アクセシビリティ閲覧支援ツール

添付一覧

添付画像はありません

○健康保険、厚生年金保険等の保険料等の的確な滞納整理事務の徹底等について〔健康保険法〕

(平成19年8月13日)

(庁保険発第0813001号)

(地方社会保険事務局長あて社会保険庁運営部医療保険課長通知)

(公印省略)

標記について、健康保険、厚生年金保険等の保険料等を長期に滞納する事業所に対する的確な滞納整理事務の徹底による適正な債権管理を推進するため、別添「健康保険及び厚生年金保険等の保険料等を長期に滞納する事業所に対する滞納整理事務の適正処理について」のとおり、その取扱いを定めたので、今後は当該取扱いに基づき、全国統一的に的確かつ適切な事務処理を徹底されたい。

(別添)

健康保険及び厚生年金保険等の保険料等を長期に滞納する事業所に対する滞納整理事務の適正処理について

1 目的

この取扱いは、健康保険料、船員保険料、厚生年金保険料及び児童手当拠出金並びに延滞金(以下「保険料等」という。)を長期に滞納する事業所に対する滞納処分の徹底と確実な時効中断措置等、的確な滞納整理事務による適正な債権管理を推進するため、当該事務に係る徴収職員が行う適正処理の取扱いを定め、「健康保険及び厚生年金保険等の滞納整理事務に係る初期手順要領について」(平成19年4月10日付庁保険発第0410002号、以下「初期手順」という。)との総合的な取組により徴収事務の向上を図ることを目的とするものである。

2 取組の基本姿勢等について

(1) 徴収職員の取組姿勢

徴収職員は、社会保険制度の公平性と信頼性を確保するため、滞納事業所の事業状況等を適切に把握し、迅速で的確かつ厳正な事務処理を滞納処分の基本的取組姿勢として心掛け、社会保険各法、国税徴収法等の諸規定の法令遵守を徹底し、的確な滞納整理事務を実施すること。

(2) 組織的な取組と推進体制

保険料徴収が困難な事案については、社会保険事務所及び地方社会保険事務局にそれぞれ徴収対策会議を設置し、その要因を十分に分析した上、徴収の困難度に応じた取組区分により、組織的にその対応を検討する体制を整備すること。

① 社会保険事務所には、社会保険事務所長を議長とし、次長、徴収担当課長及び徴収専門官等をメンバーとする事務所徴収対策会議を設置すること。

なお、船員保険の徴収を地方社会保険事務局で行っている場合には、担当課長を議長とし、課長補佐、保険料特別徴収専門官(以下「特徴官」という。)、船員保険の徴収担当係長及び徴収専門官等をメンバーとする船員保険徴収対策会議を設置すること。

② 地方社会保険事務局には、地方社会保険事務局長を議長(但し、地方社会保険事務局長は、次長又は保険部長に議長を委任することができる。)とし、地方社会保険事務局の次長又は保険部長、担当課長、課長補佐、特徴官と、社会保険事務所の所長及び徴収担当課長をメンバーとする事務局徴収対策会議を設置すること。

(3) 特徴官の実務指導等の積極的な実施

地方社会保険事務局長は、社会保険事務所の徴収事務の業務管理の徹底と徴収事務の向上を図るため、徴収事務に精通した適任者を特徴官として配置し、社会保険事務所の徴収職員に対する実務指導、研修等を積極的に実施させること。

3 滞納事業所の業務管理の徹底について

滞納事業所の滞納月数及び滞納事業所数の減少並びに時効中断措置等の適正な債権管理を実施するため、滞納事業所の徴収の困難度に応じた取組区分の分類を行い、個々の状況に適した計画的な取組と組織的な進捗管理の実施により、適切な業務管理を徹底すること。

(1) 滞納事業所の取組区分

滞納事業所に対しては、体系的な徴収対策の実施により、実施内容を評価し効果的な対策を確立する必要があるため、滞納月数、滞納期間及び滞納処分票の納付督励の事蹟等に基づき、次の取組区分に分類し管理すること。

なお、取組区分については、直近の滞納処分票の事蹟に基づき分類するものであるが、区分1及び2において、(A)~(F)の小区分に分類する際に複数の要因がある場合は、該当する記号の中において昇順で設定した記号順により分類すること。

(取組区分)

区分1; 滞納期間が1年を超え(滞納月数が24月以上は除く。)、次に該当する取組困難な事例のもの

(A) 財産調査、捜索を行ったが財産の特定ができなかったもの

(B) 事業主との連絡がつかない、事業実態の確認ができないもの

(C) 延滞金のみ納付しないもの

(D) 事務処理誤り、会計検査院の指摘等により遡及したもの

(E) 適用促進で適用したもの

(F) その他、特殊な事例のもの

区分2; 滞納月数が24月以上のもの(区分1の小区分に分類する。)

