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○就労支援等の事業に関する会計処理の取扱いについて

(平成18年10月2日)

(社援発第1002001号)

(各都道府県知事・各指定都市市長・各中核市市長あて厚生労働省社会・援護局長通知)

平成18年10月1日からの障害者自立支援法の施行により、障害福祉サービス事業として就労移行支援、就労継続支援A型及び就労継続支援B型の事業が創設されたところであるが、これらの事業は、従来の授産施設と同様、その事業の実施により得た収入から事業に必要な経費を控除した額に相当する金額を工賃として支払わなければならないという、就労支援事業特有の会計処理を必要としているところであるが、今般、その会計処理について、別紙のとおり「就労支援の事業の会計処理の基準」を定めたので、了知の上、管内市町村、関係機関及び関係団体・施設等にその周知徹底を図るとともに、その処理に遺憾のないようにされたい。

なお、「就労支援の事業の会計処理の基準」は、平成18年10月1日から施行する。

別紙

就労支援の事業の会計処理の基準

第一 総則

1 趣旨

就労移行支援、就労継続支援A型及び就労継続支援B型(以下「就労支援」という。)の事業における会計については、「障害者自立支援法に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準」(平成18年厚生労働省令第171号。以下「指定障害福祉サービス基準」という。)及び「障害者自立支援法に基づく指定障害者支援施設等の人員、設備及び運営に関する基準」(平成18年厚生労働省令第172号。以下「指定障害者支援施設基準」という。)(以下「指定基準」という。)において、指定事業所又は指定障害者支援施設(以下「指定事業所等」という。)ごとに経理を区分するとともに、当該事業の会計とその他の事業の会計を区分すべきことが定められているところであるが、具体的な会計処理に関する取扱いについては、「就労支援の事業の会計処理の基準」(以下「就労支援事業会計処理基準」という。)の定めるところによるものとする。

なお、就労支援事業会計処理基準に定めのない事項については、一般に公正妥当と認められる会計の基準に従うものとする。

2 対象範囲

(1) 就労支援事業会計処理の対象とする事業の範囲は、次のとおりとする。ただし、地方公共団体から委託された事業において、特段の定めがある場合はこの限りではない。

① 指定障害福祉サービス事業所の場合

ア 指定障害福祉サービス基準第174条に定める指定就労移行支援の事業

イ 指定障害福祉サービス基準第185条に定める指定就労継続支援A型の事業

ウ 指定障害福祉サービス基準第198条に定める指定就労継続支援B型の事業

② 指定障害者支援施設の場合

ア 就労移行支援を行う場合

イ 就労継続支援A型を行う場合

ウ 就労継続支援B型を行う場合

(2) 指定障害福祉サービス基準第214条第1項に規定する多機能型事業所においては、上記(1)の①のアからウまで、指定障害者支援施設基準第2条第16号に定める昼間実施サービスを複数行う指定障害者支援施設においては、上記(1)の②のアからウまでの事業。

(3) 指定障害福祉サービス基準第77条に定める指定生活介護又は指定障害者支援施設が行う生活介護において、同令第84条又は指定障害者支援施設基準第28条に定める生産活動を実施する場合については、就労支援事業会計処理基準により経理することができるものとする。なお、多機能型事業所又は昼間実施サービスを複数行う指定障害者支援施設(以下「多機能型事業所等」という。)において実施する場合についても、同様の取り扱いとする。

(4) 障害者自立支援法(平成17年法律第123号。以下「法」という。)附則第41条、第48条及び第58条の規定により、同法附則第1条第3号に掲げる規定の施行の日の前日までの間、なお従前の例により運営をすることができることとされている身体障害者授産施設、知的障害者授産施設及び精神障害者授産施設(以下「授産施設」という。)についても、就労支援事業会計処理基準によるものとする。ただし、就労支援事業会計処理基準により難い事業者にあっては、従前から採用している会計の基準によることとしても差し支えない。

