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○労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律施行令の一部を改正する政令等の施行について

(平成19年12月14日)

(/医政発第1214004号/職発第1214001号/)

(各都道府県知事あて厚生労働省医政局長・厚生労働省職業安定局長通知)

「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律施行令の一部を改正する政令」(平成19年政令第376号。以下「改正政令」という。)、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律施行規則の一部を改正する省令」(平成19年厚生労働省令第149号。以下「改正派遣省令」という。)及び「医療法施行規則の一部を改正する省令」(平成19年厚生労働省令第148号。以下「改正医療省令」という。)が本日公布され、同日より施行されることとなったところである。

その改正の趣旨・概要等は下記第1のとおりである。また、今般の改正に際し、労働政策審議会職業安定分科会において、労働者派遣制度について関係者に対する周知を図るべきとの指摘があったこと等を踏まえ、労働者派遣制度の趣旨・概要その他の留意点について、下記第2から第4までのとおりとした。これらについて御了知の上、管内市町村、関係団体等にその周知徹底を図っていただくとともに、その円滑な運用に万全の対応をしていただくようお願いしたい。

併せて、今般の改正により新たに派遣先となる病院又は診療所(以下「病院等」という。)に係る情報提供については、下記第5のとおりであるので、これについても万全の御対応をお願いしたい。

第1 改正の趣旨・概要等

1 改正の趣旨

医療関連業務については、病院等が派遣労働者となる医療資格者を特定できないことによるチーム医療に対する影響への懸念という医療政策上の配慮から、原則として労働者派遣事業の適用除外業務としている。他方、医業に係る派遣労働者の就業場所がへき地(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律施行令(昭和61年政令第95号。以下「政令」という。)第2条第2項に規定するへき地をいう。以下同じ。)にある場合(以下「へき地の場合」という。)については、深刻な医師不足の状況に対応して医師の確保の選択肢の一つとして医師の労働者派遣を認める必要性が高いこと等から、これを労働者派遣事業の適用対象業務としている(平成18年4月1日施行)。

一方、医師確保対策については、全国各地の医師不足を訴える声に応え地域に必要な医師を確保するため、本年5月31日に政府・与党において取りまとめた「緊急医師確保対策について」を受け、国レベルの緊急臨時的医師派遣システムを構築することとし、その対象を一定の要件を満たした病院としているが、医師不足に緊急に対応するため、へき地以外の場所にある病院等もその対象とする必要が生ずる場合がある。また、国レベルの緊急臨時的医師派遣システムによるほか、都道府県による地域の実情に応じた医師確保対策として、例えば、地域の拠点病院から医師が不足している病院等に対して医師を送り出す必要が生ずる場合など、へき地以外の場所においても医師の労働者派遣を認める必要が生ずる場合もある。

これらを踏まえ、地域における医師確保対策を適切に実施するため、現行のへき地の場合に加え、医業に係る派遣労働者の就業の場所が地域における医療の確保のためには医師を派遣労働者として従事させる必要があると認められる病院等である場合についても、労働者派遣の形態による医師確保を可能とすることにより、地域医療の確保に資することとしたものである。

なお、今回講じる措置については、医師確保の選択肢の一つとして労働者派遣の形態によることを可能とする趣旨であり、医師確保に当たって必ず労働者派遣の形態によらなければならないこととするものではない。また、従前から行われている人事異動や退職・再就職等の形態による医師確保は、労働者派遣の形態による医師確保とは異なるものであり、本通知の対象となるものではないが、その場合についても他の労働関係法令を遵守すべきことは当然であるので、御留意いただきたい。

(※) へき地とは、政令第2条第2項に規定する離島振興法(昭和28年法律第72号)第2条第1項の規定により離島振興対策実施地域として指定された離島の区域等を含む市町村をいい、具体的には、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律施行令第二条第二項の市町村を定める省令(平成18年厚生労働省令第70号)に掲げる市町村をいう。

2 改正政令の概要

現行のへき地の場合に加え、医業に係る派遣労働者の就業場所が、「地域における医療の確保のためには医業に業として行う労働者派遣により派遣労働者を従事させる必要があると認められるものとして厚生労働省令で定める場所」である場合についても、労働者派遣事業の適用対象業務としたこと。

