アクセシビリティ閲覧支援ツール

○健康保険及び厚生年金保険等の滞納整理事務に係る初期手順要領について〔健康保険法〕

(平成19年4月10日)

(庁保険発第0410002号)

(地方社会保険事務局長あて社会保険庁運営部医療保険課長通知)

(公印省略)

標記について、保険料債権の収納対策の向上及び確実な保険料収納の確保を図る観点から、別添のとおり策定したので、平成19年度から当該要領に基づき、全国統一的に取り扱う事務処理を徹底されたい。

(別添)

健康保険及び厚生年金保険等の滞納整理事務に係る初期手順要領

1 目的

この要領は、健康保険料、船員保険料、厚生年金保険料及び児童手当拠出金(以下、「保険料等」という。)が滞納となった事業所(船舶を含む。以下「事業所」という。)の早期滞納の解消を図り長期化を防ぐとともに、保険料収納の確保及び業務量の軽減に繋がる効果的な収納対策として、社会保険事務所の徴収担当課及び地方社会保険事務局の船員保険担当課等(以下「徴収課」という。)の徴収職員が迅速かつ的確な行動による保険料収納の確保の徹底と、全国統一的な納付督励の基準による公平かつ公正な事業運営を確保することを目的に、滞納事業所への初期的な対応手順等の基本的事項を定めるものである。

2 口座振替不能が確認された日から督促指定期限日までの取組について

新規に発生した口座振替不能の事業所に対しては、次の手順で電話による納付督励を実施する。

(1) 納入告知書の作成及び送付

領収済通知書での取扱い収納機関分は、口座振替不能として返戻された納入告知書により、また、領収済通知磁気テープでの取扱い収納機関分は、領収済通知磁気テープの収録後に出力した「口座振替不能事業所一覧表」により、納入告知書を再作成し滞納事業所へ送付する。

(2) 電話による納付督励の対象

前記(1)の滞納事業所のうち、新規に保険料等が滞納となった事業所(延滞金のみ滞納となっていたものを含む。)については、全て電話による納付督励を実施する。

(3) 電話による納付督励の基本的な対応

① 事業主等との接触

事業所への電話は、事業主又は役員等の責任者(以下「事業主等」という。)に行うものとし、不在の場合は事務員等に事業主等がいる時間帯を確認し改めて連絡するなど、事業主等との接触に努めること。

また、連絡が取れない場合には、徴収課に電話を求める文書(参考様式1)を送付すること。

なお、新規適用事業所で初回保険料が口座振替不能となった場合は、速やかに社会保険調査官に社会保険調査官調査要領で定める事故調査として、事業所調査の依頼をすること。

② 電話の応対

事業主等に保険料等を滞納した理由を聴取する前に、毎月の保険料等の納付のお礼を申し上げるなど、丁寧な応対に心がけ、口座振替不能となった理由について聴取するとともに、次のことを行うこと。

ア 納入告知書の送付及び納付方法について説明し、事業主等から督促指定期限日までの納付方法を確認し納付の約束を行うこと。

また、約束した納付日に確認の電話を行う旨を伝えること。

イ 督促指定納付期限日までに納付がなかった場合は、年14.6%の延滞金が発生し、保険料の他に延滞金を納付する必要がある旨を説明すること。

ウ 事業主等から督促指定期限までに納付することが困難である旨の申し出があった場合は、早期の滞納解消に向けた相談を行うため、呼出の日程調整を行うこと。(相談は、呼出による納付督励に準じて実施すること。)

(4) 初期対応事業所管理票の作成

徴収支援システムにより、当月の新規滞納事業所を抽出し、エクセル形式に変換した上、別紙1の「初期対応事業所管理表」を作成し処理状況をその都度記載すること。(船員保険分は、別途同様の初期対応事業所管理表を作成すること。)

