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○歯科器械の製造販売承認申請及び認証申請に必要な電気的安全性評価及び物理的・化学的評価の基本的考え方について

(平成21年1月5日)

(薬食機発第0105001号)

(各都道府県衛生主管部(局)長あて厚生労働省医薬食品局審査管理課医療機器審査管理室長通知)

歯科器械の製造販売承認(認証)申請に際して添付すべき資料のうち、電気的安全性評価及び物理的・化学的評価に関する資料の取扱いについて、今般、別添のとおり基本的考え方を定めたので、下記事項に留意の上、貴管下関係団体、関係機関等に周知をお願いしたい。

なお、本通知の写しを独立行政法人医薬品医療機器総合機構理事長、日本医療機器産業連合会会長、在日米国商工会議所医療機器・IVD小委員会委員長、欧州ビジネス協会医療機器委員会委員長及び薬事法登録認証機関協議会代表幹事あて送付することを申し添える。

1.本通知は、歯科器械の製造販売承認申請及び認証申請(以下「承認申請等」という。)に際して、その電気的安全性評価及び物理的・化学的評価を確認するための試験の基本的考え方を示したものであること。

2.本基本的考え方は現時点において妥当とされる科学的知見に基づき作成したものであり、科学の進歩等を反映した合理的根拠に基づくものであれば、本基本的考え方によらずに試験を行い、その結果を申請資料として用いることは差し支えないこと。また、既に実施された試験等についても、合理的根拠をもって妥当性を明らかにした上で、申請資料として用いることは差し支えないこと。

〔別添〕

歯科器械の電気的安全性評価及び物理的・化学的評価の基本的考え方

1.目的

本文書は、歯科用医療機器に必要な電気的安全性評価及び物理的・化学的評価の評価項目及び試験方法を示し、平成17年厚生労働省告示第122号「薬事法第41条第3項の規定により厚生労働大臣が定める医療機器の基準」(以下「基本要件基準」という。)に対する歯科用医療機器の適合性の評価に関する基本的考え方を示すものである。

2.適用範囲

本文書は、薬事法第2条第4項で定められた医療機器のうち、薬事法第2条第5項の規定に基づく高度管理医療機器及び第6項の規定に基づく管理医療機器に属する歯科器械に適用する。

3.定義

本文書で用いる用語の定義は、次による。

3.1 歯科器械

有資格者が歯科診療及びその関連処置、又はそのどちらかに用いるために、特別に製作された器具、機械及び装置又はそれらの組合せをいう。

なお、歯科用メッキ装置等の材料を必須構成品とする場合がある。

また、歯科矯正用器材、ダイヤモンドバー、技工用スチールバー等の有資格者が用いる成形品を除く。

3.2 医用電気機器

患者を診断、治療又は監視することを意図した、次の機能をもつ機器をいう。

― 患者と物理的又は電気的な接触をもつ、及び/又は

― 患者にエネルギーを与えるか又は患者からエネルギーを受け入れる、及び/又は

― 患者に与えるか又は患者から受け入れるエネルギーを検出する。

機器には、機器の正常な使用を可能にするために必要な、製造業者が指定するそれらの附属品を含める。

なお、特定の電源(商用)へ接続する場合には、その接続を1か所で行う。

3.3 医用電気システム

次の接続によって、指定した機能をもつ、医用電気機器の組合せ又は医用電気機器と非医用電気機器との組合せをいう。

― カプリング及び/又は

― マルチタップ

3.4 情報技術機器

次の目的のために設計した機器をいう。

a) 外部からデータを入力する(例えば、データ入力線又はキーボードを通じて)。

b) 入力データについて何らかの処理を行う(例えば、演算、データ変換又は記録、ファイリング、分類、蓄積、データ伝送等)。

c) データを出力する(他の機器への出力、又はデータ若しくは画像の再生によって)。

3.5 原材料

歯科器械の原材料又は製造工程(試験検査工程、滅菌工程を含む。)中で用いられる原材料のうち製品に残留するものをいい、合成又は天然高分子化合物、金属、セラミックス、その他の化学物質等をいう。

3.6 付帯的な機能

歯科器械が有する機能のうち、歯科器械の使用目的、効能又は効果に影響を与えることがない付帯的な機能であって、製造販売承認又は製造(輸入販売)承認を受けた既存の歯科器械においても同等の機能を有しているものをいう。