なお、改正政令の新旧対照表については、別添1を参照されたい。

3 改正派遣省令の概要

2の厚生労働省令で定める場所は、次に掲げる場所としたこと。なお、改正派遣省令の新旧対照表については別添2を参照されたい。

① 都道府県が医療法(昭和23年法律第205号)第30条の12第1項の協議を経て同項の必要な施策として地域における医療の確保のためには医業に業として行う労働者派遣により派遣労働者を従事させる必要があると認めた病院等であって、厚生労働大臣が定めるもの

② ①の病院等に係る患者の居宅

4 改正医療省令の概要

医師不足が深刻な病院等からの要請に応じて、医療法第30条の12第1項の規定に基づき、都道府県が地域の医療の確保を図るための必要な施策として、各都道府県が設ける医療対策協議会(以下「医療対策協議会」という。)における協議を経て、医師を派遣労働者として診療に従事させることを認めるに当たっては、病院等の開設者が労働者派遣を行うものとすることを明らかにしたこと。

また、3①のとおり、医療対策協議会の協議を経て認められた派遣先である病院等において、新たに医師を派遣労働者として診療に従事させるに当たっては、当該医療対策協議会の協議を経る必要があることを明らかにしたこと。

なお、改正医療省令の新旧対照表については、別添3を参照されたい。

5 留意事項

(1) 3①の「協議」とは、医療対策協議会における協議をいい、都道府県からの要請を受け、国レベルの緊急臨時的医師派遣システムにおける地域医療支援中央会議において医師確保を図ることを決定し、その対象となる病院等を管轄する都道府県が設ける医療対策協議会においてその旨を確認する場合を含むものであること。

(2) 3①の厚生労働大臣が定める病院等については、第5に規定するところにより対象となる病院等を把握した上で、厚生労働大臣告示により定める予定であること。この際、医療対策協議会の協議をもって派遣先となる病院等を認めた日、当該医療対策協議会の名称及び労働者派遣の期間を併せて告示する予定であること。

(3) 3①の厚生労働大臣が定める病院等は、その所在地がへき地以外の市町村にあるものであること。

(※) その所在地がへき地にある病院等については、今般の改正前においても医業に係る労働者派遣事業を実施することが可能。

(4) 3②は、3①の病院等から往診を行う場合を想定していること。

(5) 医療対策協議会において対象となる病院等を選定した場合には、当該医療対策協議会は、当該病院等へは様式1、派遣元事業主となる病院等の開設者へは様式2の書面をもって、その旨を明らかにする必要があること。

第2 労働者派遣制度の趣旨・概要

労働者派遣制度の趣旨・概要については、以下のとおりであるので、労働者派遣制度の詳細について不明な点等があれば、適宜、都道府県労働局に相談されたい。

1 労働者派遣制度の趣旨

労働者派遣制度は、臨時的・一時的な労働力の需給調整のための制度として位置付けられるものであり、この考え方に基づき、原則として派遣期間の制限が設けられていること。

2 派遣期間の制限

派遣先は、派遣就業の場所ごとの同一の業務(※)について、原則として1年を超える期間継続して労働者派遣を受けてはならないこととされていること(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律(昭和60年法律第88号。以下「派遣法」という。)第40条の2第1項及び第2項)。したがって、派遣先となる病院等で労働者派遣が行われる場合において、派遣労働者である医師により行われる医業については、原則1年の期間制限の対象となるものであること。

1年を超えて、最長3年まで受け入れることは可能であるが、1年を超える派遣を受けようとする派遣先は、あらかじめ、派遣先の労働者の過半数で組織する労働組合等に対し、派遣を受けようとする業務、期間及び開始予定時期を通知し、十分な考慮期間を設けた上意見を聴き、その聴取した意見の内容等を書面に記載して3年間保存しなければならないこと。

派遣先は、労働者派遣契約を更新したり、派遣元事業主又は派遣労働者を交替しても、原則1年、最大3年を超えて継続して同一の業務に労働者派遣として受けることはできないものであること。

