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○日常生活自立支援事業の実施について

(平成19年5月15日)

(社援地発第0515001号)

(各都道府県・各指定都市民生主管部(局)長あて厚生労働省社会・援護局地域福祉課長通知)

標記については、「セーフティネット支援対策等事業の実施について」(平成17年3月31日社援発第0331021号社会・援護局長通知)が改正され、これまで実施してきた「地域福祉権利擁護事業」について、利用促進の観点から、下記のような実施要領の変更を行ったところである。

実施要領の変更に伴い、当該通知の別添7「日常生活自立支援事業実施要領」による事業の実施に当たっての留意事項等を別紙のとおり取りまとめ、地方自治法(昭和22年法律第67号)第245条の4第1項の規定に基づく技術的助言として新たに示すので、御了知のうえ、管内社会福祉協議会等に対して周知徹底をお願いする。

なお、平成13年8月10日社援地発第21号本職通知「地域福祉権利擁護事業の実施について」は廃止する。

(実施要領の主な変更点とその趣旨)

1.事業名称の変更

一層の利用が促進されるよう、従来より分かりにくいとの指摘があった事業名称を「日常生活自立支援事業」と改めた。

2.援助内容

本事業で付随的に行われてきた「定期的な訪問による生活変化の察知」について、重要な機能として認められることから、援助内容として明示した。

3.相談体制の強化

専門員による利用者の掘り起こしや、初期相談から契約に至るまでのきめ細かな相談支援が重要な役割を担っていることにかんがみ、専門員は原則として社会福祉士、精神保健福祉士等であって、一定の研修を受けたものであることとした。

別紙

1 事業の委託等について

(1) 事業の実施主体である都道府県社会福祉協議会及び指定都市社会福祉協議会(以下「実施主体」という。)が事業の一部を市区町村社会福祉協議会等に委託した場合には、定期的に業務の実施状況等について委託先から報告をうける等、委託先に対する指導監督に遺漏のないよう配慮する。

なお、委託先からの再委託は原則として認められない。

(2) 本事業の委託を受けない市区町村社会福祉協議会に対して、本事業にかかる相談があった場合には、実施主体へ相談内容を引継ぐなど、本事業への協力が得られるようあらかじめ依頼する。

2 「契約締結判定ガイドライン」について

実施要領4の(1)のウの(ア)に示す「契約締結判定ガイドライン」については、別添「契約締結判定ガイドライン」によることを基本とする。

なお、実施主体の判断により、事業の効果的実施等のため創意工夫することは差し支えない。

「契約締結判定ガイドライン」に基づく契約締結能力の調査については、訪問調査により調査項目①から⑮について調査する。本人の回答により、「契約締結審査会へ」、「中止」に該当する場合においても、本人による契約の拒否が明確な場合を除き、①から⑮全てについて調査する。

契約締結能力の判定は、訪問調査の結果と、必要に応じて行う専門家の意見聴取結果を総合的に考慮して判断する。

3 事業の対象者について

本事業による援助の対象者は、居宅において生活している者に限られるものではなく、社会福祉施設の入所者又は病院等の入院患者についても対象となるものである。なお、社会福祉施設入所者又は入院患者に対する援助に当たっては、当該社会福祉施設又は医療機関と十分な連携を図る。

4 援助の内容について

(1) 日常的金銭管理を行う場合に、本人に多額の預貯金があるときは、日常生活費のみを取り扱う専用口座(最高50万円程度を目安とする。)を設けることとし、生活支援員の取り扱う金銭を一定の金額の範囲内に限定する。

(2) 定期的な訪問においては、本人の生活変化等について十分留意する。

5 契約書様式について

本事業における利用契約書の様式については、各実施主体において定める。

((注)利用契約書の様式については、社会福祉法人全国社会福祉協議会が策定した「2004年地域福祉権利擁護事業推進マニュアル(以下「マニュアル」という。)が参考となるものである。)

6 職員について

「事業の企画、運営にあたる職員」及び「専門員」は、原則専任の常勤雇用とすること。ただし、人材の確保が困難である場合等やむを得ない事情があるときは経過的に非常勤雇用となることもやむを得ないが、この場合は、その理由、今後の対応等を記載した書面をもって都道府県及び指定都市の担当課を経由して当課に協議することとする。

また、「生活支援員」については実施主体(委託先を含む)と雇用契約を結ぶものとし、採用に当たっては次に留意されたい。

○ ホームヘルパー等のサービス提供者が生活支援員となることについて

ホームヘルパーが生活支援員となると、ホームヘルパーとして行っている家事援助等のサービスに関して、本人の苦情を述べる生活支援員としての役割を十分に果たし得ないため、ホームヘルパーが生活支援員となることは避けられたい。

