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○海上運送事業の活性化のための船員法等の一部を改正する法律の施行に伴う船員保険の取扱いについて

(平成17年4月13日)

(庁保険発第0413001号)

(地方社会保険事務局長あて社会保険庁運営部医療保険課長通知)

(公印省略)

海上運送事業の活性化のための船員法等の一部を改正する法律(平成16年法律第71号)については、平成17年4月1日から施行されることとなったところであるが、船員保険における取扱いについては、下記のとおりとしたので、遺憾のないよう取り扱われたい。

なお、当該取扱いについては、国土交通省海事局との間で協議済であることを申し添える。

また、これに伴い、昭和33年11月21日保文発第9077号通知、昭和49年6月10日庁文発第1221号通知、昭和52年2月28日庁文発第461号通知、昭和60年2月26日庁文発第641号通知、昭和61年11月10日庁文発第3945号通知及び平成3年4月5日庁文発第1144号通知は廃止する。

Ⅰ 船員派遣事業についての取扱い

1 船員派遣事業に係る船員保険の適用

船員派遣事業の場合、船員派遣元事業主を船舶所有者として船員保険を適用すること。

2 適用時の注意等

(1) 船員派遣元事業主から、船員保険・厚生年金保険新規適用船舶所有者届(以下「新規適用届」という。)及びその添付書類が提出された場合は、必要に応じて、「船員派遣事業許可証」の写しを提示するよう指導すること。

(2) 派遣船員か否かについて疑義が生じたときは、必要に応じて「船員派遣事業許可証」の写しの提示を求めることとし、判断できない場合は、管轄の地方運輸局等の船員労政担当課に照会すること。

Ⅱ いわゆる船舶管理会社についての取扱い(別添参考1、別添参考2 関係)

1 船舶管理会社が雇用船員に対して指揮命令権を有する場合

船舶管理会社が船員を雇用し、かつ、当該船員に対して指揮命令権を有する場合は、船舶管理会社を船舶所有者として船員保険を適用すること。

なお、当該船舶管理会社が船員保険未適用の場合には、新規適用届及びその添付書類に加え「船員管理契約書」(船舶所有者が裸傭船借入者の場合は「裸傭船契約書」を含む。)の写しの提示を求め、「船舶の運行管理、船舶の保守管理、船員の配乗・雇用管理に関して一括して責任を負う」旨が記載されていることを確認すること。

2 船舶所有者等が雇用船員に対して指揮命令権を有する場合

船舶管理会社が船員を雇用するが、当該船員に対する指揮命令権を船舶所有者等が有する場合は、船舶管理会社による船舶所有者等への違法な船員派遣または船員労務供給事業となることから、管轄の地方運輸局等の船員労政担当課に連絡すること。

Ⅲ いわゆる在籍出向についての取扱い(別添参考3、別添参考4 関係)

1 出向先事業主が給与を支払う場合

出向先事業主が出向船員に係る指揮命令権を行使し、かつ、出向船員に係る給与を支払う場合は、出向先事業主を船舶所有者として船員保険を適用すること。

2 出向元事業主が給与を支払う場合

出向先事業主が出向船員に係る指揮命令権を行使するが、出向元事業主が出向船員に係る給与を支払う場合において、次の(1)及び(2)に該当するものについては、出向元事業主を船舶所有者として船員保険を適用すること。

なお、(1)及び(2)のいずれにも該当しない場合は、管轄の地方運輸局等の船員労政課に照会すること。

(1) 緊密な資本関係が存する等のグループ間の移動であること

① 商法上の親会社・子会社の関係

② 連結計算書類を作成している事業者間の関係

③ 相互配乗の廃止前において現に認められている船主団体内グループによる船員の相互配乗の対象の事業者間の関係

(2) 船員の移動が、以下のいずれかの目的を有すること

① 船員を離職させることなく、関係会社において雇用機会を確保するためのものであること

② 技術指導のためのものであること

③ 出向の対象となる船員の能力開発の一環として実施するものであること

④ 企業グループ内の人事交流の一環として実施するものであること

3 適用時の注意事項等

出向船員について、出向先事業主・出向元事業主のいずれにおいて船員保険を適用するか疑義が生じたときは、出向契約書や地方運輸局等の押印のある海員名簿第六表のクルーリストの提示を求めて確認することとし、判断できない場合は、管轄の地方運輸局等の船員労政担当課に照会すること。

Ⅳ 船員労務供給事業についての取扱い

船員労務供給事業の場合、供給先事業主を船舶所有者として船員保険を適用すること。

Ⅴ その他の改正に伴う変更点

1 雇入契約の成立等の届出

従前の「雇入契約等の公認申請」については、「雇入契約の成立等の届出」と変更されることに伴い、平成17年3月31日までに発出された通知等については、必要に応じて読替えを行うこと。

2 いわゆるマルシップに関する取扱い(別添参考1、別添参考2 関係)

外国人等に貸し付けられている日本船舶に係る日本人船員の配乗に関する船員職業安定法等の適用について、「派遣」との用語の区別が行われたところであるが、当該日本人船員に対する船員保険法の適用については、従来どおり昭和54年3月9日庁保険発第2号通知により取り扱うこと。

(写送付先 関係地方社会保険事務局事務所長・関係社会保険事務所長)

○「外国人等に貸し付けられている日本船舶に係る日本人船員の配乗に関する船員職業安定法等の適用について(昭和58年12月27日付け員労第608号)」の改正について

(平成17年2月15日)

(国海政第154号)

(各地方運輸局長・神戸運輸監理部長・沖縄総合事務局長あて海事局長通知)

日本船舶を所有することができない者(以下「外国人等」という。)に貸し付けられている日本船舶に係る日本人船員の雇用関係については、その取り扱い指針に関する通達(昭和58年12月27日付け員労第608号。以下「旧マルシップ通達」という。)を定め、実施してきたところである。

しかしながら、今般、船員職業安定法が改正され、平成17年4月1日から施行されることに伴い、新たに船員派遣事業が制度化されることとなったことから、旧マルシップ通達において使用されている「派遣」の用語との区分を行うなど旧マルシップ通達の所要の見直しを行う必要がある。