(※) 「同一の業務」…一般に派遣先における組織の最小単位において行われる業務は、同一の業務とみなしているところであるが、医療関連業務における具体例については、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律施行令の一部改正に伴う医療関連業務への紹介予定派遣に係る取扱いについて」(平成16年5月28日付け医総発第0528001号・医指発第0528001号・職需発第0528001号厚生労働省医政局総務課長・医政局指導課長・職業安定局需給調整事業課長連名通知)により示されているので、参照されたい。

3 派遣受入期間の制限への抵触日の通知・明示

派遣元事業主及び派遣先は、派遣受入期間制限のある業務については、派遣受入期間の制限に関して、以下の通知・明示を行わなければならないこと。

(1) 労働者派遣契約締結時

派遣先は、あらかじめ、派遣元事業主に対して、当該派遣先の派遣受入期間の制限への抵触日を通知すること(派遣法第26条第5項)。(派遣契約締結後に、派遣先において意見聴取を行う等により派遣受入期間制限への抵触日が変更された場合は、その都度、派遣元事業主に通知することが必要である(派遣法第40条の2第5項)。)

(2) 派遣の開始前

派遣元事業主は、あらかじめ、派遣労働者に対して、派遣先の派遣受入期間の制限への抵触日を明示すること(派遣法第34条第1項第3号)。(変更された抵触日が通知された場合は、遅滞なく、派遣労働者に通知することが必要である(派遣法第34条第2項)。)

(3) 派遣受入期間の制限への抵触日の1か月前~前日

派遣元事業主は、派遣労働者及び派遣先に対して、派遣受入期間の抵触日以降、労働者派遣を行わない旨を事前に通知すること(派遣法第35条の2第2項)。

4 派遣労働者を特定することを目的とする行為の制限

派遣先は、労働者派遣契約を締結する際、事前面接や履歴書の送付等の派遣労働者を特定することを目的とする行為をしないよう努めなければならないこととされていること(派遣法第26条第7項)。

また、派遣元事業主は派遣先による派遣労働者を特定することを目的とする行為に協力してはならないこととされていること(派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針(平成11年労働省告示第137号))。

第3 今般の改正に係る留意事項

今般の改正において、労働者派遣により医師を確保する場合には、事前に派遣される医師を特定することができないこと等、労働者派遣制度の特性を十分に踏まえるとともに、医療関連業務の適正実施の観点から、以下の点に留意の上、適切に対応する必要があること。

1 派遣元事業主の選定に当たっての留意事項

(1) 労働者派遣制度においては、派遣元事業主及び派遣先においてそれぞれ責任者を選任し、派遣労働者からの苦情の処理等の業務に当たらせることとしているところであるが、医業の専門性等にかんがみると、医師の派遣を行う派遣元事業主である病院等の開設者は、医師である派遣労働者からの相談・苦情等に適切に対応し得る体制を有していることが望ましいものであり、派遣先となる病院等は、こうした派遣元事業主である病院等の開設者を選定することが望ましいこと。

(2) 派遣先となる病院等は、社会保険・労働保険への加入や適切な休暇の付与等の雇用管理が適正になされていることに加え、必要な教育訓練を適切に実施している等の適切な派遣元事業主である病院等の開設者を選定することが重要であること。

(3) 医療対策協議会において選定された派遣先となる病院等が、医業について医師を派遣労働者として受け入れる場合には、11に規定する事前研修を受けた医師を派遣するよう派遣元事業主である病院等の開設者に対し求め、当該研修を受けた医師であることの確認を行うこと。

(4) 医療対策協議会において派遣元事業主となる病院等の開設者を選定するに当たっては、労働条件や雇用関係に関する専門家の参画や意見聴取をするなど、派遣される医師について適正な労働条件や雇用管理が確保された上で労働者派遣事業が行われるように努める必要があること。

2 派遣される医師の同意

派遣元事業主である病院等の開設者は、自らが雇用する医師を派遣労働者として派遣する場合は、その旨を事前に書面等により明示するとともに、派遣される医師の同意を個別に得る必要があること(派遣法第32条第2項)。