3.7 製品

製造販売業者から供給される歯科器械及び使用される状態の歯科器械をいう。

備考 使用開始前に組み立てる歯科器械(例えば、歯科用ユニット)、使用前に接続する附属品を含む歯科器械又は別に供給される医療機器を接続する歯科器械がある。

3.8 キット・セット

主要構成品及び関連構成品からなるものをいう。

備考

1.主要構成品の外に、医療機器に該当する専用構成品(他の医療機器の構成品とならないものをいう。)を含む歯科器械が該当する。

例えば、メッキ装置と専用のメッキ液とからなる歯科用メッキ装置キット、専用の清掃用粉末を構成品とする電動式歯面清掃用装置が該当する。

2.主要構成品の外に、他の医療機器に使用することがある構成品を含む歯科器械が該当する。例えば、汎用の清掃用粉末を構成品とする電動式歯面清掃用装置が該当する。

3.医療機器に該当するオプション機器を含む歯科器械が該当する。

例えば、オプションとして歯科用ガス圧式ハンドピース等を含む歯科用オプション追加型ユニットが該当する。

3.9 関連材料及び関連器材

主たる医療機器とともに用いる関連する材料・器材をいう。

3.10 歯科用X線装置関連医療機器

歯科用X線装置、歯科用自動現像装置等の歯科用X線装置関連の医療機器をいう。

3.11 一般電気安全

電気を利用する歯科器械の安全性のうち、生物学的な安全性、電磁両立性を除くものをいう。

4.電気的安全性評価の原則

1) 歯科器械の電気的安全性評価は、JIS T 14971 医療機器―リスクマネジメントの医療機器への適用 に示されたリスク分析手法により実施されなければならない。歯科器械の電気的安全性評価は、意図する使用/意図する目的の効用に関する電気的特性、臨床使用における電気的安全性に関する特性等を明確にするために実施されなければならない。

2) 電気的安全性評価は、本文書によって実施された試験結果、関連の最新の科学文献等を踏まえて、リスクとベネフィットを考慮して、総合的に行う必要がある。

3) 電気的安全性評価は、教育・訓練が十分になされ、経験豊富な専門家によって行われなければならない。

4) 電気を利用するすべての機器は、一般電気安全について評価されなければならない。

ア) 医用電気機器については、JIS T 0601―1 医用電気機器―第1部:安全に関する一般的要求事項による。

イ) 医用電気システムについては、JIS T 0601―1のほかJIS T 0601―1―1 医用電気機器―第1部:安全に関する一般的要求事項―第1節:副通則―医用電気システムの安全要求事項による。

ウ) 医療機器に適用される個別JISで一般電気安全に係る評価項目及び試験方法が規定されている場合には、当該JISによる。

備考 製品に適用されるJISがない場合には、JIS T 0601―1に含まれる機械的安全性に係る評価も行う。

5) 電気を利用するすべての機器は、電磁両立性(EMC)について評価されなければならない。

ア) 医用電気機器、医用電気システム、医用電気応用分野に用いる情報技術機器及び医用電気システムの一部分を形成する他のすべての機器の評価については、JIS T 0601―1―2 医用電気機器―第1部:安全に関する一般的要求事項―第2節:副通則―電磁両立性一般要求事項及び試験による。

6) 以下の項目のいずれかに該当する場合には、電気的安全性評価を改めて行う必要があるが、試験の再実施、試験項目の追加の必要性については、十分に検討する。

ア) 部品の規格が変更された場合

イ) 電気又は電子回路若しくはソフトウエアが変更された場合

ウ) 使用前の組み立て又は接続方法が変更された場合(電気的な接続を含む場合に限る。)

エ) 製品の使用目的に変更があった場合

オ) 不具合を起こすかも知れない知見が得られた場合

5.物理的・化学的評価の原則

1) 歯科器械の物理的・化学的評価は、JIS T 14971 医療機器―リスクマネジメントの医療機器への適用 に示されたリスク分析手法により実施されなければならない。歯科器械の物理的・化学的評価は、①意図する使用/意図する目的の効用に関する物理的・化学的特性、②臨床使用における物理的・化学的性能、③力学的安全性に関する特性、④電気的安全性及び生物学的安全性に影響する物理的・化学的特性等を明確にするために実施されなければならない。

