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○医薬品の安全性に関する非臨床試験の実施の基準に関する省令の一部を改正する省令による改正後の医薬品の安全性に関する非臨床試験の実施の基準に関する省令の取扱いについて

(平成20年6月13日)

(薬食発第0613007号)

(各都道府県知事あて厚生労働省医薬食品局長通知)

医薬品の製造販売承認を受けようとする者等が行う医薬品の安全性に関する非臨床試験については、医薬品の安全性に関する非臨床試験の実施の基準に関する省令(平成9年厚生省令第21号。以下「医薬品GLP省令」という。)により定められているところである。

近年、医薬品の開発は国際的に実施されており、非臨床試験についてはその信頼性を確保しつつ、諸外国の試験施設と共同で試験を実施するなど、効率的に行う必要があり、また、非臨床試験を複数の場所にわたって実施する例がみられ、経済開発協力機構(OECD)によるGLP原則においても、このような事例に対応する諸規定を設けているところである。このような状況を踏まえ、非臨床試験のより一層の信頼性を確保するため、今般、医薬品の安全性に関する非臨床試験の実施の基準に関する省令の一部を改正する省令(平成20年厚生労働省令第114号。以下「一部改正省令」という。)が公布され、本年8月15日から施行されることとなった。

一部改正省令による改正後の医薬品GLP省令の取扱い等については下記のとおりであるので、御留意の上、貴管下関係業者に対し、周知徹底を図られるようお願いする。

1 各条について

(1) 第2条関係

第5項の「生データ」とは、ワークシート、ノート、覚書又はそれらの正確な転写等の最終報告書の再構成と評価に必要なものをいい、写真、マイクロフィルム、マイクロフィッシュ、コンピュータ記録、観察結果が口述された磁気記録、自動装置により記録された試験結果等を含むものであること。

(2) 第4条関係

ア 第1項の「委託する者」及び第2項の「委託した者」には、第19条に規定する「複数の場所にわたって実施される」試験(以下「複数場所試験」という。)においては、試験の一部を委託する者及び委託した者も含まれること。同様に第1項の「受託する者」には、試験の一部を受託する者も含まれること。

イ 第2項の「確認」の方法は、各事例ごとに適切な方法をとればよく、必ずしも委託者による受託者への実地の調査を必要としないこと。

ウ 第3項の「文書により記録」のうち通知の記録は、契約書その他の文書への記載により行ってよいこと。

(3) 第5条関係

ア 第1項の「当該業務を遂行しうる能力を有するもの」は、本省令のうち、関与する試験部分が対象となる条項について熟知している必要があること。

イ 第2項の「保健衛生上必要な注意」には、試験に従事する者の業務の遂行に適した着衣の使用、試験の信頼性に悪影響を及ぼす疑いのある疾病にかかっている者の試験責任者、運営管理者等の適切な者への報告と健康状態が改善されるまでの間の試験への関与禁止等を含むものであること。

(4) 第6条関係

ア 第1号の「試験責任者」とは、当該試験の実施全般に対して責任を有する者をいう。運営管理者は、試験責任者として当該試験を実施、監督等するために十分な能力及び経験を有している者を指名すること。また、試験責任者が交替する場合に行う指名は、定められた手順に基づいて行い、これを文書として記録し保存すること。

イ 第2号の「信頼性保証部門」とは、当該試験を実施する組織から独立し、試験施設で行われる試験がこの省令に従っていることを運営管理者に対して保証するための組織をいう。

ウ 第5号及び第6号には、施設、設備、機器、材料及び職員が、試験を適切に実施するために確保されていることの確認が含まれること。

エ 第9号の「主計画表」は、当該試験施設における作業量の評価及び試験経過が把握できるように作成されること。

オ 第10号の「その他試験施設の運営及び管理に関する業務」には、次の内容が含まれるものであること。

① 当該試験施設における運営管理者を特定する文書を備えること。

② 信頼性保証部門の各担当者(以下「信頼性保証部門担当者」という。)が承認された試験計画書を試験責任者から入手していることを確認すること。

(5) 第7条関係

ア 第3号の「予見することができなかった」事態には、試験計画書及び標準操作手順書からの逸脱が含まれるものであること。試験責任者は、それらの事態が試験の信頼性等に与える影響を評価し、「信頼性に影響を及ぼす疑いのある事態」については、試験に従事する者の措置を踏まえ、その内容及び改善措置が文書により記録されていることを確認すること。

