アクセシビリティ閲覧支援ツール

気象庁が、予報業務許可事業者を対象として、携帯電話向けに局地的な大雨に関する情報提供サービスを行っているかどうかのアンケートを行いました。サービスを行っていると回答があった予報業務許可事業者のサービス内容は以下の通りです(平成20年9月10日現在)。

なお、サービス内容及び有料/無料については、それぞれの事業者にお問い合わせ願います。

4) 下水道管理者による降雨情報システム

いくつかの下水道管理者は、降雨時にポンプ場や処理場の施設を適切に運転するために、雨量レーダーを設置している。雨量レーダーで得られた降雨情報は、ホームページなどで一般に公開されている。

表3―3下水道管理者による降雨情報提供の例

下水道管理者名

名称

表示範囲

レーダーのメッシュサイズ

掲載内容

更新頻度

携帯電話での閲覧

インターネットURL

埼玉県

アメネットさいたま

埼玉県を中心に半径50km

20kmまでは250m×250m,それ以遠は500m×500m

6時間前~現況

5分

不可

PC

http://www.amenet.pref.saitama.jp/

 

 

 

iモード

 

 

 

 

 

 

EZWeb

 

 

 

 

 

 

 

ソフトバンクモバイル

東京都

東京アメッシュ

東京都心を中心に東西約190km×南北約120km

都心近郊部は250m×250m,それ以遠は500m×500m

120分前~現況

10分

可能

PC

http://tokyo-ame.jwa.or.jp/index.html

 

 

 

 

 

iモード

http://www-dual.north-jwa.gr.jp/i-official/asp/menu03.asp?pc=0

 

 

 

 

 

 

 

EZWeb

http://micos-ez-kansai.jwa.or.jp/tokyo/tko0.hdml

 

 

 

 

 

 

 

ソフトバンクモバイル

http://www.njwa.jp/j-sky/tokyo/tokyo.asp?cl1

川崎市

レインネットかわさき

東京アメッシュと共同運用

都心近郊部は250m×250m,それ以遠は500m×500m

120分前~現況

10分

可能

PC

http://tokyo-ame.jwa.or.jp/index.html

 

 

 

 

 

iモード

http://www-dual.north-jwa.gr.jp/i-official/asp/menu03.asp?pc=0

 

 

 

 

 

 

 

EZWeb

http://micos-ez-kansai.jwa.or.jp/tokyo/tko0.hdml

 

 

 

 

 

 

 

ソフトバンクモバイル

http://www.njwa.jp/j-sky/tokyo/tokyo.asp?cl1

横浜市

レインアイレーダーよこはま

横浜市を中心に半径50km

20kmまでは250m×250m,40kmまでは500km×500m,50kmまでは1000m×1000m

180分前~現況

5分

不可

PC

http://www.city.yokohama.jp/cgi/bousai/wwwroot/yokohama1/sewer_radar.html

 

 

 

 

 

 

iモード

 

 

 

 

 

 

 

EZWeb

 

 

 

 

 

 

 

ソフトバンクモバイル

大阪市

大阪市建設局降雨情報

大阪市中心部から京阪神地域一円

250m×250m

50分前~現況

10分

可能

(日本気象協会へ情報提供)

PC

http://www.city.osaka.jp/ame/index.html

 

 

 

 

 

iモード

http://www.jwa.or.jp/b/mobile/QRT.php

 

 

 

 

 

 

 

EZWeb

 

 

 

 

 

 

 

ソフトバンクモバイル

神戸市

レインマップこうべ250

神戸市を中心に半径80km範囲

20kmまでは250m×250m,40kmまでは500m×500m,80kmまでは1000m×1000m

50分前~現況

10分

可能

PC

http://wwwa1.city.kobe.jp:8001/

 

 

 

 

 

iモード

http://wwwa1.city.kobe.jp:8001/i_index.html

 

 

 

 

 

 

 

