○「ねんきん特別便」の実施について
(平成19年12月12日)
(庁保発第1212001号)
(地方社会保険事務局長あて社会保険庁運営部長通知)
(公印省略)
年金記録問題への対応については、平成19年7月5日に「年金業務刷新に関する政府・与党連絡協議会」によって取りまとめられた「年金記録に対する信頼の回復と新たな年金記録管理体制の確立について」(以下「政府・与党取りまとめ」という。)に基づき、公的年金に対する国民の信頼を回復するための諸施策について、政府全体で取り組んでいるところである。また、その取組みを計画的かつ着実に進めるため、平成19年8月に「年金記録適正化実施工程表(厚生労働省・平成19年9月10日改定)」(以下「工程表」という。)を策定・公表し、この工程表に沿って計画的に実施しているところである。
これらの取組みのうち、すべての受給者及び被保険者の方々への加入履歴等のお知らせ(「ねんきん特別便」)について、下記のとおり実施することとしたので通知する。
なお、この実施に伴う事務の詳細については、別途所要の通知を行うこととしているので、その旨ご了知願いたい。
記
1 「ねんきん特別便」の経緯及び趣旨
(1) 基礎年金番号に未統合の記録が生じた経緯
平成9年1月に基礎年金番号制度を導入するに当たっては、その時点で受給者と被保険者の方全員に基礎年金番号を付番し、これを通知したところである(約1億156万人)。その際、まず、55歳以下の基礎年金番号を付番された方について、他の年金制度に加入していたことがあるか又は他の手帳記号番号を持っておられるかどうかを確認した上で、基礎年金番号を付番した記録とその他の記録について、氏名・性別・生年月日による名寄せを行い、これらの結果、統合の可能性があると思われた方(約1818万人)に対して照会を行い、その結果、これに基づいて基礎年金番号への統合を進めた(平成19年3月までに約927万人の記録を統合)。
その後、受給権者の再裁定、裁定請求、58歳到達時の加入履歴送付による年金相談時の加入履歴確認等により、基礎年金番号への統合が進められたが、平成19年6月時点で約5095万件(平成19年7月末時点で約4871万件)が基礎年金番号に未統合の記録となっている。
(2) 政府・与党取りまとめ及び工程表
この「5000万件」の記録については、平成19年7月5日の政府・与党取りまとめ及び工程表において、以下の対策を講ずることとされたところである。
① 名寄せを行うためのプログラムを開発した上で、基礎年金番号に未統合のオンライン記録とすべての年金受給者及び被保険者の方々のオンライン記録とのコンピュータ上での名寄せを実施する。
② その結果、記録が結び付く可能性のある方に対して、平成20年3月までを目途に、「ねんきん特別便」として、その旨と加入履歴等をお知らせする。その後、ご本人から、記録の訂正に関し、電話相談や来訪相談により社会保険庁にお申し出いただくことを通じて、基礎年金番号の下に記録を結び付ける。
③ その他のすべての受給者及び被保険者の方々に対して、平成20年4月から10月までを目途に、改めてご自身の年金記録が適正に管理されているかを確認していただくため、当初平成20年度より本格実施を予定していた「ねんきん定期便」に代えて、「ねんきん特別便」として加入履歴をお知らせする。具体的には、受給者の方々に対しては、平成20年4月と5月を目途に優先して加入履歴を送付し、被保険者の方々に対しては、平成20年6月から10月までを目途に、順次、加入履歴を送付する。
④ なお、名寄せの実施と並行して、別途、死亡者や一時金受給者の状況等、「5000万件」の記録の内容を解明して公表する。
(3) 「ねんきん特別便」の目的
このように、「ねんきん特別便」は、社会保険庁において名寄せ・お知らせ等の積極的な取組みを行うことを基本としつつ、年金受給者及び現役加入者の方々から相談・照会を通じた協力を得るという両面からの対応を進めることにより、基礎年金番号に未統合の年金記録の統合を進め、正しく年金をお支払いすることを目的とするものである。
2 「ねんきん特別便」の実施内容
(1) 記録が結び付く可能性のある方に対する「ねんきん特別便」について
基礎年金番号に未統合の年金記録と基礎年金番号で管理されているすべての記録との名寄せの結果、記録が結び付く可能性のある方を対象に、加入履歴、年金加入記録照会票及び確認はがき、説明用リーフレット等を送付する。
送付後の事務処理については、年金受給者の方については、年金加入記録に訂正等の必要がある場合は、訂正等の内容を年金加入記録照会票に記入の上、最寄りの社会保険事務所において手続きしていただくこととしている。また、被保険者及び被保険者であった方については、年金加入記録に訂正等の必要がある場合は、訂正等の内容を年金加入記録照会票に記入の上、社会保険業務センターに返送していただき、その後、社会保険業務センター及び社会保険事務所等において調査・確認及び記録整備等を行うこととしている。事務の詳細については、別途所要の通知を行うこととしているので、各社会保険事務局におかれても、これらを踏まえて事務処理体制に万全を期すること。
(2) 結び付く可能性のある記録がない方に対する「ねんきん特別便」について
上記2(1)の対象者以外の方に対しては、年金受給者の方々については、平成20年4月と5月を目途に送付し、被保険者の方々については、平成20年6月から10月までを目途に、順次送付する。事務の詳細については、実施前に所要の通知を行うこととしているので、各社会保険事務局におかれても、これらを踏まえて事務処理に万全を期すること。
3 「ねんきん特別便」の送付に伴う相談体制
「ねんきん特別便」を受け取られた方が、相談していただく際には、まずは電話相談をご利用いただき、基本的なご質問に対しては即時対応すること、また、来訪相談については、最寄りの社会保険事務所や巡回相談での相談窓口をご利用いただくことを基本とすることとする。
これらの相談に対して確実に対応するため、必要な人員・体制を確保・整備すること、また、相談員の質を確保する措置として、マニュアルに習熟するための研修を徹底すること等を通じて、相談体制の質・量の両面にわたり万全を期すること。
さらに、市区町村や社会保険労務士とも連携をとり、相談体制の重層的な充実を図ること。
4 「ねんきん特別便」の広報
「ねんきん特別便」の実施に当たっては、政府広報の活用を中心に、適切な時期に、ポイントを絞った広報を集中的に実施するとともに、社会保険庁ホームページ等により、未統合の年金記録の処理等についての最新の進捗状況を国民に提供することとしているが、各社会保険事務局におかれても、報道機関等へ適宜情報提供を行うとともに、社会保険事務局・社会保険事務所の広報誌及び社会保険事務局ホームページ等により積極的に広報を実施し、また、市町村及び関係団体の協力をいただきながら、幅広く重層的な周知・広報活動を実施すること。
5 その他
「ねんきん特別便」の実施に伴い、「被保険者記録の事前通知及び年金見込額の提供の実施について」(平成16年2月16日庁保発第0216001号)に基づく「58歳到達者に対する被保険者記録の事前通知」及び「ねんきん定期便の実施の一部前倒し(35歳通知)について」(平成19年3月2日庁保発第0302001号)に基づく「ねんきん定期便の実施の一部前倒し(35歳通知)」については、平成19年12月から「ねんきん特別便」に統合して実施することとする。
[参考1]
[参考2]