添付一覧
○「マイクロドーズ臨床試験の実施に関するガイダンス(案)」に対する意見募集の結果について
(平成20年6月3日)
(事務連絡)
(各都道府県衛生主管部(局)あて厚生労働省医薬食品局審査管理課通知)
「マイクロドーズ臨床試験の実施に関するガイダンス」(平成20年6月3日付け薬食審査発第0603001号厚生労働省医薬食品局審査管理課長通知)の発出に伴い、標記意見募集の結果に対する当省としての考え方を別添のとおりとりまとめたので、貴管下製造販売業者等への周知方よろしくお願いいたします。
(別添)
平成20年6月3日
厚生労働省医薬食品局
審査管理課
「マイクロドーズ臨床試験の実施に関するガイダンス(案)」に対する意見募集の結果について
「マイクロドーズ臨床試験の実施に関するガイダンス(案)」については、平成19年12月28日から平成20年2月8日までの間、ご意見の募集を行ったところ、総数311件のご意見をいただきました。
今般、お寄せいただいた御意見のうち、本パブリックコメントの対象となる主なものを整理集約し、それらに対する当省の考え方について別紙のとおり取りまとめましたのでお知らせいたします。
今後とも厚生労働行政の推進に御協力いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
(別紙)
1.基本的考え方について
(1) 健常者という用語は、「健康な被験者」とした方が、より適切と考える。 |
○ ご指摘を踏まえ、修正いたします。
(2) 今般のガイダンスは主として低分子化合物を適用範囲としているが、その中でも、本試験実施が望ましい医薬品の種類はあるか。 |
○ 今般とりまとめたガイダンスは、マイクロドーズ臨床試験実施に当たっての現時点における基本的考え方をとりまとめたものであり、その旨、通知中に明記いたします。
また、御指摘の内容については、今後の科学的知見の集積を踏まえ明らかになるものと考えます。
(3) 生物由来製品の中でも作用機序等がよく分かっているものなど、安全係数を考慮すれば本ガイダンスを適用してもよいのではないか。 |
○ 生物由来製品の安全係数をどの程度考慮すべきか等については個別品目毎の事情により異なると考えられ、現時点においてガイダンスとして示すことは困難と考えます。
(4) 定義において「通常、100μg以下かつ薬効発現量の1/100を超えない量」とされているが、拡張型単回投与毒性試験で得られる無毒性量との関係をどのように考慮すべきか。 |
○ 抗がん剤など、まれに薬効発現量よりも最大無毒性量(NOAEL)の方が低用量である場合があり、このような場合、より低用量である最大無毒性量(NOAEL)の1/100量又は100μgのいずれか少ない方をマイクロドーズ臨床試験の最高用量として選択すべきです。
○ ご指摘を踏まえ、定義を以下のとおりわかりやすく修正するとともに、上記の主旨を注1―1に追記します。
「マイクロドーズ臨床試験とは、ヒトにおいて薬理作用を発現すると推定される投与量(以下「薬効発現量」という。)の1/100を超えない用量又は100μgのいずれか少ない用量の被験物質を健康な被験者に単回投与することにより行われる臨床試験をいう」
「注1―1:抗がん剤など、まれに薬効発現量よりも最大無毒性量(NOAEL)の方が少ない場合がある。NOAELについては、拡張型単回投与毒性試験(「2.マイクロドーズ臨床試験の実施に当たり必要な非臨床試験等の範囲」参照)により明らかにすることとしているが、薬効発現量よりも最大無毒性量(NOAEL)の方が少ない場合には、最大無毒性量(NOAEL)の1/100を超えない用量又は100μgのいずれか少ない用量をマイクロドーズ臨床試験の最高用量として採用すべきである。」
(5) 「マイクロドーズ臨床試験については、将来的な医薬品の承認申請時に当該試験結果を提出する必要がある」とあるが、全ての医薬品について承認申請時にマイクロドーズ臨床試験結果を提出する必要があるとも読めるので、適切な表現とすべき。 |
○ ご指摘を踏まえ、以下のとおり修正します。
「医薬品開発の過程でマイクロドーズ臨床試験が実施された場合、将来的な医薬品の承認申請時に当該試験結果を提出する必要があることから、…」
(6) 「従来の医薬品とは全く異なる作用機序による薬理作用を期待した低分子化合物を投与する場合については、個別にその安全性等についての考察が必要であり、本ガイダンスをそのまま適用することはできない。」とあるが、この場合、低分子化合物に限定する必要はないのではないか。 |