そのため、旧マルシップ通達を別紙のとおり改正することとしたので、了知の上、その取り扱いについて遺漏なきを期すとともに、貴局(部)管内の関係事業者に対する周知徹底を図られたい。

(別添参考1)

(別紙)

1.配乗類型

外国人等に貸し付けられている日本船舶に日本人船員が配乗される形態は、次の四類型に大別される。

〔類型Ⅰ〕

船舶借入人たる外国人等が本邦における代理人を通じて日本人船員を雇用する形態。

〔類型Ⅱ〕

日本船舶を外国人等に貸渡すに際して、当該船舶の所有権者がその雇用する船員(注)を雇用関係を維持したまま、当該船舶の乗組員の一部として配乗したうえで当該船舶を貸渡す形態であって、配乗された当該船員を当該船舶と一体となって移動させる形態。

注:当該船舶の所有権者が当該船舶に乗り組ませるために船員の在籍出向又は船員派遣元事業主からの船員派遣を受ける場合及び当該船舶の所有権者と当該船舶に係る船舶管理契約を締結している船舶管理会社が雇用する場合を含む。

〔類型Ⅲ〕

日本船舶を借入れた日本人等がその借入船舶を更に外国人等に貸渡すに際して、当該船舶を借入れた日本人等がその雇用する船員(注)を雇用関係を維持したまま、当該船舶の乗組員の一部として配乗したうえで当該船舶を貸渡す形態であって、配乗された当該船員を当該船舶と一体となって移動させる形態。

注:当該船舶を借入れた日本人等が当該船舶に乗り組ませるために船員の在籍出向又は船員派遣元事業主からの船員派遣を受ける場合及び当該船舶を借入れた日本人等と当該船舶に係る船舶管理契約を締結している船舶管理会社が雇用する場合を含む。

〔類型Ⅳ〕

日本船舶の所有権者又は当該船舶を借入れた日本人等が当該船舶を外国人等に貸渡すに際して、船員職業安定法第55条の許可を受けてその雇用する船員(注)を当該船舶に船員派遣をする形態。

注:当該船舶の所有権者又はこれを借入れた日本人等と当該船舶に係る船舶管理契約を締結している船舶管理会社が雇用する場合を含む。

上記のⅠ~Ⅲの類型については、以下の2.で規定する基準に適合する必要がある。また、Ⅳの類型については、船員職業安定法の派遣に係る規定を充足している必要がある。

地方運輸局及び神戸運輸監理部の海事振興部船員労政課(沖縄総合事務局における船員職業安定業務担当課を含む。以下単に「船員労政課」という。)における求人の受理、船員法第37条の雇入契約の成立等の届出及び船舶職員及び小型船舶操縦者法第20条の特例許可に係る手続きに際しては、あわせて3.に記載する事項について十分指導することとする。

2.基準

(1) 類型Ⅰ

次の総ての基準に該当するものであること。

① 外国人等が行う日本人船員の採用行為の代理を行うものであって、実質的にも「船員職業紹介」、「船員労務供給」又は「船員派遣」に該当する行為を行うものでないこと。

② 代理行為により「利益」を得るものでないこと。

③ 次のいずれかの方法により船員を募集するものであること。

(イ) 船員労政課、船員雇用促進センター又は船員職業安定法第34条及び第40条に基づく許可等を受けた船員職業紹介機関を経由すること。

(ロ) 被用者以外の者に報酬を与えて委託募集を行う場合は、船員職業安定法第44条の国土交通大臣の許可を受け、これに基づき代理人が募集を行うこと。

(ハ) 外国人等の縁故(募集受託者が船舶の所有権者又は定期用船者等の関連企業である場合には、これらの募集受託者の縁故を含む。)により採用すること。

(2) 類型Ⅱ

次の総ての基準に該当するものであること。

① 船舶の保守、管理(運航技術の指導を含む。)、事故による損害の発生の防止等社会通念上船舶所有者として正当と認められる目的のために自己の雇用する船員を移動させるものであること。

② 船員を移動させることにより「利益」を得るものでないこと。

③ 雇用契約、就業規則等に船員を移動させることに関する根拠が規定されており、かつ、当該船員の移動が移動させる船員の意思に反するものでないこと。

④ 新たに船員を採用して移動させる場合には、次のいずれかの方法により募集するものであること。

(イ) 船員労政課、船員雇用促進センター又は船員職業安定法第34条及び第40条に基づく許可等を受けた船員職業紹介機関を経由すること。

(ロ) 被用者以外の者に報酬を与えて委託募集を行う場合は、船員職業安定法第44条の国土交通大臣の許可を受け、これに基づき代理人が募集を行うこと。

(ハ) 船舶の所有権者が直接募集又は縁故により採用すること。

⑤ 当該船舶の所有権者(日本企業)(以下(2)において「移動元事業主」という。)と当該船舶を借受ける外国人等との間において締結される裸傭船契約上、当該船舶に配乗されている日本人船員であって移動元事業主に雇用されている者についての船員法等関係法令上の船舶所有者責任(任免・指揮命令権・給与の支払い)が移動元事業主に留保される旨の規定が明記されていること。

⑥ 貸渡す船舶について移動元事業主と船舶管理契約を締結している船舶管理会社がその雇用する船員を配乗する場合にあっては、上記①~⑤に加えて、次の項目が全て満たされること。

(イ) 当該船舶管理会社が雇用する船員については、当該船舶管理会社が雇用責任を有する旨の規定が船舶管理契約に明記されていること。

(ロ) ⑤において留保される関係法令上の船舶所有者責任については、当該船舶管理会社に留保される旨の規定が⑤の裸傭船契約上に明記されていること。

(ハ) ⑤の裸傭船契約上、当該船舶の運航及び保守管理に関して一括して当該船舶管理会社に留保する、又は一括した責任を有する内容をもって当該船舶管理会社に委託する旨の規定が明記されていること。