本人にサービスを提供する職種を本務とする他の者も同様である。

ただし、過疎地等で他に人材が求められず、ホームヘルパー等がその立場を離れて、担当世帯以外に限って行う場合はこの限りではない。

○ 民生委員が生活支援員となることについて

民生委員には、生活支援員と連携しながら、現在の見守り活動をさらに活発に行っていただくよう、協力方お願いされたい。

ただし、過疎地等で他に生活支援員が求められない場合は、民生委員が生活支援員となることもやむを得ない。この場合は、当然民生委員としてではなく、実施主体の職員として雇用されることとなる。

7 契約締結審査会について

契約締結審査会は、原則5名以上の委員(運営適正化委員会の委員との兼務は不可)で構成するものとし、その開催回数は、最低月1回とする。

ただし、案件数により開催の必要がない場合はこの限りではない。

また、設置に当たっては、マニュアルに規定される「契約締結審査会設置要綱」を参考として設置要綱を定める。

8 保険制度への加入について

本事業の信頼性をより高めるため、事業実施に当たっては保険制度への加入について配慮する。

9 専門員及び生活支援員の研修について

(1) 実施要領5の(1)のオで、「専門員は、原則として高齢者や障害者等への援助経験のある社会福祉士、精神保健福祉士等であって一定の研修を受けた者であること」としている。「一定の研修」とは、社会福祉法人全国社会福祉協議会が実施する実践力強化研修会や新任者研修会等を指すものであるので、各実施主体は、専門員の当該研修会への参加について配慮されたい。

また、各実施主体においても、専門員の資質向上のための研修の実施について配慮されたい。

(2) 生活支援員に対しては、社会福祉法人全国社会福祉協議会が作成した「生活支援員現任研修マニュアル」、「地域福祉権利擁護事業実践テキストブック」、「地域福祉権利擁護事業生活支援員標準研修プログラム指導者用マニュアル」等を参考に各実施主体が創意工夫のうえ積極的に研修を実施する。

10 その他

本事業の実施に当たっては、マニュアル等を効果的に活用する。

別添 「契約締結判定ガイドライン」

(別紙のとおり)

別添

[契約締結判定ガイドライン]

1.事業の実施にあたっての専門員および生活支援員の留意点

日常生活自立支援事業は、判断能力が十分でない人が福祉サービスを利用する際に、その自己決定をできる限り尊重し、その意思の実現を援助することを趣旨とした事業です。したがって、専門員および生活支援員の役割は、利用者が自分にとって、もっともふさわしいサービスを選択し、そのサービスを最大限活用できるよう助言し、援助を行うものです。

このため、判断能力を欠く利用者に代わって判断したり、専門員や生活支援員が必要だと考えるサービスであっても、利用者の意向にそわないことを強制するものではありません。

また、サービス利用者、あるいは、これからサービスを利用したいと希望する人が、助言や援助を行っても自分の意思を決定できないか、決定された意思に従って援助することが明らかに利用者の利益にかなわないと考えられるような場合は、必要に応じて、他の有効な援助手段を利用できるよう助言、援助を行なうことも専門員や生活支援員の重要な使命です。

契約締結能力を確認するのに先立って、専門員は次の①~③を確認して下さい。

また、いったん契約を締結し、サービスを開始した後も、生活支援員は①~③の留意点を常に確認し、疑問が生じたときは、専門員と相談し、契約締結審査会の助言を求めて下さい。

[専門員および生活支援員の留意点]

① この事業は、サービス利用者が、社会福祉協議会と対等な立場で契約を結ぶことによって成り立つものであり、この契約締結判定ガイドラインは、サービス利用者本人に、契約を結ぶ能力があるかどうかを評価するためのものです。

したがって、第一に、サービス利用者は、契約の一方の当事者である社会福祉協議会に対して、契約の解除も含め、嫌なことは嫌だと述べる能力がなければならないということに留意する必要があります。

第二に、必要な能力の程度は、どのようなサービスを提供するかによって異なります。特に、この契約によって提供されるサービスが福祉サービスの利用援助に限定される場合(以下、「類型Ⅰ」といいます。)と、これに加え日常的な金銭管理などその他のサービスを含む契約(以下、「類型Ⅱ」といいます。)の場合とで、契約締結判定ガイドラインの運用が異なりますので留意して下さい。

第三に、契約を締結する時点で、契約に必要な能力があると判断されても、近い将来、その能力を失う可能性が高い利用者に対しては、能力喪失後も利用者の状況に応じた援助が確実に行なわれるよう、成年後見制度の利用を含め適切な方法を選択するよう援助する必要があります。認知症などの場合は、それまでの状態の推移から判断して、契約締結後、急速な能力の低下が予測されることがありますが、このようなサービス利用者との契約は、専門家の意見を聴取し、十分な検討をする必要があります。