なお、この作業で判明した口座振替以外(自主納付)分の新規滞納事業所についても、電話による納付督励を実施すること。

(5) 納付確認

電話による納付督励で約束した納付日に確認の電話を入れ、納付状況を確認すること。

なお、納付できない旨の回答があった場合は、呼出による納付督励を行うこととし、日程調整を行うこと。

3 督促指定期限日後の1か月間の取組みについて

電話による納付督励で納付を約束したにも拘わらず、督促指定期限日までに保険料納付されなかった事業所は、全て呼出による納付督励を実施する。

(1) 来所通知書の送付

新規滞納事業所は、督促指定期限日後、1か月以内の期日を指定した来所通知書(参考様式2)を送付する。

なお、督促指定期限日の翌月に呼び出す場合は、当月分の保険料納付状況を十分確認し、滞納があった場合には、2か月分の滞納保険料の納付督励を行うこと。

また、事業主等から日程調整又は来所困難との連絡があった場合には、その理由を聴取した上、督促指定期限日後、1か月以内の範囲で来所日の変更又は事業所への臨場について事業主等と調整すること。

(2) 呼出による納付督励の基本

① 応対の基本的な姿勢

事業主等から保険料納付できなかった理由及び事業所の経営状況等について十分に聴取するとともに、次の事項を丁寧に説明し、事業主等の納付意欲を喚起すること。

ア 被保険者の給与や賞与から集めた保険料の被保険者負担分と、事業主負担分を合わせて納付する事は事業主の義務であること。

イ 保険料は、被保険者である従業員やその家族の医療給付や年金給付の財源として充てられ、病気になった時や、老後の生活の安定に役立つものであること。

また、社会保険制度は、社会連帯の考え方によって成り立っているものであり、保険料を納付している他の事業主との間で不公平にならないようにする必要があること。

ウ 保険料は毎月発生するため、早期解消が図られない場合には、国税徴収法の例に基づき、差押え処分を行うものであること。

② 納付交渉

事業主等との納付交渉においては、約束不履行等の経過を踏まえ、毅然とした態度が必要であり、原則として、国税通則法第55条による有価証券による納付の委託(以下「納付委託」という。)を受けることとし、その証券は、支払期日が納付期限日から6か月以内の証券であり、かつ年度内完納となるものとすること。

また、必ず延滞金の発生額について説明し、保険料と延滞金との合計額の収納に努めること。

なお、やむを得ない理由がある等により、納付委託を受けることができない場合には、公平性を確保するため、納付期限日から3か月以内に滞納保険料(延滞金を含む。)を納付する納付誓約書(参考様式3)を徴し、必要に応じて、その約束が確実なものであるか決算書等の提出を求め確認すること。

(参考)

滞納保険料は3か月以内の解消が基本であるが、これは、納付委託は短期間(3か月程度)に完納させることができると認められる場合としている国税通則法基本通達に準じた取り扱いである。

③ 納付誓約の留意点

ア 証券を有していないため、納付委託を受けることができない場合は、その理由を聴取し、納付誓約書に記載させ提出を求めること。

また、納付誓約が不履行となった場合は、直ちに差押え処分を行うものであることを伝えること。

なお、納付期限が2月末以降のものについては、原則、年度内完納を求める納付日及び納付方法を記した納付誓約書を提出させること。

イ 納付誓約を行った場合においては、約束当日には納付確認の電話等を行う旨を伝えるとともに、納付約束日には、電話等による納付の履行確認を行うこと。

なお、約束不履行が判明した場合は、事業所へ臨場し、改めて納付督励を行うこと。

④ 当月納付する保険料分の納付喚起

滞納保険料の他、当月納付分の保険料についても、確実に納付するよう納付喚起し、口頭により納付約束を行うこと。納付がなかった場合は、約束不履行として、取り扱うこととなり、差押えの準備を進めるものである旨を伝えること。

(3) 納付委託の例外的措置

納付委託を受けた以後、事業主等から納付委託を受けた有価証券について返却の依頼があった場合(組戻し)、その理由を聴取し、支払いの優先順位が妥当であって、やむを得ないものと認められ、滞納月数が増えず納付意欲がある場合は、1回限りかつ支払期日が納付期限日から6か月以内であって原則年度内に完納となる有価証券との交換を条件に返却を認めることができるものとする。(この場合は理由書を提出することが条件であること。)