EZWeb

http://wwwa1.city.kobe.jp:8001/ez_index.hdml

 

 

 

 

 

 

 

ソフトバンクモバイル

未対応

図3―3 「東京アメッシュ」の例(出典:東京都下水道局HP)

第4章 具体的な安全対策のあり方

4―1 安全管理計画の施工計画書等への明記

発注者は、請負者が作成する施工計画書等において、局地的な大雨による増水に備えるため、以下の(1)から(4)の内容を安全管理計画として記載するよう、仕様書等に明記する。

請負者は、安全管理計画を明記した施工計画書等を作成し、発注者の確認を得るとともに、その内容について作業員への周知徹底を図る。

(1) 現場特性の事前把握

(2) 工事等の中止基準・再開基準の設定

(3) 迅速に退避するための対応

(4) 日々の安全管理の徹底

【解説】

発注者は、下水道管渠内工事等の着手前に、請負者が作成する施工計画書や作業計画書において、局地的な大雨による増水に備えるため、以下に示す(1)から(4)の内容を安全管理計画として記載するよう、標準仕様書または特記仕様書等に明記する。

また、請負者は、安全管理計画について、施工計画書や作業計画書に明記し、発注者へ提出する。その際に、発注者は、提出された施工計画書等について、その妥当性を検討し、必要に応じて、内容の修正・追加等を指示する。なお、安全管理計画の内容については、作業員へ事前の周知のみでなく、工事等の開始前にも繰り返し周知することが必要である。【図4―1参照】

なお、発注者および請負者は、互いに協力して、安全管理の向上に努めることが重要である。

(1)について【詳細は4―2に記載】

局地的な大雨による急激な増水による危険性を把握、認識するため、当該現場の様々な状況、特性について情報を収集分析する。

(2)について【詳細は4―3に記載】

局地的な大雨による被害を最小限度に留めるため、現場特性や工事等の内容等を踏まえ、工事等の中止・再開を判断するための基準を人命優先の考え方にたって定める。

(3)について【詳細は4―4に記載】

工事等を開始した後に、中止基準に至った場合や水位等の変化により急激な増水による危険性が察知された場合に、下水道管渠内作業員を安全かつ迅速に退避させるための対応方策について定めておく。

(4)について【詳細は4―5に記載】

工事等を行う日には、工事等を開始する前に、安全管理計画の内容等について作業関係者全員に周知徹底を図る。

図4―1 発注者と請負者の役割

4―2 現場特性の事前把握

下水道管渠内工事等の着手前には、当該作業箇所に係る現場特性に関する資料や情報を収集・分析し、急激な増水による危険性等をあらかじめ十分に把握する。

【解説】

下水道管渠内工事等を行うにあたっては、発注者は、当該作業箇所に係る現場特性に関する資料や情報を積極的に提供し、発注者・請負者相互で局地的な大雨に伴う急激な増水による危険性等をあらかじめ十分に把握する。

収集する情報としては、第3章で示した気象情報のほか、以下のような下水道管渠施設情報、地形情報、既往情報等がある。

また、局地的な大雨に伴う増水による危険性を把握するためには、流出解析を行うことが望ましいため、発注者は、必要な情報の電子化などの取組みの推進を図る。

1) 下水道管渠施設情報

工事等の現場の危険性を分析することを目的として、下水道管渠施設情報を収集する。

具体的には、次の情報を収集する。留意点は、表4―1を参照されたい。

①平面図、縦断面図

平面図により、流域面積、流入系統を把握し、作業現場の上流域の情報を収集する。また、平面図および縦断面図により、人孔間距離、人孔深、管渠の断面形状、管渠勾配、管渠の会合、人孔における落差(段差)、伏越しの有無等を把握する。さらに、万が一流された場合等に備え、下流域の下水道管渠情報についても収集する。