② サービス利用者の思考や判断が幻覚、妄想などの病的な体験にしばしば大きく影響されている場合など、利用者の意思に従うことが困難であるような事態があらかじめ予測されるときや、本人に生活能力が著しく欠けているのに、本人にはそうした自覚がなく、本人の意向に反してでも必要なサービスを導入せざるをえないような事態が予測されるような場合には、他の有効な援助手段を活用するように努めて下さい。

③ このサービスの利用者の判断能力が低下し、支援計画に基づく援助のみでは十分な援助ができない場合、利用者本人が解除をした場合などで、サービスが終了すると直ちに本人やその周囲の関係者に、切迫した危険や著しい不都合が生じると予測される場合には、他の有効な援助手段を活用するように努めて下さい。

2.契約締結判定ガイドラインを使用する場面

必要な能力の程度は、契約の内容、すなわち、どのようなサービスを提供するかによって異なります。

契約締結判定ガイドラインにおいては、以下の2類型に契約締結能力の判断をします。

ガイドラインにおける契約締結能力の類型

類型Ⅰ:福祉サービス(社会福祉法等に定める社会福祉事業等)の利用援助に限定された契約内容(福祉サービスの利用料の支払いも含む)

類型Ⅱ:類型Ⅰに加え、日常的な金銭管理サービス、書類等の預かりサービスを含む契約内容(施設入所者あるいは入院患者の金銭管理等を代行する場合を含む)

3.判定のプロセス

契約が有効に成立するためには、本人がその内容をきちんと理解していることが必要となります。そこで、この契約締結判定ガイドラインでは、次のようなプロセスをとって、利用希望者の契約締結能力を判定することとしています。

まず、契約内容が理解できる大前提として、一般的に、ごく基礎的なことが理解できているかどうか、また、そのことを伝えられるかどうかを確かめます。この段階がクリアーできないときは、より難しい内容である契約内容の理解は望めないからです。

次に、自分の現状がわかっているかどうかを確かめます。これがわからないようですと、仮に「預金の出し入れをしてもらう」ということが抽象的にわかったとしても、預金の出し入れを頼むことについて真の意味が納得できているとはいえないからです。

そして、具体的にこの契約内容についての理解を確かめます。

それぞれの段階の目的をよくわきまえて、適切な判断を行うようにしなければなりません。

具体的な利用希望者の契約締結能力の判定の流れは、初回の訪問調査を行ったのちに、1週間程度の期間をおいて再度訪問調査を行うしくみとなっています。訪問調査は、専門員が利用希望者をインタビューする形式で行います。また、必要に応じて専門家の意見を聴取し、本人へのインタビュー結果と合わせて、総合的に判断します。

判定のプロセス

<Ⅰ.訪問調査>

1.自己紹介(自分の立場や役割を話し、コミュニケーションの能力を評価する)

2.事業の説明(パンフレットなどを用いて概要を説明する)

3.インタビュー(ガイドラインにそって、インタビューを行い、「契約締結判定ガイドラインの記入様式」に回答を記入する)

4.契約書・支援計画(案)づくり

5.専門家への意見照会(同意をもらう)

6.手続きの説明

<Ⅱ.1週間後に再度訪問>

7.意思の持続の確認

8.契約書(支援計画を含む)の締結

4.調査および評価項目

専門員による、インタビュー調査および評価項目は以下の通りです。

調査および評価項目一覧

【コミュニケーション能力について】

①意思表示能力

②理解能力

【契約の意思について】

③契約発意者の確認

④契約の意思確認

【基本的情報・見当識について】

⑤基本的情報・見当識の確認

【生活状況の概要、将来の計画、援助の必要性について】

⑥日常生活の概要

⑦社会生活の概要

⑧将来の予測、計画

⑨福祉サービスの利用意思確認

⑩日常生活自立支援事業利用意思の再確認

【契約内容の理解について】

⑪契約書・支援計画案の提示

⑫苦情の申立てに関する説明

⑬解約

【専門家の意見照会について】

⑭専門家への意見照会に関する同意のとりつけ

【記憶、意思の持続について】

⑮記憶、意思の持続確認・契約意思の再確認

【3ヶ月後の施行状況および継続の意思について】

⑯サービス施行状況の確認

⑰継続の意思確認

5.面接調査を実施する際の留意点

1) 面接調査についての説明

専門員は、インタビューを開始する前に、契約締結判定ガイドラインに基づいた面接調査を行うことを利用者に説明します。説明する内容は、面接調査の目的、専門員の守秘義務などです。調査終了後に、専門員だけでは利用者の契約締結能力を判断することが難しいことがわかった場合には、契約締結審査会の利用について説明をします。

