アクセシビリティ閲覧支援ツール

添付一覧

添付画像はありません

○国民年金法等の一部を改正する法律等の施行について〔健康保険法〕

(平成17年3月29日)

(/保発第0329003号/庁保発第0329003号/)

(地方社会保険事務局長あて厚生労働省保険局長・社会保険庁運営部長通知)

(公印省略)

国民年金法等の一部を改正する法律(平成16年法律第104号。以下「平成16年改正法」という。)が平成16年6月11日に公布され、その一部が平成17年4月1日から施行されることとなり、これに伴い、国民年金法施行令等の一部を改正する政令(平成16年政令第394号。以下「平成16年改正政令」という。)が平成16年12月15日に、国民年金法施行規則等の一部を改正する省令(平成17年厚生労働省令第27号。以下「平成17年改正省令」という。)が平成17年3月10日にそれぞれ別添1及び別添2のとおり公布され、平成17年4月1日から施行することとされたので通知する。

これらの改正の内容は下記のとおりであるので、その周知を図るとともに、実施に当たっては遺漏のないよう取り扱われたい。

なお、平成16年改正法等の実施に伴う事務処理の取扱いについては、別途通知する。

本通知においては、平成16年改正法による改正後の国民年金法(昭和34年法律第141号)、厚生年金保険法(昭和29年法律第115号)、国民年金法等の一部を改正する法律(昭和60年法律第34号)、国民年金法等の一部を改正する法律(平成6年法律第95号)、健康保険法(大正11年法律第70号)及び船員保険法(昭和14年法律第73号)は、それぞれ「国年法」、「厚年法」、「昭和60年改正法」、「平成6年改正法」、「健保法」及び「船保法」と略称し、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律等の一部を改正する法律(平成16年法律第160号)による改正後の育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成3年法律第76号)を「育介法」と略称し、平成16年改正政令による改正後の国民年金法施行令(昭和34年政令第184号)、厚生年金保険法施行令(昭和29年政令第110号)及び平成16年度及び平成17年度の国民年金制度及び厚生年金保険制度並びに国家公務員共済組合制度の改正に伴う厚生労働省関係法令に関する経過措置に関する政令(平成16年政令第298号)は、それぞれ「国年令」、「厚年令」及び「平成16年経過措置政令」と略称し、平成17年改正省令による改正後の国民年金法施行規則(昭和35年厚生省令第12号)、厚生年金保険法施行規則(昭和29年厚生省令第37号)、健康保険法施行規則(大正15年内務省令第36号)及び船員保険法施行規則(昭和15年厚生省令第5号)は、それぞれ「国年規則」、「厚年規則」、「健保規則」及び「船保規則」と略称する。

第1 国民年金関係

1 保険料に関する事項

(1) 平成17年度の保険料額は13,580円とされたこと。なお、平成18年度以降の保険料額は、各年度に応じて定められた額に保険料改定率を乗じて得た額とするとされたこと(国年法第87条第3項から第5項まで及び平成16年改正法附則第18条)。

(2) 口座振替により納付を行う場合に限り、前納する際の割引の対象となる期間を当月分からとされたこと。これにより、1ヶ月分の保険料を口座振替により前納する場合についても前納割引が適用されること(国年令第8条)。

(3) 保険料の追納の優先順位の見直し

学生納付特例によって保険料を納付することを要しないとされた期間よりも先に時効の到来する保険料免除期間を有する者については、先に経過した月の分の保険料から追納をすることができるものとされたこと(国年法第94条第2項)。

(4) 若年者納付猶予制度の創設

平成17年4月から平成27年6月までの期間において、30歳に達する日の属する月の前月までに第1号被保険者としての被保険者期間を有する者であって、本人及びその配偶者の所得が一定以下のものについては、申請に基づき、保険料の納付を猶予する若年者納付猶予制度が創設されたこと(平成16年改正法附則第19条、平成16年経過措置政令第22条、第24条及び第25条)。

