利用定員(第3号)

利用定員は、指定療養介護の事業の専用の病室のベッド数と同数とすること。なお、複数の指定療養介護の単位が設置されている場合にあっては、当該指定療養介護の単位ごとに利用定員を定める必要があること。

② 指定療養介護の内容及び支給決定障害者から受領する費用の種類及びその額(第4号)

「指定療養介護の内容」とは、年間行事・レクリエーション及び日課等を含めたサービスの内容を指すものであること。また、「支給決定障害者から受領する費用の種類及びその額」とは、基準第54条第3項により支払を受けることが認められている費用の額を指すものであること。

③ サービスの利用に当たっての留意事項(第5号)

利用者が指定療養介護の提供を受ける際に、利用者側が留意すべき事項(入院期間中の生活上のルール、設備の利用上の注意事項等)を指すものであること。

④ 非常災害対策(第7号)

基準第70条に規定する非常災害対策に関する具体的計画を指すものであること

⑤ その他運営に関する重要事項(第10号)

利用者又は他の利用者等の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合に身体的拘束等を行う際の手続及び苦情解決の体制等について定めておくことが望ましい。

(17) 勤務体制の確保等(基準第68条)

利用者に対する適切な指定療養介護の提供を確保するため、従業者の勤務体制等について規定したものであるが、次の点に留意するものとする。

① 基準第68条第1項は、指定療養介護事業所ごとに、原則として月ごとの勤務表(生活支援員の勤務体制を指定療養介護の単位等により2以上で行っている場合は、その勤務体制ごとの勤務表)を作成し、従業者の日々の勤務時間、常勤・非常勤の別、管理者との兼務関係等を明確にすることを定めたものであること。

② 同条第2項は、指定療養介護事業所は原則として、当該指定療養介護事業所の従業者によって指定療養介護を提供すべきであるが、調理業務、洗濯等の利用者に対するサービス提供に直接影響を及ぼさない業務については、第三者への委託等を行うことを認めるものであること。

③ 同条第3項は、指定療養介護事業所の従業者の資質の向上を図るため、研修機関が実施する研修や当該指定療養介護事業所内の研修への参加の機会を計画的に確保することを定めたものであること。

(18) 定員の遵守(基準第69条)

利用者に対する指定療養介護の提供に支障が生ずることのないよう、原則として、指定療養介護事業所が定める利用定員(指定療養介護の事業の専用の病室のベッド数)を超えた利用者の受入を禁止するものであるが、次に該当する利用定員を超えた利用者の受入については、適正なサービスの提供が確保されることを前提とし、地域の社会資源の状況等から新規の利用者を当該指定療養介護事業所において受け入れる必要がある場合等やむを得ない事情が存する場合に限り、可能とすることとしたものである。

① 1日当たりの利用者の数

ア 利用定員50人以下の指定療養介護事業所の場合

1日当たりの利用者の数(複数の指定療養介護の単位が設置されている場合にあっては、当該指定療養介護の単位ごとの利用者の数。イ及び②において同じ。)が、利用定員(複数の指定療養介護の単位が設置されている場合にあっては、当該指定療養介護の単位ごとの利用定員。イ及び②において同じ。)に110%を乗じて得た数以下となっていること。

イ 利用定員51人以上の指定療養介護事業所の場合

1日当たりの利用者の数が、利用定員から50を差し引いた数に105%を乗じて得た数に、55を加えて得た数以下となっていること。

② 過去3月間の利用者の数

過去3月間の利用者の延べ数が、利用定員に開所日数を乗じて得た数に105%を乗じて得た数以下となっていること。

(19) 非常災害対策(基準第70条)

① 非常災害に際して必要な諸設備の整備や具体的計画の策定、関係機関への通報及び連携体制の整備、避難、救出訓練の実施等その対策に万全を期さなければならないこととしたものである。

② 「消火設備その他の非常災害に際して必要な設備」とは、消防法(昭和23年法律第186号)その他法令等に規定された設備を指しており、それらの設備を確実に設置しなければならない。