区分3; 区分1の取組困難な事例以外であって、滞納期間が2年以上のものなど、各地方社会保険事務局の実情に応じ区分管理すべき対象を設定すること

区分4; 上記以外のもの(区分1から区分3のものを除く。)

区分5; 全喪滞納事業所

(注1) 区分1から区分4までの滞納事業所は、現存事業所が対象であるが、移管等による事務処理上の全喪事業所を含む。

(注2) 滞納期間とは、最も古い滞納月分の経過期間であり、滞納月数が24月以上とは、保険料等のそれぞれの滞納月数である。

(2) 「滞納事業所の管理表」の作成

① 毎月の滞納事業所の実態把握と取組状況等を的確に管理するため、督促指定期限後の未納事業所一覧表に基づき、健康保険・厚生年金保険徴収調査業務支援システム(以下「徴収支援システム」という。)を活用し、別紙1の「滞納事業所管理表」を作成すること。

なお、船員保険分については「繰越船舶所有者一覧表」により、「繰越船舶所有者の管理表」を作成すること。

(注) 徴収支援システムは、全喪後3年を超える事業所が表示されないため、留意すること。

② 「滞納事業所管理表」は、前期3(1)の区分1から区分3の取組区分を表示し、事務所徴収対策会議及び事務局徴収対策会議において、対応状況の検討等の業務管理の資料として活用すること。

なお、取組区分の表示は、徴収支援システムの滞納事業所管理表の「備考欄1」欄に次の統一記号で入力すること。

ア 区分1の小区分により表示 1A~1F

イ 区分2の小区分により表示 2A~2F

ウ 区分3により表示 3

(3) 時効中断措置状況の管理表等の作成

滞納保険料の時効中断措置の処理状況を的確に管理するため、毎年、出納整理期間終了後の5月初旬頃の未納事業所一覧表に基づき、別紙2の「時効中断措置状況の管理表」と、個々の処理状況を管理する別紙3の「時効中断措置の事業所一覧表」を作成すること。

(注1) 「時効中断措置の事業所一覧表」は、年間を通して時効中断措置の消し込み用として使用するものであるため、前記3(2)で作成する別紙1の「滞納事業所管理表」を複写・編集し、簡易に作成するものであり、新規滞納事業所の追記は不要であること。

(注2) 「時効中断措置の事業所一覧表」は、滞納処分票との突合確認と、滞納処分票の事蹟に基づき、当該一覧表の「前回中断年月」欄に前回の時効中断措置が行われた年月(新規等の時効中断措置が行われていない場合は、時効中断が必要な最も古い滞納年月分の滞納保険料等)を記入すること。

また、突合確認に当たっては、担当者の滞納処分票を相互に交換し、紛失等がないことを確実に確認すること。

(4) 的確な滞納整理事務の推進(業務管理の徹底)

① 事務所徴収対策会議の開催

事務所徴収対策会議は、組織的な徴収対策を推進するため、議長の召集により毎月開催すること。

会議においては、「滞納事業所管理表」の取組区分により区分1から区分3の滞納事業所について、事務局徴収対策会議において決定された徴収対策の取組方針に基づく取組状況の管理、区分4の滞納事業所について、納付督励及び滞納処分の実施状況の管理、区分5の全喪事業所について、執行停止状況の管理を行う。

また、「時効中断措置状況の管理表」及び「時効中断措置の事業所一覧表」により、時効中断状況の管理、「初期対応処理状況統計表」により初期手順の取組状況の管理を行うとともに、滞納事業所の早期解消に向けた計画的かつ具体的な徴収対策を検討し、その徴収対策の取組状況及び分析等の業務管理を行うこと。

② 事務局徴収対策会議の開催

事務局徴収対策会議は、次の開催の例を参考に、議長の召集により年3回以上開催すること。

会議においては、各社会保険事務所の「滞納事業所管理表」の取組区分の区分1から区分3の滞納事業所について、滞納の解消に向けた計画的な徴収対策の取組方針を決定し、その徴収対策の分析・評価を行うとともに、時効中断措置状況や初期手順の実施状況等の業務管理を行うこと。

(開催の例)

ア 年間取組目標の決定等

イ 年度中期までの取組結果を踏まえ、年度末に向けた取組の管理等

ウ 年度末取組期間中における最終取組の管理等

③ 滞納事業所に対する取組区分の基本指針

ア 区分1及び区分2共通

(A) 事業実態を的確に把握し、国税徴収法第141条各号に掲げる調査先の財産調査が十分に行われているか、又は捜索が行われているか等、滞納整理状況を分析し適切な徴収対策を実施すること。