(3) 類型Ⅲ

次の総ての基準に該当するものであること。

① 現に船舶運航事業(運航受託を含む。以下同じ。)を営んでいる者が、事業規模の変化等に伴う応急的な雇用調整として船員を移動させるものであること。ただし、船舶運航事業を営んでいた者がその事業を一時的に中断し事業の再開を図る場合又はその事業を廃止して事業転換を図る場合には、事業の再開又は事業転換の完了までの間(原則として3年間)に限りこれを認めるものとする。また、新たに船舶運航事業を行おうとする者がその事業を開始するのに必要な船員の確保、訓練等を目的として行う場合であって、具体的かつ確実な計画を有する場合には、その準備期間(原則として3年間)に限りこれを認めるものとする。

② 船員を移動させることにより「利益」を得るものでないこと。

③ 雇用契約、就業規則等に船員を移動させることに関する根拠が規定されており、かつ、当該船員の移動が移動させる船員の意思に反するものでないこと。

④ 新たに船舶運航事業を行おうとする者の場合を除き、船員を新たに採用して移動させるものでないこと。ただし、資格要件等から雇用船員だけでは移動させられない場合に不足する船員だけを新たに採用し、移動させることは認められる。

⑤ 新たに船舶運航事業を行おうとする場合には、原則として船員を移動させるためだけの期間雇用でないこと。

⑥ 日本船舶を借入れた日本人等(以下(3)において「移動元事業主」という。)と当該船舶を借受ける外国人等との間において締結される裸傭船契約上、当該船舶に配乗されている日本人船員であって移動元事業主に雇用されている者についての当該船員法等関係法令上の船舶所有者責任(任免・指揮命令権・給与の支払い)が移動元事業主に留保される旨の規定が明記されていること。

⑦ 貸渡す船舶について移動元事業主と船舶管理契約を締結している船舶管理会社がその雇用する船員を配乗する場合にあっては、上記①~⑥に加えて、次の項目が全て満たされていること。

(イ) 当該船舶管理会社が雇用する船員については、当該船舶管理会社が雇用責任を有する旨の規定が船舶管理契約に明記されていること。

(ロ) ⑥において留保される関係法令上の船舶所有者責任については、当該船舶管理会社に留保される旨の規定が⑥の裸傭船契約上に明記されていること。

(ハ) ⑥の裸傭船契約上、当該船舶の運航及び保守管理に関して一括して当該船舶管理会社に留保する、又は一括した責任を有する内容をもって当該船舶管理会社に委託する旨の規定が明記されていること。

なお、形式上この類型に該当する場合であって、船員を移動させようとする移動元事業主が実質的な船舶所有者とみなしうる場合(建造資金の債権者が所有者となっている場合等)又は船舶所有者の親会社もしくは子会社である場合は、類型Ⅱに該当するものとする。この場合において「親会社」とは、他の会社の議決権の過半数を実質的に所有している会社をいい、「子会社」とは、当該他の会社をいう。親会社及び子会社が他の会社の議決権の過半数を実質的に所有している場合における当該他の会社も、その親会社等の子会社とみなす。

3.指導事項

(1) 上記2.の要件に該当する配乗形態は、適法なものであるが、雇用責任の所在の明確化及び船員保険の適用の点からは類型Ⅱが望ましいので、極力この形態をとるよう指導するものとする。

また、類型Ⅰについては、脱法行為が行われる可能性もあり、また、船員保険も適用されないので、類型Ⅱ又は類型Ⅲがとりえない場合に限ることとし、かつ、船員の災害補償が確保されうる適切な民間保険を付保するよう指導するものとする。

(2) 類型Ⅰの場合において、代理人となる者は、代理を営利のための業として行うおそれのないものとするよう指導するものとする。

4.実施期日

本件改正通達の実施期日は、平成17年4月1日とする。

本件改正通達の実施期日前に旧マルシップ通達に基づき実施されていたものは、なお従前の例による。

○「外国人等に貸し付けられている日本船舶に係る日本人船員の配乗に関する船員職業安定法等の適用について(昭和58年12月27日付け員労第609号、員基第291号、員職第576号)」の改正について

(平成17年2月15日)

(/国海政第155号/国海働第213号/国海資第308号/)

(各地方運輸局海事振興部長・海上安全環境部長・神戸運輸監理部海事振興部長・海上安全環境部長・沖縄総合事務局運輸部長あて海事局船員政策課長・船員労働環境課長・海技資格課長通知)

日本船舶を所有することができない者(以下「外国人等」という。)に貸し付けされている日本船舶に係る日本人船員の雇用関係については、標記通達を定め、実施してきたところである。

しかしながら、今般、船員職業安定法が改正され、平成17年4月1日から施行されることに伴い、新たに船員派遣事業が制度化されることとなったことから、「外国人等に貸し付けられている日本船舶に係る日本人船員の配乗に関する船員職業安定法等の適用について」(昭和58年12月27日付け員労第608号。以下「旧マルシップ通達」という。)において使用されている「派遣」の用語との区分を行うなど旧マルシップ通達の所要の見直しを行ったところである。

そのため、旧マルシップ通達の改正に伴い標記の通達についても別紙のとおり改正することとしたので、了知の上、その取り扱いについて遺漏なきを期されたい。

(別添参考2)

(別紙)

第1 「外国人等に貸し付けられている日本船舶に係る日本人船員の配乗に関する船員職業安定法等の適用について」(平成17年2月15日付け国海政第154号。以下「局長通達」という。)の実施要領

1 代理関係

(1) 外国人等の代理人から地方運輸局本局(神戸運輸監理部を含む。)船員労政課(沖縄総合事務局にあっては運輸部船舶船員課。以下「船員労政課」という。)並びに同支局及び海事事務所における船員職業安定法事務担当課に求人の申込みがあった場合には、代理権の授与を受けたことを証する書面の提示を求める等により、代理関係が真正なものであるかどうかを審査するものとする。

(2) 船員職業安定法第33条、第50条又は第54条の規定に係る脱法行為の疑いのあるものについては船員労政課において船員職業安定法、船員法、船舶職員及び小型船舶操縦者法、船員保険法等関係法規に基づく諸手続における船舶所有者(雇用主)の異同を調べるほか、可能な限り実態を調査し、必要に応じ本省海事局船員政策課雇用対策室に連絡し、指示を受けるものとする。

