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(3) 併合、準用、加重

イ 併合

(イ) 障害等級表では、耳介の欠損障害について、1耳のみの等級を定めているので、両耳の耳介を欠損した場合には、1耳ごとに等級を定め、これを併合して認定すること。

なお、耳介の欠損を醜状障害としてとらえる場合は、上記の取扱いは行わないこと。

(ロ) 耳介の欠損障害と聴力障害が存する場合は、それぞれの該当する等級の併合して認定すること。

ロ 準用

(イ) 鼓膜の外傷性穿孔及びそれによる耳漏は、手術的処置により治ゆを図り、そののちに聴力障害が残れば、その障害の程度に応じて等級を認定することとなるが、この場合、聴力障害が障害等級に該当しない程度のものであっても、常時耳漏があるものは第12級を、その他のものについては、第14級を準用すること。また、外傷による外耳道の高度の狭さくで耳漏を伴わないものについては、第14級を準用すること。

(ロ) 耳鳴に係る検査によって難聴に伴い著しい耳鳴が常時あると評価できるものについては第12級を、また、難聴に伴い常時耳鳴のあることが合理的に説明できるものについては第14級を、それぞれ準用する。

a 「耳鳴に係る検査」とは、ピッチ・マッチ検査及びラウドネス・バランス検査をいう。

b 「難聴に伴い」とは、騒音性難聴にあっては、騒音職場を離職した者の難聴が業務上と判断され当該難聴に伴い耳鳴がある場合をいう。

騒音性難聴以外の難聴にあっては、当該難聴が業務上と判断され治ゆ後にも継続して当該難聴に伴い耳鳴がある場合をいう。

c 耳鳴に係る検査により耳鳴が存在すると医学的に評価できる場合には、「著しい耳鳴」があるものとして取り扱うこと。

d 耳鳴が常時存在するものの、昼間外部の音によって耳鳴が遮蔽されるため自覚症状がなく、夜間のみ耳鳴の自覚症状を有する場合には、耳鳴が常時あるものとして取り扱うこと。

e 「耳鳴のあることが合理的に説明できる」とは、耳鳴の自訴があり、かつ、耳鳴のあることが騒音ばく露歴や音響外傷等から合理的に説明できることをいう。

(ハ) 内耳の損傷による平衡機能障害については、神経系統の機能の障害の一部として評価できるので、神経系統の機能の障害について定められている認定基準に準じて等級を認定すること。

(ニ) 内耳の機能障害のため、平衡機能障害のみでなく、聴力障害も現存する場合には、併合の方法を用いて準用等級を定めること。

ハ 加重

(イ) 耳については、両耳を同一部位としているので、1耳に聴力障害が存する者が、新たに他耳に聴力障害を存した場合には、加重として取り扱うこと。

例 1耳の聴力を全く失っていた者が、新たに他耳の聴力を全く失った場合の障害補償の額は、両耳の聴力障害に該当する障害補償の額(第4級の3、給付基礎日額の213日分の年金)から既存の1耳の聴力障害に該当する障害補償の額(第9級の7、給付基礎日額の391日分)の1/25の額を差し引いた額となる。

(ロ) ただし、既に両耳の聴力を減じていた者が、1耳について障害の程度を加重した場合に、労災則第14条第5項により算定した障害補償の額(日数)が、その1耳に新たな障害のみが生じたこととした場合の障害補償の額(日数)より少ないときは、その1耳に新たな障害のみが生じたものとみなして障害補償の額を算定すること。

例 既に両耳の聴力レベルが50dB(第10級の3の2)である者の1耳の聴力レベルが70dBとなった場合の障害補償の額は、第11級の4(1耳の聴力レベルが70dB以上)の障害補償の額から第14級の2の2(1耳の聴力レベルが40dB以上)の障害補償の額を差し引いた額となる。

3 鼻

(1) 鼻の障害と障害等級

イ 鼻の障害については、障害等級表上鼻を欠損し、その機能に著しい障害を残すもの 第9級の5のみを定めている。

ロ 鼻の欠損を伴わない機能障害については、労災則第14条第4項により、その障害の程度に応じて、障害等級表に掲げている他の障害に準じて等級を認定すること。

(2) 障害等級認定の基準

イ 「鼻の欠損」とは、鼻軟骨部の全部又は大部分の欠損をいう。

また、「機能に著しい障害を残すもの」とは、鼻呼吸困難又は嗅覚脱失をいう。

ロ 鼻の欠損が、鼻軟骨部の全部又は大部分に達しないものであっても、これが単なる「外貌の醜状」の程度に達するものである場合は、第12級の14とすること。

ハ 鼻の欠損は、一方では「外貌の醜状」としてもとらえうるが、耳介の欠損の場合と同様、それぞれの等級を併合することなく、いずれか上位の等級によること。

例 鼻を欠損し、その機能に著しい障害を残す場合は、鼻の障害としては第9級の5に該当するが、一方、外貌の醜状障害として第7級の12に該当するので、この場合は、第7級の12とする。