3 就労支援事業会計処理基準の適用時期

(1) 平成18年10月以降、新たに就労支援事業を始める法人

法の全面施行に伴い、平成18年10月1日以降、新たに就労支援の事業(以下「就労支援事業」という。)を開始する法人にあっては、事業の開始と同時に、就労支援事業を他の事業と区分し、社会福祉法人にあっては別の経理区分を設けて会計処理を行うこととし、その際、就労支援事業会計処理基準の考え方に基づき、原則として、資金収支計算書、事業活動収支計算書(損益計算書、正味財産増減計算書等を含む。)及び貸借対照表を作成し、適宜の勘定科目をもって会計処理するとともに、就労支援事業製造原価明細表、販売費及び一般管理費明細表についても作成するものとする。

(2) 平成18年10月以降、新たな事業体系に移行する法人

既に授産施設又は身体障害者福祉工場、知的障害者福祉工場若しくは精神障害者福祉工場(以下「福祉工場」という。)を運営している法人であって、平成18年10月1日以降、新たな事業体系へ移行する法人については、事業年度の中途において会計処理の取扱い等を変更することは実務上困難であり、かつ、会計処理上も不適切であることから、平成19年4月1日以降に新たに開始する事業年度から就労支援事業会計処理基準を適用するものとする。

その際、会計単位又は経理区分については、なお従前の例によることとする。

なお、精神障害者社会復帰施設は、新たに就労支援事業を開始する法人と同様、新たな事業体系に移行と同時に就労支援事業会計処理基準を適用するものとする。

(3) 経過措置により新たな事業体系に移行しない法人

既に授産施設又は福祉工場を運営している法人であって、平成18年10月1日以降においても、法附則第41条、第48条及び第58条の規定する経過措置により新たな事業体系へ移行しない法人についても、平成19年4月1日以降に新たに開始する事業年度から就労支援事業会計処理基準を適用することとするが、これにより難い場合には、経過措置期間中は、従前から採用している会計の基準によることとしても差し支えない。

第二 障害者自立支援法下における就労支援事業に係る会計処理について

1.就労支援事業会計処理基準の基本的な考え方

(1) 就労支援事業を行う指定事業所等は、指定基準において、授産施設同様、製品製造等の就労支援事業活動により得た就労支援事業収入から就労支援事業に必要な経費を控除した金額を工賃として利用者へ支払うこととされていることから、適正な利用者工賃の算出をするため、製品製造過程等における適切な製造原価等の把握が必要となる。

さらに、今回の法の施行により、就労継続支援B型において目標工賃達成加算が創設されたこと等により、工賃の算出に当っての原価管理の重要性が増大している。

また、就労支援事業の運営主体が緩和され、社会福祉法人以外の法人におけるサービス提供が可能となったところであるが、授産施設会計処理基準においては社会福祉法人のみを適用対象としていた。

このような状況下において、法人の種別に関係なく、就労支援事業を実施する全ての法人が適用する会計処理の取扱いを明示するために、就労支援事業における原価管理の重要性を勘案し、就労支援事業会計処理基準として取りまとめたものである。

(2) 就労支援事業を実施する指定事業所等(以下「就労支援事業所等」という。)(生活介護において生産活動を行っている場合であって、就労支援事業会計処理基準に基づく会計処理を行う場合を含む。)を運営する社会福祉法人においては、就労支援事業会計処理基準に特段の定めがあるものを除き、授産施設会計基準における「授産」を「就労支援」に改めることとし、会計処理を行う(以下「就労支援施設会計処理基準」という。)こととする。

(3) 就労支援事業のいずれかのみを実施する指定事業所等(多機能型事業所等を除く。以下「通常の事業所等」という。)においては、法人本部及び就労支援事業の2つの経理区分を設け、多機能型事業所等においては、法人本部及び各指定事業所等毎に経理区分を設け、並びに各就労支援事業毎に事業区分を設けるものとする。