②流量計算表

流量計算表により、流域面積、流達時間、流速等を把握する。ただし、流量計算表に記載されている流達時間、流速は計画降雨を対象として計算された値であり、計画降雨を上回る局地的な大雨が発生した場合には計算上の数値と異なることに留意する必要がある。

2) 地形情報

雨水の集まりやすさの観点から、凹地形、急傾斜地の有無についても把握する。

3) 既往情報等

作業現場付近の浸水被害、既往事故、ハザードマップ、既往流量調査結果等の資料を基に、作業現場の危険性を把握する。なお、地域住民からの聞き取りも有効である。

4) その他情報

上下流部のポンプ施設や大規模排水施設、ビルピット排水の有無について確認し、それら施設の運転情報について把握する。

また、工事等の着手前に通常時の水位・流速について測定しておくとともに、工事等の実施時における交通規制に対応するため交通状況についても把握する。

表4―1 主な下水道管渠施設情報と留意点

項目

参照資料

留意点

流域面積

流入系統

平面図

局地的な大雨が狭い流域に降った場合、下水道管渠内では短時間で急激な水量の増加に見舞われることになるため注意する。流入系統により、天候の留意すべき方角がわかり、天候変化の危険性を認識する目安となる。

人孔間距離

人孔深

平面図、縦断面図

人孔間距離が長いと、人孔周辺での工事等を除いて、退避に時間を要する。また、人孔深が大きい場合、上る際に体力を消耗し、退避時間を要することが懸念される。どちらの場合も、地上との連絡がとりづらくなる。

管渠の断面形状

平面図

同じ径でも円形管は狭く歩きにくい。また、水深が浅い状況では、同じ流量変化でも水位上昇が早い。

管渠の会合

平面図、縦断面図

人孔において、別系統の管渠が会合している場合、退避する際の支障となるおそれがある。作業箇所の管渠が比較的低水位で、移動が可能であったとしても、脱出する人孔にたどり着いた時点で相当な流量が別方向から流入していることも考えられる。さらに、流入管が上部に接合している場合には、人孔を上る際に上から雨水が激しく落下してくることも考えられ、退避が困難となるおそれがあるため、会合人孔を退避ルートとする場合には、退路としての適性を十分に検討しておく必要がある。

人孔における落差(段差)

縦断面図

人孔の流入側と流出側で落差がついている場合がある。この落差が大きいと、脱出時に落ちたり、手間取ったりする恐れがある。

伏越し

平面図、縦断面図

下流側近傍に伏越しがある場合には、万が一流された時に逃れようがなくなるため、伏越し上流側に流出防止柵を設置することが不可欠である。一方、上流域に伏越しがある場合、嫌気化した滞留水が雨水によって一気に流され、硫化水素ガスが発生するなどの危険があることから、増水とは違った意味での注意も必要である。

流達時間

流量計算表

計画降雨が降り始めて流達時間に達すると、上流域全域からの雨水が届き、流量がピークを迎える。従って、当該地点の流達時間が30分と記載されていれば、降り始めて30分経つと管渠がほぼ満管の状態になる。そのときの流速も流量計算表で確認できる。下水道管渠内作業員が安全に退避するためには、歩行不可能な水深・流速に至る前に退避を完了しなくてはならないため、往々にして、流達時間の数分の1程度の猶予しかない。実際の局地的大雨は計画降雨より強いことが多いので、更に厳しい状況となる。流達時間は、そのような危険性を認識するための目安となる。

流速

(管渠勾配)

流量計算表

管渠は一般的に流速が3.0m/s以内となるように設計される。通常、流量計算表には満管流速が記載されているが、これが大きいと、水深が浅い状態でも作業員が流れに足をとられるような事態が想定される。また、既設の水路を活用した管渠の場合、急勾配により大きな流速が発生することもあるので、注意が必要である。

