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(イ) 「外ぼう」とは、頭部、顔面部、頸部のごとく、上肢及び下肢以外の日常露出する部分をいう。

(ロ) 外ぼうにおける「著しい醜状を残すもの」とは、原則として、次のいずれかに該当する場合で、人目につく程度以上のものをいう。

a 頭部にあっては、てのひら大(指の部分は含まない。以下同じ。)以上の瘢痕又は頭蓋骨の手のひら大以上の欠損

b 顔面部にあっては、鶏卵大面以上の瘢痕、長さ5センチメートル以上の線状痕又は10円銅貨大以上の組織陥凹

c 頸部にあっては、てのひら大以上の瘢痕

(ハ) 外ぼうにおける単なる「醜状」とは、原則として、次のいずれかに該当する場合で、人目につく程度以上のものをいう。

a 頭部にあっては、鶏卵大面以上の瘢痕又は頭蓋骨の鶏卵大面以上の欠損

b 顔面部にあっては、10円銅貨大以上の瘢痕又は長さ3センチメートル以上の線状痕

c 頸部にあっては、鶏卵大面以上の瘢痕

(ニ) 障害補償の対象となる外ぼうの醜状とは、人目につく程度以上のものでなければならないから、瘢痕、線状痕及び組織陥凹であって眉毛、頭髪等にかくれる部分については、醜状として取り扱わないこと。

(例 眉毛の走行に一致して3.5センチメートルの縫合創痕があり、そのうち1.5センチメートルが眉毛にかくれている場合は、顔面に残った線状痕は2センチメートルとなるので、外ぼうの醜状には該当しない。)

(ホ) 顔面神経麻痺は、神経系統の機能の障害ではあるが、その結果として現われる「口のゆがみ」は単なる醜状として、また閉瞼不能は眼瞼の障害として取り扱うこと。

(ヘ) 頭蓋骨の手のひら大以上の欠損により、頭部の陥凹が認められる場合で、それによる脳の圧迫により神経症状が存する場合は、外ぼうの醜状障害に係る等級と神経障害に係る等級のうちいずれか上位の等級により認定すること。

(ト) 眼瞼、耳介及び鼻の欠損障害については、これらの欠損障害について定められている等級と外ぼうの醜状に係る等級のうち、いずれか上位の等級により認定すること。

なお、耳介及び鼻の欠損障害に係る醜状の取扱いは、次によること。

a 耳介軟骨部の1/2以上を欠損した場合は、「著しい醜状」とし、その一部を欠損した場合は、単なる「醜状」とする。

b 鼻軟骨部の全部又は大部分を欠損した場合は、「著しい醜状」とし、その一部又は鼻翼を欠損した場合は、単なる「醜状」とする。

(チ) 2個以上の瘢痕又は線状痕が相隣接し、又は相まって1個の瘢痕又は線状痕と同程度以上の醜状を呈する場合は、それらの面積、長さ等を合算して等級を認定すること。

(リ) 火傷治ゆ後の黒褐色変色又は色素脱失による白斑等であって、永久的に残ると認められ、かつ、人目につく程度以上のものは、単なる「醜状」として取り扱うこと。この場合、その範囲は、当然前記(ハ)に該当するものであること。

ロ 露出面の醜状障害

(イ) 上肢又は下肢の「露出面」とは、上肢にあっては、ひじ関節以下(手部を含む。)、下肢にあっては、ひざ関節以下(足背部を含む。)をいう。

(ロ) 「2個以上の瘢痕又は線状痕」及び「火傷治ゆ後の黒褐色変色又は色素脱失による白斑等」に係る取扱いについては、外ぼうにおける場合と同様である。

(3) 併合、準用、加重、その他

イ 併合

次に掲げる場合においては、労災則第14条第2項及び第3項により併合して等級を認定すること。

(イ) 外ぼうの醜状障害と露出面の醜状障害が存する場合

(ロ) 外ぼうの醜状障害と露出面以外の醜状障害が存する場合

(例 頭部に第12級の13、背部に第12級相当の醜状障害が存する場合は、これらを併合して、第11級に認定する。)

(ハ) 上肢の露出面の醜状障害と下肢の露出面の醜状障害が存する場合

(ニ) 外傷、火傷等のための眼球亡失により、眼部周囲及び顔面の組織陥凹、瘢痕等を生じた場合は、眼球亡失に係る等級と瘢痕等の醜状障害に係る等級を併合して、等級を認定すること。

(例 男子で1眼及び眉毛を亡失し(第8級の1)、その周囲の組織陥凹が著しい(第12級の13)場合は、これらを併合して第7級とする。)

ロ 準用

次に掲げる場合においては、労災則第14条第4項により、準用して等級を認定すること。

(イ) 男子のほとんど顔面全域にわたる瘢痕で人に嫌悪の感をいだかせる程度のものについては、第7級の12を準用する。

(ロ) 露出面以外の醜状障害については、次により準用等級を定めること。

a 上肢又は大腿にあっては、ほとんどその全域、胸部又は腹部にあっては、それぞれ各部の1/2程度、背部及び臀部にあっては、その全面積の1/4程度をこえるものは、単なる「醜状」として、第14級とする。

b 両上腕のほとんど全域、両大腿のほとんど全域、胸部又は腹部にあっては、各々その全域、背部及び腎部にあってはその全面積の1/2程度をこえるものは、「著しい醜状」として第12級とする。

ハ 加重

次に掲げる場合においては、労災則第14条第5項により、加重として取り扱うこと。

(イ) 既に、外ぼうに醜状障害が存していた者が、その程度を加重した場合

(ロ) 既に、上肢又は下肢の露出面に醜状障害が存していた者が、その程度を加重した場合

(ハ) 既に、露出面以外の醜状障害が存していた者が、その程度を加重した場合

ニ その他

上肢又は下肢の露出面の醜状障害と露出面以外の醜状障害が存する場合若しくは2以上の露出面以外の醜状障害が存する場合(たとえば胸部全域と上腕全域にわたる瘢痕)については、おのおの該当する等級のうち、いずれか上位の等級により認定すること。

7 胸腹部臓器

(1) 胸腹部臓器の障害と障害等級

イ 胸腹部臓器の障害については、障害等級表において、次のごとく、胸腹部臓器、ひ臓・じん臓及び生殖器のそれぞれの障害について等級を定めている。

(イ) 胸腹部臓器の障害

胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、常に介護を要するもの 第1級の4

胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの 第3級の4

胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの 第5級の1の3

胸腹部臓器の機能に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの 第7級の5

胸腹部臓器の機能に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの 第9級の7の3

胸腹部臓器に障害を残すもの 第11級の9

(ロ) ひ臓、じん臓の障害

ひ臓又は1側のじん臓を失ったもの 第8級の11

(ハ) 生殖器の障害

両側のこう丸を失ったもの 第7級の13

生殖器に著しい障害を残すもの 第9級の12

ロ 胸腹部臓器の障害については、その労働能力に及ぼす影響を総合的に判断して等級を認定すること。したがって、胸腹部臓器の諸器官に2種以上の障害が存したとしても併合の方法により準用等級を定めるべきではない。

また、胸腹部臓器の障害の程度を判断するにあたっては、必要な検査の結果について専門医の意見を参考とし、かつ、既存の障害について調査したうえで等級を認定すること。

ハ 障害等級表に掲げていない胸腹部臓器の障害については、労災則第14条第4項により、その障害の程度に応じて障害等級表に掲げている他の障害に準じて等級を認定すること。

