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○政府管掌健康保険及び厚生年金保険の未適用事業所に対する重点的な加入指導等の実施要領について〔健康保険法〕

(平成19年4月10日)

(庁保険発第0410001号)

(地方社会保険事務局長あて社会保険庁運営部医療保険課長通知)

(公印省略)

標記について、重点的な加入指導及び職権適用の取組の徹底を図り、厳正に適用の適正化を推進するため、別添のとおり実施要領を策定したので、今後は当該要領により円滑かつ的確な業務処理を実施されたい。

[別添]

重点的な加入指導等の実施要領について

1 目的

重点的な加入指導等の対象となっている事業所が、依然として適用に至っていない状況も見受けられ、重点的加入指導の取組及び職権適用の取組の徹底が重要であることから、厳正な加入指導等の取組を積極的に実施し未適用事業所の解消を図ることを目的として、実施要領を定めるものである。

2 重点的加入指導

(1) 加入指導の基本的な考え方

① 事業主と加入手続きの約束等がなく、継続的な加入指導を行わなかった場合、加入を検討しようとする事業主の意欲も失われてしまうことが多い。このため、事業主に一定期間で集中的に加入の検討を行わせることが重要であり、月1回、3ヶ月間で3回程度の戸別訪問による継続的な加入指導を効果的に実施することを基本とすること。

② 従って、加入指導を実施しても加入手続きに応じない事業主は、その責任を果たしていないものとして厳正に職権適用(立入検査)を実施し、適用の適正化を図る必要がある。

③ ただし、合理的な理由により3ヶ月以内の短い期間で加入手続きを約束している事業主については、この限りではないが、約束不履行時には、速やかに職権適用を前提とした立入検査により、遡及適用を行うことを通告するとともにその際は確実に実行することが重要である。

(2) 実施内容

① 重点的な加入指導の対象

ア 従業員数10人以上の事業所であって、呼出による加入指導において、その事業主が加入手続きを行わないもの

イ 従業員数10人以上の事業所であって、その事業主が呼出に応じないもの

ウ 関係機関等からの情報提供や被保険者となるべき者から資格の確認請求が行われた場合の対象事業所

(注) 重点的な加入指導の対象となった以後、対象人数が基準以下となった場合であっても、適用の適正化の観点から重点的な加入指導の対象から除外しないこと。

② 対象事業所訪問日の調整

ア これまでの加入指導の経過等を踏まえて、毎月1回定期的に対象事業所の加入指導を行うため、対象事業所の戸別訪問日を決定すること。

イ 対象事業所の日程の決定にあたっては、関係機関等から情報提供があったものや未適用事業所に使用される者から資格の確認請求が行われた場合は、優先的に行うものとすること。

③ 加入指導の実施方法

ア 加入指導は、戸別訪問を基本とし、事業主へ接触が図られるよう、予め電話連絡等を行うなど、効率的な加入指導の実施に努めること。

イ 加入指導は、1回目の戸別訪問を実施した月から起算し、原則として3ヶ月間で適用に至るよう効果的な加入指導の実施に努めること。

ウ 戸別訪問において、事業主又は役員と接触できなかった場合、別紙1の事業主に対する指導文書を封かんの上、郵便受け等に投函し、指導実績として記録すること。

エ 3回目の戸別訪問による加入指導は、最終的な加入指導として立入検査の予告を行うものとすること。

オ 特別な事情もなく、事業主又は役員との接触が一度も出来ない場合など、加入指導を引き続き実施していくことが困難な場合についても、3回目に別紙2の文書による立入検査予告を行い、3回の戸別訪問の実績により原則として立入検査を実施する取扱いとすること。

3 職権適用

(1) 職権適用の基本的な考え方

① 事業主に様々な届出義務を課している社会保険制度において、事業を円滑に運営するためには、事業主の理解及び協力を得ることは不可欠であり、立入検査においても自主的な届出を促していくことが必要である。

② しかしながら、社会保険制度に対する理解がなく事業主責任を果たさない事業主については、強制保険としての役割を維持し、公平性と信頼性を確保する観点から、最終的には職権適用を行うものである。

(2) 立入検査の通知等

① 立入検査の日時を決定し、別紙3により事業主に立ち会いを求める旨と検査時には賃金台帳等の諸帳簿並びに従業員及び被扶養配偶者の年金手帳の提示を求める旨を事業主あて通知すること。

② 事前準備として、立入検査日までに事業所名称、事業所所在地、事業の種類、代表者氏名等を商業登記簿等により確認し、新規適用届を起票すること。

(3) 立入検査の実施

① 実施方法

ア 被保険者となるべき者やその報酬等を確認するため、事業所に立ち入り、事業主に立ち会いを求めるとともに、関係諸帳簿等の提示及びコピーを指示し、聞き取りを行いながら、届書の作成を行うこと。