ニ 鼻の欠損を外貌の醜状障害としてとらえる場合であって、鼻以外の顔面にも瘢痕等を存する場合にあっては、鼻の欠損と顔面の瘢痕等を併せて、その程度により、単なる「醜状」か「著しい醜状」かを判断すること。

(3) 準用

イ 鼻の機能障害のみを残すものについては、障害等級表上特に定めていないので、その機能障害の程度に応じて、次により準用等級を定めること。

(イ) 嗅覚脱失又は鼻呼吸困難については、第12級の12を準用すること。

(ロ) 嗅覚の減退については、第14級の9を準用すること。

ロ 嗅覚脱失及び嗅覚の減退については、T&Tオルファクトメータによる基準嗅力検査の認知域値の平均嗅覚損失値により、次のように区分する。

5.6以上 嗅覚脱失

2.6以上5.5以下 嗅覚の減退

なお、嗅覚脱失については、アリナミン静脈注射(「アリナミンF」を除く。)による静脈性嗅覚検査による検査所見のみによって確認しても差し支えないこと。

4 口

(1) 口の障害と障害等級

イ 口の障害については、障害等級表上、次のごとく、そしゃく及び言語機能障害並びに歯牙障害について等級を定めている。

(イ) そしゃく及び言語機能障害

そしゃく及び言語の機能を廃したもの 第1級の2

そしゃく又は言語の機能を廃したもの 第3級の2

そしゃく及び言語の機能に著しい障害を残すもの 第4級の2

そしゃく又は言語の機能に著しい障害を残すもの 第6級の2

そしゃく及び言語の機能に障害を残すもの 第9級の6

そしゃく又は言語の機能に障害を残すもの 第10級の2

(ロ) 歯牙障害

14歯以上に対し歯科補てつを加えたもの 第10級の3

10歯以上に対し歯科補てつを加えたもの 第11級の3の2

7歯以上に対し歯科補てつを加えたもの 第12級の3

5歯以上に対し歯科補てつを加えたもの 第13級の3の2

3歯以上に対し歯科補てつを加えたもの 第14級の2

ロ 嚥下障害、味覚脱失等障害等級表に掲げていない口の障害については、労災則第14条第4項により、その障害の程度に応じて、障害等級表に掲げている他の障害に準じて等級を認定すること。

(2) 障害等級認定の基準

イ そしゃく及び言語機能障害

(イ) そしゃく機能の障害は、上下咬合及び排列状態並びに下顎の開閉運動等により、総合的に判断すること。

(ロ) 「そしゃく機能を廃したもの」とは、流動食以外は摂取できないものをいう。

(ハ) 「そしゃく機能に著しい障害を残すもの」とは、粥食又はこれに準ずる程度の飲食物以外は摂取できないものをいう。

(ニ) 「そしゃく機能に障害を残すもの」とは、固形食物の中にそしゃくができないものがあること又はそしゃくが十分にできないものがあり、そのことが医学的に確認できる場合をいう。

a 「医学的に確認できる場合」とは、不正咬合、そしゃく関与筋群の異常、顎関節の障害、開口障害、歯牙損傷(補てつができない場合)等そしゃくができないものがあること又はそしゃくが十分にできないものがあることの原因が医学的に確認できることをいう。

b 「固形食物の中にそしゃくができないものがあること又はそしゃくが十分にできないものがあり」の例としては、ごはん、煮魚、ハム等はそしゃくできるが、たくあん、らっきょう、ピーナッツ等の一定の固さの食物中にそしゃくができないものがあること又はそしゃくが十分にできないものがあるなどの場合をいう。

(ホ) 「言語の機能を廃したもの」とは、4種の語音(口唇音、歯舌音、口蓋音、喉頭音)のうち、3種以上の発音不能のものをいう。

(ヘ) 「言語の機能に著しい障害を残すもの」とは、4種の語音のうち2種の発音不能のもの又は綴音機能に障害があるため、言語のみを用いては意思を疎通することができないものをいう。

(ト) 「言語の機能に障害を残すもの」とは、4種の語音のうち、1種の発音不能のものをいう。

注 語音は、口腔等附属管の形の変化によって形成されるが、この語音を形成するために、口腔等附属管の形を変えることを構音という。

また、語音が一定の順序に連絡され、それに特殊の意味が付けられて言語ができあがるのであるが、これを綴音という。言語は普通に声を伴うが(有声言語)、声を伴わずに呼息音のみを用いてものをいうこともできる(無声言語)。

語音は、母音と子音とに区別される。この区別は、母音は声の音であって、単独に持続して発せられるもの、子音は、母音とあわせて初めて発せられるものであるという点にある。しかし、子音のうちには半母音のごとく母音と区別できないものがある。

子音を構音部位に分類すると、次の4種類となる。

1 口唇音(ま行音、ば行音、ぱ行音、わ行音、ふ)