なお、派遣労働期間が終了した後の身分や賃金、就業場所等の労働条件についても、派遣される医師の同意を得ることが望ましいこと。

3 派遣元事業主に対する適切な説明

派遣先となる病院等は、労働者派遣契約を締結するに当たり、派遣労働者となる医師が従事する業務を行うために求められる知識、技術又は経験等について、派遣元事業主である病院等の開設者に対して事前に十分説明し、派遣元事業主である当該病院等の開設者がそのニ-ズに応じた医師の選定ができるよう努めること。

したがって、派遣先となる病院等については、医師を派遣労働者として受ける場合には、以下に例示するような条件を付けることは可能であること。

(例) 勤務年数、専門としている診療科、他の病院等における派遣労働者としての診療従事経験

4 労働者派遣契約における必要な条件の設定

労働者派遣契約を締結する際には、①派遣労働者となる医師は、当該病院等における就業開始後に、就業の継続を拒否する自由を妨げられないこと、②派遣労働者となる医師の年次有給休暇、育児休業等の取得等の派遣労働者の権利(派遣元事業主と派遣労働者との雇用契約上の権利を含む。)を害することのないことを明らかにした上で、派遣元事業主である病院等の開設者が選定した派遣労働者となる医師を継続的に派遣する趣旨の規定を労働者派遣契約に盛り込むなど、派遣労働者となる医師の交替について事前に契約事項として定めておくことは可能であること。

5 派遣労働者受入後の対応

派遣先となる病院等は、医師を派遣労働者として受け入れた場合には、適正なチーム医療を確保する観点から、当該派遣労働者となる医師と当該派遣先となる病院等において直接雇用している医師・看護師等の医療職やその他の職員との相互の能力把握や意思疎通が十分になされるよう、必要な措置を講じるよう努めること。

また、派遣先となる病院等は、派遣労働者となる医師からの苦情や相談に対応し得る体制を派遣先責任者の活用等により整え、当該苦情等の適切かつ迅速な処理を図らなければならないこと。

6 派遣労働者である医師に対する教育訓練等

労働者派遣制度においては、派遣元事業主が派遣労働者の教育訓練の機会の確保に努めること等とされているほか、派遣先においても、派遣労働者の教育訓練・能力開発について可能な限り協力し、必要に応じて教育訓練に係る便宜を図るよう努めなければならないこととされている。

派遣先である病院等は、医療が生命・健康に大きく関わるものであることを十分に踏まえ、派遣労働者である医師に対する教育訓練の実施等に積極的に協力するほか、派遣労働者である当該医師を含めた医療従事者の資質の確保・向上に努めること。

7 派遣労働者である医師の適正な就業条件の確保等

労働者派遣制度においては、派遣先に対して、派遣先責任者の選任等の一定の責務が課せられているほか、労働時間の管理、労働者の危険又は健康障害を防止するための措置等の労働基準法、労働安全衛生法等に基づく事業主としての責務の一部が課せられている。

また、派遣先である病院等は、医師を派遣労働者として受け入れるに当たって、社会保険・労働保険への加入の有無を確認し、派遣労働者となる医師が社会保険・労働保険に加入していない場合には派遣元事業主である病院等の開設者に対して、その理由を明らかにするよう求めること。

その際、加入していない理由が適正でないと考えられる場合には、派遣元事業主である当該病院等の開設者に対し、社会保険・労働保険に加入させてから派遣するよう求めること。

派遣先である病院等は、医師を派遣労働者として受け入れるに当たって、これらの措置を適切に講じなければならないこと。

8 円滑な業務引継のための対応

派遣先である病院等においては、医療が生命・健康に大きく関わるものであることを十分に踏まえ、派遣労働者である医師の交代により業務の引継ぎの必要が生じた場合でも円滑に業務の引継ぎができるよう、業務に関する記録の作成や管理方法等の標準化に努めるとともに、派遣労働者である医師の交代が患者等の負担に繋がらないように特に注意すること。

9 医療法に定める医師等の員数の算定方法について

今般の改正により医師を派遣労働者として受け入れる場合、医療法第25条の規定に基づく立入検査において派遣労働者である医師の員数を算定する際には、当該医師の勤務の実態により、「医療法第25条第1項の規定に基づく立入検査の要綱について」(平成13年6月14日付け医薬発第637号・医政発第638号厚生労働省医薬局長・医政局長連名通知。以下「立入検査要綱」という。)の算定方法によることとする。具体的には、原則として病院で定めた医師の勤務時間のすべてを勤務する者については常勤医師、それ以外の者については非常勤医師とみなし、立入検査要綱の「非常勤医師の常勤換算」に定める方法により算定すること。