イ 第6号の「適切に管理」には、試験中の試験関係資料の散逸、改ざん等を防ぐ方策を定めることが含まれること。

ウ 第7号の「その他試験の実施、記録、報告等の管理に関する業務」には、次の内容が含まれるものであること。

① 信頼性保証部門担当者に試験計画書及びその変更の写しを遅滞なく配布等を行い、また試験実施中は必要に応じて信頼性保証部門担当者と密に連絡を取ること。

② 試験計画書及びその変更並びに該当する標準操作手順書を試験に従事する者が利用できるようになっていることを確認すること。

③ 試験に使用される機器、材料等が試験に悪影響を及ぼさないよう留意すること。

④ 試験に使用されるコンピュータシステムは適切にバリデーションが実施されていることを確認すること。

(6) 第8条関係

ア 第1号の「主計画表の写し」及び第2号の「標準操作手順書及び試験計画書の写し」の保存は、信頼性の確保されたコンピュータシステムを用いて行ってもよく、必ずしも書面による保存を求めるものではないこと。

イ 第3号の「試験の信頼性を保証する」調査とは、試験ごとの調査、施設ごとの調査及び試験実施過程の調査に分類される。試験実施過程の調査とは、試験実施過程の一部を、他の試験の調査結果により保証する調査方法をいう。当該調査においては、調査の項目、内容及び時間的な許容範囲等、調査に必要な事項を標準操作手順書に規定しておくこと。また、試験ごとの調査によらず、当該試験実施過程の調査が可能である旨の根拠を明確にしておくこと。

ウ 第8号の「第三号及び前号の確認を行った日付及びその結果が運営管理者及び試験責任者に報告されていることを記載した文書」(以下「信頼性保証陳述書」という。)には、確認を行った日付及びその結果が運営管理者及び試験責任者に報告されていることのほか、調査を実施した試験段階及びその実施日並びに当該試験に対し複数の種類の調査を実施した場合の調査の種類を明記すること。

エ 第10号の「その他当該試験施設で行われる試験がこの省令に従って行われていることを保証するために必要な業務」には、次の内容が含まれるものであること。

① 試験計画書にこの省令を遵守するために必要な情報が記載されていることを確認し、この結果を記録として残すこと。

② 試験に従事する者が試験計画書及び該当する標準操作手順書を利用し、その内容を遵守していることを確認すること。

オ 第3項の「第一項の規定により保存される文書」とは、信頼性保証部門によって実施された調査の記録であり、信頼性保証部門等で保存した後、適切な時期に資料保存施設に移管して保存すること。

(7) 第9条関係

ア 第2項の「飼育施設」は、必要に応じ次の各号に定める機能を果たし得るものであること。

① 種別又は試験系別の分離飼育

② 試験計画ごとの分離飼育

③ 動物の検疫

④ 通常又は特殊な動物飼育

イ 第2項の「動物用品供給施設」は、必要に応じ飼料、床敷、補給品及び機器の保管場所としての機能を果たしうるものであること。

ウ 第2項の「その他必要な施設設備」は、次のものを含むものであること。

① 揮発性物質、放射性物質又は感染性因子等を用いる試験を他の飼育施設と隔離して実施しうる動物室又は区域

② 疾病動物の隔離及び治療ができる設備

③ 試験系からの廃棄物を収容し、衛生的に処理する設備又は試験施設から搬出するまで廃棄物を安全かつ衛生的に保管する設備

エ 第3項の「被験物質等の取扱区域」は、被験物質及び対照物質の汚染又は混同を防ぐために、次の各号に定める機能を果たしうるものであり、かつ、これらの物質の品質が保持されるように設計すること。