ポンプ施設

平面図、流量計算表

上流にポンプ施設がある場合、ポンプが稼働すると一気に水量が増加する恐れがある。また、下流側近傍にポンプ施設がある場合には、ポンプ停止によって背水が発生し、それにより管渠内が水没するような事態も想定される一方、ポンプの稼働により吸い込まれるおそれもあるため、流出防止柵による措置が不可欠である。

4―3 工事等の中止基準・再開基準の設定

局地的な大雨に対する安全対策としては、下水道管渠内水位が急激に上昇するような降雨時に、下水道管渠内での工事等を行わないとする中止基準を設定することが最も重要である。発注者が定める標準的な中止基準を踏まえ、請負者は、現場特性に応じた中止基準を設定するとともに、工事等開始後には、中止基準を補完する情報も活用し、的確に中止の判断を下す。また、工事等を再開する際の基準も設定する。

【解説】

1) 中止基準の重要性

局地的な大雨に対する安全対策には、下水道管渠内水位が急激に上昇するような降雨時には下水道管渠内での工事等を行わないとする予防的な対応と、下水道管渠内水位が上昇した場合に作業員が迅速に退避する事後的な対応の2つがある。

第3章で述べたように、局地的な大雨は事前の予測が難しく、既往事故事例を見ても短時間に水位が上昇することを考慮すると、水位の上昇を確認してから下水道管渠内作業員が退避する事後的な対応では手遅れになることが想定される。従って、予防的な対応として、工事に入る前に中止の判断を下すことが最も重要であり、そのため、中止基準をあらかじめ設定することが必要である。

また、もう少しで工事等が終了するといった気持ちが中止判断を遅らせ、事故やヒヤリハットを招いた例が見受けられる。中止基準は、これを定めるだけでなく、厳格に運用して初めて効果があるということを理解しておくことが肝要である。

2) 現場特性に応じた中止基準の設定

4―3―1では、発注者が、局地的な大雨に対する工事等の中止基準として、あらかじめ定めておくべき「標準的な中止基準」の基本的な考え方を示す。

また、4―3―2においては、上記の「標準的な中止基準」を踏まえて、請負者が、現場特性に応じて、作業箇所ごと定める中止基準の設定方法について示す。

3) 工事等の中止の判断のあり方

気象情報や気象状況の変化により大雨の予兆を捉えることができる場合がある。下水道管渠内工事等の開始後には、これらの中止基準を補完する情報をもとに、中止の判断を的確に行うことが望ましい。

また、請負者は工事等の中止を行った場合には、発注者に速やかにその旨を連絡するとともに、発注者は、中止基準に留意し、工事等の中止がなされたかを確認する。

4) 工事等の再開基準

工事等の再開にあたっては、当該作業現場の安全が十分確保されるような基準を設定する。

<参考>

退避時における歩行限界水深については、図4―2に示すように実験により求められたデータがあるものの、あくまで冠水した平坦な場所を歩行する状況を想定したもので、開放的な平坦地で直立歩行することを前提としている。下水道管渠の場合は、管渠形状や勾配、ヌルの影響により、図4―2よりも歩行限界水深はかなり小さくなると考えられる。また、局地的な大雨に見舞われると、短時間で急激に水位が上昇することから、水位上昇が始まると、一気に歩行限界水深に達することが想定される。従って、工事等の中止基準としては、水位が上昇してから工事等を中止するのではなく、水位が上昇する前に工事等を中止するような基準とすることが重要である。

図4―2 洪水避難時に水中歩行できる領域

(「地下空間における浸水対策ガイドライン同解説<技術資料>地下空間における浸水対策検討委員会」より引用・加筆)

4―3―1 標準的な工事等の中止基準の設定

発注者は、下水道管渠内工事等を行う際の標準的な中止基準について、原則として注意報、警報等の気象情報、降雨や雷の有無等をもとに、あらかじめ設定する。

【解説】

発注者は、局地的な大雨に対する下水道管渠内工事等を行う場合の中止基準について、基本的な考え方を整理し、標準的な中止基準として設定しておくとともに、標準仕様書、特記仕様書等に記載する【参考資料―3参照】。