2 歯舌音(な行音、た行音、だ行音、ら行音、さ行音、しゅ、し、ざ行音、じゅ)

3 口蓋音(か行音、が行音、や行音、ひ、にゅ、ぎゅ、ん)

4 喉頭音(は行音))

ロ 歯牙障害

「歯科補てつを加えたもの」とは、現実にそう失又は著しく欠損した歯牙に対する補てつをいう。したがって、有床義歯又は架橋義歯等を補てつした場合における支台冠又は鈎の装着歯やポスト・インレーを行うに留まった歯牙は、補てつ歯数に算入せず、また、そう失した歯牙が大きいか又は歯間に隙間があったため、そう失した歯数と義歯の歯数が異なる場合は、そう失した歯数により等級を認定すること。

例 3歯のそう失に対して、4本の義歯を補てつした場合は、3歯の補てつとして取り扱う。

(3) 併合、準用、加重

イ 併合

そしゃく又は言語機能障害と歯牙障害が存する場合であって、そしゃく又は言語機能障害が歯牙障害以外の原因(たとえば、顎骨骨折や下顎関節の開閉運動制限等による不正咬合)にもとづく場合は、労災則第14条第2項及び第3項により併合して等級を認定すること。

ただし、歯科補てつを行った後に、なお、歯牙損傷にもとづくそしゃく又は言語機能障害が残った場合は、各障害に係る等級のうち、上位の等級をもって認定すること。

ロ 準用

(イ) 舌の異常、咽喉支配神経の麻痺等によって生ずる嚥下障害については、その障害の程度に応じて、そしゃく機能障害に係る等級を準用すること。

(ロ) 味覚障害については、次により取り扱うこと。

a 味覚脱失

(a) 頭部外傷その他顎周囲組織の損傷及び舌の損傷によって生じた味覚脱失については、第12級を準用すること。

(b) 味覚脱失は、濾紙ディスク法における最高濃度液による検査により、基本4味質すべてが認知できないものをいう。

b 味覚減退

(a) 頭部外傷その他顎周囲組織の損傷及び舌の損傷によって生じた味覚減退については、第14級を準用すること。

(b) 味覚減退は、濾紙ディスク法における最高濃度液による検査により、基本4味質のうち1味質以上が認知できないものをいう。

c 検査を行う領域

検査を行う領域は、舌とする。

d 障害認定の時期

味覚障害については、その症状が時日の経過により漸次回復する場合が多いので、原則として療養を終了してから6ケ月を経過したのちに等級を認定すること。

(ハ) 障害等級表上組合せのないそしゃく及び言語機能障害については、各障害の該当する等級により併合の方法を用いて準用等級を定めること。

1 そしゃく機能の著しい障害(第6級の2)と言語機能の障害(第10級の2)が存する場合は、第5級とする。

2 そしゃく機能の用を廃し(第3級の2)、言語機能の著しい障害(第6級の2)が存する場合は、併合すると第1級となるが、序列を乱すこととなるので、第2級とする。

(ニ) 声帯麻痺による著しいかすれ声については、第12級を準用すること。

(ホ) 開口障害等を原因としてそしゃくに相当時間を要する場合は、第12級を準用すること。

a 「開口障害等を原因として」とは、開口障害、不正咬合、そしゃく関与筋群の脆弱化等を原因として、そしゃくに相当時間を要することが医学的に確認できることをいう。

b 「そしゃくに相当時間を要する場合」とは、日常の食事において食物のそしゃくはできるものの、食物によってはそしゃくに相当時間を要することがあることをいう。

c 開口障害等の原因から、そしゃくに相当時間を要することが合理的に推測できれば、「相当時間を要する」に該当するものとして取り扱って差し支えないこと。

ハ 加重

何歯かについて歯科補てつを加えていた者が、さらに歯科補てつを加えた結果、上位等級に該当するに至ったときは、加重として取り扱うこと。

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別紙1

聴覚検査法(1990)

1.オージオメータによる純音聴力(閾値)レベル測定法

目次

1.緒言および適用範囲

1―1.緒言

1―2.適用範囲

2.聴力検査に先立つ準備および被検者への説明

2―1.検査機器

2―2.測定環境

2―3.検者の資格

2―4.被検者の準備

2―5.被検者への検査方法の説明

2―6.受話器の装着法

3.気導純音聴力(閾値)レベル測定法

3―1.検査音の呈示法、呈示時間と休止時間

3―2.検査耳の順序、検査周波数の順序

3―3.予備測定

3―4.本測定の手順

3―5.マスキングを必要とする場合の測定法

4.骨導純音聴力(閾値)レベル測定法

4―1.受話器の装着法

4―2.測定方法

4―3.振動感覚と骨導による聴覚

4―4.検査音の呈示時間と休止時間

4―5.検査耳の順序と検査周波数の順序

4―6.予備測定

4―7.本測定の手順

4―8.骨導聴力(閾値)レベル測定時のマスキング法の手順

5.オージオグラムの記載法

5―1.オージオグラムの形式

5―2.検査成績の記入法

6.オージオメータの保守、点検、整備

6―1.点検手続

6―2.主観的点検

6―3.主観的校正点検

6―4.客観的校正点検

6―5.基本的校正

[解説]

