添付一覧
○診療報酬明細書等の点検調査について〔健康保険法〕
(平成17年11月10日)
(庁保険発第1110003号)
(地方社会保険事務局長あて社会保険庁運営部医療保険課長通知)
(公印省略)
政府管掌健康保険及び船員保険の診療報酬明細書等(以下「レセプト」という。)の点検調査業務については、「診療報酬明細書等の点検調査について」(平成16年8月4日庁保険発第0804001号)別添「診療報酬明細書等の点検調査要綱(以下「点検調査要綱」という。)」に基づき実施しているところであるが、今般、「診療報酬明細書等の審査事例等の取扱いについて」(平成17年11月10日庁保険発第1110002号)が通知されたことに伴い、点検調査要綱を別添のとおり改正することとしたので通知する。
別添
「診療報酬明細書等の点検調査要綱」の改正
診療報酬明細書等の点検調査要綱第5第2項を次のように改める。
第5 関係部署・関係機関との連携等
2 支払基金における再審査において、明らかに容認である事例にもかかわらず容認とされない事例等については、適正な再審査が行われるよう、支払基金と定期的に意見交換を行うこと。
なお、それによっても改善されない事例等については、「診療報酬等明細書等の審査事例等の取扱いについて」(平成17年11月10日庁保険発第1110002号)に基づき実施すること。
診療報酬明細書等の点検調査要綱
第1 目的
診療報酬明細書及び調剤報酬明細書(以下「レセプト」という。)の点検調査等について、効率的な点検調査の実施を図るとともに、保険医療指導事務との連携を的確に行うことにより、医療費適正化対策を推進することを目的とする。
第2 レセプト点検調査等の実施
1 基本的事項
(1) レセプト点検調査は、資格点検、外傷点検、医療費通知等の事務的な業務と、内容点検の専門的な業務とに区分し、係の所掌を明確にすること。
(2) レセプト点検指導員、レセプト点検専門員及びレセプト点検調査員(以下「レセプト点検指導員等」という。)の事務は、「レセプト点検指導員等設置要綱」に基づき縦覧点検を重点とした内容点検調査とし、職員とともに毎月行うこと。
(3) 補助職員を置く場合は、係毎に固定することはせず、各係間において調整し効率的に業務を行うこと。
2 資格点検調査
(1) 「診療報酬明細書等の点検業務の効率化について」(平成5年9月22日庁文発第2799号)に基づく事務処理機器を使用した処理方法(以下「事務処理機器を使用した処理方法」という。)により出力される「不突合レセプト一覧表」と該当レセプト等を照合する方法により行う。
(2) 「不突合レセプト一覧表」の出力は、「不突合レセプト集計表」を参考に、次に掲げる不突合原因について行うものとする。
(不突合原因コード)
コード |
不突合原因 |
01 |
郡市区なし |
02 |
事業所なし |
03 |
被保険者なし |
04 |
生年誤り |
05 |
性別誤り |
06 |
受診者特定できない |
07 |
本人/家族区分誤り |
08 |
取得前受診・疑い |
09 |
取得前受診・事故 |
10 |
喪失後受診・疑い(未) |
11 |
喪失後受診・疑い(済) |
12 |
喪失後受診・事故(未) |
13 |
喪失後受診・事故(済) |
14 |
事業所記号番号変更 |
15 |
老人保健該当・疑い |
16 |
老人保健該当・事故 |
17 |
老人保健非該当・疑い |
18 |
老人保健非該当・事故 |
19 |
継続療養(疾病) |
20 |
継続療養(疾病、期間) |
21 |
有効期限後受診(未) |
22 |
有効期限後受診(済) |
23 |
パンチ・記載ミス疑い |
24 |
認定外家族・疑い(未) |
25 |
認定外家族・疑い(済) |
26 |
認定外家族・事故(未) |
27 |
認定外家族・事故(済) |
28 |
自己負担割合情報誤り |
(3) 健康保険法第3条第2項及び船員保険分の資格点検調査は、次により行う。
なお、健康保険法第3条第2項及び船員保険の疾病任意継続に該当するレセプトの資格確認については、健康保険日雇特例被保険者原票及び船員保険給付記録台帳を管理する社会保険事務所(船員保険事務を取り扱う地方社会保険事務局を含む。)で確認することとし、その後の事務処理は事務センターで行うこととする。