① 納付を猶予することとされた保険料については、若年者納付猶予の対象となった各月から10年間は追納できるとされたこと。

② 若年者納付猶予期間は、保険料全額免除期間と位置付けられるため、障害基礎年金及び遺族基礎年金においては満額の年金が保証されること。なお、老齢基礎年金の支給要件には算入されるが、老齢基礎年金の額の計算においては、保険料が追納されない限り年金額の算定の基礎としないこととされたこと。

③ 任意加入被保険者については、若年者納付猶予の規定を適用しないこととされたこと。

④ 若年者納付猶予に係る所得基準については、保険料の全額免除に係る所得基準の規定を準用するとされたこと。

(5) 保険料免除申請等の承認期間の遡及

保険料免除等の承認期間は社会保険庁長官が指定する期間とされたこと。これにより、申請日の属する月の前月より前の期間も遡及して免除等の承認が可能となること(国年法第90条第1項、第90条の2第1項及び90条の3第1項並びに平成16年改正法附則第19条第1項及び第2項)。

(6) 保険料の全額免除及び半額免除並びに学生納付特例制度に係る所得基準が改められたこと(国年令第6条の7及び第6条の9)。

(7) 学生納付特例制度の対象となる学生等の範囲について見直しが行われたこと(国年規則第77条の6)。

2 第3号被保険者の届出の特例

第3号被保険者としての被保険者期間のうち、第3号被保険者に係る届出をしなかったことにより、保険料納付済期間に算入されない期間を有する者は、①平成17年4月1日前の当該期間、②届出を遅滞したことについてやむを得ない事由があると認められる平成17年4月1日以後の当該期間について、届出を行うことができるとされたこと。また、当該届出に係る期間は、届出が行われた日以後、保険料納付済期間に算入するとされたこと(国年法第7条の3第2項から第5項まで及び平成16年改正法附則第21条)。

3 任意加入に関する事項

(1) 任意加入被保険者の自動喪失

60歳から65歳に到達するまでの間に任意加入する場合において、保険料納付済期間が480月を超えて、任意加入被保険者が保険料を納付することを防止するため、任意加入被保険者から資格喪失の申出がなくても、保険料納付済期間が480月に達した時点で自動的に任意加入被保険者の資格を喪失することとされたこと(国年法附則第5条)。

(2) 高齢任意加入の対象者の拡大

① 任意加入被保険者の特例については、昭和30年4月1日以前に生まれた者が対象とされていたところであるが、昭和40年4月1日以前に生まれた者まで対象を拡大するとされたこと(平成16年改正法附則第23条)。

② ドイツ連邦共和国の国民又は難民で国民年金に任意加入することができることとされた者についても、昭和40年4月1日以前に生まれた者まで拡大されたこと(日本国及びドイツ連邦共和国の両国において就労する者等に係る国民年金法及び厚生年金保険法の特例等に関する政令(平成10年政令第344号)第34条の2)。

4 給付等に関する事項

(1) 老齢基礎年金の繰下げ支給制度の改正

① 老齢基礎年金の支給の繰下げの申出は、65歳に達した日以後、他の年金(付加年金及び被用者年金各法による年金たる給付であって老齢又は退職を支給事由とする年金を除く。)の受給権を有するに至った者にあっては、当該申出をすることができないとされていたが、66歳に達した後に他の年金の受給権を有するに至った者にあっては、当該申出をすることができるとされたこと(国年法第28条)。

② 平成17年4月1日前において、他の年金の受給権を有する者については、①の規定は適用しないとされたこと(平成16年改正法附則第17条)。

(2) 未決勾留者に対する20歳未満の障害による障害基礎年金等支給停止の緩和

拘置所等に収容されている者であって、次のいずれの場合にも該当しないものについては、国年法第30条の4に規定する障害基礎年金(昭和60年改正法附則第23条第2項並びに第25条第1項及び第2項の規定による障害基礎年金を含む。以下同じ。)、昭和60年改正法附則第28条第1項の規定による遺族基礎年金及び同法附則第32条第1項の規定による老齢福祉年金を支給することとされたこと(国年法第36条の2第1項、昭和60年改正法附則第28条第10項及び第32条第11項並びに国年規則第34条の4)。