また、工事等の中止基準を設定する項目として、①注意報または警報等の気象情報、②降雨や雷などの気象状況、③下水道管渠内水位等があるが、中止基準の基本的な考え方を整理する場合には、以下の点に留意する。

①注意報または警報等の気象情報は有用な判断材料ではあるが、3―1で述べたように、発表の基準が下水道管渠内工事等の安全確保を目的としていないこと等から、注意報や警報のみに頼った判断は避けるべきである。

②降雨や雷などの気象状況については、時間雨量○mm以上など、降雨量に基づく基準も考えられるが、過去の事例を見ると、降雨発生から数分後には強い雨が観測されていることもあり、一定量の降雨が確認されてからの工事等の中止では手遅れになる可能性がある。従って、一定量以上の降雨ではなく、雨が降ったら直ちに工事等を中止するなどの基準設定が望ましい。また、雷は大気の状態が不安定な場合に発生し、強い雨を伴うことが多い。つまり雷は視覚、聴覚の双方に訴えかけ、また、大気の不安定な状態を示唆する指標でもあることから、中止の判断基準に適した指標である。なお、気象状況については、現場での状況だけではなく、上流域や周辺部も含めて情報収集し、判断する。

③下水道管渠内水位については、局地的な大雨が予測困難なことや既往事故事例においても下水道管渠内水位が短時間に上昇していることから、下水道管渠内水位のみを中止の基準として用いることは好ましくなく、あくまで他の基準を補完する指標として活用することが望ましい。

以上を踏まえ、中止基準は、注意報・警報、降雨や雷の有無等を組み合わせて設定する。また、当該作業箇所の情報のみならず、上流部における情報を加味して設定することが望ましい。

<工事等の中止基準の例>

以下のいずれかの場合には、工事等を中止する。

①当該作業箇所または上流部に洪水または大雨の注意報・警報が発表された場合

②当該作業箇所または上流部に降雨や雷が発生している場合

4―3―2 現場特性に応じた工事等の中止基準の設定

請負者は、発注者が定める標準的な中止基準を踏まえ、工事等の箇所毎に、現場特性に応じた中止基準を設定する。

【解説】

現場特性によっては、発注者が定める標準的な中止基準では、下水道管渠内作業員の安全な退避が間に合わない場合もある。一方、人孔内だけでの工事等など比較的容易に退避可能な場合もある。従って、請負者が作業箇所毎に定める中止基準は、発注者が定める標準的な中止基準を踏まえ、現場特性に応じて設定する。

1) 中止基準を強化すべき現場

①退避時間が長い

・作業箇所が人孔から離れている

・人孔間距離が長い

・人孔深が深い

・下水道管渠内へ入坑する作業員が多い など

②退避条件が厳しい

・人孔蓋を開放しておけない

・会合人孔で、別系統からの流入がある

・人孔に落差、段差がある など

③急激な増水特性が予想される

・上流域の下水道管渠が急勾配で流達時間が短い

・平時の水位が高い など

④気象情報が入手しにくい

・携帯電話の電波の状態が悪く、リアルタイムの気象情報が得られない場合

・局地的な大雨に関する気象情報サービスが行われていない地域

⑤夜間の工事等で天候の状態がわかりにくい

⑥水替え等の増水緩和対策や十分な流出防止策を講じることができない

<中止基準の強化の例>

①情報収集すべき地域範囲の拡大

降雨の有無や注意報・警報等の発表状況を把握する地域については、その対象とすべき地域を、退避に必要な時間を十分確保することが出来る範囲に拡大する。

②注意報・警報等の種類の強化

局地的な大雨は積乱雲によってもたらされることが多く、雷を伴うこともある。従って、雷注意報が発表された場合は、工事等を中止する。

図4―3 現場特性に応じた工事等の中止基準の設定の考え方

4―3―3 工事等開始後の中止の判断

工事等開始後に、気象情報や気象状況の変化により大雨等の予兆を捉えた場合には、中止基準に至る前の時点においても、これらの中止基準を補完する情報を活用し、工事等の中止判断を的確に行う。