2) 物理的・化学的評価は、本文書によって実施された試験結果、関連の最新の科学文献等を踏まえて、リスクとベネフィットを考慮して、総合的に行う必要がある。

3) 物理的・化学的評価は、教育・訓練が十分になされ、経験豊富な専門家によって行われなければならない。

4) 以下の項目のいずれかに該当する場合には、物理的・化学的評価を改めて行う必要があるが、試験の再実施、試験項目の追加の必要性については、十分に検討する。

ア) 原材料の供給元又は規格が変更された場合

イ) 原材料の種類又は配合量、製造工程、製品の滅菌方法又は一次包装(滅菌包装)形態が変更された場合

ウ) 使用前の組み立て又は接続方法が変更された場合

エ) 保存中に、製品に変化があった場合(例えば、部品の材質変化)

オ) 製品の使用目的に変更があった場合

カ) 不具合を起こすかも知れない知見が得られた場合

6.電気的安全性に係る評価項目及び試験方法の選定

6.1 一般電気安全

1) 適用する JIS T 0601―1 医用電気機器―第1部:安全に関する一般的要求事項 の規定に従い、当該機器に適用可能な評価項目及び試験方法を選定する。

また、医用電気システムでは、JIS T 0601―1のほかにJIS T 0601―1―1の規定にも従い、当該機器に適用可能な評価項目及び試験方法を選定する。

2) 歯科器械に引用又は参照される個別JISで一般電気安全に係る評価項目及び試験方法が規定されている場合には、当該JISに従う。

備考

1.JIS T 0601―1で規定されている清掃・消毒・滅菌に係る評価項目は、機器の材料への影響を含めて評価するため、物理的・化学的評価項目とし、一般電気安全の評価項目に含めない。

2.JIS T 0601―1で規定されている機械的安全性に係る評価項目は、一般電気安全の評価項目に含める。

6.2 電磁両立性(EMC)

1) 医用電気機器、医用電気システム、医用電気応用分野に用いる情報技術機器及び医用電気システムの一部分を形成する他のすべての機器の評価については、JIS T 0601―1―2 医用電気機器―第1部:安全に関する一般的要求事項―第2節:副通則―電磁両立性一般要求事項及び試験 の規定に従い、当該機器に適用可能な評価項目及び試験方法を選定する。

7.物理的・化学的評価項目及び試験方法の選定

1) 一部の歯科器械については、必要な特性・機能に関する物理的・化学的評価項目及び試験方法が、JISで規定されている。したがって、JISに規定されている歯科器械の評価項目及び試験方法は、原則として該当するJISの品質項目による。ただし、基本要件基準への適合を示すために、当該JISで規定されていない評価項目が必要な場合もある。

なお、JISには、品質項目に規定されていない特性・機能に関する表示・記載に係わる項目もあり、それらも含める。

備考 製品に引用又は参照するJISに電気的安全性に係る評価項目が規定されていることがあるが、物理的・化学的評価項目に含めない。

2) JISに規定されていない歯科器械の評価項目及び試験方法は、用途、機能、構造等が同等又は類似する歯科器械(以下「同等品」又は「類似品」という。)のJIS、ISO規格、承認審査に用いられる規格等又は既承認若しくは既認証品目の適切な「品目仕様」又は「規格及び試験方法」を参考にする。

なお、JISの品質項目又はISO規格の要求事項に規定されていない特性に関する表示・記載に係わる項目に相当する事項については、歯科器械に応じて考慮する必要がある。

備考 EN規格、ANSI/ADA規格、ASTM、FDAガイドライン・ガイダンス等が、承認申請時の品目仕様の設定根拠等として用いられている。

3) 薬事法第23条の2第1項の規定に基づき厚生労働大臣が定める基準(以下「認証基準」という。)又は製造販売承認審査に用いる基準(以下「承認基準」という。)に適合しない歯科器械について、上記で定めた評価項目又は試験方法を変更する場合には、その科学的妥当性を示さなければならない。

なお、承認基準は、既に技術基準が確立している範囲を対象として定められるため、上記で定めた評価項目及び試験方法の一部を採用せず、また、新たな評価項目及び試験方法を採用することがある。