① 懲役、禁錮若しくは拘留の刑の執行のため若しくは死刑の言渡しを受けて監獄に拘置されている場合、労役場留置の言渡しを受けて労役場に留置されている場合又は監置の裁判の執行のため監置場に留置されている場合

② 少年法(昭和23年法律第168号)第24条の規定による保護処分として少年院に送致され、収容されている場合又は売春防止法(昭和31年法律第118号)第17条の規定による補導処分として婦人補導院に収容されている場合

(3) 脱退一時金の見直し

① 脱退一時金の額は、請求日の属する月の前月までの第1号被保険者としての保険料納付済期間又は保険料半額免除期間のうち保険料が納付された直近の月を基準とし、保険料納付済期間及び保険料半額免除期間に応じて支給することとされたこと。なお、基準となる月が、平成18年度以降であるときは、保険料額の改定に応じて支給額を改定するとされたこと(国年法附則第9条の3の2第3項及び第8項)。

② 平成17年4月前の保険料納付済期間(第1号被保険者に係るものに限る。)及び保険料半額免除期間のみに係る脱退一時金の額については、従前の規定を適用するとされたこと(平成16年改正法附則第24条)。

(4) 地方税法(昭和25年法律第226号)が改正され、老年者控除が廃止されたことに伴い、国年法第30条の4に規定する障害基礎年金、昭和60年改正法附則第28条第1項の規定による遺族基礎年金及び同法附則第32条第1項の規定による老齢福祉年金の支給を停止する場合の所得額の計算方法に関し所要の整備が行われたこと(国年令第6条の2)。

5 罰則規定に関する事項

(1) 罰金額の上限が、次のそれぞれの場合に応じて、引き上げることとされたこと。

① 偽りその他不正な手段により給付を受けた者の罰金額の上限を100万円とされたこと(国年法第111条)。

② 被保険者がその資格等に関する届出をせず、文書等の提出命令を拒否し、若しくは職員の質問に対して答弁を拒否し、若しくは虚偽の陳述をしたとき、被保険者及び当該被保険者の属する世帯の世帯主が被保険者の資格等に関する虚偽の届出をしたとき等の罰金額の上限を30万円とされたこと(国年法第112条及び第113条)。

(2) 保険料等の徴収に関する調査拒否者に対する罰則規定の設置保険料等は国税徴収の例により徴収することとされており、その例によるものとされる国税徴収法(昭和34年法律第147号)の規定による徴収職員の質問に対して答弁を拒否し、又は偽りの陳述をした者及び検査を拒否、妨害、若しくは忌避し、又は偽りの記載若しくは記録をした帳簿書類を提示した者は、30万円以下の罰金に処するとされたこと(国年法第113条の2)。

(3) 両罰規定

① 法人(人格のない社団等を含む。以下同じ。)又は人の業務又は財産に関して、違反行為が行われたときは、当該違反行為者のほか、その法人又は人に対しても罰金刑が科せられるとされたこと(国年法第113条の3第1項)。

② 人格のない社団等について、上記①の適用がある場合においては、その代表者又は管理人がその訴訟行為につき当該人格のない社団等を代表するほか、法人を被告又は被疑者とする場合の刑事訴訟に関する法律の規定を準用することとされたこと(国年法第113条の3第2項)。

6 その他所要の規定の整備が行われたこと。

第2 厚生年金保険関係

1 育児をする被保険者に対する配慮措置に関する事項

(1) 育児休業等を終了した際の標準報酬月額の改定

育介法第2条第1号に規定する育児休業又は同法第23条第1項の育児休業の制度に準ずる措置による休業(以下第2及び第4において「育児休業等」という。)を終了した被保険者が、社会保険庁長官に申出をしたとき、当該育児休業等を終了した日の翌日が属する月以後の3月間に受けた報酬の平均を基準として標準報酬月額を改定することとされたこと。

ただし、この改定に関する規定は、平成17年4月1日以後に終了した育児休業等について適用するとされたこと(厚年法第23条の2及び平成16年改正法附則第34条)。

① 被保険者の申出は、育児休業等を終了した日において当該育児休業等に係る3歳に満たない子を養育する場合において、事業主を経由して、申出書を提出することとされたこと(厚年規則第10条)。