① 全数点検調査及び事故カード(リスト)等の作成
イ 全数点検調査は継続する3か月に1回以上行うこととし、各都道府県社会保険診療報酬支払基金(以下「支払基金」という。)から送付されたレセプトの本人及び家族分の全数について行うこと。
なお、ロにより作成する事故カード(リスト)等を活用して既往の診療月分にかかるレセプトについても行うこと。
ロ 傷病が転帰するまでには傷病の程度が軽度のものを除き一般的に相当の月を要し、複数の診療月分に及ぶ可能性があるので、全数点検調査の結果、事故となった本人分レセプトのうち、当該診療月前又は当該診療月後のレセプトについても事故がある可能性のものについては、「レセプト点検調査事故カード」(別紙1)の例に準じた事故カード(リスト)を作成すること。
② 抽出点検調査
抽出点検調査は全数点検調査以外の各月に行うこととし、支払基金から送付されたレセプトのうち上記事故カード(リスト)等に記録された者に係るレセプトを抽出して行うこと。
3 内容点検調査
レセプト情報管理システムにおいて作成される集計表などを活用して、内容点検調査等の充実を図るとともに、実施する際には以下の点に留意すること。
① 社会保険庁が達成すべき目標に掲げる目標のほか、各社会保険事務局においてもレセプト点検調査に係る目標を掲げ、その目標を達成するための方策を講じること。
② レセプト点検指導員等の点検調査状況を的確に把握すること。
③ 定期的に、再審査等請求結果より容認となったレセプトの事例集の作成を行うとともに、医療機関ごとの再審査等請求状況、容認率、再審査請求理由等の分析を行い、医療機関毎に点検の着眼点を設け、また、請求誤りの多い医療機関に重点を置くなどの効果的・効率的な内容点検調査方法の企画を行うこと。
(1) 縦覧点検調査
単月点検調査を行ったレセプトについて、保険医療機関単位に、連続した複数月レセプトを有する者について、原則3か月の縦覧点検調査を行う。
なお、次の内容に留意した点検調査を行う。
① 継続した診療内容に関する疑義の有無
② 漫然と長期にわたる診療内容の有無
③ 診療内容が過剰と思われるもの(各種処置、検査、投薬および検査材料。)
(2) 単月点検調査
点検対象レセプト及び重点点検項目について、次の内容に留意した点検調査を行う。
① 傷病名等から見て1件あたりの診療点数が著しく高いもの
② 健保本人、老人医療及び被扶養者との診療内容の格差が著しいもの
③ 診療内容、請求内容から見て傷病名が著しく多いもの
④ レセプトに訂正、追加の多いもの
⑤ 傾向診療のあるもの(画一的処置、検査、投薬の有無。)
⑥ 診療内容が過剰と思われるもの(各種処置、検査、投薬および検査材料。)
(3) 健康保険法第3条第2項及び船員保険分の内容点検調査は、上記(1)及び(2)に準じて行う。
4 点検調査後の処理
(1) 照会・調査
① レセプト点検調査の結果、本人及び保険医療機関等に照会・調査の必要があるものは、文書により行う。
② 本人及び保険医療機関等からの回答については、当該レセプトと照合する。
③ 実地調査を必要とする場合は、状況に応じて出張調査等を行う。
(2) 再審査等請求等
① 事故レセプトについては、支払基金に対し再審査等請求を行う。
なお、具体的な事務処理は、「政府管掌健康保険及び船員保険の診療報酬明細書等に係る再審査等請求について」(平成8年2月15日庁文発第608号)に基づくものとする。
② 事故レセプトのうち、本人に責がある場合は、本人に返還措置を行う。
第3 第三者行為等保険事故の求償等
1 外傷点検調査
傷病届の提出、事故表示のあるレセプトのほか外科、整形外科を標榜する保険医療機関等の次のレセプトについて、負傷原因等の調査を行う。
(1) 事業所の業態から見て業務上の疑いのある傷病に係るレセプト
(2) 通勤災害の疑いのある傷病に係るレセプト
(3) 第三者行為による事故の疑いのある傷病に係るレセプト
2 求償事務
求償事務の取扱については、「政府管掌健康保険の自動車損害賠償責任保険等に対する求償事務の取扱について」(昭和43年7月25日庁保険発第8号)等に基づき処理するものとする。(具体的な事務処理は、解説書「健康保険における第三者行為保険事故の求償の実務(平成14年改訂版)」を参照。)