4) 歯科器械の物理的・化学的評価項目は、表1に示した評価項目からなる。

なお、特有の原理・特性を有する歯科器械又は表1の評価項目では特性を表すことが困難な歯科器械には、表1以外の評価項目を適用する場合がある。表1以外の評価項目及びその試験方法は、専門家によって科学的根拠に基づいて選定され、かつ、適正に実施されなければならない。

備考

1.評価項目は、歯科器械に適用されるJISの品質項目、ISO規格の要求事項及び品質に係る表示項目を参考とした。

2.歯科器械のJIS及びISO規格では、機能等の項目の中で物理的・化学的評価を規定していることがある。例えば、歯科用吸引装置で引用されるJIS T 5801の口くう(腔)内吸引システムの項で空気吸引量及び最低圧力が規定されている。

3.滅菌医療機器について無菌試験及びエンドトキシン試験を行うことがあるが、この試験は生物学的試験に属するため品質項目に含めなかった。

5) 評価項目を選定する上で、機能、構造等が類似する医科用医療機器との関係を考慮しなければならない歯科器械(歯科用X線装置関連医療機器等)については、評価項目を定めなかった。当該歯科器械を表2に示した。

6) 医療機器としての有効性に係る評価方法が確立されていない歯科器械の場合には、本ガイドラインにおいて物理的・化学的評価項目を定めることができないので、基本要件基準への適合性を示すために必要な品質項目及び試験方法を定めて評価し、その妥当性を示さなければならない。

なお、品質項目を定めることができない歯科器械を表3に示した。

7) キット・セット及び関連器材については、その構成品ごとにそれぞれの評価項目及び試験方法を適用する。

ただし、引用又は参照するJIS若しくはISO規格にシステムとしての評価項目が規定されている場合には、その評価項目及び試験方法を適用する。

なお、キット・セット及び関連器材に属する一般的名称を表4に示した。

備考 構成品によっては、該当する一般的名称がなく、評価項目が規定されていないことがある。

8) 複数の使用目的を有する歯科器械については、各々の使用目的に応じた一般的名称の評価項目及び試験方法を適用する。

なお、複数の使用目的を有する多目的機器に属する一般的名称を表5に示した。

9) 歯科器械の使用目的、効能又は効果に影響を与えることがない付帯的な機能を有するものについては、当該機能が既に承認された機能に適合することを確認する。

なお、一般的名称ごとの付帯的な機能を附属書1に示した。

8.評価項目及び試験方法

8.1 一般

1) 管理医療機器の物理的・化学的評価項目は、別表1(1―1~1―7)に示した評価項目からなる。

2) 高度管理医療機器に属する全ての歯科器械は、品質項目を定めることができない品目である。(表3を参照のこと。)

3) 電気的安全性評価項目は、別表2(2―1~2―4)に示した評価項目からなる。

4) 選択適用する評価項目については、採否の妥当性を示さなければならない。

5) 別表1及び別表2に示した評価項目のみでは、基本要件基準への適合を示すことができない場合には、別の品質項目及び試験方法を定めて評価し、その妥当性を示さなければならない。

6) 別表1及び別表2の品目の記載は、平成17年3月11日付け薬食発第0311005号医薬食品局長通知「薬事法第二条第五項から第七項までの規定により厚生労働大臣が指定する高度管理医療機器、管理医療機器及び一般医療機器の一部を改正する件(告示)及び薬事法第二条第八項の規定により厚生労働大臣が指定する特定保守管理医療機器の一部を改正する件(告示)の施行について」(以下「医療機器一般的名称通知」という。)の別添CD―ROMに記載された一般的名称を、用途等によって並び替えた順序とした。

8.2 評価項目

1) 別表1及び別表2に示す評価項目は、医療機器の機能・特性及び電気的安全性を評価するために必要な品質項目と機能・特性に関連する表示項目からなる。

備考 表示することで保証される機能・特性のうち品質項目でないものを表示項目とするが、定格電源を含まない。例えば、歯科用エアースケーラの作動空気圧、空気消費量は表示項目とした。

2) 別表1の評価項目の記載順序は、「歯科器械の物理的・化学的評価項目」(表1)の分類の順序に、別表2の評価項目の記載順序は、JIS T 0601―1及び JIS T 0601―1―2の項目の順序に従った。