② 事業主は、①による被保険者からの申出を受けた場合に、厚年法第27条の規定に基づき報酬月額に関する届出をすることとされたこと(厚年規則第19条の2)。

(2) 3歳に満たない子を養育する被保険者等の給付算定上の標準報酬月額の特例

3歳未満の子を養育する被保険者等が申出をしたときは、当該子を養育する期間の各月のうち、その標準報酬月額が従前標準報酬月額を下回る月については、老齢厚生年金等の額の計算に際して、従前標準報酬月額を当該下回る月の標準報酬月額とみなすとされたこと。

ただし、この特例に関する規定は、平成17年4月以後の月の標準報酬月額について適用するとされたこと(厚年法第26条及び平成16年改正法附則第35条)。

① 特例の対象となる期間の始期

対象期間の始期は、3歳に満たない子を養育することとなった日その他次に掲げる事実が生じた日の属する月とされたこと(厚年規則第10条の3)。

ア 3歳に満たない子を養育する者が新たに被保険者の資格を取得したこと。

イ 保険料免除の規定の適用を受ける育児休業等を終了した日の翌日が属する月の初日が到来したこと。

ウ 当該子以外の子に係る標準報酬月額の特例の規定の適用を受ける期間の最後の月の翌月の初日が到来したこと。

② 特例の対象となる期間の終期

対象期間の終期は、次に掲げる事実に該当するに至った日の翌日の属する月の前月とされたこと(厚年法第26条第1項第1号から第5号まで)。

ア 子が3歳に達したとき。

イ 厚年法第14条各号のいずれかに該当するに至ったとき。

ウ 当該子以外の子について標準報酬月額の特例の規定の適用を受ける場合における当該子以外の子を養育することとなったとき。

エ 当該子が死亡したときその他当該子を養育しないこととなったとき。

オ 保険料免除の規定の適用を受ける育児休業等を開始したとき。

③ 特例の適用による年金の額の改定

平均標準報酬額の計算の基礎となる標準報酬月額とみなされた月の従前標準報酬月額は、次のそれぞれの場合において、年金の額を改定するに当たっては、その改定をする際の額の計算の基礎とするとされたこと(厚年法第26条第2項及び厚年令第3条の2第1項)。

ア 65歳以降の厚生年金保険の被保険者である受給権者が、その被保険者の資格を喪失し、被保険者となることなくして喪失から起算して1月を経過したとき(厚年法第43条第3項)。

イ 繰上げ支給の老齢厚生年金の受給権者であって、当該老齢厚生年金の請求があった日以後の被保険者期間を有するものが65歳に達したとき(厚年法附則第7条の3第5項)。

ウ 特別支給の老齢厚生年金の支給開始年齢に到達する前に、当該老齢厚生年金を繰り上げて受給する者が、本来の支給開始年齢に到達したとき、及び65歳に達したとき(厚年法附則第13条の4第5項及び第6項)。

④ 申出日の特例

事業主を経由して行うものとされた被保険者の申出については、当該申出が事業主に受理されたときに社会保険庁長官に申出があったものとみなすこととされたこと(厚年令第3条の2第2項)。

(3) 育児休業等期間中の保険料免除措置の拡充

① 保険料免除の対象となる期間の拡充

保険料免除の対象となる期間は、1歳に満たない子を養育するための育児休業、1歳から1歳6月までの子を養育するための育児休業及び1歳から3歳に満たない子を養育するための育児休業の制度に準ずる措置による休業とするとされたこと(厚年法第81条の2)。

② 保険料免除の対象となる期間の始期の改正

保険料免除の対象となる期間の始期は、事業主が申出をした日の属する月とされていたが、育児休業等を開始した日の属する月に改められたこと。

ただし、平成17年4月1日前に育児休業等を開始した者(同日前に、当該育児休業について、保険料免除の規定の適用を受けていた者を除く。)については、当該育児休業等を開始した日を平成17年4月1日とみなすこととされたこと(厚年法第81条の2及び平成16年改正法附則第37条第2項)。