○ ご指摘を踏まえ、以下のとおり修正します。
「従来の医薬品とは全く異なる作用機序による薬理作用を期待した化合物を投与する場合については、個別にその安全性等についての考察が必要であり、本ガイダンスをそのまま適用することはできない。」
(7) 今般のガイダンスは、複数の候補物質を混合して投与することが対象かどうか不明であり、その旨記載できないか。 |
○ 今般とりまとめたガイダンスは、マイクロドーズ臨床試験実施に当たっての現時点における基本的考え方をとりまとめたものであり、御指摘の内容については、今後の科学的知見の集積を踏まえ検討すべきものと考えます。
(8) 目的に「局在及び受容体占有率に関する情報を得ること」とあるが、受容体占有率を求めることは困難であり、この目的としては「局在性に関する情報」と表現すれば十分ではないか。 |
○ ご指摘を踏まえ修正します。
(9) マイクロドーズ臨床試験により、民族的因子の影響を検討することは可能か。 |
○ 今般とりまとめたガイダンスは、マイクロドーズ臨床試験実施に当たっての現時点における基本的考え方をとりまとめたものであり、御指摘の内容については、今後の科学的知見の集積を踏まえ検討すべきものと考えます。
(10) マイクロドーズ臨床試験は候補物質のヒトにおける忍容性を明らかにするものではないことを確認したい。 |
○ マイクロドーズ臨床試験における用量から明らかなとおり、ヒトにおける忍容性を明らかにすることを目的にするものではありません。
(11) マイクロドーズ臨床試験の実施の意義として、候補物質のスクリーニングや医薬品開発の成功確度向上といったことも記載してはどうか。 |
○ マイクロドーズ臨床試験における実施の目的としては、本文記載のとおり医薬品の臨床開発の初期段階における被験物質の薬物動態に関する情報取得にあり、その情報に基づく製薬企業の活用如何について、ガイダンス中に記載する必要はないものと考えます。
(12) マイクロドーズ臨床試験の実施の目的としては、候補物質の血中動態だけでなく、尿/糞中の排泄動態に関する情報取得も重要な目的であり、適切な記載ぶりとすべきではないか。 |
○ ご指摘を踏まえ、以下のとおり修正します。
「マイクロドーズ臨床試験実施の目的は、被験物質のヒトにおける薬物動態に関する情報を医薬品の臨床開発の初期段階に得ることである。具体的には、被験物質の吸収や血中動態、排泄特性、ヒトにおける代謝物プロファイル等を明らかにすること、分子イメージング技術を用いて被験物質の体内における局在に関する情報を得ること等である。」
(13) マイクロドーズ臨床試験に際して使用する測定機器としては、AMSやLC/MS/MSに限らないと思われるので、適切な記載ぶりとすべきではないか。 |
○ ご指摘を踏まえ修正します。
(14) マイクロドーズ臨床試験は、血漿だけでなく全血又は血清から測定する可能性もあり、適切な記載ぶりとすべきではないか。 |
○ ご指摘を踏まえ修正します。
(15) マイクロドーズ臨床試験の主な測定法として、AMS、LC/MS/MS、PETがあげられているが、測定法の優先順位はあるか。 |
○ マイクロドーズ臨床試験実施の目的に応じ、適切な測定法を選択すべきであり、優先順位は特にないと考えます。
(16) マイクロドーズ臨床試験では初回通過効果、生物学的利用率の測定は困難ではないか。 |
○ 経口投与による成績と、静脈投与による成績を比較することで、初回通過効果、生物学的利用率を求めることができます。
2.マイクロドーズ臨床試験の実施に当たり必要な非臨床試験等の範囲
(1) 「拡大型単回投与毒性試験」とあるが、通常の「単回投与毒性試験」に検査項目を追加したものであり、「拡張型単回投与毒性試験」としたほうがより適切と考える。 |
○ ご指摘を踏まえ、修正いたします。
(2) 医薬品としての予定投与量の数百倍を投与しても毒性が発現しない被験物質もあり、単に100倍量と規定するのではなく、投与可能な量を上限とすべきではないか。 |
○ マイクロドーズ臨床試験に関する最近のICHにおける議論においては、「拡張型単回投与毒性試験」における上限量を医薬品としての予定用量の1000倍(体表面積換算)とされており、その旨反映します。
なお、個別被験物質の性状等に応じ、1000倍以上の投与量を上限とすることは差し支えないと考えます。
(3) 「拡張型単回投与毒性試験」において、実験動物に対する投与前一定期間の絶食は必ずしも必要ないと考えるがどうか。 |