③ 「非常災害に関する具体的計画」とは、消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第3条に規定する消防計画(これに準ずる計画を含む。)及び風水害、地震等の災害に対処するための計画をいう。この場合、消防計画の策定及びこれに基づく消防業務の実施は、消防法第8条の規定に基づき定められる者に行わせるものとする。

④ 「関係機関への通報及び連携体制の整備」とは、火災等の災害時に、地域の消防機関へ速やかに通報する体制をとるよう職員に周知徹底するとともに、日頃から消防団や地域住民との連携を図り、火災等の際に消火・避難等に協力してもらえるような体制作りを求めることとしたものである。

(20) 衛生管理等(基準第71条)

指定療養介護事業者は、従業者の清潔の保持及び健康状態の管理に努めるべきであり、特に、従業者が感染源となることを予防し、また従業者を感染の危険から守るため、手指を洗浄するための設備や使い捨ての手袋等感染を予防するための備品等を備えるなど対策を講じるべきことを規定したものであり、このほか、次の点に留意するものとする。

① 指定療養介護事業者は、感染症又は食中毒の発生及びまん延を防止するための措置等について、必要に応じて保健所の助言、指導を求めるとともに、常に密接な連携を保つこと。

② 特にインフルエンザ対策、腸管出血性大腸菌感染症対策、レジオネラ症対策等については、その発生及びまん延を防止するための措置について、別途通知等が発出されているので、これに基づき、適切な措置を講じること。

③ 空調設備等により事業所内の適温の確保に努めること。

(21) 身体拘束等の禁止(基準第73条)

利用者又は他の利用者の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除き、身体的拘束等を行ってはならず、緊急やむを得ない場合に身体的拘束等を行う場合にあっても、その態様及び時間、その際の利用者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由を記録しなければならないこととしたものである。

(22) 地域との連携等(基準第74条)

指定療養介護事業所が地域に開かれたものとして運営されるよう、地域の住民やボランティア団体等の連携及び協力を行う等の地域との交流に努めなければならないこととしたものである。

(23) 記録の整備(基準第75条)

指定療養介護事業所においては、従業者、設備、備品及び会計等に関する諸記録を文書により整備しておく必要があること。なお、指定療養介護の提供に関する諸記録のうち、基準第75条第2項に規定するものについては、当該指定療養介護事業所において、当該療養介護を提供した日から、少なくとも5年以上保存しておかなければならないとしたものである。

(24) 準用(基準第76条)

基準第9条、第11条、第12条、第14条から第17条まで、第19条、第20条、第36条、第37条第1項及び第38条から第40条までの規定は指定療養介護の事業について準用されるものであることから、第三の3の(1)、(3)(②を除く。)、(4)、(6)、(7)、(10)及び(24)から(27)までを参照されたい。

第五 生活介護

1 人員に関する基準

(1) 医師(基準第78条第1項第1号)

日常生活上の健康管理及び療養上の指導を行う医師を、指定生活介護の利用者の障害の特性等に応じて必要数を配置しなければならないものであること。なお、この場合の「必要数を配置」とは、嘱託医を確保することをもって、これを満たすものとして取り扱うことも差し支えない。

(2) 看護職員、理学療法士又は作業療法士及び生活支援員(基準第78条第1項第2号)

これらの従業者については、指定生活介護の単位ごとに、前年度の利用者の数の平均値及び障害程度区分に基づき、次の算式により算定される平均障害程度区分に応じて、常勤換算方法により必要数を配置するものであること。

なお、平均障害程度区分の算定に当たっては、利用者の数から、法附則第22条第1項に規定する特定旧法受給者(以下「特定旧法受給者」という。)、平成18年9月30日において現に児童福祉法第42条に規定する知的障害児施設、同法第43条の3に規定する肢体不自由児施設及び同法第43条の4に規定する重症心身障害児施設を利用していた者又は平成18年9月30日において現に同法第7条第6項及び旧身体障害者福祉法第18条第2項に規定する指定医療機関に入院していた者であって、指定生活介護の対象に該当しないものは除かれる(第553号告示参照)。

(算式)

{(2×区分2に該当する利用者の数)+(3×区分3に該当する利用者の数)+(4×区分4に該当する利用者の数)+(5×区分5に該当する利用者の数)+(6×区分6に該当する利用者の数)}/総利用者数