2 保険給付等に関する事項

(1) 在職老齢年金制度の見直し等

① 60歳台前半の在職老齢年金制度の見直し

60歳以上65歳未満の被保険者に支給する老齢厚生年金に係る総報酬月額相当額及び基本月額に応じた調整の仕組みについて、年金の額を一律2割支給停止する仕組みから次のように改められたこと(厚年法附則第11条第1項、第11条の2第1項及び第2項、第11条の3第1項及び第13条の6第1項並びに平成6年改正法附則第21条第1項並びに厚年令第6条の8)。

ア 総報酬月額相当額と基本月額との合計額が支給停止調整開始額以下であるときには、年金額の全部を支給すること。

イ 総報酬月額相当額と基本月額との合計額が支給停止調整開始額を超えるときには、次のそれぞれの場合に応じ、それぞれに定める額に12を乗じて得た額(以下「支給停止基準額」という。)に相当する部分の支給を停止すること。ただし、次のそれぞれの場合において、支給停止基準額が年金額以上であるときは、年金額の全部の支給を停止すること。

(ア) 基本月額が支給停止調整開始額以下であり、かつ、総報酬月額相当額が支給停止調整変更額以下であるとき。

総報酬月額相当額と基本月額との合計額から支給停止調整開始額を控除して得た額に2分の1を乗じて得た額

(イ) 基本月額が支給停止調整開始額以下であり、かつ、総報酬月額相当額が支給停止調整変更額を超えるとき。

支給停止調整変更額と基本月額との合計額から支給停止調整開始額を控除して得た額に2分の1を乗じて得た額に、総報酬月額相当額から支給停止調整変更額を控除して得た額を加えた額

(ウ) 基本月額が支給停止調整開始額を超え、かつ、総報酬月額相当額が支給停止調整変更額以下であるとき。

総報酬月額相当額に2分の1を乗じて得た額

(エ) 基本月額が支給停止調整開始額を超え、かつ、総報酬月額相当額が支給停止調整変更額を超えるとき。

支給停止調整変更額に2分の1を乗じて得た額に総報酬月額相当額から支給停止調整変更額を控除して得た額を加えた額

ウ 調整の基準となる支給停止調整開始額及び支給停止調整変更額は、それぞれ次のとおりであること。なお、当該額の改定の措置は、政令で定めるとされたこと。

(ア) 支給停止調整開始額は、28万円とする。ただし、28万円に平成17年度以後の各年度の再評価率の改定の基準となる率であって政令で定める率を乗じて得た額に応じて改定するとされたこと。なお、当該政令で定める率は、原則として、名目手取り賃金変動率とするとされたこと。

(イ) 支給停止調整変更額は、48万円とする。ただし、48万円に平成17年度以後の各年度の名目賃金変動率(物価変動率に厚年法第43条の2第1項第2号に規定する率を乗じて得た率をいう。以下同じ。)を乗じて得た額に応じて改定するとされたこと。

② 60歳台後半の在職老齢年金の仕組みの改正

65歳以上の老齢厚生年金の調整の基準となる額は、48万円とする。ただし、48万円に平成17年度以後の各年度の名目賃金変動率を乗じて得た額に応じて改定するとされたこと。なお、当該改定の措置は政令で定めるとされたこと(厚年法第46条第2項及び第3項)。

(2) 特別支給の老齢厚生年金の額の計算の基礎となる被保険者期間の上限の引上げ

特別支給の老齢厚生年金の定額部分の額等の計算に係る被保険者期間の上限を、昭和19年4月2日から昭和20年4月1日までの間に生まれた者については456月に、昭和20年4月2日から昭和21年4月1日までの間に生まれた者については468月に、昭和21年4月2日以後に生まれた者については480月に、それぞれ引き上げることとされたこと(厚年法附則第9条の2から第9条の4まで、平成16年改正法附則第36条、平成6年改正法附則第18条第2項及び第19条第2項並びに昭和60年改正法附則第59条第2項)。