① 被験物質及び対照物質の受領及び保管

② 被験物質又は対照物質と媒体との混合

③ 被験物質又は対照物質と媒体との混合物の保管

オ 第3項の「試験操作区域」は、生化学検査、病理組織学的検査等の定期的な測定業務及び各種の操作を行うため、必要に応じ分離されたものであること。

カ 第3項の「その他の試験を適切に実施するために必要な区分された区域」は、次のものを含むものであること。

① バイオハザードの対象となりうるような動物又は微生物の構成部分を使用する場合の隔離区域

② 試験実施中に使用される補給品及び機器の洗浄、滅菌及び保存のための分離された区域

キ 第4項の「資料保存施設」とは、試験関係資料の確実な保存と検索ができ、かつ、保存されている試験関係資料を品質低下から保護できるものであり、そのための指定区域、施設又は設備(キャビネット、部屋、建物、コンピュータシステム等)を指す。試験関係資料は試験施設における資料保存施設において保存することを原則とするが、外部の契約型施設を資料保存施設として利用することを妨げるものでないこと。なお、外部施設を資料保存施設として利用する場合にも、当該施設は医薬品GLP省令等の規定を満たす必要があり、その保証の責任は運営管理者にあること。

(8) 第10条関係

第2項の「保守点検」には、標準操作手順書に従って定期的に実施されるテスト、校正、標準化等を含むものであること。

(9) 第11条関係

ア 第1項の「標準操作手順書」とは、通常は試験計画書に詳しく記載されていない試験、業務の実施方法等を文書化したものであること。

イ 標準操作手順書は運営管理者の責任において作成するものであること。

ウ 標準操作手順書を補足するものとして文献等を利用することができること。

エ 第1項第1号の「管理」には、各部門における受領、表示、保管、取扱い、媒体との混合、サンプリングの方法等を含むものであること。

オ 同項第2号の「機器の保守点検及び修理」には、機器の点検、清掃、保守、テスト、校正及び標準化の方法及び実施計画(スケジュール)並びに機器が故障あるいは機能不全を生じた際にとられる修理手続を明記すること。

カ 同項第11号の「生データの管理」には、記録類の維持管理、保存及び検索が含まれること。

キ 同項第12号の「信頼性保証部門が行う業務」とは信頼性保証部門による調査の計画、実施、文書化、報告等の業務であること。

ク 同項第14号の「その他必要な事項」には、次の内容が含まれるものであること。

① 試薬等の調製、保管、ラベル表示等に関する事項

② 報告書等の作成

③ コンピュータシステムのバリデーション、操作、保守、セキュリティ、変更管理及びバックアップ

④ 複数場所試験に関する事項

(10) 第12条関係

ア 第1項の「記録」には、試験系の供給元及び受入日が含まれるものであること。

イ 第2項の規定により隔離した動物については、必要に応じ、試験に支障を来さない限り試験責任者による治療措置の承認を受けて治療を施すことができること。この場合において、治療を必要とした理由、当該治療措置の承認、治療法、治療薬剤、治療の日付、治療結果等を記録し、保管しなければならないこと。

ウ 第4項の「必要な措置」には、次の各号に定める措置を含むものであること。

① 必要に応じ、室内で各動物を識別するための情報をケージ、檻又は架台の外部に明示すること。

② 異種の動物は、原則として別々の飼育室に収容すること。

③ 同一の飼育室に同種の動物を収容し、異なる試験に使用する場合には、空間をおいた適切な区分及び識別を施すこと。

エ 第5項の「衛生的に管理」には、次の各号に定める措置を含むものであること。

① 動物のケージ、檻、架台及び附属装置については、清浄かつ衛生的に保持されるよう適切な間隔で所要の措置を講じること。

② 動物のケージ又は檻に使用される床敷については、試験の目的又は実施に支障を来すものであってはならず、かつ、動物を乾燥した清潔な環境に置くため、必要な頻度で取り替えること。

③ 動物の飼料及び水については、試験に支障を来す可能性があり、かつ、その存在が予期され得る混入物が試験計画書において設定されたレベル以上に存在しないことを確認するため、定期的に分析すること。この場合において、その分析の記録は、生データとして保管されなければならない。