インタビューの前に利用者に伝えること

①面接調査の目的

「あなたがご利用を希望されている事業は、あなたと私ども社会福祉協議会が契約を結んで行うものです。このため、あなたが契約の当事者となるために、これからいくつかの質問をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。」

②専門員の守秘義務

「私ども社会福祉協議会は、あなたから教えていただいた個人の情報を外に漏らしてはいけない義務があります。この調査を行ったことで、あなたのお名前やお話になった内容が外に漏れることはありませんので、ご安心ください。」

③書き取りについて

「これからお聞きするお話を正確に記録するために、この場で書きとめさせていただいてよろしいですか。」

※断られた場合には、専門員はインタビューの内容を記憶し、後に事務所で書き起こしてください。

※インタビューの内容を記録する際には、なるべく利用者の話した言葉どおりに逐語的に記録するようにしてください。回答が得られない場合には、そのときの様子を記録するようにします。

2) インタビューにあたっての留意点

専門員は、インタビューを行う際には、話し方や接し方について、次のことに留意してください。

話し方や接し方の留意点

●ゆっくりと話してください。

●はっきりと話してください。

●落ち着いた声(たとえば低めの声)で話してください。

●利用者の回答や発言をさえぎらないでください。

●回答を催促したりしないで、時間を制限せずに回答を待ってください。

●利用者が聞き返した場合や、利用者から回答が得られない場合には、質問をゆっくりと繰り返したりするなど質問のし方を工夫してください。(この結果、回答がない場合には、その旨を記載してください。)

●契約締結判定ガイドラインでは、標準的な文章や話し言葉による質問文にしていますが、その土地の言葉や方言などを使って、利用者にわかりやすい表現にするようにしてください。

●契約締結判定ガイドラインの質問の趣旨を踏まえて、利用者が質問に対して具体的なイメージをもつことができるように、言葉を補足しながら説明するなどの工夫も行ってください。

3) 本人の個々の回答への判断について

契約締結判定ガイドラインでは調査項目ごとに回答の選択肢を用意しています。例えば、「利用希望者は、専門員に、自分の意思を表示することができるか確認してください」という調査項目には、「a,可能→先へ進む」「b,細かい情報を伝えられない→契約締結審査会へ」「c,不可能→中止」といった選択肢が設けられています。

このため、本人の回答によっては、契約締結審査会に審査を依頼する必要が生じたり、「インタビューを中止する」に該当する場合がありますが、このような場合でも、まず、全ての調査項目を実施してください。全ての調査項目についての本人の回答を総合的に考慮し、本人との契約を行う、あるいは、契約締結審査会に審査を依頼するなどの判断を行います。

4) 訪問回数について

初回の訪問で調査する項目は、必ずしも1回の訪問で終わらせる必要はなく、本人の状況に応じて数回にわたって実施してもよいものです。特に、契約締結判定ガイドラインにある、「6) 現在の生活状況の概要、将来の計画、援助の必要性に関する認識」については、詳細に聞ける場合には時間がかかることが予想されます。

5) 立会人がいる場合の留意点

専門員が利用希望者と初めて面接調査を行う場合、専門員と利用希望者は初対面であることが多いと見込まれます。

このため、利用者が日頃から信頼している、家族、民生委員、近隣住民などに立ち会ってもらうことが、面接調査の進行を円滑にし、今後の専門員と利用者との間の信頼関係の構築にも資するものと考えられます。

この場合、立会人には、本人への面接調査の妨げとならないように次のことを伝えます。

立会人に伝えること

●このインタビューは、利用者ご本人からお答え頂くことがとても重要です。

●利用者ご本人が答えることをさえぎらないようにしてください。

●利用者ご本人の回答を誘導するようなご発言はさけてください。

●利用者ご本人の回答が事実や立会人の思いと違っていても、その場で訂正したりしないでください。

●利用者ご本人が、立会人に話しかけた場合にお答えになることや、ご本人の理解を助けるための発言はしていただいてかまいません。

6.契約締結判定ガイドライン

[契約締結前の訪問調査]