10 責任の所在の明確化

一般に、派遣労働者である医師の業務遂行に伴い患者等の第三者に損害を与えた場合、派遣元事業主と派遣先との間においては、派遣労働者に対して指揮命令を行う病院等が派遣先として損害賠償責任を負うものと考えられることを前提に、派遣元事業主である病院等の開設者との間で労働者派遣契約を締結する際には、損害賠償を含む責任の所在について明確にするよう努めること。

11 事前研修

(1) 基本的考え方

今般の改正により、医師確保対策を適切に実施するため、現行のへき地の場合に加え、医業に係る派遣労働者の就業の場所が、「地域における医療の確保のためには医業に業として行う労働者派遣により派遣労働者を従事させる必要があると認められるものとして厚生労働省令で定める場所」である場合についても、労働者派遣事業の適用対象業務とすることを認めたところである。これを踏まえ、派遣労働者である医師による適正な医療を確保するとともに、当該労働者派遣が派遣労働者として送り出される当該医師に対して過重な負担を強いる結果とならないよう、派遣元事業主である病院等の開設者は、派遣先となる病院等における医業を円滑に行うために必要な研修(以下「事前研修」という。)をあらかじめ受けた医師を派遣すべきである。他方、派遣先となる病院等が医師を派遣労働者として受け入れるに当たっては、事前研修を受けた医師を受け入れるとともに、当該医師による医療の適正な実施が確保されるよう、派遣される医師と派遣先の病院等において雇用する医師や看護師等の医療関係者との間で十分な意思疎通を図り、チーム医療が確保されるよう努めるべきである。

また、医療法第10条に規定する管理業務については、保健衛生上支障を生ずるおそれがないように管理するものであることから、労働者派遣事業の対象とすることが適当でないことについては、平成11年11月30日付け健政発第1290号・健医発第1634号・医薬発第1331号厚生省健康政策局長・保健医療局長・医薬安全局長連名通知により示しているところであるので、念のため申し添える。

(2) 事前研修の実施主体、内容等

事前研修の実施主体、内容等については、一般的には、以下のようなものが望ましいと考えられる。ただし、派遣先となる病院等の意向を十分に確認した上で、派遣される医師の個人的な属性(専門分野、派遣勤務経験等)や労働者派遣契約の内容(派遣先となる病院等、派遣期間、業務内容の特約、派遣終了後の労働条件等)等に応じた取扱いをしても差し支えないこと。

ア 事前研修の実施主体

医療対策協議会の協力の下、派遣元事業主である病院等の開設者が行うものであること。

イ 事前研修の内容

・ 派遣先である病院等と医療機能の連携体制を図っている医療機関及び消防・警察等との連携体制のあり方について

・ 派遣先である病院等に係る医療圏における医療提供体制や、救急医療・在宅医療等に関する知識及び手技等について

・ 派遣先である病院等の地域固有の自然環境や生活環境(気候・地形、疾病構造・風土病、ライフラインの整備状況、医療提供体制の状況等)について

ウ 事前研修の期間について

最低6時間以上であることが望ましいこと。

エ 事前研修を修了した旨の証明について

当該医師が事前研修を修了したと認められた場合には、派遣元事業主である病院等の開設者において、その旨の証明書の発行又はこれに準ずる取扱いをもって明らかにすること。

オ 事前研修を実施する必要のない者について

事前研修の実施については、上記のとおり、派遣先となる病院等の意向を十分に確認した上で、一定の柔軟な取扱いをすることも可能であるが、少なくとも、今般の改正に基づき、労働者派遣として医師不足病院等に対して派遣され、通算して1年以上勤務した経験を有する者又はそれと同等程度の経験を有すると認められる者に対しては、事前研修を実施する必要はないものとして取り扱って差し支えないこと。

ただし、その場合であっても、当該派遣される医師による医業の適正な実施が確保されるよう、派遣先である病院等の医療圏における医療提供体制の状況等については十分に理解した上で業務に従事することが望ましいこと。