3) 平成19年12月1日時点で有効なJIS及びISO・IEC規格を引用又は参照した。

備考 JIS及びISO・IEC規格は改正されることがあるので、最新版を調査して適用することが必要である。

4) 複数のJIS及びISO・IEC規格が該当する場合には、最新の規格を引用した。

5) 当該品目に適用できるJISがある場合には、原則としてJISの品質項目及び機能・特性に関する表示・記載に係る項目を評価項目とした。

6) 当該品目に適用できるJISがあるが、基本要件基準への適合性を示すために必要な品質項目が規定されていない場合には、JISの品質項目及び機能・特性に関する表示・記載に係る項目に加えて、基本要件基準への適合性を示すために必要な評価項目を追加した。

備考 単回使用歯科用根管リーマに適用できるJIS T 5216には、滅菌にかかる要求事項がない。

このため、評価項目に“耐滅菌性”を追加して、JIS T 5216を参照規格とした。

7) 当該品目に適用できるISO・IEC規格、承認審査に用いられる規格等がある場合には、当該規格等の要求事項を品質項目とし、機能・特性に関する表示・記載に係る項目を評価項目とした。なお、適用できるJISがある場合は、5)により評価項目を選定した。

備考 EN規格、ANSI/ADA規格、ASTM、FDAガイドライン・ガイダンス等が、承認申請時の品目仕様の設定根拠等として用いられている。

8) 当該品目の同等品又は類似品にJIS、ISO・IEC規格がある場合には、その品質項目を参考として評価項目とした。

9) 当該品目に適用又は参照するJIS、ISO・IEC規格、承認審査に用いられる規格等がない品目については、既承認若しくは既認証品目の適切な「品目仕様」又は「規格及び試験方法」を参考として評価項目とした。

10) 複数の歯科器械を包括して規定するJIS又はISO規格の場合には、一般的名称毎に適用される品質項目を識別し、評価項目とした。

備考 例えば、JIS T 5701を歯科用ユニット、歯科矯正用ユニット、歯科小児用ユニット及び可搬式歯科用ユニットに適用した。

11) JIS又はISO規格の中で材質等により品質項目又は要求事項が指定されている場合には、材質等毎に適用する評価項目を記載した。

備考 歯科用ユニットは歯科診査・治療用チェア、汎用歯科用照明器を含むことがあるので、ユニット、チェア、照明器毎に評価項目を記載した。

12) 適用する品質項目には“○”印を、特性等により選択適用する品質項目には“●”印を付して区別した。品質項目ではない表示項目については、適用する表示項目には“△”印を、材料特性等により選択適用する表示項目には“▲”印を付して区別した。また、別表の脚注で選択適用する基準を示した。品目に引用するJIS又は参照するJIS若しくはISO規格を優先的に適用する一般電気安全に係る品質項目には“□”印を、表示項目には“◇”を、機能等により選択適用する品質項目には“■”印を、選択適用する表示項目には“◆”を付して区別した。例えば、歯科多目的治療用モータの“オートリバース機構”については、同機構を有する場合に適用する品質項目とした。

なお、使用目的、材料特性等により選択適用する評価項目については、その採否の妥当性を示さなければならない。

備考

1.個別規格が引用される品目の一般電気安全の評価項目については、個別規格で引用している評価項目の一部のみを適用する。

例えば、JIS T 5701を引用する歯科用ユニットでは、“あふれ、こぼれ、漏れ、湿気、液体の浸入、清掃、滅菌、消毒及び適合性”のうち、JIS T 5701で引用しているJIS T 0601―1の“44.3 こぼれ”、“44.4 漏れ”及び“44.6 液体の浸入”を適用する。

2.医用電気システムでは、JIS T 0601―1のほかにJIS T 0601―1―1の評価項目が適用されることがある。例えば、歯周ポケット測定器では、JIS T 0601―1―1 の“3.201 システムに関する一般的要求事項”が適用されるので、“3.一般的要求事項”に“○”を付した。

13) JIS又はISO規格で規定される“設計”、“一般的デザイン”等については、その内容に従って、該当する評価項目とした。例えば、JIS T 5701 歯科用ユニット―一般的要求事項及び試験方法の“5.1.1 設計”で規定される評価項目を“表面状態”及び“接続性”とした。