2 委託募集

(1) 報酬を与えて被用者以外の者に船員の募集を行わせるための許可の申請者は、船舶所有者(外国人等)である。ただし、代理人たる者による代理申請の場合にあっては、正式な委任を受けた旨の委任状を添付させるものとする。

(2) 報酬を与えて被用者以外の者に船員の募集を行わせるための許可を行った場合には速やかに本省海事局船員政策課雇用対策室に報告するものとする。

3 縁故

縁故の範囲については、原則として事業主と親族関係にある者及び従前から募集主と直接親交のある者とする。

募集主とは、雇用主本人及びその幹部従業員(経営のための管理的職務をつかさどる者をいう。)とし、親族とは、民法上の親族であって、配偶者及び六親等内の血族及び三親等内の姻族とする。

募集主と直接親交のある者とは、募集主と従前から相当期間にわたり親しい交際関係にあり、現在まで引き続いているものをいう。

なお、類型Ⅰの場合については、募集委託者が船舶の所有権者、定期用船者といった関連企業である場合に限り、募集主との縁故のほか、募集受託者との縁故も認めることとする。

4 船舶借入人の行う雇用船員の移動

(1) 局長通達別紙2(3)①の「原則として3年間」の始期は、当該船員の移動を最初に行った日とする。

なお、かかる移動は、原則として3年以内に限られるものとするが、3年を超えることにつき合理的なやむを得ない理由がある場合には、その限度において延伸を認めるものとする。

(2) 局長通達別紙2(3)①ただし書き、又は、また書きの適用を受けようとする場合には、その要件に適合することについて移動元船社自身が作成した事業再開若しくは事業転換又は新規事業開始についての具体的計画を提出させることにより立証させるものとする。

(3) 局長通達別紙2(3)なお書きにより、形式的に類型Ⅲに該当するものが、類型Ⅱとしての取扱いを受けようとする場合には、その要件に適合することについて融資契約書、有価証券明細書等の写しを提出させることにより立証させるものとする。

5 指導事項

船員労政課は、第2の「船員法第37条の雇入契約の成立等の届出に際しての船員の配乗形態の審査」に際して、次の事項について指導することとする。

① 類型Ⅲの形態をとるものについては、類型Ⅱとすることが困難な理由を確認することとする。また、類型Ⅰの形態をとるものについては、類型Ⅱ又は類型Ⅲとすることが困難な理由を確認するとともに、船舶所有者(外国人等)に対して、船員法の災害補償の規定が適用されること及び船員保険の適用がないので船員の災害補償が確保されるような適切な民間保険を付保することを伝えるよう指導するものとする。

② また、類型Ⅰの場合については、代理人が、関連企業、その他代理を営利のための業として行うおそれのない者であるかを確認し、要件に適合しない疑いがあるものについては、労働基準法第6条、船員職業安定法第33条、第50条、第54条等に違反する疑いがある旨注意を喚起し、是正を指導するものとする。

第2 船員法第37条の雇入契約の成立等の届出に際しての船員の配乗形態の確認

1 事前の確認

(1) 外国人等に貸し付けられた日本船舶に新たに雇用した日本人船員を配乗する場合には、当該船員の雇用関係の概要を記した様式1書類(以下「船員個票」という。)についてあらかじめ最寄りの船員労政課において、その内容が船員職業安定法等関連法規に照らして適法であるか否かの審査を受けるものとする。

(2) 本省海事局船員政策課雇用対策室においては、外国人又は外国法人に対する日本船舶の貸渡しを行おうとする者に対して、当該貸渡しを行う概ね20日前までに船員個票の事前審査を受けるべきこと及び雇入契約の成立等の届出をすべき官庁等について、次の点を指導するものとする。

① 船員個票の事前審査を受ける場合には、船員1名につき1部作成すべきこと。

② 雇入契約の成立等の届出については、地方運輸局本局、同支局又は海事事務所において行うべきこと。

③ 貸渡し先の変更等により当該配乗形態を変更又は廃止する場合はあらかじめ本省海事局船員政策課雇用対策室に届け出るべきこと。

なお、各地方運輸局においても、あらかじめ関係事業者等に上記(1)並びに(2)の趣旨を十分指導するものとする。

船員個票について(1)の確認を受けさせる旨の周知は特に重要であるのでこの点について遺漏なきを期されたい。

(3)

イ 本省海事局船員政策課雇用対策室においては、(2)の外国人又は外国法人に対する日本船舶の貸渡しを行おうとする者を通じての指導に当たり、当該船舶に乗り組む日本人船員の雇用形態が局長通達別紙1の類型Ⅰ、類型Ⅱ、類型Ⅲ又は類型Ⅳのいずれであるかの確認等を行うとともに、その内容が適法でない場合には是正を求める等の指導を行うことになるが、その内容を船舶名、船舶所有者名等とともにその都度船員労政課に通知するものとする。

ロ 通知を受けた船員労政課においては、地方運輸局本局の船員労働環境・海技資格課(九州運輸局にあっては海上安全環境部船員労働環境課、沖縄総合事務局にあっては運輸部船舶船員課。以下同じ。)と協力し、通知の内容を管下の支局及び海事事務所にその都度通知するものとする。

ハ イ又はロで通知された船舶については言うまでもないが、これら以外の船舶であっても、当該船舶に係る雇入契約の成立等の届出の際に提示等がなされた海員名簿等から判断して、いわゆるマルシップに該当すると思料されるものについては、地方運輸局審査済欄に官庁印の押印のある船員個票の提示がある場合でなければ、原則として届出を受理しない。

また、海員名簿等の内容が、提示された船員個票の内容と異なる場合、再度船員労政課において、船員個票の事前審査を行うものとする。

地方運輸局本局の船員労働環境・海技資格課及び船員労政課は、管下の支局及び海事事務所にその旨を周知徹底するものとする。

(4) 船員個票の事前審査を行った船員労政課は、その内容が船員職業安定法等関係法規に照らして適法である場合には、船員個票の地方運輸局審査済欄に様式2の官庁印を押印のうえ当該申請者に返却するとともに、当該審査済船員個票の写しを各月の月末にまとめて本省海事局船員政策課雇用対策室に送付するものとする。

