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○医薬品の製造販売承認申請書における製造方法の記載に関する質疑応答集(Q&A)について

(平成20年5月20日)

(事務連絡)

(各都道府県衛生主管部(局)薬務主管課あて厚生労働省医薬食品局審査管理課通知)

医薬品(体外診断用医薬品を除く。以下同じ。)の製造販売承認申請書の記載事項に関しては、平成17年2月10日付け薬食審査発第0210001号厚生労働省医薬食品局審査管理課長通知「改正薬事法に基づく医薬品等の製造販売承認申請書記載事項に関する指針について」等において取扱いを示していますが、今般、製造方法の記載に関する質疑応答集を別添のとおりとりまとめましたので、貴管下関係業者に対し周知願います。

別添

Q1

承認申請書の製造方法欄は、どの程度詳細に記載すべきものなのか。

A1

医薬品の承認審査では、臨床試験成績等から有効性・安全性を確認するとともに、有効性・安全性を担保しうる品質の医薬品が恒常的に製造されることを保証するために、妥当な製造方法が採用されているか、また、適切な品質規格が設定されているかどうか等について確認するものである。

製造方法欄には、上記の点を踏まえ、実際の製造工程に基づき品質確保に必要な事項を適切に記載すべきものである。記載の程度は、個々の医薬品の特性によって異なるほか、医薬品の開発過程で品質に影響を与えない操作条件の範囲が明らかになっている場合とそうでない場合でも異なるものである。

このように、医薬品の特性や保有しているデータ等によって、品質確保の方法が異なるため、製造方法の記載について一律な取扱いを示すことは困難であるが、記載要領については、「改正薬事法に基づく医薬品等の製造販売承認申請書記載事項に関する指針について」(平成17年2月10日付け薬食審査発第0210001号厚生労働省医薬食品局審査管理課長通知。以下「2月10日通知」という。)で示されているので、当該通知を参考に作成されたい。

Q2

原薬を別法人の製造業者から購入しているが、品質に係る情報をどの程度把握して承認申請書に記載すべきか。

A2

製造販売業者としては、品質確保のために必要な情報を原薬の製造業者より確実に入手しておくことが必要であり、入手した情報をもとに承認申請書に記載されたい。

また、審査の過程における各種照会にも速やかに回答できるようにしておくことが必要である。

さらに、承認後であっても継続して品質確保を図る必要があるので、「医薬品、医薬部外品、化粧品及び医療機器の品質管理の基準に関する省令」(平成16年厚生労働省令第136号)第7条に基づき、品質に係る変更等があった場合には、速やかに原薬の製造業者から製造販売業者に連絡されるような体制を構築しておくこと。変更の連絡を受けた製造販売業者は、変更内容に応じて、一部変更承認申請又は軽微変更届等の手続を適切に行われたい。

Q3

原薬等登録原簿(以下「MF」という。)に登録されている原薬であれば、承認書には具体的な製造方法の情報が記載されないので、MF登録業者が品質に係る情報を把握しておくことでよいか。

A3

承認書の製造方法欄にはMF登録された原薬に係る詳細な情報は記載されていないが、製造販売業者が原薬に係る情報を入手しなくてよいとされるものではなく、MF登録情報のうち「原薬等登録原簿の利用に関する指針について」(平成17年2月10日付け薬食審査発第0210004号厚生労働省医薬食品局審査管理課長通知)の別添で開示すべきとされた情報を適切に入手しておくことが必要である。

Q4

製造方法欄は、2月10日通知の記載要領(以下「記載要領」という。)で示されている承認申請書記載例に基づき記載する必要があるのか。

A4

医薬品の特性によって記載すべき内容は異なるため、必ずしも記載例に基づき記載する必要はないが、記載要領を参考に、品質確保に必要な事項を適切に記載すること。

Q5

記載要領で示されている重要工程の設定は、2月10日通知の承認申請書記載例で示された重要工程と同一にならない場合もあるという理解でよいか。

A5

医薬品の特性によって設定すべき重要工程は異なるので、例えば、錠剤であっても、記載例(別添2の2.Bの錠剤の記載例)のように有効成分の溶出性に大きな影響を与えることから糖衣コーティング工程が重要工程になるものもあれば、そうした影響が小さいことから同工程が重要工程にならないものもあり得る。重要工程として設定すべきか否かについては、申請者が、品質確保を図るための要素の一つとして、品質を確保するために設定しておいた方がよい工程か、当該工程での製造結果の是非は品質確保のための他の要素(工程管理試験、製品規格試験等)により判定できる工程なのか等を考察し、かつ適切にデータを収集した上で判断されたい。

