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○第十五改正日本薬局方の一部改正及び日本薬局方外医薬品規格2002の一部改正に伴う医薬品等の承認申請等に関する質疑応答集(Q&A)について

(平成20年9月30日)

(事務連絡)

(各都道府県衛生主管部(局)薬務主管課あて厚生労働省医薬食品局審査管理課通知)

「日本薬局方の一部を改正する件(平成20年厚生労働省告示第417号)」及び「日本薬局方外医薬品規格2002の一部改正について(平成20年7月31日付け薬食発第0731015号厚生労働省医薬食品局長通知)」により、「ヘパリンナトリウム」及び「ヘパリンカルシウム」の品質に係る規定を改めたところである。

今般、標記について、別添のとおりとりまとめましたので、貴管下関係業者に周知方よろしく御配慮願います。

[別添]

第十五改正日本薬局方の一部改正及び日本薬局方外医薬品規格2002の一部改正に伴う医薬品等の承認申請等に関する質疑応答集(Q&A)

別添中において、「ヘパリンナトリウム」とあるのは、第十五改正日本薬局方に収載されているもの、「ヘパリンカルシウム」とあるのは、日本薬局方外医薬品規格2002に収載されているものをそれぞれ指すこと。

Q1:

過硫酸化コンドロイチン硫酸とはどのようなものか。

A1:

コンドロイチンは、グルクロン酸とN―アセチルガラクトサミンの2糖単位からなるグリコサミノグリカンであって、2糖あたり4つの水酸基を有する。今回の純度試験の対象となっている過硫酸化コンドロイチン硫酸は、4つの水酸基がすべて硫酸エステル化されているコンドロイチン硫酸エステルである。なお、1~3個の水酸基が硫酸エステル化されているコンドロイチン硫酸エステルは今回の純度試験の対象とはされていない。

過硫酸化コンドロイチン硫酸は、2007年11月以降に、米国やドイツにおいて低血圧や急性炎症反応を引き起こしたヘパリン製剤に混入していた不純物とされているものである。

日局過硫酸化コンドロイチン硫酸標準品はナトリウム塩として頒布される(図1)。

図1 日局過硫酸化コンドロイチン硫酸標準品の構造

Q2:

核磁気共鳴スペクトル測定用重水及び核磁気共鳴スペクトル測定用3―トリメチルシリルプロピオン酸ナトリウム―d4は、どの程度の重水素化率のものを用いればよいか。

A2:

重水素化率99.9%以上の重水及び重水素化率98%以上の3―トリメチルシリルプロピオン酸ナトリウム―d4を推奨する。

Q3:

「ヘパリンナトリウム」の1H―NMR測定時、δ2.13~2.17ppmに出現する可能性のあるヘパリンのN―アセチル基に由来する13Cサテライトピークと過硫酸化コンドロイチン硫酸のN―アセチル基由来のピークをどのように区別すればよいか。

A3:

13Cサテライトピークの面積強度は、ヘパリンのN―アセチル基のシグナルの面積強度の0.55%であること、ヘパリンのN―アセチル基を中心に対称なピークとして観察されることから、過硫酸化コンドロイチン硫酸と区別ができる。しかし、プロトン共鳴周波数600MHzの装置を用いて1H―NMRを測定したとき、「ヘパリンナトリウム」のN―アセチル基の13Cサテライトピークが過硫酸化コンドロイチン硫酸のN―アセチル基に由来するシグナルとほぼ同じ位置に観察される場合は、13Cのデカップリングを行うこと。シグナルが消失しない場合は、13Cサテライトピークではないと判断され、試料は規格に適合しないと判定される。

Q4:

「ヘパリンカルシウム」の1H―NMR測定時、δ2.13~2.23ppmに出現する可能性のあるヘパリンのN―アセチル基に由来する13Cサテライトピークと過硫酸化コンドロイチン硫酸のN―アセチル基由来のピークをどのように区別すればよいか。

A4:

13Cサテライトピークの面積強度は、ヘパリンのN―アセチル基のシグナルの面積強度の0.55%であること、ヘパリンのN―アセチル基を中心に対称なピークとして観察されることから、過硫酸化コンドロイチン硫酸と区別ができる。しかし、プロトン共鳴周波数500MHzの装置を用いて1H―NMRを測定したとき、「ヘパリンカルシウム」のN―アセチル基の13Cサテライトピークが過硫酸化コンドロイチン硫酸のN―アセチル基に由来するシグナルとほぼ同じ位置に観察される場合は、13Cのデカップリングを行うこと。シグナルが消失しない場合は、13Cサテライトピークではないと判断され、試料は規格に適合しないと判定される。

Q5:

「ヘパリンナトリウム」及び「ヘパリンカルシウム」の規格において、過硫酸化コンドロイチン硫酸のN―アセチル基に由来するシグナルの化学シフトの範囲が異なる理由を示されたい。

A5:

共同研究の結果に基づき設定した。

「ヘパリンナトリウム」については、ヘパリンナトリウム20mg存在下における過硫酸化コンドロイチン硫酸のN―アセチル基に由来するシグナルは2.149~2.153ppmに観測されたため、対象とする化学シフトの範囲をδ2.13~2.17ppmとしたものである。

「ヘパリンカルシウム」については、ヘパリンカルシウム20mg存在下における同シグナルはδ2.180~2.187ppmにブロードなピークとして観測されたため、対象とする化学シフトの範囲をδ2.13~2.23ppmと広く設定したものである。

Q6:

プロトン共鳴周波数400MHz以上の装置とあるが、300MHzは使用できないのか。

A6:

共鳴周波数300MHz以上の装置の本試験に対する適用可能性を評価していないため、使用する場合は、その試験機関ごとに適用可能性を評価する必要がある。精度や感度が400MHzの装置を用いた場合と同等であることが確認できれば、300MHzの装置を使用してもよい。但し、最終的な判定が必要な場合には400MHz以上の装置を使用すること。

Q7:

「ヘパリンナトリウム」の規格では、「δ2.13~2.17ppmに過硫酸化コンドロイチン硫酸のN―アセチル基に由来するシグナルを認めない」とされているが、システム適合性で使用した日局過硫酸化コンドロイチン硫酸標準品(0.5%に相当)のN―アセチル基由来のシグナルのピーク面積強度未満であれば、適合と判定しても差し支えないか。

A7:

システムの検出感度0.5%を確認できれば試験が成立しているということであり、この条件下でδ2.13~2.17ppmにシグナルが観測された場合、規格に適合しないと判定すること。

Q8:

「ヘパリンカルシウム」の規格では、「δ2.13~2.23ppmに過硫酸化コンドロイチン硫酸のN―アセチル基に由来するシグナルを認めない」とされているが、システム適合性で使用した日局過硫酸化コンドロイチン硫酸標準品(0.5%に相当)のN―アセチル基由来のシグナルのピーク面積強度未満であれば、適合と判定しても差し支えないか。

A8:

システムの検出感度0.5%を確認できれば試験が成立しているということであり、この条件下でδ2.13~2.23ppmにシグナルが観測された場合は規格に適合しないと判定すること。

Q9:

試料溶液の調製方法を示されたい。

A9:

最終濃度が20mg/0.60mLとなるよう、ヘパリンナトリウム又はヘパリンカルシウムを核磁気共鳴スペクトル測定用3―トリメチルシリルプロピオン酸ナトリウム―d4の核磁気共鳴スペクトル測定用重水溶液(1→10000)に溶かして試料溶液とすること。

Q10:

システム適合性に使用する0.10mg日局過硫酸化コンドロイチン硫酸標準品を含む溶液の調製方法を示されたい。

A10:

日局過硫酸化コンドロイチン硫酸標準品のバイアルに記載されている充填量に従って、最終濃度が0.10mg/0.6mLになるように、バイアルに核磁気共鳴スペクトル測定用3―トリメチルシリルプロピオン酸ナトリウム―d4の核磁気共鳴スペクトル測定用重水溶液(1→10000)を加えてよく溶かし、この溶液0.60mLに、約20mgの試薬のヘパリンナトリウム(又はヘパリンカルシウム)を加えて調製すること。