解説1.マスキングに関する基礎事項

解1―1.両耳間移行現象(陰影聴取)

解1―2.骨導の外耳導閉鎖効果

解1―3.マスキング現象

解説2.マスキングを必要とする場合の気導(骨導)測定の別法

―ノイズ、検査音同時変化法―

解説3.骨導ノイズを用いた骨導聴力(閾値)レベルの測定法

解3―1.既知の感覚レベルの気導音を骨導ノイズでマスキングする測定法(M―Rの変法)

解3―2.既知のマスキング・ノイズ・レベルを有する骨導ノイズを用いる測定法

解説4.環境音

解4―1.気導聴力(閾値)レベル0dBの測定時の環境音

解4―2.骨導聴力(閾値)レベル0dBの測定時の環境音

[用語解説]

[文献]

1.緒言および適用範囲

1―1.緒言

日本聴覚医学会は、1972年までに報告された各種聴覚検査法全般にわたって基準化の作業を進め、1975年にその原案をAudiology Japan,vol.18,20―46頁に掲載し、さらに1976年には若干の修正と補足を行って、同紙vol.18,142―145頁に“聴力検査法1972年基準化案”として報告した。しかしその後、オージオメータの日本工業規格が改定され(JIS T1201―1982オージオメータ)、国際的には国際標準化機構(ISO)よりBasic pure―tone audiometric test methodsが提示されるに及んで、純音聴力検査法について再検討が必要となった。ここに述べる検査法の骨子は従来からわが国において行われている方法と、ISO/DIS8253.2,1986(文献13)およびISO6189,1983(文献11)に基づいて、一つの指針としてまとめた検査法であって、この情報によることを強制するものではない。

1―2.適用範囲

(1) 純音による聴力(閾値)レベル(用語解説13項参照)の測定は、

イ) 主として耳科学的診断を目的としたもの。

ロ) 聴覚保護を目的とした聴覚管理のためにイ)より限定された周波数で検査が行われるもの。

ハ) 選別検査を目的としたもの。

があるが、ロ)ハ)については章を改めてまとめられる予定である。

(2) 本検査法は、この検査法をある程度理解し正しく応答しようとする者を対象としている。したがって乳幼児その他特殊な被検者には適用することはできない。

(3) 本検査法に記載した測定法の手順は1つの指針であって、熟練した検者が測定を行う場合に、その精度を落とさぬ能率的な測定法を採用することを妨げるものではない。また聴覚検査機器の進歩に伴う新しい検査法の発展や、新しい構想による検査法の開発を抑止するものでもない。

2.聴覚検査に先立つ準備および被験者への説明

2―1.検査機器

JIS T1201―1982オージオメータ(診断用あるいは選別用)の規格をみたし、かつ正しく校正されたオージオメータを使用する。

注―輸入オージオメータを使用する場合はIEC645―1979の規格をみたし、かつISO389―1975およびISO7566―1987に従って校正されたオージオメータを使用する。

2―2.測定環境

聴覚検査は妨害騒音レベルの低い防音室で行う。

被検者を楽な姿勢で着席させる。測定時には、検者が被検者を明視でき、被検者は検者のオージオメータ操作が見えないようにする。

聴覚検査室の温度・湿度は事務室として許容される範囲内とする必要があり、また充分な換気がなされなければならない。

妨害雑音についての詳細は解説4.を参照のこと。

2―3.検者の資格

聴覚検査の準備、被検者への指示、検査の実施は有資格者が責任をもって行うものとする。有資格者とは聴覚測定の理論と実践のしかるべき教育課程を経たものをいう。

2―4.被検者の準備

聴覚検査に先立ち医師が耳鏡検査を行い、外耳道に検査の障害となる耳垢などがある場合にこれを除去する。また、外耳炎や湿疹があるときなど、検査の実施を延期する必要があるか否かを判断する。被検者は聴覚検査の少なくとも15分前から過大な騒音から隔離されている必要がある。

