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○健康保険法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備等に関する政令の施行について

(平成18年8月30日)

(庁保発第0830001号)

(地方社会保険事務局長あて社会保険庁運営部長通知)

(公印省略)

標記については、健康保険法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備等に関する政令(平成18年政令第286号)が平成18年8月30日に公布されたことに伴い別添のとおり厚生労働省から当職あて通知されたところであるので、その内容について了知の上、その運用に当たっては十分に留意するとともに、遺憾なきを期されたい。

○健康保険法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備等に関する政令の施行について

(平成18年8月30日)

(保発第0830001号)

(社会保険庁運営部長あて厚生労働省保険局長通知)

(公印省略)

健康保険法等の一部を改正する法律(平成18年法律第83号)(以下「法」という。)が平成18年6月21日に公布され、同日以降順次施行されることとされ、これに伴い、健康保険法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備等に関する政令(平成18年政令第286号)(以下「令」という。)が本日公布され、平成18年10月1日から施行されることとされたところである。

これらの改正の趣旨及び内容は下記のとおりであるので、その運用に当たっては十分に留意の上、遺憾なきを期されたい。なお、今回の取扱いについて、被保険者、保険医療機関、事業主、船舶所有者その他関係機関に対し、周知方特段の御配慮を願いたい。

第1 改正の趣旨及び主な内容

健康保険法等の一部を改正する法律の施行に伴い、健康保険法(大正11年法律第70号)等の規定の委任を受けて、地域型健康保険組合の一般保険料率の認可に関する事項、保険医療機関等の指定の拒否等に係る法律、埋葬料の金額の引下げ、国民健康保険における保険財政共同安定化事業に係る交付金及び拠出金の算定に関する事項等について定めるとともに関係政令の規定を整備するほか、医療費の負担が家計に与える影響等を踏まえ高額療養費の算定基準額等を見直すとともに、最近の分娩料の状況等を踏まえ出産育児一時金の金額を引き上げる等の改正を行うものである。

第2 改正の具体的内容

Ⅰ 健康保険法施行令の一部改正(令第1条関係)

1 健康保険組合関係(第25条の2及び第29条関係)

(1) 地域型健康保険組合関係(第25条の2関係)

地域型健康保険組合が、不均一の一般保険料率の決定の認可を受けようとするときは、合併前の健康保険組合を単位として不均一の一般保険料率を設定することとし、当該一般保険料率並びにこれを適用すべき被保険者の要件及び期間について、組合会において組合会議員の定数の三分の二以上の多数により議決しなければならないこととしたこと。

(2) 指定健康保険組合関係(第29条関係)

①経常収支が赤字、かつ②積立金の少ない状態が継続する等の財政窮迫又は小規模という現行の指定健康保険組合の指定要件について、小規模であっても財政が安定している組合があること及び財政窮迫になるおそれがある組合に対する重点的な指導を行う観点から、①経常収支が赤字、かつ②積立金の少ない状態に至った等の財政窮迫という要件に改めることとしたこと。

2 保険医療機関等の指定の欠格事由等(第33条の3及び令附則第2条関係)

(1) 保険医療に携わることが適当ではない保険医療機関若しくは保険薬局、保険医若しくは保険薬剤師又は指定訪問看護事業者を制度の対象から除外することができるよう、その欠格事由や取消要件として、「健康保険法その他国民の保健医療に関する法律の規定により罰金の刑に処せられたとき」等を法定したことを受け、その対象法律として、①医療保険に関する法律である国民健康保険法、老人保健法等、②医療機関等を規制する法律である医療法、薬事法、③医療従事者を規制する法律である医師法、薬剤師法、保健師助産師看護師法等を定めることとしたこと。