(3) 派遣労働者である医師に対する教育訓練等

上記のとおり、派遣労働者である医師による医業の適正な実施を確保するとともに、当該労働者派遣が派遣労働者として送り出される当該医師に対して過重な負担を強いる結果とならないよう、事前研修を受けた医師を派遣すべきこととしているが、派遣労働者である医師を受け入れる病院等は、当該医師を受け入れた後であっても、当該派遣先である病院等の医療圏における医療提供体制をはじめとする医療事情に即した内容・形態等の研修を必要に応じて行うなど、派遣先である病院等において医業が適正にかつ円滑に行われるよう教育訓練等の機会の確保に努めること。

12 医療対策協議会の役割

医療対策協議会は、適正な地域の医療を確保するという観点から、派遣先として医師の労働者派遣を認める必要がある病院等を選定する以上、労働者派遣が行われた後においても、当該派遣先である病院等において適正なチーム医療が確保されているかどうかについて確認すること。

また、派遣元事業主である病院等に対しても、適正な地域の医療の確保に資する労働者派遣事業が行われているかどうかについて確認するなど、地域において必要とされる医療の確保に努めること。

第4 都道府県等による患者等の苦情や相談への対応

各都道府県等においては、医療に関する患者等の苦情や相談に対応し、医療安全対策を推進するため、「医療安全支援センターの設置について」(平成15年4月30日付け医政発第0430003号厚生労働省医政局長通知)に基づき設置された医療安全支援センターに相談窓口が設けられているところであるが、苦情や相談の内容が、派遣労働の問題に関わるような場合にも、必要に応じ都道府県労働局等とも連携の上、適切な対応を行うようお願いしたいこと。

第5 派遣先となる病院等に係る情報提供

第1の1のとおり、医業については、原則として労働者派遣事業を行うことを禁止しているところ、今般の改正は、派遣労働者である医師の就業場所が一定の病院等である場合には、当該禁止規定の適用除外とし、医業に係る労働者派遣事業の実施を可能とするものである。

当該禁止規定については、違反した場合には罰則が科せられることから、今般の改正により当該禁止規定の適用除外となる場合を明確にする必要がある。このため、第1の5(2)のとおり、派遣先となる病院等を告示により個別具体的に定めることとしているが、医療対策協議会の協議を経て認められた病院等(以下「対象病院等」という。)を国が直接把握することは困難であることから、各都道府県におかれては、対象病院等についての情報提供の方法等については次のとおりとするので、万全の御対応をお願いしたい。

1 情報提供の時期、提出先及び提出方法

対象病院等の決定後、原則として、対象病院等において派遣労働者の受入れを開始する日の1か月前までに、2の事項について、以下の提出先まで書面又はFAX(様式3のとおり)により行うこと。

【提出先】

厚生労働省医政局総務課

電話 03―5253―1111(内線2518,2519)

FAX 03―3501―2048

2 情報提供に係る事項

次に掲げる事項とする。

① 医療対策協議会における協議を経て対象病院等を適当と認めた日及びそのことが確認できる資料(医療対策協議会への提出資料、医療対策協議会の議事録の抜粋等)

② 対象病院等の名称及び所在地その他派遣就業の場所

③ 対象病院等に対し業として医業に係る労働者派遣を行うこととなる病院等の開設者の名称及び当該病院等の所在地

④ 当該労働者派遣の期間

⑤ 当該労働者派遣の開始前における③の開設者の一般労働者派遣事業の許可又は特定労働者派遣事業の届出の有無(有の場合は許可番号又は届出受理番号)

⑥ ⑤の許可又は届出がない場合には、当該労働者派遣を行うに当たり予定している当該許可又は届出の別

3 留意事項

(1) 国レベルの緊急臨時的医師派遣システムにおける地域医療支援中央会議において医師確保を図ることを決定した場合であっても、その対象となる病院等を管轄する都道府県が設ける医療対策協議会においてその旨を確認した上で、2の事項について情報提供をお願いしたいこと。

(2) 今般の改正に基づき労働者派遣事業を行うに当たっては、あらかじめ、一般労働者派遣事業の許可又は特定労働者派遣事業の届出が必要であることに留意すること。