④ 適切な試験の実施に支障を来すような洗剤又は殺虫剤は、これを使用しないこと。

⑤ 洗剤又は殺虫剤を使用した場合には、記録すること。

(11) 第13条関係

ア 第1項の「適切な管理」には、次の各号に定める措置を含むものであること。

① 適切な保管場所を確保すること。

② 汚染及び品質低下のおそれのない方法で配布を行うこと。

③ 配布の過程を通じて、必要な表示を行うこと。

④ 被験物質及び対照物質の同一性、含量又は力価、純度、組成等これらの物質を規定する特性については、試験施設が原則として試験開始前にロットごとに測定し、その結果を記録すること。この場合において、対照物質として市販の製品を用いる場合は、その物質を規定する特性についての表示を記録することにより、これらの測定又は記録に替えることができること。

⑤ 被験物質又は対照物質の安定性については、原則として試験の開始前に測定すること。試験開始前に安定性を測定できない場合にあっては、安定性試験に関する標準操作手順書を定め、それに従ってロットごとに定期的に分析を行うこと。

⑥ 被験物質又は対照物質の保管容器ごとに名称、略名又はコード番号及びロット番号を明記するとともに、有効期限のあるものについてはその日付、特定の保管条件が必要であるものについてはその条件を、それぞれ明記すること。なお、この場合において、専用の保管容器の特定が必要とされる被験物質については、その旨を指定すること。

⑦ 4週間以上にわたる試験に用いる被験物質及び対照物質のロットごとのサンプルを薬事法施行規則(昭和36年厚生労働省令第1号)第101条(第110条において準用する場合を含む。)又は第104条に規定する期間保存すること。ただし、被験物質及び対照物質のうち、品質が著しく変化するものにあっては、その品質が評価に耐えうる期間保存すれば足りること。

イ 第2項の「測定等により適切に使用」には、次の各号に定める措置を含むものであること。

① 被験物質又は対照物質を媒体と混合して使用する場合には、原則として被験物質等の投与開始前に混合後の被験物質又は対照物質の安定性を測定すること。投与開始前に安定性を測定できない事情がある場合にあっては、安定性試験に関する標準操作手順書を定め、それに従って定期的に分析すること。また、必要に応じ、被験物質等の投与開始前にその均一性を測定するとともに、混合物中の被験物質又は対照物質の濃度を定期的に測定すること。

② 混合物中の各成分については、使用期限があるときはその日付を保管容器に表示すること。この場合において、二以上の成分につき使用期限があるときは、早い方の日付を表示するものとすること。

(12) 第15条関係

ア 試験計画書は試験責任者の責任において作成するものであること。

イ 第1項の各号には次の内容を含むものであること。

① 第5号の「被験物質及び対照物質に関する事項」には、その名称、略称又はコード番号

② 第6号の「試験系に関する事項」には、その種、系統、数、年齢、性別、体重範囲、供給源、選択の理由及び識別方法

③ 第7号の「試験の実施方法に関する事項」には、偏りを小さくする実験計画法、試験系の環境条件、飼料の名称又はコード番号(混在する可能性がある汚染物が一定の濃度以上含まれていると、試験の目的又は遂行に支障を来す場合にあっては、その許容濃度の設定も含む。)、被験物質又は対照物質の溶解又は懸濁のために使用される溶媒及び乳化剤並びにその他の媒体として使用される物質、被験物質及び対照物質の投与経路及びその選択理由、被験物質及び対照物質の投与量、投与方法、投与回数及び投与期間並びにそれらの選択理由、参照する試験法ガイドライン名並びに実施される観察、測定、検査及び分析の種類、頻度、実施方法及び日程