○ 絶食期間を設けるべきかどうかについては、被験物質の特性などを考慮して判断すべきであり、ガイドラインとして一律に規定することは困難と考えられることから、ご指摘を踏まえ、記載を削除します。
(4) 「拡張型単回投与毒性試験」において推奨される動物数は記載できないか。 |
○ 用いるべき動物数については、個別のケース毎に適切に検討するべきものと考えます。
(5) 「適切な時期(通常、投与翌日及び2週間の観察期間終了時)に血液検査、血液生化学検査及び病理組織学的検査(通常、高用量群のみ)を行う。」とあるが、病理組織学的検査については、できるだけ多くの臓器・組織について検査を行うべきと考えるがどうか。 |
○ できるだけ多くの臓器・組織について病理組織学的検査を行うことを妨げるものではありませんが、被験物質の特性や生化学的検査に基づいて、適切な臓器・組織を選択し、実施することでよいと考えます。
(6) 「適切な時期(通常、投与翌日及び2週間の観察期間終了時)に血液検査、血液生化学検査及び病理組織学的検査(通常、高用量群のみ)を行う。」とあるが、高用量群のみを行うのは病理組織学的検査であることをわかりやすく表現すべき。 |
○ ご指摘を踏まえ、以下のとおり修正します。
「また、適切な時期(通常、投与翌日及び2週間の観察期間終了時)に血液検査、血液生化学検査及び病理組織学的検査を行う。
なお、病理組織学的検査については、高用量群に組織学的変化がなければ、対照群及び高用量群のみ行うことで差し支えない。」
(7) マイクロドーズ臨床試験は薬効発現量の1/100以下という極めて低用量かつ単回投与であることから、主要臓器に器質的な変化が生じることはまれであり、拡張型単回投与毒性試験における病理組織学的検査は不要ではないか。 |
○ 当該検査は、マイクロドーズ臨床試験としてヒトに用いる前に、動物試験データとして最低限確認しておく必要があると考えます。
(8) マイクロドーズ臨床試験実施前の段階においては、当該被験物質の医薬品としての予定投与経路が確定していないケースもあり、マイクロドーズ臨床試験で予定している投与経路で「拡張型単回投与毒性試験」を実施することで差し支えないと考えるがどうか。 |
○ ご指摘を踏まえ、以下のとおり修正します。
「投与経路としては、当該被験物質のマイクロドーズ臨床試験における予定投与経路とする。」
(9) 「拡張型単回投与毒性試験」の観察期間は「2週間とし」とあるが、「2週間を目安とし」の方がより適切ではないか。 |
○ 遅延毒性を確認するためには最低限2週間の観察期間が必要です。
なお、化合物によっては毒性の発現時期やその継続期間が異なることから、被験物質の特徴に応じ、観察期間を更に長期間設定することは適当と考えます。
(10) 「観察期間は2週間」とされているが、この期間は薬剤の半減期にかかわらず2週間としてよいか。 |
○ 多くの医薬品は2週間程度で半減期を超えるものと考えますが、半減期が2週間を超えるような被験物質については、被験物質の特徴に応じ、観察期間を更に長期間設定することが適当と考えます。
(11) 「拡張型単回投与毒性試験」に関する記載の中で安全域(margin of safety)の記載があるが、どの程度の安全域が必要か。 |
○ 通常、体表面積換算で100倍以上であれば十分と考えられ、その旨追記します。
(12) マイクロドーズ臨床試験の実施前までに安全性薬理試験を終了しておく必要はないと思うがどうか。 また、マイクロドーズ臨床試験の実施前に明らかにしておくべき薬理作用とはどのようなものか。 |
○ マイクロドーズ臨床試験における投与量が極微量であること、拡張型単回投与毒性試験においてバイタルファンクションは観察可能であることなどから、ご指摘のとおり、必ずしもマイクロドーズ臨床試験の実施前までに「安全性薬理試験」を終了しておく必要はないと考えます。
また、マイクロドーズ臨床試験の実施前に、被験物質の主たる薬理作用について明らかにしておくべきと考えられ、以下のとおりその趣旨を明確化します。
「薬理作用に関し、マイクロドーズ臨床試験の実施前に、安全性薬理試験を終了させておくことは必ずしも必要ではないが、適切なin vivo/in vitro試験により、治療標的に関連した薬理作用など、被験物質の主たる薬理作用について明らかにしておく必要がある。
また、薬効発現量を明らかしておくことが必要である。(「3.最高投与量設定の方法」参照)。」
(13) 注2―2の記載「単なる安全域の確立よりも、最小毒性発現量の確立及びそれらの毒性の性質に関する情報を事前に入手する方が有用であると考えられる。」については、重要な言及なので、本文中に記載してはどうか。 |