(2) 保険医療機関若しくは保険薬局、保険医若しくは保険薬局又は指定訪問看護事業者の指定の拒否等に係る新たに法定化した規定は、令の施行の日(以下「施行日」という。)前にした行為により刑に処せられ、これらの規定に該当することとなった者に係る当該刑、施行日前にした違反によりこれらの規定に該当することとなった者に係る当該違反、施行日前に健康保険法第95条各号のいずれかに該当したことにより施行日前若しくは施行日以後に指定訪問看護事業者に係る同法第88条第1項の指定を取り消された者に係る当該取消しについては、適用しないこととしたこと。

3 現金給付関係(第35条、第36条、第40条及び令附則第3条関係)

(1) 埋葬料及び家族埋葬料関係(第35条及び第40条関係)

埋葬料に要する費用は、標準報酬と連動させる必然に乏しいこと等から、政令で定める金額を支給することと法定化したところであるが、現金給付の重点化の観点や国民健康保険における葬祭費の平均額が約5万円であること等を踏まえて、埋葬料及び家族埋葬料の金額を5万円と定めることとしたこと。

(2) 出産育児一時金及び家族出産育児一時金関係(第36条関係)

① 出産育児一時金及び家族出産育児一時金の金額の引上げ(第36条関係)

出産育児一時金及び家族出産育児一時金の金額について、少子化対策の観点や最近の分娩料の状況等を踏まえ、35万円と定めることとしたこと。

② 出産育児一時金及び家族出産育児一時金の受取代理

被保険者等が窓口で出産費用を支払う負担を軽減する観点から、保険者は、被保険者が医療機関等を受取代理人として出産育児一時金及び家族出産育児一時金を事前に申請し、医療機関等が被保険者に代わって出産育児一時金及び家族出産育児一時金を受け取る仕組みの導入に努められたいこと。

(3) 施行日前に死亡し又は出産した被保険者若しくは日雇特例被保険者若しくはこれらの者であった者又は被扶養者に係る健康保険法の規定による埋葬料及び同法第100条第2項(同法第105条第2項において準用する場合を含む。)若しくは第136条第3項の規定によりなされる給付若しくは同法の規定による家族埋葬料又は同法の規定による出産育児一時金若しくは家族出産育児一時金の額については、なお従前の例によることとしたこと。

4 高額療養費関係(第41条から第43条まで関係)

(1) 自己負担限度額等の見直し(第41条から第43条まで関係)

医療を受ける者と受けない者の負担の公平性等の観点から、低所得者や高齢者に配慮した上で、所得に応じ、家計に与える影響等を勘案した上で、算定基準額(自己負担限度額)等を以下のとおり見直すこととしたこと。(別添「高額療養費制度における自己負担限度額等の見直し」参照)

① 70歳未満の者

(i) 一般所得者

○算定基準額(自己負担限度額)引上げ

・定額部分:72,300円→80,100円

・多数該当:40,200円→44,400円

(ii) 上位所得者

○上位所得者の範囲見直し

・標準報酬月額:56万円→53万円

○算定基準額引上げ

・定額部分:139,800円→150,000円

・多数該当:77,700円→83,400円

② 70歳以上の者

(i) 一般所得者

○算定基準額引上げ

・入院:40,200円→44,400円

(ii) 現役並み所得者

○算定基準額引上げ

・入院:

定額部分 72,300円→80,100円

多数該当 40,200円→44,400円

・外来: 40,200円→44,400円

③ 人工透析患者

70歳未満の上位所得者

○算定基準額引上げ 10,000円→20,000円

(2) 適用の利便性の向上について

高額療養費の支給に当たっては、その適用の利便に資するため、保険者において把握している高額療養費として支給される額等の情報の被保険者等への通知に努められたいこと。

Ⅱ 保険医療機関及び保険薬局の指定並びに特定承認保険医療機関の承認並びに保険医及び保険薬剤師の登録に関する政令の一部改正(令第2条関係)

特定承認保険医療機関の廃止に伴い、特定承認保険医療機関の承認手続き等について定める規定の削除等を行うこととしたこと。(題名、第1条等関係)

Ⅲ 老人保健法施行令の一部改正(令第3条関係)