(5) やむを得ない事由により、地方運輸局審査済欄に押印がある船員個票が添付された雇入契約の成立等の届出受理申請が指定市町村(船員法第104条及び船員法の規定による事務で市町村長に行わせるものを定める政令第1項に基づき雇入契約の成立等の届出受理を行う市町村。以下同じ。)で行われることも想定されるため、地方運輸局本局の船員労働環境・海技資格課及び船員労政課は、管下の指定市町村に対し、当該船員個票の取扱いについて指導するものとする。

2 事前審査の要点

事前審査に当たっては、特に次の点に留意して審査するものとする。

(1) 代理及び募集

類型Ⅰの場合には、船員個票「乗船に至る経路」欄及び代理に関する添付書類により、代理人に対する委託の内容が船員職業紹介又は船員労務供給に該当するものでなく、船員の採用行為のみを委託されているものであるか否かを確認するものとする。

(2) 船員の移動関係

① 類型Ⅱ又は類型Ⅲの場合であって日本船舶の所有権者及び日本船舶を借入れた日本人等が雇用し、移動させる船員に在籍出向、船員派遣を受けている船員又は船舶管理会社の雇用船員を含むときには、船員個票「乗船に至る経路」欄2.の内容を確認するとともに、「移動させる根拠」欄により、移動させる根拠が出向契約、船員派遣契約、当該船舶管理会社の雇用契約等に規定されていることを確認するものとする。

また、雇用契約が口頭により結ばれている場合には、船員が移動させられることについてあらかじめ承知していることの証明を求めるとともに、書面にすることを指導するものとする。

② 「乗船に至る経路」欄の2.の移動元船社が船舶の所有者でない場合(類型Ⅲの一部)には、当該移動元が船舶運航事業(運航委託を含む。)を営んでいる者又は営んでいた者が事業規模の変化等に伴う応急的な雇用調整として行うものであるか、又は近い将来当該事業を行う具体的な計画を有する者が船員の確保、訓練等のため準備的、過渡的なものとして行うものであるかのいずれに該当するかを確認するものとする。

また、移動元が現に船舶運航事業を営んでいる会社でない場合には、事業再開若しくは事業転換又は新規事業開始に関し、移動元自身が作成した具体的計画を提出させるものとする。

3 雇入契約の成立等の届出の際の確認

(1) 雇入契約の成立等の届出に当たり、地方運輸局審査済欄に官庁印を押印した船員個票が提示されている場合には、届出窓口においてさらに次の点を確認するものとする。

① 移動させられることが船員の意思に反しないものであるか否かの確認。

当該船員が移動させられることについて、本人の意思に反しないものであるか否かについて、海員名簿における本人印の有無により確認する。

② 局長通達別紙2(3)⑤に適合するか否かの確認。

類型Ⅲの形態であって移動が新たに船舶運航事業を行おうとする者である場合については、船員個票記載の当該船員の雇用期間が、常用の場合にはその雇用開始時期が海員名簿及び船員手帳の雇入期間開始日以前であること、期間雇用の場合には当該雇用期間が海員名簿及び船員手帳の雇入期間よりも長いことを確認すること。

(2) 上記の申請について確認されたものについては、雇入契約の成立等の届出を受理してもさしつかえないものとする。

第3 実施時期

本件改正通達の実施時期は、平成17年4月1日とする。

この通達の実施の際現にある船員個票の様式は、なお従前の例による。

様式1

様式2

○船員職業安定法等の一部改正に伴う船舶管理会社及び在籍出向に関する基本的考え方について

(平成17年2月15日)

(国海政第157号)

(各地方運輸局長・神戸運輸監理部長・沖縄総合事務局長あて海事局長通知)

内航海運業をはじめとする我が国海上運送事業の活性化が求められている中、良質な輸送サービス提供のための優良な船員の安定的確保と海上労働力の適正かつ円滑な移動を図るため、船員職業安定法の一部改正等を内容とする「海上運送事業の活性化のための船員法等の一部を改正する法律」が第159回国会で成立し、平成17年4月1日より施行されることとなった。これに伴い、改正船員職業安定法の適正な運用を図る観点から、別紙1及び2のとおり船舶管理会社及び在籍出向に関し基本的考え方を取りまとめたので、了知のうえ取扱いに遺漏なきを期すとともに、貴局(部)管内の関係事業者に対する周知徹底を図り、指導に遺漏なきを期されたい。

なお、本通達の実施期日は、平成17年4月1日からとする。

(別添参考3)

別紙1

違法な船員派遣事業又は船員労務供給事業に該当しない船員配乗行為を行うことができる船舶管理会社の要件について

いわゆる船舶管理会社については、船舶所有者又は裸傭船者(以下「船舶所有者等」という。)との船舶管理契約に基づいて、自己が雇用する船員を当該契約の対象船舶に配乗する行為を行うことが考えられる。

このような船舶管理会社が、船員を自ら雇用し、船舶管理契約の対象船舶に配乗する形態については、船員法及び船員職業安定法上、一概に禁止されるものではない(この場合、当然の帰結として当該船舶管理会社は、使用者(船舶所有者)としての船員法及び船員職業安定法上の義務を負う。)。

船員の雇用形態としては、船舶所有者等が、その所有又は裸傭船する船舶に自ら雇用する船員を配乗し、かつ、指揮命令を行うのが一般的であるが、船舶管理会社の場合には、船舶管理会社が配乗船舶を所有も裸傭船もしていないことから、船員に対する雇用関係(誰が雇用し、誰が指揮命令を行うのか等)が複雑になりやすいという特徴がある。

例えば、船舶管理会社が船員を雇用する場合であって船員に対する指揮命令権者が当該船舶管理会社であるときには船員派遣にも船員労務供給にも該当しないこととなるが、船舶管理会社が船員を雇用するものの船員に対する指揮命令権者が船舶所有者等である場合は、船舶管理会社による船舶所有者等への船員派遣又は船員労務供給に該当することとなる。この場合、船舶管理会社が業として自己の常時雇用する船員を船舶所有者等の指揮命令を受けて労務に従事させるときには船員派遣事業の許可が必要である。