(3) 障害基礎年金が支給されない障害厚生年金の最低保障額

傷病の初診日において、65歳以後の厚生年金保険の被保険者であって、第2号被保険者でないものが、当該傷病により障害等級1級又は2級に該当する障害の状態にある場合に、当該障害厚生年金の額が障害基礎年金の額に4分の3を乗じて得た額に満たないときは、当該額を支給することとされたこと(厚年法第50条第3項)。

(4) 脱退一時金の計算方法の見直し

① 脱退一時金の額は、平均標準報酬額に、最後に被保険者資格を喪失した日の属する月の前月を基準とする支給率を乗じて得た額とするとされたこと。ただし、最後に被保険者の資格を喪失した日の属する月において、被保険者の資格を取得し、かつ、喪失した者にあっては、当該月を基準とし支給率を計算することとされたこと(厚年法附則第29条第3項及び第4項並びに平成16年経過措置政令第29条)。

② 平成17年4月前の被保険者期間のみに係る脱退一時金の額については、従前の規定を適用するとされたこと(平成16年改正附則第38条)。

(5) 移行農林共済年金に関する事項

移行農林共済年金のうち、退職共済年金の受給権者であって、農林漁業団体等適用事業所等に使用されるものに係る総報酬月額相当額に応じた調整の仕組みについて、年金の額を一律2割支給停止が廃止され、その調整の基準となる額に関して所要の整備が行われたこと(平成16年改正政令による改正後の厚生年金保険制度及び農林漁業団体職員共済組合制度の統合を図るための農林漁業団体職員共済組合法等を廃止する等の法律の施行に伴う移行農林共済年金等に関する経過措置に関する政令(平成14年政令第44号)第14条)。

3 罰則規定に関する事項

(1) 罰金額の上限が、次のそれぞれの場合に応じて、引き上げることとされたこと。

① 事業主が、正当な理由がなく、被保険者の資格等に関する届出をせず、文書等の提出命令を拒否し、又は職員の質問に対して答弁を拒否し、若しくは虚偽の陳述をし、若しくは検査を拒否したとき等の罰金額の上限を50万円とされたこと(厚年法第102条)。

② 事業主以外の者が、職員の質問に対して答弁を拒否し、若しくは虚偽の陳述をし、又は検査を拒否したとき等の罰金額の上限を30万円とされたこと(厚年法第103条)。

(2) 保険料等の徴収に関する調査拒否者に対する罰則規定の設置

保険料等は国税徴収の例により徴収することとされており、その例によるものとされる国税徴収法の規定による徴収職員の質問に対して答弁を拒否し、又は偽りの陳述をした者及び検査を拒否、妨害、若しくは忌避し、又は偽りの記載若しくは記録をした帳簿書類を提示した者は、50万円以下の罰金に処するとされたこと(厚年法第103条の2)。

(3) 両罰規定

① 法人又は人の業務又は財産に関して、違反行為が行われたときは、当該違反行為者のほか、その法人又は人に対しても罰金刑が科せられるとされたこと(厚年法第104条第1項)。

② 人格のない社団等について、上記①の適用がある場合においては、その代表者又は管理人がその訴訟行為につき当該人格のない社団等を代表するほか、法人を被告又は被疑者とする場合の刑事訴訟に関する法律の規定を準用することとされたこと(厚年法104条第2項)。

4 厚生年金基金に関する事項

厚生年金基金の免除保険料率の凍結を解除し、算定方法を見直すこととされたこと(平成6年改正法附則第35条並びに平成16年改正法による改正後の国民年金法等の一部を改正する法律(平成12年法律第14号)附則第7条及び第25条)。

5 その他所要の規定の整備が行われたこと。

第3 健康保険関係

1 育児をする被保険者に対する配慮措置に関する事項

(1) 育児休業等を終了した際の標準報酬月額の改定

育介法第2条第1号に規定する育児休業、同法第23条第1項の育児休業の制度に準ずる措置による休業又は地方公務員の育児休業等に関する法律(平成3年法律第110号)第2条第1項に規定する育児休業(以下第3において「育児休業等」という。)を終了した被保険者が、保険者に申出をしたとき、当該育児休業等を終了した日の翌日が属する月以後の3月間に受けた報酬の平均を基準として標準報酬月額を改定するとされたこと。ただし、この改定に関する規定は、平成17年4月1日以後に終了した育児休業等について適用するとされたこと(健保法第43条の2及び平成16年改正法附則第57条第1項)。