(2) 障害等級認定の基準

胸腹部臓器の障害(ひ臓、じん臓の障害及び生殖器の障害を除く。)については、その障害の程度により、「自用を弁ずることができないもの」を第1級、「多少自用を弁ずることができる程度のもの」を第3級、「自用を弁ずることができるが、労働能力に著しい支障が生じ、終身極めて軽易な労務にしか服することができないもの」を第5級、「一応労働することはできるが、労働能力に支障が生じ、軽易な労務にしか服することができないもの」を第7級、「通常の労働を行うことはできるが、就労可能な職種が相当程度に制約されるもの」を第9級、「機能の障害の存在が明確であって労働に支障をきたすもの」を第11級にとそれぞれ該当させるものであること。

イ 胸部臓器の障害(じん肺による障害を除く。)

(イ) 胸部臓器の障害に係る等級は、次により認定すること。

a 「重度の胸部臓器の障害のために、生命維持に必要な身のまわり処理の動作について、常に他人の介護を要するもの」は、第1級の4に該当する。

b 「生命維持に必要な身のまわり処理の動作は可能であるが、高度の胸部臓器の障害のために、終身にわたりおよそ労務に就くことができないもの」は、第3級の4に該当する。

c 「胸部臓器の障害のため、終身にわたりきわめて軽易な労務のほか服することができないもの」は、第5級の1の3に該当する。

胸部臓器の障害による身体的能力の低下などのため、独力では一般平均人の1/4程度の労働能力しか残されていない場合が、これに該当する。

労働能力の判定にあたっては、医学的他覚所見を基礎とし、さらに労務遂行の持続力についても十分に配慮して総合的に判断すること。

d 「中等度の胸部臓器の障害のために、労働能力が一般平均人以下に明らかに低下しているもの」は、第7級の5に該当する。

胸部臓器の障害による身体的能力の低下などのため独力では一般平均人の1/2程度の労働能力しか残されていない場合がこれに該当する。

e 「一般的労働能力は残存しているが、胸部臓器の障害のため社会通念上その就労可能な職種の範囲が相当な程度に制限されるもの」は、第9級の7の3に該当する。

f 「一般的労働能力は残存しているが、胸部臓器の機能の障害の存在が明確であって労働に支障をきたすもの」は、第11級の9に該当する。

(ロ) 胸部臓器の障害とは、心臓、心のう、肺臓、ろく(胸)膜、横隔膜等に他覚的に証明しうる変化が認められ、かつ、その機能にも障害が証明されるものをいう。

(ハ) 胸部臓器の障害については、心のうゆ着、心外膜障害、心内膜障害、心弁膜障害、ろく膜(横隔膜)ゆ着及び胼胝(ベンチ)並びに肺損傷後遺による肉変形成等の程度に応じて等級を認定すること。

なお、上記障害の検査は、聴打診、心電図、エックス線透視及び撮影、心肺機能検査(負荷試験を含む。)、血液ガス分析等によること。

ロ じん肺による障害

じん肺による障害については、基本的には、上記の「イ 胸部臓器の障害」の取扱いによることとなるが、その疾病のもつ特異性、複雑性等にかんがみ、特に次のように取り扱うこととする。

(イ) じん肺による障害に係る等級は、心肺機能の低下の程度及びエックス線写真の像型等をもって次により認定すること。

なお、心肺機能の低下の程度及びエックス線写真の像型については、「じん肺法」に定める検査方法によること。

a 「心肺機能に中等度の障害があり、エックス線写真の像型が第4型(大陰影の大きさが、1側の肺野の1/2以下のものに限る。以下同じ。)のもの」は、第7級の5に該当する。

b 「心肺機能に軽度の障害があり、エックス線写真の像型が第4型のもの」は、第9級の7の3に該当する。

c 「心肺機能に中等度の障害があり、エックス線写真の像型が第3型のもの」は、第9級の7の3に該当する。

d 「心肺機能に軽微な障害があり、エックス線写真の像型が第4型のもの」は、第11級の9に該当する。

e 「心肺機能に軽度の障害があり、エックス線写真の像型が第3型のもの」は、第11級の9に該当する。

f 「心肺機能に中等度又は軽度の障害があり、エックス線写真の像型が第2型のもの」は、第11級の9に該当する。

(ロ) 外科的療法により、ろく骨又はせき柱の変形障害とじん肺による障害が存する場合には、いずれか上位の等級により認定すること。

(ハ) 外科的療法により、ろく骨及びせき柱の変形障害並びにじん肺による障害が存する場合には、まず、ろく骨の変形障害とせき柱の変形障害とを併合して等級を定め、次にその等級とじん肺による障害の等級を比べ、いずれか上位の等級により認定すること。

(ニ) 「心肺機能の中等度の障害」とは、換気指数が40以上60未満のもの、「心肺機能の軽度の障害」とは、換気指数が60以上80未満のもの、また「心肺機能の軽微な障害」とは、換気指数が80以上のものをいう。

(ホ) じん肺による障害に係る等級認定の時期は、次によること。

a じん肺に活動性結核を伴わない者については、その症状が1年を通じて次の各号に該当しており、かつ、引続き6カ月を通じて経過観察を行っても、なお、その症状に変化が認められないとき。

(a) 心肺機能検査を各季節1回以上行い、心肺機能の障害が中等度以下であること。

(b) 呼吸困難度が常にⅡ度以下であること。

(c) ぜん息様症状を伴わないこと。

(注

1 「経過観察」とは、機能を高めるような薬剤等の投与を中止して医師の観察下にある状態をいう。

2 「呼吸困難度」とは、ヒュー・ジョンズの分類に準じ次のように区分される。

第Ⅰ度 同年令の健康者と同様に労働ができ、歩行、登山あるいは階段の昇降も健康者と同様に可能な程度のもの

第Ⅱ度 同年令の健康者と同様に歩くことには支障はないが、坂や階段は同様に昇れない程度のもの

第Ⅲ度 平地でも健康者なみに歩くことができないが、自己のペースでなら1km以上歩ける程度のもの

第Ⅳ度 50m以上歩くのに一休みしなければ歩けない程度のもの

第Ⅴ度 話したり着物を脱ぐのにも息切れがして、そのため屋外に出られない程度のもの

3 「ぜん息様症状」とは、気管部の喘鳴等(ゼイゼイ、ヒューヒュー)の症状をいう。)

b じん肺に活動性結核を伴うもので、十分な療養の結果、更に療養を続ける必要がなくなったと判断されるものについては、引き続き1年以上経過を観察しても結核再発の徴候が認められないとき。

ハ 腹部臓器の障害

(イ) 腹部臓器の障害に係る等級の認定については、「イ 胸部臓器の障害」におけると同様の基準により行うこと。

(ロ) 腹部臓器の障害については、ひ臓又は1側のじん臓亡失のごとく独自の等級が定められているものについては、それにより等級を認定することとなるが、それ以外の障害については、各器官相互に密接な関連性があるので、1つの検査結果のみにより判断することなく、関連する諸検査を行い、その障害の程度に応じて等級を認定すること。

(例 ひ臓及び1側のじん臓の摘出が認められる場合であっても、現状ではほとんど労務に支障をきたさないと認められるときには、第8級の11とすべきであるが、他側のじん臓に原因のいかんにかかわらず、じん炎が存する場合に、健側のじん臓を摘出したことによって全身疲労、頭痛等身体に及ぼす影響が大きく、軽労働以外には服することができないと認められるときには、第7級の5に認定する。)