したがって、船舶管理会社の名の下に、許可を受けずして違法な船員派遣事業又は船員労務供給事業を行う者が出てくるおそれがあることから、船舶管理会社の適法性については、船員を誰が雇用し、誰が指揮命令するのかについて、「船舶管理契約」等の名称の如何にかかわらず、実質的・個別的に判断する必要がある。

以上のことから、違法な船員派遣事業又は船員労務供給事業に該当しない船員配乗行為を行うことができる船舶管理会社とは、1.に掲げられた4つの要件を満たすものとして整理することとする。

1.違法な形態に該当しない船舶管理会社の要件

(1) 船舶管理契約が締結されていること。

船舶管理契約は、船舶の運航管理、船舶の保守管理、船員の配乗・雇用管理を受託者が一括して行うことを内容とするのが通常である。

違法な形態に該当しない船舶管理契約は、このように船舶所有者等から運航を委ねられた者が、一定の期間、船舶の具体的な航行に関し一切の義務を負う契約であって、船舶の運航管理、船舶の保守管理、船員の配乗・雇用管理に関し一括して責任を負うものでなければならず、このような船舶管理契約が締結されていることが必要である。

なお、違法な形態に該当しないとされた船舶管理契約を締結している当該船舶管理会社が、受託した船舶管理業務のうち船員の配乗・雇用管理等の一部に関する再委託契約を子会社又は他社と締結した場合は、一括して船舶管理を行うものではないため違法な形態に該当しない船舶管理会社とは認めることはできない。

(2) 船舶管理契約に示された船舶管理行為を実態的に行っていること。

船舶管理契約は、船舶の航行に関し一切の義務を負う契約であるので、船員の配乗管理体制、船員の労務管理体制はもちろんのこと、船舶の運航管理、船舶の保守管理等について実態的な活動を行っている必要があり、これらの業務に関して運送行為を行う海運会社と事実上同等の体制が整備されている必要がある。

(3) 船員を雇用していること。

船員を雇用していることから、当然船員法等の法令が適用されることとなるので、船舶所有者(使用者)としての各種義務が生じることとなる。

特に実態面として、賃金の支払い、船員保険等の加入、人事面の管理等使用者としての基本的な義務と権利を遂行している必要がある。

(4) 船員を指揮命令していること。

船長を通じ、船員に対して指揮命令をしていること。

特に実態面として、労働時間や休日の管理、労働力の支配等使用者としての基本的な義務と権利を遂行している必要がある。

2.1.の要件を満たしていることのチェックポイント

船員労務供給事業に該当しない船舶管理会社の要件としては、船舶検査証書上の船舶所有者であって船舶管理を委託するもの(以下「委託者」という。)から運航を委ねられた者が、委託者に対し、船舶の運航管理、船舶の保守管理、船員の配乗・雇用管理に関し一括して責任を負うことを内容とする船舶管理契約が当事者間で締結されている必要がある。具体的には次の内容が船舶管理契約に含まれていることをチェックする。

船舶管理会社が委託者に対して当該契約の対象となる船舶に関し、船舶の運航管理、船舶の保守管理、船員の配乗・雇用管理に関して一括した責任を負う旨の規定が明記されていること。

さらに、当該船員について船舶管理会社が船員保険の付保を自己の名で行うとともに、雇入契約の成立等の届出が当該船舶管理会社を船舶所有者として行われていることが必要である。

別紙2

在籍出向について

在籍出向については、密接な関連会社との人事交流、技術協力等人事管理の手段として活用されているところであるが、出向する船員と出向元事業主との間の雇用契約関係は維持されたまま労務の提供は出向先事業主に行われることとなる。このため、船員に係る雇用と指揮命令に関する関係が複雑となることから、今般制度化される船員派遣との関係を踏まえつつ、船員職業安定法に抵触するおそれのない出向形態を以下のとおり整理した。

1.いわゆる在籍出向は、出向元事業主との間に雇用契約関係があるだけでなく、出向元事業主と出向先事業主との間の出向契約により、出向船員を出向先事業主に雇用させることを約して行われるものである。このように、在籍出向は、出向元及び出向先双方との二重の雇用契約関係が生じるのに対し、船員派遣は、派遣船員を派遣先事業主に雇用させることを約さずして行われるものであることから、派遣元とのみ雇用契約関係が存するものである。

在籍出向の場合、出向先事業主を船員法上の船舶所有者として雇入契約の成立等の届出が行われ、かつ、出向先事業主が給与の支払、船員保険の付保も自己の名で行うとともに、懲罰権の行使、就業規則の適用及び労働時間・休日等の変更等いわゆる指揮命令権を当該船員に行使する場合は、基本的に問題がないと判断できる。

これに対し、船員法上の船舶所有者と当該船員に対して指揮命令権を行使している者が異なる場合には船員労務供給に該当し、当該船員労務供給に事業性があるか否かを判断する必要がある。例えば、出向先事業主の船舶に乗り組む船員について、指揮命令権は出向先事業主が行使するものの当該船員の給与は出向元事業主が支払っている形態が考えられるが、このような場合であっても、出向が基本的に緊密な資本関係が存する等のグループ間の移動であって、次の①から④に掲げるような目的を有するものであることを雇入契約の成立等の届出の際のヒアリング等を通じて確認できた場合には船員労務供給事業に該当しないものとして取り扱うものとする。なお、この場合の雇入契約の成立等の届出を行う船舶所有者は、船員に給与を支払っている出向元事業主となる。(こうした確認には相当の時間を要することから、これを雇入契約の成立等の届出時に窓口で行った場合には、出航スケジュールに影響が生じることも予想されるため、事前に地方運輸局(神戸運輸監理部及び沖縄総合事務局を含む。)、同支局又は海事事務所の船員職業安定法事務担当課の確認を受けることが望ましい。)