① 被保険者の申出は、育児休業等を終了した日において当該育児休業等に係る3歳に満たない子を養育する場合において、事業主を経由して、申出書を提出することとされたこと(健保規則第38条の2)。

② 事業主は、①による被保険者からの申出を受けた場合に、健保法第48条の規定に基づき報酬月額に関する届出をすることとされたこと(健保規則第26条の2)。

(2) 育児休業等期間中の保険料免除措置の拡充

① 保険料免除の対象となる期間の拡充

保険料免除の対象となる期間は、1歳に満たない子を養育するための育児休業、1歳から1歳6月までの子を養育するための育児休業及び1歳から3歳に満たない子を養育するための育児休業の制度に準ずる措置による休業とするとされたこと(健保法第159条)。

② 保険料免除の対象となる期間の始期の改正

保険料免除の対象となる期間の始期は、事業主が申出をした日の属する月とされていたが、育児休業等を開始した日の属する月に改められたこと(健保法第159条)。

ただし、平成17年4月1日前に育児休業等を開始した者(同日前に、当該育児休業について、保険料免除の規定の適用を受けていた者を除く。)については、当該育児休業等を開始した日を平成17年4月1日とみなすこととされたこと(平成16年改正法附則第57条第3項)。

2 未決勾留者に対する傷病手当金、出産手当金の給付制限の緩和

拘置所等に収容されている者であって、次のいずれの場合にも該当しないものについては、傷病手当金、出産手当金を支給することとされたこと(健保法第118条及び健保規則第32条の2)。

(1) 少年法第24条の規定による保護処分として少年院若しくは児童自立支援施設に送致され、収容されている場合又は売春防止法第17条の規定による補導処分として婦人補導院に収容されている場合

(2) 懲役、禁錮若しくは拘留の刑の執行のため若しくは死刑の言渡しを受けて監獄(少年法第56条第3項の規定により少年院において刑を執行する場合における当該少年院を含む。以下同じ。)に拘置されている場合、労役場留置の言渡しを受けて労役場に留置されている場合又は監置の裁判の執行のため監置場に留置されている場合

3 罰則規定に関する事項

(1) 保険料等の徴収に関する調査拒否者に対する罰則規定の設置

保険料等は国税徴収の例により徴収することとされており、その例によるものである国税徴収法の規定による徴収職員の質問(社会保険庁に属する職員が行うものに限る。)に対して答弁を拒否し、又は偽りの陳述をした者、及び検査(社会保険庁に属する職員が行うものに限る。)を拒否、妨害、若しくは忌避し、又は偽りの記載若しくは記録をした帳簿書類を提示した者は、50万円以下の罰金に処するとされたこと(健保法213条の2)。

(2) 両罰規定

① 法人又は人の業務又財産に関して、違反行為が行われたときは、違反行為者のほか、その法人又は人に対しても罰金刑が科せられるとされたこと(健保法第214条第1項)。

② 人格のない社団等について、上記①の適用がある場合においては、その代表者又は管理人がその訴訟行為につき当該人格のない社団等を代表するほか、法人を被告又は被疑者とする場合の刑事訴訟に関する法律の規定を準用することとされたこと(健保法第214条第2項)。

4 その他所要の規定の整備が行われたこと。

第4 船員保険関係

1 育児をする被保険者に対する配慮措置に関する事項

(1) 育児休業等を終了した際の標準報酬月額の改定

育児休業等を終了した被保険者が、社会保険庁長官に申出をしたときは、船保法第4条第3項から第5項までの標準報酬月額の随時改定によるほか、当該育児休業等を終了した日の翌日時点の報酬月額を算定し、従前の標準報酬月額に該当しない場合は、育児休業等の終了した日の翌日の属する月の翌月(当該育児休業の終了した日が月の初日の時はその月)より標準報酬月額を改定することとされたこと。ただし、この改定に関する規定は、平成17年4月1日以後に終了した育児休業等について適用するとされたこと(船保法第4条ノ2第1項及び平成16年改正法附則第58条第1項)。