訪問調査を行う前に、あらかじめ収集された基本的情報を頭に入れてください。

1) 自己紹介

●まず、自己紹介(自分の立場や役割を話す)をして、挨拶をして下さい。

●その際に、申し込みを受けて本日訪問するにいたった経緯を必ず説明して下さい。

「こんにちは、私は、◇◇社会福祉協議会から派遣された××と申します。

◇◇社会福祉協議会は、この地域のみなさんが、福祉のサービス(具体的に例示)を利用しやすいようにお手伝いをするというサービスをしています。

今回、○○さんから、この制度を利用したいというお申し出があったのでお話をうかがいに参りました。このことについては、ご存知でいらっしゃるでしょうか?」

2) コミュニケーションの能力の概略評価

●以下、利用希望者の反応に応じて説明をしたり、こちらから近況を質問したりして下さい。リラックスしてもらえるように、難しい話は後回しでかまいません。

●最初の挨拶や雑談を通じて、利用希望者のコミュニケーションの能力の概略を評価して下さい。

①利用希望者は、専門員に、自分の意思を表示することができるか確認して下さい。

a,可能[口頭・筆談・手話・その他:         ]→先へ進む

b,細かい情報を伝えられない[その理由:       ]→契約締結審査会へ

c,不可能→中止

②利用希望者は、専門員など、他の人から提供される情報を理解することができるか確認して下さい。

a,可能[口頭・筆談・手話・その他:         ]→先へ進む

b,細かい情報を伝えられない[その理由:       ]→契約締結審査会へ

c,不可能→契約締結審査会へ

●①が「c,不可能」の場合はこの制度を利用することは不可能ですので、これから先の評価は不要です。

●①が「a,可能」または「b,細かい情報を伝えられない」で、②が「c,不可能」の場合、何らかの方法で専門員の考えを利用希望者に伝達できるかどうか、専門家の意見などをきいて検討することになりますが、それまでの間、これより先の評価は中断します。

3) 契約の意思確認

●契約発意者は誰かを確認して下さい。

③「今回、お申し込みいただいたサービスは○○○○です(具体的に説明する)。この制度の利用を希望なさったのは、あなたご自身のお考えですか。それとも、どなたかのお勧めでしょうか?」

a,本人の希望→契約可能、4)へ進む

b,本人以外の人の希望→④の質問へ

④「△△さんに勧められたとのことですが、○○さんご自身は、この制度を利用するかどうか検討してごらんになるお気持ちがおありですか?」

a,この制度に関心を示し、拒絶がない→契約可能

b,発意者や専門員に言われるままにはいと答える

→類型Ⅰ:契約可能

→類型Ⅱ:契約締結審査会へ

c,意思が確認できない

→類型Ⅰ:契約締結審査会へ

→類型Ⅱ:契約になじまない

d,明確な拒否がある→中止

4) インタビュー(契約締結能力の判定)を行う際の事前説明

●これから、インタビューに入ることになります。

●このインタビューは、利用希望者の状況を評価しながら、同時に、この制度を利用するための契約を結ぶ能力があるかどうかを判定するものです。

●コミュニケーションが可能な場合、原則として、回答の有無に関わらず、すべての質問項目を指示通りに行って下さい。

●質問文は、意味を違えずに土地の言葉に直していただき、利用希望者にわかりやすいように、ゆっくり、はっきりと話して下さい。

●なお、このインタビュー時に、立ち会い人がある場合は、次のようにお願いをして下さい。

【立会人へ】

「これから○○さんにお話をうかがいます。試験をするわけではありませんから、○○さんのおっしゃることが正しくても正しくなくても、私から立会人の方にご質問申し上げたり、私が、立会人の方に○○さんへの助言をお願いするとき以外はお話にならないで下さい。ご希望があれば、立会人の方のお話を、このインタビューが終了した後でうかがうこともできます。」

【ご本人へ】

「これから、○○さんが、福祉サービス(想定されるサービスを具体的に例示する)を利用するときのお手伝いをするというサービスを、私たち社会福祉協議会の職員が、お引き受けすることができるかどうかの調査をさせていただきます。非常に立ち入ったこともおうかがいしますが、もしも、お答えになりたくない質問があれば、お答えになる必要はありません。私たちは、今日、お答えいただいた内容を、外へ漏らすことは決してありません。また、この事業をご利用いただく以外の目的では、お答えいただいた内容が使用されることも決してありません。わかりにくいところがありましたら、いつでも、遠慮なくおっしゃって下さい。」

5) 基本的情報の確認・見当識の確認

⑤基本的情報・見当識の確認

お名前を確認させていただけますか。(本人の指示に従って書く)

漢字はこれでよろしいですか。[     ]

a,ほぼ正確に答えられる

b,援助すれば、正確な答えに同意できる

c,見当違いな回答をし、修正できない

生年月日を教えていただけますか?[     ]

a,ほぼ正確に答えられる

b,援助すれば、正確な答えに同意できる

c,見当違いな回答をし、修正できない

そうすると、今、何歳でいらっしゃいますか?[     ]

a,ほぼ正確に答えられる

b,援助すれば、正確な答えに同意できる

c,見当違いな回答をし、修正できない

ご住所を確認させて下さい。[     ]