(4) 就労支援事業所等(生活介護において生産活動を行っている場合であって、就労支援事業会計処理基準に基づく会計処理を行う場合を含む。)を運営する法人は、授産施設会計基準同様、資金収支計算書、事業活動収支計算書(損益計算書、正味財産増減計算書等を含む。)及び貸借対照表(以下「計算書類」という。)を作成するとともに、当該事業の収支状況等を把握するため、資金収支決算内訳表、事業活動収支内訳表を作成するものとする。

また、当該事業の財産状態を把握するため貸借対照表内訳表を作成することができるものとする。

なお、社会福祉法人及び会計単位ごとに特別な会計として経理を行う民法第34条に規定する法人等以外の法人又は指定事業所等にあっては、計算書類のうち、資金収支計算書又は事業活動収支計算書、及び貸借対照表を省略することができる。同様に、資金収支決算内訳表又は事業活動収支内訳表、及び貸借対照表内訳表を省略できる。

(5) 就労支援事業の各事業毎の損益状況を把握するため、就労支援事業別事業活動収支内訳表(就労支援事業別損益計算書、就労支援事業別正味財産増減計算書等を含む。)を作成するものとする。

また、原価管理の観点から、就労支援事業別事業活動収支内訳表の明細表として、就労支援事業製造原価明細表、販売費及び一般管理費明細表を作成するものとする。

(6) 将来にわたり安定的に工賃を支給し、又は安定的かつ円滑に就労支援事業を継続するため、一定の条件の下に工賃変動積立金、設備等整備積立金を積み立てることができるものとする。

2 通常の事業所等における会計処理について

(1) 会計単位及び経理区分

通常の事業所等を運営する社会福祉法人においては、当該事業を1会計単位として法人本部及び就労支援事業の2つの経理区分を設け、就労支援施設会計処理基準により会計処理を行うものとする。

なお、生活介護のみを実施している指定事業所等において生産活動を行っている場合には、生産活動に係る会計処理について、社会福祉法人会計基準に基づく会計処理に代えて就労支援施設会計処理基準による会計処理を行うことができるものとする。

(2) 資金収支決算内訳表、事業活動収支内訳表及び貸借対照表内訳表の作成

通常の事業所を運営する社会福祉法人は、授産施設会計基準と同様の資金収支計算書、事業活動収支計算書及び貸借対照表を作成し、資金収支決算内訳表(別紙1)及び事業活動収支内訳表(別紙2)を作成するものとし、勘定科目についても、就労支援事業特有のものを除き授産施設会計基準と同様のものを使用するものとする。

また、当該事業の財産状態をより的確に把握するため、貸借対照表内訳表(別紙3)を作成することができるものとする。

資金収支計算書における区分は、授産施設会計基準の「授産事業活動による収支」に代えて「就労支援事業活動による収支」とし、その他は授産施設会計基準と同様に、「福祉事業活動による収支」、「施設整備等による収支」及び「財務活動による収支」の4つの区分とし、事業活動収支計算書における区分は、授産施設会計基準の「授産事業活動収支の部」に代えて「就労支援事業活動収支の部」とし、その他は授産施設会計基準と同様に、「福祉事業活動収支の部」、「事業活動外収支の部」、「特別収支の部」及び「繰越活動収支差額の部」の5つの区分とする。

なお、「就労支援事業活動収支の部」の勘定科目については、授産施設会計基準の勘定科目によらず就労支援事業特有の勘定科目(下記(表1)就労支援事業別事業活動収支内訳表を参照のこと。)を使用することに留意する。

このように、区分して経理を行うことにより、利用者負担を伴う利用料収入と就労支援事業収入が、各計算書において区分表示されることになる。

貸借対照表における区分は、授産施設会計基準と同様に資産(流動資産、固定資産)、負債(流動負債、固定負債)及び純資産(基本金、国庫補助金等特別積立金、その他の積立金、次期繰越活動収支差額)とする。

なお、その他の積立金及びそれに対応する積立預金の設定については、後述4によるものとするが、この場合、その他の積立金及びそれに対応する積立預金の増加及び減少状況を示す明細表として、その他の積立金明細表(別紙7)及びその他の積立預金明細表(別紙8)を作成する。ただし、貸借対照表内訳表を作成している場合には別紙9に示すとおり、貸借対照表内訳表にその他の積立金及びそれに対応する積立預金の種類別残高が表示されるため、その他の積立金明細表及びその他の積立預金明細表を省略することができるものとする。