(B) 財産調査、捜索の実施状況等による事業実態の把握状況等、滞納整理状況を分析するとともに、適切に適用担当課へ引継ぎ、事業所実態調査を実施すること。

(C) 事業主との継続的な納付交渉等、滞納整理状況を分析し延滞金の徴収対策に努めること。

(D) 事業主等との継続的な納付交渉等、滞納整理状況を分析し適切な徴収対策を実施すること。

(E) 事業主等との継続的な納付交渉及び的確な差押えの実施等、滞納整理状況を分析し適切な徴収対策を実施すること。

(F) 特殊な事例として、滞納整理状況を分析し、効果的な徴収対策を検討し実施すること。

イ 区分3

長期化している要因等を分析し、早期解消に向けた適切な徴収対策を実施すること。

ウ 区分4

初期手順の対応を徹底し、長期化を防ぎ滞納事業所数の減少を図る取組みを実施すること。また、安易な納付約束を繰り返していないか、的確な財産調査及び差押えを実施しているか等、滞納整理状況を分析し滞納保険料の早期解消に向けた計画的な取組を実施すること。

エ 区分5

全喪事業所については、概ね全喪処理後1年以内の速やかな執行停止処理を実施すること。

4 適正な債権管理の確保

滞納事業所(移管等、事務処理上の全喪事業所を含む。)に対しては、社会保険制度の公平性と信頼性を確保するため、粘り強く保険料納付の理解を求め、必要に応じて、滞納処分の実施による滞納保険料等の早期解消を図ることを基本とするが、保険料等が時効消滅しないよう時効中断措置の手続き等、的確な滞納整理事務による適正な債権管理の確保に努めること。

(1) 時効中断措置の手続き

滞納保険料等の時効中断の手続きは、差押え、交付要求及び捜索の実施並びに納付誓約書(計画書)(初期手順の参考様式3)等により債務承認を徴取する基本的な措置によって、取り扱うものとすること。

なお、保険料等が納付された場合、又は納付の委託を受けた場合においても、保険料の全部又は一部が納付された、又は納付委託を受けた月分の保険料等は時効中断されるものであるが、当該月分以外の保険料等は時効中断せず進行するものであることに留意し取り扱うこと。

(債務承認等の留意事項)

① 納付誓約書(計画書)等の債務の承認の取扱いについては、必ず書面をもってこれを取り扱うものとし、その書面に事業主からの承認(署名・押印(自筆の場合は不要))を受けること。

また、債務の承認の書面には、債務額の内訳、当該債務額の対象期間、承認年月日、事業所名称、事業所所在地の必要事項(以下「債務承認の必要事項」という。)の記入漏れがあると、時効中断の効力に影響を及ぼすおそれがあるので、債務承認の必要事項は記入漏れのないよう留意すること。

② 債務承認書については、当面、徴収支援システムで出力可能な別紙4の「事業所別滞納状況表」を活用し、ゴム印等で債務承認、日付、事業所名称、事業所所在地の事項を表示することにより債務承認書として、使用する取り扱いとすること。

なお、これまでに地方社会保険事務局において、債務承認の必要事項が記載された統一様式を定めている場合には、当課適用・徴収対策室に協議の上その使用を認めるものであること。

(2) 時効中断措置の進捗管理

社会保険事務所長は、滞納事業所への対応放置等により滞納保険料等の時効完成及び債権の消滅を生じさせることのないよう適正な債権管理を推進すること。

そのため、時効中断措置状況の管理表等を定期的に開催される事務局徴収対策会議に報告すること。

(3) 納付督励と時効中断措置の取組

時効中断措置は、納付督励及び滞納処分の一環で確実に行われるべきものであり、年度開始の早期から全ての滞納事業所に対して、滞納保険料等の計画的かつ早期解消に向けた納付督励に合わせて、時効中断措置の手続きを行うこと。

なお、納付督励が債務承認書の徴取のみの交渉を繰り返すことがないよう、滞納事業所の取組区分毎に適切な取組を工夫し実施すること。

① 呼出による納付督励と債務承認

ア 初期手順対応中のもの、差押え・捜索の実施を予定しているもの及び差押え中のものを除き、全ての現存の繰越事業所の事業主又は役員等の責任者(以下「事業主等」という。)に対して、原則として、呼出による納付督励を実施すること。

この場合、前年度の納付督励等を踏まえ、改めて、滞納保険料の債務の確認及び今年度の計画的かつ早期解消に向けた納付督励を行い、全ての滞納事業所から納付誓約書(計画書)を徴取すること。

イ 滞納保険料の分割納付を認める場合において、その分割納付期間が1年を超えるような場合は、当面、1年程度の分割納付を認めることとし、翌年度に改めて、債務承認と分割納付の増額の納付交渉に努めるなど、適切に取り扱うこと。