【施設入所者・入院患者の場合】今、どこで生活をしていらっしゃいますか?

a,ほぼ正確に答えられる

b,援助すれば、正確な答えに同意できる

c,見当違いな回答をし、修正できない

お電話の番号は?【施設入所者・入院患者の場合はこの質問は省略します】[     ]

a,ほぼ正確に答えられる

b,援助すれば、正確な答えに同意できる

c,見当違いな回答をし、修正できない

→以上の質問から判断して

a,ほぼ正確に答えられる→契約可能

b,援助すれば、正確な答えに同意できる→契約可能

c,見当違いな回答をし、修正できない→契約になじまない

6) 現在の生活状況の概要、将来の計画、援助の必要性に関する認識

●ここでは、生活の困難さに関する洞察があり、援助が必要であるという認識があるかどうかを判断することが目的です。

●細部の正確さにこだわる必要はありません。利用希望者の回答後、立会人がいればその意見、事前に専門員が得ている情報、その場で部屋の状態などを見回して得られた情報などが、ご本人の考えと異なる場合、その点を指摘して説明を求めて下さい。

⑥日常生活の概要

今の生活で、お困りのことはありますか?[     ]

a,ほぼ正確に答えられる

b,援助すれば、正確な把握ができる

c,見当違いな回答をし、修正できない

→ないと答えたときは、具体的な質問をして下さい。

【ただし、施設入所者・入院患者の場合は、これ以上たずねる必要はありません。】

具体的な質問は、例えば、

お掃除や、ゴミ出しはどうですか?[     ]

a,ほぼ正確に答えられる

b,援助すれば、正確な把握ができる

c,見当違いな回答をし、修正できない

お食事の準備はどうなさっていますか?[     ]

a,ほぼ正確に答えられる

b,援助すれば、正確な把握ができる

c,見当違いな回答をし、修正できない

お風呂はどうしていらっしゃいますか?[     ]

a,ほぼ正確に答えられる

b,援助すれば、正確な把握ができる

c,見当違いな回答をし、修正できない

→以上の質問から判断して

a,ほぼ正確に把握している→契約可能

b,援助すれば、正確な把握ができる→契約可能

c,見当違いな回答をし、修正できない→契約締結審査会へ

⑦社会生活の概要

ご近所づきあいでのご苦労はないですか【施設入所者・入院患者の場合は省略します】

[     ]

a,ほぼ正確に答えられる

b,援助すれば、正確な把握ができる

c,見当違いな回答をし、修正できない

役所の手続き等で、お困りになることはないですか?[     ]

a,ほぼ正確に答えられる

b,援助すれば、正確な把握ができる

c,見当違いな回答をし、修正できない

銀行や郵便局などで預金・貯金の出し入れはどうですか?[     ]

a,ほぼ正確に答えられる

b,援助すれば、正確な把握ができる

c,見当違いな回答をし、修正できない

【上記2つの質問については施設入所者・入院患者の場合にも、そのまま質問してください。特に、銀行や郵便局の手続きに関連して、施設への支払い、通帳等の保管など、その人にとっても問題となっている事柄を具体的にあげて、援助を必要としていることを認識しているかどうかを確認してください。】

→以上の質問から判断して

a,ほぼ正確に把握している→契約可能

b,援助すれば、正確な把握ができる→契約可能

c,見当違いな回答をし、修正できない→契約締結審査会へ

⑧将来の予測、計画

これから先の生活についてはどうお考えですか。今後も、住みなれたこの地域で生活されたいですか?[     ]

a,ほぼ正確に答えられる

b,援助すれば、正確な把握ができる

c,見当違いな回答をし、修正できない

収入の面で不安はありませんか?」[     ]

a,ほぼ正確に答えられる

b,援助すれば、正確な把握ができる

c,見当違いな回答をし、修正できない

→高齢者の場合

このまま、ここで生活をしていらっしゃるご予定ですか?[     ]

a,ほぼ正確に答えられる

b,援助すれば、正確な把握ができる

c,見当違いな回答をし、修正できない

→以上の質問から判断して

a,ほぼ、正確に答えられる→契約可能

b,援助すれば、妥当な答えに同意できる→契約可能

c,見当違いな回答をし、修正できない→契約締結審査会へ

⑨高齢者、障害者福祉サービスの利用意思確認

「さきほどあげてくださったようお困りの点については、このような(福祉サービスのメニューを具体的に例示)福祉サービスが利用できると思いますが、利用される、あるいは、検討してごらんになるお気持ちがおありなのですね?」