① 船員を離職させることなく、関係会社において雇用機会を確保するため

② 技術指導のため

③ 出向の対象となる船員の能力開発の一環として実施するため

④ 企業グループ内の人事交流の一環として実施するため

2.なお、従来より関係通達に基づき行われてきた「船主団体内グループによる船員の相互配乗制度」については、その配乗実施体制が本通達中1.①の目的と類似した「船員の雇用安定」を目的とするグループ所属会社間におけるものであり、実質的な雇用関係としては、出向元事業主が船員法上の船舶所有者と認められてきたところである。今般、1.のように労務供給事業に該当しない在籍出向の形態について整理したことに伴い、この相互配乗についても「在籍出向」の形態の一つとして取扱うものとする。このため、「船主団体内グループによる船員の相互配乗制度」に関する関係通達(「内航労務協会及び一洋会の船主団体内グループによる船員の相互配乗制度の取扱いについて(昭和49年5月31日付け員労第378号)」、「船主団体全内航内グループによる船員の相互配乗制度の取扱いについて(平成3年4月1日付け海労第38号)」、「船主団体内グループによる船員の相互配乗制度の取扱いについて(平成3年4月1日付け海労第72号・海基第50号)」、事務連絡「船主団体内グループによる船員の相互配乗制度の取扱いについて(平成3年6月1日)」)は、この通達の施行に伴いすべて廃止するものとする。ただし、これらの通達の廃止の前に現に行われている船主団体内グループによる船員の相互配乗については、従前のとおり認めることとする。

(別添参考4)

○「船員職業安定法等の一部改正に伴う在籍出向等に関する基本的考え方について(平成17年2月15日付け国海政第157号)」の適用について

(平成17年2月18日)

(/国海政第161号/国海働第218号/)

(各地方運輸局海事振興部長・海上安全環境部長・神戸運輸監理部海事振興部長・海上安全環境部長・沖縄総合事務局運輸部長あて海事局船員政策課長・船員労働環境課長通知)

標記については、「船員職業安定法等の一部改正に伴う船舶管理会社及び在籍出向に関する基本的考え方について(平成17年2月15日付け国海政第157号)(以下「局長通達」という。)」により通達したところであるが、その取扱いに当たっては、下記に十分留意のうえ、遺漏なきを期されたい。

第1 雇入契約の成立の届出の際の基本的な確認の流れ

1 地方運輸局(神戸運輸監理部及び沖縄総合事務局を含む。以下同じ。)、運輸支局及び海事事務所の船員法事務担当課(以下「船員労働環境担当課」という。)は、船員法第37条の雇入契約の成立の届出に際し、次に掲げる船舶所有者が全て同一であるか否かをチェックすること。

① 船舶検査証書に記載されている船舶所有者(なお、船舶検査証書中「船舶所有者」欄に記載されている「船舶所有者、船舶管理人又は船舶借入人」が海員名簿第六表(以下「クルーリスト」という。)中「船舶所有者、船舶管理人及び船舶借入人の住所及び氏名又は名称」欄に転記されていることが確認できるものは、クルーリストで代用可。)

② クルーリスト中「船舶所有者、船舶管理人及び船舶借入人の住所及び氏名又は名称」欄に記載されている船舶所有者(以下「クルーリストの船舶所有者」という。)

③ クルーリスト中「船員を使用する者の住所及び氏名又は名称」欄に記載されている船舶所有者(以下「クルーリストの船員使用者」という。)

④ 雇入契約の成立の届出に係る雇入(雇止)届出書中「船舶所有者の住所及び氏名又は名称」欄に記載されている船舶所有者

⑤ 船員手帳の船員保険の欄に記載されている船舶所有者

上記のチェックを行った結果、全ての船舶所有者が同一である場合については、船員職業安定法関係では、問題がないので、その他の雇入契約の確認事項のチェックを行うこと。

なお、第2で定める処理がなされているものについては、上記①から⑤のチェックを行うことを要しない。

2 1に述べた5つの船舶所有者のうち、そのいずれかが異なる場合であって船員派遣事業者による船員派遣が行われていることをその理由とするとき以外のときには、船員労働環境担当課は地方運輸局、運輸支局及び海事事務所の船員職業安定法事務担当課(以下「船員労政担当課」という。)へ通報することとする。通報を受けた船員労政担当課は、船員労働環境担当課と連携し、届出者に対してヒアリングを行い、船舶所有者が異なる事情が船舶管理会社を活用した形態によるのか、在籍出向の形態によるのかを確認した上で、次のとおり、船員労政担当課はチェックをすること。なお、船舶管理会社、在籍出向のいずれによる場合でないときには、違法な船員労務供給の可能性が高いので、船員労働環境担当課は届出の受理を保留し、船員労政担当課はその是正を求めるとともに、関係者からの報告の徴収や関係事業場への立入検査の手続に移行すること。

(1) 船舶管理会社の場合

雇入契約の確認のために必要な書類として、雇入契約の届出に係る船員に関する船舶管理契約書の提示を求め(船舶安全法上の船舶所有者が裸傭船借入人の場合には、裸傭船契約書の提示も含む。)、「船員職業安定法等の一部改正に伴う船舶管理会社及び在籍出向に関する基本的考え方について」(平成17年2月15日付け国海政第157号)別紙1の1.に基づき、違法な船員派遣事業又は船員労務供給事業に該当しない船舶管理会社の要件に合致しているか否かをチェックすること。

具体的には、以下の内容をチェックすること。

① 当該船舶管理契約の対象となる船舶に関し、クルーリストの船舶所有者に対して、船舶管理会社がその船舶の運航管理、船舶の保守管理、船員の配乗・雇用管理に関して一括した責任を負う旨の規定が当該船舶管理契約書に明記されていること。

② 船舶管理会社が雇用する船員については、クルーリストの船員使用者、海員名簿第四表及び船員手帳の船員保険の欄において当該船舶管理会社を船員法上の船舶所有者として雇入契約の成立の届出がなされていること。

③ クルーリストの船舶所有者が裸傭船借入人の場合には、船舶管理契約が裸傭船借入人との間でなされていることを確認するとともに、裸傭船契約書においても船舶の運航及び保守管理を当該船舶管理契約の当事者である船舶管理会社以外の者が行う内容となっていないこと。

以上の内容に合致しない場合は、船員労働環境担当課は届出の受理を保留することとする。また、船員労政担当課はその是正を求めることとする。更に、上記①~③の書類による確認及びヒアリングにより、実態上も上記内容が担保されていることが疑わしい場合には、船員労政担当課は関係者からの報告の徴収や関係事業場への立入検査の手続に移行すること。