注―検査前に過大な騒音にさらされていると一過性閾値上昇のため本来のより大きな測定値が得られることがある。

検査に先立ち、下記の指示を行う。

(イ) 眼鏡、髪飾り、イヤリング、補聴器などを着けている場合はそれを取りはずす。

(ロ) 検査を妨害する騒音の発生を防ぐため、不必要な動きをしないようにする。

2―5.被検者への検査方法の説明

検査方法について的確な説明をおこない、被検者にそれを充分理解させることが肝要である。その説明には下記の項目を含む必要がある。

(イ) 音が聞こえたときの応答方法(検査音が聞こえている間―断続音の場合は断続音が聞こえている間―ずっとボタンを押し続け、あるいは指か手を上げ続けて応答する)。

(ロ) 音が聞こえなくなったときの応答方法(ボタンを放すとか指か手を下げるなど)。

(ハ) 応答(上記(イ)および(ロ))はできるだけ速やかにする必要があること。

(ニ) 聞こえる音が非常に小さくても応答する必要性があること。

(ホ) 検査耳の順序、検査周波数の順序の説明。

(ヘ) 検査の続行に支障が生じた時、被検者から検査の中断を申し出ることができること。

説明を被検者が理解できたか否か確かめることが望ましい。疑問がある場合は説明を反復する。

2―6.受話器の装着法

気導受話器は両耳要ヘッド・バンド(圧抵力500g重以上)を用い、耳介部に正しく装着し、周囲にすき間ができないよう、また毛髪がはさまったりしないようにする。受話器が1個の機器では対側に受話器ダミーを用いる。

骨導受話器は乳突部にヘッド・バンドを用い振動面が圧抵面に平行になるよう、また、毛髪がはさまったり、耳介に接触しないように装着する。受話器は検者が装着し、被検者には受話器装着後、特別な指示がない限り受話器に触れないよう指示する。検者も検査中に不必要に受話器に触れたりしないようにする。装着状態に異常を感じた時は直ちに知らせるよう、あらかじめ被検者に指示しておく。

注―1 受話器の装着状態が正しい状態にあることを随時監視する。特に骨導受話器の装着状態には注意が必要である。

注―2 骨導受話器は前額正中部に装着する場合もある。

3.気導純音聴力(閾値)レベル測定法

3―1.検査音の呈示法、呈示時間と休止時間

閾値の測定は原則として断続上昇法による。

1回の検査音は同一レベルで1~2秒呈示する。聞こえるとの応答があったときは一旦検査音を断ち、不定の休止時間をおいて再び検査音を呈示する。その際休止時間が呈示時間よりも短くならないようにする。

注―検査音は原則として断続器によって断続した音を用いる。自動断続音を用いるときは衝撃係数50%、原則として1秒間2回の断続とし、約2秒間聴取させる。自動断続音のときは断続のたびに応答するのではなく、一連の断続音が聞こえている間ずっと(聞こえるとの)応答を続けるように指示する。(2―5.(イ))

3―2.検査耳の順序、検査周波数の順序

原則として自覚的によく聞こえる方の耳から検査をはじめる。検査周波数の順序は原則として1000Hzから始め、2000Hz、4000Hz、8000Hzと順次高い周波数に進み、再び1000Hzを測定し、その後500Hz、250Hz、125Hzと順を追って低い周波数に進む。800Hz、1500Hz、3000Hz、6000Hzなどについては必要に応じ適宜検査する。

注―1 初回と2回目の1000Hzの測定値が10dB以上異なる時は、3―4.(ホ)に従って測定しなおすものとする。

注―2 高度難聴があることが予めはっきりとしているときは1000Hzからはじめ低い周波数を先に検査してもよい。

3―3.予備測定

本測定に先立ち、はっきり聞こえる検査音を用い、被検者を検査に慣れさせるとともに、応答方法など、2―5.項の説明を正しく理解しているか否か確かめるために予備測定を行う。

予備測定手順の例

(イ) 良聴耳にたとえば1000Hz、聴力レベル40dBの検査音を聞かせる。応答が得られたときは、出力レベルを10~20dBステップで応答が得られなくなるまで検査音のレベルを下げる。

(ロ) 40dBで応答が無いときは10~20dBステップで応答のあるまで検査音のレベルを上げたのち、10~20dBステップで応答が無くなるまで検査音のレベルを下げる。

(ハ) (イ)(ロ)に次いで5dBステップで検査音のレベルを、応答が得られるまで徐々に上げる。

(ニ) 初めて応答が得られたレベルあるいはそれより5dB上のレベルで、出力レベルを固定したまま、検査音の呈示と休止を1~2回繰り返す。応答が呈示パターンとおおむね一致したら予備測定終了とする。

(ホ) 応答と呈示パターンとが一致しないときは(ハ)以降の手順を繰り返す。それでも応答と呈示パターンが一致しないときは2―5.項の説明を繰り返す。

注―1 この測定法では検査が円滑に行えないと判断されたときは、被検者に応じて検査音の呈示法、応答方法を変更して測定を行う。

注―2 充分に習熟していて安定した成績の得られる被検者の場合には予備測定を省略してもよい。

3―4.本測定の手順

(イ) 予備測定で得られた1000Hzの応答レベル(3―3.項(ハ)のレベル)から出力レベルを10~20dB下げ、5dBステップで段階的に検査音レベルを上げ、初めて確実な応答が得られる1000Hzの聴力(閾値)レベルを求める。つぎにレベルを5~10dB上げて明確に検査音を聞かせたのち、初めて応答が得られたレベルより10~20dBレベルを下げ、前述と同様な手順で確実な応答が得られる最小のレベルを求める。