【施設入所者・入院患者の場合には、入所・入院生活を援助するために必要な事柄のみを具体的に提示して回答を得ることができればよいです。】

a,ある→契約可能

b,意向がはっきりわからない→契約締結審査会へ

c,明確な拒否→中止

⑩日常生活自立支援事業の利用意思の再確認

「さきほどお話ししたように、私ども社会福祉協議会では、契約によって、こうしたサービスの利用の申し込みや業者の選択、料金の支払い等をお手伝いしたり、アドバイスしたりするという仕事をしています。

○○さんは、この制度をご利用になるおつもりがあるのでしたね。」

【施設入所者・入院患者の場合には、入所・入院生活を援助するために必要な事柄のみを具体的に提示して回答を得ることができればよいです。】

a,利用したい、検討したい→契約可能

b,意向がはっきり分からない→契約締結審査会へ

c,明確な拒否→契約に馴染まない

7) 契約内容の理解

●特定の契約内容とその結果について理解できるかどうかをみます。

●あらかじめ用意した支援計画案を必要に応じて、現場で修正し、これを本人に示して、その理解の程度を判定します。

●また1ヶ月あたりの大まかな費用負担についても説明します。「1ヶ月あたり、だいたい△円ぐらい」というふうに、具体的な金額を提示し、説明してください。

⑪支援計画案の提示

「これから、私ども社会福祉協議会が提供できるサービスと料金をお示しします。分からないところがあったら、途中で質問して下さい。とても、大事なことがらですから、おわかりにならなければ、何度でもおたずね下さい。」

a,概ね理解ができ、契約を希望する→契約可能

b,理解できているかどうか疑問

→類型Ⅰ:契約可能

→類型Ⅱ:契約締結審査会へ

c,理解できていない→契約になじまない

●利用者からの社会福祉協議会への苦情を申し立てる場合について、パンフレットを用いて、これを示しながら説明して下さい。

⑫苦情の申立てについて

「このサービスは、○○さんのご希望に添った福祉サービスの利用ができるようお手伝いするものですから、ご希望が反映されるようにご遠慮なく注文をして下さい。

実際は、本契約の後でご紹介する生活支援員という人がお世話をさせていただくことになりますが、生活支援員等のすることにご不満があるときは、まず、生活支援員に直接お話し下さい。

お話になってもだめだとお思いになるときは、(パンフレットに明記された苦情受付先)まで、電話かお手紙をください。ご自分でおっしゃりにくければ、民生委員や親しい人に頼んでもかまいません。」

a,概ね理解し、苦情を述べる能力がある→契約可能

b,理解しているかどうか疑問または、理解はあっても苦情が言えそうにない→契約締結審査会へ

c,理解できていない→契約になじまない

●契約解除の方法、契約が終了する場合に関する説明パンフレットを用意します。

⑬契約解除、終了について

「いったん契約を結んでも、○○さんには、契約をやめることができます。契約をやめる場合は、□□□□という方法があります。この他、ここに書いてあるような場合は、契約が終わりますが、その場合私ども社会福祉協議会は、引き続き○○さんに必要な援助ができるように手配をいたします。」

a,概ね理解し、契約解除手続きをする能力がある→契約可能

b,理解しているかどうか疑問、理解はあっても契約解除手続きができるかどうか疑問→契約締結審査会へ

c,理解できていない→契約になじまない

8) 専門家への意見照会に関する同意のとりつけ

●実際の照会状を示して説明してください。

⑭「この契約を結ばせていただく前に、主治医や施設の医師などに、ご意見をうかがいたいのですがよろしいでしょうか?」

ご同意いただけましたら、ご署名をして、印鑑を押して下さい。

a,同意が得られた→契約可能

b,同意が得られない→契約締結審査会へ

●1回目の調査が終わるまでに、家族の状況、収入等の本人に関する基本的事項を、本人もしくはまわりの人からあわせて聞く必要があります。

9) 再訪問についての説明

●初回の訪問はここまでです。1週間後の訪問について説明をします。

「長時間にわたってお疲れさまでした。

大事な契約ですから、パンフレットを置いてまいりますので、もう一度よくご検討下さい。相談なさる方があれば、十分ご相談ください。

私どもでも、今日のお話を検討して、この制度を利用して○○さんのお役に立てるかどうかを検討して参ります。

1週間後、もう一度お邪魔して、そのとき、○○さんのお考えを改めて確認させていただきます。

私どもの判断で、この制度のご利用は不適当だと判断したときは、その旨をお話してほかの有効な方法を提案させていただきます。」

[1週間後の訪問調査]

