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○国家公務員又は地方公務員を労働者委員に任命する場合について

(昭和29年10月2日)

(徳島県労働部長あて労働省労政局労働法規課長通知)

9月20日労第282号で御照会のありました標記の件については、法律論としては左記の通りでありますが、国家公務員や地方公務員のように地方労働委員会の管轄下にない職員、就中公労法、地方公労法の適用もない一般の公務員を、地方労働委員会の労働者委員に任命するということは、一般的には好ましいこととは考えられませんので、これらの職員を右委員に任命するかどうかについては、当該職員の人物及び識見並びに組合の組織状況、勢力関係その他当該都道府県の事情を十分御勘案の上、知事の責任で決定されるべきことでありますが、十分に慎重に考慮される必要があると思います。

御質問1及び2について

労働委員会の労働者委員となりうる資格要件については法律としては、労働組合法第19条第8項〔編注 現行法では第19条の4〕の欠格条項に関する規定は別として、それ以外には別段規定がありません。従って、右の委員となるためには、必ずしも労働組合法上の労働者であることは必要でないと考えます。

御質問3について

国家公務員も地方公務員も、法律上労働委員会の労働者委員になる資格がないわけではありません。

しかし、一般職の国家公務員や地方公務員は、国家公務員法第101条、地方公務員法第35条によって、それぞれ、職務専念義務が課せられており、また、報酬を得て他の事業を行うについては、国家公務員法第104条又は地方公務員法第38条の制限があります。

結局、一般職の国家公務員や地方公務員は、これらの法律の規定に従って、人事院〔編注 現在は、昭和44年政令第265号により、一般職の職員の給与等に関する法律の適用をうける職員で行政俸給表(一)の9級以下の職員、給特法の適用をうける職員等の兼業許可に関しては内閣総理大臣は当該職員の所轄庁の長に委任しうることとされ、これ以外の職員については、内閣総理大臣が許可することとされている。〕や所轄庁の長又は任命権者の許可を受ければ、地方労働委員会の委員となることは差支えないわけです。(但し、この場合も、委員として現実に職務を行うには、前記の職務専念義務にてい触しない範囲内でなければなりません。)。

御質問4について

(1) 国家公務員法上の職員団体の専従者

国家公務員法上の職員団体の業務にもっぱら従事する一般職の国家公務員は、当該休暇の期間中は職務に従事することができない(昭和24年5月9日人事院規則15―3、職員団体の業務にもっぱら従事するための職員の休暇第3項)〔編注 昭和40年の国家公務員法一部改正によって追加された同法第108条の6により、職員が所轄庁の長の許可を受けて登録職員団体の業務にもっぱら従事する期間は休職扱いを受けることとされ、また、これに伴い人事院規則3―5は廃止された。〕ので、これらの者が地方労働委員会の委員となっても国家公務員法第101条の職務専念義務にてい触することはあり得ませんが、これらの職員についても同法第104条の適用がありますから、それらの者が報酬を得て地方労働委員会の委員となるについては、同条の定める手続きに従って、人事院及び所轄庁の長〔編注 現在は、昭和44年政令第265号により、一般職の職員の給与等に関する法律の適用をうける職員で行政職俸給表(一)の9級以下の職員、給特法の適用をうける職員等の兼業許可に関しては内閣総理大臣は当該職員の所轄庁の長に委任しうることとされ、これ以外の職員については内閣総理大臣が許可することとされている。〕の許可を受けなければなりません。

(2) 地方公務員法上の職員団体の専従者

地方公務員法上の職員団体の業務にもっぱら従事する一般職の地方公務員に関しては、その職務専念義務については、同法は特別に規定せず、これを各地方公共団体の条例に委ねています。〔編注 昭和40年の地方公務員法一部改正によって追加された同法第55条の2より、職員が任命権者の許可を受けて登録職員団体の業務にもっぱら従事する期間は休職扱いを受けることとされたので、このような職員が地労委の委員となっても職務専念義務違反の問題は生じない。〕

但し、報酬を得て地方労働委員会の委員となることについては、地方公務員法第38条により任命権者の許可を受けなければならないことは、一般の職員と同様であります。

(参考)

1 労働委員会の労働者委員となる資格要件は、法令に制限されている以外、労働組合から推せんを受けたものは誰でもよいか、或は労組法上の労働者(労組法第3条)でなければならないか。ならないとすればその解釈根拠について。

2 労組法上の労働者でなければならないとすれば、公務員法の適用を受ける職員は労組法上の労働者でないから適格性を欠くと解してよいか。

3 別に制限がないとすれば、公務員法の適用を受ける労働者は、国家公務員法第101条、地方公務員法第35条によって夫夫職務専念の義務が課せられているが、国家公務員法第104条及び地方公務員法第38条の規定によって、国家公務員の場合は、人事院及びその職員の所轄庁の長、地方公務員の場合は、任命権者の許可を得た場合就任出来ると解してよいか。

(注)昭和24・4・8法審回発2822

4 なお、公務員法上の職員団体の専従者についても同様に解してよいか。

(昭和29年9月20日 徳島県労働部長発)