注―1) 確実な応答とは、検査音の呈示パターンと応答パターンが一致することを意味する。

注―2) 本測定法では原則として上昇法を採用するが、他の適当な測定法を用いることも可能である。

(ロ) 3回の試行で2回同一レベルで応答が得られたら、その値を聴力(閾値)レベルとする。3回とも異なった値が得られた時は、測定回数を増やして、過半数の回数以上一致するレベルを求め聴力(閾値)レベルとする。

(ハ) 3回の測定値に15dB以上異なる値から得られた時は、検査結果の信頼性が疑わしいとみなし、説明を繰り返したのち、再び3―3.予備測定以下の手順を行う。

(ニ) 次に周波数を変え前述(イ)~(ハ)と同様な測定法を繰り返す。

注―この場合直前の隣接した周波数の聴力(閾値)レベルより10~20dB低いレベルから測定を始めると能率的なことが多い。

(ホ) 2回目の1000Hzの測定は、初回に得られたレベルの15dB以下のレベルから聞かせ始める。初回の測定に比し、10dB以上の差がみられたときは、1000Hzより上の周波数についても初回との差が5dB以上となる周波数まで検査を繰り返す。

1000Hzを含め2回検査を繰り返した周波数については、小さい方の値を聴力(閾値)レベルとする。

(ヘ) 一側の検査が終了したら、同様な手順で反対側耳を測定する。

3―5.マスキングを必要とする場合の測定法

被検者の両耳の閾値反応が気導受話器の両耳間移行減衰量(解1―1.参照)に近い聴力レベルの差で起こる場合、聴力の悪い方の耳では非検査耳のマスキングを行った測定法が必要になる。

注―正しくは検査耳の気導聴力(閾値)レベルと反対側の骨導聴力(閾値)レベルとの差が、気導受話器の両耳間移行減衰量に近い場合にマスキングが必要となるので、骨導聴力(閾値)レベル測定後に検討しなおす必要がある。

この場合マスキングの必要性は次の方法で判断することができる。

(イ) マスキングなしで測定された聴力(閾値)レベルより5dB強いレベルの検査音を聞かせながら、非検査耳に実効レベル(解1―3.参照)10dB以上でかつオーバー・マスキングにならないマスキング・ノイズを負荷する。

(ロ) ノイズを負荷しても検査音が聞こえるときは、3―4.項で得られた値を検査耳の聴力(閾値)レベルとし、マスキングを用いた測定を続行する必要はない。

(ハ) マスキング・ノイズの負荷によって検査音が聞こえなくなるときは、3―4.項の閾値反応は陰影聴取によるものであるから、マスキングを用いた気導聴力(閾値)レベルの測定(次項以下)に進む。

注―1 オーバー・マスキングを起こさないために許容されるマスキング・ノイズ・レベルの最大値は両耳間移行減衰量に検査耳の骨導聴力(閾値)レベルを加えた値である。検査耳に感音難聴があれば、その分だけ許容ノイズ・レベルの最大値が大きくなる。正常または伝音難聴ではオーバー・マスキングを起こしやすいので、両耳間移行減衰量に等しい値でマスキングする。

注―2 マスキングを行って測定した閾値を検査耳の聴力(閾値)レベルと決定したとき、マスキング・ノイズの種類とマスキング・ノイズ・レベルをオージオグラムの欄外に周波数ごとに記入する。

(ニ) 実効マスキング・レベル(解1―3.参照)が50dBのノイズを負荷して気導聴力(閾値)レベルを3―4.項に従って測定する。

マスキングを行った耳の聴力(閾値)レベルが正常な場合はこの測定値が求める閾値である。

(ホ) 次に実効マスキング・レベルを65dBとして測定する。その値と(ニ)の値との差が5dB以内のときは(ニ)の値を閾値とする。

(ニ)の値より10dB以上閾値上昇するときは、さらに15dBずつ増して閾値を測定し、閾値変化が見られなくなるまで繰り返す。

(ヘ) この方法で一定の値を得ることができないときは、プラトー法(4―8―1.項参照)に従って測定する。

4.骨導純音聴力(閾値)レベル測定法

4―1.受話器の装着法

2―6.項による。

4―2.測定方法

(イ) 閾値検査においては、測定法によって聴力(閾値)レベルが異なることが知られている。したがって気導聴力(閾値)と骨導聴力(閾値)レベルの測定は、同一方式で行われるべきである。

(ロ) 片耳ごとの骨導聴力(閾値)レベルの測定のためには非検査耳をマスキングする必要がある。

注―検査耳を特定しない骨導良聴耳の骨導聴力(閾値)レベルを測定する場合にはマスキングなしで測定可能である。

(ハ) 骨導閾値検査を行う耳は外耳道を閉鎖してはならない。もし閉鎖したときはオージオグラムにその旨明記しなければならない。

4―3.振動感覚と骨導による聴感

骨導受話器を乳突部に装着したときには、平均的にみると、聴力レベル表示で250Hzでは40dB、500Hzでは60dB、1000Hzでは70dBで振動感覚を生ずる。しかしその値には大きな個人差があるので、振動感覚を骨導による聴覚と誤認しないよう注意しなければならない。