(ハ) 腹部臓器の障害の検査は、エックス線透視及び撮影、内視鏡検査、消化液検査、尿検査、ふん便検査、肝・膵・じん臓等の機能検査、血液検査等によること。

なお、腹部臓器については、胸部臓器の場合と同様治ゆ後の症状が増悪する可能性が多く、再発しやすいことを考慮して、その検査記録を残しておくこと。

ニ 泌尿器の障害

(イ) 泌尿器は、じん臓、尿管、膀胱、尿道等からなり、その障害に係る等級は次により認定すること。

a じん臓の障害

(a) 「尿路変更術を余儀なくされたため、じん瘻、じん盂瘻、尿管皮膚吻合、尿管腸吻合を残したまま治ゆとすべき状態になったもの」は、第7級の5に該当する。

(b) 「明らかに受傷に原因する慢性じん盂じん炎、水じん症」は、第7級の5に該当する。

(c) 「1側のじん臓を亡失したもの」は、第8級の11に該当する。

(d) 「療養の最終段階として、尿道瘻、膀胱瘻孔及び数回にわたる手術にかかわらず、なお瘻孔を残し、根治のためには、ある一定の期間後に再び手術が必要であると認められる場合であっても、この状態において治ゆとしたもの」は、第11級の9に該当する。

(e) 「膀胱括約筋の変化によることが明らかな尿失禁」は、第11級の9に該当する。

b 膀胱の障害

(a) 「膀胱の完全な機能廃絶」は、第3級の4に該当する。

(b) 「萎縮膀胱(容量50cc以下)」は、第7級の5に該当する。

(c) 「常時尿漏を伴う軽度の膀胱機能不全又は膀胱けいれんによる持続性の排尿痛」は、第11級の9に該当する。

c 尿道狭さくの障害

(a) 「『シヤリエ式』尿道プジー第20番(ネラトンカテーテル第11号に相当する。)が辛うじて通り、時々拡張術を行う必要のあるもの」は、第14級を準用すること。

(b) 「糸状プジーを必要とするもの」は、第11級の9に該当する。

(c) 尿道狭さくのため、じん機能に障害をきたすものは、じん臓の障害により等級を認定すること。

ホ 生殖器の障害

生殖器の障害に係る等級は、次により認定する。

(イ) 生殖能力に著しい制限のあるものであって、性交不能をきたすようなもの」は、第9級の12に該当する。

〔例 陰茎の大部分の欠損、瘢痕による膣口狭さく等〕

(ロ) 「1側のこう丸の欠損又は欠損に準ずべき程度の萎縮」は、第11級の9に準じて取り扱うこととするが、1側の単なる腫大は障害補償の対象として取り扱わないこと。

(ハ) 陰萎が他の障害に伴って生ずる場合には、原則として、当該他の障害の等級を認定すること。

「軽い尿道狭さく、陰茎の瘢痕又は硬結等による陰萎があるもの及び明らかに支配神経に変化が認められるもの」は、第14級の9に該当するが医学的に陰萎を立証することが困難なものは、障害補償の対象としないこと。

8 せき柱及びその他の体幹骨

(1) せき柱及びその他の体幹骨の障害と障害等級

イ せき柱及びその他の体幹骨の障害については、障害等級表において次のごとく、せき柱の障害については、その変形障害及び運動障害について、また、その他の体幹骨の損傷による障害については、鎖骨、胸骨、ろく骨、肩こう骨、骨盤骨の変形障害について等級が定められている。

(イ) せき柱の障害

a 変形障害

せき柱に著しい奇形(変形)を残すもの 第6級の4

せき柱に奇形(変形)を残すもの 第11級の5

b 運動障害

せき柱に著しい運動障害を残すもの 第6級の4

せき柱に運動障害を残すもの 第8級の2

(ロ) その他の体幹骨の障害

鎖骨、胸骨、ろく骨、肩こう骨又は骨盤骨に著しい奇形(変形)を残すもの 第12級の5

ロ せき柱を形成する諸骨及び鎖骨、胸骨、ろく骨、肩こう骨及び骨盤骨以外の変形については、障害等級表上定めがないので、当該部位について定められている器質的障害又は機能的障害に係る等級により認定すること。

ハ 障害等級表に掲げていないせき柱及びその他の体幹骨の障害については労災則第14条第4項の規定により、その障害の程度に応じて障害等級表に掲げている他の障害に準じて等級を認定すること。

ニ せき柱の運動機能の測定は、別紙2「関節運動可動域の測定要領」によること。

(2) 障害等級認定の基準

イ せき柱の障害

(イ) 変形障害

a 「せき柱の著しい変形」とは、エックス線写真上明らかなせき椎圧迫骨折又は脱臼等にもとづく強度の亀背・側彎等が認められ衣服を着用していても、その変形が外部からみて明らかにわかる程度以上のものをいう。

b 「せき柱の変形」とは、エックス線写真上明らかなせき椎圧迫骨折又は脱臼が認められるもの、せき椎固定術後の運動可能領域の制限が正常可動範囲の1/2程度に達しないもの、又は、3個以上の椎弓切除術を受けたものをいう。

(ロ) 運動障害

a せき柱の運動障害は、せき柱を構成する各部分のうち、運動障害の最も高度な部分の運動障害をもって等級を認定すること。

b エックス線写真上では、せき椎骨の融合又は固定等のせき柱強直の所見がなく、また軟部組織の器質的病変の所見もなく、単に、疼痛のために運動障害を残すものは、局部の神経症状として等級を認定すること。

c 「せき柱の著しい運動障害」とは、広範なせき椎圧迫骨折又はせき椎固定術等にもとづくせき柱の強直もしくは背部軟部組織の明らかな器質的変化のため、運動可能領域が正常可動範囲の1/2以上制限されたもの又は常時コルセットの装着を必要とする等著しい荷重障害のあるものをいう。

d 「せき柱の運動障害」とは、次のいずれかに該当するものをいう。

(a) エックス線写真上明らかなせき椎圧迫骨折又は脱臼が認められ、もしくはせき椎固定術等にもとづくせき柱の強直があるか又は背部軟部組織の明らかな器質的変化のため、運動可能領域が正常可動範囲のほぼ1/2程度にまで制限されたもの

(b) 頭蓋・上位頸椎間の著しい異常可動性が生じたもの。

ロ その他の体幹骨の変形障害

(イ) 「鎖骨、胸骨、ろく骨、肩こう骨又は骨盤骨に著しい変形を残すもの」とは、裸体となったとき、変形(欠損を含む)が明らかにわかる程度のものをいう。したがって、その変形がエックス線写真によって、はじめて発見し得る程度のものは、これに該当しない。