14) 構造、機能、材質又は用途に応じて評価項目が指定されている歯科器械については、該当する構造、機能、材質又は使用目的に応じた評価項目とした。

また、複数の一般的名称に該当する使用目的を有する歯科器械については、各々の使用目的に応じた一般的名称の評価項目を適用した。

なお、評価項目の適用についての妥当性を示さなければならない。

備考

1.歯科用多目的超音波治療器では、歯こう(垢)・歯石除去機能、根管拡大機能、根管充填機能及び根管長測定機能等を有するので、それぞれの機能に応じた評価項目とした。

なお、根管長測定機能については、歯科用根管長測定器の評価項目を参照した。

2.歯科用吸引装置では、歯科用吸引装置ポンプを吸引源とする口くう(腔)内用及び口くう(腔)外用、並びに吸引ポンプを内蔵する自立型の構造・使用目的が異なるものがあるので、口くう(腔)内用と口くう(腔)外用とに応じた評価項目とした。なお、吸引ポンプに係る評価項目については、選択適用する項目とした。

8.3 評価項目についての留意事項

1) 別表1及び別表2で指定される評価項目のみでは、基本要件基準への適合を示すことができない場合もあるので、当該歯科器械の使用目的等を十分考慮して評価項目を検討する必要がある。

2) 構成品を特定できないキット・セット及び関連器材については、別表1及び別表2から除外した。また、複数の使用目的を有する歯科器械において、評価項目を特定できない使用目的については、別表1から除外した。

3) 歯科器械のキット・セットについては、各構成品目が該当する一般的名称の評価項目を適用する。

4) 関連器材については、歯科器械に該当する各構成品が該当する一般的名称の評価項目を適用する。なお、歯科材料に該当する構成品については、平成19年8月31日付け薬食機発第0831002号医療機器審査管理室長通知「歯科材料の製造販売承認申請等に必要な物理的・化学的及び生物学的試験の基本的考え方」の別添1「歯科材料の物理的・化学的評価の基本的考え方」に従い、該当する一般的名称の歯科材料の評価項目を適用する。

備考 構成品によっては、該当する一般的名称がなく、評価項目が規定されていないことがある。

5) 複数の使用目的を有する歯科器械については、各使用目的が該当する一般的名称の評価項目を適用する。

8.4 試験方法

1) 当該品目に引用又は参照するJIS又はISO・IEC規格に品質項目及び試験方法が規定されている場合には、規定されている試験方法を用いる。

2) 当該品目に引用又は参照するJIS又はISO・IEC規格に品質項目は規定されているが、その試験方法が規定されていない場合は、同等品のJIS又はISO・IEC規格の試験方法等を参考とし、試験方法を採用する科学的妥当性を示さなければならない。

3) 当該品目に引用又は参照するJIS又はISO・IEC規格がない場合には、類似品のJIS又はISO・IEC規格の試験方法等又は既承認若しくは既認証品目の適切な「規格及び試験方法」を参考とし、試験方法を採用する科学的妥当性を示さなければならない。

備考 製造販売承認又は同認証品目の「規格及び試験方法」は、製造販売承認申請書又は製造販売認証申請書の品目仕様欄に記載される品質、性能及び機能に関する事項をいう。

4) 表示項目の試験方法は引用若しくは参照するJIS又はISO・IEC規格に規定されていないので、同等品のJIS又はISO・IEC規格の試験方法等を参考とし、試験方法を採用する科学的妥当性を示さなければならない。

8.5 供試機器(試験用サンプル)

1) 当該品目に適用できるJISがある場合には、原則として当該規格で規定されている供試機器を用いる。

2) 当該品目に適用できるISO・IEC規格がある場合には、原則として当該規格で規定されている供試機器を用いる。

3) 当該品目の同等品にJIS又はISO・IEC規格がある場合には、当該規格で規定されている供試機器を参考とすることができるが、その採用についての科学的妥当性を示さなければならない。

4) JIS又はISO・IEC規格に規定されていない供試機器を用いる場合には、次による。

ア) 製造過程において材料が物理的・化学的に変化する場合には、製品、製品から切り出した試料、又は、同じ条件で作成した模擬試験試料を用いて試験を行う必要がある。一方、製造過程において材料が物理的・化学的に変化しない場合には、製品又は原材料を試験用サンプルとして試験を行うことで差し支えない。製品の状態で試験用サンプルとするのが困難な場合には、製品と物理的・化学的特性が同等であることの科学的妥当性を説明できる材料を試験試料とすることができる。