○ ご指摘の趣旨を踏まえ修正し、注2―2は削除します。
3.最高投与量設定の方法
(1) 注3―1において、「有効血漿中濃度がヒト組織や細胞を用いたin vitro又は動物を用いたin vivoデータを基に予測可能であれば、より精度の高い方法として、次の注3―2の方法が推奨される。」とあるが、薬効発現量の推定には、ヒト由来物を用いたin vitro試験と動物でのin vivo試験結果を総合的に評価することから適切な記載とすべき。 |
○ ご指摘を踏まえ、以下のとおり修正いたします。
「動物を用いたin vivoデータ及びヒト組織や細胞を用いたin vitroデータ等を総合的に評価して有効血中濃度が予測可能であれば、より精度の高い方法として、次の注3―2の方法が推奨される。」
(2) 注3―2において、「血漿タンパク結合の動物とヒトとの種差を補正し、」とあるが、タンパク結合を補正した場合と補正しない場合の両者について計算し、低い方を採用する考え方もあるのではないか。 |
○ ご指摘を踏まえ、以下の記載を追記します。
「なお、遊離型、結合型それぞれの作用発現への寄与が不明の場合には、タンパク結合を補正した場合としない場合の両者を計算し、より低い方を採用する。」
4.放射性標識体による被験者の内部被ばくに対する考え方
(1) AMSを用いる場合において、国際放射線防護委員会(ICRP)勧告以下で実施可能とされているが、この場合においても内部被ばくに関する評価が必要と考えて良いか。 |
○ ご指摘のとおりであり、その旨明確に記載します。
(2) 国際放射線防護委員会(ICRP)勧告に関する引用文献として、Publication 68が引用されているが、一般公衆の年間線量限度を勧告するpublication 60の方がより適切ではないか。 |
○ ご指摘を踏まえ修正します。
(3) AMSを用いる場合の上限線量を規定する必要はないか。 |
○ 本文記載のとおり、マイクロドーズ臨床試験における使用線量としては、一般的にICRPによる勧告に示された「一般公衆の年間被ばく線量限度」以下で実施可能であること、また個々の臨床試験ごとに被験者の内部被ばくについて評価を実施することとされていることから、上限をガイドラインで規定する必要は乏しいと考えます。
(4) AMSを用いる場合において、障防法の規定に基づく下限数量以下で実施可能である旨の記載があるが、同法に基づく下限数量は内部被ばくの有無を勘案して設定したものではなく、ICRPによる勧告で示された線量との比較で十分ではないか。 |
○ ご指摘のとおり、マイクロドーズ臨床試験のガイドラインとしてはICRPによる勧告で示された線量との比較において、それ以下で実施されることを示すことで十分と考えますが、障防法は「放射性同位元素の使用その他の取扱いを規制することにより、これらによる放射線障害を防止し、公共の安全を確保することを目的」とする法律であり、同法で規定する下限数量以下であることも参考情報として有用と考え、注4―2に記載することにします。
(5) 注4―3及び4―4については、AMSを用いる場合とPETを用いる場合の両者に関連することから、その旨明確にした方がよいのではないか。 |
○ ご指摘を踏まえ修正いたします。
(6) 注4―3に関し、AMSを用いる場合においては、有色動物を用いた体内分布試験が原則必要と考えて良いか。 |
○ ご指摘のとおりです。
(7) 注4―1におけるICRPの体内動態モデルに関する記載について、ICRPの実効線量及び線量係数については成人についてのものであるから、その旨明確にした方がよいのではないか。 また、関連する引用文献10)については、ICRPのpublication 72を直接引用した方がよいのではないか。 |
○ ご指摘を踏まえ修正します。
(8) 注4―1における「ヒトに500nCi投与した場合の線量係数は、10.7μSv/18.5kBqと計算される。」とあるが、「成人に500nCi投与した場合の実効線量は、10.7μSvと計算される。」が正しいのではないか。 |
○ ご指摘を踏まえ修正します。
(9) 注4―1において、14Cを500nCi経口投与した場合の実効線量に100倍の安全係数をかけて一般公衆の被ばく線量限度と比較しているが、放射線領域において安全係数100倍は一般的ではなく、個別ケース毎に係数を考慮すべきではないか。 |
○ ご指摘を踏まえ修正します。