なお、審査の過程で重要工程の設定に関して照会があった場合は、申請者が検討の際に収集したデータ等に基づき十分説明できるようにしておくこと。

Q6

重要工程として設定された工程は、すべての操作手順について操作条件やパラメータ等を詳細に記載することが必要か。

A6

重要工程として設定し、記載する場合であっても、その事項、内容や詳細さは、その工程が果たす品質確保上の位置づけによっても変わりうるものである。

記載要領では、品質確保に必要な情報を適切に記載するほか、重要工程であれば、工程が管理されていることを保証するために実施される管理手法等を記載することとしているが、記載内容については個々の操作手順によっても異なるものであり、一律に詳細な記載を求めているものではない。

Q7

記載要領の用語の説明では、例えば、「品質終点基準」として粒度分布が例示されているが、「粒度別含量分布が大きく変化する顆粒」ではなく、「次工程で起こりうる偏析のため最終製品の均一性に重要な影響を与える」ものではないと判断される場合は、粒度分布が品質終点基準にならない場合があるという理解でいいか。

A7

そのとおり。粒度分布に限らず、記載要領で示されているものは例示であり、医薬品の特性や品質確保の目的により品質終点基準は変わり得るものである。Q&A4及び5も参照すること。

Q8

混合工程や造粒工程等で、記載例では乾燥時間や温度、混合時間等が記載されているが、工程管理基準を設定することで、乾燥時間等の操作条件のパラメータを具体的に記載しなくても品質に影響を与えないと判断できる場合は、工程管理基準を適切に記載することで操作条件のパラメータを記載しないことも可能か。

A8

製造工程については、品質確保のために必要な事項を記載するものであるが、医薬品によって製造方法は異なるため、記載例と同様の操作条件のパラメータ、工程管理基準等を必ずしも記載する必要はなく、個々の医薬品の品質確保における当該製造方法の位置づけに基づき、必要なパラメータや工程管理基準を適宜設定すること。

操作条件のパラメータを記載しなくても、「医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令」(平成16年厚生労働省令第179号。以下「GMP省令」という。)に基づく管理において具体的な操作条件のパラメータを設定し、承認書で設定された工程管理基準により品質が確保されると判断できる場合は、そのように記載することも可能である。ただし、工程管理基準のみ設定すれば、操作条件のパラメータの記載を一律に不要にできるものではないので、操作条件の変更がどの程度品質に影響を与えるものなのか、十分データを集めた上で判断する必要がある。

なお、審査の過程で製造方法の記載に関して照会があった場合は、申請者が保有しているデータ等に基づきそのように判断した理由を適切に説明すること。

Q9

審査の過程で製造方法の記載に関して照会があった場合、GMP省令に基づく各種文書に必要な事項が記載されていることだけをもって、承認申請書への記載を省略したと回答してもよいか。

A9

GMP省令に基づく文書に記載されていることだけを示すのではなく、申請者が保有しているデータ等に基づきそのように判断した理由を適切に説明すること。

Q10

記載例では、打錠工程の工程管理として含量均一性試験が示されているが、当該試験を最終製品の規格試験として実施し、打錠工程の工程管理としては質量、厚み、硬度等の測定により品質が確認できる場合には、必ずしも例示で示した試験を工程管理基準として設定しなくてもよいか。

A10

当該工程における品質確保の観点から、適切に管理できる工程管理基準を設定し、それに基づき適切に記載することでよい。

Q11

製造機器の容量の記載はすべて必要なのか。

A11

設備容量の設定が品質に影響を与える場合には記載すること。

なお、設備容量の記載を省略する場合には、審査の過程で製造方法の記載に関する照会に対して、申請者が保有しているデータ等に基づきそのように判断した理由を適切に説明すること。

Q12

製造機器の型番・種類名の記載はすべて必要なのか。

A12

操作原理等の説明や品質確保のために機種を特定することが必要な場合は記載すること。

Q13

工程の書き方は、記載例のように原薬は「step○」、製剤は「第○工程」と示されているが、原薬と製剤の製造工程が書き分けられているのであれば、原薬と製剤をそれぞれ「第一工程、第二工程・・・」と記載してもよいか。

A13

製造工程が明確になっているのであれば、必ずしも原薬の製造工程を「step○」と記載しなければならないものではない。

Q14

造粒工程で用いる結合溶媒が水又はエタノールの場合、溶媒の分量を具体的に記載する必要はあるか。

A14

品質確保のために分量を具体的に記載することが必要な場合は分量を記載すること。原材料、環境中湿度等により変動がある場合は、標準的仕込量の記載で差し支えない。

なお、水又はエタノール以外の溶媒については適宜分量を記載すること。

Q15

中間体や原薬の反応工程等で用いる抽出溶媒や遠心分離等で用いる洗浄溶媒について分量の記載は必要か。

A15

品質確保のために分量を具体的に記載することが必要であれば記載すること。

Q16

医療用医薬品では包装単位を備考欄に記載することになっているが、製造方法欄の包装工程に包装単位を記載する必要はあるのか。

A16

原則として必要ない。ただし、最終包装形態での安定性は適切に確認しておくこと。

なお、安定性への影響等の観点から包装形態として具体的な包装単位の記載が重要な場合は、製造方法欄への記載が必要なこともあり得る。