(3) 就労支援事業別事業活動収支内訳表の作成

事業活動収支内訳表(別紙2)の○○事業、△△事業について、以下の(表1)「就労支援事業別事業活動収支内訳表」を作成するものとする。

(表1) 就労支援事業別事業活動収支内訳表

就労支援事業には、就労支援事業所等で製造した製品を販売する場合と、当該就労支援事業所等以外で製造した商品を仕入れ、販売する場合とがある。

製造した製品を販売する場合、就労支援事業別事業活動収支内訳表上の就労支援事業販売原価は、期首製品たな卸高に後述する就労支援事業製造原価明細表で計算された当期就労支援事業製造原価を加算し、期末製品たな卸高を控除して計算される。さらに、製品の販売のために支出された金額は、販売費及び一般管理費に計上される。

また、就労支援事業の利用者は、製造業務に携わる者と販売業務に携わる者に区分されるが、製造業務に携わる者に支給された利用者賃金及び利用者工賃は、就労支援事業製造原価明細表に計上され、販売業務に携わる者に支給された利用者賃金及び利用者工賃は、販売費及び一般管理費に計上される。さらに、就労支援事業に従事する職業指導員等(以下「就労支援事業指導員等」という。)も製造業務に携わる者と販売業務に携わる者に区分されるが、利用者賃金及び利用者工賃同様、製造業務に係る就労支援事業指導員等に支給された給与、退職金及び退職給与引当金繰入は、就労支援事業製造原価明細表に計上され、販売業務に係る就労支援事業指導員等に支給された給与、退職金及び退職給与引当金繰入は、販売費及び一般管理費に計上される。

商品を仕入れて販売する場合、就労支援事業別事業活動収支内訳表上の就労支援事業販売原価は、期首商品たな卸高に当期商品仕入高を加算し、期末商品たな卸高を控除して計算される。さらに、商品の販売のために支出された金額は、販売費及び一般管理費に計上される。また、就労支援事業の利用者は、販売に携わる者のみであるため、それらの者に支給された利用者賃金及び利用者工賃は、販売費及び一般管理費に計上される。就労支援事業指導員等に関しても同様である。

(4) 就労支援事業製造原価明細表、販売費及び一般管理費明細表の作成

(表1)就労支援事業別事業活動収支内訳表の「当期就労支援事業製造原価」及び「販売費及び一般管理費」に関して、(表2)「就労支援事業製造原価明細表」、(表3)「販売費及び一般管理費明細表」を作成するものとする。

(表2) 就労支援事業製造原価明細表

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(表3) 販売費及び一般管理費明細表

3.多機能型事業所等における会計処理について

(1) 会計単位及び経理区分

多機能型事業所等(生活介護において生産活動を行っている場合であって、就労支援事業会計処理基準に基づく会計処理を行う場合を含む。)を運営する社会福祉法人においては、就労支援事業等を1つの会計単位として、本部及び各指定事業所等毎に経理区分を設け、並びに各就労支援事業毎に事業区分を設けるものとし、就労支援施設会計処理基準により会計処理を行うものとする。

(2) 資金収支決算内訳表、事業活動収支内訳表及び貸借対照表内訳表の作成

多機能型事業所等を運営する社会福祉法人においては、授産施設会計基準と同様の資金収支計算書、事業活動収支計算書及び貸借対照表を作成し、資金収支決算内訳表(別紙4)及び事業活動収支内訳表(別紙5)を作成するものとし、勘定科目も就業支援事業特有のものを除き授産施設会計基準と同じものを使用するものとする。