なお、平均障害程度区分の算出に当たって、小数点以下の端数が生じる場合には、小数点第2位以下を四捨五入することとする。

また、看護職員及び生活支援員については、それぞれについて、最低1人以上配置するとともに、必要とされる看護職員及び生活支援員のうち、1人以上は常勤でなければならない。

(3) 機能訓練指導員(基準第78第4項)

理学療法士及び作業療法士を確保することが困難な場合には、看護師のほか、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師、言語聴覚士の日常生活を営むのに必要な機能の減退を防止するために必要な訓練を行う能力を有する者をもって代えることができるものであること。

また、利用者の日常生活やレクリエーション、行事を通じて行う機能訓練については、指定生活介護事業所の生活支援員が兼務して行っても差し支えない。

(4) サービス管理責任者(基準第78条第1項第3号)

指定療養介護の場合と同趣旨であるため、第四の1の(4)を参照されたい。なお、サービス管理責任者と他の職務との兼務については、次のとおり取り扱うものとする。

指定生活介護事業所の従業者は、原則として専従でなければならず、職種間の兼務は認められるものではない。サービス管理責任者についても、生活介護計画の作成及び提供した指定生活介護の客観的な評価等の重要な役割を担う者であるので、これらの業務の客観性を担保する観点から、原則として、サービス管理責任者と直接サービスの提供を行う生活支援員等とは異なる者でなければならない。

ただし、利用者に対するサービス提供に支障がない場合は、サービス管理責任者が指定生活介護事業所の他の職務に従事することができるものとする。この場合においては、原則として、兼務を行う他の職務に係る常勤換算上、当該サービス管理責任者の当該他の職務に係る勤務時間を算入することはできないものであるが、当該指定生活介護事業所の利用定員が20人未満である場合には、当該他の職務に係る勤務時間を算入することが可能であること。

なお、この例外的な取扱いの適用を受けるため、定員規模を細分化することは認められないものであることに留意されたい。

また、1人のサービス管理責任者は、最大利用者60人までの生活介護計画の作成等の業務を行うことができることとしていることから、この範囲で、指定生活介護事業所のサービス管理責任者が、指定共同生活介護事業所若しくは指定共同生活援助事業所に置くべきサービス管理責任者又は大規模な指定障害福祉サービス事業所等において、専従かつ常勤のサービス管理責任者1人に加えて配置すべきサービス管理責任者を兼務することは差し支えない。

(例) 利用者の数が20人の指定生活介護事業所におけるサービス管理責任者が、利用者の数が10人の指定共同生活介護事業所におけるサービス管理責任者と兼務する場合

(5) 指定生活介護の単位(基準第78条第3項)

指定療養介護の場合と同趣旨であるため、第四の1の(5)を参照されたい。なお、指定生活介護事業所において、複数の指定生活介護の単位を設置する場合にあっては、それぞれの単位ごとに平均障害程度区分を算定し、これに応じた従業者をそれぞれ必要数を配置する必要があること。

(6) 管理者(基準第80条)

指定療養介護の場合と同趣旨であるため、第四の1の(7)の①を参照されたい。

2 設備に関する基準(基準第81条)

(1) 指定生活介護事業所

指定生活介護事業所とは、指定生活介護を提供するための設備及び備品を備えた場所をいう。原則として一の建物につき、一の事業所とするが、利用者の利便のため、利用者に身近な社会資源(既存施設)を活用して、事業所の従業者が当該既存施設に出向いて指定生活介護を提供する場合については、これらを事業所の一部(出張所)とみなして設備基準を適用するものである。

(2) 訓練・作業室等の面積及び数

指定生活介護事業所における訓練・作業室等、面積や数の定めのない設備については、利用者の障害の特性や機能訓練又は生産活動の内容等に応じて適切な指定生活介護が提供されるよう、適当な広さ又は数の設備を確保しなければならないものとする。例えば、指定生活介護事業所における生産活動について、複数種類の活動を行う場合には、当該活動の種類ごとに訓練・作業室を区分するとともに、それぞれの活動に適した設備と広さを確保する必要があること。

3 運営に関する基準

(1) 利用者負担額等の受領(基準第82条)