(ロ) ろく骨の変形は、その本数、程度、部位等に関係なく、ろく骨全体を一括して1つの障害として取り扱うこと。

また、ろく軟骨についても、ろく骨に準じて取り扱うこと。

(3) 併合、準用

イ 併合

(イ) せき柱及びその他の体幹骨の障害で次のごとく系列を異にする2以上の障害が存する場合は、労災則第14条第2項及び第3項により併合して等級を認定すること。

ただし、せき柱に変形と運動障害が存する場合及び骨盤骨の変形とこれに伴う下肢の短縮が存する場合は、これらのうち、いずれか上位の等級により認定すること。

a せき柱の変形障害又は運動障害とその他の体幹骨の変形が存する場合

b 骨盤骨の高度の変形(転位)によって股関節の運動障害(たとえば、中心性脱臼)が生じた場合

c 鎖骨の著しい変形と肩関節の運動障害が存する場合

(ロ) せき柱の変形又はせき柱の運動障害で、せき髄又は神経の麻痺を伴う場合は労災則第14条第2項及び第3項により併合して等級を認定すること。

ただし、せき髄損傷の場合のごとく重い神経系統の障害を伴うせき柱の障害については、神経系統の障害として総合的に認定することとし、また、圧迫骨折等によるせき柱の変形に伴う受傷部位の疼痛については、そのいずれか上位の等級により認定すること。

ロ 準用

(イ) 荷重機能の障害については、装具(コルセット等)を用いても起居に困難を感ずる程度の荷重機能障害が存するものは、第6級の4として取扱い、その程度には至らないが、常に装具を必要とする程度の荷重障害が存するものは、第8級の2として取扱うこと。

(ロ) その他の体幹骨の2以上の骨にそれぞれ著しい変形が存する場合は、併合の方法を用いて準用等級を定めること。

(例 鎖骨及び肩こう骨の著しい変形障害が存する場合は、第11級に認定する。)

9 上肢(上肢及び手指)

(1) 上肢及び手指の障害と障害等級

イ 上肢及び手指の障害については、障害等級表上、次のごとく、上肢の障害として欠損障害、機能障害及び変形障害について、また、手指の障害として欠損障害及び機能障害について等級を定めている。

(イ) 上肢の障害

a 欠損障害

両上肢をひじ関節以上で失ったもの 第1級の6

両上肢を腕関節以上で失ったもの 第2級の3

1上肢をひじ関節以上で失ったもの 第4級の4

1上肢を腕関節以上で失ったもの 第5級の2

b 機能障害

両上肢の用を全廃したもの 第1級の7

1上肢の用を全廃したもの 第5級の4

1上肢の3大関節中の2関節の用を廃したもの 第6級の5

1上肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの 第8級の6

1上肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの 第10級の9

1上肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの 第12級の6

c 変形障害

1上肢に仮(偽)関節を残し、著しい運動障害を残すもの 第7級の9

1上肢に仮(偽)関節を残すもの 第8級の8

長管骨に奇(変)形を残すもの 第12級の8

(ロ) 手指の障害

a 欠損障害

両手の手指の全部を失ったもの 第3級の5

1手の5の手指又は母指及び示指を含み4の手指を失ったもの 第6級の7

1手の母指及び示指を失ったもの又は母指若しくは示指を含み3以上の手指を失ったもの 第7級の6

1手の母指を含み2の手指を失ったもの 第8級の3

1手の母指を失ったもの、示指を含み2の手指を失ったもの又は母指及び示指以外の3の手指を失ったもの 第9級の8

1手の示指を失ったもの又は母指及び示指以外の2の手指を失ったもの 第10級の5

1手の中指又は薬指を失ったもの 第11級の6

1手の小指を失ったもの 第13級の4

1手の母指の指骨の一部を失ったもの 第13級の5

1手の示指の指骨の一部を失ったもの 第13級の6

1手の母指及び示指以外の手指の指骨の一部を失ったもの 第14級の6

b 機能障害

両手の手指の全部の用を廃したもの 第4級の6

1手の5の手指又は母指及び示指を含み4の手指の用を廃したもの 第7級の7

1手の母指及び示指又は母指若しくは示指を含み3以上の手指の用を廃したもの 第8級の4

1手の母指を含み2の手指の用を廃したもの 第9級の9

1手の母指の用を廃したもの、示指を含み2の手指の用を廃したもの又は母指及び示指以外の3の手指の用を廃したもの 第10級の6

1手の手指の用を廃したもの又は母指及び示指以外の2の手指の用を廃したもの 第11級の7

1手の中指又は薬指の用を廃したもの 第12級の9

1手の示指の末関節を屈伸することができなくなったもの 第13級の7

1手の小指の用を廃したもの 第14級の5

1手の母指及び示指以外の手指の末関節を屈伸することができなくなったもの 第14級の7

ロ 骨折部にキュンチャーを装着し、あるいは金属釘を用いたため、それが機能障害の原因となる場合は、当該キュンチャー等の除去を待って等級の認定を行うこと。

なお、当該キュンチャー等が、機能障害の原因とならない場合は、創面治ゆをもって等級の認定を行うこと。

また、廃用性の機能障害(たとえば、ギプスによって患部を固定していたために、治ゆ後に関節に機能障害を存すもの)については、将来における障害の程度の軽減を考慮して等級の認定を行うこと。

ハ 上肢及び手指の機能測定は、別紙2「関節運動可動域の測定要領」によること。

(2) 障害等級認定の基準

イ 上肢の障害

(イ) 欠損障害

a 「上肢をひじ関節以上で失ったもの」とは、次のいずれかに該当する場合をいう。

(a) 肩関節において、肩甲骨と上腕骨とを離断したもの

(b) 肩関節とひじ関節との間において上腕を切断したもの

(c) ひじ関節において、上腕骨と橈骨及び尺骨とを離断したもの

b 「上肢を腕関節以上で失ったもの」とは、次のいずれかに該当する場合をいう。

(a) ひじ関節と腕関節との間で切断したもの

(b) 腕関節において、橈骨及び尺骨と手根骨とを離断したもの

(ロ) 機能障害

a 「上肢の用を全廃したもの」とは、3大関節(肩関節、ひじ関節及び腕関節)の完全強直又はこれに近い状態及び手指の全部の用を廃したものをいう。

また、上腕神経叢の完全麻痺もこれに含まれる。

b 「関節の用を廃したもの」とは、次のいずれかに該当する場合をいう。

(a) 関節の完全強直又はこれに近い状態にあるもの

(b) 人工骨頭又は人工関節をそう入置換したもの

c 「関節の機能に著しい障害を残すもの」とは、関節の運動可能領域が健側の運動可動域の1/2以下に制限されているものをいう。

d 「関節の機能に障害を残すもの」とは、関節の運動可能領域が健側の運動可動域の3/4以下に制限されているものをいう。

e 動揺関節の取扱い

上肢の「動揺関節」については、それが他動的なものであると、自動的なものであるとにかかわらず、次の基準によってその等級を認定すること。

(a) 労働に支障があり、常時固定装具の装着を必要とする程度のものは、「著しい障害を残すもの」とする。

(b) 労働に多少の支障はあっても、固定装具の装着を常時必要としない程度のものは、単なる「障害を残すもの」とする。

f 習慣性脱臼の取扱い

習慣性脱臼(先天性を除く。)は、「関節の機能に障害を残すもの」とする。

(ハ) 変形障害

a 「上肢に仮(偽)関節を残し著しい運動障害を残すもの」とは、次のいずれかに該当する場合をいう。

(a) 上腕骨に仮(偽)関節(以下「偽関節」という。)を残すもの

(b) 橈骨及び尺骨の両方に偽関節を残すもの

b 「1上肢に仮(偽)関節を残すもの」とは、橈骨若しくは尺骨のいずれか一方に偽関節を残すものをいう。

c 上肢における「長管骨に奇(変)形を残すもの」とは、次のいずれかに該当する場合であって、外部から想見できる程度(165度以上わん曲して不正ゆ合したもの)以上のものをいい、長管骨の骨折部が良方向に短縮なくゆ着している場合は、たとえ、その部位に肥厚が生じたとしても、長管骨の変形としては取り扱わないこと。