ウ 第11号の「その他試験の計画のために必要な事項」には、次の内容を含むものであること

① 複数場所試験を実施する場合には、試験場所の名称、所在地、試験主任者の氏名及び所属並びに委託された業務

② 報告書に関与する予定の専門家の氏名及び所属

(13) 第16条関係

ア 第1項の「適切に実施」には次の内容を含むものであること。

① 試験ごとに固有の識別を定め、試験に関する記録、標本等にはこの識別を行うこと。

② 標本には、試験の種類、試験系の識別番号及び採取日を適切な方法で表示すること。

③ 組織標本の病理組織学的検索を行うときは、当該標本についての剖検時の肉眼的観察記録が当該検索を担当するものにより利用できるようにすること。

④ 複数場所試験の場合、試験主任者及び試験場所で実施される試験に従事する者は、試験責任者から特に指示がない限り、試験場所で作成された標準操作手順書に従って、その試験場所で行われる業務を行うこと。

イ 第2項の「適切に記録」には次の内容を含むものであること。

① 生データは、コンピュータに直接入力する場合を除いて、容易に消すことのできない方法で、直接、直ちに、かつ、読みやすく記録すること。

② コンピュータにより直接生データを記録する場合にあっては、生データの入力の日付及び入力者を記録すること。

ウ 第3項の「適切に訂正」とは、生データの最初の記載事項を不明瞭にしない方法で行うとともに、その変更の理由が明示され、かつ、変更の時点でその日付及び変更者の署名を行う等、訂正者の確認ができるようにすること。また、コンピュータに記録された事項の訂正についても、最初の記載事項を不明瞭にしない方法で行うとともに、その変更の理由及び日付並びにその入力者を記録すること。

エ 第4項の「予見することができなかった事態」には、試験計画書及び標準操作手順書からの逸脱が含まれるものであること。

(14) 第17条関係

ア 最終報告書は試験責任者の責任において作成するものであること。

イ 複数場所試験では、各試験場所での結果が含まれた一つの最終報告書を作成すること。

ウ 第1項第3号の試験の開始の日とは、試験責任者が試験計画書に署名をした日であり、試験の終了の日とは、試験責任者が最終報告書に署名をした日である。

エ 第1項の各号には次の内容を含むものであること。

① 第4号の「試験責任者その他の試験に従事した者の氏名」には、その業務分担

② 第5号の「被験物質及び対照物質に関する事項」には、その名称、略称、又はコード番号及びロット番号並びに同一性、含量又は力価、純度、組成等これらの物質を規定する特性並びに投与条件下における安定性及び均一性

③ 第6号の「試験系に関する事項」には、種、系統、数、年齢、性別、体重範囲、供給源、入手年月日及び飼育条件

④ 第8号の「試験の実施方法に関する事項」には、被験物質又は対照物質の投与経路、投与量、投与法、投与回数、投与期間及び投与量設定の理由並びに実施された観察、測定、検査及び分析の種類及び頻度並びにこれらの実施方法及び参照した試験法ガイドライン名

⑤ 第14号の「その他必要な事項」には次の内容を含むものであること。

(i) 試験が委託された場合にあっては、試験委託者の氏名及び住所(法人にあってはその名称及び主たる事務所の所在地)

(ii) 複数場所試験を実施した場合には、試験場所の名称、所在地、試験主任者の氏名及び所属並びに委託された業務

(iii) 報告書に関与した専門家の氏名及び所属

(15) 第18条関係

ア 第1項の「適切に保存」には、次の内容を含むものであること。

① 標本又は生データを最終報告書と別に保存するときは、当該最終報告書を保存する施設においてその旨を記録すること。

② 資料保存施設からの試験関係資料の出し入れ及び移動を適切に記録すること。

③ 試験関係資料は被験物質、試験系及び試験の種類ごとに索引をつける等、検索に便利な方法で整理すること。

④ 試験関係資料は、適切な時期に資料保存施設に移管して保存すること。

イ 試験関係資料の保存期間は、薬事法施行規則第101条(第110条において準用する場合を含む。)又は第104条に規定する期間とする。ただし、組織化学標本、電子顕微鏡標本、血液標本等、保存中に品質が著しく変化する湿標本及び特別に作製された標本の保存期間は、その品質が評価に耐えうる期間とすること。