(10) 注4―3において、14Cに関する動物体内分布試験について詳細な方法が示されているが、必ずしもこの方法にこだわらなくても良いか。 |
○ ご指摘の動物体内分布試験については、医薬品の開発過程においては、マイクロドーズ臨床試験実施前に実施すること以外に頻繁に行われているとは思われないことから、一般的な試験法として紹介しました。
この試験法にこだわらず、これと同等以上の試験を実施することは差し支えないと考えます。
(11) 注4―4における「国際的に認められた方法」とは、具体的にどのようなものが該当するか。 |
○ 注4―1に記載している「ミルド法」が該当すると考えられます。
5.被験物質の品質管理に対する考え方
(1) 「マイクロドーズ臨床試験において使用する被験物質のうち、標識していない被験物質については、その前に実施する非臨床試験で用いたものと同一ロットで実施することが望ましい。」旨の記載があるが、放射性標識体の場合には必ずしも非臨床試験で用いたものと同一のロットを求めていないことから、標識していない被験物質についても、同一ロットでなくても良いのではないか。 |
○ 標識していない被験物質について非臨床試験で用いたロットと異なるものをマイクロドーズ臨床試験に用いる場合には、両ロット間の同等性を適切な方法により示す必要があります。
(2) 「一般に放射性標識体による非臨床試験の実施は困難であり、」とあるが、実施困難であるかどうかは個別事情にもより、可能であれば実施を妨げるものではないと考えるので、該当部分は適切な表現に変更する必要があるのではないか。 |
○ ご指摘を踏まえ、以下のとおり修正します。
「放射性標識体による非臨床試験の実施が困難な場合、標識していない被験物質による非臨床試験の結果は、厳密には放射性標識体そのものに関する結果とは言い難い。」
(3) 「マイクロドーズ臨床試験に用いる被験物質については、放射性標識体であっても、繰り返し何回も製造するケースはまれであり、むしろ1回の製造で必要量を賄うケースが一般的と考える。」とあるが、半減期の短い放射性標識体の場合、むしろ繰り返し製造することの方が一般的であることから、適切な表現に変更する必要があるのではないか。 |
○ ご指摘を踏まえ、以下のとおり修正します。
「マイクロドーズ臨床試験に用いる被験物質については、繰り返し何回も製造せずに1回の製造で必要量を賄う場合がある。」
(4) マイクロドーズ臨床試験に用いる被験物質の不純物については、極めて微量な成分を管理しなければならないことから、例えば、一定量以上の不純物について管理することとしてもよいか。 |
○ 試験の目的に応じて、適宜、一定量以上の不純物を管理することとして支障ないと考えます。
(5) 放射性標識体の製造方法について、標識していない被験物質の製造方法と異なる工程がある場合の考え方を示しているが、製法変更に伴う品質への影響を検証する主旨をもう少しわかりやすくできないか。 また、放射性物質としての化学的純度を検証すべきであり、ICHのガイドラインを参考にするなど、その旨明示できないか。 |
○ ご指摘を踏まえ、以下のとおり修正します
「放射性標識体の製造方法について、標識していない被験物質の製造方法と異なる工程がある場合、標識していない被験物質の品質管理を基本として、特に未知の不純物の有無や不純物プロファイルを検討するなど、当該製造工程の差異が品質にいかなる影響を及ぼすかについて検討する必要がある(注5―3)。
また、放射性標識体が適切な放射化学的純度を有していること、不純物に有意な放射活性がないことの確認等を行う必要がある。
その場合、前者の不純物に係る検討については、関連するICHのガイドライン(ICHQ3A)の考え方を参考にするとともに、前者及び後者の放射性純度等について、必要に応じ、非放射性原料を用いて放射性標識体の合成と同じ方法で一連の製造の実施(いわゆる「コールド・ラン」)を検討すべきである。」
(6) PETで測定する場合、「無菌試験などの生物学的検査については、必ずしもロット毎の試験実施を要求するものではない。」とあるが、半減期が短いというPETに用いる放射性標識体の特性上、全てのロットについてマイクロドーズ臨床試験前に無菌試験を実施することは困難であっても、ロット毎の無菌試験は実施すべきであり、その旨誤解のないよう記載すべきではないか。 |
○ ご指摘を踏まえ、以下のとおり修正します