① 被保険者の申出は、育児休業等を終了した日において当該育児休業等に係る3歳に満たない子を養育する場合に、船舶所有者を経由して、申出書を提出することとされたこと(船保規則第9条ノ2ノ2)。

② 船舶所有者は、①による被保険者からの申出を受けた場合に、船保法第21条ノ2の規定に基づき報酬月額に関する届出をすることとされたこと(船保規則第9条ノ2ノ3)。

(2) (1)による改定後の標準報酬月額に変動があった場合の改定

(1)により標準報酬月額が改定された被保険者が船保法第4条第3項から第5項までの標準報酬月額の随時改定によるほか、勤務時間その他の勤務条件に変更があったことにより当該被保険者に支払われる報酬が従前の標準報酬月額に該当しない場合は、保険者はその変更のあった月の翌月(当該変更日が月の初日の時はその月)より標準報酬月額を改定することとされたこと。

なお、船舶所有者は、被保険者の標準報酬が従前の標準報酬月額に該当しない場合は、同法第21条ノ2の規定に基づき報酬月額に関する届出をすることとされたこと(船保法第4条ノ2第2項及び船保規則第9条ノ2ノ4)。

(3) 育児休業等期間中の保険料免除措置の拡充

① 保険料免除の対象となる期間の拡充

保険料免除の対象となる期間は、1歳に満たない子を養育するための育児休業、1歳から1歳6月までの子を養育するための育児休業及び1歳から3歳に満たない子を養育するための育児休業の制度に準ずる措置による休業とするとされたこと(船保法第59条ノ4)。

② 保険料免除の対象となる期間の始期の改正

保険料免除の対象となる期間の始期は、船舶所有者が申出をした日の属する月とされていたが、育児休業等を開始した日の属する月に改められたこと(船保法第59条ノ4)。

ただし、平成17年4月1日前に育児休業等を開始した者(同日前に、当該育児休業について、保険料免除の規定の適用を受けていた者を除く。)については、当該育児休業等を開始した日を平成17年4月1日とみなすこととされたこと(平成16年改正法附則第58条第3項)。

2 未決勾留者に対する傷病手当金、出産手当金の給付制限の緩和

拘置所等に収容されている者であって、次のいずれの場合にも該当しないものについては、傷病手当金、出産手当金を支給することとされたこと(船保法第53条第1項及び船保規則第44条ノ4)。

(1) 少年法第24条の規定による保護処分として少年院若しくは児童自立支援施設に送致され、収容されている場合又は売春防止法第17条の規定による補導処分として婦人補導院に収容されている場合

(2) 懲役、禁錮若しくは拘留の刑の執行のため若しくは死刑の言渡しを受けて監獄に拘置されている場合、労役場留置の言渡しを受けて労役場に留置されている場合又は監置の裁判の執行のため監置場に留置されている場合

3 罰則規定に関する事項

(1) 保険料等の徴収に関する調査拒否者に対する罰則規定の設置

保険料等は国税徴収の例により徴収することとされており、その例によるものとされる国税徴収法の規定による徴収職員の質問に対して答弁を拒否し、又は偽りの陳述をした者、及び検査を拒否、妨害、若しくは忌避し、又は偽りの記載若しくは記録をした帳簿書類を提示した者は、50万円以下の罰金に処するとされたこと(船保法第69条ノ3)。

(2) 両罰規定

① 法人又は人の業務又財産に関して、違反行為が行われたときは、違反行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても罰金刑が科せられるとされたこと(船保法第70条第1項)。

② 人格のない社団等について、上記①の適用がある場合においては、その代表者又は管理人がその訴訟行為につき当該人格のない社団等を代表するほか、法人を被告又は被疑者とする場合の刑事訴訟に関する法律の規定を準用することとされたこと(船保法第70条第2項)。

4 その他所要の規定の整備が行われたこと。

写送付先(/地方社会保険事務局事務所長/社会保険事務所長/)

別添1 略

別添2 略