【解説】

中止基準は、先に述べたように、注意報・警報等の気象情報や降雨の有無等をもとに、現場特性を考慮して定められるものである。工事等開始後に、レーダー雨量や様々な天気予報等の気象情報や雨雲の接近等の気象状況の変化により、局地的な大雨等の予兆を捉えた場合には、これらの情報を活用し、工事等の中止判断を的確に行う。

また、請負者は、工事等を中止した場合には、下水道管渠内作業員を迅速に退避させ、速やかに発注者へ工事等の中止の報告を行う。発注者は、中止基準に留意し、工事等の中止がなされたかを確認する。

1) 気象情報

レーダーによる降雨状況、各種気象サービス会社等により提供される気象予測などを活用することにより、中止基準を補完する情報をできる限り収集する。例えば、図4―5に示すように、短時間に降雨状況が移り変わっていく情報が把握できる場合には、工事箇所のみならず、周辺の降雨状況をある程度広範囲に確認し、また、最新の情報を可能な限り速やかに入手して、中止判断を下す時機を逸することがないように留意する。

特に、雷注意報が発表されている場合、天気予報にて「大気の状態が不安定」とされている場合には、急激な天候の変化が予想されるため、気象情報の発表等に特に注意する必要がある。

2) 気象状況の変化

注意報・警報の発表前や降雨前の時点でも、雲行きが怪しくなるなどの気象状況の変化によって、大雨の予兆を捉えることができる場合がある。例えば、雨雲の接近例(写真①から③は約10分)を下記の写真に示すが、現場周辺の空の状況に注意を払い、空に「急に真っ黒な雲が近づいてきた」「雷鳴が聞こえる」「稲光が見えた」等の大雨の予兆を的確に捉えることが重要である。

図4―4 黒い雨雲が迫ってくる状況例

3) 増水の予兆

中止基準を補完する予兆は、下水道管渠内においても捉えることができる。従って、下水道管渠内作業員は、地上からの情報に加え、以下に示すような増水の予兆を、五感を持って自らいち早く察知することが重要である。

このような予兆がある場合には、既に上流域では雨水の流入がはじまっていることが想定されることから、下水道管渠内作業員は早急に退避する必要がある。

①水位や水勢の変化

②下水道管渠内を流れる風の流れや臭いの変化

③下水道管渠内の下水の色(ファーストフラッシュは通常時より濁る)

④ビニール・落ち葉等のごみ等の流入(雨水とともにごみ等が流入する)

※風の流れ:圧送水や鉄砲水の起こる予兆として下水道管渠内に冷たく感じる風が流れることがある

※本時刻の経過中は大雨注意報・警報等の発表なし

図4―5 東京アメッシュによる降雨情報の推移(出典:東京都下水道局「東京アメッシュ」)

4―3―4 工事等の再開基準

工事等の再開にあたっては、以下のような事項を満足し、当該作業現場の安全が十分確保されていることを確認する。

(1) 工事等の中止基準に抵触していない

(2) 下水道管渠内水位が通常時と変わらない

【解説】

工事等の開始及び再開にあたっては、当該作業現場が十分に安全確保された時点とする。

<工事等の再開基準の例>

以下の全てが満足された時点で、現場責任者が発注者と確認のもと工事等を再開する。

①当該作業箇所または上流部に雨が降っていないこと、また、当該作業箇所または上流部に係る気象区域に、注意報または警報が発表されていないこと

②下水道管渠内の水位を計測し、事前の調査に基づく通常水位と変わらないことが確認されること

③施工計画書等に定めた安全管理計画の全ての事項について、安全確認を完了すること