「無菌試験などの生物学的検査について、治験薬GMPでは、通常、ロットごとに被験者への投与前の試験実施を求めているが、PETで測定する場合、その半減期が短いことなどから、マイクロドーズ臨床試験の実施前に無菌試験を完了することが困難と考えられる。この場合、マイクロドーズ臨床試験実施前にバリデーションやベリフィケーションなどの適切な方法により当該無菌工程に問題がないことを確認し、全てのロットについて無菌試験を実施することとした上で、無菌試験の完了前にマイクロドーズ臨床試験を実施する。」
(7) 「従来の工程に重要な製造工程の追加・変更を行う場合、変更後の製造工程により得られた被験物質による非臨床試験を改めて実施する必要がある」旨の記載があるが、例として適切か。 またその場合、全ての非臨床試験を実施する必要はないのではないか。 |
○ ご指摘を踏まえ、以下のとおり修正します。
「従来の工程に重要な製造工程の追加・変更を行う場合、治験薬GMPを遵守するほか、変更後の製造工程により得られた被験物質について、追加変更した製造工程の影響を勘案し、必要な非臨床試験をあらためて実施する。」
(8) 被験物質を静脈内注射する場合の無菌性担保に関する記載があるが、放射性標識体を希釈するプロセスのみならず、投与するまでの一連の過程内で無菌性は保証すべきであり、適切な表現とした方がよいのではないか。 |
○ ご指摘を踏まえ、修正します。
(9) AMSで使用する14C標識化合物について、これを標識していない被験物質で希釈して用いることから、治験薬GMPに基づいて実施する不純物プロファイル等の品質確認は、希釈後のものを対象に実施してよいか。 |
○ 個別の事情によると思われますが、そのような手法をとることの妥当性を検討した上で採用することはありうると思います。
なお、その場合、妥当性の検討について、文書により記録を保存しておくべきと考えます。
(10) 「5(3)治験薬の交付」については、GCP省令の改正を踏まえた記載とすべきではないか。 |
○ ご指摘を踏まえ、以下のとおり修正します。
「(3) 治験薬の交付
ここでは、被験物質の委託製造と関連して、その交付に関する主な留意点について述べる。
① 治験依頼者は、GCP省令第17条第1項の規定に基づき、当該治験依頼者の責任のもとで、治験薬の品質確保、運搬及び受領を確実に行うことを前提に、外部事業者又は実施医療機関等の第三者に被験物質の交付を委託することが可能である。
② なお、委託に当たり、治験依頼者は第三者との間で文書により必要な契約を行うべきである。契約に当たっては、例えば、当該委託に係る業務の範囲、業務の手順、当該委託に係る業務が適正かつ円滑に行われているかどうかを治験依頼者が確認できる旨等について規定するべきである。」
6.その他の留意事項
(1) 「治験審査委員会においては、内部被ばくに関すること、用量設定に関すること、測定機器に関することその他のマイクロドーズ臨床試験に特有の事項についても十分な検討がなされる必要がある」旨の記載があるが、AMSに用いる14C放射性標識体の場合、被験者の内部被ばくとしては、一般公衆の受ける年間被ばく線量以下で実施可能であり、治験審査委員会での検討は不要ではないか。 |
○ 14C放射性標識体を使用する場合であっても、被験者の内部被ばく線量が一般公衆の受ける年間被ばく線量以下であることを確認するなど、治験審査委員会においても適切な検討がなされる必要があります。
(2) 妊娠可能な女性、妊婦、小児、特定の患者などの集団でマイクロドーズ臨床試験を実施する場合の留意事項についての記載があるが、妊婦や患者に対するマイクロドーズ臨床試験の実施は、あまり想定されないのではないか。 |
○ ご指摘を踏まえ、修正いたします。
(3) 被験者の選定及び適格基準の中で、マイクロドーズ臨床試験におけるリスク・ベネフィットの比較考量についての言及があるが、健康被験者に対する投与について、リスク・ベネフィットの考え方は馴染まないのではないか。 |
○ ご指摘を踏まえ、修正いたします。
(4) 被験者への説明と同意の中で、内部被ばくについての説明の例として「日常生活レベルを超えない」としているが、「自然放射線レベルを超えない」といった表現が適切と考える。 |
○ 「自然放射線レベル」という用語を用いるのであれば、それが如何なるものか、被験者に適切に理解いただく工夫が必要と考えます。
(5) 被験者への説明と同意の中で、健康被害が生じた場合の補償に関する言及があるが、これはマイクロドーズ臨床試験に特有の事項ではなく、治験一般に求められていることではないか。 |
○ ご指摘のとおりであり、より適切な表現にします。
(了)