(1) 入院時生活療養費の創設に伴い、読替え規定の追加、費用の請求に係る都道府県知事への届出等の規定の追加等を行うこととしたこと。(第7条の2、第7条の3等関係)

(2) 高額医療費について、Ⅰの4の(1)の②に準じた改正を行うこととしたこと。(第14条から第16条まで関係)また、高額療養費の支給については、制度の不知等による申請漏れを防止する観点から、文書その他の方法をもって、その趣旨、申請手続等について、加入者に対し、周知徹底に努められたいこと。さらに、Ⅰの4の(2)と同様、加入者の適用の利便性の向上に努められたいこと。

Ⅳ 国民健康保険法施行令の一部改正(令第4条関係)

(1) 入院時生活療養費の創設に伴い、読替え規定の追加等を行うこととしたこと。(第28条の3の2等関係)

(2) 高額療養費について、Ⅰの4の(1)に準じた改正を行うこととしたこと。このうち、上位所得者の基準は、年間所得670万円超から600万円超としたこと。(第29条の2から第29条の4まで関係)また、高額療養費の支給については、制度の不知等による申請漏れを防止する観点から、文書その他の方法をもって、その趣旨、申請手続等について、被保険者に対し、周知徹底に努められたいこと。さらに、Ⅰの4の(2)と同様、被保険者の適用の利便性の向上に努められたいこと。

(3) 平成19年度から平成21年度までにおける市町村の保険料の基礎賦課額の基準について、保険財政共同安定化事業の交付金及び拠出金を追加することを規定したこと。(附則第3条の2関係)

(4) 出産育児一時金の支給について、Ⅰの3の(2)の②と同様、出産育児一時金の受取代理の導入に努められたいこと。

Ⅴ 国民健康保険の国庫負担金及び被用者保険等保険者拠出金等の算定等に関する政令の一部改正(令第5条関係)

高額な医療費の発生が市町村国保財政に与える影響を緩和するため、平成18年度から平成21年度の各年度において、レセプト1件あたり80万円を超える医療費を対象として、国及び都道府県による財政支援と各市町村の拠出により都道府県単位で高額医療費共同事業が実施される。

平成18年10月からは、市町村間の保険料の平準化と国保財政の安定化を図るため、高額医療費共同事業と併せて、レセプト1件あたり30万円を超える医療費を対象として、都道府県単位で各国民健康保険団体連合会(以下「連合会」という。)が徴収した各市町村の拠出金を基に、当該連合会の会員である市町村(以下「会員市町村」という。)に対し交付金を交付する保険財政共同安定化事業が実施されるため、その交付金及び拠出金の算定方法につき以下のとおり必要な規定の整備を行うこととしたこと。(附則第5条から第11条まで関係)

(1) 保険財政共同安定化事業交付金の算定方法

保険財政共同安定化事業において、各連合会が会員市町村に交付する交付金の額は、当該会員市町村の被保険者が同一の月にそれぞれの病院等について受けた療養に係る費用の額が30万円を超えるものののうち、8万円を超え80万円までの部分の額の合算額の100分の59に相当する額としたこと。

各会員市町村の保険財政共同安定化事業交付金=レセプト1件当たり30万円を超える医療費の8万円を超え80万円までの部分の額の合算額×100分の59

(2) 標準保険財政共同安定化事業拠出金の算定方法

保険財政共同安定化事業において、各会員市町村が連合会に拠出する拠出金の額(当該事業に関する事務の処理に要する費用を除く。)は、①と②の合算額(標準保険財政共同安定化事業拠出金)を基準として、連合会が定めることとしたこと。

① 当該年度における会員市町村の保険財政共同安定化事業基準拠出対象額((1)により算定した保険財政共同安定化事業交付金の額をいう。)の合計額の2分の1に、各会員市町村の前々年度及びその直前の二箇年度の一般被保険者に係る保険財政共同安定化事業基準拠出対象額を合算した額を会員市町村の前々年度及びその直前の二箇年度の一般被保険者に係る保険財政共同安定化事業基準拠出対象額を合算した額で除して得た率を乗じて得た額