(a) 上腕骨に変形を残すもの

(b) 橈骨及び尺骨の両方に変形を残すもの(ただし、橈骨又は尺骨のいずれか一方のみの変形であっても、その程度が著しい場合には、これに該当する。)

ロ 手指の障害

(イ) 欠損障害

a 「指を失ったもの」とは、母指にあっては指節間関節、その他の指にあっては、近位指節間関節以上を失ったものをいい、次の場合がこれに該当する。

(a) 指を中手骨又は基節骨で切断した場合

(b) 近位指節間関節(母指にあっては、指節間関節)において、基節骨と中節骨とを離断した場合

b 「指骨の一部を失ったもの」とは、1指骨の一部を失っていることがエックス線写真によって明らかであるもの及び遊離骨片が認められるものをいう。

ただし、その程度が手指の末節骨の長さの1/2以上を失った場合は、後述(ロ)のとおり手指の用を廃したものとすること。

(ロ) 機能障害

a 「手指の用を廃したもの」とは、次の場合をいう。

(a) 指の末節骨の長さの1/2以上を失ったもの

(b) 中手指節関節又は近位指節間関節(母指にあっては指節間関節)に著しい運動障害(運動可能領域が健側の運動可動域の1/2以下に制限される場合)が存するもの

b 「末関節を屈伸することができないもの」とは、次の場合をいう。

(a) 遠位指節間関節が完全強直又はこれに近い状態にあるもの

(b) 屈伸筋の損傷等原因が明らかなものであって、自動的屈伸が不能となったもの

c 母指の中手指節関節の運動(母指の対立及び指間の離開)制限については、指節間関節の運動障害と同様に取り扱うこと。

(3) 併合、準用、加重、その他

イ 併合

次に掲げる場合においては、労災則第14条第2項及び第3項により、併合して等級を認定すること。

(イ) 上肢の障害

a 1上肢の器質的障害と他の上肢の機能障害

1上肢の器質的障害と、他の上肢の機能障害が存する場合は、まず、各上肢ごとに等級を定め、次にこれらを併合して等級を認定すること。

(例 右上肢を腕関節から失い(第5級の2)、左上肢の1関節の用を廃した(第8級の6)場合には、これらを併合して第3級とする。)

b 両上肢の機能障害(両上肢の全廃を除く。)

両上肢に機能障害が存する場合(両上肢の全廃を除く。)も、前記aと同様にまず1上肢ごとに等級を定め、次にこれらを併合して等級を認定すること。

(例 1上肢の全廃(第5級の4)と他の上肢の1関節の著しい機能障害(第10級の9)を残す場合には、これらを併合して第4級とする。)

c 同一上肢の関節の機能障害と長管骨の変形

同一上肢に関節の機能障害と長管骨の変形又は偽関節が存する場合にはこれらを併合して等級を認定すること。

(例 同一上肢に腕関節の単なる機能障害(第12級の6)と上腕骨の変形(第12級の8)が存する場合には第11級とする。)

(ロ) 手指の障害

a 1手の指の欠損障害と他の手の指の欠損障害

1手の指の欠損障害と他の手の指の欠損障害が存する(両手の手指全部を失ったものを除く。)場合には、それぞれの手ごとに等級を定め、これらを併合して等級を認定すること。

(例 右手の示指の亡失(第10級の5)と左手の示指の亡失(第10条の5)の場合は、これらを併合して第9級とする。)

b 1手の指の機能障害と他の手の指の機能障害

1手の指の機能障害と他の手の指の機能障害(両手の指の全廃を除く。)についても、上記aの欠損障害の場合と同様に併合して等級を認定すること。

c 1手の指の欠損障害と他の手の指の機能障害

1手の指の欠損障害と他の手の指の機能障害が存する場合には、それぞれの手ごとに等級を定め、これらを併合して等級を認定すること。

(例 右手の5の手指の亡失(第6級の7)と左手の5の手指の用廃(第7級の7)の場合には、これらを併合して第4級とする。)

ロ 準用

次に掲げる場合においては、労災則第14条第4項の規定により、併合の方法を用いて、準用等級を定めることとなるが、その結果、等級の序列を乱すこととなる場合は、その等級の直近上位又は直近下位の等級をもって認定すること。

(イ) 上肢の障害

a 同一上肢に2以上の器質的障害が存する場合

(例

1 1上肢の上腕骨に偽関節を残し(第7級の9)、同上肢の橈骨及び尺骨に変形を残した(第12級の8)場合は、第6級とする。

2 1上肢を腕関節以上で失い(第5級の2)、同上肢の上腕骨に偽関節を残した(第7級の9)場合は、これらを併合すれば、第3級となるが、1上肢をひじ関節以上で失ったもの(第4級の4)には達しないので、第5級とする。)

b 同一上肢に欠損障害と機能障害が存する場合

(例 1上肢を腕関節以上で失い(第5級の2)、肩関節及びひじ関節の用を廃した(第6級の5)場合は、これらを併合すれば、第3級となるが、1上肢をひじ関節以上で失ったもの(第4級の4)には達しないので、第5級とする。)

ただし、腕関節以上の亡失又はひじ関節以上の亡失と関節の機能障害が存する場合は、機能障害の程度に関係なく、前者については第5級、後者については第4級とすること。

(例

1 1上肢を手関節以上で失い(第5級の2)、ひじ関節及び肩関節の用を廃した(第6級の5)場合は、第5級とする。

2 1上肢をひじ関節以上で失い(第4級の4)、肩関節の用を廃した(第8級の6)場合は、第4級とする。)

c 同一上肢の3大関節に機能障害が存する場合(用廃を除く。)

(例

1 1上肢の腕関節に単なる機能障害が存し(第12級の6)、同上肢のひじ関節に著しい機能障害が存している(第10級の9)場合は、第9級とする。

2 1上肢の肩関節及びひじ関節の用を廃し(第6級の5)同上肢の腕関節に著しい機能障害が存している(第10級の9)場合は、これらを併合すれば、第5級となるが、1上肢の用を廃したもの(第5級の4)には達しないので、第6級とする。)

なお、1上肢の3大関節のすべての関節の機能に著しい障害を残すものは第8級に、また、1上肢の3大関節のすべての関節の機能に障害を残すものは、第10級に準ずる障害として取り扱うこと。

d 1上肢の3大関節の機能障害と同一上肢の手指の欠損障害又は機能障害が存する場合

(例

1 1上肢の腕関節に単なる機能障害が存し(第12級の6)、同一上肢の母指の用を廃した(第10級の6)場合は、第9級とする。

2 1上肢の肩関節及びひじ関節の用廃(第6級の5)と、同一上肢の母指及び示指の欠損(第7級の6)とが存する場合は、これらを併合すれば、第4級となるが、1上肢の全廃(第5級の4)には達しないので、第6級とする。)

(ロ) 手指の障害

(例 1手の小指の亡失(第13級の4)と同一手の母指の用廃(第10級の6)が存する場合は、第9級とする。)