(2) 在籍出向の場合

雇入契約の成立の確認のために必要な書類として、雇入契約の成立の届出に係る船員に関する出向契約書の提示を求め、「船員職業安定法等の一部改正に伴う船舶管理会社及び在籍出向に関する基本的考え方について(平成17年2月15日付け国海政第157号)」別紙2の1に基づき、船員労務供給事業に該当しない在籍出向の要件に合致しているのか否かをチェックすること。

具体的には、以下の内容をチェックすること。

① 「緊密な資本関係が存する等のグループ間の移動」について

グループ間の移動か否かについては、事業者間の様々な連携があることから、一律にこの要件に該当するのかどうかを明確にすることは困難であるため、以下のような事例の場合には、グループ間の移動として扱っても問題ないが、それ以外の場合には、本省海事局船員政策課雇用対策室と協議すること。

○ 商法上の親会社・子会社関係(株式会社の総株主の議決権又は有限会社の総社員の議決権の過半数を有する会社とその対象会社)

○ 連結計算書類を作成している事業者関係

○ これまで通達により認められていた船主団体グループによる船員の相互配乗制度の対象の事業者

② 「次のような目的を有するものであること」について

以下の項目のうち、いずれかに該当する内容が出向契約書に明記されていることを確認すること。

i) 船員を離職させることなく、関係会社において雇用機会を確保するためのものであること。

(例として、出向契約を締結する目的として規定されることが考えられる。)

ii) 技術指導のためのものであること。

(例として、子会社設立後の運航の指導、設備の更新後の慣熟指導、船舶保安措置のグループ間での整合性の確保のための指導等を行うことが規定されることが考えられる。)

iii) 出向の対象となる船員の能力開発の一環として実施するものであること。

(例として、出向契約を締結する目的として規定される場合や、対象となる船員の具体的な業務とともに対象船員が能力を身につけるために出向先がとるべき措置が明記されることが考えられる。)

iv) 企業グループ内の人事交流の一環として実施するものであること。

(例として、出向契約を締結する目的として規定されることが考えられる。)

③ 出向船員に関しては、クルーリストの船員使用者、海員名簿第四表及び船員手帳の船員保険の欄において、出向元事業主が船員法上の船舶所有者として雇入契約の成立の届出がなされていること。

以上の内容に合致しない場合は、船員労働環境担当課は届出の受理を保留することとする。また、船員労政担当課はその是正を求めることとする。更に、上記①~③の書類の記述内容及び実態上も上記内容が担保されていることが疑わしい場合には、船員労政担当課は関係者からの報告の徴収や関係事業場への立入検査の手続に移行すること。

なお、極めて長期間の出向については、②の目的を逸脱している可能性があるため、慎重に取扱うこと。

更に、出向先事業主を船員法上の船舶所有者として雇入契約の成立の届出が行われ、かつ、出向先事業主が給与の支払、船員保険の付保も自己の名で行うとともに、懲罰権の行使、就業規則の適用及び労働時間・休日等の変更等いわゆる指揮命令権を当該船員に行使する場合であって、船舶を所有する者と同一のときには、基本的に問題がないが、船舶を所有する者と異なるときには、違法な形態の船舶管理会社に該当しないかどうか確認するため、(1)のチェックを行うこととする。

第2 雇入契約の成立の届出前の相談への対応

第1における確認には、相当の時間を要することも想定されることから、出航スケジュール等に影響が生じること等をさけるために、船舶所有者に対して可能な限り雇入契約の成立の届出の前に船員労政担当課で確認を受けるよう指導しているところである。したがって、船員労政担当課に船舶所有者が事前の確認のために訪れた場合には、雇入契約の成立の届出に必要な書類のうち、第1に記載した船舶検査証書、クルーリスト、雇入契約の成立の届出に係る雇入(雇止)届出書、船員手帳及び海員名簿を提示させ、第1と同様のチェックを行うこと。

上記のチェックの結果、問題がないことが確認された場合には、船舶所有者が提示したクルーリストの余白に「官庁印」(様式第1号)を押印し、届出時に窓口に提示するよう指導すること。

第3 指定市町村において第1に定める確認を行う場合の体制

1 指定市町村の窓口における雇入契約の成立の届出に際しての確認の流れは、基本的には第1で定めた内容と同様であり、まず、船舶検査証書に記載されている船舶所有者、クルーリストの船舶所有者、クルーリストの船員使用者、雇入契約の成立の届出に係る雇入(雇止)届出書中「船舶所有者の住所及び氏名又は名称」欄に記載されている船舶所有者及び船員手帳の船員保険の欄に記載されている船舶所有者が全て同一であるか否かを確認すること。

2 1に述べた5つの船舶所有者名のうち、そのいずれかが異なる場合であって船員派遣事業者による船員派遣が行われていることを理由とするとき以外のときにおいて、第2で定める船員労政担当課の「官庁印」が押印されているものについては、船員職業安定法関係では問題がないので、その他の雇入契約の成立の確認事項のチェックを行うこと。

3 1に述べた5つの船舶所有者のうち、そのいずれかが異なる場合であって2に該当しないときには、最寄の船員労働環境担当課に連絡し、船舶所有者が提示したクルーリスト及び船員手帳の船員保険の欄の写し、並びに船舶管理契約書又は出向契約書をFAXにより送信すること。連絡を受けた船員労働環境担当課は、船員労政担当課に通報し、船員労政担当課は、FAXにより送信された書類の内容について第1の2に定める審査を行い(在籍出向の場合など、必要に応じて電話により船舶所有者からのヒアリングも行うこと。)、問題がない場合には、船員労政担当課が船員労働環境担当課にその旨を伝え、船員労働環境担当課から届出を受理するよう指定市町村の窓口に連絡することとし、連絡を受けた当該指定市町村はクルーリストに「○○○運輸局に確認 印」を押印すること。なお、チェックの結果、問題がある場合には、船員労働環境担当課は指定市町村の窓口に連絡し、届出の受理を保留させる。届出を保留した事案については、船員労政担当課又は船員労働環境担当課がその是正を求めることとする。船員労政担当課は、必要な場合には、関係者からの報告の徴収や関係事業場への立入検査の手続に移行する。

様式第1号