イ 立入検査にあたっては、複数人での検査体制を整え、統率・指揮する者を明確にするとともに、検査証を携帯し、事業主等から請求があった場合は提示すること。

ウ 立入検査時の状況(検査の拒否を含む。)は、できる限り詳細に記録すること。

② 検査の進行

ア 調査に先立ち立入検査の告知

事業主に対して、立入検査の実施を宣言し、正当な理由なく検査を拒む場合は、罰則の適用があることを告知すること。

イ 帳簿等の提示の指示

事業主に対して、予め指示した労働者名簿、賃金台帳、出勤簿、源泉徴収簿、給与所得者の扶養控除等(異動)申告書(控)等の提示を求めること。

ウ 帳簿等の確認、事業主からの聞き取り

帳簿等の内容を確認するとともに事業主からの聞き取りを行い、被保険者となるべき者やその報酬等を確認し、届書の起票を行うこと。

エ 新規適用届、資格取得届の起票

(ア) 事前に起票した新規適用届の補足、修正等を行うこと。

事業所の電話番号、代表者の住所、担当者氏名、現物給与の有無、昇給月、賞与支払予定月等を確認すること。

なお、昇給月及び賞与支払予定月については、賃金台帳で確認すること。

(イ) 資格取得届を起票すること。

・ 労働者名簿、出勤簿より被保険者となる者の氏名、生年月日、住所を確認すること。

なお、報酬月額は賃金台帳で確認すること。

・ 年金手帳の提示を求め、基礎年金番号が確認出来なかった場合は、過去の加入歴(職歴)等の確認を行うこと。

・ 被扶養者の有無を聞き取りし、被扶養者を有する者がいる場合は、事業主に被保険者に被扶養者届を記載させ提出するよう指導すること。

・ 被保険者の取得資格取得年月日は、労働者名簿、賃金台帳、就業規則、源泉所得税領収証書等の関係書類に基づき、事実確認が出来た日をもって適用するものとすること。

オ 事業主に資格取得届の確認を指示

事業主に対して、資格取得届等の記載内容の確認及び事業主印の押印を求めるものであるが、事業主が拒む場合は、この限りではない。

(4) 届書等の内部処理

① 立入検査時に作成した届書を持ち帰り、すみやかに事務処理を行い、被保険者証、年金手帳、確認通知書等の作成を行うこと。

② 立入検査時に被保険者の基礎年金番号の確認ができなかった場合については、疑重複調査の要領に従い処理を行うこと。

③ 職権で作成した届書については、その内容を明らかにするため、3(3)①ウを添付すること。

(5) 留意事項

① 事業主不在時の対応

事業主の不在等により立入調査ができなかった場合は、告発を想定し事蹟を記録すること。

② 立入検査等を拒否又は忌避等された場合

ア 職権適用は、事業主が立入検査及び帳簿の提出命令等に応じることを前提とするものであり、原則として2度立入検査等を拒否又は忌避等されたことにより、最終的に関係諸帳簿等の確認が行えず、職権による適用ができなかった場合については、健康保険法第208条第5号、厚生年金保険法第102条第1項第5号の規定による罰則を適用するため司法警察員に告発を行うものとすること。

イ 告発については、適用促進が目的であること等に鑑み、立入検査等に協力するよう事業主を説得した結果をもって最終的に立入検査等が困難であると判断した場合に告発することが適当であり、告発する場合にあっては、当課適用・徴収対策室へ協議すること。

③ 立入検査の過程で加入意志を示した場合の対応

立入検査は関係帳簿を確認し、被保険者資格の事実確認を行うことを目的とするものであり、立入検査の過程において、事業主から自主的に新規適用届の提出があっても関係帳簿で確認を行うものとすること。

4 被保険者証等の交付

(1) 新規適用後の事業所への対応

① 事業所へ臨場し、事業主に対し、被保険者証、年金手帳、確認通知書を手渡す。この際、被保険者に対し被保険者証を確実に交付するよう申し添えるとともに、決定された標準報酬月額を被保険者に通知する義務がある旨を伝えること。

② 被保険者ごとの保険料額、源泉徴収時期、納付方法(納入告知日、納付期限、口座振替の勧奨等)に係る説明を行うほか、新規適用事業所説明会の資料等を活用し、事業主が行う事務、届出等について説明すること。

③ 保険料納入告知書は郵送を行い、保険料の納付が行われない場合は、直ちに納付督励を行うこと。

④ 事業主が被保険者証等の受取り拒否により手渡すことができない場合は、日を改めて訪問を行い、事業主に制度説明の周知等を図るとともに被保険者証を従業員に配布する義務の周知を図ること。最終的に受取りに応じない場合については、当課適用・徴収対策室へ協議すること。

(2) 事業所調査の実施

適用後1年以内を目途に事業所調査を行うこととし、被保険者の異動(取得、喪失)の有無、被扶養者の異動の有無、昇給等の有無、賞与の支払いの有無、現金給付の該当者の有無等を重点的に確認すること。

5 その他

職権適用を実施した場合は、すみやかに立入検査時の状況等の写しに事業所記録照会回答票(基本記録)を添付し、当課適用・徴収対策室へ送付すること。

別紙1

別紙2

別紙3

[参考]