ハ 加重

(イ) 次に掲げる場合においては、労災則第14条第5項により加重として取り扱うこと。

a 上肢の障害

(a) 上肢に障害が存していた者が、同一系列内において、さらに障害を加重した場合

(例

1 1上肢を手関節又はひじ関節以上で失っていた者が、さらに同一上肢をひじ関節又は肩関節以上で失った場合

2 1上肢の腕関節に単なる機能障害又はひじ関節の用廃が存していた者が、さらに腕関節の著しい機能障害又は腕関節とひじ関節の用廃を存した場合

3 1上肢の橈骨及び尺骨に変形を存していた者が、さらに同一上肢の上腕骨に偽関節を存した場合)

(b) 上肢に障害が存していた者が、さらに既存の障害の部位以上を失った場合(上記(a)に該当する場合を除く。)

(例

1 1上肢の橈骨及び尺骨に変形を存していた者が、さらに同一上肢をひじ関節以上で失った場合

2 1手の手指の欠損又は機能障害を存していた者が、さらに同一上肢を腕関節以上で失った場合)

b 手指の障害

1手の手指に障害が存していた者が、さらに同一手の同指又は他指に障害を加重した場合

(例

1 1手の小指の用を廃していた者が、さらに同一手の中指の用を廃した場合

2 1手の母指の指骨の一部を失っていた者が、さらに同指を失った場合)

(ロ) 手指の障害で、次に掲げる場合に該当するときは、労災則第14条第5項の規定にかかわらず、新たな障害のみが生じたものとみなして取り扱うこと(第1の4の(3)のホ参照)。

a 1手の手指に障害を存していた者が、同一手の他指に新たな障害を加重した場合で、労災則第14条第5項により算定した障害補償の額(日数)が、他指に新たな障害のみが生じたこととした場合の障害補償の額(日数)より少ないとき

b 1手の複数の手指に障害が存する者が、新たにその一部の手指について障害を加重した場合で、労災則第14条第5項により算定した障害補償の額(日数)が、その一部の手指に新たな障害のみが生じたこととした場合の障害補償の額(日数)より少ないとき

ただし、加重後の等級が第7級以上(年金)に該当し、新たに加わった障害が単独で生じたこととした場合の等級が第8級以下(一時金)に該当するとき(既存の障害の該当する等級が同等級であるときを除く。)の障害補償の額は、労災則第14条第5項によること。

ニ その他

(イ) 上腕骨又は前腕骨(橈骨、尺骨)の骨折によって骨折部に偽関節又は変形が存するとともにその部位に疼痛(第12級相当)が存する場合には、いずれか上位の等級によること。

(ロ) 左右両上肢(両手指を含む。)の組合せ等級の取扱い

1上肢に障害を存していた者が、新たに他の上肢に障害を残したとき、又は同一上肢(手指を含む。)の障害の程度を加重するとともに他の上肢にも障害を残した結果、現存する障害が次の5種類のうちのいずれかに該当するときの障害補償の額は、加重の場合に準じて算定すること。

a 両上肢をひじ関節以上で失ったもの(第1級の6)

b 両上肢を腕関節以上で失ったもの(第2級の3)

c 両上肢の用を全廃したもの(第1級の7)

d 両手指の全部を失ったもの(第3級の5)

e 両手指の全部の用を廃したもの(第4級の6)

(ハ) 母指の造指術を行った場合にあっては、当該母指の機能的障害と造指術により失った指(示指又は薬指、母趾等)の器質的障害を同一災害により生じた障害として取り扱い、これらを併合して等級を認定し、又は準用等級を定めること。

10 下肢(下肢及び足指)

(1) 下肢及び足指の障害と障害等級

イ 下肢及び足指の障害については、障害等級表上、次のごとく、下肢の障害として欠損障害、機能障害、変形障害及び短縮障害について、また、足指の障害として欠損障害及び機能障害について等級を定めている。