ウ 納付交渉において、納付困難な理由があって納付誓約書の納付計画欄に記入を拒否する場合等は、次回の納付交渉の期日(3か月以内)と併せて、納付誓約書の備考欄に「上記の未納保険料等について、債務額を確認するとともに、○○~であるため(納付困難な理由等を記入させる。)、平成○○年○○月○○日までに、納付計画を提出することを約束します。」と記入させるか、又は、別紙4の債務承認書の徴取に努めること。

② 臨場による納付督励と債務承認

呼出しに応じない繰越事業所及び臨場による納付督励が適当と判断される繰越事業所は、当該事業所等へ臨場し、前記①と同様の取り扱いにより納付誓約書(計画書)、又は債務承認書の徴取を行うこと。

③ 文書送付による債務承認の徴取

次に該当する事例のように納付督励が必要ない場合等で、文書送付による債務承認の取組が適切と判断される場合においては、事業主への文書送付により債務承認書を徴取することも可とすること。

(文書送付による債務承認の事例)

ア 分割納付中で当該年度に新たな納付交渉が必要ないもの

イ 過去の実績から、事業主等が必ず債務承認書を提出すると判断され、滞納保険料等に納付意欲が認められるもの

(4) 適切な差押えの実施と管理

納付督励で事業主等に納付意欲がなく、債務承認書等を徴取することが困難と判断される場合には、財産調査を行い、差押えの予告後、速やかに差押えを実施し、適切に時効中断措置を講ずること。

また、その実施に当たっては、適正な事務処理を推進するため、次の点に留意し実施すること。

① 徴収職員は、差押えの手続きにおいて国税徴収法等の規定に従い、違法又は不当な差押えを行うことがないよう十分留意し、適正に執行すること。

② 差押関係書類については、差押えの重要性に鑑み、その適正を期するため、滞納処分票の決裁時に社会保険オンラインシステムへの入力処理票も含め、社会保険事務所長等の決裁を受けること。

また、差押調書の決裁終了後、差押えが実行できなかった場合、その経過を詳細に滞納処分票に記入し社会保険事務所長の決裁を受けるとともに、事後の参考とするため特徴官へ書面で報告すること。

③ 差押処理票には差押調書を添付するものとし、日々の入力処理(取消処理を含む。)の確認については、入力した処理票と差押調書の内容を突合する他、システム運用責任者に入力処理件数を報告(入力処理票と差押調書の写しを添付)し、処理件数票(日報)との突合による決裁を受けること。

④ 差し押えた財産については、放置することなく、保険料等の滞納債権を確保する最終的な措置であることに鑑み、国税徴収法第151条の換価の猶予に基づく取扱いの他、迅速に処理すること。

(5) 適切な捜索の実施

滞納事業所との納付交渉等により、時効中断の債務承認を得ることが困難と判断され、財産調査においても差押えを実施する財産を特定することができなかった場合は、速やかに捜索を実施し適切に時効中断措置を講ずること。

(捜索の留意点)

① 捜索は、国税徴収法第142条に基づき、財産調査での質問・検査の権限を行使したにもかかわらず、差押えるべき財産を発見できない場合又は質問・検査に対して滞納者が非協力的な場合等、滞納処分執行上支障を来たした場合に実施することとされているため、滞納事業所の財産の特定に当たっては、必要に応じて、捜索による強制調査を実施するものとすること。

② 捜索に当たっては、立会人を立ち合わせるとともに、捜索の開始を宣言し実施すること。また、捜索の事蹟を明確にするため、捜索調書を作成し、事業主等に確認の署名等を求め、その控えを事業主等に交付すること。

(注) 捜索に際し令状の提示を求められた場合には、国税徴収法第142条による捜索は、租税公課の滞納という事実により、その確実な徴収を図るという公益上の目的の行使によるもので、刑事事件の犯罪捜索でないため令状は必要ない旨を説明すること。

5 報告等

(1) 時効中断措置状況の報告等について

時効中断措置状況について、特徴官は年度終了後、各社会保険事務所分の時効中断措置状況の管理表をとりまとめ、社会保険事務所の内訳を添えて毎年5月20日までに当課適用・徴収対策室へ報告すること。

(2) 取組区分の困難事例について

事務所徴収対策会議及び事務局徴収対策会議は、取組区分の困難事例を最重要課題とし、計画的な取組とその取組状況の分析、評価等を総合的に検討すること。

なお、特に事務局徴収対策会議において対応が困難と判断される事案にあっては、取組の事例を収集する必要があることから、当課適用・徴収対策室に情報提供を行うこと。

別紙1

別紙2

別紙3

別紙4