なお、調査・確定された求償額の徴収等事務については、事務センターからの「債権発生通知書」に基づき、当該社会保険事務所において行う。
3 関係機関との連携等
第三者行為等に係るレセプトの事故調査等を効率的に行うため、関係機関等との連携を強化する。
(1) 労働基準局又は労働基準監督署との情報交換体制の整備
(2) 保険医療機関に対し、交通事故に係るレセプトに交通事故表示の徹底を要請
(3) 損害保険会社等との情報交換体制の整備
4 外傷点検調査後の処理
(1) 第三者行為に係るものは、求償額を確定し、社会保険事務所の歳入徴収官へ「債権発生通知書」を送付する。
(2) 業務上、通勤災害に係るものは、本人に返還措置を行うこととし、社会保険事務所の歳入徴収官へ「債権発生通知書」を送付する。
なお、保険医療機関に責がある場合は、支払基金に対し再審査等請求を行う。
(3) 事故レセプトの対象外となったレセプトは内容点検調査を行う。
第4 レセプト点検指導員等の資質の向上等
レセプト点検指導員等は、診療報酬請求事務能力認定試験等の有資格者の活用を進めるとともに、指導医療官、保険給付審査医師(非常勤)、外部講師等を活用し、縦覧点検を重視した職場内での研修を定期的に実施し、資質の向上に努めること。
第5 関係部署・関係機関との連携等
1 社会保険事務局内において定期的に会議を開催することにより、縦覧点検における対象医療機関の選定、点検時の着目点等の意見交換を行い、効率的・効果的な内容点検の実施に努めること。
2 支払基金における再審査において、明らかに容認である事例にもかかわらず容認とされない事例等については、適正な再審査が行われるよう、支払基金と定期的に意見交換を行うこと。
なお、それによっても改善されない事例等については、「診療報酬明細書等の審査事例等の取扱いについて」(平成17年11月10日庁保険発第1110002号)に基づき実施すること。
3 レセプト点検調査において診療報酬等の請求に不正等の疑義が認められる医療機関については、保険医療機関等の指導監査担当部署に積極的に情報提供を行うことにより、医療費の適正化に努めること。
4 保険医療機関の監査等において自主返還措置となった事例などの傾向の情報を活用し、効果的なレセプト点検調査を実施すること。
5 社会保険事務所において、傷病手当金等の請求書から第三者行為による事故の疑いがあるものが発見された場合は、社会保険事務所と事務センター間で十分連携を図り、その処理をする。
第6 その他関連する業務処理等
1 医療費通知
12か月分に相当する量のレセプト及び2ヶ月分に相当する量の船員保険レセプト、柔道整復師の施術に係る療養費支給申請書を通知の対象とする。
なお、具体的な事務処理は、「政府管掌健康保険及び船員保険の被保険者等の指導について」(平成16年3月8日庁保発第0308001号)に基づき処理するものとする。
2 事業所等指導
レセプト点検調査結果等を活用し、資格喪失後受診、業務上、通勤災害に係る受診及び重複受診等が多い事業所等に対して、文書又は各種調査等の機会を活用して適正受診の指導を行う。
3 社会保険事務所と関連する業務
社会保険事務所における、高額療養費、傷病手当金等の請求に係る審査事務及び健康保険法第98条の資格喪失後の継続給付に係る決定事務などでレセプトが必要な場合は、社会保険事務所からの依頼に基づき、該当レセプトの写しを事務センターから送付する。
第7 その他
1 レセプト情報管理システムの運用開始後は、レセプト画像を収録した電子媒体(DVD)を原本とする。
また、レセプト情報管理システムからプリントアウトされたレセプトについても原本として取り扱うものとする。
2 レセプト点検調査の結果については、「診療報酬明細書点検調査結果報告書作成要領」(別紙2)に基づき「診療報酬明細書点検調査結果報告書」(別紙3)を作成し、社会保険庁運営部医療保険課長あて報告すること。
3 レセプト点検調査の具体的な実施については、「レセプト点検調査業務処理手順書」(別添1)及び「内容点検事務要領(点検の着眼点)」(別添2)を参考に、地方社会保険事務局毎に「レセプト点検調査事務取扱要領」等を策定して行うこと。
(別紙等)省略
(参考)