また、各事業毎の財産状態をより的確に把握するため、貸借対照表内訳表(別紙6)を作成することができるものとする。

資金収支計算書における区分は、授産施設会計基準の「授産事業活動による収支」に代えて「就労支援事業活動による収支」とし、その他は授産施設会計基準と同様に、「福祉事業活動による収支」、「施設整備等による収支」及び「財務活動による収支」の4つの区分とし、事業活動収支計算書における区分は、授産施設会計基準の「授産事業活動収支の部」に代えて「就労支援事業活動収支の部」とし、その他は授産施設会計基準同様に、「福祉事業活動収支の部」、「事業活動外収支の部」、「特別収支の部」及び「繰越活動収支差額の部」の5つの区分とする。

なお、「就労支援事業活動収支の部」の勘定科目については、授産施設会計基準の勘定科目によらず就労支援事業特有の勘定科目(下記、(表7)就労支援事業別事業活動収支内訳表を参照。)を使用することに留意する。

このように、区分して経理を行うにより、利用者負担を伴う利用料収入と就労支援事業収入が、各計算書において区分表示されることになる。

貸借対照表における区分は、授産施設会計基準と同様に資産(流動資産、固定資産)、負債(流動負債、固定負債)及び純資産(基本金、国庫補助金等特別積立金、その他の積立金、次期繰越活動収支差額)とする。

なお、その他の積立金及びそれに対応する積立預金の設定については、後述4によるものとするが、この場合、各事業毎のその他の積立金及びそれに対応する積立預金の種類別の増加及び減少状況を示す明細表として、その他の積立金明細表(別紙7)及びその他の積立預金明細表(別紙8)を作成するものとする。ただし、貸借対照表内訳表を作成している場合には別紙9に示すとおり、貸借対照表内訳表にその他の積立金及びそれに対応する積立預金の種類別残高が表示されるため、その他の積立金明細表及びその他の積立預金明細表を省略することができるものとする。

(3) 就労支援事業別事業活動収支内訳表の作成

事業活動収支内訳表(別紙5)の○○事業、△△事業について、以下の(表7)「就労支援事業別事業活動収支内訳表」を作成するものとする。

(表7) 就労支援事業別事業活動収支内訳表

就労支援事業には、就労支援事業所等で製造した製品を販売する場合と、当該就労支援事業所等以外で製造した商品を仕入れ、販売する場合とがある。

製造した製品を販売する場合、就労支援事業別事業活動収支内訳表上の就労支援事業販売原価は、期首製品たな卸高に後述する就労支援事業製造原価明細表で計算された当期就労支援事業製造原価を加算し、期末製品たな卸高を控除して計算される。さらに、製品の販売のために支出された金額は、販売費及び一般管理費に計上される。また、就労支援事業の利用者は、製造業務に携わる者と販売業務に携わる者に区分されるが、製造業務に携わる者に支給された利用者賃金及び利用者工賃は、就労支援事業製造原価明細表に計上され、販売業務に携わる者に支給された利用者賃金及び利用者工賃は、販売費及び一般管理費に計上される。さらに、就労支援事業指導員等も製造業務に携わる者と販売業務に携わる者に区分されるが、利用者賃金及び利用者工賃同様、製造業務に係る就労支援事業指導員等に支給された給与、退職金及び退職給与引当金繰入は、就労支援事業製造原価明細表に計上され、販売業務に係る就労支援事業指導員等に支給された給与、退職金及び退職給与引当金繰入は、販売費及び一般管理費に計上される。

商品を仕入れて販売する場合、就労支援事業別事業活動収支内訳表上の就労支援事業販売原価は、期首商品たな卸高に当期商品仕入高を加算し、期末商品たな卸高を控除して計算される。さらに、商品の販売のために支出された金額は、販売費及び一般管理費に計上される。また、就労支援事業の利用者は、販売に携わる者のみであるため、それらの者に支給された利用者賃金及び利用者工賃は、販売費及び一般管理費に計上される。就労支援事業指導員等に関しても同様である。

(4) 就労支援事業製造原価明細表、販売費及び一般管理費明細表の作成

(表7)就労支援事業別事業活動収支内訳表の「当期就労支援事業製造原価」及び「販売費及び一般管理費」に関して、各々(表8)「就労支援事業製造原価明細表」及び(表9)「販売費及び一般管理費明細表」を作成するものとする。