(イ) 下肢の障害

a 欠損障害

両下肢をひざ関節以上で失ったもの 第1級の8

両下肢を足関節以上で失ったもの 第2級の4

1下肢をひざ関節以上で失ったもの 第4級の5

両足をリスフラン関節以上で失ったもの 第4級の7

1下肢を足関節以上で失ったもの 第5級の3

1足をリスフラン関節以上で失ったもの 第7級の8

b 機能障害

両下肢の用を全廃したもの 第1級の9

1下肢の用を全廃したもの 第5級の5

1下肢の3大関節中の2関節の用を廃したもの 第6級の6

1下肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの 第8級の7

1下肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの 第10級の10

1下肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの 第12級の7

c 変形障害

1下肢に仮(偽)関節を残し、著しい運動障害を残すもの 第7級の10

1下肢に仮(偽)関節を残すもの 第8級の9

長管骨に奇(変)形を残すもの 第12級の8

d 短縮障害

1下肢を5センチメートル以上短縮したもの 第8級の5

1下肢を3センチメートル以上短縮したもの 第10級の7

1下肢を1センチメートル以上短縮したもの 第13級の8

(ロ) 足指の障害

a 欠損障害

両足の足指の全部を失ったもの 第5級の6

1足の足指の全部を失ったもの 第8級の10

1足の第1の足指を含み2以上の足指を失ったもの 第9級の10

1足の第1の足指又は他の4の足指を失ったもの 第10級の8

1足の第2の足指を失ったもの、第2の足指を含み2の足指を失ったもの又は第3の足指以下の3の足指を失ったもの 第12級の10

1足の第3の足指以下の1又は2の足指を失ったもの 第13級の9

b 機能障害

両足の足指の全部の用を廃したもの 第7級の11

1足の足指の全部の用を廃したもの 第9級の11

1足の第1の足指を含み2以上の足指の用を廃したもの 第11級の8

1足の第1の足指又は他の4の足指の用を廃したもの 第12級の11

1足の第2の足指の用を廃したもの、第2の足指を含み2の足指の用を廃したもの又は第3の足指以下の3の足指の用を廃したもの 第13級の10

1足の第3の足指以下の1又は2の足指の用を廃したもの 第14級の8

ロ 「廃用性の機能障害」に係る治ゆ認定及び「キュンチャー等の除去」に係る取扱いについては、上肢及び手指における場合と同様とする。

ハ 下肢及び足指の機能測定は、別紙2「関節運動可動域の測定要領」によること。

(2) 障害等級認定の基準

イ 下肢の障害

(イ) 欠損障害

a 「下肢をひざ関節以上で失ったもの」とは、次のいずれかに該当する場合をいう。

(a) 股関節において寛骨と大腿骨を離断したもの

(b) 股関節とひざ関節との間(大腿部)において切断したもの

(c) ひざ関節において、大腿骨と下腿骨とを離断したもの

b 「下肢を足関節以上で失ったもの」とは、次のいずれかに該当する場合をいう。

(a) ひざ関節と足関節との間(下腿部)において切断したもの

(b) 足関節において、下腿骨と距骨とを離断したもの

c 「リスフラン関節以上で失ったもの」とは、次のいずれかに該当する場合をいう。

(a) 足根骨(踵骨、距骨、舟状骨及び3個の楔状骨からなる。)において切断したもの

(b) 中足骨と足根骨とを離断したもの

(ロ) 機能障害

a 「下肢の用を全廃したもの」とは、次のいずれかに該当する場合をいう。

(a) 3大関節(股関節、ひざ関節及び足関節)及び足指全部の完全強直又はこれに近い状態にあるもの

(b) 3大関節のすべての完全強直又はこれに近い状態にあるもの

b 下肢の「関節の用を廃したもの」とは、次のいずれかに該当する場合をいう。

(a) 関節の完全強直又はこれに近い状態にあるもの

(b) 人工骨頭又は人工関節をそう入置換したもの

c 下肢の「関節の機能に著しい障害を残すもの」とは、関節の運動可能領域が、健側の運動可動域の1/2以下に制限されているものをいう。

d 下肢の「関節の機能に障害を残すもの」とは、関節の運動可能領域が健側の運動可動域の3/4以下に制限されているものをいう。

e 下肢の「動揺関節」については、それが他動的なものであると、自動的なものであるとにかかわらず、次の基準によってその等級を認定すること。

(a) 労働に支障があり、常時固定装具の装着を絶対に必要とする程度のものは、「用を廃したもの」とする。

(b) 労働に多少の支障はあっても、固定装具の装着を常時必要としない程度のものは、「機能に著しい障害を残すもの」とする。

(c) 通常の労働には固定装具の装着の必要がなく、重激な労働等に際してのみ必要のある程度のものは、「機能に障害を残すもの」とする。

f 下肢の「習慣性脱臼(先天性を除く。)」及び「弾ぱつ膝」は、「関節の機能に障害を残すもの」とする。

(ハ) 変形障害

a 「1下肢に仮(偽)関節を残し、著しい運動障害を残すもの」とは、次のいずれかに該当する場合をいう。

(a) 大腿骨に偽関節を残すもの

(b) 脛骨及び腓骨の両方に偽関節を残すもの

b 「1下肢に仮(偽)関節を残すもの」とは、脛骨若しくは腓骨のいずれかか一方に偽関節を残すものをいう。

c 下肢における「長管骨に奇(変)形を残すもの」とは、次のいずれかに該当する場合で、上肢における場合と同様、その変形を外部から想見できる程度(165度以上わん曲して不正ゆ合したもの)以上のものをいい、長管骨の骨折部位が正常位にゆ着している場合は、たとえ、その部位に肥厚があったとしても、長管骨の変形としては取り扱わないこと。

(a) 大腿骨に変形を残すもの

(b) 脛骨に変形を残すもの

ただし、腓骨のみの変形であっても、その程度が著しい場合には、これに該当する。

(ニ) 短縮障害

「下肢の短縮」については、上前腸骨棘と下腿内果下端間の長さを測定し、健側の下肢と比較し、短縮した長さを算出すること。

ロ 足指の障害

(イ) 欠損障害

「足指を失ったもの」とは、その全部を失ったものをいう。

したがって、中足指節関節から失ったものがこれに該当する。

(ロ) 機能障害

「足指の用を廃したもの」とは、次のいずれかに該当する場合をいう。

a 第1の足指にあっては、末節骨の1/2以上を、その他の足指にあっては遠位指節間関節以上を失ったもの

b 第1及び第2の足指にあっては、中足指節関節又は近位指節間関節(第1の足指にあっては指節間関節)に著しい運動障害を残すもの

なお、「著しい運動障害を残すもの」とは、運動可能領域が健側の運動可動域の1/2以下に制限されるものをいう。

c 第3、第4、第5の足指にあっては、完全強直したもの

(3) 併合、準用、加重、その他

イ 併合

次に掲げる場合においては、労災則第14条第2項及び第3項により、併合して等級を認定すること。

(イ) 下肢の障害

a 両下肢に器質的障害(下腿の全部亡失を除く。)が存する場合

(例

1 両下肢に長管骨の変形が存する(それぞれ第12級の8)場合は、第11級とする。

2 1下肢の3センチメートル以上の短縮(第10級の7)と他の下肢の5センチメートル以上の短縮(第8級の5)とが存する場合は、第7級とする。

3 1下肢の偽関節(第8級の9)と他の下肢の5センチメートル以上の短縮(第8級の5)が存する場合は、第6級とする。)

b 両下肢の3大関節に機能障害を残した場合(両下肢の全廃を除く。)

(例

1 1下肢の足関節の用廃(第8級の7)と他の下肢のひざ関節の用廃(第8級の7)が存する場合は、第6級とする。

2 1下肢の全廃(第5級の5)と他の下肢のひざ関節及び足関節の用廃(第6級の6)が存する場合は、第3級とする。)

c 1下肢の3大関節の機能障害と他の下肢の器質的障害が存する場合

(例

1 1下肢の足関節の用廃(第8級の7)と他の下肢のリスフラン関節以上の亡失(第7級の8)が存する場合は、第5級とする。

2 1下肢のひざ関節の著しい機能障害(第10級の10)と他の下肢の偽関節(第8級の9)が存する場合は、第7級とする。

3 1下肢の全廃(第5級の5)と他の下肢の3センチメートル以上の短縮(第10級の7)が存する場合は、第4級とする。)

d 1下肢の亡失(ひざ関節以上の亡失を除く。)と変形が存する場合

(例

1 1下肢のリスフラン関節以上の亡失(第7級の8)と長管骨の変形(第12級の8)が存する場合は、第6級とする。

2 1下肢のリスフラン関節以上の亡失(第7級の8)と脛骨の偽関節(第8級の9)が存する場合は、繰上げると第5級となるが、1下肢の足関節以上の亡失(第5級の3)には達しないので、その直近下位の第6級とする。)

e 1下肢の3大関節の機能障害と変形又は短縮障害が存する場合

(例

1 1下肢の足関節の単なる機能障害(第12級の7)と脛骨の変形(第12級の8)が存する場合は、第11級とする。

2 1下肢のひざ関節の機能障害(第12級の7)と同一下肢の3センチメートル以上の短縮(第10級の7)が存する場合は、第9級とする。)

f 踵骨骨折治ゆ後の疼痛(第12級の12)と足関節の単なる機能障害(第12級の7)が存する場合は、第11級とする。

(ロ) 足指の障害

a 1足の足指の欠損障害と他の足の足指の欠損障害(両足の足指の全部欠損を除く。)が存する場合

(例

1 右足の第1の足指の亡失(第10級の8)と左足の全部の足指の亡失(第8級の10)が存する場合は、第7級とする。

2 右足の第1の足指の亡失(第10級の8)と左足の第1及び第2の足指の亡失(第9級の10)が存する場合は、第8級とする。)

b 1足の足指の欠損障害 他の足の足指の機能障害が存する場合

(例

1 右足の全部の足指の亡失(第8級の10)と左足の全部の足指の用廃(第9級の11)が存する場合は、第7級とする。

2 右足の第1の足指の亡失(第10級の8)と左足の第1及び第2の足指の用廃(第11級の8)が存する場合は、第9級とする。)

c 1足の足指の機能障害と他の足の足指の機能障害が存する場合(両足の足指の全廃を除く。)

(例

1 右足の第1の足指の用廃(第12級の11)と左足の全部の足指の用廃(第9級の11)が存する場合は、第8級とする。

2 右足の第1の足指の用廃(第12級の11)と左足の第1及び第2の足指の用廃(第11級の8)が存する場合は、第10級とする。)

ロ 準用

次に掲げる場合においては、労災則第14条第4項により、準用して等級を定めること。この場合、同一系列の複数の障害について準用等級を定めるにあたっては、併合の方法を用いることとなるが、その結果、等級の序列を乱すこととなる場合は、その等級の直近上位又は直近下位の等級をもって認定すること。