両者を区別するには、乳突部装着時と前額正中部装着時における反応閾値の差が参考となる。

注―乳突部と前額正中部に装着したときに感度差を参考のため表示する(表1)。

表1―乳突部と前額正中部に骨導受話器を装着したときの基準等価閾値の力のレベルの感度差

周波数

Hz

(前額正中部での基準等価閾値の力のレベル)-(乳突部での基準等価閾値の力のレベル)

dB

250

12.0

500

14.0

1000

8.5

2000

11.5

3000

12.0

4000

8.0

(ISO/DIS7566,1987より抜粋)

4―4.検査音の呈示時間と休止時間

3―1.項による。

4―5.検査耳の順序と検査周波数の順序

3―2.項による。

注―125Hz、800Hzは通常検査しない。

4―6.予備測定

骨導閾値検査は通常気導閾値検査終了後に行われるので、予備測定は行わない。

4―7.本測定の手順

3―4.項の気導聴力(閾値)レベル測定の手順による。

4―8.骨導聴力(閾値)レベル測定時のマスキング法の手順

(イ) 骨導受話器を骨導聴力レベルの0dBが校正されている圧抵部位(乳突部または前額正中)に装着し、非検査耳にマスキング用受話器を装着する。まずマスキング・ノイズなしで骨導聴力(閾値)レベルを測定する(3―4.項参照)。

注―この測定値は検査耳の反応で正しい聴力(閾値)レベルである場合と非検査耳の陰影聴取による場合がある。たとえ検査耳が骨導良聴耳であっても、閉鎖効果によって陰影聴取となる場合もある。

(ロ) ついですでに測定されている両耳の気導聴力(閾値)レベルを参考にして適正なノイズ・レベルを設定し、気導聴力(閾値)レベル測定法(3―5.項)に準じて測定する。

マスキング・ノイズのレベルが適正かどうか、測定された値が正しいかどうかは、症例ごとにマスキングに関する基礎事項(解説1.参照)によって判断する。

注―1 一側聾の良聴耳または両側が全く同一骨導閾値であるような特別な場合を除いて、マスキングなしに一側ごとの骨導聴力(閾値)レベルを測定することは不可能でありマスキングは不可欠である。

注―2 マスキングはいくつかの方法があるが、ここは一例としてプラトー法について述べる。

4―8―1.プラトー法の手順

(イ) 非検査側の骨導閾値に対するノイズの実効レベル(解1―3.参照)が10dBになるマスキング・ノイズを非検査耳に負荷しながら骨導聴力(閾値)レベルを測定する。この測定値が実質的にマスキング・ノイズなしの骨導聴力(閾値)レベルに等しければ、その測定値を検査耳の骨導聴力(閾値)レベルとする。

(ロ) マスキング・ノイズ・レベル(解1―3.参照)を(イ)のレベルから5dBずつ増大しながら各マスキング・レベルで3―4.項の測定を繰り返し、各マスキング・レベルごとに聴力(閾値)レベルを測定する。マスキング・ノイズ・レベルの増大により増加していた聴力(閾値)レベルが、増加しなくなるレベル(プラトー)が得られた時の測定値を検査耳の聴力(閾値)レベルとする。

(ハ) オーバー・マスキングは気導閾値測定時よりも機会が多い。マスキング・ノイズ・レベルが検査周波数における気導のマスキング・ノイズの両耳間移行減衰量(解1―1.)に、得られた骨導聴力(閾値)レベルの測定値を加算(符号注意)した値に達するとオーバー・マスキングを考えねばならない。

(ニ) この許容最大マスキング・ノイズ・レベルによってマスキングされる検査側不明の骨導閾値レベルが測定可能な骨導聴力レベルの最大値になる。

注―1 上に述べたプラトー法は検査者の考慮すべき項目は少なくてすむが、その代わり被検者の負担は増大する。

注―2 プラトー法以外の方法については解説2.解説3.を参照すること。

5.オージオグラムの記載法

5―1.オージオグラムの形式

横軸に周波数を対数目盛りでとり、縦軸に聴力(閾値)レベルをdB目盛りで表示する。1オクターブの間隔と聴力(閾値)レベル20dBの間隔を等しくする。

5―2.検査成績の記入法

検査成績をオージオグラムに記入する場合は表2に示す記号を用いる。気導聴力(閾値)レベルは直線で結び(右耳を実線、左耳を破線と分けてもよい)、骨導聴力(閾値)レベルは原則として線では結ばれない。

オージオメータの最大出力で検査音を聴取出来ないときは、使用オージオメータの最大出力レベルの値にそれぞれの記号を記入し、矢印を斜め下方に入れて、隣の周波数とは線で結ばない。