(表8) 就労支援事業製造原価明細表

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(表9) 販売費及び一般管理費明細表

(7) 共通費の按分

複数の事業に共通する支出に係る按分方法等については、「介護保険の給付対象事業における会計の区分について」(平成13年3月28日老振発第18号厚生労働省老健局振興課長通知)に準ずるものとする。

4.積立金の積み立てについて

(1) 就労支援事業については、授産施設同様、就労支援事業収入から就労支援事業に必要な経費を控除した額に相当する金額を工賃として支払わなければならないものとしていることから、原則として剰余金は発生せず、事業活動収支計算書における「就労支援事業活動収支差額」は生じないものであるが、将来にわたって安定的に工賃を支給するため又は安定的かつ円滑に就労支援事業を継続するため、次のような特定の目的の支出に備えるため、理事会の議決に基づき事業活動収支計算書の当期末繰越活動収支差額から一定の金額を次の積立金として計上することができるものとする。また、積立金を計上する場合には、同額の積立預金を計上することによりその存在を明らかにしなければならない。

なお、次の積立金は、当該年度の利用者賃金及び利用者工賃の支払額が、前年度の利用者賃金及び利用者工賃の支払実績額を下回らない場合に限り、計上できるものとする。

(2) 工賃変動積立金

毎会計年度、一定の工賃水準を利用者に保障するため、将来の一定の工賃水準を下回る工賃の補填に備え、次に掲げる各事業年度における積立額及び積立額の上限額の範囲内において、「工賃変動積立金」を計上できるものとする。

○ 各事業年度における積立額:過去3年間の平均工賃の10%以内

○ 積立額の上限額:過去3年間の平均工賃の50%以内

なお、保障すべき一定の工賃水準とは、過去3年間の最低工賃(天災等により工賃が大幅に減少した年度を除く。)とし、これを下回った年度については、理事会の議決に基づき工賃変動積立金及び工賃変動積立預金を取り崩して工賃を補填し、補填された工賃を利用者に支給するものとする。

(3) 設備等整備積立金

就労支援事業を安定的かつ円滑に継続するため、就労支援事業に要する設備等の更新、又は新たな業種への展開を行うための設備等の導入のための資金需要に対応するため、次に掲げる各事業年度における積立額及び積立額の上限額の範囲内において、設備等整備積立金を計上できるものとする。

○ 各事業年度における積立額:就労支援事業収入の10%以内

○ 積立額の上限額:就労支援事業資産の取得価額の75%以内

なお、設備等整備積立金の積み立てにあっては、施設の大規模改修への国庫補助、高齢・障害者雇用支援機構の助成金に留意することとし、設備等整備積立金により就労支援事業に要する設備等の更新、又は新たな業種への展開を行うための設備等を導入した場合には、対応する積立金及び積立預金を取り崩すものとする。

(4) 積立金の流用及び繰替使用

① 積立金は、上述のとおり、一定の工賃水準の保障、就労支援事業の安定的かつ円滑な継続という特定の目的のために、一定の条件の下に認められるものであることから、その他の目的のための支出への流用(積立金の流用とは、積立金の取り崩しではなく、積立金に対応して設定した積立預金の取崩しをいう。)は認められない。

② しかしながら、今後、就労支援事業に伴う利用料収入の受取時期が、請求及びその審査等に一定の時間を要し、事業の実施月から見て2ヶ月以上遅延する場合が想定されることから、このような場合に限り、上述の積立金に対応する資金の一部を一時繰替使用することができるものとする。

③ ただし、繰替えて使用した資金は、利用料収入により必ず補填することとし、積立金の目的の達成に支障を来さないように留意すること。

(別紙1)

(別紙2)

(別紙3)

(別紙4)

(別紙5)

(別紙6)

画像15 (8KB)別ウィンドウが開きます

(別紙7)

(別紙8)

(別紙9)