必ずしもちょうど1週間である必要はありません。

10) 記憶、意思の持続の確認・契約の意思の再確認

●もう一度、契約内容について説明します。費用負担、契約の終了についても触れます。

⑮「これが、○○さんと私ども社会福祉協議会の契約の内容です。先週、お話ししたとおりですが、覚えていらっしゃいますか。

念のために、もう一度説明させていただきます。」

a,覚えていて、契約希望を再確認できる→契約可能

b,覚えていたかどうか疑問だが、

再度説明することにより契約希望

→類型Ⅰ:契約可能

→類型Ⅱ:契約締結審査会へ

c,前回の訪問を全く覚えていない

→類型Ⅰ:契約締結審査会へ

→類型Ⅱ:契約になじまない

●以上で、契約締結判定ガイドラインにもとづくインタビューを終了します。

11) 専門家の意見聴取

必要に応じて、下記照会状により、利用希望者の主治医や本人が通所している施設の職員等に意見を聞きます。

照会状

この照会状は、○○さんが、福祉サービスの利用や日常的な金銭管理についての援助を受けるにあたって、その援助に関する契約(具体的には下記のとおり)を締結する能力があるかどうかを確認する際に、参考とさせていただくものです。照会状に記載された内容は、この契約の可否を判断するための限られた職員のみが読み、秘密の保持を徹底いたします。また、この照会状にお答えをいただくことに関しては、下記の通り、○○さんの同意をいただいております。つきましては、ご多忙のところ恐れ入りますが、下記の諸点についてご回答をお願いいたします。

 

◇◇社会福祉協議会    印

連絡先

【同意書】

私は、◇◇社会福祉協議会が、私について、下記の情報を照会することに同意します。

 

サービス利用者氏名    印

住所

【契約内容】

(具体的に列記する)

【照会事項】

(1) 現在、本人の意思にそって上記のような援助が計画されておりますが、この契約が本人または周囲の人に、著しい不利益をもたらす可能性はないでしょうか。

a,ない

b,ある[懸念される点を具体的に:                 ]

c,わからない[懸念される点を具体的に:              ]

(2) 最近1年間の変化と、現在の状態についてお知らせください。

a,1年前からほぼ安定している、または改善している

b,今は落ち着いているが、激しい動揺があった

[懸念される点を具体的に:                      ]

c,1年の間に、目に見えて能力が低下している

[懸念される点を具体的に:                      ]

d,その他[具体的に:                       ]

(3) 今後の見通しや、○○さんの援助をするとき、特に注意すべきこと等があれば、ご記入ください。

〔                                  〕

●契約締結判定ガイドラインの①から⑮までの各調査項目の回答結果と専門家の照会状を総合的に判断して、契約締結審査会へ審査や助言を依頼しなくても契約が可能だと判断した場合には、契約締結の手続きを行ない、サービスをスタートさせます。

●契約締結審査会に審査や助言を依頼する必要がある場合には、その旨を本人に説明して了解を得た後に、契約締結審査会に審査等を依頼し、審査結果を待ちます。

[本契約前の再評価]

契約締結から3か月後に、いったん開始したサービスがうまくいくかどうかを検討することになります。

12) 施行状況の検討と継続の意思確認

⑯3ヶ月後に生活支援員と専門員が協議して、サービス施行状況について検討して下さい。

a,サービス利用者は、簡単な援助によってほぼ合理的な意思を形成することができ、サービス利用者の意思に基づくサービス提供が可能→契約可能

b,サービス利用者の指示どおりに援助することが、しばしば、生活支援員に疑問を抱かせる→契約締結審査会へ

c,サービス利用者の指示どおりに援助することは、明らかにサービス利用者の生活を脅かす→中止

d,サービス利用者は自ら意思を形成することができない

→類型Ⅰ:契約締結審査会へ

→類型Ⅱ:中止

⑰専門員が再度、サービス利用者に面接して契約の継続の意思を確認して下さい。

a,契約のことを引き続き理解しており確認できる→契約可能

b,確認できたが、契約を理解しているかどうか疑問→契約締結審査会へ

c,契約持続の意思を確認できない

→類型Ⅰ:契約締結審査会へ

→類型Ⅱ:中止

d,合理的な理由を挙げて契約辞退を申し出る→中止

e,不合理な理由で契約辞退を申し出る→中止

13) フォローアップ

●生活支援員は、常に、「事業の実施にあたっての専門員および生活支援員の留意点」を確認しながら、日常の援助を行ないます。

●日常の援助を通じて、契約締結判定ガイドラインの「7) 契約内容の理解」以降を中心に用いながら、⑯の検討を繰り返して行い、疑問があれば、専門員と協議し、必要に応じての⑰の確認を行なってください。