ウ 試験関係資料のほか、次のものについては、第18条の保存等に係る規定に準じた取扱いとするものであること。

① 本通知(11)ア⑦に規定する被験物質及び対照物質

② 信頼性保証部門による調査記録

③ 職員の資格、訓練、経験及び職務分掌の記録

④ 機器の保守、校正及び清掃の記録及び報告

⑤ コンピュータシステムのバリデーション記録

⑥ 廃止された標準操作手順書

⑦ 環境モニターの記録

⑧ その他

(16) 第19条関係

ア 第1号の「必要な措置」には、次の内容を含むものであること。

① 試験場所における試験の実施可能性を考慮し、試験場所を選定すること。

② 第2号の規定に基づき、試験場所管理責任者が試験主任者を指名していることを確認すること。

③ 試験施設の信頼性保証部門責任者を試験全般の信頼性保証の責任を負うもの(以下「主信頼性保証部門責任者」)に指名すること。

④ 試験責任者、試験主任者、信頼性保証部門責任者、試験に従事する者等の試験に携わる関係者間の連絡体制を確立すること。

イ 第2号について、運営管理者が直接試験場所の運営及び管理を行う場合には、運営管理者は試験場所管理責任者の業務を兼務することができること。この場合には、試験場所管理責任者を特定するための手続及び試験主任者が指名されていることを確認するための手続は省略できること。

ウ 第3号について、試験責任者が直接試験場所で行われる試験の一部を管理及び監督する場合には、試験責任者は試験主任者の業務を兼務することができること。また、運営管理者が直接試験場所の運営及び管理を行う場合には、試験主任者を指名するための手続は省略できること。

エ 第3号について、試験場所において行われる試験の一部の業務は、試験主任者の責任の下で行われるが、最終的な責任は試験責任者が負うものであること。

オ 第3号で準用する第7条第3号に規定する「予見することができなかった試験の信頼性に影響を及ぼす疑いのある事態」について、試験場所では、試験主任者が信頼性に影響を及ぼす疑いがあるか否かを判断し、影響を及ぼす疑いがあると判断したものについてその内容及び改善措置が文書により記録されていることを確認すること。なお、その判断した結果及び理由については、試験責任者に報告すること。

カ 第4号について、主信頼性保証部門責任者は、複数場所試験に関する業務を自ら行い、又は試験ごとの担当者を指名し(以下「主信頼性保証部門担当者」)、その者に行わせること。

キ 第4号について、試験場所の信頼性保証部門担当者は、主信頼性保証部門責任者(又は主信頼性保証部門担当者)から特に指示がない限り、その試験場所で作成された標準操作手順書に従って、その試験場所で行われる試験を調査すること。また、その調査結果は、主信頼性保証部門責任者(又は主信頼性保証部門担当者)にも報告すること。

ク 第4号で準用する第8条第7号について、試験場所においては、最終報告書の一部となる試験場所で作成された報告書を調査すること。

ケ 第6号について、試験場所で実施される試験に従事する者が標準操作手順書に従わなかった場合には、試験責任者及び試験主任者に承認を受ける必要があるが、この場合、試験主任者に承認をもとめ、当該事項を承認した試験主任者が最終的に試験責任者に承認を求めることでよいこと。

コ 第6号について、試験場所で実施される試験に従事する者は、試験中に異常又は予見することができなかった事態が生じたときは、速やかに試験責任者及び試験主任者に報告をする必要があるが、この場合、試験主任者を経由して最終的に試験責任者に報告を行うことでよいこと。

2 既存の通知の廃止について

平成9年3月27日付け薬発第424号厚生省薬務局長通知「医薬品の安全性に関する非臨床試験の実施の基準に関する省令の施行について」及び平成元年5月10日付け薬審1第13号厚生省薬務局審査第一課長、審査第二課長及び生物製剤課長通知「GLPチェックリストについて」は廃止すること。

なお、新たなGLPチェックリストについては、独立行政法人医薬品医療機器総合機構のホームページにおいて公表することを予定している。

3 適用時期について

平成20年8月15日以降に実施する試験について、一部改正省令及び本通知が適用されること。