備考

1.使用開始前に組み立てる歯科器械(例えば、歯科用ユニット)、使用前に接続する附属品を含む医療機器又は別に供給される医療機器を接続する歯科器械の場合には、評価項目によっては組み立て又は接続の前及び/又は後の状態で試験を行う必要がある。

2.滅菌されて供給される場合には、滅菌後の製品で試験を行う必要がある。

8.6 評価項目及び試験方法の概要

歯科器械の物理的・化学的評価項目について、適用範囲及び試験方法の概要を附属書2に記載した。

なお、電気的安全性に係る評価項目及び試験方法は、適用する電気的安全性に係るJIS又は品目に引用するJIS若しくは参照するISO・IEC規格の規定に従う。

9.参照するISO規格及びIEC規格

平成19年12月1日時点で有効な歯科器械に関するISO規格、IEC規格及び対応するJIS(IDT:一致規格、MOD:修正規格)を別表3(3―1,3―2)に示した。DIS又はFDISを基に制定されたJISの場合には、“DIS”又は“FDIS”として、同等性(IDT、MOD)と区別して示した。

なお、医科用医療機器との関係で評価項目を定めない歯科用X線装置関連医療機器、電気手術器に係る規格は示さなかった。

備考

1.ISO規格及びIEC規格は改正されることがあるので、最新版を調査して適用することが必要である。

2.多くのISO規格及びIEC規格はJISとして発行されているが、ISO規格又はIEC規格が改正されてもJISが改正されるまでの間は、両者の内容が異なることがある。例えば、JIS T 0601―1の対応IEC規格(IEC 60601―1:1988)は、2005年に改訂されている。

3.歯科器械に適用するISO規格についてはISO技術委員会(TC 106 Dentistry)が、IEC規格についてはIEC技術委員会(TC 62 Electrical equipment in medical practice、TC 87 Ultrasonics)が制定・改訂を担当するが、IEC技術委員会(TC 62 Electrical equipment in medical practice)が担当する電気的安全性評価のIEC規格及びISO技術委員会(TC 194,Biological evaluation of medical devices)が担当する生物学的安全性評価のISO規格も適用される。

10.参照するその他の規格・基準

歯科器械の物理的・化学的評価項目の選定に際し、参照したJIS及びISO・IEC規格以外の規格・基準を別表3―3に示した。

表1 歯科器械の物理的・化学的評価項目

A 外観・構造・材質評価

1 外観・構造

2 形状

3 寸法

4 表面状態

5 材質

6 識別性

7 粒度

8 被膜厚さ

9 被膜密着性

B 力学特性評価

1 曲げモーメント

2 装着トルク

3 緩みトルク

4 停止トルク

5 最大荷重

6 ねじり抵抗

7 柔軟性

C 力学耐性評価

1 耐圧性

2 耐衝撃性

3 耐圧縮性

4 耐破壊・変形性

5 耐崩壊性

D 耐久性評価

1 耐食性

2 耐水性

3 耐消毒性

4 耐滅菌性

5 耐清掃・消毒性

E 接続に係る評価

1 接続性

2 接続部適合性

3 接続・密封性

4 接続器に対する最大負荷能力

5 接続性能

6 装着性

7 引抜力

8 挿入力

9 静的伝達力

10 脱着性

11 軸特性

F 安全性に係る評価

1 温度上昇

2 可燃性

3 解放機構

4 緊急停止性能

5 圧力開放機能

6 圧力系の破裂耐性

7 操作制御盤(誤操作防止)

8 安定性

9 飛散防止

10 アラーム

G 回転・振動に係る評価

1 回転制御機能

2 回転速度

3 回転方向

4 振動数

5 振動停止力

6 振幅

7 偏心

H 空気・水の量・圧力に係る評価

1 給水・排水流量

2 空気吸引量

3 空気消費量

4 空気流量

5 作動圧力

6 作動空気圧

7 作動空気量

8 作動水圧

9 水消費量

10 切削部冷却用水量

11 切削部冷却用空気量

12 最低圧力

13 作動用空気の排気

J 機能に係る評価

1 スプレー性

2 気水分離性能

3 固形物収集能力

4 照度

5 照度パターン

6 色収差

7 色温度

8 パターン内の放射熱

9 影

10 表示精度

11 根管長測定精度

12 根管長表示精度

13 オートリバース動作確認

14 オートストップ動作確認

15 スローダウン動作確認

16 センサ測定精度

17 センサ測定範囲

18 センサ感度

19 モニタ画面画質

20 タッピング強さ

21 タッピング幅

22 最高温度

23 温度上昇率

24 温度設定

25 薬液の視認

26 プランジャ棒(押し棒)