(4) 来所に応じない事業所

来所通知書に応じない事業主等については、速やかに当該事業所へ臨場し納付督励を実施する。

4 滞納事業所への臨場の取組みについて

来所通知書にも応じない事業所及び約束不履行の事業所について、事業所へ臨場し、事業主等に納付督励を実施する。

(1) 事業所臨場の対象

① 来所に応じない事業所(初回納付期限から2か月目)

② 納付委託を受けた以後、新たな滞納が発生した事業所(初回納付期限から3か月目)

③ 納付誓約書を提出後、新たな滞納が発生した事業所(初回納付期限から3か月目)

④ 納付誓約書の提出に応じない事業所(来所時の約束から1週間経過)

(2) 不在時のための事前準備

事業主等の不在を想定し、滞納保険料を速やかに納付すること及び徴収課へ電話連絡を求める文書(参考様式4)を封筒に封緘し準備すること。事業主等と接触できなかった場合、文書を事業所の郵便受け等に投函するものであるが、その際は投函誤りがないよう十分注意すること。

なお、事業主等から連絡があった場合は、呼出を基本として日程調整し、納付督励を行うこと。

(3) 臨場による納付督励の基本

① 応対の基本的な姿勢

来訪に応じない及び呼出時に納付したにも拘らず滞納月数が増えることを踏まえ、言動に注意し、次の事項を基本に厳格な対応を徹底すること。

ア 全ての滞納保険料は、初回の滞納月の納付期限日から3か月以内に納付させ、毎月滞納の早期解消を図るとともに保険料を納付している他の事業主との公平性を確保すること。

イ 滞納解消の協議に応じない、納付意欲がないと認められる場合は、早期の差押えを実行すること。

② 納付交渉

事業主等と滞納保険料の納付時期と納付方法を聴取し、早期に全ての滞納を解消するよう納付交渉を行うものであるが、差押えを念頭に事業所の事業実態、営業状況を詳細に聴取すること。

また、必ず延滞金の発生額について説明し、保険料と延滞金との合計額の収納に努めること。

なお、保険料納付に応じない事業主等に対しては、差押えを行うことを口頭で伝え、その旨を滞納処分票に記載すること。

(4) 納付交渉困難な事業主等への対応

① 事業実態が疑われる事業所

電話及び文書でも連絡が取れない場合、臨場においても営業実態が確認できない場合、または、財産調査及び捜索の実施においても、事業実態がないと認められる場合は、社会保険調査官へ事業所調査を依頼し、認定全喪の処理を進めること。

② 納付交渉の際、差押えを行うことを通告した事業所については、財産調査後、直ちに差押え予告を行い、初回の滞納月の納付期限から4か月目に差押えの実施に努め、迅速かつ的確な保険料債権の確保を図ること。

5 初期手順の進捗管理について

(1) 初期対応事業所管理表は、別紙2の処理状況統計表を作成の上、処理過程毎に所長決裁を受けること。

(2) 徴収課の収納対策会議の開催

毎月、徴収課において徴収対策会議を開催し、初期手順の実施状況等の分析、課題に対する取組み方法を検討し、徴収職員の取組み意識を統一すること。

(3) 報告

① 滞納月数が3か月を越えた滞納事業所については、社会保険事務局の保険料特別徴収専門官へその原因等を報告し、今後の差押え等の対応を報告し、早期滞納の解消に向けた積極的な取組みを行うこと。

② 保険料特別徴収専門官は、初期手順の取組み状況と4か月を超えた滞納事業所の差押え状況等を管理し、社会保険事務局長へ報告すること。

6 例外的な取扱いについて

当該初期手順については、滞納整理事務の基本的な事務処理を定めたものであるので、滞納事業所の倒産情報を入手した場合など、緊急な対応が必要と認められるものについては、その都度、迅速かつ的確な滞納整理事務に努めること。

「別紙1」

「別紙2」

(参考様式1)

(参考様式2)

(参考様式3)

(参考様式4)

〈参考〉