(イ) 下肢の障害

a 同一下肢に2以上の器質的障害が存する場合

(例

1 1下肢の大腿骨に偽関節を残し(第7級の10)、同下肢の脛骨に変形を残した(第12級の8)場合は、第6級とする。

2 1下肢を足関節以上で失い(第5級の3)、同下肢の大腿骨に偽関節を残した(第7級の10)場合は、これらを併合すれば第3級となるが、1下肢をひざ関節以上で失ったもの(第4級の5)には達しないので、第5級とする。)

b 同一下肢に欠損障害と機能障害が存する場合

(例

1 1下肢を足関節以上で失い(第5級の3)、股関節及びひざ関節の用を廃した(第6級の6)場合は、これらを併合すれば、第3級となるが、1下肢をひざ関節以上で失ったもの(第4級の5)には達しないので、第5級とする。

2 1下肢をひざ関節以上で失い(第4級の5)、股関節の用を廃した(第8級の7)場合は、これらを併合すれば、第2級となるが、1下肢の最上位の等級(第4級の5)をこえることとなり、序列を乱すので、第4級とする。

3 1下肢の足関節の用廃(第8級の7)と同時に、同下肢をリスフラン関節以上で失った(第7級の8)場合も、併合すれば第5級となるが、1下肢を足関節以上で失ったもの(第5級の3)には達しないので、第6級とする。)

c 同一下肢の3大関節に機能障害が存する場合(用廃を除く。)

(例

1 1下肢の足関節に単なる機能障害が存し(第12級の7)同下肢のひざ関節に著しい機能障害が存している(第10級の10)場合は、第9級とする。

2 1下肢の股関節及びひざ関節の用を廃し(第6級の6)、同下肢の足関節に著しい機能障害が存している(第10級の10)場合は、これらを併合すれば第5級となるが、1下肢の用を廃したもの(第5級の5)には達しないので、第6級とする。)

なお、1下肢の3大関節のすべての関節の機能に著しい障害を残すものは第8級に、また、1下肢の3大関節のすべての関節の機能に障害を残すものは、第10級に準ずる障害として取り扱うこと。

d 1下肢の3大関節の機能障害と同一下肢の足指の欠損障害又は機能障害がある場合

(例

1 1下肢の足関節に機能障害が存し(第12級の7)、同一下肢の第1の足指の用を廃した(第12級の11)場合は、第11級とする。

2 1下肢の股関節及びひざ関節の用廃(第6級の6)と同一下肢の指の全部の欠損(第8級の10)とが存する場合は、これらを併合すれば、第4級となるが、1下肢の全廃(第5級の5)には達しないので、第6級とする。)

(ロ) 足指の障害

a 足指を基部(足指の付け根)から失った場合は、「足指を失ったもの」に準じて取り扱うこと。

b 1足の足指に、障害等級表上組合せのない欠損障害が存する場合

(例 1足の第2の足指をあわせ3の足指の亡失は、「1足の第1の足指以外の4の足指を失ったもの」(第10級の8)と「1足の第2の足指を含み2の足指を失ったもの」(第12級の8)との中間に位するものであるが、その障害の程度が第10級の8までに達していないから、第11級とする。)

c 1足のある足指の欠損障害と同一足の他指の機能障害が存する場合

(例

1 1足の第1の足指の亡失(第10級の8)と同一足の第2指以下の用廃(第12級の11)が存する場合は、第9級とする。

2 1足の第3の足指の亡失(第13級の9)と同一足の第1の足指の用廃(第12級の11)が存する場合は、第11級とする。

3 1足の第2の足指をあわせ3の足指の用廃は、「1足の第1の足指以外の4の足指の用廃」(第12級の11)と「1足の第2の足指を含む2の足指の用廃」(第13級の10)との中間に位するものではあるが、その障害の程度が第12級の11には達しないので、第13級とする。)

ハ 加重

(イ) 次に掲げる場合においては、労災則第14条第5項により、加重として取り扱うこと。

a 下肢の障害

(a) 下肢に障害を存していた者が、同一系列内において、さらに障害を加重した場合

(例

1 1下肢をリスフラン関節又は足関節以上で失っていた者が、さらに同一下肢を足関節又はひざ関節以上で失った場合

2 1下肢の足関節の著しい障害又はひざ関節の用廃を存していた者が、さらに足関節以上で失った場合

3 1下肢の足関節の単なる機能障害又はひざ関節の用廃を存していた者が、さらに足関節の著しい機能障害又は足関節とひざ関節の用廃を存していた場合

4 1下肢の脛骨に変形を存していた者が、さらに同一下肢の大腿骨に偽関節を存した場合

5 1下肢を1センチメートル以上短縮していた者が、さらに同一下肢を5センチメートル以上短縮した場合)

(b) 下肢に障害を存していた者が、さらに既存の障害の部位以上を失った場合(上記(a)に該当する場合を除く。)

(例

1 1下肢の脛骨に変形を存していた者が、さらに同一下肢をひざ関節以上で失った場合

2 1下肢を1センチメートル以上短縮していた者が、さらに同一下肢を足関節以上で失った場合

3 1下肢の下腿骨に手掌大のケロイド瘢痕を存していた者が、さらに同一下肢をひざ関節以上で失った場合

4 1足の足指の欠損又は機能障害を存していた者が、さらに同一下肢をリスフラン関節以上で失った場合)

b 足指の障害

1足の足指に障害を存していた者が、さらに同一足の同指又は他指に障害を加重した場合

(例 1足の第5の足指の用を廃していた者が、さらに同一足の第1の足指の用を廃した場合)

(ロ) 足指の障害で、次に掲げる場合に該当するときは、労災則第14条第5項の規定にかかわらず、新たな障害のみが生じたものとみなして取り扱うこと(第1の4の(3)のホ参照)。

a 1足の足指に障害を存していた者が、同一足の他指に、新たな障害を加重した場合で、労災則第14条第5項により算定した障害補償の額(日数)が、他指に新たな障害のみが生じたこととした場合の障害補償の額(日数)より少ないとき

b 1足の複数の足指に障害を存する者が、新たにその一部の足指について障害を加重した場合で、労災則第14条第5項により算定した障害補償の額(日数)が、その一部の足指に新たな障害のみが生じたこととした場合の障害補償の額(日数)より少ないとき

ただし、加重後の等級が第7級以上(年金)に該当し、新たに加わった障害が単独で生じたこととした場合の等級が第8級以下(一時金)に該当するとき(既存の障害の該当する等級が同等級であるときを除く。)の障害補償の額は労災則第14条第5項によること。

ニ その他

(イ) 次の場合には、いずれか上位の等級によること。

a 骨切除が関節部において行われたために、下肢の短縮と関節機能障害が存した場合

b 長管骨の骨折部位が不正ゆ合した結果、長管骨の変形又は偽関節と下肢の短縮障害が存した場合

c 大腿骨又は下腿骨の骨折部に偽関節又は長管骨の変形が存するとともに、その部位に疼痛(第12級程度)が存した場合

(ロ) 左右両下肢(両足指を含む。)の組合せ等級の取扱い

1下肢に障害を存していた者が、さらに他の下肢に障害を生じ、又は同一下肢の障害の程度を加重するとともに他の下肢にも障害を生じた結果、次に掲げる障害に該当するに至った場合の障害補償の額は、加重の例に準じて算定すること。

a 両下肢をひざ関節以上で失ったもの(第1級の8)

b 両下肢を足関節以上で失ったもの(第2級の4)

c 両足をリスフラン関節以上で失ったもの(第4級の7)

d 両下肢の用を廃したもの(第1級の9)

e 両足指の全部を失ったもの(第5級の6)

f 両足指の全部の用を廃したもの(第7級の11)

別紙1

標準聴力検査法