表2―オージオグラムに記入する記号

検査音呈示法

記号

左耳

右耳

気導

骨導(マスキングしての)乳突部前額正中部

画像1 (1KB)別ウィンドウが開きます

画像2 (2KB)別ウィンドウが開きます

注―1) 画像3 (1KB)別ウィンドウが開きます

または画像4 (1KB)別ウィンドウが開きます
の印は周波数の線に接して記入する。

注―2) 画像5 (1KB)別ウィンドウが開きます
:マスキングなしで測られた骨導良聴耳の(左右不明)の骨導聴力(閾値)レベル

黒以外の色で記号を記入するときは右耳は赤、左耳は青を用いる。

6.オージオメータの保守、点検、整備

オージオメータは常に正規の状態で作動するよう整備する必要がある。これを確実に行うためには定期的に点検および基本的校正を行う必要がある。

6―1.点検手続

6―2.項に従った主観的点検を検査開始前に実施する。6―3.項に従った主観的校正点検は少なくとも週1回、できれば毎日行う。6―4.項による客観的校正点検は1年に1回以上行う。

6―2.主観的点検

6―2―1.外観的点検

オージオメータおよびその附属品に関し、下記の点について点検、整備する。

(イ) 受話器のクッションの状態、プラグの錆、接触不良、コードのねじれなど

(ロ) 応答用シグナル装置の作動状態

(ハ) ヘッド・バンドの破損、ゆるみなど

6―2―2.聴取点検

電源スイッチを入れて、電源電圧が正常に保たれていることを確認し、製造者によって指定された時間を経過したのち、正常聴力(閾値)レベルを有する熟練した検者により下記の点を聴取点検する。

(イ) すべての周波数について、少なくとも3つの出力段階で、検査音にひずみのないこと、減衰器、周波数変換器・出力断続器を操作した時に、過渡音その他好ましくない音が聞こえないことを確認する。

(ロ) 以上の点検は気導音、骨導音について行う。

6―3.主観的校正点検

各検査周波数について聴力(閾値)レベル25dB以下の、既知の最小可聴閾値を有する人のオージオグラムを作成し、既知オージオグラムと比較する。10dBを越える差が認められるときは、そのオージオメータの使用を中止し、客観的校正点検あるいは基本的校正を行う。

注―熟練した検者であれば自分の検査成績を利用しても良い。

6―4.客観的校正点検

各検査音の周波数、または各検査音の出力を測定し正確か否か点検する。

JIS T1201―1982によると、骨導の最小可聴閾値は気導聴力(閾値)レベル0dBの正常耳をもつ6名6耳の最小可聴閾値の平均値をとることになっている。

注―骨導受話器の出力フォースレベルの客観的校正法は国際的に規定されている。(IES 373―1981、ISO 7566―1987)

6―5.基本的校正

検査音の周波数、気導検査音の出力音圧、骨導検査音の出力の力のレベル、マスキング・ノイズの出力音圧、減衰器の減衰度などの正確さ、高調波ひずみを点検する。またオージオメータの検査音出力断続器のON/OFF比、および上昇/下降時間、断続周波数、オージオメータおよびその附属品の電気的性能、機械的機構を点検し、必要に応じてJIS T1201―1982に合致するよう修正する。

【解説】

解説1 マスキングに関する基礎事項

聴覚検査におけるマスキングに関しては、検査者は1)マスキングの要・不要、2)マスキング・ノイズ・レベルの設定、3)陰影聴取やオーバー・マスキングの可能性に関する判断が要求されている。これらの判断はマスキングに関する基本的な事項の定量的考察を必要とする場合が多い。これらの事項のうち臨床的マスキングに必要最小限のものを抜粋し簡略化したものを以下に述べる。したがって以下の表は平均値を5dBで丸めた概略値であり、標準的気導受話器以外の受話器を使用した場合の値や個人差については省略してある。

解1―1.両耳間移行現象(陰影聴取)

(1) 気導受話器による陰影聴取は気導受話器の骨導出力が反対耳の骨導聴覚によって聴取されることによって起こるものと理解する。

両耳間移行減衰量

周波数 Hz

125

250

500

1000

2000

4000

8000

両耳間移行減衰量(dB)

50

55

60

60

60

60

60

(竹内義夫「Audiometry Training Simulatorを用いた聴力検査の実習」より)

(2) 骨導受話器を乳突部に圧抵したときの両耳間移行減衰量は次の表による。前額正中部に圧抵したときは0dBである。

骨導受話器乳突部圧抵時の両耳間移行減衰量

周波数 Hz

250

500

1000

2000

4000

8000

骨両耳間移行減衰量(dB)

0

5

5

10

10

10

(竹内義夫「Audiometry Training Simulatorを用いた聴力検査の実習」より)

解1―2.骨導の外耳道閉鎖効果

骨導の外耳道成分(Tonndorfによる)は外耳導閉鎖により増強される。外耳導閉鎖による骨導閾値の低下は閉鎖の様式によって異なる。

標準的気導受話器による外耳道閉鎖効果

周波数 Hz

250

500

1000

2000

4000

閉鎖効果(dB)

20

20

5

0

0