② 当該年度における会員市町村の保険財政共同安定化事業基準拠出対象額の合計額の2分の1に、前々年度の各会員市町村の一般被保険者の数を前々年度の会員市町村の一般被保険者の数の合計で除して得た率を乗じて得た額

標準保険財政共同安定化事業拠出金=連合会の全会員市町村の保険財政共同安定化事業基準拠出対象額の合計額×(1/2)×(各会員市町村の保険財政共同安定化事業拠出対象額の総額(前々年度及び直前の二箇年度の合算)/連合会の全会員市町村の保険財政共同安定化事業拠出対象額の総額(前々年度及び直前の二箇年度の合算))+連合会の全会員市町村の保険財政共同安定化事業基準拠出対象額の合計額×(1/2)×(各会員市町村の一般被保険者数(前々年度)/連合会の全会員市町村の一般被保険者数(前々年度))

(3) 保険財政共同安定化事業事務費拠出金の算定方法

各会員市町村が連合会に拠出する保険財政共同安定化事業に関する事務の処理に要する費用に係る拠出金の額は、当該年度における連合会の保険財政共同安定化事業に関する事務の処理に要する費用の見込額に前々年度の各会員市町村の一般被保険者の数を前々年度の会員市町村の一般被保険者の数の合計で除して得た率を乗じて得た額を基準として、連合会が定めることとしたこと。

各会員市町村の保険財政共同安定化事業事務費拠出金(基準)=連合会の保険財政共同安定化事業に関する事務処理に要する見込額×(各会員市町村の一般被保険者数(前々年度)/連合会の全会員市町村の一般被保険者数(前々年度))

Ⅵ 船員保険法施行令の一部改正(令第6条関係)

(1) 高額療養費について、Ⅰの4の(1)に準じた改正を行うこととしたこと。(第9条から第11条まで関係)また、高額療養費の支給については、制度の不知等による申請漏れを防止する観点から、文書その他の方法をもって、その趣旨、申請手続等について、加入者に対し、周知徹底に努められたいこと。さらに、Ⅰの4の(2)と同様、加入者の適用の利便性の向上に努められたいこと。

(2) 葬祭料及び家族葬祭料並びに出産育児一時金及び家族出産育児一時金について、Ⅰの3の(1)及び(2)に準じた改正を行うこととしたこと。また、施行日前に死亡し又は分べんした被保険者若しくは被保険者であった者又は被扶養者に係る船員保険法の規定による葬祭料若しくは家族葬祭料又は出産育児一時金若しくは家族出産育児一時金の額については、なお従前の例によることとしたこと。(第12条、第25条、第26条及び附則第9条関係)また、出産育児一時金及び家族出産育児一時金の支給について、Ⅰの3の(2)の②と同様、出産育児一時金の受取代理の導入に努められたいこと。

(3) 付加給付の支給(第3条の2及び令附則第7条関係)

船上、海外等での死亡の場合は移送等に費用を要する等の船員としての特殊性に鑑み、職務外の事由による葬祭料及び家族葬祭料に併せて以下の額の付加給付を行うこととしたこと。

① 葬祭料付加金 被保険者の資格喪失当時の標準報酬月額の2ヶ月分から葬祭料の額を控除した額

② 家族葬祭料付加金 被保険者の資格喪失当時の標準報酬月額の2ヶ月分の100分の70から家族葬祭料の額を控除した額

また、死亡の日が施行日以後である被保険者及び被保険者であった者並びに被扶養者について適用することとしたこと。

Ⅶ その他関係政令の一部改正

国家公務員共済組合法施行令、地方公務員等共済組合法施行令等につき、健康保険法施行令の改正に準じて、高額療養費に関する事項等について改正を行うとともに、その他関係政令につき、所要の改正を行うこととしたこと。