27 吸引性

28 歯こう(垢)・歯石除去性能

29 形成,切削・研削性能

30 根管拡大性能

31 根管充填性能

32 振動付与性能

33 切開・切除性能

34 洗浄性能

K 負荷能力評価

1 最大安全負荷能力

2 最大上昇負荷能力

3 負荷能力

4 最大移動量

5 無負荷回転速度

L その他の評価

1 可動範囲

2 可動部分の距離

3 可動部分の保護

4 質量

5 取り付け許容質量

6 操作性

7 騒音レベル

8 可搬性

9 水の浸入

表2 医科用医療機器との関係で品質項目を定めない歯科器械

医療機器の区分

コード

一般的名称

認証基準1)

管理医療機器

70002000

歯科集団検診用パノラマX線撮影装置

 

37635000

アナログ式口内汎用歯科X線診断装置

 

 

37617000

デジタル式口内汎用歯科X線診断装置

 

 

37636000

アナログ式口外汎用歯科X線診断装置

 

37667000

デジタル式口外汎用歯科X線診断装置

 

37637000

アナログ式歯科用パノラマX線診断装置

 

37640000

デジタル式歯科用パノラマX線診断装置

 

37668000

アナログ式歯科用パノラマ・断層撮影X線診断装置

 

37669000

デジタル式歯科用パノラマ・断層撮影X線診断装置

 

37677010

頭蓋計測用X線診断装置

 

37677020

頭蓋計測用一体型X線診断装置

 

70004010

歯科用デジタル式X線撮影センサ

 

 

70004020

パノラマ用デジタル式X線センサ

 

 

70004030

頭蓋計測用デジタル式X線センサ

 

 

70728000

歯科水ライン用フィルタ

 

 

12740000

歯科用注射針

1) 平成17年厚生労働省告示第112号「薬事法第23条の2第1項の規定により厚生労働大臣が基準を定めて指定する医療機器」に収載された基準

表3 品質項目を定めることができない歯科器械

医療機器の区分

コード

一般的名称

備考

高度管理医療機器

70721000

歯科用多目的超音波治療・汎用電気手術組合せ機器

 

 

36193000

歯科用麻酔ガス送入ユニット

 

 

70641000

罹患象牙質除去機能付レーザ

 

管理医療機器

13187000

電気式歯髄診断器

 

 

70180000

歯科診断用口腔内カメラ

 

 

33995010

光学的歯石歯垢検出器

 

 

33995030

電気式う蝕検出装置

 

 

70696000

歯科用咬合音測定器

 

 

33995020

光学式う蝕検出装置

 

 

31885000

回転式歯周用スケーラ

 

 

70719000

歯科用多目的超音波治療器

清掃用粉末を含むものに限る。

 

38597000

チェアサイド型歯科用コンピュータ支援設計・製造ユニット

 

 

44015000

歯科用電動式ドリルシステム

 

 

70455000

歯科用骨粉収集器

 

 

70694000

歯科診療用電気エンジン及びエンジン用器具

 

 

70703000

歯科用イオン導入装置

 

 

70706000

歯科用両側性筋電気刺激装置

 

 

70711000

歯科根管内洗浄吸引乾燥装置

 

 

70712009

歯科根管材料電気加熱注入器

 

 

70717000

歯面漂白用活性化装置

 

 

70707012

電動式歯面清掃用装置

 

 

70707022

能動型機器接続歯面清掃用器具

 

 

70691000

歯科用噴射式切削器

 

 

40529000

電動式歯科根管拡大装置

 

 

70714002

能動型機器向け歯科根管内清掃器具

 

 

70460000

歯科用洗浄プローブ

 

 

70461000

歯周ポケット洗浄プローブ

 

 

70761000

歯科用メッキ装置キット